JP3730044B2 - 車両用ブレーキディスク材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、CV(コンパクト・バーミキュラ)黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディスク材に関するもので、詳しくは高速走行の鉄道車両に好適なブレーキディスク材に関する。
【0002】
【従来の技術】
CV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディスク材については、特公平6−17700号(特許第1892375号)公報に記載のものがある。このブレーキディスク材(以下、先行技術1ともいう)は、Ni,Mo,Cu等を添加したフェライト率が60〜70%のブレーキディスク材である。先行技術1は、機械強度を高めるために、黒鉛形状を片状黒鉛に近いCV黒鉛(球状化率30〜35%)にし、またNi,Moを添加して耐熱亀裂性の向上を図っている。なお、基地組織は、パーライト化元素としてのCuを0.3〜0.7重量%の範囲で添加することにより、パーライトとフェライトの割合を制御し、また熱処理は焼入れ・焼戻しを行っている。先行技術1のブレーキディスク材を含めてCV黒鉛鋳鉄製のブレーキディスク材は、機械強度が高く耐摩耗性には優れていたが、耐熱亀裂性の面では必ずしも十分でなかった。
【0003】
そこで、本出願人は耐熱亀裂性に優れた片状黒鉛鋳鉄の「ブレーキディスク材の製造方法」を発明して、特許(第2676456号)を取得している。以下、同特許に係るブレーキディスク材を、先行技術2ともいう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の片状黒鉛鋳鉄のブレーキディスク材(先行技術2)についても、次のような点で改良の余地がある。すなわち、片状黒鉛鋳鉄は機械強度的にCV黒鉛鋳鉄に比べて劣っており、このため、機械強度が高く、しかも耐熱亀裂性に優れた車両用ブレーキディスク材の開発が求められた。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、機械強度の高いCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディスク材において耐熱亀裂性を改善し、耐久性を向上することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明に係る車両用ブレーキディスク材は、化学組成が、C(炭素):3.6〜4.2重量%,Si(ケイ素):1.8〜2.4重量%、Mn(マンガン):0.5〜0.7重量%、P(燐):0.03重量%以下、S(硫黄):0.03重量%以下、Mg(マグネシウム):0.004〜0.015重量%を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなるCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディスク材であって、さらにNi(ニッケル):1.0〜3.0重量%およびMo(モリブデン):0.3〜0.7重量%を含有させ、Cr(クロム)およびCu(銅)を合計した含有率を0.03重量%以下にしたうえ、所定の熱処理を行うことによってフェライト率が70%を超えるように基地組織をフェライト化している。
【0007】
本発明に係る車両用ブレーキディスク材によれば、上記した先行技術1に係るCV黒鉛鋳鉄製ブレーキディスク材に比べて、次のような特徴がある。
【0008】
▲1▼ 黒鉛形状は機械強度の高いCV黒鉛のままとし、C(炭素)量を増やしたことにより遊離炭素量が増えて熱伝導性が高まった。
【0009】
▲2▼ 基地組織のフェライト化を促進する熱処理を施し、フェライト率を70%を超えるようにしたので、パーライト割合の高い先行技術1の基地組織に比べて延伸性に富み、耐熱亀裂性が向上した。
【0010】
▲3▼ Mo(モリブデン)量を増やしたことにより、耐熱亀裂性が向上した。
【0011】
これらの結果、ブレーキディスク材の使用中に微細な熱亀裂が発生することはあってもその微細な亀裂は大きな亀裂には進展せず、また摺動部では摩耗することによって発生した微細な亀裂が消滅する。したがって、ブレーキディスク材としての機械強度が高く、耐熱亀裂性に優れている。
【0012】
請求項2に記載のように、前記熱処理として、800℃〜920℃の範囲内、例えば900℃で所定時間加熱したのち680℃〜750℃の範囲内の適切温度例えば700℃まで冷却したのち700℃に保って所定時間加熱し、徐々に冷却するところの2段焼きなましを行うことが望ましい。
【0013】
請求項2記載のブレーキディスク材は、基地組織中にパーライトが多く含まれている場合であっても、2段焼きなましを行うことによって基地組織中のフェライト化が促進され、フェライト率が70%を超える(通常は90%前後)ようにできるから、延性が高められて耐熱亀裂性が向上し、また熱歪みも低減される。
【0014】
請求項3に記載のように、前記熱処理として、550℃〜750℃の範囲内の例えば640℃で所定時間加熱したのち徐々に冷却するところの歪取り焼鈍(SR焼鈍ともいう)を行うこともできる。
【0015】
請求項3記載のブレーキディスク材は、基地組織中のフェライト率がもともと高い場合には、SR焼鈍を行ってもフェライト率が70%を超えるようにでき、熱歪みの低減が図られる。
【0016】
請求項4に記載のように、前記化学組成において、C:3.8%,Si:2.0重量%、Mn:0.6重量%、P:0.03重量%以下、S:0.03重量%以下、Mg:0.006重量%を含有し、さらにNi:2.5重量%およびMo:0.6重量%を含有させ、CrおよびCuを合計した含有率を0.03重量%以下にし、フェライト率を90%前後もしくはそれ以上にすることが望ましい。
【0017】
請求項4記載のブレーキディスク材は、化学組成が最良で熱伝導性が高く、フェライト率が90%前後もしくはそれ以上と極めて高くて耐熱亀裂性に優れ、耐久性が大幅に向上して長期間安定して使用できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用ブレーキディスク材について実施の形態を説明する。
【0019】
−実施例1−
本例のブレーキディスク材1は、表1に示す化学組成の溶湯にMgを添加して処理したのち、ブレーキディスク鋳型に注入して鋳造により形成したものである。
【0020】
表1
成分 C Si Mn P,S Ni Mo Mg Cr,Cu
含有率 3.25 2.2 0.7 <0.02 2.38 0.42 0.007 <0.03
(重量%)
【0021】
上記の各成分の数値は重量%である。溶湯へのMgの添加によるCV化処理において、Mgを一般的なCV黒鉛鋳鉄のほぼ半分の0.007重量%(以下、単に%とも表示する)に抑えたことにより、基本的な黒鉛形状はCV黒鉛のままで、黒鉛の球状化率が30%前後になっている。そして、C(炭素)の含有量を増やしたので、遊離炭素が増えて熱伝導率が高まった。またCuの添加率を0.03%以下(必ずしも添加しなくてもよい、Crは些少ではあるが本来含有されている)に抑えてパーライト率を下げたので、基地組織のフェライト化が促進された。さらに型ばらし後に図3に示すように加熱炉内に入れて900℃まで徐々に(6時間かけて)温度を上げ、加熱温度を900℃に保って一定時間(3時間)加熱したのち、炉内で1時間かけて700℃まで冷却したのち、同温度(700℃)に保って4時間加熱し、さらに5時間かけて180℃まで炉内で冷却した。つまり、2段熱処理(2段焼きなまし)を行ったが、これも基地組織のフェライト化を促進するためである。
【0022】
この結果、本例のブレーキディスク材1のフェライト率は90%前後まで促進された。図1に示す組織の拡大図はブレーキディスク材1のリブ芯部を100倍に拡大して撮影した顕微鏡写真を図面化したもので、パーライト(網状部分)3が僅かに残っているが、残りの白色部分2はフェライトで、図1からもフェライト化が促進されていることが認められる。なお、図1中の黒色部分4はCV黒鉛である。
【0023】
−実施例2−
本例のブレーキディスク材が上記実施例1と相違するところは、熱処理だけである。すなわち、表1に示した化学組成からなるブレーキディスク材を、型ばらし後に図4に示すように加熱炉に入れて徐々に(4時間かけて)640℃まで温度を上げ、同温度に保って一定時間(2時間30分)加熱したのち、5時間かけて180℃まで炉内で冷却し、歪取り焼鈍した。つまり、熱処理によるフェライト化の促進は積極的に行わなかった。このため、本例のブレーキディスク材ではフェライト率が80%を割ったが、70%は超えていた。
【0024】
−実施例3−
本例のブレーキディスク材1’は、表2に示す化学組成の溶湯にMgを添加してCV化処理したのち、ブレーキディスク鋳型に注入して鋳造により形成したものである。
【0025】
表2
成分 C Si Mn P,S Ni Mo Mg Cr,Cu
含有率 4.11 2.4 0.7 <0.02 2.36 0.58 0.008 <0.03
(重量%)
【0026】
上記の各成分の数値は重量%である。溶湯のMgの添加によるCV化処理において、Mgを一般的なCV黒鉛鋳鉄の半分よりはやや多めの0.008重量%に抑えており、基本的黒鉛形状は実施例1と同様にCV黒鉛からなり、黒鉛の球状化率が30%前後になったが、実施例1よりもさらにC(炭素)量を増やして熱伝導率を高めている。またCuの添加率は、実施例1と同様に0.03%以下に抑えてパーライト率を下げ、フェライト化を促進している。さらに型ばらし後に図3に示すように加熱炉内に入れて900℃まで徐々に(6時間かけて)温度を上げ、同温度に保って一定時間(3時間)加熱したのち、炉内で1時間かけて700℃まで冷却したのち、同温度(700℃)に保って4時間加熱し、さらに5時間かけて180℃まで炉内で冷却した。つまり、2段熱処理(2段焼きなまし)を行ったが、これも基地組織をフェライト化するためである。この結果、本例のブレーキディスク材1’のフェライト率も90%前後まで促進された。図2に示す組織の拡大図はブレーキディスク材1’のリブ芯部を100倍に拡大して撮影した顕微鏡写真を図面化したもので、網状のパーライト3が僅かに残っているが、残りの白色部分2はフェライト、黒色部分4がCV黒鉛である。図1に比べて白色部分(フェライト部分)2が多いように見えるが、これは切断箇所が異なるもので、切断箇所によってばらつきがあるためである。
【0027】
−実施例4−
本例のブレーキディスク材が上記実施例3と相違するところは、熱処理だけである。すなわち、表2に示した化学組成からなるブレーキディスク材を、型ばらし後に図4に示すように加熱炉に入れて徐々に(4時間かけて)640℃まで温度を上げ、同温度に保って一定時間(2時間30分)加熱し、さらに5時間かけて180℃まで炉内で冷却し、歪取り焼鈍した。つまり、熱処理によるフェライト化の促進は行わなかった。このため、本例のブレーキディスク材もフェライト率が80%を割ったが、70%は超えていた(75%前後であった)。
【0028】
−比較例1−
先行技術1に記載のブレーキディスク材で化学組成は表3に記載の内容からなり、表3の成分からなる溶湯にMgを0.007重量%添加してCV化処理し、黒鉛の球状化率を30%前後にしている。それから、型ばらし後に歪取り焼鈍を施し、基地組織を制御してフェライト率を60%にしている。
【0029】
表3
成分 C Si Mn P S Ni Mo Mg Cu
含有率 3.6 2.0 0.6 0.03 0.01 2.5 0.4 0.007 0.5
(重量%)
【0030】
−比較例2−
先行技術2に記載のブレーキディスク材で化学組成は表4に記載の内容からなり、表4の成分からなる溶湯を鋳型に入れて鋳造し、型ばらししたのち、640℃で歪取り焼鈍している。
【0031】
表4
成分 C Si Mn P S Ni Mo Cr Cu
含有率 3.55 1.37 0.69 0.18 0.28 2.43 0.38 0.30 0.57
(重量%)
【0032】
ここで、上記した本発明の実施例1および実施例2のブレーキディスク材、上記した実施例3および実施例4のブレーキディスク材ならびに比較例1および比較例2のブレーキディスク材について引張試験および硬度試験等に関する機械的性質(ならびに熱伝導率)の比較データを表5に示す。
【0033】
【表5】
Figure 0003730044
【0034】
上記の比較データから明らかなように、フェライト率が90%前後に達した実施例1および実施例3のブレーキディスク材は、伸びが5.2%、4.6%と、比較例1および2に比べてかなり高いことが認められる。伸びが4.5%を超えると耐熱亀裂性は改善される。また、熱伝導率は300℃の場合の測定値であるが、これも非常に高い数値であり、熱伝導性が極めて優れている。さらに、フェライト率が75〜78%前後の実施例2および実施例4のブレーキディスク材についても、伸びが4.3%、3.4%と、比較例1および2に比べてかなり高く、耐熱亀裂性は向上している。一方、0.2%耐力、引張強さ、ブルネル硬さなどの機械的強度は比較例1の方が勝っているが、比較例1および比較例2ともに伸びが非常に低いことから、耐熱亀裂性が劣ることがわかる。また、比較例2は片状黒鉛鋳鉄のブレーキディスク材であり、ブルネル硬さは229HBと実施例に比べて硬いが、0.2%耐力、引張強さおよび弾性係数の各値が非常に低くなっており、総合的に機械強度が劣ていることがわかる。
【0035】
次に、耐熱亀裂性の優劣を試験するために熱衝撃試験を行ったので、その結果を図5〜図7のグラフに基づいて説明する。
【0036】
熱衝撃試験は、実施例1、比較例1および比較例2の各試作ディスクから直径20mm(×厚さ20mm)の試験片を加工し、これらの試験片を600℃で10分間加熱したのち水冷するというサイクルを、100回ほど繰り返した。そして、この状態で、亀裂発生状況を測定した。図5は本発明の実施例1のブレーキディスク材についての亀裂発生状況を、図6は比較例1のブレーキディスク材についての亀裂発生状況を、図7は比較例2のブレーキディスク材についての亀裂発生状況を、それぞれ表している。これらの図面から判断して、比較例1および比較例2のブレーキディスク材については、亀裂長さが10mm以上に達したものが存在することから、大きな亀裂へ進展するおそれがあることが認められる。一方、本発明の実施例1のブレーキディスク材については、亀裂長さは最大でも5mm程度であり、微細な亀裂は発生するが、大きな亀裂への進展が抑制されていることが確認される。
【0037】
上記に本発明の幾つかの実施例について説明したが、上記の実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。すなわち、化学組成は、C:3.6〜4.2%、Si:1.8〜2.4%、Mn:0.5〜0.7%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:0.004〜0.015%、Ni:1.0〜3.0%およびMo:0.3〜0.7%の範囲内で含有させ、CrおよびCuの含有率を0.03%以下にし、所定の熱処理(2段焼きなまし又はSR焼鈍)を行うことによりフェライト率が70%を超えるように基地組織をフェライト化したことを特徴とするものである。なお、繰り返しになるが、本発明の特徴部分について説明する。すなわち、
▲1▼ パーライトおよびフェライトを有する基地組織のフェライト化率を70%を超えるようにした。基地組織のフェライト率を上げると柔らかくなるので、延びが良くなる。このために、MoやCuの添加量を変えている。つまり、Cuの添加量を減らすかゼロにすることにより、パーライト化が抑制されフェライト量が増加するとともに、Moの含有量を増やすことにより耐熱亀裂性が改善されるからである。
【0038】
▲2▼ 熱処理で基地組織を制御してフェライト化を促進した。つまり、従来はSR焼鈍が一般的であるが、基地組織中にもともとフェライト化の多いものはSR焼鈍で、フェライト率を70%よりも多くできるが、基地組織中のパーライトの割合が高いものについては、2段焼きなましによってフェライト化を促進する必要がある。
【0039】
▲3▼ Cの含有量を増やすことによって遊離カーボン量が多くなって、熱伝導率が高まる。
【0040】
▲4▼ 耐熱亀裂性を向上したから、引張強度は多少低く(340−400N/mm2)ても、耐久性が向上し、長期間安定してブレーキディスク材を使用できるようになる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明に係るブレーキディスク材には、次のような優れた効果がある。
【0042】
(1) 請求項1に記載の発明によれば、先行技術1のCV黒鉛鋳鉄製ブレーキディスク材に比べて、
▲1▼黒鉛形状は機械強度の高いCV黒鉛のままとし、C(炭素)量を増やしたことにより遊離炭素量が増えて熱伝導性が高まった、
▲2▼基地組織のフェライト化を促進する熱処理を施し、フェライト率を70%を超えるようにしたので、パーライト割合の高い先行技術1の基地組織に比べて延伸性が高まって耐熱亀裂性が向上した、
▲3▼Mo(モリブデン)量を増やしたことにより、耐熱亀裂性が向上した
したがって、ブレーキディスク材の使用中に微細な熱亀裂が発生することはあってもその微細な亀裂は大きな亀裂には進展せず、また摺動部では摩耗することによって発生した微細な亀裂が消滅するので、寿命が延びて長期使用が可能になる。
【0043】
(2) 請求項2に記載の発明では、基地組織中にパーライトが多く含まれている場合であっても、2段焼きなましを行うことによって基地組織中のフェライト化が促進され、フェライト率が70%を超えるようになるから、延性が高められて耐熱亀裂性が向上し、また熱歪みが低減する。
【0044】
(3) 請求項3に記載の発明は基地組織中のフェライト率がもともと高い場合に適用されるもので、SR焼鈍によってもフェライト率が70%を超えて耐熱亀裂性が向上し、熱歪みの低減も図られる。
【0045】
(4) 請求項4に記載の発明は、化学組成が最良で熱伝導性が高く、フェライト率が極めて高くて耐熱亀裂性に優れ、耐久性が大幅に向上するから、ブレーキディスク材を長期間安定して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るブレーキディスク材のリブ芯部を顕微鏡で100倍に拡大して撮影した顕微鏡写真を図面化して現したものである。
【図2】本発明の実施例3に係るブレーキディスク材のリブ芯部を顕微鏡で100倍に拡大して撮影した顕微鏡写真を図面化して現したものである。
【図3】本発明のブレーキディスク材の製造過程で使用する2段焼きなまし熱処理における温度と時間の関係を示す線図である。
【図4】本発明のブレーキディスク材の製造過程で使用するSR焼鈍の熱処理における温度と時間の関係を示す線図である。
【図5】本発明の実施例1に係るブレーキディスク材の熱衝撃試験結果を示すもので、亀裂開口幅と亀裂長さの関係を表す線図である。
【図6】比較例1(先行技術1)に係るブレーキディスク材の熱衝撃試験結果を示すもので、亀裂開口幅と亀裂長さの関係を表す線図である。
【図7】比較例2(先行技術2)に係るブレーキディスク材の熱衝撃試験結果を示すもので、亀裂開口幅と亀裂長さの関係を表す線図である。
【符号の説明】
1・1’ ブレーキディスク材
2 フェライト
3 パーライト
4 CV黒鉛

Claims (4)

  1. 化学組成が、C:3.6〜4.2重量%,Si:1.8〜2.4重量%、Mn:0.5〜0.7重量%、P:0.03重量%以下、S:0.03重量%以下、Mg:0.004〜0.015重量%を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなるCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディスク材であって、さらにNi:1.0〜3.0重量%およびMo:0.3〜0.7重量%を含有させ、CrおよびCuを合計した含有率を0.03重量%以下にしたうえ、所定の熱処理を行うことによってフェライト率が70%を超えるように基地組織をフェライト化したことを特徴とする車両用ブレーキディスク材。
  2. 前記熱処理として、800℃〜920℃で所定時間加熱したのちに680℃〜750℃の範囲内の適切温度まで冷却し、同温度で所定時間加熱したのちに、徐々に冷却するところの2段焼きなましを行う請求項1記載の車両用ブレーキディスク材。
  3. 前記熱処理として、550℃〜750℃の範囲内の適切温度で所定時間加熱したのち徐々に冷却するところの歪取り焼鈍を行う請求項1記載の車両用ブレーキディスク材。
  4. 前記化学組成において、C:3.8重量%,Si:2.0重量%、Mn:0.6重量%、P:0.03重量%以下、S:0.03重量%以下、Mg:0.006重量%を含有し、さらにNi:2.5重量%およびMo:0.6重量%を含有し、CrおよびCuを合計した含有率を0.03重量%以下にし、フェライト率を90%前後もしくはそれ以上にしている請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ブレーキディスク材。
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