JP3914717B2 - フラットパネル搬送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、フラットパネルに所定の処理を施す処理装置に、そのフラットパネルを搬送する搬送システムに関する。
【0003】
【従来の技術】
現在、液晶工場においてガラス基板を搬送するシステムは、所謂ベイ方式と称される搬送方法が主流である。この方式は図10に示すように、搬送ラインを工程間搬送100と工程内搬送101に分けて、工程間搬送100と工程内搬送101のタイミング等を調整するストッカ102を媒介させる。工程間では複数枚のガラス基板を収容したカセットをモノレール、AGV等の搬送台車に載せて搬送し、工程内では前記ストッカからカセットをAGV等に移載し、処理装置に搬送する。そして、各処理装置に対してはロボットがカセットからガラス基板を枚葉毎に取出し、処理装置にかけた後、再びロボットがカセットに収容して、次の処理装置に搬送している(図11参照)。
以上のような搬送システムはカセット単位による搬送であることから、ここでは「カセット搬送方式」と定義するが、このカセット搬送方式には、次のように点が懸念されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それは、コストミニマムに伴うガラス基板の大型化の問題である。
即ち、▲1▼ ガラス基板の大型化に伴い、ガラス基板を収容したカセットの重量が増大すること(第4世代以降の場合、約70kg以上になると予想される)、▲2▼ カセットに収容されたガラス基板の撓みであり、この撓みはガラス破損の原因にもなるし、ガラス基板に配線パターンが形成されている場合には、断線の原因にもなること、▲3▼ ガラス基板の大型化に対応できるように、その世代が交代する毎に、カセットの入替えが必要になること、等である。
【0006】
上記「カセット搬送方式」の問題点を解決する方法として、ガラス基板を枚葉毎に、かつ、水平方向に搬送することが考えられるが、ガラス基板の大きさは、世代交代が進むにつれて大きくなり、液晶工場の床面積に占める搬送ラインや処理装置の割合が拡大し、ひいては液晶パネルディスプレイの価格に反映されてしまうことになる。
また、搬送ラインの面積が拡大することは、それだけクリーンエリアが拡大することになり、クリーンエリアの局所化を目的とするミニエンバイロメントの意義を失わせることになる。
さらに、ローラコンベア、ベルトコンベアによる水平方向の搬送でガラス基板にローラ跡等が着いてしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ガラス基板等のフラットパネルが大型化しても、搬送ラインや処理装置のフットプリントが拡大することなく、クリーンエリアの極小化も可能で、また、フラットパネルの撓み、汚れを防ぐことができる搬送システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る搬送システムは、処理装置等を配置した生産ラインに設けられ、且つ、フラットパネルを搬送する搬送ラインを備えたフラットパネル搬送システムにおいて、前記搬送ラインは、搬送装置と、基板ステーションの出庫口からフラットパネルを前記搬送装置に枚葉毎に移載する移載装置と、前記搬送ラインにおける搬送方向の変換を行ったり、搬送ラインを分岐させる移載装置とを備えていると共に、前記搬送装置及び前記移載装置は、それぞれ基台と、その基台に取付けられた搬送台を備え、前記搬送台は、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とする(請求項1に記載の発明)。
【0009】
前記フラットパネルは、典型的にはフラットパネルディスプレイとしてのLCD(液晶ディスプレイ)に用いられるガラス基板である。
その他、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(電界発光ディスプレイ)、FED(電界放射ディスプレイ)用いられるガラス基板、フラットCRT等のガラス基板等であって、平面状のものであればよい。
フラットパネルの材質は、ガラス以外の材料、例えばプラスチック等の合成樹脂、シリコン等の半導体でもよい。
【0010】
上記発明によれば、前記搬送装置によりフラットパネルが縦姿で、且つ、非接触で搬送ラインにより搬送される。
よって、フラットパネルの大型化に対しては、搬送ラインの省スペース化を図ることができ、またフラットパネルの薄型化に対しては、その撓みを低減させ、またその破損を防ぐことができる。
またフラットパネルは非接触で支持され、搬送されるので、フラットパネルに搬送痕が残ることもない。
【0011】
また、搬送ラインの分岐、複線化、搬送ラインにおける搬送方向の変換も自在に行うことができる。
【0012】
上記発明において、前記搬送ラインには、基板洗浄装置が配置され、該基板洗浄装置は、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とする(請求項2に記載の発明)。
【0013】
フラットパネルにダウンフローを供給するファンフィルタユニットを備えているので、クリーンエリアの極小化を図ることができる。
【0014】
上記発明において、前記搬送ラインには、緊急ガラス基板待機ステーションが配置され、該緊急ガラス基板待機ステーションは収容枚数毎に、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とする(請求項3記載の発明)。
【0015】
よって、処理装置の故障、点検で生産ラインがダウンした場合に、搬送のタイミングを調整できる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係る搬送システムは、処理装置等を配置した生産ラインに設けられ、且つ、フラットパネルを搬送する搬送ラインを備えたフラットパネル搬送システムにおいて、前記生産ラインは二層に分けて設けられ、上層に処理装置を、下層に搬送ラインを配置し、且つ、前記搬送ラインは、搬送装置と、基板投入エリアに設けられた基板ステーションの出庫口からフラットパネルを前記搬送装置に枚葉毎に移載する移載装置と、搬送ラインにおける搬送方向の変換を行ったり、搬送ラインを分岐させる移載装置とを備えていると共に、前記搬送装置及び前記移載装置は、それぞれ基台と、その基台に取付けられた搬送台を備え、前記搬送台は、その上部に取付けられたにファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とする(請求項4に記載の発明)。
【0017】
よって、上記発明と同様にフラットパネルの大型化に対しては、搬送ラインの省スペース化を図ることができ、またフラットパネルの薄型化に対しては、その撓みを低減させ、破損を防ぐことができる。またフラットパネルは非接触で支持され、搬送されるので、フラットパネルに搬送痕が残ることもない。さらに搬送ラインが作業者から分離されるので、作業の安全性が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
上記各発明の実施の形態について、液晶ディスプレイ(LCD)を製造する液晶工場のレイアウトを例示しつつ説明する。
図1は液晶工場における生産ラインのレイアウト図、図2は同ラインを構成する搬送ライン用の搬送装置の側面図、図3は同搬送装置の要部断面図、図4は図1のレイアウトの内、ガラス基板投入エリアを示す要部レイアウト図である。
なお、これらの各図及び後述の各図において、同一の構成については、同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0019】
この実施形態に係る液晶工場では、フラットパネルとしてのガラス基板1に施すマスク枚数に応じて設けられた複数のフローF1〜Fnからなるインライン・フロー方式において、ガラス基板1を縦姿勢、非接触、且つ、枚葉毎に搬送可能な搬送ラインL1〜Lnを各処理装置P1〜Pnに配置し、成膜・パターン形成の生産ラインを設置している。
前記搬送ラインL1〜Lnは、後述のCIM(Computer Integrated Manufacturing)によって、各処理装置P1〜Pn等と共にシステム化され、FA(ファクトリーオートメーション)化が図られている。
【0020】
前記搬送ラインL1〜Lnは、搬送装置2から構成されており、これらの搬送装置2により、ガラス基板1を枚葉毎に縦姿で搬送するので、ガラス基板1が大型化するほど前記搬送ラインL1〜Ln等の占有面積を低減させる効果が大きい。よって前記搬送ラインL1〜Ln、処理装置P1〜Pnのみならず、液晶工場全体の省スペース化を図ることができる。その結果、液晶工場の建屋のコスト、液晶ディスプレイの製造コストにも好影響を及ぼすことができる。因みに、前記搬送装置2の占有面積は、水平搬送装置の約1/3と見積もられる。
また、従来のようにカセット搬送方式のカセット、ロボットによる移載を不要とするダイレクト搬送が可能となる。よって、ガラス基板1の連続処理、高速処理が可能であり、ガラス基板の工場投入日から完成日までの日数TAT(Turn Around Time)の向上、生産性の向上が達成される。また、ダイレクト搬送による検査時間の短縮、搬送距離(動線)の最短化が図られ、生産性が向上する。
また、カセット、ロボット等の付属装置のコスト及びそのためのスペースを削除できる。
その他、ストッカ類も不要となり、仕掛在庫枚数を減らすことができる。
【0021】
前記搬送装置2は、図1、図2に示すように、基台20に取付けられた搬送台30にモータ31、このモータ31により駆動される原動ローラ32及び従動ローラ33、支持ローラ34及び浮上ユニット35を取付けてなる。
前記浮上ユニット35は、前記ガラス基板1を非接触で支持するもので、図3に示すように、圧力ケース350に気体351を送り込み、その気体351が搬送面36に臨む多孔質体352を通過することにより、この多孔質体352と縦姿のガラス基板1間に気体膜353を形成させ、この気体膜353でガラス基板1を支持し浮上させるようになっている。
この浮上ユニット35は、搬送するガラス基板1の寸法により、その配置位置、配置個数等を決定することができる。即ち、この搬送装置2は、ガラス基板1のサイズの変動にも対処することができる。
前記従動ローラ33及び支持ローラ34は、ガラス基板1の下端に接触するように、搬送台30の搬送面36に等間隔に配置されているが、これら複数の支持ローラ34に変えて、1つの支持ローラ34と従動ローラ33間にベルト等を掛け渡して、ガラス基板1を移動させるようにしてもよい。
前記搬送面36、即ち、ガラス基板1の搬送角度は、若干、傾斜させることが好ましい。ガラス基板1を垂直に立てると、搬送が不安定になるからである。
前記基台20に対し搬送台30を着脱自在に構成することにより、搬送台30のみを差換えたり、搬送できるようにしてもよい。
【0022】
このような搬送装置2によれば、搬送装置2とガラス基板1が非接触であることからガラス基板1に搬送痕等が発生せず、ガラス基板1の成膜面を傷つけることもない。
また、ガラス基板1を縦姿勢で搬送すること及び前記浮上ユニット35の気体膜353でガラス基板1を支持することから、ガラス基板1の撓み量を低減させることができ、ガラスの破損を防止できる。このことは、ガラス基板1の大型化の一方で、重量を減らすガラス基板の薄型化に対しても十分に対処できることを意味している。
またガラス基板1に形成したパターンが断線することもなくなる。
さらに、水平方向への非接触搬送手段に比べ、浮上用気体消費量を低減させることができる。
【0023】
前記搬送装置2は、縦、横及び幅寸法も規格化され、且つ、複数の搬送装置2を連結させて搬送ラインL1〜Lnを構成するようにモジュール化されている。
即ち、各搬送装置2の上記モータ31等に電源を供給する電線、前記浮上ユニット35に気体を供給する配管、後述のCIM用の信号線等は、ワンタッチでそれぞれ着脱できるように構成され、また前記基台20には移動用のキャスタ37が固定されている。
【0024】
よって、超単機能の搬送装置2から搬送ラインL1〜Lnをレイアウトすることができて、搬送ラインL1〜Lnの設置の迅速化が図れ、また搬送ラインL1〜Lnの拡張、変更も自由自在にでき、レイアウトの自由度が増大する。
また、万が一、ガラス基板1が破損したときには、直ちに別の搬送装置2或いは搬送台30に入れ換えればよいので、生産ラインのダウンタイムを短縮することができ、メンテナンスも容易になる。
さらに、上記モジュール型の搬送装置1によって、搬送ライン施工の納期の短縮化が可能になって、液晶工場の早期立ち上げも可能になる。
【0025】
前記搬送装置2には、図4、図5等に示すように前記搬送台30の上部にファンフィルタユニット(FFU)4を取付けて、このFFU4からの清浄空気のダウンフローを形成させるエアガイドとしてのカーテン5を取付けている。
前記FFU4は、HEPA,ULPA或いはケミカルフィルタと、小型ファンを組込んだもので、FFU4からの清浄空気は、カーテン5の下端から外側に流出するので、カーテン5によって縦姿のガラス基板1に這うようなダウンフローが形成され、クラス1の0.1μmのクリーン度が達成可能である。
よって、クリーンエリアの局所化を図るミニエンバイロメントの手法により、搬送ラインL1〜Lnのクリーン度を高め、他方、クリーンルームのクリーン度をクラス10000程度とすることにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0026】
前記搬送ラインL1〜Lnへのガラス基板投入エリアLinには、図4に示したようなフラットパネルステーションとしてのガラス基板ステーション6及びフラットパネル移載装置としてのガラス基板移載装置7を設ける。
前記基板ステーション6及び前記移載装置7は、ガラス基板1の投入タイミング等を調整するもので、従来のカセッ搬送方式において搬送ライン中に設けられていた複数のストッカ類を不要にするものである。
【0027】
前記基板ステーション6は、入庫口60(図示せず)及び出庫口61を備えた密閉体よりなり、その天井部に前記FFU4と略同一構成のFFU4Aが設置され、内部にはAGV,RGV,PGV等を介して入庫口60から搬入され、且つ、複数枚のガラス基板1を縦置きしたパレット62を載せる棚、この棚にパレット62を移載する移載機63が配置されている。
前記パレット62には、縦置きされるガラス基板1に対応するように、前記搬送台30と略同一構成の搬送台(図示せず)が設けられている。
【0028】
前記搬送ラインL1〜Lnからのガラス基板払出エリアLoutには、前記基板ステーション6と略同一構成のガラス基板ステーション8が設けられており、例えば組立工程などの次工程にAGV等を用い、パレット単位でガラス基板1が搬出されるようになっている。
【0029】
これらガラス基板ステーション6,8ではガラス基板1を縦置きして収納するので、ガラス基板1の撓み量を減し、そのガラス基板1の破損を防止することができ、基板ステーション6,8の占有面積を減らすことができる。また前記搬送台により、非接触でガラス基板1を支持できるので搬送痕も付かない。
【0030】
前記ガラス基板移載装置7は、前記出庫口61から、パレット62に載せられたガラス基板1を枚葉毎に前記搬送装置2側に移載する。そして、前記搬送装置2の基台20に代えて、前記搬送台30を移動させる移動基台20Aを設けている。その他の構成は、前記搬送装置2と同様であるので、詳細な説明は省略する。
同様の構成の移載装置7Aは、図1に示したように、各フローF1〜Fnにおいてそれぞれ他のフローに移行する個所にも設けられている。これらのガラス基板移載装置7、7Aにより搬送ラインにおける搬送方向の変換も自在に行うことができる。
同様に、図5のように搬送ラインL1〜Ln途中に、前記移載装置7を配置して、搬送ラインL1〜Lnを分岐させることもできる。例えばバイパスラインとしたり、特定の処理装置に対して複線の搬送ラインを設けて生産ラインの能力を上げたり、ダウン対策にすることもできる。
【0031】
前記搬送ラインL1には、図1、図4等に示すようなガラス基板洗浄装置P1,P3を配置する。
このガラス基板洗浄装置P1,P3は、前記搬送装置2により縦姿で搬送されるガラス基板1をその姿のまま洗浄できるようにしたものである。
そのため前記搬送装置2と略同一の構成を備えると共に、図示は省略するが、その両側面にガラス基板1を出し入れするスリット口を設け、また搬送面36にはブラシ洗浄部、高圧シャワー洗浄部、リンスシャワー部、及び液切り部を備えている。
これらの洗浄装置P1,P3によれば、前記搬送装置2と同様な作用効果を奏するほか、前記搬送装置2により縦方向に搬送されたガラス基板1をそのまま洗浄することができるので、洗浄液の滞留を大幅に減らすことができ、2次汚染が抑制される。
【0032】
その他前記搬送ラインL1〜Lnの途中には、それぞれ成膜装置、露光装置、現像装置、検査装置等P2,P4〜Pnが配置されている。
これらの各処理装置P2,P4〜Pnは、前記洗浄装置P1,P3と同様に、ガラス基板1に対し、枚葉毎に、且つ、縦姿勢のまま、所定の処理を施すように構成されている。
なお、各処理装置P2,P4〜Pnの前後にロボット等の移載装置を設けて、各処理装置のガラス基板に対する処理姿勢に合わせるようにしてもよい。
【0033】
以上のように構成された液晶工場では、例えば前記CIMによってファクトリーオートメーション(FA)化が図られている。このCIMシステムは、ホストコンピュータに接続された生産制御装置と、この生産制御装置に有線又は無線接続され、前記搬送装置2を制御するた搬送制御装置、前記洗浄装置P1,P3を制御する洗浄制御装置、成膜装置、露光装置、エッチング装置、基板ステーション6,8等をそれぞれ制御する制御装置からなる。
【0034】
なお、図1では図示されていないが、ガラス基板1が各フローF1〜Fnを逆方向に移動できるように、リターン用の搬送ライン(リリータパス)を設けてもよい。
例えば第1フロ−F1の露光装置が故障した場合に、前記リリータパスを介して、再び第1フロ−F1にガラス基板1を投入し、修理回復後の露光装置により露光させることがきる。
このようなリリータパスは、前記移載装置7A等により構成することができる。
【0035】
同様に、図1では図示されていないが、処理装置P1〜Pnの変更、入替え、保守点検等、処理装置P1〜Pnが故障した場合に備え、図6のように緊急フラットパネル待機ステーションとしての緊急ガラス基板待機ステーション9を前記搬送ラインL1〜Lnに配置してもよい。
このステーション9も、ガラス基板1を縦姿勢で、非接触にて待機させるもので、収容枚数毎に前記搬送台30と略同一の構成の搬送台30Aを備えている。
このステーション9によれば、前記搬送装置2と同一の効果を奏することができると共に、各処理装置P1〜Pnの前でガラス基板1を溜めておくことができ、例えば処理装置P1〜Pnに対する修理が終わったら、処理装置P1〜Pnに受け渡すことができる。
【0036】
ここで、以上のように構成された前記実施形態のレイアウト施工概算と従来のカセット搬送方式のコストを比較する。
前提条件として、クリーンルームサイズは、150m×120mとし、搬送ライン全長は1000mとする。
【表1】
この表から明らかなように、22÷55=0.4ということで、60%のコストダウンが可能である。
【0037】
上記実施形態では、所謂インライン・フロー方式における枚葉搬送システムについて、上記搬送ラインを適用しているが、図7に示したジョブ・ショップ方式であって、カセット搬送方式と枚葉搬送とがミックスした搬送システムでも、上記搬送ラインを適用することができる。この場合には前記搬送ラインL1〜Lnと同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
次に図8及び図9に基づき、第2実施形態に係る液晶工場のレイアウトを説明する。
この第2実施形態では、生産ラインを主たる処理装置と搬送ラインを分離し、例えば上層部分に主たる処理装置P2,P4〜Pnを配置し、下層部分に前記搬送ラインL1〜Ln、水等の使用でより重量が嵩む洗浄装置P1,P3等を配置する。そして、前記搬送ラインL1〜Lnと処理装置P2,P4〜Pn間のガラス基板1の受け渡しは、クリーンリフターCLにより行うようになっている。
このクリーンリフターCLにより、前記搬送装置2から搬送台30を分離させて枚葉単位でガラス基板1が受け渡される。
このレイアウトでも、クリーンエリアの局所化を図ると共に、ガラス基板1の枚葉毎の床下搬送により、作業者と搬送ラインL1〜Lnの分離を図ることができ、安全性が向上する。
その他の構成及び効果は、上記第1実施形態と同一である。
【0039】
上記各実施形態では、フラットパネルの内、LCD用のガラス基板について、成膜・パターン形成を行うアレイ工程の搬送システムについて説明したが、それ他、組立工程等でも上記搬送システムを導入することができる。
また、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(電界発光ディスプレイ)、FED(電界放射ディスプレイ用いられるガラス基板)、フラットCRT等の平面基板の製造工程においても、上記搬送システムを導入することができる。
これらのフラットパネルの材料は、ガラス以外の材料、例えばプラスチック等の合成樹脂、シリコン等の半導体でもよい。
上記各実施形態では、前記搬送装置2をモジュール化しているが、モジュール化することなく、相当のライン長さで一連に連続させてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本願発明によれば、フラットパネルの大型化に対しては、搬送ラインの省スペース化を図ることができ、またフラットパネルの薄型化に対しては、その撓みを低減させ、その破損を防ぐことができる。またフラットパネルは非接触で支持され、搬送されるので、フラットパネルに搬送痕が残ることもない。よって、ガラス基板等のフラットパネルが大型化しても、搬送ラインや処理装置のフットプリントが拡大することなく、クリーンエリアの極小化も可能で、また、フラットパネルの撓み、汚れを防ぐことができる搬送システムを提供することができる。
【0041】
また搬送ラインの設置、変更等の短期化が可能であり、また搬送装置の故障、搬送装置内でのフラットパネルの破損等に際し、搬送装置の入替えを迅速に行うことができる。
【0042】
またクリーンエリアの極小化を図り、クリーンルームのクリーン度を下げることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0043】
また搬送ラインの分岐、複線化、搬送ラインにおける搬送方向の変換も自在に行うことができる。
【0044】
上記効果に加え、処理装置の故障、点検で生産ラインがダウンした場合に、搬送のタイミングを調整できる。
【0045】
請求項4に記載の発明によれば、上記発明と同様にフラットパネルの大型化に対しては、搬送ラインの省スペース化を図ることができ、またフラットパネルの薄型化に対しては、その撓みを低減させ、破損を防ぐことができる。またフラットパネルは非接触で支持され、搬送されるので、フラットパネルに搬送痕が残ることもない。さらに搬送ラインが作業者から分離されるので、作業の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る液晶工場のレイアウト図、
【図2】 同実施形態に用いる搬送装置の側面図、
【図3】 同搬送装置の要部断面図、
【図4】 同要部レイアウト図、
【図5】 同実施形態に用いる搬送装置及び移載装置の斜視図、
【図6】 同実施形態に用いる搬送装置及び緊急基板待機ステーションの斜視図、
【図7】 別例に係る液晶工場のレイアウト図、
【図8】 第2実施形態に係る液晶工場のレイアウト図、
【図9】 同要部レイアウト図、
【図10】 従来の液晶工場のレイアウト図、
【図11】 同液晶工場の搬送フロー図。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 搬送装置 20 基台
20A 移動基台 30 搬送台
31 モータ 32 原動ローラ
33 従動ローラ 34 支持ローラ
35 浮上ユニット
36 搬送面 37 キャスタ
350 圧力ケース 351 気体
352 多孔質体 353 気体膜
4 ファンフィルタユニット(FFU) 5 カーテン
6 8 ガラス基板ステーション
60 入庫口 61 出庫口
62 63 移載機
7 ガラス基板移載装置 7A 移載装置
9 緊急ガラス基板待機ステーション
F1〜Fn フロー
L1〜Ln 搬送ライン P1〜Pn 各処理装置
P1,P3 ガラス基板洗浄装置
CL クリーンリフター
Lin ガラス基板投入エリア Lout ガラス基板払出エリア
Claims (4)
- 処理装置等を配置した生産ラインに設けられ、且つ、フラットパネルを搬送する搬送ラインを備えたフラットパネル搬送システムにおいて、
前記搬送ラインは、搬送装置と、基板ステーションの出庫口からフラットパネルを前記搬送装置に枚葉毎に移載する移載装置と、前記搬送ラインにおける搬送方向の変換を行ったり、搬送ラインを分岐させる移載装置とを備えていると共に、
前記搬送装置及び前記移載装置は、それぞれ基台と、その基台に取付けられた搬送台を備え、
前記搬送台は、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、
前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とするフラットパネル搬送システム。 - 前記搬送ラインには、基板洗浄装置が配置され、該基板洗浄装置は、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、
前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネル搬送システム。 - 前記搬送ラインには、緊急ガラス基板待機ステーションが配置され、該緊急ガラス基板待機ステーションは収容枚数毎に、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、
前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネル搬送システム。 - 処理装置等を配置した生産ラインに設けられ、且つ、フラットパネルを搬送する搬送ラインを備えたフラットパネル搬送システムにおいて、前記生産ラインは二層に分けて設けられ、上層に処理装置を、下層に搬送ラインを配置し、且つ、前記搬送ラインは、搬送装置と、基板投入エリアに設けられた基板ステーションの出庫口からフラットパネルを前記搬送装置に枚葉毎に移載する移載装置と、搬送ラインにおける搬送方向の変換を行ったり、搬送ラインを分岐させる移載装置とを備えていると共に、
前記搬送装置及び前記移載装置は、それぞれ基台と、その基台に取付けられた搬送台を備え、
前記搬送台は、その上部に取付けられたファンフィルタユニットと、このファンフィルタユニットからの清浄空気がフラットパネルを這うようなダウンフローを形成させるカーテンと、搬送面と、この搬送面に配置され、且つ、フラットパネルの下端に接触する従動 ローラ及び支持ローラと、前記搬送面に多孔質体を臨ませ、この多孔質体とフラットパネル間に気体膜を形成させ、この気体膜でフラットパネルを浮上させる浮上ユニットとを備え、
前記搬送面は、垂直より若干傾斜して形成されることにより、フラットパネルは垂直より若干傾斜して搬送されることを特徴とするフラットパネル搬送システム。
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