JPH10317093A - 高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 - Google Patents
高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法Info
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- JPH10317093A JPH10317093A JP12843997A JP12843997A JPH10317093A JP H10317093 A JPH10317093 A JP H10317093A JP 12843997 A JP12843997 A JP 12843997A JP 12843997 A JP12843997 A JP 12843997A JP H10317093 A JPH10317093 A JP H10317093A
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- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】靱性、ヤング率、0.2%耐力の向上の面で有
利な、特に低温における靱性の向上に有利な高剛性球状
黒鉛鋳鉄及びその製造方法を提供する。 【解決手段】この高剛性球状黒鉛鋳鉄は、重量比でC:
1.5〜3.0%、Si:2.0〜3.0%、Mn:
0.8%未満、P:0.04%未満、S:0.04%未
満、Mg:0.02〜0.06%、不可避の不純物、残
部実質的に鉄を基本組成とし、さらにBi:0.001
5〜0.02%、Ba:0.0015〜0.02%の1
種又は2種を、合計で0.02%を越えない範囲で含有
し、さらにCaを0.002〜0.04%含有する。こ
の成分により平均黒鉛粒径を微細にできる。またフェラ
イト化焼鈍により組織をフェライト化できる。
利な、特に低温における靱性の向上に有利な高剛性球状
黒鉛鋳鉄及びその製造方法を提供する。 【解決手段】この高剛性球状黒鉛鋳鉄は、重量比でC:
1.5〜3.0%、Si:2.0〜3.0%、Mn:
0.8%未満、P:0.04%未満、S:0.04%未
満、Mg:0.02〜0.06%、不可避の不純物、残
部実質的に鉄を基本組成とし、さらにBi:0.001
5〜0.02%、Ba:0.0015〜0.02%の1
種又は2種を、合計で0.02%を越えない範囲で含有
し、さらにCaを0.002〜0.04%含有する。こ
の成分により平均黒鉛粒径を微細にできる。またフェラ
イト化焼鈍により組織をフェライト化できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高剛性球状黒鉛鋳鉄
及びその製造方法に関する。
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、球状黒鉛鋳鉄のさらなる高剛性化
が要請されている。例えばサスペンションアーム用の球
状黒鉛鋳鉄では、要求特性は、従来、靱性(低温衝撃
値、伸び)といわれており、そのため基地組織をフェラ
イト化しつつ黒鉛粒径を小さくすることで、要求特性を
満足していた。従ってヤング率は、さほど高いものでは
なかった。
が要請されている。例えばサスペンションアーム用の球
状黒鉛鋳鉄では、要求特性は、従来、靱性(低温衝撃
値、伸び)といわれており、そのため基地組織をフェラ
イト化しつつ黒鉛粒径を小さくすることで、要求特性を
満足していた。従ってヤング率は、さほど高いものでは
なかった。
【0003】しかしながら、車両の一層の操縦安定性を
図る等のため、上記した要求特性に加えて、高ヤング率
化が要求されつつある。また軽量化等のため、0.2%
耐力のさらなる向上も要求されつつある。特開昭64−
246号公報には、重量比で、C:3.0〜4.0%、
Si:1.5〜2.3%、Mn:0.3%未満、P:
0.03%未満、Cr:0.10%未満、Mg:0.0
2〜0.06%の溶湯を用い、0.005〜0.03%
のBiを添加し、Biの添加と同時にまたは添加後に接
種を行い、黒鉛粒数を300個/mm2 以上とした球状
黒鉛鋳鉄が開示されている。
図る等のため、上記した要求特性に加えて、高ヤング率
化が要求されつつある。また軽量化等のため、0.2%
耐力のさらなる向上も要求されつつある。特開昭64−
246号公報には、重量比で、C:3.0〜4.0%、
Si:1.5〜2.3%、Mn:0.3%未満、P:
0.03%未満、Cr:0.10%未満、Mg:0.0
2〜0.06%の溶湯を用い、0.005〜0.03%
のBiを添加し、Biの添加と同時にまたは添加後に接
種を行い、黒鉛粒数を300個/mm2 以上とした球状
黒鉛鋳鉄が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に係る球状黒
鉛鋳鉄では、黒鉛を小さくしつつ黒鉛粒数を増加して靱
性(低温衝撃値、伸び)を向上させているものの、高靱
性化、高ヤング率化、0.2%耐力の向上の面では必ず
しも充分ではない。本発明は上記した実情に鑑みなされ
たものであり、高靱性化、高ヤング率化、0.2%耐力
の向上の面で有利な、特に低温における靱性の向上に有
利な高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法を提供するこ
とを課題とする。
鉛鋳鉄では、黒鉛を小さくしつつ黒鉛粒数を増加して靱
性(低温衝撃値、伸び)を向上させているものの、高靱
性化、高ヤング率化、0.2%耐力の向上の面では必ず
しも充分ではない。本発明は上記した実情に鑑みなされ
たものであり、高靱性化、高ヤング率化、0.2%耐力
の向上の面で有利な、特に低温における靱性の向上に有
利な高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法を提供するこ
とを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記した課題
のもとに鋭意開発を進め、そして重量比でC:1.5〜
3.0%、Si:2.0〜3.0%、Mn:0.8%未
満、P:0.04%未満、S:0.04%未満、Mg:
0.02〜0.06%、不可避の不純物、残部実質的に
鉄を基本組成とし、さらにBi:0.0015〜0.0
2%、Ba:0.0015〜0.02%の1種又は2種
を、合計で0.02%を越えない範囲で含有し、さらに
Caを0.002〜0.04%含有すれば、組織中の黒
鉛量を減少させ、靱性、高ヤング率、0.2%耐力の向
上を図り得る球状黒鉛鋳鉄が得られることを知見し、試
験で確認し、本発明に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄を完成し
た。
のもとに鋭意開発を進め、そして重量比でC:1.5〜
3.0%、Si:2.0〜3.0%、Mn:0.8%未
満、P:0.04%未満、S:0.04%未満、Mg:
0.02〜0.06%、不可避の不純物、残部実質的に
鉄を基本組成とし、さらにBi:0.0015〜0.0
2%、Ba:0.0015〜0.02%の1種又は2種
を、合計で0.02%を越えない範囲で含有し、さらに
Caを0.002〜0.04%含有すれば、組織中の黒
鉛量を減少させ、靱性、高ヤング率、0.2%耐力の向
上を図り得る球状黒鉛鋳鉄が得られることを知見し、試
験で確認し、本発明に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄を完成し
た。
【0006】また、上記した基本組成をもつ溶湯に所要
量のBi、Baを所要量のCaとともに添加することに
すれば、低温における高い衝撃値を確保でき、靱性、高
ヤング率、0.2%耐力をいずれも向上させ得る球状黒
鉛鋳鉄が得られることを知見し、試験で確認し、本発明
に係る製造方法を完成した。請求項1に係る高剛性球状
黒鉛鋳鉄は、重量比でC:1.5〜3.0%、Si:
2.0〜3.0%、Mn:0.8%未満、P:0.04
%未満、S:0.04%未満、Mg:0.02〜0.0
6%、不可避の不純物、残部実質的に鉄を基本組成と
し、さらにBi:0.0015〜0.02%、Ba:
0.0015〜0.02%の1種又は2種を、合計で
0.02%を越えない範囲で含有し、さらにCaを0.
002〜0.04%含有することを特徴とするものであ
る。
量のBi、Baを所要量のCaとともに添加することに
すれば、低温における高い衝撃値を確保でき、靱性、高
ヤング率、0.2%耐力をいずれも向上させ得る球状黒
鉛鋳鉄が得られることを知見し、試験で確認し、本発明
に係る製造方法を完成した。請求項1に係る高剛性球状
黒鉛鋳鉄は、重量比でC:1.5〜3.0%、Si:
2.0〜3.0%、Mn:0.8%未満、P:0.04
%未満、S:0.04%未満、Mg:0.02〜0.0
6%、不可避の不純物、残部実質的に鉄を基本組成と
し、さらにBi:0.0015〜0.02%、Ba:
0.0015〜0.02%の1種又は2種を、合計で
0.02%を越えない範囲で含有し、さらにCaを0.
002〜0.04%含有することを特徴とするものであ
る。
【0007】請求項2に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄は、請
求項1において、平均黒鉛粒径:30μm以下、黒鉛粒
数:300個/mm2 以上、黒鉛球状化率:80%以
上、黒鉛面積率:10%以下、パーライト面積率:5%
以下、ヤング率:180GPa以上、0.2%耐力:2
50MPa以上、衝撃値(Uノッチ付き、−30℃):
15J/cm2 以上であることを特徴とするものであ
る。
求項1において、平均黒鉛粒径:30μm以下、黒鉛粒
数:300個/mm2 以上、黒鉛球状化率:80%以
上、黒鉛面積率:10%以下、パーライト面積率:5%
以下、ヤング率:180GPa以上、0.2%耐力:2
50MPa以上、衝撃値(Uノッチ付き、−30℃):
15J/cm2 以上であることを特徴とするものであ
る。
【0008】請求項3に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄は、重
量比で、C:1.5〜3.0%、Si:2.0〜3.0
%、Mn:0.8%未満、P:0.04%未満、S:
0.04%未満、Mg:0.02〜0.06%の基本組
成の溶湯を用意し、溶湯に対する接種時または接種後
に、請求項1に係るBi、Ba含有量となるようにBi
及びBaの1種または2種を溶湯に添加すると共に、同
時に、請求項1に係るCa含有量となるようにCaを溶
湯に添加し、その後にフェライト化焼鈍を行ない高剛性
球状黒鉛鋳鉄を得ることを特徴とするものである。
量比で、C:1.5〜3.0%、Si:2.0〜3.0
%、Mn:0.8%未満、P:0.04%未満、S:
0.04%未満、Mg:0.02〜0.06%の基本組
成の溶湯を用意し、溶湯に対する接種時または接種後
に、請求項1に係るBi、Ba含有量となるようにBi
及びBaの1種または2種を溶湯に添加すると共に、同
時に、請求項1に係るCa含有量となるようにCaを溶
湯に添加し、その後にフェライト化焼鈍を行ない高剛性
球状黒鉛鋳鉄を得ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施形態】 以下、本発明に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄の組成の限定
理由について説明を加える。Cは、本発明に係る球状黒
鉛鋳鉄において重要な元素の一つである。1.5%未満
では、鋳造の際にチル(遊離セメンタイト)が発生しや
すくなる。3.0%を越えると、黒鉛量が増加し、充分
な疲労強度およびヤング率が得られない。そこでCを
1.5〜3.0%とした。
理由について説明を加える。Cは、本発明に係る球状黒
鉛鋳鉄において重要な元素の一つである。1.5%未満
では、鋳造の際にチル(遊離セメンタイト)が発生しや
すくなる。3.0%を越えると、黒鉛量が増加し、充分
な疲労強度およびヤング率が得られない。そこでCを
1.5〜3.0%とした。
【0010】Siは、フェライト中に固溶し、0.2%
耐力を向上させるのに重要な元素である。2.0%未満
では、充分な0.2%耐力が得られない。3.0%を越
えると、フェライトが脆化し、衝撃値(低温衝撃値)が
低下する。Mnは0.8%以上であると、球状黒鉛鋳鉄
におけるパーライトの残存量が増し、衝撃値(低温衝撃
値)を低下させる。
耐力を向上させるのに重要な元素である。2.0%未満
では、充分な0.2%耐力が得られない。3.0%を越
えると、フェライトが脆化し、衝撃値(低温衝撃値)が
低下する。Mnは0.8%以上であると、球状黒鉛鋳鉄
におけるパーライトの残存量が増し、衝撃値(低温衝撃
値)を低下させる。
【0011】Pは、不純物元素として混入し易く、0.
04%未満とする。0.04%以上であると、チルを生
じ易くなる。Sは、不純物元素として混入し易く、0.
04%未満とする。0.04%以上であると、Mgと化
合物を作るため、黒鉛球状化率が低下する傾向がある。
Mgは、黒鉛球状化剤として添加されるものである。
0.02%未満では、充分な球状化が得られず、0.0
6%を越えると、チルが生じ易くなる。
04%未満とする。0.04%以上であると、チルを生
じ易くなる。Sは、不純物元素として混入し易く、0.
04%未満とする。0.04%以上であると、Mgと化
合物を作るため、黒鉛球状化率が低下する傾向がある。
Mgは、黒鉛球状化剤として添加されるものである。
0.02%未満では、充分な球状化が得られず、0.0
6%を越えると、チルが生じ易くなる。
【0012】Biは、本発明において重要な元素の一つ
である。Biはその酸化物(Bi2O3 )を形成し、黒
鉛生成時の核となると考えられる。従ってBiは0.0
015〜0.02%とする。Biの添加により黒鉛粒数
が増加し、平均黒鉛粒径が小さくなり、低温衝撃値が向
上する。Biが0.02%を越えると、球状化阻害効果
が高まり、黒鉛球状化率が低下し易い。
である。Biはその酸化物(Bi2O3 )を形成し、黒
鉛生成時の核となると考えられる。従ってBiは0.0
015〜0.02%とする。Biの添加により黒鉛粒数
が増加し、平均黒鉛粒径が小さくなり、低温衝撃値が向
上する。Biが0.02%を越えると、球状化阻害効果
が高まり、黒鉛球状化率が低下し易い。
【0013】BaもBiと基本的には同様の効果を奏す
る。Bi及びBaの1種又は2種は、合計で0.02%
を越えない範囲で含有される。換言すれば、Bi及びB
aの1種又は2種は、合計で0.02%以下含有され
る。Bi及びBaの1種又は2種の合計が0.0015
%未満であると、黒鉛核の生成が不充分となり易く、黒
鉛の微細化も困難となり易い。またBi及びBaの1種
又は2種の合計が0.02%を越えると、球状化阻害効
果が高まり、黒鉛球状化率が低下する傾向となる。
る。Bi及びBaの1種又は2種は、合計で0.02%
を越えない範囲で含有される。換言すれば、Bi及びB
aの1種又は2種は、合計で0.02%以下含有され
る。Bi及びBaの1種又は2種の合計が0.0015
%未満であると、黒鉛核の生成が不充分となり易く、黒
鉛の微細化も困難となり易い。またBi及びBaの1種
又は2種の合計が0.02%を越えると、球状化阻害効
果が高まり、黒鉛球状化率が低下する傾向となる。
【0014】Caは、本発明に係る球状黒鉛鋳鉄におい
て重要な元素の一つである。上記Bi及びBaの1種又
は2種の添加と同時にCaを添加することにより、Ca
はその酸化物が黒鉛核形成の触媒の役割を果たすと考え
られる。故に、適切量のCaにより、黒鉛粒数を促進す
ることが可能である。Caは0.002%未満では、そ
の効果が充分でなく、0.04%超えると、炭化物を形
成し易く、球状黒鉛鋳鉄の被削性を悪化させる。
て重要な元素の一つである。上記Bi及びBaの1種又
は2種の添加と同時にCaを添加することにより、Ca
はその酸化物が黒鉛核形成の触媒の役割を果たすと考え
られる。故に、適切量のCaにより、黒鉛粒数を促進す
ることが可能である。Caは0.002%未満では、そ
の効果が充分でなく、0.04%超えると、炭化物を形
成し易く、球状黒鉛鋳鉄の被削性を悪化させる。
【0015】本発明に係る球状黒鉛鋳鉄では、基地は
フェライト単独組織、或いは、一部パーライトが混合し
ているフェライト組織となるのが一般的である。 更に本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の黒鉛としては、次の
形態が好ましい。平均黒鉛粒径は30μm以下が好まし
い。平均黒鉛粒径が30μmを超えると、粗大な黒鉛を
起点とし、亀裂が進展し易くなるため、球状黒鉛鋳鉄の
衝撃値、特に低温における衝撃値が低下する。平均黒鉛
粒径は統計的に求めた。
フェライト単独組織、或いは、一部パーライトが混合し
ているフェライト組織となるのが一般的である。 更に本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の黒鉛としては、次の
形態が好ましい。平均黒鉛粒径は30μm以下が好まし
い。平均黒鉛粒径が30μmを超えると、粗大な黒鉛を
起点とし、亀裂が進展し易くなるため、球状黒鉛鋳鉄の
衝撃値、特に低温における衝撃値が低下する。平均黒鉛
粒径は統計的に求めた。
【0016】なお平均黒鉛粒径は、分布グラフに基づき
具体的には次のように求めた。 平均値M=〔ΣNi・Di3 (i=P0 〜Pl )〕/
〔ΣNi・Di2 (i=P0 〜Pl )〕 ここでNiは条件内での粒子数、P0 は最初の分級点、
Pl は最後の分級点、Diは条件内での測定データを示
す。
具体的には次のように求めた。 平均値M=〔ΣNi・Di3 (i=P0 〜Pl )〕/
〔ΣNi・Di2 (i=P0 〜Pl )〕 ここでNiは条件内での粒子数、P0 は最初の分級点、
Pl は最後の分級点、Diは条件内での測定データを示
す。
【0017】単位面積あたりにおける黒鉛粒数は300
個/mm2 以上が好ましい。黒鉛が細かくその粒数が多
いほど、衝撃時における亀裂の進展を抑止する効果が高
まり、衝撃エネルギが増加する。黒鉛粒数が300個/
mm2 未満であると、その効果が充分でない。黒鉛球状
化率は80%以上が好ましい。黒鉛球状化率が、80%
未満であると、球状黒鉛鋳鉄のヤング率、疲労強度、靱
性がいずれも低下する。黒鉛球状化率は日本鋳物協会法
(NIK法)に基づいた。
個/mm2 以上が好ましい。黒鉛が細かくその粒数が多
いほど、衝撃時における亀裂の進展を抑止する効果が高
まり、衝撃エネルギが増加する。黒鉛粒数が300個/
mm2 未満であると、その効果が充分でない。黒鉛球状
化率は80%以上が好ましい。黒鉛球状化率が、80%
未満であると、球状黒鉛鋳鉄のヤング率、疲労強度、靱
性がいずれも低下する。黒鉛球状化率は日本鋳物協会法
(NIK法)に基づいた。
【0018】黒鉛面積率は10%以下が好ましい。黒鉛
量が少ないほど、球状黒鉛鋳鉄のヤング率は向上する。
黒鉛面積率が10%を越えると、球状黒鉛鋳鉄のヤング
率が充分向上できない。黒鉛面積率は2値化して画像処
理により求めた。 本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の代表例の組成は、後述す
る表1に示されている。各請求項に係る高剛性球状黒鉛
鋳鉄における各成分の上限値及び下限値は、表1に記載
されている数字、或いは、表1に記載されている数字間
の組成領域で規定できることは勿論である。
量が少ないほど、球状黒鉛鋳鉄のヤング率は向上する。
黒鉛面積率が10%を越えると、球状黒鉛鋳鉄のヤング
率が充分向上できない。黒鉛面積率は2値化して画像処
理により求めた。 本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の代表例の組成は、後述す
る表1に示されている。各請求項に係る高剛性球状黒鉛
鋳鉄における各成分の上限値及び下限値は、表1に記載
されている数字、或いは、表1に記載されている数字間
の組成領域で規定できることは勿論である。
【0019】本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の代表例の特性
は、後述する表2に示されている。各請求項に係る高剛
性球状黒鉛鋳鉄における各特性の上限値及び下限値は、
表2に記載されている数字、或いは、表2に記載されて
いる数字間の領域で規定できることは勿論である。 本発明に係る球状黒鉛鋳鉄は、鋳造したまま、つまり
鋳放し状態で用いることもできる。但し、本発明に係る
球状黒鉛鋳鉄ではC量を少なくしているため、鋳放し状
態では、パーライト面積率が大きくなり易い。そこで本
発明方法では、球状黒鉛鋳鉄に対して熱処理としてフェ
ライト化焼鈍を行う。一般的にはフェライト化焼鈍の加
熱温度は670〜730°Cにできる。フェライト化焼
鈍の加熱温度は球状黒鉛鋳鉄の体積にもよるが、一般的
には4〜8時間にできるが、これに限定されるものでは
ない。フェライト化焼鈍により組織のフェライト化を促
進し、パーライト面積率を5%以下とする。パーライト
面積率は0%でも良い。
は、後述する表2に示されている。各請求項に係る高剛
性球状黒鉛鋳鉄における各特性の上限値及び下限値は、
表2に記載されている数字、或いは、表2に記載されて
いる数字間の領域で規定できることは勿論である。 本発明に係る球状黒鉛鋳鉄は、鋳造したまま、つまり
鋳放し状態で用いることもできる。但し、本発明に係る
球状黒鉛鋳鉄ではC量を少なくしているため、鋳放し状
態では、パーライト面積率が大きくなり易い。そこで本
発明方法では、球状黒鉛鋳鉄に対して熱処理としてフェ
ライト化焼鈍を行う。一般的にはフェライト化焼鈍の加
熱温度は670〜730°Cにできる。フェライト化焼
鈍の加熱温度は球状黒鉛鋳鉄の体積にもよるが、一般的
には4〜8時間にできるが、これに限定されるものでは
ない。フェライト化焼鈍により組織のフェライト化を促
進し、パーライト面積率を5%以下とする。パーライト
面積率は0%でも良い。
【0020】パーライト面積率が5%を超えると、球状
黒鉛鋳鉄の強度は向上するが、衝撃値、特に低温衝撃値
が低下し易い。 本発明方法では、溶湯に接種処理が実行される。接種
処理は、一般的には、Fe−Si系の接種剤を溶湯に添
加して行う。接種と同時にまたは接種後に、Bi及びB
aの1種または2種、Caを溶湯に添加する。
黒鉛鋳鉄の強度は向上するが、衝撃値、特に低温衝撃値
が低下し易い。 本発明方法では、溶湯に接種処理が実行される。接種
処理は、一般的には、Fe−Si系の接種剤を溶湯に添
加して行う。接種と同時にまたは接種後に、Bi及びB
aの1種または2種、Caを溶湯に添加する。
【0021】溶湯に対するBi及びBaの1種または2
種、Caの添加は、なるべく、鋳型に溶湯を注湯する直
前に行うことが好ましい。フェーディング防止のためで
ある。場合によっては、ノロ滓などの除去性が確保され
れば、鋳型内で添加することもできる。Bi及びBaの
1種または2種に対してCaを同時添加すると、微細の
黒鉛を増加させるのに有利である。前述したようにCa
が黒鉛核生成の触媒の役割を果たすと考えられる。
種、Caの添加は、なるべく、鋳型に溶湯を注湯する直
前に行うことが好ましい。フェーディング防止のためで
ある。場合によっては、ノロ滓などの除去性が確保され
れば、鋳型内で添加することもできる。Bi及びBaの
1種または2種に対してCaを同時添加すると、微細の
黒鉛を増加させるのに有利である。前述したようにCa
が黒鉛核生成の触媒の役割を果たすと考えられる。
【0022】
【実施例】本発明に係る実施例を説明する。図1に製造
方法を模式的に示す。図1から理解できるように、所定
の組成となるように配合した溶解材を高周波誘導式の溶
解炉1(約50kg)で溶解し、溶湯2を形成した。溶
解炉1の溶湯2をトリベ3に移す。このときMg系球状
化剤を溶湯重量に対して1.0%添加すると共に、Fe
−Si系の1次接種剤を溶湯重量に対して0.5%添加
した。なお溶解炉1からの出湯温度は約1550〜16
50°Cとした。
方法を模式的に示す。図1から理解できるように、所定
の組成となるように配合した溶解材を高周波誘導式の溶
解炉1(約50kg)で溶解し、溶湯2を形成した。溶
解炉1の溶湯2をトリベ3に移す。このときMg系球状
化剤を溶湯重量に対して1.0%添加すると共に、Fe
−Si系の1次接種剤を溶湯重量に対して0.5%添加
した。なお溶解炉1からの出湯温度は約1550〜16
50°Cとした。
【0023】Mg系球状化剤の基本組成はFe−45%
Si−10%Mgである。1次接種剤の基本組成はFe
−75%Siである。添加方式としては置き注ぎとし
た。球状化処理した後のトリベ3の溶湯2を、鋳型4
(C02 鋳型)の成形キャビティ4aに注湯した。注湯
の際に、Fe−Si系の粉粒状(平均粒径:3〜7m
m)の2次接種剤を溶湯2に添加した。鋳型4への注湯
温度は約1350〜1450°Cとした。2次接種剤の
基本組成はSiが20〜75%、Caが5〜40%、B
iが5〜20%、Baが5〜20%、残部実質的にFe
である。このように2次接種剤はBi、Baの他にCa
を含むため、Bi、Ba、Caは溶湯2に同時添加され
る。
Si−10%Mgである。1次接種剤の基本組成はFe
−75%Siである。添加方式としては置き注ぎとし
た。球状化処理した後のトリベ3の溶湯2を、鋳型4
(C02 鋳型)の成形キャビティ4aに注湯した。注湯
の際に、Fe−Si系の粉粒状(平均粒径:3〜7m
m)の2次接種剤を溶湯2に添加した。鋳型4への注湯
温度は約1350〜1450°Cとした。2次接種剤の
基本組成はSiが20〜75%、Caが5〜40%、B
iが5〜20%、Baが5〜20%、残部実質的にFe
である。このように2次接種剤はBi、Baの他にCa
を含むため、Bi、Ba、Caは溶湯2に同時添加され
る。
【0024】鋳型4への注湯が終了した後、所定時間放
置して溶湯2を凝固させる。その後、鋳型4をばらして
鋳造品(直径30mm×長さ300mm)を取り出し
た。注湯終了時からの放置時間は、30分間以上とし
た。その後、鋳造品5を熱処理炉6に装入し、大気雰囲
気においてフェライト化熱処理を実行した。即ち、鋳造
品5を目標温度920°Cにて2時間恒温保持した。そ
の後、目標温度680°Cにて6時間保持した。更に4
00°Cまで炉冷し、その後、熱処理炉6から鋳造品5
を取出し、放冷した。
置して溶湯2を凝固させる。その後、鋳型4をばらして
鋳造品(直径30mm×長さ300mm)を取り出し
た。注湯終了時からの放置時間は、30分間以上とし
た。その後、鋳造品5を熱処理炉6に装入し、大気雰囲
気においてフェライト化熱処理を実行した。即ち、鋳造
品5を目標温度920°Cにて2時間恒温保持した。そ
の後、目標温度680°Cにて6時間保持した。更に4
00°Cまで炉冷し、その後、熱処理炉6から鋳造品5
を取出し、放冷した。
【0025】表1は、発明材No.1〜No.9の組成
(分析値)を示す。表2は、発明材No.1〜No.9
の黒鉛と組織に関する特性値を示す。
(分析値)を示す。表2は、発明材No.1〜No.9
の黒鉛と組織に関する特性値を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】 同様に、比較材(No.A1、No.A2)についても
製造し、各特性を測定した。表3は、比較材(No.A
1、No.A2)の組成(分析値)を示す。表4は、比
較材(No.A1、No.A2)の黒鉛及び組織に関す
る特性値を示す。比較材No.A1はフェライト化焼鈍
されている。比較材No.A2は鋳放しのままである。
製造し、各特性を測定した。表3は、比較材(No.A
1、No.A2)の組成(分析値)を示す。表4は、比
較材(No.A1、No.A2)の黒鉛及び組織に関す
る特性値を示す。比較材No.A1はフェライト化焼鈍
されている。比較材No.A2は鋳放しのままである。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】 図2〜図4は、金属組織の顕微鏡写真(倍率:100
倍、ナイタールエッチング)を示す。図2は比較材N
o.A1を示す。図3は比較材No.A2を示す。図4
は発明材No.2を示す。
倍、ナイタールエッチング)を示す。図2は比較材N
o.A1を示す。図3は比較材No.A2を示す。図4
は発明材No.2を示す。
【0030】図2から理解できるように、比較材No.
A1では、比較的大きめの球状黒鉛がフェライト組織に
分散している。図3から理解できるように、比較材N
o.A2では、比較的大きめの球状黒鉛がフェライト・
パーライト混合組織に分散している。図4から理解でき
るように、発明材No.2では、非常に細かい球状黒鉛
がフェライト組織に分散している。
A1では、比較的大きめの球状黒鉛がフェライト組織に
分散している。図3から理解できるように、比較材N
o.A2では、比較的大きめの球状黒鉛がフェライト・
パーライト混合組織に分散している。図4から理解でき
るように、発明材No.2では、非常に細かい球状黒鉛
がフェライト組織に分散している。
【0031】上記した発明材(No.1〜No.9)及
び比較材(No.A1、No.A2)について、ヤング
率、0.2%耐力、衝撃値をそれぞれ測定した。ヤング
率は、測定誤差が小さいとされている超音波法に基づい
て求めた。この場合、試験片の温度は常温とした。超音
波法は、試験片を伝搬する弾性波の音速によりヤング率
を求める方法である(JIS−Z2280)。
び比較材(No.A1、No.A2)について、ヤング
率、0.2%耐力、衝撃値をそれぞれ測定した。ヤング
率は、測定誤差が小さいとされている超音波法に基づい
て求めた。この場合、試験片の温度は常温とした。超音
波法は、試験片を伝搬する弾性波の音速によりヤング率
を求める方法である(JIS−Z2280)。
【0032】0.2%耐力は、引張試験法(JIS−Z
2241)に基づいて求めた。この場合、試験片の温度
は常温とした。衝撃値はシャルピー試験(JIS−Z2
242、3号試験片)に基づいて求めた。この場合、試
験片の温度は約−30°Cとした。発明材(No.1〜
No.9)及び比較材(No.A1、No.A2)につ
いての試験結果を、図5〜図7に示す。図5はヤング率
(GPa)の試験結果を示す。図6は0.2%耐力(M
Pa)の試験結果を示す。図7は衝撃値(−30°C、
J/cm2 )の試験結果を示す。
2241)に基づいて求めた。この場合、試験片の温度
は常温とした。衝撃値はシャルピー試験(JIS−Z2
242、3号試験片)に基づいて求めた。この場合、試
験片の温度は約−30°Cとした。発明材(No.1〜
No.9)及び比較材(No.A1、No.A2)につ
いての試験結果を、図5〜図7に示す。図5はヤング率
(GPa)の試験結果を示す。図6は0.2%耐力(M
Pa)の試験結果を示す。図7は衝撃値(−30°C、
J/cm2 )の試験結果を示す。
【0033】図5から理解できるように、組織がフェラ
イト系の比較材No.A1は、ヤング率が低い。また、
組織がフェライト・パーライトの混合組織である比較材
No.A2も、ヤング率が比較例No.A1よりは高い
ものの、まだ低い。これに対して、表2から理解できる
ように発明材No.1〜No.9は、パーライト面積率
が小さくてフェライトの割合が多いにもかかららず、図
5から理解できるようにヤング率が比較材(No.A
1、No.A2)よりも高い。これは、本発明材ではC
量を少なくして組織中の黒鉛を減少させると共に、黒鉛
の微細化を図っているためと考えられる。
イト系の比較材No.A1は、ヤング率が低い。また、
組織がフェライト・パーライトの混合組織である比較材
No.A2も、ヤング率が比較例No.A1よりは高い
ものの、まだ低い。これに対して、表2から理解できる
ように発明材No.1〜No.9は、パーライト面積率
が小さくてフェライトの割合が多いにもかかららず、図
5から理解できるようにヤング率が比較材(No.A
1、No.A2)よりも高い。これは、本発明材ではC
量を少なくして組織中の黒鉛を減少させると共に、黒鉛
の微細化を図っているためと考えられる。
【0034】表3に示すように、比較材No.A1はパ
ーライト面積が0%でありフェライト面積率が高く、ま
た、比較材No.A2はパーライト面積率が35%と高
い。このようにパーライト面積率が低い比較材No.A
1は、図6から理解できるように、0.2%耐力が低
い。またパーライト面積率が高い比較材No.A2は、
0.2%耐力が大きい。
ーライト面積が0%でありフェライト面積率が高く、ま
た、比較材No.A2はパーライト面積率が35%と高
い。このようにパーライト面積率が低い比較材No.A
1は、図6から理解できるように、0.2%耐力が低
い。またパーライト面積率が高い比較材No.A2は、
0.2%耐力が大きい。
【0035】これに対して、表1から理解できるように
発明材No.1〜No.9はパーライト面積率が5%未
満と少ないにもかかわらず、図6から理解できるよう
に、パーライト面積率が35%と高い比較材No.A2
と実質的に同等の0.2%耐力を示す。発明材No.1
〜No.9においてこのような効果が得られるのは、黒
鉛量の減少とフェライト中へのSiの固溶強化のためと
考えられる。
発明材No.1〜No.9はパーライト面積率が5%未
満と少ないにもかかわらず、図6から理解できるよう
に、パーライト面積率が35%と高い比較材No.A2
と実質的に同等の0.2%耐力を示す。発明材No.1
〜No.9においてこのような効果が得られるのは、黒
鉛量の減少とフェライト中へのSiの固溶強化のためと
考えられる。
【0036】パーライト面積が0%でありフェライト面
積率が高い比較材No.A1では、図7から理解できる
ように衝撃値が比較的高い。また、パーライト面積率が
35%と高い比較材No.A2では、図7から理解でき
るように衝撃値が低い。これに対して、図7から理解で
きるように、本発明材のNo.1〜No.9は、比較材
No.A2よりも衝撃値が高いことは勿論のこと、比較
材No.A1に比較しても、衝撃値がかなり高い値か、
匹敵する値を示す。これは、黒鉛量の減少による有効断
面積の増加とBi、Ba、Caの黒鉛微細化効果による
ものと考えられる。
積率が高い比較材No.A1では、図7から理解できる
ように衝撃値が比較的高い。また、パーライト面積率が
35%と高い比較材No.A2では、図7から理解でき
るように衝撃値が低い。これに対して、図7から理解で
きるように、本発明材のNo.1〜No.9は、比較材
No.A2よりも衝撃値が高いことは勿論のこと、比較
材No.A1に比較しても、衝撃値がかなり高い値か、
匹敵する値を示す。これは、黒鉛量の減少による有効断
面積の増加とBi、Ba、Caの黒鉛微細化効果による
ものと考えられる。
【0037】
【発明の効果】請求項1、2に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄
によれば、靱性、ヤング率、0.2%耐力の向上の面で
有利である。殊にCを低減しているため、高ヤング率化
に有利である。従って請求項1、2に係る高剛性球状黒
鉛鋳鉄を車両のサスペンションアーム等の強度部品に適
用した場合には、サスペンションアーム等の強度部品の
靱性を高めつつ高剛性化を図り得、車両の操縦安定性等
に貢献できる。
によれば、靱性、ヤング率、0.2%耐力の向上の面で
有利である。殊にCを低減しているため、高ヤング率化
に有利である。従って請求項1、2に係る高剛性球状黒
鉛鋳鉄を車両のサスペンションアーム等の強度部品に適
用した場合には、サスペンションアーム等の強度部品の
靱性を高めつつ高剛性化を図り得、車両の操縦安定性等
に貢献できる。
【0038】請求項1、2に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄に
よれば、靱性、ヤング率の他に、0.2%耐力も向上す
るため、疲労強度が向上し、軽量化にも有利である。請
求項1、2に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄によれば、衝撃
値、特に低温における衝撃値が向上するため、球状黒鉛
鋳鉄で製造した強度部品の信頼性の向上に有利である。
よれば、靱性、ヤング率の他に、0.2%耐力も向上す
るため、疲労強度が向上し、軽量化にも有利である。請
求項1、2に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄によれば、衝撃
値、特に低温における衝撃値が向上するため、球状黒鉛
鋳鉄で製造した強度部品の信頼性の向上に有利である。
【0039】請求項1、2に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄
は、サスペンションアーム以外の部品にも適用できるこ
とは、勿論である。請求項3に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄
の製造方法によれば、平均黒鉛粒径を微細にするのに有
利である。Biがその酸化物(Bi2 O3 )を形成し、
黒鉛生成時の核生成が誘発されるためと推察される。B
aも基本的には同様の作用効果を奏するものと推察され
る。従って球状黒鉛鋳鉄の衝撃値、特に低温衝撃値の向
上に有利である。更に、BiとBaとの合計が0.02
%を越えないため、黒鉛化阻害作用が抑制され、黒鉛球
状化率が確保される。
は、サスペンションアーム以外の部品にも適用できるこ
とは、勿論である。請求項3に係る高剛性球状黒鉛鋳鉄
の製造方法によれば、平均黒鉛粒径を微細にするのに有
利である。Biがその酸化物(Bi2 O3 )を形成し、
黒鉛生成時の核生成が誘発されるためと推察される。B
aも基本的には同様の作用効果を奏するものと推察され
る。従って球状黒鉛鋳鉄の衝撃値、特に低温衝撃値の向
上に有利である。更に、BiとBaとの合計が0.02
%を越えないため、黒鉛化阻害作用が抑制され、黒鉛球
状化率が確保される。
【0040】請求項3に係る製造方法によれば、Bi、
Ba添加と同時にCaを添加するため、黒鉛粒数の増加
が促進される。Caは酸化物が黒鉛核形成の触媒の役割
を奏するためと考えられる。
Ba添加と同時にCaを添加するため、黒鉛粒数の増加
が促進される。Caは酸化物が黒鉛核形成の触媒の役割
を奏するためと考えられる。
【図1】製造過程を模式的に示す構成図である。
【図2】比較材の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図3】別の比較材の金属組織を示す顕微鏡写真であ
る。
る。
【図4】発明材の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図5】ヤング率の試験結果を示すグラフである。
【図6】0.2%耐力の試験結果を示すグラフである。
【図7】衝撃値の試験結果を示すグラフである。
図中、1は溶解炉、2は溶湯、4は鋳型を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
Claims (3)
- 【請求項1】重量比でC:1.5〜3.0%、Si:
2.0〜3.0%、Mn:0.8%未満、P:0.04
%未満、S:0.04%未満、Mg:0.02〜0.0
6%、不可避の不純物、残部実質的に鉄を基本組成と
し、さらにBi:0.0015〜0.02%、Ba:
0.0015〜0.02%の1種又は2種を、合計で
0.02%を越えない範囲で含有し、 さらにCaを0.002〜0.04%含有することを特
徴とする高剛性球状黒鉛鋳鉄。 - 【請求項2】請求項1において、平均黒鉛粒径:30μ
m以下、黒鉛粒数:300個/mm2 以上、黒鉛球状化
率:80%以上、黒鉛面積率:10%以下、パーライト
面積率:5%以下、ヤング率:180GPa以上、0.
2%耐力:250MPa以上、衝撃値(Uノッチ付き、
−30℃):15J/cm2 以上であることを特徴とす
る高剛性球状黒鉛鋳鉄。 - 【請求項3】重量比で、C:1.5〜3.0%、Si:
2.0〜3.0%、Mn:0.8%未満、P:0.04
%未満、S:0.04%未満、Mg:0.02〜0.0
6%の基本組成の溶湯を用意し、 前記溶湯に対する接種時または接種後に、請求項1に係
るBi、Ba含有量となるようにBi及びBaの1種ま
たは2種を前記溶湯に添加すると共に、 同時に、請求項1に係るCa含有量となるようにCaを
前記溶湯に添加し、 その後にフェライト化焼鈍を行ない高剛性球状黒鉛鋳鉄
を得る高剛性球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12843997A JPH10317093A (ja) | 1997-05-19 | 1997-05-19 | 高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12843997A JPH10317093A (ja) | 1997-05-19 | 1997-05-19 | 高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10317093A true JPH10317093A (ja) | 1998-12-02 |
Family
ID=14984771
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12843997A Pending JPH10317093A (ja) | 1997-05-19 | 1997-05-19 | 高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10317093A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013094652A1 (ja) | 2011-12-22 | 2013-06-27 | 曙ブレーキ工業株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および該球状黒鉛鋳鉄を用いた球状黒鉛鋳鉄部材 |
WO2013125464A1 (ja) * | 2012-02-24 | 2013-08-29 | 株式会社リケン | 高剛性球状黒鉛鋳鉄 |
JP2014028987A (ja) * | 2012-07-31 | 2014-02-13 | Hinode Ltd | 鋳造用鉄合金及びその製造方法 |
JP5506973B1 (ja) * | 2013-03-29 | 2014-05-28 | 日立造船株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄およびその製造方法 |
JP5952455B1 (ja) * | 2015-03-30 | 2016-07-13 | 株式会社リケン | 高剛性球状黒鉛鋳鉄 |
WO2017164382A1 (ja) * | 2016-03-24 | 2017-09-28 | 日立金属株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄、それからなる鋳造物品及び自動車用構造部品、並びに球状黒鉛鋳鉄からなる鋳造物品の製造方法 |
CN114411049A (zh) * | 2021-12-29 | 2022-04-29 | 天润工业技术股份有限公司 | 一种低成本、高强度的铁素体球墨铸铁及其制备方法与应用 |
CN115537643A (zh) * | 2022-10-18 | 2022-12-30 | 山东湖西王集团铸业有限公司 | 铸态下稳定生产低温冲击球墨铸铁的制备方法及系统 |
-
1997
- 1997-05-19 JP JP12843997A patent/JPH10317093A/ja active Pending
Cited By (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2013094652A1 (ja) | 2011-12-22 | 2013-06-27 | 曙ブレーキ工業株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄の製造方法および該球状黒鉛鋳鉄を用いた球状黒鉛鋳鉄部材 |
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JP2013173969A (ja) * | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Riken Corp | 高剛性球状黒鉛鋳鉄 |
US9834831B2 (en) | 2012-02-24 | 2017-12-05 | Kabushiki Kaisha Riken | High rigid spheroidal graphite cast iron |
JP2014028987A (ja) * | 2012-07-31 | 2014-02-13 | Hinode Ltd | 鋳造用鉄合金及びその製造方法 |
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WO2016157574A1 (ja) * | 2015-03-30 | 2016-10-06 | 株式会社リケン | 高剛性球状黒鉛鋳鉄 |
CN107406928A (zh) * | 2015-03-30 | 2017-11-28 | 株式会社理研 | 高刚性球墨铸铁 |
WO2017164382A1 (ja) * | 2016-03-24 | 2017-09-28 | 日立金属株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄、それからなる鋳造物品及び自動車用構造部品、並びに球状黒鉛鋳鉄からなる鋳造物品の製造方法 |
JPWO2017164382A1 (ja) * | 2016-03-24 | 2019-02-07 | 日立金属株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄、それからなる鋳造物品及び自動車用構造部品、並びに球状黒鉛鋳鉄からなる鋳造物品の製造方法 |
EP3434799A4 (en) * | 2016-03-24 | 2019-08-07 | Hitachi Metals, Ltd. | SPHEROIDAL GRAPHITE CAST IRON, CASTING ARTICLE AND AUTOMOBILE STRUCTURAL COMPONENT COMPRISING SAME, AND METHOD FOR MANUFACTURING MOLDED ARTICLE COMPRISING SPHEREOIDAL GRAPHITE CAST IRON |
CN109072364A (zh) * | 2016-03-24 | 2018-12-21 | 日立金属株式会社 | 球墨铸铁、由其制成的铸造物品和汽车结构部件以及用于制备球墨铸铁制品的方法 |
CN109072364B (zh) * | 2016-03-24 | 2021-03-09 | 日立金属株式会社 | 用于制备球墨铸铁制品的方法 |
CN114411049A (zh) * | 2021-12-29 | 2022-04-29 | 天润工业技术股份有限公司 | 一种低成本、高强度的铁素体球墨铸铁及其制备方法与应用 |
CN114411049B (zh) * | 2021-12-29 | 2022-12-02 | 天润工业技术股份有限公司 | 一种低成本、高强度的铁素体球墨铸铁及其制备方法与应用 |
CN115537643A (zh) * | 2022-10-18 | 2022-12-30 | 山东湖西王集团铸业有限公司 | 铸态下稳定生产低温冲击球墨铸铁的制备方法及系统 |
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