JP2000256776A - 車両用ブレーキディスク材 - Google Patents

車両用ブレーキディスク材

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JP2000256776A
JP2000256776A JP11065842A JP6584299A JP2000256776A JP 2000256776 A JP2000256776 A JP 2000256776A JP 11065842 A JP11065842 A JP 11065842A JP 6584299 A JP6584299 A JP 6584299A JP 2000256776 A JP2000256776 A JP 2000256776A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械強度の高いCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレ
ーキディスク材において耐熱亀裂性を改善し、耐久性を
向上する。 【解決手段】 化学組成は、C:3.6〜4.2%、Si:
1.8〜2.4%、Mn:0.5〜0.7%、P:0.03%
以下、S:0.03%以下、Mg:0.004〜0.015
%、Ni:1.0〜3.0%およびMo:0.3〜0.7%
の範囲内で含有させ、CrおよびCuの含有率を0.0
3%以下にし、所定の熱処理(2段焼きなまし又はSR
焼鈍)を行うことにより、ブレーキディスク材1の基地
組織中のフェライト部分2が70%を超えるようにフェ
ライト化を促進するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、CV(コンパク
ト・バーミキュラ)黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディス
ク材に関するもので、詳しくは高速走行の鉄道車両に好
適なブレーキディスク材に関する。
【0002】
【従来の技術】CV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディス
ク材については、特公平6−17700号(特許第1892
375号)公報に記載のものがある。このブレーキディス
ク材(以下、先行技術1ともいう)は、Ni,Mo,C
u等を添加したフェライト率が60〜70%のブレーキ
ディスク材である。先行技術1は、機械強度を高めるた
めに、黒鉛形状を片状黒鉛に近いCV黒鉛(球状化率3
0〜35%)にし、またNi,Moを添加して耐熱亀裂
性の向上を図っている。なお、基地組織は、パーライト
化元素としてのCuを0.3〜0.7重量%の範囲で添
加することにより、パーライトとフェライトの割合を制
御し、また熱処理は焼入れ・焼戻しを行っている。先行
技術1のブレーキディスク材を含めてCV黒鉛鋳鉄製の
ブレーキディスク材は、機械強度が高く耐摩耗性には優
れていたが、耐熱亀裂性の面では必ずしも十分でなかっ
た。
【0003】そこで、本出願人は耐熱亀裂性に優れた片
状黒鉛鋳鉄の「ブレーキディスク材の製造方法」を発明
して、特許(第2676456号)を取得している。以下、同
特許に係るブレーキディスク材を、先行技術2ともい
う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
片状黒鉛鋳鉄のブレーキディスク材(先行技術2)につ
いても、次のような点で改良の余地がある。すなわち、
片状黒鉛鋳鉄は機械強度的にCV黒鉛鋳鉄に比べて劣っ
ており、このため、機械強度が高く、しかも耐熱亀裂性
に優れた車両用ブレーキディスク材の開発が求められ
た。
【0005】本発明は上述の点に鑑みなされたもので、
機械強度の高いCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレーキディス
ク材において耐熱亀裂性を改善し、耐久性を向上するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明に係る車両用ブレーキディスク材は、化学組
成が、C(炭素):3.6〜4.2%,Si(ケイ
素):1.8〜2.4%、Mn(マンガン):0.5〜
0.7%、P(燐):0.03%以下、S(硫黄):
0.03%以下、Mg(マグネシウム):0.004〜
0.015%を含有するCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブレー
キディスク材であって、さらにNi(ニッケル):1.
0〜3.0%およびMo(モリブデン):0.3〜0.
7%を含有させ、Cr(クロム)およびCu(銅)の含
有率を0.03%以下にしたうえ、所定の熱処理を行う
ことによってフェライト率が70%を超えるように基地
組織をフェライト化している。
【0007】本発明に係る車両用ブレーキディスク材に
よれば、上記した先行技術1に係るCV黒鉛鋳鉄製ブレ
ーキディスク材に比べて、次のような特徴がある。
【0008】 黒鉛形状は機械強度の高いCV黒鉛の
ままとし、C(炭素)量を増やしたことにより遊離炭素
量が増えて熱伝導性が高まった。
【0009】 基地組織のフェライト化を促進する熱
処理を施し、フェライト率を70%を超えるようにした
ので、パーライト割合の高い先行技術1の基地組織に比
べて延伸性に富み、耐熱亀裂性が向上した。
【0010】 Mo(モリブデン)量を増やしたこと
により、耐熱亀裂性が向上した。
【0011】これらの結果、ブレーキディスク材の使用
中に微細な熱亀裂が発生することはあってもその微細な
亀裂は大きな亀裂には進展せず、また摺動部では摩耗す
ることによって発生した微細な亀裂が消滅する。したが
って、ブレーキディスク材としての機械強度が高く、耐
熱亀裂性に優れている。
【0012】請求項2に記載のように、前記熱処理とし
て、800℃〜920℃の範囲内、例えば900℃で所
定時間加熱したのち680℃〜750℃の範囲内の適切
温度例えば700℃まで冷却したのち700℃に保って
所定時間加熱し、徐々に冷却するところの2段焼きなま
しを行うことが望ましい。
【0013】請求項2記載のブレーキディスク材は、基
地組織中にパーライトが多く含まれている場合であって
も、2段焼きなましを行うことによって基地組織中のフ
ェライト化が促進され、フェライト率が70%を超える
(通常は90%前後)ようにできるから、延性が高めら
れて耐熱亀裂性が向上し、また熱歪みも低減される。
【0014】請求項3に記載のように、前記熱処理とし
て、550℃〜750℃の範囲内の例えば640℃で所
定時間加熱したのち徐々に冷却するところの歪取り焼鈍
(SR焼鈍ともいう)を行うこともできる。
【0015】請求項3記載のブレーキディスク材は、基
地組織中のフェライト率がもともと高い場合には、SR
焼鈍を行ってもフェライト率が70%を超えるようにで
き、熱歪みの低減が図られる。
【0016】請求項4に記載のように、前記化学組成に
おいて、C:3.8%,Si:2.0%、Mn:0.6
%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:
0.006%を含有し、さらにNi:2.5%およびM
o:0.6%を含有させ、CrおよびCuの含有率を
0.03%以下にし、フェライト率を90%前後もしく
はそれ以上にすることが望ましい。
【0017】請求項4記載のブレーキディスク材は、化
学組成が最良で熱伝導性が高く、フェライト率が90%
前後もしくはそれ以上と極めて高くて耐熱亀裂性に優
れ、耐久性が大幅に向上して長期間安定して使用でき
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の車両用ブレーキデ
ィスク材について実施の形態を説明する。
【0019】−実施例1− 本例のブレーキディスク材1は、表1に示す化学組成の
溶湯にMgを添加して処理したのち、ブレーキディスク
鋳型に注入して鋳造により形成したものである。
【0020】 表1 成分 C Si Mn P,S Ni Mo Mg Cr,Cu 含有率 3.25 2.2 0.7 <0.02 2.38 0.42 0.007 <0.03 (重量%)
【0021】上記の各成分の数値は重量%である。溶湯
へのMgの添加によるCV化処理において、Mgを一般
的なCV黒鉛鋳鉄のほぼ半分の0.007重量%(以
下、単に%とも表示する)に抑えたことにより、基本的
な黒鉛形状はCV黒鉛のままで、黒鉛の球状化率が30
%前後になっている。そして、C(炭素)の含有量を増
やしたので、遊離炭素が増えて熱伝導率が高まった。ま
たCuの添加率を0.03%以下(必ずしも添加しなく
てもよい、Crは些少ではあるが本来含有されている)
に抑えてパーライト率を下げたので、基地組織のフェラ
イト化が促進された。さらに型ばらし後に図3に示すよ
うに加熱炉内に入れて900℃まで徐々に(6時間かけ
て)温度を上げ、加熱温度を900℃に保って一定時間
(3時間)加熱したのち、炉内で1時間かけて700℃
まで冷却したのち、同温度(700℃)に保って4時間
加熱し、さらに5時間かけて180℃まで炉内で冷却し
た。つまり、2段熱処理(2段焼きなまし)を行った
が、これも基地組織のフェライト化を促進するためであ
る。
【0022】この結果、本例のブレーキディスク材1の
フェライト率は90%前後まで促進された。図1に示す
組織の拡大図はブレーキディスク材1のリブ芯部を10
0倍に拡大して撮影した顕微鏡写真を図面化したもの
で、パーライト(網状部分)3が僅かに残っているが、
残りの白色部分2はフェライトで、図1からもフェライ
ト化が促進されていることが認められる。なお、図1中
の黒色部分4はCV黒鉛である。
【0023】−実施例2− 本例のブレーキディスク材が上記実施例1と相違すると
ころは、熱処理だけである。すなわち、表1に示した化
学組成からなるブレーキディスク材を、型ばらし後に図
4に示すように加熱炉に入れて徐々に(4時間かけて)
640℃まで温度を上げ、同温度に保って一定時間(2
時間30分)加熱したのち、5時間かけて180℃まで
炉内で冷却し、歪取り焼鈍した。つまり、熱処理による
フェライト化の促進は積極的に行わなかった。このた
め、本例のブレーキディスク材ではフェライト率が80
%を割ったが、70%は超えていた。
【0024】−実施例3− 本例のブレーキディスク材1’は、表2に示す化学組成
の溶湯にMgを添加してCV化処理したのち、ブレーキ
ディスク鋳型に注入して鋳造により形成したものであ
る。
【0025】 表2 成分 C Si Mn P,S Ni Mo Mg Cr,Cu 含有率 4.11 2.4 0.7 <0.02 2.36 0.58 0.008 <0.03 (重量%)
【0026】上記の各成分の数値は重量%である。溶湯
のMgの添加によるCV化処理において、Mgを一般的
なCV黒鉛鋳鉄の半分よりはやや多めの0.008重量
%に抑えており、基本的黒鉛形状は実施例1と同様にC
V黒鉛からなり、黒鉛の球状化率が30%前後になった
が、実施例1よりもさらにC(炭素)量を増やして熱伝
導率を高めている。またCuの添加率は、実施例1と同
様に0.03%以下に抑えてパーライト率を下げ、フェ
ライト化を促進している。さらに型ばらし後に図3に示
すように加熱炉内に入れて900℃まで徐々に(6時間
かけて)温度を上げ、同温度に保って一定時間(3時
間)加熱したのち、炉内で1時間かけて700℃まで冷
却したのち、同温度(700℃)に保って4時間加熱
し、さらに5時間かけて180℃まで炉内で冷却した。
つまり、2段熱処理(2段焼きなまし)を行ったが、こ
れも基地組織をフェライト化するためである。この結
果、本例のブレーキディスク材1’のフェライト率も9
0%前後まで促進された。図2に示す組織の拡大図はブ
レーキディスク材1’のリブ芯部を100倍に拡大して
撮影した顕微鏡写真を図面化したもので、網状のパーラ
イト3が僅かに残っているが、残りの白色部分2はフェ
ライト、黒色部分4がCV黒鉛である。図1に比べて白
色部分(フェライト部分)2が多いように見えるが、こ
れは切断箇所が異なるもので、切断箇所によってばらつ
きがあるためである。
【0027】−実施例4− 本例のブレーキディスク材が上記実施例3と相違すると
ころは、熱処理だけである。すなわち、表2に示した化
学組成からなるブレーキディスク材を、型ばらし後に図
4に示すように加熱炉に入れて徐々に(4時間かけて)
640℃まで温度を上げ、同温度に保って一定時間(2
時間30分)加熱し、さらに5時間かけて180℃まで
炉内で冷却し、歪取り焼鈍した。つまり、熱処理による
フェライト化の促進は行わなかった。このため、本例の
ブレーキディスク材もフェライト率が80%を割った
が、70%は超えていた(75%前後であった)。
【0028】−比較例1− 先行技術1に記載のブレーキディスク材で化学組成は表
3に記載の内容からなり、表3の成分からなる溶湯にM
gを0.007重量%添加してCV化処理し、黒鉛の球
状化率を30%前後にしている。それから、型ばらし後
に歪取り焼鈍を施し、基地組織を制御してフェライト率
を60%にしている。
【0029】 表3 成分 C Si Mn P S Ni Mo Mg Cu 含有率 3.6 2.0 0.6 0.03 0.01 2.5 0.4 0.007 0.5 (重量%)
【0030】−比較例2− 先行技術2に記載のブレーキディスク材で化学組成は表
4に記載の内容からなり、表4の成分からなる溶湯を鋳
型に入れて鋳造し、型ばらししたのち、640℃で歪取
り焼鈍している。
【0031】 表4 成分 C Si Mn P S Ni Mo Cr Cu 含有率 3.55 1.37 0.69 0.18 0.28 2.43 0.38 0.30 0.57 (重量%)
【0032】ここで、上記した本発明の実施例1および
実施例2のブレーキディスク材、上記した実施例3およ
び実施例4のブレーキディスク材ならびに比較例1およ
び比較例2のブレーキディスク材について引張試験およ
び硬度試験等に関する機械的性質(ならびに熱伝導率)
の比較データを表5に示す。
【0033】
【表5】
【0034】上記の比較データから明らかなように、フ
ェライト率が90%前後に達した実施例1および実施例
3のブレーキディスク材は、伸びが5.2%、4.6%
と、比較例1および2に比べてかなり高いことが認めら
れる。伸びが4.5%を超えると耐熱亀裂性は改善され
る。また、熱伝導率は300℃の場合の測定値である
が、これも非常に高い数値であり、熱伝導性が極めて優
れている。さらに、フェライト率が75〜78%前後の
実施例2および実施例4のブレーキディスク材について
も、伸びが4.3%、3.4%と、比較例1および2に比
べてかなり高く、耐熱亀裂性は向上している。一方、
0.2%耐力、引張強さ、ブルネル硬さなどの機械的強
度は比較例1の方が勝っているが、比較例1および比較
例2ともに伸びが非常に低いことから、耐熱亀裂性が劣
ることがわかる。また、比較例2は片状黒鉛鋳鉄のブレ
ーキディスク材であり、ブルネル硬さは229HBと実
施例に比べて硬いが、0.2%耐力、引張強さおよび弾
性係数の各値が非常に低くなっており、総合的に機械強
度が劣ていることがわかる。
【0035】次に、耐熱亀裂性の優劣を試験するために
熱衝撃試験を行ったので、その結果を図5〜図7のグラ
フに基づいて説明する。
【0036】熱衝撃試験は、実施例1、比較例1および
比較例2の各試作ディスクから直径20mm(×厚さ2
0mm)の試験片を加工し、これらの試験片を600℃
で10分間加熱したのち水冷するというサイクルを、1
00回ほど繰り返した。そして、この状態で、亀裂発生
状況を測定した。図5は本発明の実施例1のブレーキデ
ィスク材についての亀裂発生状況を、図6は比較例1の
ブレーキディスク材についての亀裂発生状況を、図7は
比較例2のブレーキディスク材についての亀裂発生状況
を、それぞれ表している。これらの図面から判断して、
比較例1および比較例2のブレーキディスク材について
は、亀裂長さが10mm以上に達したものが存在するこ
とから、大きな亀裂へ進展するおそれがあることが認め
られる。一方、本発明の実施例1のブレーキディスク材
については、亀裂長さは最大でも5mm程度であり、微
細な亀裂は発生するが、大きな亀裂への進展が抑制され
ていることが確認される。
【0037】上記に本発明の幾つかの実施例について説
明したが、上記の実施例に限定されるものではないこと
は言うまでもない。すなわち、化学組成は、C:3.6〜
4.2%、Si:1.8〜2.4%、Mn:0.5〜0.7
%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:0.0
04〜0.015%、Ni:1.0〜3.0%およびMo:
0.3〜0.7%の範囲内で含有させ、CrおよびCuの
含有率を0.03%以下にし、所定の熱処理(2段焼き
なまし又はSR焼鈍)を行うことによりフェライト率が
70%を超えるように基地組織をフェライト化したこと
を特徴とするものである。なお、繰り返しになるが、本
発明の特徴部分について説明する。すなわち、 パーライトおよびフェライトを有する基地組織のフ
ェライト化率を70%を超えるようにした。基地組織の
フェライト率を上げると柔らかくなるので、延びが良く
なる。このために、MoやCuの添加量を変えている。
つまり、Cuの添加量を減らすかゼロにすることによ
り、パーライト化が抑制されフェライト量が増加すると
ともに、Moの含有量を増やすことにより耐熱亀裂性が
改善されるからである。
【0038】 熱処理で基地組織を制御してフェライ
ト化を促進した。つまり、従来はSR焼鈍が一般的であ
るが、基地組織中にもともとフェライト化の多いものは
SR焼鈍で、フェライト率を70%よりも多くできる
が、基地組織中のパーライトの割合が高いものについて
は、2段焼きなましによってフェライト化を促進する必
要がある。
【0039】 Cの含有量を増やすことによって遊離
カーボン量が多くなって、熱伝導率が高まる。
【0040】 耐熱亀裂性を向上したから、引張強度
は多少低く(340−400N/mm2)ても、耐久性が向
上し、長期間安定してブレーキディスク材を使用できる
ようになる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明に係るブレーキディスク材には、次のような優れ
た効果がある。
【0042】(1) 請求項1に記載の発明によれば、先行
技術1のCV黒鉛鋳鉄製ブレーキディスク材に比べて、 黒鉛形状は機械強度の高いCV黒鉛のままとし、C
(炭素)量を増やしたことにより遊離炭素量が増えて熱
伝導性が高まった、 基地組織のフェライト化を促進する熱処理を施し、フ
ェライト率を70%を超えるようにしたので、パーライ
ト割合の高い先行技術1の基地組織に比べて延伸性が高
まって耐熱亀裂性が向上した、 Mo(モリブデン)量を増やしたことにより、耐熱亀
裂性が向上した−したがって、ブレーキディスク材の
使用中に微細な熱亀裂が発生することはあってもその微
細な亀裂は大きな亀裂には進展せず、また摺動部では摩
耗することによって発生した微細な亀裂が消滅するの
で、寿命が延びて長期使用が可能になる。
【0043】(2) 請求項2に記載の発明では、基地組織
中にパーライトが多く含まれている場合であっても、2
段焼きなましを行うことによって基地組織中のフェライ
ト化が促進され、フェライト率が70%を超えるように
なるから、延性が高められて耐熱亀裂性が向上し、また
熱歪みが低減する。
【0044】(3) 請求項3に記載の発明は基地組織中の
フェライト率がもともと高い場合に適用されるもので、
SR焼鈍によってもフェライト率が70%を超えて耐熱
亀裂性が向上し、熱歪みの低減も図られる。
【0045】(4) 請求項4に記載の発明は、化学組成が
最良で熱伝導性が高く、フェライト率が極めて高くて耐
熱亀裂性に優れ、耐久性が大幅に向上するから、ブレー
キディスク材を長期間安定して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るブレーキディスク材の
リブ芯部を顕微鏡で100倍に拡大して撮影した顕微鏡
写真を図面化して現したものである。
【図2】本発明の実施例3に係るブレーキディスク材の
リブ芯部を顕微鏡で100倍に拡大して撮影した顕微鏡
写真を図面化して現したものである。
【図3】本発明のブレーキディスク材の製造過程で使用
する2段焼きなまし熱処理における温度と時間の関係を
示す線図である。
【図4】本発明のブレーキディスク材の製造過程で使用
するSR焼鈍の熱処理における温度と時間の関係を示す
線図である。
【図5】本発明の実施例1に係るブレーキディスク材の
熱衝撃試験結果を示すもので、亀裂開口幅と亀裂長さの
関係を表す線図である。
【図6】比較例1(先行技術1)に係るブレーキディス
ク材の熱衝撃試験結果を示すもので、亀裂開口幅と亀裂
長さの関係を表す線図である。
【図7】比較例2(先行技術2)に係るブレーキディス
ク材の熱衝撃試験結果を示すもので、亀裂開口幅と亀裂
長さの関係を表す線図である。
【符号の説明】
1・1’ ブレーキディスク材 2 フェライト 3 パーライト 4 CV黒鉛

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が、C:3.6〜4.2%,S
    i:1.8〜2.4%、Mn:0.5〜0.7%、P:
    0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:0.00
    4〜0.015%を含有するCV黒鉛鋳鉄製の車両用ブ
    レーキディスク材であって、 さらにNi:1.0〜3.0%およびMo:0.3〜
    0.7%を含有させ、CrおよびCuの含有率を0.0
    3%以下にしたうえ、所定の熱処理を行うことによって
    フェライト率が70%を超えるように基地組織をフェラ
    イト化したことを特徴とする車両用ブレーキディスク
    材。
  2. 【請求項2】 前記熱処理として、800℃〜920℃
    で所定時間加熱したのちに680℃〜750℃の範囲内
    の適切温度(例えば700℃)まで冷却し、同温度で所
    定時間加熱したのちに、徐々に冷却するところの2段焼
    きなましを行う請求項1記載の車両用ブレーキディスク
    材。
  3. 【請求項3】 前記熱処理として、550℃〜750℃
    の範囲内の適切温度(例えば640℃)で所定時間加熱
    したのち徐々に冷却するところの歪取り焼鈍を行う請求
    項1記載の車両用ブレーキディスク材。
  4. 【請求項4】 前記化学組成において、C:3.8%,
    Si:2.0%、Mn:0.6%、P:0.03%以
    下、S:0.03%以下、Mg:0.006%を含有
    し、さらにNi:2.5%およびMo:0.6%を含有
    し、CrおよびCuの含有率を0.03%以下にし、フ
    ェライト率を90%前後もしくはそれ以上にしている請
    求項1〜3のいずれかに記載の車両用ブレーキディスク
    材。
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