JP2003055731A - 強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 - Google Patents

強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003055731A
JP2003055731A JP2001244223A JP2001244223A JP2003055731A JP 2003055731 A JP2003055731 A JP 2003055731A JP 2001244223 A JP2001244223 A JP 2001244223A JP 2001244223 A JP2001244223 A JP 2001244223A JP 2003055731 A JP2003055731 A JP 2003055731A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spheroidal graphite
cast iron
graphite cast
elongation
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001244223A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4801799B2 (ja
Inventor
Norio Ichie
範郎 一江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Takaoka Co Ltd
Original Assignee
Aisin Takaoka Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Takaoka Co Ltd filed Critical Aisin Takaoka Co Ltd
Priority to JP2001244223A priority Critical patent/JP4801799B2/ja
Publication of JP2003055731A publication Critical patent/JP2003055731A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4801799B2 publication Critical patent/JP4801799B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】強度及び伸びを改善すると共に、良好な被削性
が得られる強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】この球状黒鉛鋳鉄は、球状黒鉛と、球状黒
鉛の回りに生成したフェライト相と、隣設するフェライ
ト相間に生成されたパーライト相とを有する。パーライ
ト相は、粒状パーライトとラメラパーライトとを主体と
している。製造にあたり、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳型に
注湯し、凝固後の球状黒鉛鋳鉄を鋳型から取り出し、パ
ーライトを生成する冷却速度で球状黒鉛鋳鉄を冷却す
る。その後、球状黒鉛鋳鉄をA1変態点の直下または直
上の温度領域に加熱保持する。その後、球状黒鉛鋳鉄を
冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強度、伸び及び被削
性に優れた球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法に関する。本
発明は、例えば、車両のサスペンションアーム、ステア
リングナックル等といった強度、伸び(延性)及び被削
性が要請される部品に適用できる。
【0002】
【従来の技術】産業界では球状黒鉛鋳鉄が提供されてい
る。球状黒鉛鋳鉄は片状黒鉛鋳鉄に比較して、黒鉛に起
因する切欠効果が少なく、しかも強度、伸び及び衝撃値
といった機械的性質に優れている。しかしながら近年、
車両部品、産業機器部品等に要求される機械的性質は、
ますます厳しいものとなっている。このため、機械的性
質に優れている球状黒鉛鋳鉄といえども、強度と伸びと
は互いに相反する特性であるため、強度及び伸びの双方
において近年の厳しい要求特性を充分に満足させること
は、容易ではなかった。
【0003】即ち、FCD700等のように、パーライ
トが多い球状黒鉛鋳鉄は、高い引張強度を示すが、伸び
が低い。これに対してFCD400、FCD450等の
ように、フェライトが多い球状黒鉛鋳鉄は、引張強度は
低いが、高い伸びを示す。しかしながら上記した球状黒
鉛鋳鉄は、強度及び伸びの双方において近年の厳しい要
求特性を必ずしも満足させ得るものではなかった。
【0004】殊に、車両の足回り部品等に代表される鋳
鉄部品では、高剛性・高強度化を図るモードで設計され
るばかりか、高強度化を図ると共に衝突時における衝撃
を吸収し易いように、衝撃吸収促進モードで設計される
ことがある。このような衝撃吸収促進モードで設計し、
同時に軽量化を図る場合には、上記したFCD700、
FCD450、FCD400といった球状黒鉛鋳鉄で
は、厳しい要求には必ずしも良好に対応できない。
【0005】また、強度及び伸びを改善した球状黒鉛鋳
鉄として、特開平6−17186号公報には、フェライ
ト化率を70%以上とした表層と、パーライト及びフェ
ライトからなりフェライト化率を表層よりも15%低く
した内部とを有する球状黒鉛鋳鉄が開示されている。こ
の公報技術によれば、溶湯の凝固完了後に、鋳造品がA
1変態点以上のときに鋳型から型ばらしを行ない、次
に、鋳造品の表層と内部との温度差が40〜60℃とな
ったときに、鋳造品を750〜900℃に保持された熱
処理炉に装入し、次に鋳造品を15〜100℃/分の冷
却速度で冷却することにしている。
【0006】また、曲げ性及び耐衝撃性を改善した球状
黒鉛鋳鉄として、特開平9−296215号公報には、
フェライト化率が60%以上の表層と、基地の大部分が
パーライトからなる内部とを有する球状黒鉛鋳鉄が開示
されている。この公報技術によれば、球状黒鉛鋳鉄の基
地全体がオーステナイト化する温度で鋳造品を加熱保持
し、次に表層部のフェライト化が内部のパーライト化よ
りも先に起きる冷却速度(5〜20℃/分)で鋳造品を
冷却し、次に表層の基地がフェライトのままで内部基地
のパーライト化が起きる温度(730〜750℃)に加
熱保持し、内部のパーライト化が完了した直後に常温域
に冷却することにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した公報技術に係
る球状黒鉛鋳鉄によれば、フェライトが多く、高い伸び
が得られる表層を形成することで、曲げ時の最大応力部
の亀裂の生成が抑制される。しかしながらこのような効
果を有する公報技術に係る球状黒鉛鋳鉄においても、強
度及び伸びの双方における厳しい要求特性を満足させる
ことは、必ずしも充分ではなかった。
【0008】即ち、上記した公報技術に係る球状黒鉛鋳
鉄によれば、フェライトリッチの表層の強度不足を補う
ために、球状黒鉛鋳鉄の内部をより高強度(即ち、より
低い伸び)にする必要があり、このため伸びが低い内部
の高強度部から亀裂が発生し易いと推察される。殊に、
両端が種々の形態で取付部に結合される製品に球状黒鉛
鋳鉄を適用した場合には、製品の両端はなんらかの拘束
を受けているため、負荷荷重が製品に作用したとき、軸
方向の引張荷重が分力として、製品の内部を形成する高
強度部にかかり、軸長方向の伸びが低いと、その変位で
内部の高強度部が破断する可能性があると推察される。
更に上記した公報技術に係る球状黒鉛鋳鉄によれば、フ
ェライトリッチの表層は被削性が良好であるものの、球
状黒鉛鋳鉄の大部分を占める内部が高強度部のラメラパ
ーライトで占められているため、球状黒鉛鋳鉄の被削性
は必ずしも良好ではない。
【0009】本発明は上記した実情に鑑みてなされたも
のであり、強度及び伸びを改善すると共に、良好な被削
性が得られる強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳
鉄及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、強度、伸び
及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄について長年にわたり
鋭意開発を進めている。そして本発明者は、球状黒鉛
と、球状黒鉛の回りに生成したフェライト相と、隣設す
るフェライト相間に生成されたパーライト相とを有する
球状黒鉛鋳鉄において、パーライト相を、粒状パーライ
トとラメラパーライトとを主体とする相とすれば、強
度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄が得られるこ
とを知見し、試験で確認し、本発明に係る球状黒鉛鋳鉄
を開発した。ここで、ラメラパーライトは層状パーライ
トを意味する。
【0011】更に本発明者は、上記した球状黒鉛鋳鉄を
得るためには、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳型に注湯する工
程と、パーライトを生成する冷却速度で球状黒鉛鋳鉄を
冷却する第1冷却工程と、球状黒鉛鋳鉄をA1変態点
(=A1変態点)の直下または直上の温度領域に加熱保
持する加熱保持工程と、加熱保持後に球状黒鉛鋳鉄を冷
却する第2冷却工程といった工程を含む製造方法を実施
すれば、強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄を
製造できることを知見し、本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の
製造方法を完成した。
【0012】パーライト相を、粒状パーライトとラメラ
パーライトとを主体とする相とする場合に、強度、伸び
及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄が得られる理由として
は、ラメラパーライトの連続性が中断されるため、組織
における破壊や伸びに対する方向性が軽減されることに
起因すると推察される。
【0013】即ち、本発明に係る強度、伸び及び被削性
に優れた球状黒鉛鋳鉄は、球状黒鉛と、前記球状黒鉛の
回りに生成したフェライト相と、隣設する前記フェライ
ト相間に生成されたパーライト相とを有する球状黒鉛鋳
鉄において、前記パーライト相は、粒状パーライトとラ
メラパーライトとを主体としていることを特徴とするも
のである。主体とは、球状黒鉛鋳鉄の組織においてパー
ライト相のうち、粒状パーライトとラメラパーライトと
がほとんど(90%以上)を占めているという意味であ
る。ここで、球状黒鉛鋳鉄におけるパーライト相を10
0%としたとき、粒状パーライトの割合が面積比で20
〜85%を占め、残部が実質的にラメラ(層状)パーラ
イトとすることができる。換言すれば、球状黒鉛鋳鉄に
おけるパーライト相を100%としたとき、粒状パーラ
イトの割合が面積比で20〜85%を占めると共に、ラ
メラ(層状)パーライトが面積比で80〜15%を占め
ることができる。
【0014】粒状パーライトは、粒状、球状となったパ
ーライトであり、ラメラパーライトが長さ方向及び積層
方向において分断されて周囲から遊離した細長い粒状
(長さ/幅=50以下)を含むことができる。細長い粒
状のパーライトは、ラメラパーライトから完全な粒状パ
ーライトに移行する途中段階であると推察される。
【0015】本発明に係る強度、伸び及び被削性に優れ
た球状黒鉛鋳鉄によれば、パーライト相は、粒状パーラ
イトとラメラパーライトとを主体としている。このた
め、強度を確保しつつ、伸びが改善される。更に粒状パ
ーライトは、強度を確保しつつ伸びが改善される他に、
破壊に対する方向性が少ないため、後述する被削性試験
で示すように、被削性が良いという利点も得られる。
【0016】本発明に係る強度、伸び及び被削性に優れ
た球状黒鉛鋳鉄の製造方法は、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳
型に注湯する工程と、パーライトを生成する冷却速度で
球状黒鉛鋳鉄を冷却する第1冷却工程と、前記球状黒鉛
鋳鉄をA1変態点の直下または直上の温度領域に加熱保
持する加熱保持工程と、加熱保持後に前記球状黒鉛鋳鉄
を冷却する第2冷却工程とを含むことを特徴とするもの
である。第1冷却工程としては、凝固後の球状黒鉛鋳鉄
を鋳型から取り出して行うことができる。
【0017】本発明に係る強度、伸び及び被削性に優れ
た球状黒鉛鋳鉄の製造方法によれば、パーライトを生成
する冷却速度で球状黒鉛鋳鉄を冷却する第1冷却工程を
行うため、球状黒鉛鋳鉄の基地におけるパーライト相の
面積割合を確保することができ、球状黒鉛鋳鉄の強度を
確保することができる。更に、球状黒鉛鋳鉄をA1変態
点の直下または直上の温度領域に加熱保持する加熱保持
工程を行うため、パーライト相におけるセメンタイトが
粒状化し、パーライト相を粒状パーライトとラメラパー
ライトとを主体とする相とすることができる。このた
め、強度を確保しつつ、伸びが改善された球状黒鉛鋳鉄
が得られる。更に粒状パーライトは破壊に対する方向性
が少ないため、球状黒鉛鋳鉄の被削性が良いという利点
も得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】・本発明に係る球状黒鉛鋳鉄は、
球状黒鉛と、球状黒鉛の回りに生成したフェライト相
と、隣設するフェライト相間に生成されたパーライト相
とを有する。球状黒鉛の球状化率としては一般的には7
5%以上、殊に80%以上とすることができる。球状黒
鉛の平均粒径としては球状黒鉛鋳鉄の用途、球状黒鉛鋳
鉄の肉厚等によっても相違するものの、20〜100μ
m、殊に20〜60μmを例示することができる。
【0019】・球状黒鉛鋳鉄のパーライト相は、粒状パ
ーライトとラメラパーライトとを主体とする。このよう
にするには、組織のパーライトをラメラ状とした球状黒
鉛鋳鉄をA1変態点の直下または直上の温度領域に加熱
保持することにより行い得る。このようにすれば、パー
ライト相のうちフェライト相側に、ラメラパーライトと
粒状パーライトとを主体とする混在相を形成することが
できる。一般的には、ラメラパーライトからフェライト
相に向かうにつれて、粒状パーライトが次第に増加する
傾斜組成組織となる。このような傾斜組成組織であれ
ば、パーライト相における方向性が軽減され、パーライ
ト相における負荷応力の分散性が向上すると推察され
る。
【0020】・パーライト相において、面積比で、(粒
状パーライト/全パーライト)×100%をαとしたと
き、α=20〜85%に設定されている実施形態を採用
することができる。αの下限値及び上限値は、前記した
ように球状黒鉛鋳鉄の用途、要請される機械的性質、粒
状パーライトを得る加熱保持工程における熱処理コスト
等によって選択できる。従ってαとしては、25〜85
%、30〜85%、35〜75%、35〜70%、40
〜70%を例示することができる。一般的には、高強度
の要請が強い球状黒鉛鋳鉄では、αとしては25〜60
%、殊に25〜50%とすることができる。高伸びの要
請が強い球状黒鉛鋳鉄では、αとしては40〜85%、
殊に60〜85%とすることができる。
【0021】αを変えるには、加熱保持工程における温
度、加熱時間を調整すれば良い。αの下限値及び上限値
は、前記したように球状黒鉛鋳鉄の用途、要請される機
械的性質、粒状パーライトを得る加熱保持工程における
熱処理コスト等によって選択できる。なおαの下限値と
しては、26%、30%、33%、36%、39%を例
示できる。上記した下限値と組み合わせ得るαの上限値
としては、83%、78%、75%、72%、70%を
例示できる。
【0022】・球状黒鉛鋳鉄としては、引張強度が60
0MPa以上、伸びが10%以上とすることができる。
この場合、衝撃値が5J/cm2以上とし、強度及び伸
びの他に耐衝撃性にも優れている球状黒鉛鋳鉄とするこ
とができる。なお、球状黒鉛鋳鉄であっても、パーライ
ト相がラメラパーライトで形成されており、粒状パーラ
イトを含まない場合には、引張強度が600MPa以上
であれば、伸び10%及び衝撃値5J/cm2はなかな
か得られない。
【0023】・球状黒鉛鋳鉄の組成は、球状黒鉛鋳鉄の
用途、要請される機械的性質等に応じて選択される。球
状黒鉛鋳鉄の組成としては、次の組成を例示できる。即
ち、重量比で、炭素:3.40〜3.90%、シリコ
ン:1.9〜3.4%、Mn:0.5%以下、リン:
0.08%以下、イオウ:0.03%以下、マグネシウ
ム:0.02〜0.20%を含む組成とすることができ
る。但しこの組成に限定されるものではなく、必要に応
じて変更できる。この場合、必要に応じて、パーライト
促進元素である銅及びスズの少なくとも1種を、0.0
05〜0.40%、殊に0.01〜0.35%含有する
ことができる。
【0024】更に球状黒鉛鋳鉄の組成について例示す
る。炭素は鋳造性の確保のため必要であるが、過剰であ
れば、引張強度が低下する。従って、炭素は3.40〜
3.90%とすることができ、殊に3.5〜3.8%と
することができる。シリコンは鋳造性の確保、組織の安
定化のため必要であるが、過剰であれば、パーライト化
が抑えられる。従って、シリコンは1.9〜3.4%、
殊に2.4〜2.9%とすることができる。マンガンは
パーライト促進元素であるが、過剰であれば衝撃値及び
伸びを低下させる。従って、マンガンは0.05〜0.
5%、殊に0.05〜0.35%とすることができる。
リンは球状化阻害元素であり、0.08%以下とするこ
とが好ましい。イオウは球状化阻害元素であり、0.0
3%以下とすることが好ましい。マグネシウムは黒鉛の
球状化のため必要であり、0.02〜0.20%とする
ことができ、殊に0.025〜0.15%とすることが
できる。なお%は重量比を意味する。
【0025】・本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の製造方法
は、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳型に注湯する工程と、パー
ライト(一般的にはラメラパーライト)を生成する冷却
速度で球状黒鉛鋳鉄を冷却する第1冷却工程と、球状黒
鉛鋳鉄をA1変態点の直下または直上の温度領域に加熱
保持する加熱保持工程と、加熱保持後に球状黒鉛鋳鉄を
冷却する第2冷却工程とを含む。鋳型としては、生砂
型、シェル型等の砂型、石膏型等の公知のものを例示で
きる。第1冷却工程では、球状黒鉛鋳鉄の基地にパーラ
イト(一般的にはラメラパーライト)を生成する冷却速
度で冷却する。第1冷却工程での冷却速度が遅い場合、
良好なパーライトが生成されにくい。パーライトの生成
を考慮すれば、第1冷却工程の平均冷却速度としては、
一般的には1.0℃/秒〜3.0℃/秒、殊に1.3℃
/秒〜2.0℃/秒とすることができる。
【0026】砂型等のように冷却速度の増加に限界があ
る鋳型の場合には、第1冷却工程としては、球状黒鉛鋳
鉄の溶湯が鋳型内で凝固した後に、凝固後の球状黒鉛鋳
鉄を鋳型から取り出して行うことが好ましい。凝固後の
球状黒鉛鋳鉄を鋳型から取り出す球状黒鉛鋳鉄の温度
は、A1変態点を越える温度領域でオーステナイト化し
ている温度領域とすることができる。具体的には、球状
黒鉛鋳鉄の大きさ、組成、鋳型の材質等によっても相違
するものの、例えば820〜1050℃、殊に850〜
980℃とすることができる。第1冷却工程は空冷で行
うことができる。空冷としてはパーライトの生成のため
に強制空冷を採用できるが、自然空冷でも良く、場合に
よっては他の熱媒体を利用した冷却形態でも良い。
【0027】加熱保持工程では、球状黒鉛鋳鉄をA1変
態点の直下または直上の温度領域に加熱保持する。この
ようにすれば、ラメラパーライトを粒状パーライトにす
ることができる。加熱保持工程での加熱保持時間として
は、球状黒鉛鋳鉄のサイズ、組成によっても相違する
が、一般的には5〜50分間を採用することができる。
加熱保持時間が過剰に短いと、粒状パーライトの生成が
行われにくい。加熱保持時間が過剰に長いと、粒状パー
ライト及びフェライトの生成が過剰となり、引張強さの
低い材料となり易い。加熱保持工程における加熱雰囲気
としては、大気雰囲気、還元性雰囲気を例示できる。加
熱保持工程を終えた後の第2冷却工程の平均冷却速度と
しては、残熱によるフェライトの生成を考慮すると、一
般的には1℃/分〜3.0℃/秒、殊に0.1℃/秒〜
1.0℃/秒とすることができる。
【0028】・加熱保持工程での温度が高いと、粒状パ
ーライト及びフェライトの生成が過剰となるため、加熱
保持時間を短くすることが好ましい。加熱保持工程での
温度が低いと、パーライトが粒状パーライトに変化する
のに時間を要するため、加熱保持時間を長くすることが
好ましい。
【0029】また加熱保持工程の時間が過剰に短いと、
工業的生産ラインにおいて、加熱保持工程に要する時間
の制御が容易でなくなる。このため、工業的生産ライン
における制御性を考慮すると、加熱保持工程としては、
所定時間以上とすることが好ましい。これらの点を考慮
して、加熱保持工程は、次の(a)〜(c)のいずれか
の条件で行うことができる。球状黒鉛鋳鉄の温度は、球
状黒鉛鋳鉄の表層ではなく球状黒鉛鋳鉄の内部に基づ
く。 (a)温度:700〜760℃、加熱時間:3〜20分
間 (b)温度:670〜730℃、加熱時間:7〜30分
間 (c)温度:670〜730℃、加熱時間:20〜50
分間 ・加熱保持工程は、前述したように球状黒鉛鋳鉄をA1
変態点の直下または直上の温度領域に加熱保持する工程
である。球状黒鉛鋳鉄をA1変態点の直下または直上の
温度領域に加熱保持するとは、次の(1)〜(3)のい
ずれかとすることができる。球状黒鉛鋳鉄の温度は、球
状黒鉛鋳鉄の表層ではなく球状黒鉛鋳鉄の内部の温度に
基づく。 (1)A1変態点の直下 (2)A1変態点の直上 (3)A1変態点の直上及び直下の繰返し ここで、図1(A)に示すように、A1変態点の直下
は、A1変態点からΔK1(60℃)低い温度までの温
度領域以内を意味し、A1変態点からΔK1以内の温度
領域であれば良く、A1変態点自体も含むことができ
る。従ってA1変態点から10℃または20℃低い温度
でも良い。
【0030】図1(B)に示すように、A1変態点の直
上は、A1変態点からΔK2(30℃)高い温度までの
温度領域以内を意味し、A1変態点からΔK2以内の温
度領域であれば良く、A1変態点自体も含むことができ
る。従ってA1変態点から10℃または20℃高い温度
でも良い。
【0031】図1(C)(D)に示すように、A1変態
点の直上及び直下の繰返しは、A1変態点よりもΔK3
(30℃)高い温度とA1変態点よりもΔK4(60
℃)低い温度との間の温度領域以内において、昇温及び
降温、または降温及び昇温を繰り返すことを意味する。
従ってA1変態点に対して+20℃から、A1変態点に
対して−20℃の温度領域以内で昇温及び降温、または
降温及び昇温を繰り返しても良い。
【0032】なお、加熱保持の時間としては前記したよ
うに5〜50分間とすることができるが、加熱温度が低
い場合には、加熱時間を長くすることが好ましい。
【0033】・本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の製造方法に
よれば、図1(E)に例示するように、球状黒鉛鋳鉄の
溶湯を鋳型に注湯する工程を行う。次に、凝固後の球状
黒鉛鋳鉄の温度がT1(T1:840〜990℃)とな
ったとき、球状黒鉛鋳鉄を鋳型から取り出し、パーライ
ト(一般的にはラメラパーライト)を生成する冷却速度
で、加熱保持工程の温度T2以下の温度T3にまで、球
状黒鉛鋳鉄を冷却する第1冷却工程を行なう。第1冷却
工程における平均冷却速度としては1.0℃/秒〜3.
0℃/秒とすることができる。その後、球状黒鉛鋳鉄を
A1変態点の直下の温度T2に昇温させる昇温工程を行
う。更に、温度T2に加熱保持する加熱保持工程を行
う。更に加熱保持後に球状黒鉛鋳鉄を常温領域まで冷却
する第2冷却工程を行う。加熱保持工程の温度T2が7
30℃(1003K)のときには5〜10分間、700
℃(973K)のときには10〜20分間、680℃
(953K)のときには20〜40分間とすることがで
きる。第2冷却工程における平均冷却速度としては1℃
/分〜3.0℃/秒とすることができる。
【0034】・上記した第1冷却工程、加熱保持工程、
第2冷却工程を、連続的に行なう形態を採用することが
できる。この場合、溶湯を鋳型に鋳造した後に、第1冷
却工程、加熱保持工程、第2冷却工程を連続的に行なう
ことができる。このように第1冷却工程、加熱保持工
程、第2冷却工程を連続的に行なう場合には、球状黒鉛
鋳鉄の再加熱が不要となるため、省エネルギ化を図り得
る。
【0035】・また上記した第1冷却工程及び加熱保持
工程を非連続的に行なう形態を採用することができる。
この場合、第1冷却工程では、球状黒鉛鋳鉄を常温また
は常温付近まで一旦冷却する。更に加熱保持工程に先立
って、常温または常温付近の球状黒鉛鋳鉄を再加熱し、
加熱保持工程の温度領域まで昇温させる昇温工程を行な
う。このように昇温工程を行った後に、加熱保持工程を
行う形態を採用することができる。上記したように第1
冷却工程及び加熱保持工程を非連続的に行なう場合に
は、少量ロット生産の場合であっても、球状黒鉛鋳鉄を
まとめて加熱保持工程に移行させることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例について、
図1〜図12を参照しつつ具体的に説明する。まず、目
標組成となるように配合した溶解材料を溶解炉で溶解
し、各実施例に係る球状黒鉛鋳鉄の溶湯を得た。その溶
湯をマグネシウム系の球状化処理剤で球状化処理した。
球状化温度は1480〜1500℃とした。球状化処理
した溶湯をY型ブロック用鋳型(砂型)に注湯し、鋳造
素材であるY型ブロックを形成した。Y型ブロック用鋳
型では、試験片採取部が厚み25mmとされている。
【0037】各実施例に係る球状黒鉛鋳鉄の組成を表1
に示す。実施例1では、図2に示す熱履歴パターンに基
づいて球状黒鉛鋳鉄を製造した。即ち、図2に示すよう
に、注湯後に鋳型内冷却工程を行ない、溶湯を鋳型内で
凝固させると共に、球状黒鉛鋳鉄を鋳型内で920℃ま
で冷却した。そして直ちに鋳型の解体(高温ばらし)を
行い、凝固後の球状黒鉛鋳鉄を鋳型から取り出した。球
状黒鉛鋳鉄の表面層に付着している砂を落とし、球状黒
鉛鋳鉄を強制冷却(強制空冷)により冷却し、第1冷却
工程を行った。第1冷却工程での平均冷却速度は−1.
5℃/秒であった。これにより球状黒鉛鋳鉄の組織のパ
ーライト(ラメラパーライト)を析出した。第1冷却工
程により球状黒鉛鋳鉄を680℃(A1変態点の直下の
温度領域)まで冷却した。第1冷却工程を経た球状黒鉛
鋳鉄の組織は、球状黒鉛と、球状黒鉛の回りに生成した
フェライト相と、隣設するフェライト相間に生成された
パーライト相(ラメラパーライト)とを有しており、ブ
ルスアイ型の組織とされている。
【0038】そして第1冷却工程が終了したら、球状黒
鉛鋳鉄を熱処理炉内(設定温度:700℃)に装入し、
700℃(A1変態点の直下の温度領域)で15分間加
熱保持し、加熱保持工程を行なった。これにより球状黒
鉛鋳鉄の組織を調整し、ラメラパーライトの粒状化を図
った。このような加熱保持工程が終了したら、球状黒鉛
鋳鉄を熱処理炉から取り出し、放冷(空冷)し、第2冷
却工程を行った。
【0039】第2冷却工程を終えた球状黒鉛鋳鉄の組織
を光学顕微鏡観察で観察したところ、実施例1に係る球
状黒鉛鋳鉄の組織は、球状黒鉛と、球状黒鉛の回りに生
成したフェライト相と、隣設するフェライト相間に生成
されたパーライト相とを有していた。パーライト相は、
粒状パーライトとラメラパーライトとを主体としてい
た。粒状パーライトはフェライト側に多く生成されてい
た。従って粒状パーライトとラメラパーライトとが混在
した混在相はフェライト相側に形成されていた。
【0040】実施例2〜実施例7の製造条件は基本的に
は実施例1と同様とした。以下実施例2〜実施例7の製
造条件について実施例1と異なる部分を中心として説明
する。実施例2では、第1冷却工程での平均冷却速度を
実施例1よりも速めており、−1.5℃/秒に代えて、
−2.3℃/秒とした。これによりパーライト化が促進
される。
【0041】実施例3では、実施例1に係る溶湯を用い
つつも、パーライト促進元素として機能する銅を多め
(0.21%)に添加した。これによりパーライト化が
促進される。実施例4では、熱処理炉の設定温度を70
0℃ではなく、710℃(A1変態点の直下の温度領
域)とした。
【0042】実施例5では、実施例1の球状黒鉛鋳鉄の
組成のシリコン含有量を0.3%低く、シリコン:2.
38%とした。シリコンを低くしたのは、第1冷却工程
でのパーライト化の促進と衝撃値を向上させるためであ
る。実施例6では、図3に示す熱履歴パターンに基づい
て球状黒鉛鋳鉄を製造した。即ち、実施例6では、第1
冷却工程、加熱保持工程を非連続的に行なう。このよう
な実施例6では、溶湯を鋳型に注湯した後に鋳型内冷却
工程を行い、鋳型(砂型)内で溶湯を凝固させると共
に、球状黒鉛鋳鉄を920℃まで鋳型内で冷却した。そ
の後、第1冷却工程として、鋳型を解体し、凝固後の球
状黒鉛鋳鉄を鋳型から取り出し、その球状黒鉛鋳鉄を強
制空冷により700℃まで−1.5℃/秒の平均冷却速
度で冷却し、組織に適量のパーライト(ラメラパーライ
ト)を析出させた。その後、その球状黒鉛鋳鉄を常温ま
で自然放冷した。その後、球状黒鉛鋳鉄に対して後処理
・物流工程を適宜行った後に、球状黒鉛鋳鉄を熱処理炉
内に装入して昇温工程を行って球状黒鉛鋳鉄を再加熱
し、更に熱処理炉により710℃(A1変態点の直下)
で10分間加熱保持し、加熱保持工程を行ない、球状黒
鉛鋳鉄の組織を調整し、ラメラパーライトの粒状化を促
進させた。
【0043】実施例7では、図4に示す熱履歴パターン
に基づいて球状黒鉛鋳鉄を製造した。即ち、実施例7で
は、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳型内に注湯した後に凝固さ
せ、鋳型内で常温付近まで冷却した。次に、鋳型から取
り出した球状黒鉛鋳鉄を900℃まで昇温させ900℃
で1時間加熱してオーステナイト化した。その後に第1
冷却工程として−1.3℃/秒の平均冷却速度で600
℃まで強制冷却(強制空冷)し、パーライト(ラメラパ
ーライト)を析出させるパーライト化焼準を行った。そ
の後常温付近まで自然放冷した。更に、球状黒鉛鋳鉄を
700℃(A1変態点の直下)まで再加熱する昇温工程
を行い、700℃で20分間加熱保持して加熱保持工程
を行い、球状黒鉛鋳鉄の組織を調整し、ラメラパーライ
トの粒状化を図った。その後、第2冷却工程を行い常温
付近まで自然放冷した。
【0044】なお、上記した球状黒鉛鋳鉄に関する各温
度は、球状黒鉛鋳鉄の表層ではなく球状黒鉛鋳鉄の内部
の温度に基づいた。
【0045】図10及び図11は実施例4に係る球状黒
鉛鋳鉄(ナイタール腐食後)の光学顕微鏡写真を示す。
図10及び図11に示すように、球状黒鉛鋳鉄の組織
は、黒色の塊として表された球状黒鉛と、球状黒鉛の回
りにブルスアイ的に生成した白色で表されたフェライト
相と、隣設するフェライト相間に生成されたパーライト
相とを有している。このパーライト相は粒状パーライト
とラメラパーライトとを主体としている。図12は上記
した写真を更に拡大したものである。図12に示すよう
に、多数の微細な粒状パーライトがフェライト側に生成
している。換言すると、パーライト相のうちフェライト
相側に、多数の微細な粒状パーライトとラメラパーライ
ト(層状)とを主体とする混在相が形成されている。図
12によれば、粒状パーライトは10μm以下の大きさ
とされており、球状黒鉛よりも遥かに小さい。他の実施
例に係る球状黒鉛鋳鉄についても同様な組織が得られ
た。
【0046】図13は比較例1に係る球状黒鉛鋳鉄(ナ
イタール腐食後)の光学顕微鏡写真を示す。図13に示
すように、比較例1に係る球状黒鉛鋳鉄の組織は、黒色
の塊として表された球状黒鉛と、球状黒鉛の回りにブル
スアイ的に生成した白色で表されたフェライト相と、隣
設するフェライト相間に生成されたパーライト相とを有
している。フェライト相とパーライト相との境界は明確
である。比較例1に係る組織を観察したところ、パーラ
イト相にはラメラパーライトのみが生成しており、粒状
パーライトの生成は認められなかった。
【0047】上記したY型ブロックから引張試験片(J
IS Z2201の4号)、衝撃試験片(JIS Z2
202の3号、深さ2mmのUノッチ付き)、曲げ試験
片を形成した。図5は引張試験片を示す。図5において
測定部の直径D=15mm、測定部の評点距離L=50m
mとした。引張試験では、上記した引張試験片を用い、
250KN島津オートグラフで、破断までの荷重と変形
量をクロスヘッド移動量にて測定した。図6(A)
(B)は曲げ試験片を示す。曲げ試験片は、幅20×長
さ100mm×厚み7mmの目標サイズを有する板状試
験片とした。曲げ試験では、図7に示すように曲げ試験
装置(図7における寸法表示はミリメートル単位)の2
個の支持部100に曲げ試験片をセットした状態で、加
圧部110を曲げ試験片に向けて矢印PA方向に加圧し
て行った。この場合、250KN島津オートグラフで、
曲げ応力と変形量との関係を求めた。試験結果を表1、
表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】また比較例1では、銅を0.41%と多め
とすることで、球状黒鉛鋳鉄の組織のパーライト化(ラ
メラパーライト)を促進させているものの、A1変態点
付近で加熱保持する加熱保持工程は行われていないた
め、粒状パーライトの積極生成処理は行われておらず、
α=0%であった。比較例2、3は、従来技術で述べた
公報に係る文献データである。比較例2、3では粒状パ
ーライトの積極生成処理は行われていない。表1、表2
は比較例についても示す。
【0051】表1に示すように、実施例1〜実施例7の
球状黒鉛鋳鉄では黒鉛球状化率は81〜88%であり、
パーライト面積率は45〜86%であり、α=41〜7
8%の範囲であった。殊に、実施例3に係る球状黒鉛鋳
鉄はαが最も低く、α=41%とされている。実施例4
に係る球状黒鉛鋳鉄はαが最も高く、α=78%とされ
ている。
【0052】黒鉛球状化の測定については、JIS G
5502に基づいた。パーライト面積率の測定について
は、球状黒鉛鋳鉄の組織を顕微鏡で観察し、画像処理を
利用し、黒鉛を除いた組織の面積を100%としたと
き、パーライト相(ラメラパーライト、粒状パーライト
を含む)が占める面積を求め、パーライト相が占める面
積割合をパーライト面積率(%)とした。αの測定につ
いては、画像処理を利用し、パーライト相の面積を10
0%とし、ラメラパーライトの面積を求め、残部を粒状
パーライトの面積とみなし、全パーライト相において粒
状パーライトが占める面積割合をα(%)とした。
【0053】表2から理解できるように、実施例1〜実
施例7に係る球状黒鉛鋳鉄は、引張強度、耐力、伸び、
曲げ変位、曲げ荷重、衝撃値に優れていた。具体的に
は、表2に示すように、実施例1に係る球状黒鉛鋳鉄に
よれば、引張強度600MPa以上(602MPa)、
伸び18%以上(18.5%)、衝撃値10J/cm2
以上(10.1J/cm2)の試験結果が得られた。実
施例2に係る球状黒鉛鋳鉄によれば、引張強度640M
Pa以上(646MPa)、伸び13%以上(13.1
%)、衝撃値7J/cm2以上(7.5J/cm2)の試
験結果が得られた。実施例3に係る球状黒鉛鋳鉄によれ
ば、引張強度710MPa以上(713MPa)、伸び
12%以上(12.3%)、衝撃値5J/cm2以上
(5.6J/cm2)の試験結果が得られた。
【0054】実施例4に係る球状黒鉛鋳鉄によれば、引
張強度560MPa以上(564MPa)、伸び19%
以上(19.6%)、衝撃値11J/cm2以上(1
1.3J/cm2)の試験結果が得られた。実施例5に
係る球状黒鉛鋳鉄によれば、引張強度580MPa(5
88MPa)以上、伸び16%以上(16.8%)、衝
撃値12J/cm2以上(12.4J/cm2)の試験結
果が得られた。
【0055】実施例6に係る球状黒鉛鋳鉄によれば、引
張強度650MPa以上(653MPa)、伸び13%
以上(13.7%)、衝撃値7J/cm2以上(7.5
J/cm2)の試験結果が得られた。実施例7に係る球
状黒鉛鋳鉄によれば、引張強度640MPa以上(64
9MPa)、伸び13%以上(13.8%)、衝撃値7
J/cm2以上(7.8J/cm2)の試験結果が得られ
た。
【0056】これに対して比較例2、比較例3に係る球
状黒鉛鋳鉄については、引張強度、耐力、伸びは必ずし
も充分ではない。比較例のなかでも比較例1に係る球状
黒鉛鋳鉄(パーライト促進元素である銅含有量が多い)
については、引張強度、耐力が良好であるものの、伸び
がやや低く、曲げ変位が3.1mmであり、測定したな
かでは最も低く、更に衝撃値も3.1J/cm2であ
り、測定したなかでは最も低かった。即ち、比較例1に
係る球状黒鉛鋳鉄と実施例2に係る球状黒鉛鋳鉄につい
ては、引張強度及び耐力がほぼ同程度であるものの、α
が65%である実施例2に係る球状黒鉛鋳鉄の衝撃値は
7.5J/cm2であったが、αが0%である比較例1
に係る球状黒鉛鋳鉄の衝撃値は3.1J/cm2であ
り、実施例2に比べて約40%(3.1/7.5=0.
41)とかなり低かった。更に比較例1に係る球状黒鉛
鋳鉄は、伸び及び衝撃値が低いばかりか、パーライト促
進元素である銅が0.41%と多量に含有されているた
め、球状黒鉛鋳鉄をリサイクルする際における制約が大
きくなる不具合がある。
【0057】更に各実施例に係る球状黒鉛鋳鉄によれ
ば、上記した公報技術に係る球状黒鉛鋳鉄と異なり、強
度低下の要因ともなり得るフェライトリッチの表層を積
極的に形成せずとも良いため、量産化が容易であり、適
用範囲の拡大に貢献できる。
【0058】更に球状黒鉛鋳鉄の被削性についても測定
した。この場合、実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄の溶湯を
鋳型(砂型)に注湯し、円筒形の試験片(外径:120
mm、内径:70mm、軸長200mm)を鋳造で形成
し、図4に示す熱履歴パターンに基づいて、常温から昇
温させた後に900℃で2時間加熱してオーステナイト
化を図った。その後、第1冷却工程として、−1.7℃
/秒の平均冷却速度で600℃まで強制冷却(強制空
冷)し、ラメラパーライトを生成した。更に常温まで冷
却した。その後、昇温工程を経て加熱保持工程に移行
し、加熱保持工程において700℃で20分間加熱し、
組織を調整し、ラメラパーライトの粒状化を進行させ
た。そして実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄で形成した円筒
形の試験片について、被削性試験を行ない、切削工具の
刃先磨耗量を測定した。比較例Aに係る球状黒鉛鋳鉄で
も、同様な円筒形の試験片を形成し、被削性試験を行な
った。表3は実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄、比較例Aに
係る球状黒鉛鋳鉄の組成、特性を示す。表3に示すよう
に、実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄、比較例Aに係る球状
黒鉛鋳鉄共に、パーライト面積率、硬さはほぼ同程度で
あった。しかし実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄では粒状パ
ーライトが生成しており、α=58%であった。これに
対して、比較例Aに係る球状黒鉛鋳鉄ではラメラパーラ
イトだけであり、粒状パーライトが生成しておらず、α
=0%であった。
【0059】
【表3】
【0060】上記した被削性試験においては、図8に示
す試験片と、切削工具(超硬合金、UC5005)とを
用い、周速が150mm/分、送りが0.3m/rev、
切り込みが0.5mmとし、試料をそれぞれ2個ずつ用
い、1試料で切削加工距離2000mまで切削し、2つ
の試料を連続して切削した。図8に示す試験片では、黒
皮の影響を無くすため、被削性試験に先だって前加工で
黒皮の外周面部分を2mm予め切除し、外径116mm
とした。切削装置へのチャック部分を考慮して、試験片
の評価部分の軸長を150mmとした。
【0061】被削性試験の結果を図9に示す。図9に示
すように、1試料目において、比較例Aに係る球状黒鉛
鋳鉄では切削工具の刃先磨耗量は1000μmを越えて
いたが、実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄では切削工具の刃
先磨耗量はそれよりも少なく650μm程度であった。
2試料目において、比較例Aに係る球状黒鉛鋳鉄では切
削工具の刃先磨耗量は1300μmを越えていたが、実
施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄では切削工具の刃先磨耗量は
それよりも少なく1000μm程度であった。上記した
被削性試験の結果から、実施例Aに係る球状黒鉛鋳鉄
は、比較例Aに係る球状黒鉛鋳鉄に対して、パーライト
面積率、硬さがほぼ同程度であるものの、被削性がかな
り優れており、切削工具の刃先の磨耗量は約60〜80
%程度(650/1000=0.65、1000/13
00≒0.77)に抑え得ることがわかる。
【0062】以上の説明から理解できるように本実施例
に係る球状黒鉛鋳鉄によれば、球状黒鉛と、球状黒鉛の
回りに生成したフェライト相と、隣設するフェライト相
間に生成されたパーライト相とを有しており、パーライ
ト相は、粒状パーライトとラメラパーライトとを主体と
している。このため本実施例に係る球状黒鉛鋳鉄は強
度、伸び及び被削性に優れている。従って、強度及び伸
びの双方が要請される足回り部品等に代表される車両部
品、工作機械等の産業機器部品等の鋳鉄部品に広く適用
することができる。殊に、足回り部品等に代表される鋳
鉄部品では、高強度化を図ると共に衝突時における衝撃
を吸収し易い衝撃吸収促進モードで設計される鋳鉄部品
に適用することができる。勿論、高強度化又は軽量化を
図るモードで設計される鋳鉄部品に適用することもでき
る。
【0063】また本実施例によれば、加熱保持工程をA
1変態点の直下の温度領域で行うことにしているため、
ラメラパーライトの粒状化が過剰に速く進行せず、適切
な速度で進行するため、工業的生産においても加熱保持
工程の時間の制御を容易になし得る利点が得られる。従
って球状黒鉛鋳鉄の実際のαの値を、αの目標範囲に設
定するのに貢献できる。
【0064】(その他)上記した各実施例によれば、加
熱保持工程はA1変態点の直下の温度領域で行うように
しているが、これに限らず、A1変態点の直上の温度領
域で行っても、球状黒鉛鋳鉄のラメラパーライトを粒状
化させることができる。また、A1変態点の直上及び直
下の繰返しで行っても、球状黒鉛鋳鉄のラメラパーライ
トを粒状化させることができる。その他、本発明は上記
した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱
しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0065】(付記)上記した記載から次の技術的思想
も把握できる。 [付記項1]各請求項において、引張強度が650MP
a以上、伸びが10%以上であることを特徴とする強
度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄。 [付記項2]各請求項において、引張強度が650MP
a以上、伸びが10%以上、衝撃値が6J/cm2以上
であることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた
球状黒鉛鋳鉄。 [付記項3]各請求項において、引張強度が700MP
a以上、伸びが10%以上、衝撃値が4J/cm2以上
であることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた
球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法。 [付記項4]各請求項において、引張強度が550MP
a以上、伸びが18%以上、衝撃値が9J/cm2以上
であることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた
球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法。 [付記項5]各請求項において、引張強度が600MP
a以上、伸びが15%以上、衝撃値が8J/cm2以上
であることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた
球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法。 [付記項6]各請求項において、重量比で、炭素:3.
40〜3.90%、シリコン:1.9〜3.4%、M
n:0.5%以下、リン:0.08%以下、イオウ:
0.03%以下、マグネシウム:0.02〜0.20
%、残部が不可避不純物及び鉄の組成を有することを特
徴とする強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄及
びその製造方法。 [付記項7]各請求項において、重量比で、炭素:3.
40〜3.90%、シリコン:1.9〜3.4%、M
n:0.5%以下、リン:0.08%以下、イオウ:
0.03%以下、マグネシウム:0.02〜0.20
%、銅及びスズの少なくとも一方:0.40%以下、残
部が不可避不純物及び鉄の組成を有することを特徴とす
る強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄及びその
製造方法。 [付記項8]球状黒鉛と、前記球状黒鉛の回りに生成し
たフェライト相と、隣設する前記フェライト相間に生成
されたパーライト相とを有すると共に、前記パーライト
相は、粒状パーライトとラメラパーライトとを主体とし
ている強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄で形
成された車両鋳鉄部品。 [付記項9]球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳型に注湯する工程
と、パーライトを生成する冷却速度で球状黒鉛鋳鉄を冷
却する第1冷却工程と、前記球状黒鉛鋳鉄をA1変態点
の直下または直上の温度領域に加熱保持する加熱保持工
程と、加熱保持後に前記球状黒鉛鋳鉄を冷却する第2冷
却工程とを含む、強度、伸び及び被削性に優れた球状黒
鉛鋳鉄で形成された車両鋳鉄部品の製造方法。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る球状黒
鉛鋳鉄によれば、パーライト相は、粒状パーライトとラ
メラパーライトとを主体とするため、強度、伸び及び被
削性に優れている。
【0067】本発明に係る球状黒鉛鋳鉄の製造方法によ
れば、パーライトを生成する冷却速度で球状黒鉛鋳鉄を
冷却する第1冷却工程と、球状黒鉛鋳鉄をA1変態点の
直下または直上の温度領域に加熱保持する加熱保持工程
とを実施するため、上記した粒状パーライトとラメラパ
ーライトとを主体とするパーライト相を形成することが
できる。故に強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳
鉄を容易に製造することができる。
【0068】殊に加熱保持工程をA1変態点の直下の温
度領域で行う場合には、ラメラパーライトの粒状化の速
度を抑えることができるため、工業的生産においても加
熱保持工程の時間の制御を容易になし得る利点が得ら
れ、球状黒鉛鋳鉄の実際のαの値を、αの目標範囲に設
定するのに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各加熱保持工程における球状黒鉛鋳鉄の温度履
歴を模式的に示すグラフである。
【図2】第1冷却工程、加熱保持工程、第2冷却工程を
連続的に行う場合における球状黒鉛鋳鉄の温度履歴を模
式的に示すグラフである。
【図3】第1冷却工程と加熱保持工程とを非連続的に行
う場合における球状黒鉛鋳鉄の温度履歴を模式的に示す
グラフである。
【図4】別の形態に係り、第1冷却工程と加熱保持工程
とを非連続的に行う場合における球状黒鉛鋳鉄の温度履
歴を模式的に示すグラフである。
【図5】引張試験片を模式的に示す側面図である。
【図6】(A)は曲げ試験片を模式的に示す平面図であ
り、(B)は曲げ試験片を模式的に示す側面図である。
【図7】曲げ試験装置で曲げ試験を行っている状態を示
す側面図である。
【図8】被削性試験で用いる試験片を模式的に示す斜視
図である。
【図9】被削性試験の試験結果を示すグラフである。
【図10】第1冷却工程、加熱保持工程及び第2冷却工
程を経た実施例4に係る球状黒鉛鋳鉄の顕微鏡写真(倍
率400倍)である。
【図11】第1冷却工程、加熱保持工程及び第2冷却工
程を経た実施例4に係る球状黒鉛鋳鉄の顕微鏡写真(倍
率600倍)である。
【図12】第1冷却工程、加熱保持工程及び第2冷却工
程を経た実施例4に係る球状黒鉛鋳鉄における粒状パー
ライトが生成している部分を更に拡大した顕微鏡写真で
ある。
【図13】比較例1に係る顕微鏡写真(倍率400倍)
である。
【符号の説明】
図中、100は支持部、110は加圧部を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年8月29日(2001.8.2
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】球状黒鉛と、前記球状黒鉛の回りに生成し
    たフェライト相と、隣設する前記フェライト相間に生成
    されたパーライト相とを有する球状黒鉛鋳鉄において、 前記パーライト相は、粒状パーライトとラメラパーライ
    トとを主体としていることを特徴とする強度、伸び及び
    被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記パーライト相は、
    面積比で、(粒状パーライト/全パーライト)×100
    %をαとしたとき、α=20〜85%に設定されている
    ことを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた球状黒
    鉛鋳鉄。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、A1変
    態点の直下または直上の温度領域に加熱保持されたこと
    を特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳
    鉄。
  4. 【請求項4】請求項1〜請求項3のいずれか一項におい
    て、引張強度が600MPa以上、伸びが10%以上で
    あることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた球
    状黒鉛鋳鉄。
  5. 【請求項5】請求項1〜請求項4のいずれか一項におい
    て、衝撃値が5J/cm2以上であり、耐衝撃性にも優
    れていることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れ
    た球状黒鉛鋳鉄。
  6. 【請求項6】請求項1〜請求項5のいずれか一項におい
    て、前記パーライト相のうち前記フェライト相側に、粒
    状パーライトとラメラパーライトとを主体とする混在相
    が形成されていることを特徴とする強度、伸び及び被削
    性に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  7. 【請求項7】請求項1〜請求項6のいずれか一項におい
    て、ブルスアイ型であることを特徴とする強度、伸び及
    び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  8. 【請求項8】請求項1〜請求項7のいずれか一項におい
    て、重量比で、炭素:3.40〜3.90%、シリコ
    ン:1.9〜3.4%、Mn:0.5%以下、リン:
    0.08%以下、イオウ:0.03%以下、マグネシウ
    ム:0.02〜0.20%を含む組成を有することを特
    徴とする強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  9. 【請求項9】球状黒鉛鋳鉄の溶湯を鋳型に注湯する工程
    と、 パーライトを生成する冷却速度で球状黒鉛鋳鉄を冷却す
    る第1冷却工程と、 前記球状黒鉛鋳鉄をA1変態点の直下または直上の温度
    領域に加熱保持する加熱保持工程と、 加熱保持後に前記球状黒鉛鋳鉄を冷却する第2冷却工程
    とを含むことを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れ
    た球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項9において、前記加熱保持工程の
    加熱保持時間は、5〜50分間であることを特徴とする
    強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方
    法。
  11. 【請求項11】請求項9または請求項10において、前
    記加熱保持工程は、次の(a)〜(c)のいずれかの条
    件で行うことを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れ
    た球状黒鉛鋳鉄の製造方法。 (a)温度:700〜760℃、加熱時間:3〜20分
    間 (b)温度:670〜730℃、加熱時間:7〜30分
    間 (c)温度:670〜730℃、加熱時間:20〜50
    分間
  12. 【請求項12】請求項9〜請求項11のいずれか一項に
    おいて、前記加熱保持工程は、次の(1)〜(3)のい
    ずれかの条件で行うことを特徴とする強度、伸び及び被
    削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法。 (1)A1変態点の直下 (2)A1変態点の直上 (3)A1変態点の直上及び直下の繰返し
  13. 【請求項13】請求項9〜請求項12のいずれか一項に
    おいて、前記第1冷却工程は、鋳型から取り出した球状
    黒鉛鋳鉄を空冷で冷却することを特徴とする強度、伸び
    及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項9〜請求項13のいずれか一項に
    おいて、前記第1冷却工程、前記加熱保持工程、前記第
    2冷却工程は、連続的に行なわれることを特徴とする強
    度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項9〜請求項13のいずれか一項に
    おいて、前記第1冷却工程では、前記球状黒鉛鋳鉄は常
    温または常温付近まで冷却され、前記加熱保持工程は、
    常温または常温付近の前記球状黒鉛鋳鉄を前記加熱保持
    工程の温度領域まで昇温させる昇温工程を行った後に行
    われることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた
    球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  16. 【請求項16】請求項9〜請求項15のいずれか一項に
    おいて、第1冷却工程を経た球状黒鉛鋳鉄は、ブルスア
    イ型であり、パーライトはラメラパーライトを主体とし
    ていることを特徴とする強度、伸び及び被削性に優れた
    球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項1〜請求項8に係る球状黒鉛鋳鉄
    を製造することを特徴とする強度、伸び及び被削性に優
    れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
JP2001244223A 2001-08-10 2001-08-10 強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法 Expired - Lifetime JP4801799B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001244223A JP4801799B2 (ja) 2001-08-10 2001-08-10 強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001244223A JP4801799B2 (ja) 2001-08-10 2001-08-10 強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010196371A Division JP5208175B2 (ja) 2010-09-02 2010-09-02 車両鋳鉄部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003055731A true JP2003055731A (ja) 2003-02-26
JP4801799B2 JP4801799B2 (ja) 2011-10-26

Family

ID=19074193

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001244223A Expired - Lifetime JP4801799B2 (ja) 2001-08-10 2001-08-10 強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4801799B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006198650A (ja) * 2005-01-19 2006-08-03 Bridgestone Corp タイヤモールド鋳造設備用組成物
WO2008038397A1 (fr) * 2006-09-25 2008-04-03 Aisin Takaoka Co., Ltd. Appareil de chaîne de production de pièces moulées
JP2008229640A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Aisin Takaoka Ltd 球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法
JP2009541591A (ja) * 2006-07-03 2009-11-26 ツァナルディ・フォンデリエ・ソシエタ・ペル・アチオニ 球状鋳鉄製の機械部品の製造方法
JP2011190516A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Kurimoto Ltd 球状黒鉛鋳鉄管およびその製造方法
WO2014208240A1 (ja) * 2013-06-28 2014-12-31 株式会社リケン 球状黒鉛鋳鉄
KR101883290B1 (ko) * 2017-05-10 2018-07-31 우경금속주식회사 오스템퍼드 구상흑연 주철의 제조방법
US20200095655A1 (en) * 2018-09-20 2020-03-26 GM Global Technology Operations LLC As-cast high strength nodular iron with favorable machinability
CN116043098A (zh) * 2022-12-08 2023-05-02 新兴铸管股份有限公司 一种水冷金属型离心球墨铸铁管及其制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5943816A (ja) * 1982-09-06 1984-03-12 Mazda Motor Corp 球状黒鉛鋳鉄部品の製造法
JPS61166944A (ja) * 1985-01-19 1986-07-28 Mazda Motor Corp 球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5943816A (ja) * 1982-09-06 1984-03-12 Mazda Motor Corp 球状黒鉛鋳鉄部品の製造法
JPS61166944A (ja) * 1985-01-19 1986-07-28 Mazda Motor Corp 球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006198650A (ja) * 2005-01-19 2006-08-03 Bridgestone Corp タイヤモールド鋳造設備用組成物
JP2009541591A (ja) * 2006-07-03 2009-11-26 ツァナルディ・フォンデリエ・ソシエタ・ペル・アチオニ 球状鋳鉄製の機械部品の製造方法
WO2008038397A1 (fr) * 2006-09-25 2008-04-03 Aisin Takaoka Co., Ltd. Appareil de chaîne de production de pièces moulées
JPWO2008038397A1 (ja) * 2006-09-25 2010-01-28 アイシン高丘株式会社 鋳造品生産ライン装置
JP4700737B2 (ja) * 2006-09-25 2011-06-15 アイシン高丘株式会社 鋳造品生産ライン装置
US8770259B2 (en) 2006-09-25 2014-07-08 Aisin Takaoka Co., Ltd. Apparatus for cast-product production line
JP2008229640A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Aisin Takaoka Ltd 球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法
JP2011190516A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Kurimoto Ltd 球状黒鉛鋳鉄管およびその製造方法
WO2014208240A1 (ja) * 2013-06-28 2014-12-31 株式会社リケン 球状黒鉛鋳鉄
JP2015010255A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 株式会社リケン 球状黒鉛鋳鉄
CN105283571A (zh) * 2013-06-28 2016-01-27 株式会社理研 球状石墨铸铁
KR20160025518A (ko) * 2013-06-28 2016-03-08 가부시끼가이샤 리켄 구상 흑연 주철
US9822433B2 (en) 2013-06-28 2017-11-21 Kabushiki Kaisha Riken Spheroidal graphite cast iron
KR102223539B1 (ko) * 2013-06-28 2021-03-08 가부시끼가이샤 리켄 구상 흑연 주철
KR101883290B1 (ko) * 2017-05-10 2018-07-31 우경금속주식회사 오스템퍼드 구상흑연 주철의 제조방법
US20200095655A1 (en) * 2018-09-20 2020-03-26 GM Global Technology Operations LLC As-cast high strength nodular iron with favorable machinability
CN110923561A (zh) * 2018-09-20 2020-03-27 通用汽车环球科技运作有限责任公司 具有良好可加工性的铸态高强度球墨铸铁
CN116043098A (zh) * 2022-12-08 2023-05-02 新兴铸管股份有限公司 一种水冷金属型离心球墨铸铁管及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4801799B2 (ja) 2011-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003055731A (ja) 強度、伸び及び被削性に優れた球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
JP3730044B2 (ja) 車両用ブレーキディスク材
JP5208175B2 (ja) 車両鋳鉄部品
JP3723706B2 (ja) 高強度球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
JP4849473B2 (ja) 耐摩耗性高Cr鋳鉄およびその製造方法
JP2007197747A (ja) 球状黒鉛鋳鉄
EP3434799B1 (en) Method for manufacturing cast article comprising spherical graphite cast iron
JP3597211B2 (ja) 高温強度に優れた球状黒鉛鋳鉄
JPH10317093A (ja) 高剛性球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
JPH0813079A (ja) 球状黒鉛鋳鉄とその製造方法
JP2620695B2 (ja) 高強度を有する鉄系鋳物
JP2774801B2 (ja) ロッカーアーム及びその製造方法
JP6023499B2 (ja) 鋳造用鉄合金及びその製造方法
JP4565301B2 (ja) 高強度球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法
JPH0617186A (ja) 球状黒鉛鋳鉄部材及びその製造方法
JPH116026A (ja) 疲労強度に優れる高硬度球状黒鉛鋳鉄部材及びその製造方法
CN113795604B (zh) 球墨铸铁和球墨铸铁的制造方法、以及车辆底盘用部件
JP2005256088A (ja) 球状黒鉛鋳鉄部材
CN1149322A (zh) 用于玻璃制造工具的铁—铬—硼合金
WO2022210124A1 (ja) 機械構造部品用鋼線およびその製造方法
WO2022210125A1 (ja) 機械構造部品用鋼線およびその製造方法
JP4020277B2 (ja) 鋳鉄の複合材の製造方法
JP3648158B2 (ja) 球状黒鉛鋳鉄
JPS6164814A (ja) 球状黒鉛鋳鉄の製造方法
JP4596577B2 (ja) 冷間鍛造用ビレットの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080407

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100902

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100924

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110726

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110806

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140812

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4801799

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term