JPH11236641A - 鋳鉄の複合材及び鋳鉄の複合材の製造方法 - Google Patents
鋳鉄の複合材及び鋳鉄の複合材の製造方法Info
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- JPH11236641A JPH11236641A JP5614898A JP5614898A JPH11236641A JP H11236641 A JPH11236641 A JP H11236641A JP 5614898 A JP5614898 A JP 5614898A JP 5614898 A JP5614898 A JP 5614898A JP H11236641 A JPH11236641 A JP H11236641A
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Abstract
し、高い強度を得ることができるようにするとともに、
防振性に優れた鋳鉄の複合材とする。 【解決手段】 鋳型内に、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄
のいずれか一方を冷材として配置し、該鋳型内に、ねず
み鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のいずれか他方を溶融して注入
し、固化させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界に
CV鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成
し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオー
ステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する。
Description
を複合させた鋳鉄の複合材及び鋳鉄の複合材の製造方法
に関する。
状黒鉛鋳鉄,オーステンパ球状黒鉛鋳鉄等が知られてお
り、機械,電気産業等で、広く各種の製品に用いられて
いる。ところで、この鋳鉄材料を用いて、例えば、軟鋼
の薄板打ち抜き型を作成することを検討しているが、ね
ずみ鋳鉄,球状黒鉛鋳鉄等単体の材料では、充分な機能
を付与できないので、近年、種類の異なる鋳鉄同士を複
合させ、機械的利点を生かした複合材を製造することを
研究してきた。特に最近は、打ち抜き型においては、作
業環境改善のため高い減衰能が要求されるので、防振機
能を付与することが不可欠である。
が異なる鋳鉄材料の鋳造による複合化においては、材質
の急激な変化による強度の低下があるという問題がある
とともに、全体の強度も必ずしも充分に確保できないと
いう問題があり、単に複合化することはできない。一
方、特に、上記の打ち抜き型においては、減衰能が要求
されるので、防振機能を付与することが不可欠である。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、材質の
急激な変化による強度の低下を防止し、高い強度を得る
ことができるようにするとともに、防振性に優れた鋳鉄
の複合材及び鋳鉄の複合材の製造方法の提供を目的とす
る。
るための本発明の鋳鉄の複合材は、ねずみ鋳鉄と球状黒
鉛鋳鉄とを、境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように接
合し、その後オーステンパ熱処理した構成としている。
この複合材は、2層構造でも良いし、ねずみ鋳鉄と球状
黒鉛鋳鉄のいずれかをサンドイッチ状にした3層構造、
あるいは多層であっても良い。ねずみ鋳鉄や球状黒鉛鋳
鉄としては、例えば、JIS規格等で定められた一般的
な材料から選択して良い。この複合鋳造材は、ねずみ鋳
鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同士のものであり化学組成や熱
物性値等が類似し、しかも、接合面に物性値が両者の中
間的な芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄を生成せしめた
ので、材質の急激な変化による強度の低下が防止され、
また、熱伝導度の差が小さいこと等のため、割れや歪み
の発生が生じない。更に、オーステンパ熱処理したこと
によって、強固な組織状態にすることができ、高い強度
を得ることができるようになる。
黒鉛鋳鉄とした場合は、球状黒鉛鋳鉄が引張強さが大き
いことから、下側をねずみ鋳鉄とした場合に比較して、
強くなり、強度に方向性を持たせることができるととも
に、強靭なべーナイト組織の球状黒鉛鋳鉄は張力に対抗
すること、そして抗圧力が高いねずみ鋳鉄は、圧縮に対
抗することが複合化して抗折力が高められる。また、ね
ずみ鋳鉄は、防振性を有するとともに、鋳鉄はオーステ
ンパ熱処理することにより減衰能が向上するので、複合
材全体が、減衰能の高い材料となる。即ち、機械的性質
の異なる鋳鉄を複合させても、応力を暖和する中間層を
形成し、方向性のある強度が付与され、防振性の向上が
図られる。
は、鋳型内に、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のいずれか
一方を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄及び
球状黒鉛鋳鉄のいずれか他方を溶融して鋳込み、凝固さ
せて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳
鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、次
に、該一次製品を脱型した後、該一次製品をオーステン
パ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する構成としている。
して配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込
み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界に
CV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を
作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品を
オーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造する構成と
している。冷材とするのは、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳
鉄のいずれかで良いが、球状黒鉛鋳鉄を冷材としたの
は、溶湯を球状黒鉛鋳鉄とするとねずみ鋳鉄に比較して
チル化傾向(炭化物として凝固する傾向のこと)が高く
良好な接合面が得られ難いからである。
ずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重
量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定して
いる。リン(P)やマンガン(M)等の含有量が多い場
合には、鋳込み温度1480℃以上でも、チル(炭化
物:硬くて非常に脆い)が生成して冷材との融合化がで
きにくくなる。また、必要に応じ、上記ねずみ鋳鉄の溶
融温度を、1400℃〜1600℃の範囲に設定してい
る、1400℃以下ては冷材と溶湯との融合化が不十分
になるためである。
理において、上記一次製品を800℃〜950℃に加熱
し、次に、300℃〜450℃に一次冷却し、その後、
常温に二次冷却する構成としている。これにより、オー
ステナイトからベーナイトへの変態を行なわせるもの
で、ベーナイト,残留オーステナイト等からなる強固な
組織状態にすることができる。更にまた、必要に応じ、
上記300℃〜450℃の一次冷却は、スズ浴中又は塩
浴中で行なう構成としているが、スズ浴中での冷却が望
ましい。スズは熱伝導度が高いので、冷却の進行を速や
かに行なうことができ、そのため、内部まで均一な焼き
入れを行なって、内部まで均一なベーナイト組織を生成
することができ、複合材の品質を向上させることができ
る。更に、スズ浴は塩浴と異なって、公害防止装置や設
備を必要としないという利点がある。
の実施の形態に係る鋳鉄の複合材及び鋳鉄の複合材の製
造方法について説明する。本発明の実施の形態に係る鋳
鉄の複合材は、図1,図2乃至図7(図面代用顕微鏡写
真)に示すように、片状黒鉛が介在するねずみ鋳鉄と球
状黒鉛が介在する球状黒鉛鋳鉄とを鋳ぐるみによって、
境界に芋虫状黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄が形成されるよ
うに接合し、その後オーステンパ熱処理したものであ
る。一般的に、複合材料は構成する材料の物性の違いに
より、熱処理の急冷時に発生した応力に伴って、界面に
割れが生じ、材料自体の破損が懸念されるものである。
しかし、この複合鋳造材は、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄
の同族同士のものであり化学組成や熱物性値等が類似
し、しかも、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状黒
鉛を有するCV黒鉛鋳鉄を生成せしめたので、また、熱
伝導度の差が小さいこと等のため、割れや歪みの発生が
生じない。
複合材は、図8に示すように、鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄
を冷材として配置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融し
て鋳込み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを
境界にCV黒鉛鋳鉄が形成されるように結合させた一次
製品を作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次
製品をオーステンパ熱処理した構成としている。
は、溶湯を球状黒鉛鋳鉄とするとねずみ鋳鉄に比較して
チル化傾向(炭化物として凝固する傾向のこと)が高く
良好な接合面が得られ難いからである。また、溶融され
たねずみ鋳鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.
3重量%以下、リン(P)を0.06重量%以下に設定
している。これは、図9の鋳鉄の化学組成表に示すよう
に、FC1のリン(P)やマンガン(M)等の含有量が
多い場合には、鋳込み温度1480℃以上でも、チル
(炭化物:硬くて非常に脆い)が生成して冷材との融合
化ができない。また、鋳込み直前に鉄シリコン合金(F
e−Si75%)接種を行ない黒鉛化能を高めた溶湯を
鋳込んだが、チルの発生を無くすることできなかった。
含有量が低いFC2のねずみ鋳鉄を用いた場合には、図
2及び図3に示すように、鋳込み温度1500℃で良好
な接合界面が得られた。球状黒鉛鋳鉄部とねずみ鋳鉄部
の界面に芋虫状の黒鉛が晶出しているCV黒鉛鋳鉄部分
が形成され、中間層が100μm程の厚さで形成されて
いることが確認できる。このことより、基本的に溶湯の
各成分をマンガン(Mn)0.3%以下、リン(P)を
0.06%以下、そして他の炭化物生成促進元素の合有
量も低くすることが大切であることが分かった。また、
ねずみ鋳鉄の溶融温度(鋳込み温度)を、1400℃〜
1600℃の範囲に設定した。これは、中小企業での応
用化においては1500℃前後の溶湯を安定して得るこ
とと、1400℃以下では冷材と溶湯との融合化が不十
分になるためである。
く説明する。図10はこの熱処理工程の温度の変化を示
すグラフである。まず、一次製品を、電気炉,重油炉や
コークス炉等に入れ、800℃〜950℃に加熱する。
時間は、例えば、肉厚が3〜5mmのものについては、
30〜60分行なう。これにより、組織がオーステナイ
ト化される。次に、この一次製品を一次冷却する。これ
は、一次製品を300℃〜450℃のスズ(Sn:融点
231℃)を溶融したスズ浴中に入れ、急激に冷却し保
持する。この一次冷却工程においては、所謂オーステン
パ処理が行なわれる。即ち、オーステナイトからベーナ
イトへの変態が必要な割合に応じて行なわれる温度に保
持するところの一種の焼き入れを行なう。保持時間は、
例えば、肉厚が3〜5mmのものについて、30〜60
分行なう。これにより、ベーナイト,残留オーステナイ
ト及び黒鉛からなる組織状態に変化する。
ので、スズは熱伝導度が高いことから、冷却の進行を速
やかに行なうことができ、そのため、パーライトが析出
することなく、内部まで均一なベーナイト組織が生成さ
れていく。即ち、一般のオーステンパ処理においては、
300〜450℃の塩浴中で行なうが、この塩浴に比較
して、スズは熱伝導度が高いので、速やかに変態温度に
到達でき、全期間に亘って内部応力や変形がほとんど生
じないようにして、内部まで均一にオーステンパ処理を
行なわせることができるのである。
これにより、残留オーステナイトのうち不安定なもの
が、マルテンサイト(二次マルテンサイト)に変態す
る。即ち、ベーナイト,安定な残留オーステナイト,マ
ルテンサイト,黒鉛からなる組織状態に変化する。
(FCD)を冷材とし、マンガン・リンなどの含有量が
低いねずみ鋳鉄(FC2)を用いた。この実施例に用い
た冷材の寸法は50φ×3mm、浴湯部分は50φ×2
7mmである。また、冷材と溶湯との比率及び鋳型骨材
について良好な接合面を得るため、冷材と溶湯との限界
比率を求める実験を行ない、最適と思われる鋳型を用い
た。鋳造方案は、例えば、接触面が1面で、一方向に熱
伝導が生じるものである。その結果、一般的に用いられ
ている珪砂(主成分Si02 )を骨材とした鋳型では、
鋳込み温度1450℃で良好な接合面が得られる限界比
率は次のようになった。 冷材:溶湯=1:6.5 更に比率を下げるには鋳込み温度を上昇する方法がある
が、工業化する場合には限界がある。実際には1500
℃の鋳込み温度では、端部の溶融消失があり均一な接合
界面を得ることは難しかった。そこで、限界比率を下げ
るための対策として、図11に示すように、珪砂の8割
の熱伝導率のセラミック砂を鋳型骨材として用いた(F
S:珪砂、SB:セラミック砂(Al2 O3 60%−S
i02 36%))。その結果を図12に示す。セラミッ
ク砂では 冷材:溶湯=1:5 となり珪砂より限界比率を低下することができた。ま
た、セラミック砂を用いた場合の方が中間層であるCV
黒鉛鋳鉄部分が明確に形成され、機械的性質は安定化さ
れるものと予測できる。
として、更に鋳型サイズを曲げ試験を採取できる様に大
きくした。鋳造方案ならびに寸法を図13に示す。この
鋳型を用いて、鋳込み温度の鋳ぐるみに対する影響につ
いて調べた。鋳込み温度は工業化を考慮して1400,
1450,1480℃の3段階とした。これは、中小企
業での工業化においては1500℃前後の溶湯を安定し
て得ることと、1400℃以下ては冷材と溶湯との融合
化などが難しいためである。その結果、1480℃では
溶融消失部分が多く、逆に1400℃では未溶融部が確
認され、中間の1450℃の鋳込み温度の場合良好な接
合面が均一に得られた。
合鋳鉄をスズ浴炉を用いてオーステンパ熱処理を行なっ
た。スズ浴のべーナイト化の能力について、従来の塩浴
と比較するため、10〜35mm厚の試料によりオース
テンパ熱処理を行ない、硬さを測定し評価した。その結
果を図14に示す。いずれの肉厚でもスズ浴による値が
高く、この炉の優位性が確認できる。図15は、この実
験の25mm厚の試料断面のマクロ組織写真であるが、
塩浴試料では中心部が黒く腐食されパーライトが析出し
ており、一方、スズ浴の試料では均一にべーナイト化さ
れていることが分かる。なお、これらの試料には、べー
ナイト化を安定化するためモリブデンや銅・ニッケルな
どを添加していないものであるので、両熱処理炉の冷却
効果が顕著に現れたものと思われる。この理由について
は、10mm角試料の中心に熱電対をセットして、90
0℃(1127K)から350℃(623K)のスズ浴
と塩浴で急冷して冷却曲線を記録した。その結果を図1
6に示す。スズ浴の方が急激に冷却され350℃への到
達時間は1/3であり、パーライト変態が生じないよう
な速い速度でべーナイト化されると予測される。
×8×30mmの曲げ試験片を製作し、これをスズ浴法
によりオーステンパ熱処理を行った。また、後に述べる
が13φ×96mmの引張試験片も同様の熱処理を行っ
た。熱処理条件は、900℃×1時間−300℃または
400℃×1時間処理−空冷である。その結果、各試験
片には歪みや割れ等の発生が見られなく、図4乃至図7
に示すように、顕微鏡組織もべーナイト化300℃では
目標とする下部べーナイト組織が得られた。一般的に、
複合材料は構成する材料の物性の違いにより、熱処理の
急冷時に発生した応力に伴って、界面に割れ生じ、材料
自体の破損が懸念されるものである。しかし、この複合
鋳造材は、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同志のもの
であり化学組成や熱物性値等が類似し、しかも、図17
に示すように、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状
黒鉛を有するCV黒鉛鋳鉄が100〜150μm程生成
されるため、また熱伝導度の差が小さいこと等のため割
れや歪みの発生は起らないものと考えられる。
験結果を示す。 (1)曲げ試験結果 厚さ6(ねずみ鋳鉄3mm、球状黒鉛鋳鉄3mm)×幅
8×長さ30mmの試験片に2種類(べーナイト化30
0℃,400℃)のオーステンパ熱処埋を施し、図18
に示すような曲げ試験を行なった。曲げ試験は、複合材
の主材質はねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄2種であるので荷
重方向を変えた2種類とした。また、比較のため、オー
ステンパ処理したねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の単体の試
験も行なった。曲げ試験結果を図19に示すが、べーナ
イト化300℃では、球状黒鉛鋳鉄単体で2800N/
mm2 程の抗析力が、下側を球状黒鉛鋳鉄とした場合は
2000N/mm2 程で単体の7割の高い強度が得られ
る。しかし、下側をねずみ鋳鉄とした場合は、単体の2
割程度でオーステンパねずみ鋳鉄とほぼ同等の低強度な
ものとなる。一方、べーナイト化400℃では、上部べ
ーナイト組繊となるため前者より強度は低下し球状黒鉛
鋳鉄単体で2300N/mm2 となり、下側を球状黒鉛
鋳鉄にした場合でも同様に7割の高い強度が得られる。
下側をねずみ鋳鉄とした場合は、前者と同じレベルであ
る。
向性があることが分かった。図20は、破断の仕方の模
式図であるが、下側をねずみ鋳鉄とした場合は、下側に
加わる張力で片状黒鉛の端部に応力が集中(切り欠け効
果)して、高強度なべーナイトでも割れが発生し破断し
てしまう。これは、ねずみ鋳鉄の破断面に黒鉛が多く観
察されることからも推察される。一方、強度的に強い球
状黒鉛鋳鉄側は、ねずみ鋳鉄破断後も荷重をかけ続ける
ことにより、伸びて変形する。そして、更に荷重を加え
ると、中間層(CV黒鉛鋳鉄層)が荷重方向と垂直に破
断する。これに対して、下側を球状黒鉛鋳鉄とした場合
は、強靭なべーナイト組織の球状黒鉛鋳鉄は張力に対抗
すること、そして抗圧力が高い(図17)ねずみ鋳鉄
は、圧縮に対抗することが複合化して抗折力を高めてい
るものと考えられる。
φ×120mmのねずみ鋳鉄溶湯で鋳ぐるみ、13φ×
95mm(ネック12mm)の寸法に加工し、べーナイ
ト化を300℃と400℃でオーステンパ熱処理したも
のである。比較のための複合鋳造材の非熱処理材を生材
として、引張強試験結果を図21及び図22に示す。破
断箇所は予測されるようにねずみ鋳鉄側であり、従って
引張強さはオーステンパねずみ鋳鉄とほぼ同じ値とな
る。破断箇所の特徴としては、接合界面部ではなくねず
み鋳鉄側に入った所である。これは、界面部のねずみ鋳
鉄の黒鉛サイズが、球状黒鉛鋳鉄冷材により急冷される
ため微細であり、界面から遠いほど黒鉛が粗くなるため
である。破断は、粗い黒鉛部で生じる。
20×長さ80mmの試験片を作成し、加振・振動検出
方式(松下インターテクノ(株)製MM02型)で行っ
た。減衰能試験結果を図23に示すが、鋳鉄はオーステ
ンパ熱処理することにより減衰能は向上し、基地が下部
べーナイトの場合は生材の1.5倍に向上する。鋼の5
倍以上の値となる。
性であるCV黒鉛鋳鉄層は、曲げ試験の破壊挙動で分か
るように、複合鋳造材料の接合強度を制御するものと思
われる。そのため、この層を厚く形成させることによ
り、機械的性質を安定化できるものと思われた。CV黒
鉛鋳鉄層は、鋳型骨材を珪砂からセラミック砂に変更す
ることにより、約100μmから120〜130μmに
厚くなり安定に形成される。そこで、一方向性凝固装置
(図示せず)により共晶凝固期間(1200℃〜115
0℃)を長く制御した。その結果、CV黒鉛鋳鉄層が1
60μm程度に厚く形成されることが分かった。
合材及び鋳鉄の複合材の製造方法によれば、鋳鉄の複合
材をねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の同族同士のもので形成
し、接合面に物性値が両者の中間的な芋虫状黒鉛を有す
るCV黒鉛鋳鉄を生成せしめたので、材質の急激な変化
による強度の低下を防止することができ、また、熱伝導
度の差が小さいこと等のため、割れや歪みの発生を抑止
することができる。また、オーステンパ熱処理したこと
によって、強固な組織状態にすることができ、高い強度
を得ることができるようになる。更に、ねずみ鋳鉄は、
防振性を有するとともに、鋳鉄はオーステンパ熱処理す
ることにより減衰能が向上するので、複合材全体を、減
衰能の高い材料とすることができる。即ち、機械的性質
の異なる鋳鉄を複合させても、中間層により応力を暖和
することができ、方向性のある強度を付与することがで
きるとともに、防振性の向上を図ることができる。これ
により、機械鋳物分野における機械加工の付加、金型製
造への展開、鋳鉄及びそれ以外の素材によるインテリ
ア、エクステリアなどの新商品開発等に、寄与できる。
例えば、複合鋳造材料の得られた機能性を応用すること
については、軟鋼の薄板打ち抜き型、アルミ合金・亜鉛
等のダイカスト工場におけるトリミング用金型(鋳物と
堰、湯口などを切断分離する金型)等に利用できる。
鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配置し、該鋳型内
に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固させて、ねずみ
鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛鋳鉄が形成され
るように接合させた一次製品を作成し、次に、該一次製
品を抜型した後、該一次製品をオーステンパ熱処理して
鋳鉄の複合材を製造する構成とした場合には、溶湯を球
状黒鉛鋳鉄とした場合に比較して、チル化傾向を抑止で
きるという効果がある。この場合、溶融されたねずみ鋳
鉄の成分において、マンガン(Mn)を0.3重量%以
下、リン(P)を0.06重量%以下に設定すれば、冷
材との融合化をより一層確実に行なわせることができ
る。また、ねずみ鋳鉄の溶融温度を、1400℃〜16
00℃の範囲に設定した場合には、冷材との融合化をよ
り一層確実に行なわせることができる。
一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、300
℃〜450℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却す
る構成とした場合には、オーステナイトからベーナイト
への変態を行なわせるので、ベーナイト,残留オーステ
ナイト等からなる強固な組織状態にすることができる。
更にまた、300℃〜450℃の一次冷却を、スズ浴中
で行なう構成とした場合には、スズは熱伝導度が高いの
で、冷却の進行を速やかに行なうことができ、そのた
め、内部まで均一な焼き入れを行なって、内部まで均一
なベーナイト組織を生成することができ、複合材の品質
を向上させることができる。更に、スズ浴は塩浴と異な
って、公害防止装置や設備を必要としないという利点が
ある。
を示す図である。
図面代用顕微鏡写真(倍率50倍)である。
図面代用顕微鏡写真(倍率100倍)である。
図面代用顕微鏡写真(倍率320倍)である。
複合材のねずみ鋳鉄部分を示す要部拡大図面代用顕微鏡
写真(倍率1200倍)である。
複合材の中間層部分を示す要部拡大図面代用顕微鏡写真
(倍率1200倍)である。
複合材の球状黒鉛鋳鉄部分を示す要部拡大図面代用顕微
鏡写真(倍率1200倍)である。
方法を示す工程図である。
たねずみ鋳鉄の一例(FC2)及び球状黒鉛鋳鉄の一例
(FCD)の化学組成をねずみ鋳鉄の比較例(FC1)
の化学組成とともに示す表図である。
造方法におけるオーステンパ熱処理工程の温度の変化を
示すグラフである。
用いた鋳型骨材の物性を示す表図である。
法において、冷材厚さと溶湯の分厚さとの比と鋳型の材
質との関係を試験し、融合化の良否を判定した結果を示
す表図である。
用いた鋳型方案を示す図である。
用いたスズ浴のべーナイト化の能力について、従来の塩
浴と比較して、肉厚と硬さとの関係で示すグラフ図であ
る。
での処理状態を従来の塩浴と比較して示す図面代用写真
である。
用いたスズ浴の冷却曲線を従来の塩浴と比較して示すグ
ラフ図である。
の一般的物性値を示す表図である。
験方法を示す図である。
験の結果を比較例と比較して示すグラフ図である。
よる破断の仕方を模式的に示す図である。
試験の結果を比較例と比較して示す表図である。
試験の結果を比較例と比較して示すグラフ図である。
試験の結果を比較例と比較して示すグラフ図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを、境界に
CV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合し、その後オース
テンパ熱処理したことを特徴とする鋳鉄の複合材。 - 【請求項2】 鋳型内に、ねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄
のいずれか一方を冷材として配置し、該鋳型内に、ねず
み鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のいずれか他方を溶融して鋳込
み、凝固させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界に
CV黒鉛鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を
作成し、次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品を
オーステンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造することを
特徴とする鋳鉄の複合材の製造方法。 - 【請求項3】 鋳型内に、球状黒鉛鋳鉄を冷材として配
置し、該鋳型内に、ねずみ鋳鉄を溶融して鋳込み、凝固
させて、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とを境界にCV黒鉛
鋳鉄が形成されるように接合させた一次製品を作成し、
次に、該一次製品を抜型した後、該一次製品をオーステ
ンパ熱処理して鋳鉄の複合材を製造することを特徴とす
る鋳鉄の複合材の製造方法。 - 【請求項4】 上記溶融されたねずみ鋳鉄の成分におい
て、マンガン(Mn)を0.3重量%以下、リン(P)
を0.06重量%以下に設定したことを特徴とする請求
項3記載の鋳鉄の複合材及び鋳鉄の複合材の製造方法。 - 【請求項5】 上記ねずみ鋳鉄の溶融温度を、1400
℃〜1600℃の範囲に設定したことを特徴とする請求
項3または4記載の鋳鉄の複合材の製造方法。 - 【請求項6】 上記オーステンパ熱処理において、上記
一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、300
℃〜450℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却す
ることを特徴とする請求項2,3,4または5記載の鋳
鉄の複合材の製造方法。 - 【請求項7】 上記300℃〜450℃の一次冷却は、
スズ浴中で行なうことを特徴とする請求項6記載の鋳鉄
の複合材の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103882283A (zh) * | 2014-04-21 | 2014-06-25 | 洪泽县华晨机械有限公司 | 船舶发动机气缸套材质及其制造方法 |
CN114395666A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-04-26 | 安徽华聚新材料有限公司 | 一种双金属复合衬板的淬火工艺 |
-
1998
- 1998-02-20 JP JP05614898A patent/JP4020277B2/ja not_active Expired - Fee Related
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