JP4020277B2 - 鋳鉄の複合材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種類の異なる鋳鉄を複合させた鋳鉄の複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鋳鉄としては、ねずみ鋳鉄,球状黒鉛鋳鉄,オーステンパ球状黒鉛鋳鉄等が知られており、機械,電気産業等で、広く各種の製品に用いられている。ところで、この鋳鉄材料を用いて、例えば、軟鋼の薄板打ち抜き型を作成することを検討しているが、ねずみ鋳鉄,球状黒鉛鋳鉄等単体の材料では、充分な機能を付与できないので、近年、種類の異なる鋳鉄同士を複合させ、機械的利点を生かした複合材を製造することを研究してきた。特に最近は、打ち抜き型においては、作業環境改善のため高い減衰能が要求されるので、防振機能を付与することが不可欠である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、物性値が異なる鋳鉄材料の鋳造による複合化においては、材質の急激な変化による強度の低下があるという問題があるとともに、全体の強度も必ずしも充分に確保できないという問題があり、単に複合化することはできない。
一方、特に、上記の打ち抜き型においては、減衰能が要求されるので、防振機能を付与することが不可欠である。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、材質の急激な変化による強度の低下を防止し、高い強度を得ることができるようにするとともに、防振性に優れた鋳鉄の複合材の製造方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の鋳鉄の複合材の製造方法により製造される鋳鉄の複合材は、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを、境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合し、その後オーステンパ熱処理した構成としている。この複合材は、2層構造でも良いし、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄のいずれかをサンドイッチ状にした3層構造、あるいは多層であっても良い。ねずみ鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄としては、例えば、JIS規格等で定められた一般的な材料から選択して良い。
この複合鋳造材は、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同士のものであり化学組成や熱物性値等が類似し、しかも、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄を生成せしめたので、材質の急激な変化による強度の低下が防止され、また、熱伝導度の差が小さいこと等のため、割れや歪みの発生が生じない。更に、オーステンパ熱処理したことによって、強固な組織状態にすることができ、高い強度を得ることができるようになる。
【0005】
そしてまた、曲げに対しては、下側を球状黒鉛鋳鉄とした場合は、球状黒鉛鋳鉄が引張強さが大きいことから、下側をねずみ鋳鉄とした場合に比較して、強くなり、強度に方向性を持たせることができるとともに、強靭なべーナイト組織の球状黒鉛鋳鉄は張力に対抗すること、そして抗圧力が高いねずみ鋳鉄は、圧縮に対抗することが複合化して抗折力が高められる。
また、ねずみ鋳鉄は、防振性を有するとともに、鋳鉄はオーステンパ熱処理することにより減衰能が向上するので、複合材全体が、減衰能の高い材料となる。即ち、機械的性質の異なる鋳鉄を複合させても、応力を暖和する中間層を形成し、方向性のある強度が付与され、防振性の向上が図られる。
【0006】
そして、本発明の鋳鉄の複合材の製造方法は、鋳型内に、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のいずれか一方を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のいずれか他方を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、次に、該一次製品を脱型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する構成としている。
この本発明の鋳鉄の複合材の製造方法においては、上記鋳型を、セラミック砂を鋳型骨材とし、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比が、冷材:溶湯=1:5〜6.5になるように形成している。
あるいはまた、上記鋳型を、珪砂を鋳型骨材とし、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比が、冷材:溶湯=1:6.5〜9になるように形成している。
【0007】
そして、鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する構成としている。
冷材とするのは、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のいずれかで良いが、球状黒鉛鋳鉄を冷材としたのは、溶湯を球状黒鉛鋳鉄とするとねずみ鋳鉄に比較してチル化傾向(炭化物として凝固する傾向のこと)が高く良好な接合面が得られ難いからである。
【0008】
この場合、必要に応じ、上記溶融されたねずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定している。リン(P)やマンガン(M)等の含有量が多い場合には、鋳込み温度1480℃以上でも、チル(炭化物:硬くて非常に脆い)が生成して冷材との融合化ができにくくなる。
また、必要に応じ、上記ねずみ鋳鉄の溶融温度を、1400℃〜1600℃の範囲に設定している、1400℃以下ては冷材と溶湯との融合化が不十分になるためである。
【0009】
更に、必要に応じ、上記オーステンパ熱処理において、上記一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、300℃〜450℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却する構成としている。
これにより、オーステナイトからベーナイトへの変態を行なわせるもので、ベーナイト,残留オーステナイト等からなる強固な組織状態にすることができる。
更にまた、必要に応じ、上記300℃〜450℃の一次冷却は、スズ浴中又は塩浴中で行なう構成としているが、スズ浴中での冷却が望ましい。
スズは熱伝導度が高いので、冷却の進行を速やかに行なうことができ、そのため、内部まで均一な焼き入れを行なって、内部まで均一なベーナイト組織を生成することができ、複合材の品質を向上させることができる。更に、スズ浴は塩浴と異なって、公害防止装置や設備を必要としないという利点がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材の製造方法について説明する。本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材の製造方法により製造される鋳鉄の複合材は、図1,図2乃至図7(図面代用顕微鏡写真)に示すように、片状黒鉛が介在するねずみ鋳鉄と球状黒鉛が介在する球状黒鉛鋳鉄とを鋳ぐるみによって、境界に芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合し、その後オーステンパ熱処理したものである。一般的に、複合材料は構成する材料の物性の違いにより、熱処理の急冷時に発生した応力に伴って、界面に割れが生じ、材料自体の破損が懸念されるものである。しかし、この複合鋳造材は、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同士のものであり化学組成や熱物性値等が類似し、しかも、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄を生成せしめたので、また、熱伝導度の差が小さいこと等のため、割れや歪みの発生が生じない。
【0011】
そして、本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材は、図8に示すように、鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように結合させた一次製品を作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理した構成としている。
【0012】
詳しくは、球状黒鉛鋳鉄を冷材としたのは、溶湯を球状黒鉛鋳鉄とするとねずみ鋳鉄に比較してチル化傾向(炭化物として凝固する傾向のこと)が高く良好な接合面が得られ難いからである。
また、溶融されたねずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定している。
これは、図9の鋳鉄の化学組成表に示すように、FC1のリン(P)やマンガン(M)等の含有量が多い場合には、鋳込み温度1480℃以上でも、チル(炭化物:硬くて非常に脆い)が生成して冷材との融合化ができない。また、鋳込み直前に鉄シリコン合金(Fe−Si75%)接種を行ない黒鉛化能を高めた溶湯を鋳込んだが、チルの発生を無くすることできなかった。
【0013】
図9に示すように、マンガン・リンなどの含有量が低いFC2のねずみ鋳鉄を用いた場合には、図2及び図3に示すように、鋳込み温度1500℃で良好な接合界面が得られた。球状黒鉛鋳鉄部とねずみ鋳鉄部の界面に芋虫状の黒鉛が晶出しているCV黒鉛鋳鉄部分が形成され、中間層が100μm程の厚さで形成されていることが確認できる。
このことより、基本的に溶湯の各成分をマンガン(Mn)0.3%以下、リン(P)を0.06%以下、そして他の炭化物生成促進元素の合有量も低くすることが大切であることが分かった。
また、ねずみ鋳鉄の溶融温度(鋳込み温度)を、1400℃〜1600℃の範囲に設定した。これは、中小企業での応用化においては1500℃前後の溶湯を安定して得ることと、1400℃以下では冷材と溶湯との融合化が不十分になるためである。
【0014】
次に、オーステンパ熱処理について、詳しく説明する。図10はこの熱処理工程の温度の変化を示すグラフである。
まず、一次製品を、電気炉,重油炉やコークス炉等に入れ、800℃〜950℃に加熱する。時間は、例えば、肉厚が3〜5mmのものについては、30〜60分行なう。これにより、組織がオーステナイト化される。
次に、この一次製品を一次冷却する。これは、一次製品を300℃〜450℃のスズ(Sn:融点231℃)を溶融したスズ浴中に入れ、急激に冷却し保持する。この一次冷却工程においては、所謂オーステンパ処理が行なわれる。即ち、オーステナイトからベーナイトへの変態が必要な割合に応じて行なわれる温度に保持するところの一種の焼き入れを行なう。保持時間は、例えば、肉厚が3〜5mmのものについて、30〜60分行なう。これにより、ベーナイト,残留オーステナイト及び黒鉛からなる組織状態に変化する。
【0015】
また、この冷却保持は、スズ浴中で行なうので、スズは熱伝導度が高いことから、冷却の進行を速やかに行なうことができ、そのため、パーライトが析出することなく、内部まで均一なベーナイト組織が生成されていく。即ち、一般のオーステンパ処理においては、300〜450℃の塩浴中で行なうが、この塩浴に比較して、スズは熱伝導度が高いので、速やかに変態温度に到達でき、全期間に亘って内部応力や変形がほとんど生じないようにして、内部まで均一にオーステンパ処理を行なわせることができるのである。
【0016】
次に、空冷により冷却し、二次冷却する。これにより、残留オーステナイトのうち不安定なものが、マルテンサイト(二次マルテンサイト)に変態する。即ち、ベーナイト,安定な残留オーステナイト,マルテンサイト,黒鉛からなる組織状態に変化する。
【0017】
【実施例】
実施例では、図9に示すような球状黒鉛鋳鉄(FCD)を冷材とし、マンガン・リンなどの含有量が低いねずみ鋳鉄(FC2)を用いた。この実施例に用いた冷材の寸法は50φ×3mm、浴湯部分は50φ×27mmである。
また、冷材と溶湯との比率及び鋳型骨材について良好な接合面を得るため、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比を求める実験を行ない、最適と思われる鋳型を用いた。
鋳造方案は、例えば、接触面が1面で、一方向に熱伝導が生じるものである。
その結果、一般的に用いられている珪砂(主成分SiO2 )を骨材とした鋳型では、鋳込み温度1450℃で良好な接合面が得られる冷材厚さと溶湯の分厚さとの比は次のようになった。
冷材:溶湯=1:6.5
更に冷材厚さと溶湯の分厚さとの比を下げるには鋳込み温度を上昇する方法があるが、工業化する場合には限界がある。実際には1500℃の鋳込み温度では、端部の溶融消失があり均一な接合界面を得ることは難しかった。
そこで、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比を下げるための対策として、図11に示すように、珪砂の8割の熱伝導率のセラミック砂を鋳型骨材として用いた(FS:珪砂、SB:セラミック砂(Al23 60%−SiO2 36%))。
その結果を図12に示す。
セラミック砂では
冷材:溶湯=1:5
となり珪砂より冷材厚さと溶湯の分厚さとの比を低下することができた。
また、セラミック砂を用いた場合の方が中間層であるCV黒鉛鋳鉄部分が明確に形成され、機械的性質は安定化されるものと予測できる。
【0018】
上記のデータより鋳型骨材をセラミック砂として、更に鋳型サイズを曲げ試験を採取できる様に大きくした。鋳造方案ならびに寸法を図13に示す。
この鋳型を用いて、鋳込み温度の鋳ぐるみに対する影響について調べた。鋳込み温度は工業化を考慮して1400,1450,1480℃の3段階とした。これは、中小企業での工業化においては1500℃前後の溶湯を安定して得ることと、1400℃以下ては冷材と溶湯との融合化などが難しいためである。
その結果、1480℃では溶融消失部分が多く、逆に1400℃では未溶融部が確認され、中間の1450℃の鋳込み温度の場合良好な接合面が均一に得られた。
【0019】
また、実施例では、鋳造により試作した複合鋳鉄をスズ浴炉を用いてオーステンパ熱処理を行なった。
スズ浴のべーナイト化の能力について、従来の塩浴と比較するため、10〜35mm厚の試料によりオーステンパ熱処理を行ない、硬さを測定し評価した。その結果を図14に示す。いずれの肉厚でもスズ浴による値が高く、この炉の優位性が確認できる。
図15は、この実験の25mm厚の試料断面のマクロ組織写真であるが、塩浴試料では中心部が黒く腐食されパーライトが析出しており、一方、スズ浴の試料では均一にべーナイト化されていることが分かる。
なお、これらの試料には、べーナイト化を安定化するためモリブデンや銅・ニッケルなどを添加していないものであるので、両熱処理炉の冷却効果が顕著に現れたものと思われる。
この理由については、10mm角試料の中心に熱電対をセットして、900℃(1127K)から350℃(623K)のスズ浴と塩浴で急冷して冷却曲線を記録した。その結果を図16に示す。スズ浴の方が急激に冷却され350℃への到達時間は1/3であり、パーライト変態が生じないような速い速度でべーナイト化されると予測される。
【0020】
鋳造により複合化した材料を加工して、6×8×30mmの曲げ試験片を製作し、これをスズ浴法によりオーステンパ熱処理を行った。また、後に述べるが13φ×96mmの引張試験片も同様の熱処理を行った。熱処理条件は、900℃×1時間−300℃または400℃×1時間処理−空冷である。
その結果、各試験片には歪みや割れ等の発生が見られなく、図4乃至図7に示すように、顕微鏡組織もべーナイト化300℃では目標とする下部べーナイト組織が得られた。
一般的に、複合材料は構成する材料の物性の違いにより、熱処理の急冷時に発生した応力に伴って、界面に割れ生じ、材料自体の破損が懸念されるものである。しかし、この複合鋳造材は、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同志のものであり化学組成や熱物性値等が類似し、しかも、図17に示すように、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄が100〜150μm程生成されるため、また熱伝導度の差が小さいこと等のため割れや歪みの発生は起らないものと考えられる。
【0021】
次に、実施例に係る複合材の各種機械的試験結果を示す。
(1)曲げ試験結果
厚さ6(ねずみ鋳鉄3mm、球状黒鉛鋳鉄3mm)×幅8×長さ30mmの試験片に2種類(べーナイト化300℃,400℃)のオーステンパ熱処埋を施し、図18に示すような曲げ試験を行なった。曲げ試験は、複合材の主材質はねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄2種であるので荷重方向を変えた2種類とした。また、比較のため、オーステンパ処理したねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の単体の試験も行なった。
曲げ試験結果を図19に示すが、べーナイト化300℃では、球状黒鉛鋳鉄単体で2800N/mm2 程の抗析力が、下側を球状黒鉛鋳鉄とした場合は2000N/mm2 程で単体の7割の高い強度が得られる。しかし、下側をねずみ鋳鉄とした場合は、単体の2割程度でオーステンパねずみ鋳鉄とほぼ同等の低強度なものとなる。
一方、べーナイト化400℃では、上部べーナイト組繊となるため前者より強度は低下し球状黒鉛鋳鉄単体で2300N/mm2 となり、下側を球状黒鉛鋳鉄にした場合でも同様に7割の高い強度が得られる。
下側をねずみ鋳鉄とした場合は、前者と同じレベルである。
【0022】
この複合鋳造材料は、このように強度に方向性があることが分かった。
図20は、破断の仕方の模式図であるが、下側をねずみ鋳鉄とした場合は、下側に加わる張力で片状黒鉛の端部に応力が集中(切り欠け効果)して、高強度なべーナイトでも割れが発生し破断してしまう。これは、ねずみ鋳鉄の破断面に黒鉛が多く観察されることからも推察される。一方、強度的に強い球状黒鉛鋳鉄側は、ねずみ鋳鉄破断後も荷重をかけ続けることにより、伸びて変形する。そして、更に荷重を加えると、中間層(CV黒鉛鋳鉄層)が荷重方向と垂直に破断する。
これに対して、下側を球状黒鉛鋳鉄とした場合は、強靭なべーナイト組織の球状黒鉛鋳鉄は張力に対抗すること、そして抗圧力が高い(図17)ねずみ鋳鉄は、圧縮に対抗することが複合化して抗折力を高めているものと考えられる。
【0023】
(2)引張り試験結果
引張試験片は、15φ×60mmの球状黒鉛鋳鉄を30φ×120mmのねずみ鋳鉄溶湯で鋳ぐるみ、13φ×95mm(ネック12mm)の寸法に加工し、べーナイト化を300℃と400℃でオーステンパ熱処理したものである。
比較のための複合鋳造材の非熱処理材を生材として、引張強試験結果を図21及び図22に示す。破断箇所は予測されるようにねずみ鋳鉄側であり、従って引張強さはオーステンパねずみ鋳鉄とほぼ同じ値となる。破断箇所の特徴としては、接合界面部ではなくねずみ鋳鉄側に入った所である。これは、界面部のねずみ鋳鉄の黒鉛サイズが、球状黒鉛鋳鉄冷材により急冷されるため微細であり、界面から遠いほど黒鉛が粗くなるためである。破断は、粗い黒鉛部で生じる。
【0024】
(3)減衰能試験結果
減衰能試験結果は、複合鋳造材料を加工して厚さ1×幅20×長さ80mmの試験片を作成し、加振・振動検出方式(松下インターテクノ(株)製MM02型)で行った。
減衰能試験結果を図23に示すが、鋳鉄はオーステンパ熱処理することにより減衰能は向上し、基地が下部べーナイトの場合は生材の1.5倍に向上する。鋼の5倍以上の値となる。
【0025】
(4)中間層のコントロール
ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の間に形成され、中間的な物性であるCV黒鉛鋳鉄層は、曲げ試験の破壊挙動で分かるように、複合鋳造材料の接合強度を制御するものと思われる。そのため、この層を厚く形成させることにより、機械的性質を安定化できるものと思われた。
CV黒鉛鋳鉄層は、鋳型骨材を珪砂からセラミック砂に変更することにより、約100μmから120〜130μmに厚くなり安定に形成される。
そこで、一方向性凝固装置(図示せず)により共晶凝固期間(1200℃〜1150℃)を長く制御した。その結果、CV黒鉛鋳鉄層が160μm程度に厚く形成されることが分かった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の鋳鉄の複合材の製造方法によれば、鋳鉄の複合材をねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同士のもので形成し、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄を生成せしめたので、材質の急激な変化による強度の低下を防止することができ、また、熱伝導度の差が小さいこと等のため、割れや歪みの発生を抑止することができる。また、オーステンパ熱処理したことによって、強固な組織状態にすることができ、高い強度を得ることができるようになる。更に、ねずみ鋳鉄は、防振性を有するとともに、鋳鉄はオーステンパ熱処理することにより減衰能が向上するので、複合材全体を、減衰能の高い材料とすることができる。即ち、機械的性質の異なる鋳鉄を複合させても、中間層により応力を暖和することができ、方向性のある強度を付与することができるとともに、防振性の向上を図ることができる。
これにより、機械鋳物分野における機械加工の付加、金型製造への展開、鋳鉄及びそれ以外の素材によるインテリア、エクステリアなどの新商品開発等に、寄与できる。例えば、複合鋳造材料の得られた機能性を応用することについては、軟鋼の薄板打ち抜き型、アルミ合金・亜鉛等のダイカスト工場におけるトリミング用金型(鋳物と堰、湯口などを切断分離する金型)等に利用できる。
【0027】
また、鋳鉄の複合材の製造方法において、鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する構成とした場合には、溶湯を球状黒鉛鋳鉄とした場合に比較して、チル化傾向を抑止できるという効果がある。
この場合、溶融されたねずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定すれば、冷材との融合化をより一層確実に行なわせることができる。
また、ねずみ鋳鉄の溶融温度を、1400℃〜1600℃の範囲に設定した場合には、冷材との融合化をより一層確実に行なわせることができる。
【0028】
更に、オーステンパ熱処理において、上記一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、300℃〜450℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却する構成とした場合には、オーステナイトからベーナイトへの変態を行なわせるので、ベーナイト,残留オーステナイト等からなる強固な組織状態にすることができる。
更にまた、300℃〜450℃の一次冷却を、スズ浴中で行なう構成とした場合には、スズは熱伝導度が高いので、冷却の進行を速やかに行なうことができ、そのため、内部まで均一な焼き入れを行なって、内部まで均一なベーナイト組織を生成することができ、複合材の品質を向上させることができる。更に、スズ浴は塩浴と異なって、公害防止装置や設備を必要としないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材を示す図面代用顕微鏡写真(倍率50倍)である。
【図3】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材を示す図面代用顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図4】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材を示す図面代用顕微鏡写真(倍率320倍)である。
【図5】本発明の実施の形態に係る図4に示した鋳鉄の複合材のねずみ鋳鉄部分を示す要部拡大図面代用顕微鏡写真(倍率1200倍)である。
【図6】本発明の実施の形態に係る図4に示した鋳鉄の複合材の中間層部分を示す要部拡大図面代用顕微鏡写真(倍率1200倍)である。
【図7】本発明の実施の形態に係る図4に示した鋳鉄の複合材の球状黒鉛鋳鉄部分を示す要部拡大図面代用顕微鏡写真(倍率1200倍)である。
【図8】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材の製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材に用いたねずみ鋳鉄の一例(FC2)及び球状黒鉛鋳鉄の一例(FCD)の化学組成をねずみ鋳鉄の比較例(FC1)の化学組成とともに示す表図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る鋳鉄の複合材の製造方法におけるオーステンパ熱処理工程の温度の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の製造に用いた鋳型骨材の物性を示す表図である。
【図12】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の製造方法において、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比と鋳型の材質との関係を試験し、融合化の良否を判定した結果を示す表図である。
【図13】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の製造に用いた鋳型方案を示す図である。
【図14】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の製造に用いたスズ浴のべーナイト化の能力について、従来の塩浴と比較して、肉厚と硬さとの関係で示すグラフ図である。
【図15】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材のスズ浴での処理状態を従来の塩浴と比較して示す図面代用写真である。
【図16】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の製造に用いたスズ浴の冷却曲線を従来の塩浴と比較して示すグラフ図である。
【図17】ねずみ鋳鉄,球状黒鉛鋳鉄及びCV黒鉛鋳鉄の一般的物性値を示す表図である。
【図18】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の曲げ試験方法を示す図である。
【図19】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の曲げ試験の結果を比較例と比較して示すグラフ図である。
【図20】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の曲げによる破断の仕方を模式的に示す図である。
【図21】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の引張り試験の結果を比較例と比較して示す表図である。
【図22】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の引張り試験の結果を比較例と比較して示すグラフ図である。
【図23】本発明の実施例に係る鋳鉄の複合材の減衰能試験の結果を比較例と比較して示すグラフ図である。

Claims (3)

  1. 鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する鋳鉄の複合材の製造方法であって、
    上記鋳型を、セラミック砂を鋳型骨材とし、冷材厚さと溶湯の分厚さの比が、冷材:溶湯=1:5〜6.5になるように形成し、
    上記溶融されたねずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定し、
    上記ねずみ鋳鉄の溶融温度を、1400℃〜1600℃の範囲に設定し、
    上記オーステンパ熱処理において、上記一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、300℃〜450℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却することを特徴とする鋳鉄の複合材の製造方法。
  2. 鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する鋳鉄の複合材の製造方法であって、
    上記鋳型を、珪砂を鋳型骨材とし、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比が、冷材:溶湯=1:6.5〜9になるように形成し、
    上記溶融されたねずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定し、
    上記ねずみ鋳鉄の溶融温度を、1400℃〜1600℃の範囲に設定し、
    上記オーステンパ熱処理において、上記一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、300℃〜450℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却することを特徴とする鋳鉄の複合材の製造方法。
  3. 上記300℃〜450℃の一次冷却は、スズ浴中で行なうことを特徴とする請求項1または2記載の鋳鉄の複合材の製造方法。
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