JP3959764B2 - 高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄 - Google Patents

高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄 Download PDF

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度鋳鉄の製造方法及びその製造物に係り、特に、切削性を確保しつつ強度特性を改善した高強度鋳鉄の製造方法及びその製造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンケーシング用鋳鉄材料として、例えば片状黒鉛鋳鉄などが用いられているが、最近におけるエンジンの高出力化、軽量化、および省エネ化に対応すべく、強靱な鋳鉄材料が求められている。
【0003】
エンジンの高出力化の観点からすると、合金元素の添加などによる鋳鉄材料の高強度化が有効であり、この高強度鋳鉄を用いることによってエンジンケーシングの薄肉・軽量化を図ることができ、延いては、エンジンの軽量化および省エネ化を図ることが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、合金元素の添加などによって鋳鉄材料の強度を高めることはできるものの、それに伴う硬度の上昇が問題となる。また、エンジンケーシングの薄肉化によって、鋳鉄溶湯が急冷されるために冷硬組織(チル組織)が析出して著しく製品を脆化させる。
【0005】
すなわち、高強度鋳鉄を用いてエンジンの高出力化、軽量化、および省エネ化を図ると、切削性の低下という問題がでてくる。切削性の低下は製品の加工性を悪化させるため、高コスト化の一因となる。
【0006】
そこで本発明は、上記課題を解決し、高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、片状黒鉛鋳鉄で構成される高強度鋳鉄の製造方法であって、
Sを0.0〜0.2wt%含有する鋳鉄を溶解して溶湯を形成し、
その溶湯中に、Mnを1.0〜.0wt%の割合で添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量倍量の0.10〜0.4wt%の割合で添加するものである。
【0008】
請求項2の発明は、片状黒鉛鋳鉄で構成される高強度鋳鉄であって、
Sを0.0〜0.2wt%含有する鋳鉄母材に、Mn1.0〜.0wt%、稀土類元素またはミッシュメタル記S含有倍量の0.10〜0.4wt%の割合で含有させたものである。
【0009】
上記数値を限定した理由を以下に述べる。
【0010】
Sの添加量を0.02〜0.2wt%、特に0.05〜0.2wt%と限定したのは、添加量が0.02wt%よりも少ないと、Mn及び稀土類元素またはミッシュメタルの添加の効果が少なくなるためであり、添加量が0.2wt%よりも多いと、材料の脆化を招くためである。
【0011】
Mnの添加量を1.0〜3.0wt%、特に1.0〜2.0wt%と限定したのは、添加量が1.0wt%よりも少ないと、引張強度向上の効果が少ないためであり、添加量が3.0wt%よりも多いと、チル組織の析出が材料深部にまで及び(チル深さが深くなり)、材料硬度が増すためである。
【0012】
稀土類元素またはミッシュメタルの添加量を溶湯中のS量倍量の0.04〜0.4wt%、特に0.10〜0.4wt%と限定したのは、添加量が溶湯中のS量倍量の時、チル深さ及び引張強度共に良好となるためである。
【0013】
以上の構成によれば、Sを0.0〜0.2wt%含有する鋳鉄母材に、Mnを1.0〜.0wt%、稀土類元素またはミッシュメタルをS含有倍量の0.10〜0.4wt%の割合で含有させることで、高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
本発明の高強度鋳鉄の製造方法を説明する。
【0016】
先ず、Sを0.0〜0.2wt%含有した原料鋳鉄を、例えば、高周波電気炉で溶解して鋳鉄溶湯とする。その鋳鉄溶湯中に、Mnを1.0〜.0wt%の範囲内で添加する。
【0017】
次に、その鋳鉄溶湯中に稀土類元素またはミッシュメタル(以下、REと呼ぶ)を、溶湯中のS量倍量の0.10〜0.4wt%添加する。その鋳鉄溶湯を鋳型に流し込むと共に、冷却して高強度鋳鉄を作製する。
【0018】
原料鋳鉄としては、通常の鋳鉄よりもS含有量の多い(0.0〜0.2wt%)鋳鉄であれば特に限定するものではなく、高強度鋳鉄の特性に悪影響を及ぼさない程度の量の不可避不純物を含んでいてもよい。
【0019】
原料鋳鉄の溶解方法は、高周波電気炉に限定するものではなく、目的・用途に応じて、適宜、変更してもよい。
【0020】
【実施例】
本発明の高強度鋳鉄の一製造方法のフローチャートを図1に示す。
【0021】
図1に示すように、高純度銑鉄、電解鉄、Fe−Si、Fe−P、Fe−SおよびFe−Mnを、一回の溶解量を3kgとして3kHz、12kwの高周波電気炉で溶解し、化学組成が
C:3.3wt%、
Si:2.1wt%、
S:0.08wt%、
P:0.06wt%、
残部:鉄
からなる鋳鉄溶湯を作製する。
【0022】
この時、鋳鉄溶湯中のMn含有量を0〜5.0wt%の範囲内で変化させ、Mn含有量の異なる各鋳鉄溶湯を作製する。この時における最高溶解温度は1,753Kとする。
【0023】
次に、REとしてRE−Si(RE:32.5wt%、Si:34.4wt%)を用い、1,723Kにおける各鋳鉄溶湯中に、REをRE換算で0.2wt%添加する。
【0024】
その後、REが添加された各鋳鉄溶湯を、1,673Kの温度で各種鋳型(C3号板チル試験用シェル型、φ30mm×200mmのCO2 型、発光分光分析用金型)に流し込むと共に、冷却を行って、高強度鋳鉄からなる各試験片を作製する。
【0025】
C3号板チル試験用シェル型から試験片を取り出し、この板チル試験片を用いてチル深さ測定を行った。
【0026】
また、φ30mm×200mmのCO2 型から試験片を取り出すと共に加工を施して、JIS8Cの引張試験片を作製する。この試験片に対して引張試験を行い、その破断面近傍で組織観察およびブリネル硬さ測定を行った。
【0027】
(Mn添加量に対する引張強さ及びチル深さ)
Mn添加量と引張強さの関係を図2に、Mn添加量とクリアチル深さの関係を図3に示す。図2および図3の黒丸を結んだ実線はRE0.2wt%添加鋳鉄、四角を結んだ2点鎖線はRE無添加鋳鉄を示している。
【0028】
図2に示すように、Mn添加量が約0.9wt%未満と少ない内は、RE無添加鋳鉄の方が、RE0.2wt%添加鋳鉄よりも引張強さが高いが、Mn添加量が約0.9wt%以上と多くなると、RE0.2wt%添加鋳鉄の方が、RE無添加鋳鉄よりも引張強さが高くなる。特に、RE0.2wt%添加鋳鉄のMn添加量が1.0〜2.0wt%の範囲における引張強さの向上が著しい。
【0029】
図3に示すように、全般に、RE無添加鋳鉄の方が、RE0.2wt%添加鋳鉄よりもクリアチル深さが深い。特に、RE0.2wt%添加鋳鉄のMn添加量が1.0〜2.0wt%の範囲におけるクリアチル深さの低下が著しい。
【0030】
(Mn添加量に対する金属組織変化)
各鋳鉄における金属組織の光学顕微鏡写真を図4、図5、および図6に示す。図4(a)はMn添加量0.05wt%の鋳鉄を示し、図4(b)はMn添加量0.3wt%の鋳鉄を示し、図5(a)はMn添加量0.6wt%の鋳鉄を示し、図5(b)はMn添加量1.5wt%の鋳鉄を示し、図6(a)はMn添加量3.0wt%の鋳鉄を示し、図6(b)はMn添加量.0wt%の鋳鉄を示している。
【0031】
図4(a)に示すように、Mn添加量が0.05wt%の鋳鉄は、黒鉛片が細かく、良好な形状に成長していない。また、黒鉛の比率が少ない。このため、図2に示したように比較的高い引張強さ(約270MPa)を有しているが、硬度も高くなっている。図4(b)および図5(a)に示すように、Mn添加量が0.3wt%および0.6wt%の鋳鉄は、黒鉛片が細長く、かつ、形状が平面的に尖鋭で基地にフェライトが析出しているため、図2に示したようにMn添加量0.05wt%の鋳鉄に比べて引張強さが(約240MPa)低下している。
【0032】
これに対して、図5(b)に示すように、Mn添加量が1.5wt%の本発明の高強度鋳鉄は、黒鉛片が短く、かつ、形状が“いも虫状”であるため、図2に示したように引張強さも向上(約300MPa)している。
【0033】
各鋳鉄におけるパーライト組織のSEM写真を図7、図8に示す。図7(a)はMn添加量0.05wt%の鋳鉄を示し、図7(b)はMn添加量0.6wt%の鋳鉄を示し、図8(a)はMn添加量1.5wt%の鋳鉄を示し、図8(b)はMn添加量3.0wt%の鋳鉄を示している。
【0034】
図7および図8に示すように、Mn添加量の増加と共に、ラメラ間隔は狭くなっている。
【0035】
また、図6(a)に示すように、Mn添加量が3.0wt%の鋳鉄は、図7および図8に示したように基地のパーライトが変化しており、また、黒鉛片が短く、かつ、部分的に略球状の黒鉛片が存在しているため、図2に示したように引張強さは更に向上(約350MPa)している。これは、Mnを固溶したフェライトが析出し、このフェライトの固溶強化により引張強度及び硬さが増加したものである。さらに、図6(b)に示すように、Mn添加量が5.0wt%の鋳鉄は、全体に亘ってチル組織が存在している。
【0036】
このように、本発明の高強度鋳鉄は、黒鉛形状がやや“いも虫状”になること、およびパーライトのラメラ間隔が細かくなることの相乗効果で高強度化を図ったものである。
【0037】
尚、EPMA分析結果、MnS及びRE2 3 の複合硫化物が、黒鉛晶出の有効な下地となり、黒鉛化を著しく促進させる。
【0038】
(Mn添加量に対する引張強さおよびブリネル硬さ)
Mn添加量と引張強さ及びブリネル硬さの関係を図9に示す。Mn添加量を0〜3.0wt%と変化させた時の、引張強さとブリネル硬さの関係を図10に示す。図9の黒丸を結んだ実線は引張強さを示し、黒四角を結んだ点線はブリネル硬さを示し、図10の直線は、J.T.Mackenzie の関係式におけるRH=1を示している。
【0039】
図9に示すように、Mn添加量が0.05wt%の鋳鉄は、引張強さが約270MPa、ブリネル硬さが約255HBであり、また、Mn添加量が0.3wt%の鋳鉄は、引張強さが約235MPa、ブリネル硬さが約205HBであり、共に図10に示す直線より上方に位置しており、引張強さに対して硬さが高過ぎる。
【0040】
これに対して、Mn添加量が0.6wt%、1.2wt%、1.5wt%、2.0wt%、3.0wt%の鋳鉄は、それぞれ引張強さとブリネル硬さが、約240MPaと約195HB、約275MPaと約195HB、約295MPaと約195HB、約305MPaと約205HB、約350MPaと約230HBであり、図中の直線より下方に位置しており、引張強さの割には硬さが余り高くなく、材質が良好であることを示している。
【0041】
特に、Mn添加量が1.2wt%、1.5wt%、2.0wt%である本発明の高強度鋳鉄は、引張強さが約260〜300(MPa)と高く、かつ、ブリネル硬さが約190〜210(HB)と低く、優れた機械的特性を示している。すなわち、1.0〜2.0wt%のMn添加によって、黒鉛晶出の下地となる複合硫化物が生成すると共に、黒鉛基地組織が改善されるため、引張強度が高く、かつ、ブリネル硬さの低い高強度鋳鉄を得ることができる。
【0042】
(Ce(RE)に対するチル深さ及び引張強さ)
Ce添加量とクリアチル深さの関係を図11に、Ce添加量と引張強さの関係を図12に示す。図11、図12において、黒丸を結んだ実線はS0.003wt%含有鋳鉄を示し、黒三角を結んだ実線はS0.05wt%含有鋳鉄を示し、黒四角を結んだ実線はS0.1wt%含有鋳鉄を示している。
【0043】
図11に示すように、Sの含有量の少ないS0.003wt%含有鋳鉄は、クリアチル深さの最低が8mm程度であり、Ce(RE)の添加による組織改善の効果が低い。
【0044】
これに対して、Sの含有量の多いS0.05wt%含有鋳鉄およびS0.1wt%含有鋳鉄は、クリアチル深さの最低が0〜1.5mm程度となり、Ce(RE)の添加による組織改善の効果が高く、特に、Ce(RE)の添加量がSの含有量の2倍の時、その効果が顕著である。
【0045】
また、図12に示すように、Sの含有量の少ないS0.003wt%含有鋳鉄は、引張強さの最高が27.0kgf/mm2 (約265MPa)程度であり、Ce(RE)の添加による強度向上の効果が低い。
【0046】
これに対して、Sの含有量の多いS0.05wt%含有鋳鉄およびS0.1wt%含有鋳鉄は、引張強さの最高が30〜31.5kgf/mm2 (約295〜310MPa)程度となり、Ce(RE)の添加による強度向上の効果が高く、特に、Ce(RE)の添加量がSの含有量の2倍の時、その効果が顕著である。
【0047】
(切削性)
各鋳鉄について切削性を評価した。この切削性を評価するための切削装置図を図13に示す。図13(a)は切削装置の斜視図を示し、図13(b)は、図13(a)の要部拡大図を示し、図13(c)は逃げ面摩耗幅の測定方法を示している。
【0048】
図13(a)に示すように、各鋳鉄を被切削材3として切削加工を行う。
【0049】
図13(b)、(c)に示すように、被切削材3を回転させると共に、被切削材3の表面に工具1を当てがって切削加工を行ううちに、工具1の先端部において逃げ面摩耗Aが生じる。
【0050】
逃げ面摩耗幅Tの測定は、切削加工開始直後の工具1の先端の逃げ面摩耗幅がT=0であるのに対して、逃げ面摩耗Aが生じた工具1の先端の逃げ面摩耗幅はT=Lとなる。
【0051】
切削長さと逃げ面摩耗幅の関係を図14に示す。図14において、黒丸を結んだ点線はMnを2.0wt%、Sを0.08wt%添加し、RE−Si(RE32.5wt%、Si34.4wt%)を接種した本発明の高強度鋳鉄を示し、黒菱を結んだ点線はMnを2.0wt%、Sを0.02wt%添加し、RE−Siを接種した鋳鉄を示し、白三角を結んだ実線はCa−Siを接種したFC300を示し、白四角を結んだ実線はFe−Siを接種したFC300を示し、黒三角を結んだ実線はCa−Siを接種したFC350を示し、黒四角を結んだ実線はFe−Siを接種したFC350を示している。
【0052】
ここで、本発明の高強度鋳鉄、Mn2.0wt%、S0.02wt%添加、RE−Si接種鋳鉄(以下、比較鋳鉄と呼ぶ)、Ca−Si接種FC300、Fe−Si接種FC300、Ca−Si接種FC350、およびFe−Si接種FC350の引張強さは、それぞれ341.5MPa、340.5MPa、304.7MPa、270.1MPa、338MPa、281.4MPaである。
【0053】
図14に示すように、本発明の高強度鋳鉄、Ca−Si接種FC300、およびFe−Si接種FC300は、切削長が1000mm超になっても、逃げ面摩耗幅が200μm程度であり、良好な耐摩耗性を示している。
【0054】
FC350はFC300よりも引張強さが高い分だけ逃げ面摩耗幅(摩耗量)が多くなっており、比較鋳鉄はS含有量が少ないことによるRE−Si接種の効果が低いため、図11に示したようにチル深さが深くなっており、逃げ面摩耗幅(摩耗量)が多くなっている。
【0055】
引張強さと逃げ面摩耗幅の関係を図15に示す。図15において、黒丸は本発明の高強度鋳鉄を示し、黒菱は比較鋳鉄を示し、白三角はCa−Si接種FC300を示し、白四角はFe−Si接種FC300を示し、黒三角はCa−Si接種FC350を示し、黒四角はFe−Si接種FC350を示している。
【0056】
図15に示すように、本願発明の高強度鋳鉄は引張強さが約335MPaと大きいにも関わらず、逃げ面摩耗幅が150μm弱と少ない。
【0057】
これに対して、耐摩耗性が良好なCa−Si接種FC300およびFe−Si接種FC300は、本願発明の高強度鋳鉄と比べて、引張強さが約305MPa、約270MPaと小さい。また、比較鋳鉄、Ca−Si接種FC350、およびFe−Si接種FC350は、逃げ面摩耗幅がいずれも200μmを超えており、耐摩耗性が劣っている。
【0058】
すなわち、本願発明の高強度鋳鉄は、Sを十分含有(0.05〜0.2wt%)し、MnおよびREを規定範囲(Mn:1.0〜2.0wt%,RE:Sの2倍量(0.1〜0.4wt%))内で含有しているため、切削加工を長く行っても逃げ面摩耗幅が小さく、かつ、引張強度は高い。
【0059】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、Sを0.05〜0.2wt%、Mnを1.0〜2.0wt%、REをSの2倍量である0.1〜0.4wt%含有しているため、引張強度が高い割には硬度が余り高くなく、かつ、摩耗しにくい高強度鋳鉄を得ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高強度鋳鉄の一製造方法のフローチャートである。
【図2】Mn添加量と引張強さの関係を示す図である。
【図3】Mn添加量とクリアチル深さの関係を示す図である。
【図4】Mn添加量0.05wt%およびMn添加量0.3wt%の鋳鉄における黒鉛形状の光学顕微鏡写真である。
【図5】Mn添加量0.6wt%およびMn添加量1.5wt%の鋳鉄における黒鉛形状の光学顕微鏡写真である。
【図6】Mn添加量3.0wt%およびMn添加量3.0wt%の鋳鉄における黒鉛形状の光学顕微鏡写真である。
【図7】Mn添加量0.05wt%およびMn添加量0.6wt%の鋳鉄におけるパーライト組織のSEM写真である。
【図8】Mn添加量1.5wt%およびMn添加量3.0wt%の鋳鉄におけるパーライト組織のSEM写真である。
【図9】Mn添加量と引張強さ及びブリネル硬さの関係を示す図である。
【図10】Mn添加量を0〜3.0wt%と変化させた時の、引張強さとブリネル硬さの関係を示す図である。
【図11】Ce添加量とクリアチル深さの関係を示す図である。
【図12】Ce添加量と引張強さの関係を示す図である。
【図13】切削性を評価するための切削装置図である。
【図14】切削長さと逃げ面摩耗幅の関係を示す図である。
【図15】引張強さと逃げ面摩耗幅の関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 片状黒鉛鋳鉄で構成される高強度鋳鉄の製造方法であって、
    Sを0.0〜0.2wt%含有する鋳鉄を溶解して溶湯を形成し、
    その溶湯中に、Mnを1.0〜.0wt%の割合で添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量倍量の0.10〜0.4wt%の割合で添加することを特徴とする高強度鋳鉄の製造方法。
  2. 片状黒鉛鋳鉄で構成される高強度鋳鉄であって、
    Sを0.0〜0.2wt%含有する鋳鉄母材に、Mn1.0〜.0wt%、稀土類元素またはミッシュメタル記S含有倍量の0.10〜0.4wt%の割合で含有させたことを特徴とする高強度鋳鉄。
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