JP3934339B2 - 映像信号処理装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、アナログ映像信号をディジタル信号に変換する映像信号処理装置に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、ブラウン管に代わる映像機器として、液晶表示装置を中心に開発が進められている。パソコンなどから液晶表示装置などの映像機器に入力される映像信号は、ドット周期で信号レベルが変化するアナログ映像信号であり、マトリクス表示装置に表示する場合やメモリに書き込んで信号処理を行う場合などには、ドット周期に一致したサンプリングクロック信号で映像信号のサンプリングをする必要がある。ところがパソコンなどでこのサンプリングクロック信号の出力端子を持つものはほとんどない。このため、パソコンなどから入力される水平同期信号などを基にサンプリングクロック信号を再生する必要がある。さらに、アナログ映像信号は、1ドット周期の中での、安定した信号が出力されているときにサンプリングをしないと、正しい信号が得られない。したがって、サンプリングのタイミングが適切でなければならない。このため、サンプリングクロック信号のタイミングはマニュアルで適当に設定される。
【0003】
映像機器において、PLL回路を用いて、パソコンから入力する水平同期信号を逓倍して、周波数、位相とも入力信号に一致させてサンプリングクロック信号を再生できる。しかし、PLL回路の出力信号は、後段の論理処理回路を通して表示制御に必要なタイミング信号を生成するため、位相遅れが生じる。この位相遅れは入力信号の周波数に依存するため、多種多様な入力信号に対応する映像機器では、位相の遅れが一意的に決まらないことになる。したがって、タイミング信号の位相遅れによるバラツキは特にサンプリング時に問題となる。
【0004】
サンプリングポイントの最適化を図るため、特開平9−149291号公報に記載された映像情報装置では、フレーム間の映像信号の自己相関を用いる。すなわち、サンプリングクロック信号の遅延量を変化させ、各遅延量ごとにフレーム間でのA/D変換された映像信号の自己相関を求め、相関が低くなるポイントを信号変化点とし、信号変化点の中間点付近を最適サンプリングポイントとする。しかしこの最適化回路は相関値を求めるためにフレームメモリを必要としている。従って複雑なメモリの制御回路が必要となり、また、高速なクロックが必要となる。またメモリを使わない方法として複数のA/D変換回路を用いる方法がある。しかし、複数のサンプリングクロック信号の遅延回路が必要となるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、アナログ映像信号をディジタル信号に変換する際にサンプリングポイントを最適化する映像信号処理装置を提供することである。
【0006】
【発明の開示】
本発明の第1の映像信号処理装置は、入力される同期信号から映像信号をディジタル化するサンプリングクロック信号を発生させるクロック発生回路と、サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で複数の位相値のいずれかに制御する位相制御回路と、入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第1信号を出力する第1信号出力回路と、第1信号出力回路から入力される第1信号を所定時間内でカウントする第1カウンタ回路と、位相制御回路により制御されたサンプリングクロック信号によるタイミングで、入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第2信号を出力する第2信号出力回路と、第2信号出力回路から入力される第2信号を所定時間内でカウントする第2カウンタ回路と、前記の位相制御回路によりサンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替え、この位相設定を1周期以上で繰り返し、位相が切り替えられるごとに得られる第1と第2のカウンタ回路の出力信号の相違を基に最適なサンプリングクロック信号の位相を設定する制御回路とを備える。たとえば、制御回路は、第1と第2のカウンタ回路の出力信号を減算する減算回路により得られる複数の減算結果に応じて最適なサンプリングクロック信号の位相を設定する。このように、映像信号がしきい値レベルを超える回数を2個のカウンタで数えるという簡素な回路構成でサンプリングクロック信号の位相を制御できる。また、2値化回路の出力信号とA/D変換回路の出力信号のタイミング調整が不要となる。さらに、サンプリングクロックの位相の制御において高速なサンプリングクロック信号が不要であり、低消費電力化が図れる。さらに2値化回路とA/D変換回路の出力の後の回路で、サンプリングクロック信号を必要としないため、高速な信号に対してもカウンタ回路の処理が可能となる。従って低消費電力化ができLSIに対し有利となる。
【0007】
この映像信号処理装置において、最適なサンプリングクロックタイミングは、具体的には種々の手法で設定できる。たとえば、前記の制御回路は、第1と第2のカウンタ回路の出力信号の差の絶対値が所定値以下となるサンプリングクロック信号の位相を、最適なサンプリングクロック信号の位相に設定する。または、前記の制御回路は、第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が所定値以下であって、かつ、最小となるサンプリングクロック信号の位相を、最適なサンプリングクロック信号の位相に設定する。または、前記の制御回路は、位相制御回路によりサンプリングクロック信号の位相を連続的に切り替え、第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が所定値以下になる位相を連続して検出すると、差の絶対値が所定値以下になる連続する位相の中心の位相を最適サンプリングクロック信号の位相とする。または、前記の制御回路は、位相制御回路によりサンプリングクロック信号の位相を連続的に切り替え、第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が最大値になる位相の値を2つ以上検出すると、それらの中心を最適サンプリングクロック信号の位相とする。
【0008】
また、この映像信号処理装置において、好ましくは、前記の制御回路は、前記第1カウンタ回路の出力値が所定値以下であると判別すると、位相制御回路に対する制御を停止する。したがって、変化の少ない映像情報では位相の制御を停止して、最適なサンプリングポイントの検出における誤動作を防ぐ。
【0009】
また、この映像信号処理装置において、好ましくは、さらに、前記第1信号出力回路のしきい値レベルを制御する2値化レベル制御回路と、前記第2信号出力回路の出力信号をしきい値レベルと比較する比較回路とを備える。そして、前記の制御回路は、前記第1カウンタ回路の出力が所定値以下か否かを判別し、所定値以下であるとき、2値化レベル制御回路と比較回路のそれぞれのしきい値レベルを小さくする。第1カウント回路の出力が所定値以下であるのは、映像情報が小さいレベルであるときである。そこで、そのような場合に信号検出のレベルを低くして、映像情報が小さいレベルでも最適なサンプリングポイントを検出する。
【0010】
本発明の第1の映像信号処理方法では、入力される同期信号から映像信号をディジタル化するサンプリングクロック信号を発生させ、サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替える。この位相設定を1周期以上で繰り返し、位相が切り替えられるごとに、入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第1信号を出力し、第1信号を所定時間内でカウントし、サンプリングクロック信号によるタイミングで入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第2信号を出力し、第2信号を所定時間内でカウントする。こうして位相切り替えを繰り返して得られた第1信号と第2信号のカウント値の相違を基に最適なサンプリングクロック信号の位相を設定する。
【0011】
この映像信号処理方法において、好ましくは、前記の第1信号のカウント値が所定値以下であると判別すると、位相制御すなわちサンプリングタイミングの制御を停止する。
【0012】
また、この映像信号処理方法において、好ましくは、前記の第1信号のカウント値が所定値以下であると判別すると、第1信号のしきい値レベルと第2信号のしきい値レベルを小さくする。
【0013】
また、本発明の第2の映像信号処理装置は、入力される映像信号を2値化する信号出力回路(たとえばA/D変換回路)と、入力される同期信号からサンプリングクロック信号を発生させるクロック発生回路と、サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で複数の位相値のいずれかに制御する位相制御回路と、前記信号出力回路の出力信号を1サンプリング周期で遅延する遅延回路と、所定時間内で前記信号出力回路と遅延回路の出力信号を入力して両者の減算を行ないその絶対値が最大となる値を検出する最大値検出回路と、前記位相制御回路のサンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替え、この位相切り替えを1周期以上で繰り返し、最大値検出回路で検出された複数の最大値の分布における最も大きい値を判別し、最も大きい値の位相を最適サンプリングポイントに設定する制御回路とを備える。この発明によれば、1サンプリング前後の映像信号についての減算結果を求めその絶対値の最大値の分布を検出するという簡素な構成でサンプリングタイミングが制御できる。また最大値の分布を検出することにより信号レベルの変化を検出することができ、正確なサンプリング位相の設定が可能となる。
【0014】
また、本発明の第2の映像信号処理方法では、入力される同期信号から映像信号をディジタル化するサンプリングクロック信号を発生させ、サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替える。この位相切り替えを1周期以上で繰り返し、位相が変化されるごとに、入力される映像信号を2値化し、2値化された信号を1サンプリング周期で遅延し、所定時間内で前記の2値化された信号と遅延された信号とを入力して両者の減算を行ない、その絶対値が最大となる値を検出する。そして、前記の位相切り替えを繰り返して検出された複数の最大値の分布において最も大きい値を判別し、最も大きい値の位相を最適サンプリングポイントに設定する。
【0015】
また、本発明の第3の映像信号処理装置は、入力される同期信号からサンプリングクロック信号を発生させるクロック発生回路と、クロック発生回路により発生されたサンプリングクロック信号の位相を制御する位相制御回路と、サンプリングクロック信号の周波数の周期で交互に変化する映像信号を入力し、サンプリングクロック信号のタイミングで2値化する信号出力回路と、前記信号出力回路の出力信号を2相処理する2相処理回路と、前記2相処理回路の複数の出力信号についてそれぞれレベル変化の有無を判別する複数のレベル変化検出回路と、前記位相制御回路に順次にサンプリングクロック信号の位相を変化させ、前記の複数のレベル変化検出回路がいずれもレベル変化ありを所定時間内に出力しなかったときの位相を最適サンプリングポイントに設定する制御回路とを備える。したがって、低速処理でサンプリングタイミングの最適化が可能となる。
【0016】
また、本発明の第3の映像信号処理方法では、入力される同期信号から映像信号をディジタル化するサンプリングクロック信号を発生させ、サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替える。この位相切り替えを1周期以上で繰り返し、位相が切り替えられるごとに、サンプリングクロック信号の周波数の周期で交互に変化する映像信号を入力し、サンプリングクロック信号をサンプリングタイミングとして映像信号を2値化し、2値化された信号を2相処理し、2相処理により得られる複数の出力信号についてそれぞれレベル変化の有無を判別する。こうして位相切り替えを繰り返して、前記2相処理により得られる複数の出力信号のレベル変化が所定時間内に起こらなかったときの位相を最適サンプリングポイントに設定する。
【0017】
なお、この発明の開示は、必要なすべての特徴を列挙しているものではなく、よって、これらの特徴のサブコンビネーションも発明となり得る。
【0018】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る映像信号処理装置の実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、図において同じ参照記号は同じ又は同等のものを示す。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置を示す。映像信号処理装置はたとえば液晶表示装置である。この実施の形態の映像信号処理装置において、入力されるアナログ映像信号は、2値化回路6とA/D変換回路2においてしきい値レベルと比較され、2つのカウンタ7、8が、しきい値レベルを越えて映像信号が変化する回数を所定時間内でそれぞれカウントする。ここで、A/D変換回路2は、サンプリングクロック信号の制御された位相で変換を行う。これにより、2値化回路6とA/D変換回路2はしきい値レベルとの比較を異なるタイミングで行う。サンプリングクロック信号の位相が適切であれば2つのカウント値の差はないが、不適当であればカウント値の差が大きくなる。そこで、サンプリングクロック信号について、サンプリングクロック信号の1周期の中で、複数の位相(たとえば4位相)すなわち複数のサンプリングタイミングが順次選択可能とする。そして、位相制御回路5により1周期内で位相を順次選択して、選択可能な複数の位相(サンプリングタイミング)の各々で、所定時間(1周期以上)において2つのカウント値を求める。こうして選択可能な複数の位相についてそれぞれ得られたカウント値の差を比較して、カウント値の差が所定値より小さくなったときの位相を映像処理のための最適な位相として設定する。
【0020】
図1により具体的に説明すると、入力映像信号1をA/D変換回路2に供給する。一方、同期信号(たとえば水平同期信号)3によりPLL回路4と位相制御回路5でサンプリングクロック信号70を作成する。PLL回路4は、同期信号を基にサンプリングクロック信号を発生する。位相制御回路5は、図2に示すように、3個の直列接続の遅延素子51、52、53とセレクタ54とからなり、位相制御信号90によりセレクタ54を制御することにより、サンプリングクロックの1周期内で4つの異なる位相の信号を出力できる。すなわち、位相制御回路5は、位相制御信号90に対応する位相のクロック信号をA/D変換回路2に出力する。A/D変換回路2は、このクロック信号によるサンプリングタイミングで入力映像信号1をサンプリングし、8ビットのディジタル信号を映像処理回路11に出力する。映像処理回路11は拡大縮小などの処理を行い、得られた映像データを液晶表示パネル12に表示する。
【0021】
また、入力映像信号1は、コンパレータで構成された2値化回路6にも供給する。2値化回路6は所定レベルと比較して入力映像信号1を2値化し、2値化出力信号60を第1カウンタ回路7に供給する。(例えば図4に示すように、映像信号が1Vの場合に所定レベルを0.5Vとする。)また、A/D変換回路2の最上位ビットの信号80を第2カウンタ回路8に供給する。第1と第2のカウンタ回路7、8は所定時間内(例えば1垂直期間または複数の水平期間)で入力信号を計数し減算回路9に供給する。A/D変換回路2の最上位ビットは、2値化回路6のしきい値と同じレベルを用いた2値化により出力される。したがって、第1と第2のカウンタ回路7、8は、同じしきい値レベルで2値化をし、映像信号1の変化を数えていることになる。(なお、必ずしも同じしきい値レベルでなくてもよい。)減算回路9は第1と第2のカウンタ回路7、8から供給されたカウンタ値の減算を行い、2つのカウンタ値の差の絶対値を第1判別回路10に供給する。第1判別回路10は、位相制御回路5の位相を1周期内で順次変化させ、変化させるごとに減算回路9からの差の絶対値が所定の範囲かどうかを判別し、所定範囲以下となる場合の設定位相を最適サンプリング位相とする。
【0022】
第1判別回路はCPUを備え、上に説明したように、位相制御信号90を位相制御回路5に送ってサンプリングクロックの位相を制御し、第2カウンタ回路8のための最適のサンプリングタイミングを設定する。図3は、CPUによるサンプリング最適化のフローを示す。まず、位相制御信号90を位相制御回路5に送り、セレクタ54を1つ進め(ステップS10)、これによりサンプリングクロック信号の1周期の中のサンプリング位相を設定する。次に、第1と第2のカウンタ回路7、8のカウント値をリセットする(ステップS12)。これにより、2つのカウンタ回路7、8によるカウント処理が続けられる(ステップS14)。所定期間が終了するまで(ステップS16)、ステップS14のカウント処理を繰り返す。所定期間が終了すると、減算回路9からのカウント値の差の絶対値が所定値より小さいかが判断される(ステップS18)。カウント値の差の絶対値が所定値以上であれば、異常なサンプリング位相であるので、ステップS10に戻り、位相を次の値に設定しなおして、上述の処理を繰り返す。得られたカウント値の差の絶対値が所定値以下であれば、その位相を最適サンプリング位相と判断する(ステップS20)。これにより、サンプリングクロック信号の最適な位相が設定される。
【0023】
図4は、この映像信号処理装置における信号の波形を示す。この波形図を用いて、サンプリング位相が適当な場合と不適当な場合の動作を説明する。図4における映像信号において、縦の実線が基本位相であり、破線が遅延により得られる3つの位相を示す。サンプリングの位相は、位相制御回路5で1サンプリングクロックの1周期内で4つの値に制御する。位相制御回路5の位相をサンプリングクロックの1周期内で順次変化し、かつ、サンプリングクロックの1周期以上でこれを繰り返す。この4つの位相に対応して、図4にA、B、C、Dで示すように、映像信号をディジタル化するA/D変換回路2の出力する最上位ビットが変化する。Aの場合、サンプリングポイント51、55などでサンプリングが行われる。同様に、Bの場合、サンプリングポイント52、56などでサンプリングが行われ、Cの場合、サンプリングポイント53、57などでサンプリングが行われ、Dの場合、サンプリングポイント54、58などでサンプリングが行われる。Cの場合、A/D変換回路2の出力信号80は、入力信号の変化部分でサンプリングをするため最も不安定となる。従って、2値化信号60と最上位ビット80を比較するとわかるように、第1カウンタ回路7と第2カウンタ回路8の出力データは大きく異なり、減算結果がある大きな値を持って第1判別回路10に供給される。第1判別回路10は、減算回路9の出力値の絶対値が所定値以上となるサンプリングポイントを、悪いサンプリングポイントと判別する。Cの場合は、サンプリング位相が不適当である。位相制御回路5は複数のサンプリングポイントに位相を制御し、得られた複数の減算結果から最適サンプリングポイントを第1判別回路10で判別する。図4の例では、減算結果の値はCの場合では大きく、A、B、Dの場合では小さい。適当な所定値を設定し、最適なサンプリング位相として、少なくとも減算結果の絶対値が所定値以下である位相を選択する。
【0024】
最適なサンプリング位相は、種々の方法で選択できる。たとえば、減算結果の絶対値が所定値以下となる場合が複数検出されるときは、その中の最小値に対応する位相を選択してもよい。
【0025】
また、所定値以下の場合が複数検出されるときに、それらの中心を最適サンプリング位相として設定してもよい。これにより、より安定なサンプリングポイントを設定できる。
【0026】
また、位相制御回路5の位相をサンプリングクロックの1周期内で順次変化し、かつ、サンプリングクロックの1周期以上でこれを繰り返すことにより、第1判別回路10が、減算結果の差が最大値になるサンプリングクロック信号の位相の値(たとえば図4の53の位相)を少なくとも2つ以上検出すると、その中心をサンプリングクロック信号の最適位相として設定してもよい。
【0027】
また、第1判別回路10の所定値は、サンプリングクロック信号の位相を順次制御して1サンプリングクロック信号の1周期で最大値と最小値を検出してその差から割合をかけて求めてもよい。
【0028】
また、一般に、減算回路を用いずに、他の計算技法で2つのカウント値の相違を検出してもよい。
【0029】
以上に説明した映像信号処理装置において、2値化された信号で処理されるため、最適な位相が安価な回路構成で設定できる。また2値化回路6の出力信号とA/D変換後のディジタル回路とのタイミング調整が不要となる。さらに変化の回数を検出するため、PLL回路より高速なサンプリングクロック信号を出力する必要がなく、低消費電力化が図れる。サンプリングタイミングの調整は映像信号の周波数が高くなるほど重要になるが、この映像信号処理装置は、周波数が高くなってもサンプリングポイントを最適化できる。
【0030】
図5は、本発明の第2の実施の形態における映像信号処理装置の構成を示す。図1に示した第1の実施の形態の映像信号処理装置の場合、あまり変化しない映像情報については、最適サンプリングポイントの検出の誤動作がおこる。そこで、この実施の形態の映像信号処理装置では、変化の少ない映像情報である場合に、サンプリングクロック信号の最適位相設定制御を行わないようにする。
【0031】
具体的には、図5に示すように、さらに、第1判別回路13と位相制御停止回路14が設けられる。第2判別回路13は、コンパレータを備え、第1カウンタ回路8から出力されるカウント値を所定値と比較し、所定値以下であると判別すると、位相制御停止回路14に位相制御停止信号100を送り、位相制御信号90を停止する。位相制御停止回路14は、位相制御信号90を通すスイッチを備え、このスイッチを位相制御停止信号100で制御する。
【0032】
さらに説明すると、通常の映像信号の場合、位相制御停止回路14は、第1カウンタ回路8から出力されるカウント値が所定値以上であるので、位相制御停止信号100を受け取らない。この場合、位相制御停止回路14は、第1判別回路10からの位相制御信号90をそのまま位相制御回路5へ送る。これに応じて、位相制御回路5は、位相制御信号90により順次位相を制御して最適サンプリング位相を設定する。
【0033】
逆に、第1カウンタ回路8から出力されるカウント値が所定値以下であると判別すると、位相制御停止回路14は第2判別回路13から位相制御停止信号100を受け取る。これにより、位相制御停止回路14は、第1判別回路10から入力される位相制御信号90の出力を停止する。第1カウンタ回路8から出力される値が所定値以下である場合とは、映像信号があまり変化しない場合である。そこで、そのような場合、最適サンプリングポイント検出の誤動作を避けるために、サンプリングタイミングの最適化を行わない。このように第1カウント回路8の出力信号の値が所定値以下であると判別したときに位相制御停止回路14により位相制御を停止することにより、変化の少ない映像情報における最適なサンプリングポイントの検出誤動作を防ぐことができる。
【0034】
図6は、本発明の第3の実施の形態における映像信号処理装置のブロック図である。この映像信号処理装置では、映像情報が小さいレベルである場合にも最適なサンプリングポイントを検出する。このため、第3判別回路17は、映像情報が小さいレベルである場合に、2値化回路のしきい値や、A/D変換回路の出力するディジタル値に対するしきい値レベルを小さくして、最適なサンプリングポイントの検出を可能にする。
【0035】
具体的には、この映像信号処理装置は、さらに2値化レベル制御回路15、比較回路16および第3判別回路17を備える。2値化レベル制御回路15は、第3判別回路17からのしきい値レベルをアナログ化し、2値化回路6のしきい値レベルとして出力する。また、比較回路16は、A/D変換回路2の出力信号を、第3判別回路17からのしきい値レベルと比較する。第3判別回路17は、CPUを備え、映像情報が小さいレベルであっても、2値化回路6と比較回路16の2値化のしきい値レベルを小さく設定して、最適なサンプリングポイントを検出する。また、第3判別回路17は、映像情報が小さいレベルであるとき(所定値以上を検出できない場合)、位相制御停止回路14に位相制御停止信号110を出力して位相制御停止回路を14を動作させ、最適サンプリングポイントの調整を停止する。この場合、調整者に表示画面、音声、または発光ダイオードなどで知らせるようにする。位相制御停止回路14は、位相制御信号90を通すスイッチを備え、このスイッチを位相制御停止信号110で制御する。これにより、第1の実施の形態の映像信号処理装置と同様に最適なサンプリングポイントが設定できる。
【0036】
図7は、第3判別回路17のCPUの制御のフローを示す。まず、第1カウンタ回路8から出力されるカウント値を所定値と比較する(ステップS20)。第1カウンタ回路8から出力される値が所定値以上である場合、位相制御停止信号110を出力しない(ステップS30)。これにより、位相制御停止回路14は、第1判別回路10からの位相制御信号90をそのまま位相制御回路5へ送り、これに応じて、位相制御回路5は、位相制御信号90により順次位相を制御して最適サンプリング位相を設定する。これは通常の映像信号についての制御である。
【0037】
逆に、第1カウンタ回路8から出力されるカウント値が所定値以下であると判別すると、位相制御停止回路14に位相制御停止信号110を供給する(ステップS22)。これにより、位相制御停止回路14は、第1判別回路10から入力される位相制御信号90の位相制御回路5への出力を停止させる。さらに、第3判別回路17は、2値化レベル制御回路15に2値化のしきい値レベル(アナログ値)の設定を低く変化させ(ステップS24)、再度第1カウンタ回路8から出力される値が所定値以上か否かの判別を行なう(ステップS26)。しきい値レベルの設定を変化させた後で所定値以上でないと判別するときは、ステップS24に戻り、再びしきい値を変化させる。しきい値レベルの設定を変化させて所定値以上であると判別すると、そのしきい値レベルを比較回路16に供給する(ステップS28)。これにより、A/D変換回路2から出力されるディジタル出力信号が、2値化回路6と同じしきい値レベルで比較され、2値化される。次に、位相制御停止回路14への位相制御停止信号110を解除し(ステップS30)、最適サンプリングポイント制御を行う。すなわち、位相制御停止回路14は、位相制御信号90を位相制御回路5に送り、これにより最適サンプリングポイントの調整を行なう。このように、第1カウント回路8のカウント値が所定値以下である場合に第3判別回路17が2値化回路6による2値化のしきい値レベルと比較回路16による2値化のしきい値レベルとを変化させるので、映像情報が小さい場合でも最適なサンプリングポイントを検出できる。
【0038】
次に、本発明の第4の実施の形態における映像信号処理装置を示す。この映像信号処理装置では、位相を切り換えつつ、1サンプリングタイミング前後の映像信号の減算結果を求める。減算結果の絶対値の最大値は信号レベルの変化が最も大きい位相に対応する。そこで、減算結果の絶対値の最大値の分布から最大値となる位相を最適サンプリングポイントとする。
【0039】
図8は、第4の実施の形態の映像信号処理装置のブロック図である。位相制御回路5は、PLL回路4からのサンプリングクロック信号の位相を制御して、A/D変換回路2と遅延回路20に供給する。A/D変換回路2は、入力映像信号1をディジタル化する。遅延回路20は、サンプリングクロック信号で動作する遅延フリップフロップ(D−FF)からなり、A/D変換回路2の最上位ビットの出力信号を1サンプリング周期で遅延する。減算回路21は、A/D変換回路2と遅延回路20のそれぞれの出力信号を入力して両者の減算を行ない、最大値検出回路22に送る。最大値検出回路22は、1サンプリング前後の減算値の絶対値が最大となる値を検出して第4判別回路23に送る。第4判別回路23は、位相制御回路5に位相制御信号を送り、順次にサンプリングクロック信号の位相を制御し、最大値検出回路22で検出された複数の最大値の中でさらに最大となる位相を判別する。そして、さらに最大となる位相制御回路15の位相を最適サンプリングポイントとして設定する。このように、1サンプリング前後の映像信号の減算値の最大値を検出するという簡単な回路構成で最適サンプリングポイントが検出できる。最大値の分布を検出することにより信号レベルの変化を検出することができ正確なサンプリング位相の設定できる。全白のような一定レベルの映像信号であるかも同時に判別でき誤動作が防止できる。
【0040】
図9は、第4判別回路22のCPUの制御のフローを示す。まず、サンプリングクロック信号の1周期の中の最初のサンプリング位相を設定するための位相制御信号90を位相制御回路5に送る(ステップS50)。次に、1サンプリング前後の映像信号の差の絶対値の最大値を求める(ステップS52)。次に、1周期内で設定可能な所定の全サンプリング位相について測定が終了したか否かが判断される(ステップS54)。終了していなければステップS50に戻り、次のサンプリング位相のための位相制御信号を設定して差の絶対値を入力する。1周期内の所定の全サンプリング位相での測定が終了すれば、位相制御信号を、1周期の位相の中で差の絶対値の最大値を与える位相制御信号に決定する(ステップS56)。
【0041】
次に、本発明の第5の実施の形態における映像信号処理装置を説明する。図10に示すように、この映像信号処理装置では、サンプリング周波数の周期で交互に変化する所定の映像信号30を用いて最適サンプリングタイミングを調整する。位相制御回路5は、PLL回路4で発生されたサンプリングクロック信号の位相を制御する。A/D変換回路2は、サンプリング周波数の周期で交互に変化する所定の映像信号30をディジタル化する。次に、2相処理回路により、A/D変換回路2の出力信号をうちの1ビットまたは複数ビットを2系統で処理する。2相処理回路において、A/D変換回路2からの信号が、2系統の遅延フリップフロップ(D−FF)34、35に入力される。また、インバータ31、33、1/2分周回路32は、サンプリングクロック信号を1/2分周したクロック信号とその反転信号を発生し、このクロック信号とその反転信号がそれぞれ遅延フリップフロップ(D−FF)34、35にクロック信号として供給される。図11のタイミングチャートに各回路の出力信号が示されるが、たとえば入力信号(A/D変換回路の出力信号)がサンプリング周期で交互に白と黒となる場合、2相処理を施した2系統の出力(遅延フリップフロップ35、34の出力)は、サンプリングタイミングが適当であるならば、必ずどちらも一定レベル(白、白、白、...または黒、黒、黒、...)であり、レベルの変化はない。複数のレベル変化検出回路36、37は、それぞれ、遅延フリップフロップ34、35の出力信号の変化を検出し、レベル変化の検出結果を第5判別回路38に供給する。例えばレベルの変化があれば“1”の状態信号を第5判別回路38に供給する。この場合、第5判別回路38はサンプリングポイントが悪いと判断し、位相制御回路5に位相制御の設定を行なう。逆に、レベル変化がない時は最適サンプリングポイントと判断し、レベル変化がない時の位相を最適サンプリングポイントに設定する。このように、所定の映像信号を入力することにより簡素な2相処理で最適サンプリングポイントが検出できる。また低速処理でレベル変化を検出でき、IC化に有効である。なお、2相処理回路としては図10に示した例の他に、種々の回路構成がある。
【0042】
図12は、第5判別回路38のCPUの制御のフローを示す。まず、サンプリング周波数の周期で白と黒となる所定の映像信号30の入力を開始する(ステップS70)。次に、サンプリングクロック信号の位相についての位相制御信号90を変更し、位相制御回路5に送る(ステップS72)。次に、レベル変化検出回路36、37により2相処理がされた信号についてのレベル変化を監視し(ステップS74)、レベル変化があったか否かを判断する(ステップS76)。レベル変化が検出されると、悪いサンプリングポイントであるので、ステップS72に戻り、位相制御信号を変更して、次のサンプリング位相を設定して同様の監視を続ける。レベル変化がなければ、次に所定期間が終了したかを判断する(ステップS78)。終了していなければ、ステップS74に戻り、レベル変化の監視を続ける。所定期間が終了すれば、最適サンプリングポイントと判断し、その位相を最適サンプリング位相として設定する(ステップS80)。
【0043】
なお、本発明は実施の形態により具体的に説明されたが、本発明の範囲は請求の範囲に記載され、それに含まれる種々の変形はすべて本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置のブロック図
【図2】 位相制御回路の回路図
【図3】 第1判別回路の制御のフローチャート
【図4】 本発明の第1の実施の形態における映像信号処理装置の動作を説明するための波形図
【図5】 本発明の第2の実施の形態における映像信号処理装置のブロック図
【図6】 本発明の第3の実施の形態における映像信号処理装置のブロック図
【図7】 第1判別回路の制御のフローチャート
【図8】 本発明の第4の実施の形態における映像信号処理装置のブロック図
【図9】 第4判別回路の制御のフローチャート
【図10】 本発明の第5の実施の形態における映像信号処理装置のブロック図
【図11】 2相処理のタイミングチャート
【図12】 第5判別回路の制御のフローチャート
【符号の説明】
2 A/D変換回路、 4 PLL回路、 5 位相制御回路、 6 2値化回路、 10 第1判別回路。
Claims (11)
- 入力される同期信号から映像信号をディジタル化するサンプリングクロック信号を発生させるクロック発生回路と、
サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で複数の位相値のいずれかに制御する位相制御回路と、
入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第1信号を出力する第1信号出力回路と、
第1信号出力回路から入力される第1信号を所定時間内でカウントする第1カウンタ回路と、
位相制御回路により制御されたサンプリングクロック信号によるタイミングで、入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第2信号を出力する第2信号
出力回路と、
第2信号出力回路から入力される第2信号を所定時間内でカウントする第2カウンタ回路と、
前記の位相制御回路によりサンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替え、この位相設定を1周期以上で繰り返し、位相が切り替えられるごとに得られる第1と第2のカウンタ回路の出力信号の差の絶対値が所定範囲以下となる場合を最適としてサンプリングクロック信号の位相を設定する制御回路と
を備える映像信号処理装置。 - 前記の第1信号出力回路が、入力映像信号を2値化する2値化回路であり、前記の第2信号出力回路が、入力映像信号をディジタル化するA/D変換回路であることを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。
- 前記の制御回路は、前記の第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が所定値以下となるサンプリングクロック信号の位相を、最適なサンプリングクロック信号の位相に設定することを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。
- 前記の制御回路は、第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が所定値以下であって、かつ、最小となるサンプリングクロック信号の位相を、最適なサンプリングクロック信号の位相に設定することを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。
- 前記の制御回路は、前記の位相制御回路によりサンプリングクロック信号の位相を連続的に切り替え、前記の第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が所定値以下になる位相を連続して検出すると、絶対値が所定値以下になる連続する位相の中心の位相を最適サンプリングクロック信号の位相とすることを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。
- 前記の制御回路は、前記の位相制御回路によりサンプリングクロック信号の位相を連続的に切り替え、前記の第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が最大値になる位相の値を2つ以上検出すると、それらの中心を最適サンプリングクロック信号の位相とすることを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。
- 前記の制御回路は、前記の第1カウンタ回路の出力値が所定値以下であると判別すると、位相制御回路に対する制御を停止することを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。
- さらに、前記第1信号出力回路のしきい値レベルを制御するしきい値レベル制御回路と、
前記第2信号出力回路の出力信号をしきい値レベルと比較する比較回路とを備え、
前記の制御回路は、前記第1カウンタ回路の出力が所定値以下か否かを判別し、所定値以下であるとき、2値化レベル制御回路と比較回路のそれぞれのしきい値レベルを小さくすることを特徴とする請求項1に記載された映像信号処理装置。 - 入力される同期信号から映像信号をディジタル化するサンプリングクロック信号を発生させ、
サンプリングクロック信号の位相をサンプリングクロック信号の1周期内で順次切り替え、この位相設定を1周期以上で繰り返し、位相が切り替えられるごとに、
入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第1信号を出力し、第1信号を所定時間内でカウントし、
サンプリングクロック信号によるタイミングで入力映像信号がしきい値レベルより大きいときに第2信号を出力し、第2信号を所定時間内でカウントし、
前記の位相切り替えを繰り返して得られた第1信号と第2信号のカウント値の差の絶対値が所定範囲以下となる場合を最適としてサンプリングクロック信号の位相を設定する映像信号処理方法。 - 前記の第1信号のカウント値が所定値以下であると判別すると、位相制御を停止することを特徴とする請求項9に記載された映像信号処理方法。
- 前記の第1信号のカウント値が所定値以下であると判別すると、第1信号のしきい値レベルと第2信号のしきい値レベルを小さくすることを特徴とする請求項9に記載された映像信号処理方法。
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