JP5839465B2 - 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5839465B2
JP5839465B2 JP2011282407A JP2011282407A JP5839465B2 JP 5839465 B2 JP5839465 B2 JP 5839465B2 JP 2011282407 A JP2011282407 A JP 2011282407A JP 2011282407 A JP2011282407 A JP 2011282407A JP 5839465 B2 JP5839465 B2 JP 5839465B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cast iron
graphite cast
spheroidal graphite
spheroidizing
spheroidizing agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011282407A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013133474A (ja
JP2013133474A5 (ja
Inventor
司 馬場
司 馬場
貴雄 堀谷
貴雄 堀谷
拓也 時山
拓也 時山
佐藤 隆
隆 佐藤
浩 出井
浩 出井
裕 西川
裕 西川
政和 北原
政和 北原
英和 成田
英和 成田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akebono Brake Industry Co Ltd
Original Assignee
Akebono Brake Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akebono Brake Industry Co Ltd filed Critical Akebono Brake Industry Co Ltd
Priority to JP2011282407A priority Critical patent/JP5839465B2/ja
Priority to CN201280064121.1A priority patent/CN104066854B/zh
Priority to PCT/JP2012/082962 priority patent/WO2013094652A1/ja
Priority to US14/364,453 priority patent/US9512498B2/en
Priority to EP12860324.8A priority patent/EP2796568B1/en
Publication of JP2013133474A publication Critical patent/JP2013133474A/ja
Publication of JP2013133474A5 publication Critical patent/JP2013133474A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5839465B2 publication Critical patent/JP5839465B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D27/00Treating the metal in the mould while it is molten or ductile ; Pressure or vacuum casting
    • B22D27/20Measures not previously mentioned for influencing the grain structure or texture; Selection of compositions therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C1/00Refining of pig-iron; Cast iron
    • C21C1/10Making spheroidal graphite cast-iron
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D1/00Treatment of fused masses in the ladle or the supply runners before casting
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C1/00Refining of pig-iron; Cast iron
    • C21C1/10Making spheroidal graphite cast-iron
    • C21C1/105Nodularising additive agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C28/00Alloys based on a metal not provided for in groups C22C5/00 - C22C27/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C33/00Making ferrous alloys
    • C22C33/08Making cast-iron alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C37/00Cast-iron alloys
    • C22C37/04Cast-iron alloys containing spheroidal graphite
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C37/00Cast-iron alloys
    • C22C37/10Cast-iron alloys containing aluminium or silicon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/002Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing In, Mg, or other elements not provided for in one single group C22C38/001 - C22C38/60
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/02Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/06Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C43/00Alloys containing radioactive materials

Description

本発明は、球状黒鉛鋳鉄の製造方法、および、球状黒鉛鋳鉄の製造方法により得られる球状黒鉛鋳鉄を用いた、特に薄肉部を有する車両部品などの球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法に関する。
球状黒鉛鋳鉄は、優れた引張強度と延性を有することから、自動車をはじめとする車両部品や機械部品などに広く用いられている。特に、自動車などの車両用の保安部品として重要なブレーキキャリパでは、その品質を確保するために、この球状黒鉛鋳鉄が用いられている。近年、これらの部品では軽量化や小型化の要請があるため、用いられる球状黒鉛鋳鉄部材にも薄肉化が要望されている。球状黒鉛鋳鉄部材を薄肉化した場合、薄肉部における冷却速度が速くなることに起因して、チル相(異常組織)が発生する。このチル相は、非常に硬い組織であるため、球状黒鉛鋳鉄部材の被削性(機械加工性)が低下するという問題がある。
このため、薄肉部を有する薄肉球状黒鉛鋳鉄部材、特に自動車部品には、高いレベルで引張強度と延性のバランスを保ちつつ、チル組織の抑制が求められる場合が多い。このため、薄肉球状黒鉛鋳鉄部材の製造にあたっては、鋳鉄溶湯に対して、球状化処理および複数回の接種処理が行われている。球状化処理においては、球状化および黒鉛化をより確実に行わせるために、球状化剤中に希土類元素(レアアース)を含有させたものが一般に使用されている。
たとえば、特開平10−237528号公報、特開2000−303113号公報、特開2007−182620号公報、および、特開平9−125125号公報には、レアアースを所定量(0.5〜9質量%程度の範囲)含有させた球状化剤およびこれを用いて製造した球状黒鉛鋳鉄が開示されている。レアアースは、脱酸脱硫作用や球状化阻害元素の抑制作用を通じて、球状黒鉛化を促進させる効果のほか、黒鉛の核生成効果などを通じて、黒鉛化促進、チル化防止、チャンキー黒鉛発生抑制およびフェーディングの抑制などの働きがあるため、球状黒鉛鋳鉄にとって非常に有益な元素となっている。特に、自動車部品に用いられる薄肉球状黒鉛鋳鉄の製造において、薄肉部のチル化を防止するためには、このレアアースを含有する球状化剤の使用が必須とされている。
しかし、レアアースは地球上の限られた地域に偏在しており、生産国や製造企業の都合により価格や生産量が大幅に変化する場合が多い。特に最近は鋳物分野だけでなく、電子機器、磁石分野などでも必要不可欠な資源になっており、価格が急激に上昇してきているため、供給に関しても不安定な面を抱えている。したがって、このような供給障害や価格の高騰を避けるため、レアアースを含有しない球状化剤を使用した球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法を確立し、球状黒鉛鋳鉄部材を安価かつ安定的に供給することが強く要望されている。
特開平10−237528号公報 特開2000−303113号公報 特開2007−182620号公報 特開平9−125125号公報 特開平6−279917号公報 特開平10−317093号公報 特開2004−339577号公報
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、より広範囲の製品形状の部品に対し、レアアースを含有しない球状化剤を使用した場合でも、引張強度と延性のバランス、剛性、被削性、制振性、鋳造性および経済性に優れ、かつチル相および内部欠陥のない鋳放し球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、実質的に希土類元素を含有しない球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法であって、取鍋にて、質量比で、Mg:3.0〜6.0%、Ca:1.0〜2.0%、Ba:0.5〜3.5%、Al:0.3%以下含有し、実質的に希土類元素を含有しないFe−Si−Mg−Ca系合金の球状化剤を、溶湯に対する投入量を、質量比で、0.8〜2.0%として、球状化処理を行うとともに、Fe−Si系の1次接種剤を用いて1次接種処理を行い、その後、溶湯を鋳型に鋳込む前に、質量比で、Si:45〜75%、Ca:1.0〜3.0%含有するFe−Si−Ca系の注湯流接種剤を、溶湯に対する投入量を、質量比で、0.2〜0.4%として注湯流接種処理を行うことにより、得られる球状黒鉛鋳鉄の最終組成を、質量比で、C:3.0〜4.5%、Si:3.0〜4.0%、Mn:0.2〜0.4%、S:0.006〜0.020%、Cu:0.08〜0.30%、Sn:0.020〜0.040%、Mg:0.015〜0.050%、Al:0.03%以下、Zn:0.01%以下、残部がFeおよび不可避不純物とすることを特徴とする。
本発明の球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法により、球状黒鉛化率が85%以上、引張強度が450MPa以上、伸びが15%以上、ヤング率170GPa以上、対数減衰率が1.0×10-3以上、製品肉厚が6mm以下の薄肉部のチル面積率が1%以下であって、製品中に直径(長径)1mm以上の内部欠陥のない、車両部品などの球状黒鉛鋳鉄部材を得ることができる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄部材は、その製造過程において、注湯流接種剤や2次接種剤ではなく、球状化剤中に所定量のBaを添加することにより、レアアースを含有しない球状化剤を使用した場合でも、従来の球状化黒鉛鋳鉄と同等以上の引張強度、延性、剛性、制振性、被削性を有しており、かつ、従来と比較してより厳しい要件において製品内部に内部欠陥が存在しないと評価できるものである。したがって、球状黒鉛鋳鉄部材の中でも、薄肉部を有する小型の車両部品、特に、車両の安全性に重要な保安部品であるブレーキキャリパの製造に好適に使用することができる。また、本発明は、その製造材料としてレアアースなどの高価かつ供給不安定な材料を用いずに、球状黒鉛鋳鉄部材の安価かつ安定的な供給を可能ならしめている点で、車両部品のみならず、その他の車両部品や一般産業用途の機械部品なども含めて、安定供給が常に求められる薄肉球状黒鉛鋳鉄を用いた製品に対して、広く適用することが可能であり、その工業的意義はきわめて大きい。
図1は、原材料の溶解から車両部品を完成するまでの工程を表した概略フロー図である。 図2は、本発明の予備試験で使用した楔型チル試験片のモールドおよび破面の概略斜視図である。 図3(a)は、球状化剤中のMg含有量と、チル深さとの関係を示す図である。 図3(b)は、球状化剤中のMg含有量と、球状化率との関係を示す図である。 図3(c)は、球状化剤中のMg含有量と、引張強度との関係を示す図である。 図3(d)は、球状化剤中のMg含有量と、伸びとの関係をそれ図である。 図4(a)は、球状化剤中のCa含有量と、チル深さとの関係を示す図である。 図4(b)は、球状化剤中のCa含有量と、球状化率との関係を示す図である。 図4(c)は、球状化剤中のCa含有量と、引張強度との関係を示す図である。 図4(d)は、球状化剤中のCa含有量と、伸びとの関係をそれ図である。 図5(a)は、球状化剤中のBa含有量と、チル深さとの関係を示す図である。 図5(b)は、球状化剤中のBa含有量と、球状化率との関係を示す図である。 図5(c)は、球状化剤中のBa含有量と、引張強度との関係を示す図である。 図5(d)は、球状化剤中のBa含有量と、伸びとの関係をそれ図である。 図5(e)は、球状化剤中のBa含有量と、黒鉛粒数との関係を示す図である。 図5(f)は、球状化剤中のBa含有量と、黒鉛粒径との関係を示す図である。 図5(g)は、Baを添加しない球状化剤を用いて得られた球状黒鉛鋳鉄の微視組織を示す顕微鏡写真である。 図5(h)は、Baを添加した球状化剤を用いて得られた球状黒鉛鋳鉄の微視組織を示す顕微鏡写真である。 図6(a)は、注湯流接種剤中のBa含有量と、引張強度との関係を示す図である。 図6(b)は、注湯流接種剤中のBa含有量と、チル深さとの関係を示す図である。 図6(c)は、注湯流接種剤中のBa含有量と、球状化率との関係を示す図である。 図7(a)は、球状化剤中のAl含有量と、チル深さとの関係を示す図である。 図7(b)は、球状化剤中のAl含有量と、球状化率との関係を示す図である。 図7(c)は、球状化剤中のAl含有量と、引張強度との関係を示す図である。 図7(d)は、球状化剤中のAl含有量と、伸びとの関係をそれ図である。 図8(a)は、球状化剤の添加量と、チル深さとの関係を示す図である。 図8(b)は、球状化剤の添加量と、球状化率との関係を示す図である。 図8(c)は、球状化剤の添加量と、引張強度との関係を示す図である。 図8(d)は、球状化剤の添加量と、伸びとの関係を示す図である。
一般に、球状化剤からレアアースを削減または削除した場合、製品の特性上の問題点として、以下の点が挙げられる。
(1)黒鉛球状化率(以下、「球状化率」という)の低下およびそれに伴う引張強度、延性、剛性の低下、
(2)チル相(異常組織)の発生およびチル化傾向の増大による被削性(機械加工性)の低下、
(3)フェーディングの増大(フェーディング開始時間の短時間化)、
(4)引け巣などの内部欠陥の増加、
ここで、フェーディングとは、球状化処理や接種処理のために添加した元素が、時間経過に伴って酸化または他の元素と反応し消費されるため、減少してしまい、時間経過につれて球状化や接種が進まなくなる現象である。
本発明者らは、これまで、溶湯成分、球状化剤および接種剤の成分や添加量の影響を詳細かつ系統的に検討した結果、上記(1)〜(4)の問題を解決するためには、高価な添加元素を使用せずに、溶解成分、球状化剤および接種剤の成分量や投入量を同時にかつ的確に制御すれば、鋳放し状態でも引張強度と延性のバランス、剛性、被削性および鋳造性に優れた車両部品が製造できるとの知見をすでに得て、車両用ブレーキキャリパなどの高い品質が要求される車両部品に好適に適用できる、これらの特性を高いレベルで備える球状黒鉛鋳鉄の製造方法を開発してきた。
しかし、レアアースを含有しない球状化剤を使用した場合の技術課題の一つである、(4)引け巣などの内部欠陥の増加に対しては、今後の車両部品の複雑化、小型化および薄肉化へのさらなる要求を考慮した場合、まだ不十分な点が残っており、より広範囲の製品に対して、より確実に適用できる鋳放し球状黒鉛鋳鉄部材およびその製造方法を提供する必要がある。
本発明者らは、このような要求に対応するため、レアアースを含まない球状化剤を用い、製品中の内部欠陥、特に引け巣の発生を十分に抑制する方法について種々の検討を重ねた。一般に、球状黒鉛鋳鉄の引け巣の発生を抑制する対策としては、
(a)凝固収縮量削減(黒鉛化促進)、
(b)押し湯効果の促進、
(c)鋳型強度向上、
などが挙げられる。しかし、(b)の押し湯効果の促進は、押し湯体積の増大により溶湯歩留りの低下につながり、(c)の鋳型材質の変更は、コストアップをもたらす上に、製造条件の大幅な見直しが必要になるといった問題がある。
そこで、本発明者らは、経済的な観点を重視し、(a)の凝固収縮量の削減に着目し、鋭意検討を重ねた結果、球状化剤中にBaを添加し、さらに球状化剤中のMg、Ca、Alを的確に調整することにより、引け巣発生傾向の大幅な抑制が可能であるという知見を得た。以下、この検討内容を詳述する。
Baは、一般的に、溶湯中で酸化物や硫化物になり、それが黒鉛核になり凝固時の黒鉛生成反応を促進するため、黒鉛粒数の増加や黒鉛粒径の微細化に効果があるとされており、従来、主として球状黒鉛鋳鉄の接種剤に添加され、黒鉛粒数の増加や黒鉛粒径の減少効果などによる接種効果の促進成分として使用されている。たとえば、特開平6−279917号には、黒鉛の微細化や黒鉛化促進のため、10%以下のBaを接種剤中に添加することが、特開平11−317093号には、黒鉛粒数の増加、黒鉛粒径の減少により製品の剛性を向上させるため、接種時または接種後に、溶湯に対して0.0015〜0.02%のBaを添加することが、特開2004―339577号には、Siを90〜99%含有する接種剤中に、黒鉛化促進のため、Ca、Sr、Baのうちいずれか1つ以上の元素を合計で0.5〜6.0%添加することが、それぞれ開示されている。
このように、これまでにおけるBaの添加は、球状化剤に対してではなく、注湯流接種剤や2次接種剤に対して行うのが一般的であった。大物厚肉球状黒鉛鋳鉄部材の製造において、レアアースを含まない球状化剤を用いる例があるが、このようなレアアースを含まない球状化剤にBaを添加した場合、Baの溶湯に対する溶解性が悪いことに起因して、スラグを多量に発生させてしまい、これにより引張強度や伸びなどの特性が悪化することが知られている。また、黒鉛化の促進および黒鉛の微細化を目的として、Baを注湯流接種剤や2次接種剤に添加した場合でも、その効果に見合う量を添加すると、引張強度、チル化傾向、球状化率、フェーディング時間に関する特性がいずれも劣化するという問題がある。
しかしながら、本発明者らは、Baの黒鉛化促進効果による凝固収縮量の抑制に着目し、これによる引け巣傾向の抑制効果を期待して種々検討を重ねた結果、レアアースを含有しない球状化剤であっても、所定量のBaを添加することにより、黒鉛化が促進されるとともに、均一微細黒鉛が生成され、製品中の引け巣の抑制に顕著な効果があることを見出した。さらに、従来、危惧されていたBa添加によるスラグの発生量の増加は、球状化剤中のMg、Ca、Al量を的確に調整することにより十分抑制ができること、および、これらの成分の中でAl量を所定値以下に管理することで、介在物の発生を大幅に低減できることを見出して、本発明に至ったものである。
注湯流接種剤や2次接種剤へのBaの添加による目的とする特性以外の特性の劣化から明らかなように、球状化剤や接種剤成分の変更は、微視組織の変化およびそれに伴う諸特性の変化を招き、対象とする特性以外の特性を劣化させることも多い。特に、自動車部品のように多くの特性をバランスよく維持する必要がある場合は、成分添加や成分量変化による各特性変化を十分把握した上で、各成分の割合を決定する必要がある。このため、本発明においても、球状化剤へのBa添加やMg、Ca、Al量の変化などが、内部欠陥の発生を抑制する以外に、他の特性に対してどのような影響を及ぼすかを把握するため、小型試験片を使用した、以下の予備試験を実施した。
まず、小型の高周波誘導炉を用いて、量産ラインと同じ鉄くずを溶解し、実機ラインの条件に合わせて、標準的なFCD400〜450(JISG5502)相当の溶湯を調整し、取鍋でのサンドイッチ法による球状黒鉛化処理を行い、球状化剤の投入量のほか、球状化剤中のMg、Ca、Ba、Alの量をそれぞれ変化させた。その際、取鍋内で、市販のFe−Si系接種剤による1次接種処理も同時に行った。具体的には、取鍋の底のポケットに配置した球状化剤と接種剤の上部に、実機と同様に、Fe−Si系のカバー剤を置き完全に被覆することにより、これらの処理を行った。さらに、鋳型(シェルモールド)への鋳込み直前に、溶湯中に接種剤を投入する注湯流接種を手動で行った。なお、基本的工程は図1に示すフロー図に沿って行った。
本予備試験において、鋳型として、楔型チル試験片とノックオフ(Kb)型試験片(25mmφ)の2種類を使用した。これらの鋳型を使用して、量産時のフェーディング効果を評価するため、球状化処理から鋳込みまでの時間を、処理直後から最大15分間まで変化させた試験片を作製し、各特性を測定した。チル試験片は、常温で楔型試験片を破断し、デジタルスコープで破面先端からチル相の存在する深さ(チル深さ)を測定した(図2参照)。チル深さが小さいほど、チル化傾向が抑制されていることになる。また、球状化率や黒鉛粒数などは、ノックオフ(Kb)型試験片の丸棒端部(25mmφ)を切断し、光学顕微鏡で中央部を観察して測定した。引張強度は、25mmφの丸棒からJIS4号試験片などを各2本採取して測定した。
以下、図を参照しながら、予備試験の結果について詳述する。
[球状化剤中のMg、Ca、Ba、Al含有量の影響]
図3に、球状化剤の基本成分であるMgの含有量と、(a)チル深さ、(b)球状化率、(c)引張強度および(d)伸びとの関係をそれぞれ示す。これらの図より、球状化元素であるMgは、球状化率や引張強度の向上に顕著な効果があることが確認されたが、同時に、チル化傾向を増大する元素でもあることが確認された。このため、Mgの含有量の適正範囲は、各特性に及ぼす影響を総合的に判断して決める必要がある。
図4に、同様に、球状化剤の基本成分であるCaの含有量と、(a)チル深さ、(b)球状化率、(c)引張強度および(d)伸びとの関係をそれぞれ示す。Caは、その含有量が2%程度であるときにチル深さが最も良好になり、引張強度と伸びは、含有量の増加に伴い少しずつ向上する傾向があることが確認された。また、球状化率は、Caの含有量が1.3%程度までは向上するが、それ以降減少傾向となり、2%を超えると再び向上することが確認された。
図5に、Baの含有量と、(a)チル深さ、(b)球状化率、(c)引張強度、(d)伸び、(e)黒鉛粒数および(f)黒鉛粒径との関係をそれぞれ示す。これらの図より、Baの含有量が0〜0.5%の範囲では、チル深さ、球状化率、引張強度および伸びのいずれに特性についても、Baの添加による若干の劣化傾向が見られるが、0.5〜3.5%の範囲では、その劣化傾向が落ち着いて、ほとんど変化しないか、若干の向上傾向があることが確認された。一方、引け巣などの内部欠陥の抑制に影響を及ぼす黒鉛粒数および黒鉛粒径については、黒鉛粒数は0.5〜3.5%の範囲において増加傾向にあるものの、黒鉛粒径は0.8%程度までは増加するが、その後は減少傾向にあることが確認された。また、(g)Baを添加しなかった場合と、(h)2%のBaを添加した場合の微視組織を比較すると、球状化剤へのBaの添加により黒鉛粒数が増加し、黒鉛粒径が減少していることが確認された。
なお、前述したように、Baは、球状化処理の後に実施される接種処理剤に添加されることが多い。本予備試験においても、注湯流接種剤にBaを添加した試験を行ったが、図6に示されるように、(a)引張強度、(b)チル化傾向および(c)球状化率のいずれについても、その含有量が増加するに従って低下する傾向が見られた。また、球状化処理からの経過時間が長い方が、これらの各特性が低下する傾向があることが確認された。このように、接種剤へのBa添加は、黒鉛化促進や黒鉛の微細化には有効であるものの、その他の特性を劣化させてしまうことが理解される。
図7に、Alの含有量と、(a)チル深さ、(b)球状化率、(c)引張強度および(d)伸びとの関係をそれぞれ示す。これら図より、いずれの特性も、Alの含有量が0.2〜1.0%の範囲では大きな変化は認められないが、チル深さ、球状化率および引張強度については、Alの含有量が低いほど良い特性が得られていることが確認された。
[球状化剤の投入量]
図8に、本発明の範囲内にある球状化剤の投入量と、(a)チル深さ、(b)球状化率、(c)引張強度、(d)伸びの関係を示す。なお、ここでは後述する実施例で使用する表2のNo.1の球状化剤と同じものを使用した。これらの図を参照することにより、球状化剤の投入量が0.8〜2.0の範囲では投入量の増加に伴い、球状化率と伸びはほとんど変化しないが、チル化傾向および引張強度は増加することが確認された。したがって、球状化剤の投入量は、各特性の変化を考慮して総合的に判断する必要がある。
以上の予備試験の結果から、レアアースを含有しない球状化剤を用い、鋳放し材で内部欠陥以外の各特性を高いレベルで保持するためには、球状化剤中のBa、Mg、Ca、Alの含有量およびその投入量を同時に、かつ、的確に制御する必要があることが理解される。
次に、本発明者らは、量産ラインと同様の装置を使用して、自動車用ブレーキキャリパを製造し、予備試験の結果を考慮した製造条件で実製品による確認試験を実施した。その結果、レアアースを含有しない球状化剤を使用した場合でも、溶解成分および接種剤の基本成分量や添加量を的確に制御し、かつ、球状化剤に所定量のBaを添加した上で、Mg、Ca、Alの含有量を所定範囲に制御することで、鋳放し状態においても、製品中に引け巣などの内部欠陥がなく、かつ、経済性に優れ、引張強度が450MPa以上、伸びが15%以上、球状化率が85%以上、ヤング率が170GPa以上、対数減衰率1.0×10-3以上、製品肉厚6mm以下の薄肉部にチル相がなく、さらには、従来の製品よりも内部欠陥をより厳格に抑制することができた車両部品などの球状黒鉛鋳鉄部材が製造できるとの知見を得て、本発明に至ったものである。
以下、本発明の球状黒鉛鋳鉄部材およびその製造方法について説明する。
本発明で使用する溶解原料としては、熱延鋼板系または冷間圧延鋼板系のスクラップや銑鉄、社内のリターン材などを使用することができるが、O、S、Pなどの不純物量が低い材料を使用することが好ましい。ただし、これらの不純物量が多い場合であっても、脱硫処理やフラックス処理をすることにより、不純物量を低減すれば、問題なく使用することができる。溶解炉としては、特に限定されるものではないが、電気炉、特に高周波誘導炉を使用することが好ましい。原料を溶解した後、C、Si、Mn、S、Cu、Snを適宜添加し、溶湯成分の調整を行う。出湯前の溶解炉、球状化処理の後の取鍋からのノロ取りは、溶湯表面に浮上してきた介在物などのスラグを除去する上で重要であり、確実に実行することが望ましい。
溶湯の組成は、後述する最終組成への調整を容易に行う観点から、質量比でC:3.0〜4.5%、Si:2.0〜3.0%、Mn:0.2〜0.4%、S:0.006〜0.020%、Al:0.03%以下、Cu:0.08〜0.30%、Sn:0.020〜0.040%、Zn:0.01%以下、残部がFeおよび不可避不純物からなるようにすることが好ましい。なお、溶解時および成分調整時の溶湯温度は1480〜1580℃とすることが好ましい。
その後、溶解炉を傾斜させ、溶湯を取鍋に注湯するが、この際、球状化剤、接種剤およびカバー剤を用いて、球状化処理および1次接種処理を行う。
球状化処理の方法としては、サンドイッチ法、その他の公知の手段を用いることができるが、球状化剤中のMg濃度やMgの歩留まりのほか、特別な設備を必要とせず、安定して黒鉛球状化が可能であることから、通常はサンドイッチ法が採用される。
球状化剤としては、Fe−Si−Mg−Ca系などのMg系の球状化剤を用いることができるが、質量比で、Mg:3.0〜6.0%、Ca:1.0〜2.0%、Ba:0.5〜3.5%、Al:0.3%以下、含有するものを用いることが好ましい。
Mgは、黒鉛を球状化させるために添加される元素であり、球状化処理後に残留する。Mgの含有量は、質量比で、3.0〜6.0%とすることが必要である。3.0%未満では、黒鉛の球状化が十分に進まないため、目的とする強度、剛性が得られない。一方、Mgは非常に酸化しやすい元素であるため、6.0%を超えると、引け巣やマトリックス中のMg酸化物が増加し、強度を低下させる傾向がある。また、前述したようにチル相が生じやすくなり、被削性を悪化させる。
Caは、一般にMgの反応抑制のために添加されるものであるが、予備試験で示したようにチル化傾向を増大させる作用も示す。Caの含有量は、質量比で、1.0〜2.0%とすることが必要である。1.0%未満では添加効果が十分に期待できず、2.0%を超えるとチル化傾向が強まりチル相が発生するため、スラグが増大するなどの問題が生じる。
Baは、本発明では、主に引け巣発生の抑制のために添加している。Baの添加による引け巣などの内部欠陥発生の抑制機構に関しては、以下のように考えられる。球状化剤中にBaを添加すると、Ba酸化物からなる核が生成する。これにより、溶湯中の黒鉛の核生成およびその発生頻度が促進され、黒鉛化反応が、Baの含有がない場合よりも、比較的短時間で終了する。この結果、引け巣などが発生する凝固終盤での黒鉛生成量が減少して、体積膨張による鋳型の変形が大幅に抑制され、凝固欠陥(空隙)発生の要因が減少するためと考えられる。
Baの含有量は、質量比で、0.5〜3.5%とすることが好ましい。この範囲の添加であれば、予備試験で示したように黒鉛化促進による引張強度の低下は認められない。0.5%未満では、添加効果が明瞭には認められず、製品形状によっては引け巣などの内部欠陥が発生する可能性がある。一方、3.5%を超えると、スラグの発生が多くなり、内部欠陥が発生して引張強度や伸びが低下するばかりでなく、作業性も低下する。
Alは、主に、脱酸作用やチル化抑制という効果を有する。しかしながら、球状化阻害元素でもあるため、一定値以上含有する場合には引張強度や剛性の低下を招く。また、酸化物のアルミナは、製品内に残留して介在物となり、鋳造欠陥になることがある。前述の予備試験結果においても、Alの含有量が0.3%以上では、各特性の改善に対して顕著な効果は認められなかった。以上を考慮して、Alの含有量は0.3%以下とする。
また、溶湯に対する球状化剤の投入量は、質量比で、0.8〜2.0%とする必要がある。0.8%未満では、十分な球状化率が得られず、2.0%を超える場合は、予備試験で示唆されたようにチル傾向が強まり、また、球状化剤に解け残りが生じる可能性がある。
球状化剤の粒径は、解け残りの防止と、溶湯との均一混合の観点から、0.05〜5mm程度とすることが好ましい。
なお、サンドイッチ法では、溶湯が取鍋の規定位置に達するまでの反応を抑制する観点から、球状化剤および接種剤の上にカバー剤を入れ、直接溶湯と接触しないようにする。カバー剤としては、Fe−Si系が用いられる。
取鍋での1次接種処理に用いられる接種剤としては、Fe−Si−Ca系またはCa―Si系の接種剤を用いることができるが、通常は、Si:45〜75%のFe−Si系のものが使用される。なお、接種剤の粒径は、解け残りと溶湯との均一混合の観点から、0.05〜5mm程度とすることが好ましい。1次接種処理に用いられる接種剤は、取鍋の底のポケットに球状化剤ともに配置される。球状化処理と接種処理は同時に行う必要はなく、球状化処理後に上記接種剤を単独で取鍋に投入するようにしてもよい。ただし、鋳型に鋳込む直前に行う注湯流接種の接種効果を十分に発揮させるために、1次接種処理は球状化処理のすぐ後に速やかに実施することが好ましい。
本発明では、その後、上記の球状化処理が終了した溶湯を鋳型に鋳込む前に、注湯流接種を行う。注湯流接種剤としては、Fe―Si―Ca系接種剤を使用する。具体的には、各成分が、質量比で、Si:45〜75%、Ca:1.0〜3.0%含有するものを用いることが必要である。
Siは、接種剤の主要元素であり、その含有量は、フェロシリコン系原料を使用する場合の標準量である45〜75%程度とする。45%未満ではスラグの発生が多くなり、75%を超えると接種剤の溶解性が悪くなるという問題が生じる。
Caは、前述したように、マトリックスの黒鉛化促進、黒鉛の球状化促進によりチル化抑制や球状化率向上の効果がある。Caの含有量は、1.0〜3.0%とする必要があり、1.2〜2.2%とすることが好ましい。1%未満では、接種効果が発揮できずに黒鉛の微細化や球状化が進まず、3%を超えると、硬質なCaOが増加し、スラグの発生や被削性劣化を招く。
また、注湯流接種剤の溶湯に対する投入量は、チル化傾向を抑制し、球状化率および伸びを向上させる観点から、質量比で0.2〜0.4%であることが必要であり、0.25〜0.30%であることが好ましい。投入量が0.4%を超えると、解け残りの増大やスラグの増大を招き、0.2%未満では接種による十分な効果が得られず、所望の特性向上が期待できないうえ、投入歩留りも低下する。
なお、接種剤中には、通常、Alが0.5〜4%含まれている。これは、主にチル化抑制や基地組織改善のために添加されるものであり、本発明においてもこの範囲内であれば、各特性に与える影響はほとんどない。しかし、その添加量が上記範囲を超えて含有されると、酸化物がピンホールなどの内部欠陥の起因になることがあるので、球状黒鉛鋳鉄の最終組成におけるAlの含有量が、0.03%を超えないように十分考慮する必要がある。
注湯流接種は、鋳型に鋳込む直前に行うが、自動切り出し装置などを用いて均一速度で、かつ、溶湯中に確実に均一混合できるようにすることが好ましい。なお、鋳型内に接種剤を設置する鋳型内接種法により行うことも可能であるが、その場合には、接種剤の解け残りがなく、溶湯と均一に混合するように鋳型方案などを十分に工夫する必要がある。また、所望の材料特性をすべて満足させるためには、最終の注湯流接種処理が大きな影響を及ぼすため、投入した接種剤が確実に溶湯と均一混合し、その効果を発揮する必要がある。この観点から、接種剤の粒径は、0.05〜5mmとすることが好ましい。
このようにして、得られる球状黒鉛鋳鉄は、レアアースを実質的に含有せず、質量比で、C:3.0〜4.5%、Si:3.0〜4.0%、Mn:0.2〜0.4%、S:0.006〜0.020%、Al:0.03%以下、Cu:0.08〜0.30%、Sn:0.020〜0.040%、Mg:0.015〜0.050%、Zn:0.01%以下含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなることが必要である。ここで、実質的に含有しないとは、意図的な添加は行わないが、不可避的不純物として0.001%以下の含有は許容されるという意味である。
Cの含有量は、3.0〜4.5%とすることが必要であり、3.2〜4.2%とすることが好ましい。3.0%未満では、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛量が不足し、チル化傾向が増大するうえに、溶湯の流動性が悪くなる。一方、4.5%を超えると、Cが過剰となり、キャッシュ黒鉛が出やすくなるため、鋳鉄材料自体が脆くなり、所定の強度を得ることができない。
Siの含有量は、3.0〜4.0%とすることが必要であり、3.2〜4.0%とすることが好ましい。3.0%未満では、球状黒鉛鋳鉄の溶湯の流動性が悪くなるばかりでなく、チル組織の増加し、基地組織にセメンタイトが析出しやすくなり、目的とする伸びを得ることができない。一方、4.0%を超えると、材料の均質性が悪くなるとともに、シリコフェライトが多くなり、脆化し、伸びが著しく低下する。
Mnは、パーライト化促進元素で、強度への影響は重要である。Mnの含有量は、0.2〜0.4%とすることが必要であり、0.25〜0.35%とすることが好ましい。0.2%未満では、微視組織中のパーライト量が減少し、フェライトが増加するため所定の強度が得られない。一方、0.4%を超えると、マトリックス中にセメンタイトやパーライトなどの組織が増加し、チルが生じやすくなり被削性に悪影響を及ぼす。
Sの含有量は、0.006〜0.020%とすることが必要であり、0.008〜0.014%とすることが好ましい。0.006%未満では、接種や球状化効果が抑制される。一方、0.020%を超えるとMgやCaと硫化物を作って、これらの元素を消耗させるため、球状化率や接種効果を低下してしまう。
CuとSnは、マトリックスを強化し、引張強度を向上させる目的で添加されるパーライト化元素であるが、黒鉛の球状化を阻害する元素でもある。また、Cuは、Snに比べて強度向上の効果はSnの約1/10といわれており、また、価格的には、CuがSnの1/10程度である。したがって、強度向上、伸びの減少、球状化率の減少、チル化傾向増大に対する添加効果と経済的な観点から、Cuの含有量は、0.08〜0.30%とすることが必要であり、0.10〜0.20%とすることが好ましい。同様に、Snの含有量は0.02〜0.040%とすることが必要であり、0.025〜0.035%とすることが好ましい。
Alは、脱酸剤として溶湯に添加されるほか、球状化剤や接種剤にもSiとともに必ず含まれている。Alは、脱酸および黒鉛化促進に効果があるが、一方で、球状化阻害元素でもあり、0.03%を超えると強度や靭性を低下させる。また、酸化物であるアルミナ(Al23)は非常に硬く、球状黒鉛中に介在物として存在するため、ハードスポットなどの内部欠陥の原因となることがある。このような場合には、切削工具の損傷や磨耗の原因となるため、生産性を大きく低下させることとなる。したがって、最終組成のAlの含有量は0.03%以下とする必要があるが、このためには、初期溶解時のAlの含有量をできるだけ低くするだけでなく、球状化剤や接種剤に含まれるAlを低濃度に管理することが好ましい。
Znは、鉄くず中のメッキ鋼板などの付着成分であるため、不純物として混入する場合がある。この含有量が0.01%を超えると、球状化率が低下し、引張強度および延性の低下やピンホールなどの鋳造欠陥の原因となることが多くなる。このため、Znの含有量は、0.01%以下とすることが必要である。
次に、本発明の製造方法により得られた球状黒鉛鋳鉄を、ブレーキキャリパなどの車両部品に適用する場合について説明する。本発明の製造方法により得られた球状黒鉛鋳鉄は、製品の肉厚や大きさを問わず適用することができるが、以下の説明では、一般的な乗用車または商用車を想定し、3〜40mm程度の肉厚の自動車用ブレーキキャリパに適用する場合を例に挙げて説明する。なお、自動車用ブレーキキャリパ部品に要求される強度レベルはその用途に応じて異なるが、本発明は、特にJIS FCD400−FCD500で規定されるキャリパに好適に用いることができる。
まず、上述した注湯接種処理後、得られた溶湯を鋳型(砂型)に鋳込む必要があるが、このときの鋳込温度は1300〜1450℃であることが好ましい。なお、フェーディング効果の影響を避けるため、球状化処理から鋳込みまでの時間を15分以下とすることが好ましく、12分以下と速やかに行うことがより好ましい。
鋳込み後、共析変態点以下になるまで十分冷却した後、型ばらしを行う。本発明により得られた自動車用ブレーキキャリパは、湯口や押し湯を除去した後、熱処理などを行わずに、鋳放しで使用することを前提としているが、この場合、寸法精度、組織および硬さなどを一定に保つ観点から、鋳込んでから型ばらしまでの時間を一定とする必要がある。
その後、穴あけや表面切削などの簡単な機械加工を実施する必要があるが、微視組織中の異常組織、特に、チル相の存在はその時の切削性に大きく影響する。また、切削面にアルミナなどの介在物が存在すると、これがハードスポットとなり、切削工具の破損の原因となる。
最終的に得られる本発明の球状黒鉛鋳鉄のマトリックスは、パーライトとフェライトの混合組織である。マトリックス(黒鉛部除去)に占めるパーライト率は、面積率で一般的には20〜60%である。また、その引張強度は450MPa以上、伸びは15%以上、球状化率は85%以上、ヤング率は170GPa以上、対数減衰率は1.0×10-3以上、製品肉厚を6mm以下の薄肉部とした場合であっても、チル相が存在せず、かつ、内部欠陥が存在しないことを特徴とする。なお、チル相が存在しないとは、表層付近の組織観察によりチル相の面積率が1%未満のことを意味する。また、内部欠陥が存在しないとは、製品の角部などを含む各断面部のマクロ検査で、直径(長径)1mm以上の引け巣などの空洞状欠陥、その他のピンホール、空孔などの孔状欠陥が存在しないという意味である。
以下、本発明の球状黒鉛鋳鉄を用いて、自動車用ブレーキキャリパに製造した実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されることはない。
本実施例の黒鉛化球状鋳鉄(実施例1〜15、比較例1〜14)は、原材料として鋳鉄のリターン材と熱延鋼板材を中心をとした鉄くずを使用した。このときのリターン材と鉄くずの比率は、概ね1:1であった。この原材料を、高周波溶解炉を用いて溶解した後、添加元素としてC、Si、Mn、S、CuおよびSnを適宜追加して、FCD450相当の成分、すなわち、溶湯の組成を、質量比で、C:3.0〜4.5%、Si:2.0〜3.0%、Mn:0.2〜0.4%、S:0.006〜0.020%、Cu:0.08〜0.30%、Sn:0.020〜0.040%、Al:0.03%以下、Zn:0.01%以下の範囲で、残部がFeおよび不可避的不純物となるように調整した。その後、出湯温度を1500〜1550℃にして取鍋に出湯した。
この際、取鍋の底のポケットに、注湯する溶湯に対して1.3%のFe−Si−Mg−Ca系球状化剤を載置し、その上部に注湯する溶湯に対して0.45%のFe−Si系カバー材を置き、サンドイッチ法で球状化処理を行い、その後除滓をした。処理後の溶湯を小型の取鍋に分湯する際に、置き注ぎ法で1次接種処理を行い、その後除滓をした。1次接種剤としては、通常使用されているFe―Si系合金のものを使用した。さらに、1次接種処理後の溶湯を砂型に鋳込む直前に、Fe−Si−Ca系接種を用い自動注入装置による注湯流接種処理を行い、球状黒鉛化鋳鉄(実施例1〜15、比較例1〜14)を得た。表1に実施例1〜15、比較例1〜14の注湯流接種後の最終成分と使用した球状化剤および接種剤を示す。また、表2に使用した球状化剤および注湯流接種剤の組成と投入量を示す。なお、表1および2では、不可避的不純物については省略してある。
得られた球状黒鉛化鋳鉄を、生砂よりなる鋳型に鋳込んだ後、共析変態点以下になるまで十分冷却し、型ばらしを行った。なお、いずれの実施例においても、球状化処理から鋳込みまでの時間は12分以内とした。その後ショットブラスト処理および湯口、堰、バリ取りなどの仕上げ処理を行った。
得られた自動車用ブレーキキャリパから引張試験片(全長60mm)を採取し、これを用いて、常温にて引張試験(JIS Z 2241)を行い、引張強度を評価するとともに、短冊状試験片を用いた自由振動法により剛性(ヤング率)および対数減衰率を測定した(JIS G 0602)。また、製品各部所から金属組織観察用試験片を採取し、球状化率、その他を測定した(JIS G 5502)。さらに、チル相の出やすい各薄肉部分からも試験片を採取し、表層付近の組織観察を実施し、チル相の存在の有無を確認した。さらに、製品中に存在する引け巣などの内部欠陥評価のため、外観検査、断面マクロ検査およびPT検査などを実施した。なお、チル相については、チル面積率が1%を超える場合に「有り」と評価し、1%未満は「無し」とした。内部欠陥は、マクロ断面検査で引け巣(空洞状欠陥)は1mmφ以上、その他のピンホール、空孔などの孔状欠陥は長円の長径が1mmφ以上の欠陥が、全く確認されなかった場合は「○」とした。1mmφ以上の欠陥が1個以上見つかった場合であって、最大欠陥が2mmφを超えている場合には「×」とした。なお、1mmφ以上の欠陥が1個以上見つかった場合であって、最大欠陥の大きさが1mmφ以上2mmφ以下の範囲にあった場合は特に「△」とし、他のより大きな欠陥が確認された場合と区別した。表3にこれらの評価の結果を示す。
実施例1〜9は溶解時の各成分、実施例10〜14は球状化条件(球状化剤の成分および投入量)、実施例15は注湯流接種条件(注湯流接種剤の成分および投入量)をそれぞれ本発明の範囲内で変化させている。比較例1〜5は少なくとも1以上の成分が本発明に規定する最終組成の範囲外にある場合、比較例6〜10は球状化条件、比較例11〜13は注湯流接種条件が本発明の範囲外にある場合である。比較例14は、レアアースおよびBa添加無しの球状化剤を使用した場合の例である。
表3に示すように本発明の条件を満たす実施例1およびZn量のみを変化させた実施例2は、引張強度、伸び、剛性、対数減衰率のいずれも目標値以上を達成している。また、内部欠陥は、目標値である1mmφ以上にあるものは1つも発見されず、本発明による効果が認められる。実施例3、4は溶湯中のS量が、実施例5、6はCu量が、実施例7、8はSn量が、実施例9はAl量が、それぞれ本発明の範囲内で変化しているが、引張強度、伸び、剛性、対数減衰率はいずれも目標値以上の値が得られており、薄肉部にもチル相はなく、さらに1mmφ以上の内部欠陥の発生もなく、キャリパ部品として優れた特性を示していることが確認される。実施例10〜14は球状化剤中のBa、Mg、Al量や投入量を変化させているが、いずれも1mmφ以上の内部欠陥の発生はなく、その他の特性も目標値を十分達成していることが確認される。また、実施例15は、注湯流接種剤のCa量と投入量が変化しているが、1mmφ以上の内部欠陥が存在しないとともに、引張強度、球状化率、チル化傾向のいずれも良好であり、キャリパ部品として問題がないことが確認される。なお、実施例1〜15では、球状化剤中のMg、AlおよびCa量を的確に調整したことにより、Baを添加したにもかかわらず、スラグ発生が十分に抑制され、従来の製造方法と比較して、スラグの発生量は同等程度であった。
一方、比較例1〜5は、溶湯成分の少なくとも1つ以上が本発明の範囲外になっているが、いずれも内部欠陥の発生や、引張強度などの特性が目標値に達していないことが確認される。比較例1は、溶湯中のS量が少なすぎたため、チル相が発生し、球状化率や伸びが不足している。比較例2は、溶湯に添加したCu量が多すぎたため、球状化率や引張強度が大幅に低下している。比較例3は、溶湯中のS量およびZn量が多すぎたため、内部欠陥、チル相が発生し、引張強度や球状化率も低下している。比較例4は、強度向上のために添加するCu量が少なすぎたため、引張強度が大幅に低下している。比較例5は、Al量が多すぎたため内部欠陥が発生し、球状化率が低下し、引張強度やヤング率も低下している。
比較例6と10は、球状化剤のBa量が本発明の範囲外になっている。比較例6は、球状化剤中のBa量が少なすぎたため、黒鉛化が進まず凝固時の収縮量が増大し、僅かながらではあるが、最大で1〜2mmφ程度の大きさの引け巣などの内部欠陥が発生しており、これに起因して伸びやヤング率が低下している。比較例10は、球状化剤中のBa量が多すぎたため、同様に、僅かながらではあるが、最大で1〜2mmφ程度の大きさの内部欠陥が発生しており、これに起因して引張強度や伸びが低下している。
比較例7は、球状化剤の投入量が多すぎたため、内部欠陥やチル相が発生し、伸びやヤング率も低下している。
比較例8、9は、球状化剤中のCa量、Mg量またはAl量の少なくとも1つ以上が本発明の範囲外になっている例である。どちらも、Ba添加によるスラグ生成量の増加を抑制することができなかったため、内部欠陥が発生したばかりでなく、チル化傾向が増大し、伸びも低下している。
比較例11〜13は、注湯流接種剤のCa量またはその投入量が本発明の範囲外の例である。比較例11は、注湯流接種剤中のCa量が多すぎたため、内部欠陥およびチル相が生成し、引張伸びや減衰率も低下している。比較例12は、注湯流接種剤の投入量が少なすぎたため、内部欠陥やチル相が発生し、球状化率や引張伸びが低下している。比較例13は、注湯流接種量が多すぎたため、内部欠陥が発生し、強度やヤング率が目標値に達していない。
比較例14は、溶解成分や接種条件は本発明の範囲内に調整されているが、球状化剤にBaが添加されていない例である。このため、内部欠陥に関しては、2mmφ以上のものは確認されないが、1mmφ以上、2mmφ未満の内部欠陥は数カ所で発生していることが確認される。なお、内部欠陥以外の特性は、ほぼ目標値に達している。
以上のように、本発明で規定する条件を満たさない場合、いずれかの特性に問題が生じることが確認される。

Claims (2)

  1. 実質的に希土類元素を含有しない球状黒鉛鋳鉄の製造方法であって、
    取鍋にて、質量比で、Mg:3.0〜6.0%、Ca:1.0〜2.0%、Ba:0.5〜3.5%、Al:0.3%以下含有し、実質的に希土類元素を含有しないFe−Si−Mg−Ca系合金の球状化剤を、溶湯に対する投入量を、質量比で、0.8〜2.0%として、球状化処理を行うとともに、
    Fe−Si系の1次接種剤を用いて1次接種処理を行い、
    その後、溶湯を鋳型に鋳込む前に、質量比で、Si:45〜75%、Ca:1.0〜3.0%含有するFe−Si−Ca系の注湯流接種剤を、溶湯に対する投入量を、質量比で、0.2〜0.4%として注湯流接種処理を行うことにより、
    得られる球状黒鉛鋳鉄の最終組成を、質量比で、C:3.0〜4.5%、Si:3.0〜4.0%、Mn:0.2〜0.4%、S:0.006〜0.020%、Cu:0.08〜0.30%、Sn:0.020〜0.040%、Mg:0.015〜0.050%、Al:0.03%以下、Zn:0.01%以下、残部がFeおよび不可避不純物とすることを特徴とする、球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  2. 請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄の製造方法によって得られる球状黒鉛鋳鉄を用いて、球状黒鉛化率が85%以上、引張強度が450MPa以上、伸びが15%以上、ヤング率170GPa以上、対数減衰率が1.0×10-3以上、製品肉厚が6mm以下の薄肉部のチル面積率が1%以下であって、各断面部のマクロ検査において、直径または長径が1mm以上の引け巣、ピンホール、空孔が存在しない球状黒鉛鋳鉄部材を製造することを特徴とする、球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法
JP2011282407A 2011-12-22 2011-12-22 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 Active JP5839465B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282407A JP5839465B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法
CN201280064121.1A CN104066854B (zh) 2011-12-22 2012-12-19 生产球墨铸铁的方法和由该球墨铸铁获得的球墨铸铁构件
PCT/JP2012/082962 WO2013094652A1 (ja) 2011-12-22 2012-12-19 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および該球状黒鉛鋳鉄を用いた球状黒鉛鋳鉄部材
US14/364,453 US9512498B2 (en) 2011-12-22 2012-12-19 Process for producing spheroidal-graphite cast iron, and spheroidal-graphite cast iron member obtained from said spheroidal-graphite cast iron
EP12860324.8A EP2796568B1 (en) 2011-12-22 2012-12-19 Process for producing spheroidal-graphite cast iron, and spheroidal-graphite cast iron member obtained from said spheroidal-graphite cast iron

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282407A JP5839465B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013133474A JP2013133474A (ja) 2013-07-08
JP2013133474A5 JP2013133474A5 (ja) 2014-11-06
JP5839465B2 true JP5839465B2 (ja) 2016-01-06

Family

ID=48668536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011282407A Active JP5839465B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9512498B2 (ja)
EP (1) EP2796568B1 (ja)
JP (1) JP5839465B2 (ja)
CN (1) CN104066854B (ja)
WO (1) WO2013094652A1 (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5839461B2 (ja) * 2011-10-07 2016-01-06 曙ブレーキ工業株式会社 球状黒鉛鋳鉄の製造方法、および、球状黒鉛鋳鉄を用いた車両用部品の製造方法
KR101708583B1 (ko) * 2013-09-06 2017-02-20 도시바 기카이 가부시키가이샤 구상 흑연 주철의 용탕의 구상화 처리 방법
CN104087820B (zh) * 2014-07-28 2016-07-06 于佩 高强度球墨铸铁电杆及其制备工艺
US9938611B2 (en) 2014-07-28 2018-04-10 Pei Yu High strength nodular cast iron pole and preparation technology thereof
CN104128564B (zh) * 2014-08-20 2016-02-10 侯马市晋烽机械铸造有限公司 一种铁型覆砂铸造球墨铸铁铰耳的铸造工艺
CN105316564B (zh) * 2015-06-08 2017-05-17 天津达祥精密工业有限公司 采用喂丝球化处理的高镍奥氏体球墨铸铁生产工艺
CN106244904A (zh) * 2016-07-14 2016-12-21 安徽樵森电气科技股份有限公司 一种耐腐蚀延长环
CN106319338B (zh) * 2016-08-31 2018-03-20 西安理工大学 一种自润滑滚动轴承及其制备方法
CN106756574A (zh) * 2016-12-05 2017-05-31 佛山新瑞科创金属材料有限公司 一种用于Fe‑Mn高阻尼合金提高其耐腐蚀性能的添加剂及其使用方法
CN108950370A (zh) * 2018-07-26 2018-12-07 含山县兴达球墨铸铁厂 一种耐磨耐低温的球墨铸铁
CN111621689A (zh) * 2020-04-16 2020-09-04 江苏力源金河铸造有限公司 一种消除球墨铸铁反白口现象的熔炼工艺方法
CN111607678B (zh) * 2020-07-01 2022-03-25 广西玉柴机器配件制造有限公司 球墨铸铁石墨形态改善的生产方法
CN113523205B (zh) * 2021-07-06 2023-10-13 武汉武重铸锻有限公司 一种球化孕育处理方法
CN114054683B (zh) * 2021-11-30 2023-06-02 山西汤荣机械制造股份有限公司 高强度耐磨灰铸铁制动鼓制备方法
CN114182055A (zh) * 2021-12-13 2022-03-15 东港市辽成机械有限公司 球墨铸铁件的生产方法及采用该方法制得的球墨铸铁件
CN114438273B (zh) * 2022-01-25 2024-03-08 苏州中央可锻有限公司 球化孕育复合剂及其制备方法和应用以及球墨铸铁的制备工艺
CN114592152B (zh) * 2022-03-14 2022-11-25 常熟市精工模具制造有限公司 珠光体球墨铸铁的制备方法及采用该方法制备的球墨铸铁
CN115041634B (zh) * 2022-03-27 2023-07-18 宁波拓铁机械有限公司 风电行星架铸件的铸造方法
CN115094182A (zh) * 2022-06-07 2022-09-23 聊城新泺机械有限公司 无缩孔缩松倾向球墨铸铁铁水的熔炼技术与应用

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5943844A (ja) * 1982-09-06 1984-03-12 Mazda Motor Corp 車両用デイフアレンシヤル部材
JPS61223116A (ja) * 1985-03-29 1986-10-03 Toshiba Corp 接種剤およびその製造方法
JPS61223166A (ja) 1985-03-29 1986-10-03 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度鋼
JPH06279917A (ja) 1993-03-26 1994-10-04 Hitachi Metals Ltd 球状黒鉛鋳鉄用接種剤
JP3858288B2 (ja) * 1994-10-26 2006-12-13 日立金属株式会社 薄肉球状黒鉛鋳鉄及びこれを用いた自動車用部品並びに薄肉球状黒鉛鋳鉄の製造方法
JPH08188812A (ja) * 1995-01-10 1996-07-23 Japan Trading Service:Kk 高強度ダクタイル鋳鉄の製造方法
JP3475607B2 (ja) 1995-10-27 2003-12-08 宇部興産株式会社 球状黒鉛鋳鉄のチャンキィ黒鉛晶出防止方法
JP3202639B2 (ja) 1997-02-25 2001-08-27 中小企業総合事業団 球状黒鉛鋳鉄の球状化処理方法
JPH10317093A (ja) 1997-05-19 1998-12-02 Toyota Motor Corp 高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
JP3797818B2 (ja) 1999-04-16 2006-07-19 大阪特殊合金株式会社 鋳鉄製造用黒鉛球状化合金
NL1014394C2 (nl) * 2000-02-16 2001-08-20 Corus Technology B V Werkwijze voor het vervaardigen van nodulair gietijzer, en gietstuk vervaardigd met deze werkwijze.
JP3798389B2 (ja) 2003-05-16 2006-07-19 株式会社木村鋳造所 鋳鉄用接種剤およびその鋳鉄用接種剤を用いた接種方法
JP4974591B2 (ja) 2005-12-07 2012-07-11 旭テック株式会社 黒鉛球状化剤およびこれを用いた球状黒鉛鋳鉄の製造方法
CN101775532B (zh) * 2009-12-29 2012-11-28 江苏一汽铸造股份有限公司 一种无稀土铁素体球铁及其制备方法
ES2362241B1 (es) 2010-12-27 2012-07-02 Frenos Iruña, S.A.L. Procedimiento de fabricación de piezas de fundición esferoidal.

Also Published As

Publication number Publication date
EP2796568A1 (en) 2014-10-29
JP2013133474A (ja) 2013-07-08
US9512498B2 (en) 2016-12-06
EP2796568B1 (en) 2019-04-03
EP2796568A4 (en) 2015-11-18
CN104066854A (zh) 2014-09-24
WO2013094652A1 (ja) 2013-06-27
US20140348694A1 (en) 2014-11-27
CN104066854B (zh) 2016-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5839465B2 (ja) 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法
JP5839461B2 (ja) 球状黒鉛鋳鉄の製造方法、および、球状黒鉛鋳鉄を用いた車両用部品の製造方法
JP5812832B2 (ja) 薄肉球状黒鉛鋳鉄部材およびその製造方法、並びに、車両用部品
JP4924422B2 (ja) 低炭素硫黄快削鋼
CN111945053B (zh) 复合变质处理高速钢轧辊制备方法
JP2009108409A (ja) 靭性に優れた鋳造用Al−Mg系アルミニウム合金及びそれからなる鋳造部材
JP2002146473A (ja) 切屑処理性および機械的特性に優れた機械構造用鋼
JP4280163B2 (ja) 低炭素鋼板、低炭素鋼鋳片およびその製造方法
WO2010029564A1 (en) Nodulizer for the production of spheroidal graphite iron
KR20220054862A (ko) 합금 구조용 스틸 및 그 제조방법
JP4527304B2 (ja) 高強度高靱性球状黒鉛鋳鉄
KR101024358B1 (ko) 구상 흑연 주철의 연속 주철 주조 방법
JP3964675B2 (ja) 非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄
JP2010149129A (ja) ダイカスト金型用ホルダー及びその製造方法
JP4565301B2 (ja) 高強度球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
JP2007327083A (ja) 球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
CN117385268B (zh) 一种铸态球墨铸铁及其制备方法
US10465258B2 (en) Grain refinement in iron-based materials
JP2006152444A (ja) 含Ti極低炭素鋼の溶製方法
JP2009001865A (ja) 球状黒鉛鋳鉄部材
JPS60169505A (ja) コンパクトバ−ミキユラ−黒鉛鋳鉄の製造方法
JP2003013132A (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP4162461B2 (ja) 球状黒鉛鋳鉄及び製造方法
JP2002194479A (ja) 球状黒鉛鋳鉄
AU2004211557A1 (en) Cast iron billet excelling in workability and process for producing the same

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140922

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151013

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5839465

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250