JP3905634B2 - ポリアリレート及びそのフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の2価フェノール単位を含み、耐熱性、耐摩耗性及び光学的特性に優れたポリアリレート及び該ポリアリレートよりなるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔以後、ビスフェノールAと記すことがある〕と、テレフタル酸及びイソフタル酸とから得られるポリアリレートは、エンジニアリングプラスチックとして既によく知られている。かかるポリアリレートは耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や、寸法安定性に優れ、加えて非晶性で透明であるためにその成形品は電気・電子、自動車、機械等の分野に幅広く応用されている。
このビスフェノールAを原料とするポリアリレートは、各種溶剤への溶解性と優れた電気特性(絶縁性、誘電特性等)や耐摩耗特性を利用して、コンデンサー用のフィルム等の電子部品に、また耐摩耗性と耐擦傷性を利用して液晶表示装置の各種フィルムやコーティング樹脂の様な皮膜を形成する用途に応用されている。
【0003】
しかしながら、近年成形品やフィルム等の光学特性が要求される分野や、コーティング等皮膜を形成させる用途において、樹脂の耐熱性ならびに光学的特性に対する要求はますます厳しいものになってきており、ビスフェノールAを原料とするポリアリレートではこれらの特性が不十分である用途が生じてきている。 この様な事情から、さらに耐熱・光学特性に優れた樹脂が求められている。この様な問題を解決する可能性のある樹脂として、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン残基とイソフタル酸残基とから構成されるポリアリレートがJournal of Applied Polymer Science,Vol.29,35−43(1984)に開示されている。しかし、この文献に開示されている樹脂のジカルボン酸成分はイソフタル酸のみから構成されているので、非常に脆く、フィルムやコーティング皮膜の耐熱性は、上記の問題を解決できる性能には至っていないのが現状である。
【0004】
また、液晶表示部、エレクトロルミネッセンス表示部の基板、偏光板の透明導電性フィルム、光ディスクや光カードの表面保護フィルム等へ用いる場合、高い透明性と光の入射角によらず光学的に等方性が保たれる(複屈折が生じない)ことが要求されている。
液晶表示部、太陽電池用光電変換等の光エレクトロニクス素子やコンデンサー等の電気・電子素子の分野では、それぞれ基板にガラスや金属が用いられているが、ガラス基板は機械的強度、比重に問題があり、素子の長寿命化や軽量化の妨げになっており、金属基板は比重が高いことに加え、成形性が困難であり、素子の小型化、軽量化が難しいことが問題となっている。上記のような問題を解消するため、プラスチックの基板が強く求められてきた。しかしながら、素子を形成する際にプロセス上必要とされる温度である200℃以上の耐熱性があり、複屈折が小さいプラスチック基板は存在しなかった。
【0005】
例えば従来光学成形品としてはアクリル樹脂が透明性、流動性に優れ、複屈折も小さいことから一般的に用いられてきたが、耐熱性が低く、また水分によって変形する等の欠点を有していた。またビスフェノールAを原料とするポリカーボネートやアリレートは透明性、耐熱性、強度が優れているが、複屈折が大きいという欠点を有していた。また特開平3−162413号公報に代表されるような、変性ポリカーボネートの研究も進められているが、まだ満足の得られる樹脂は得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような実状に鑑み、本発明の課題は、従来の樹脂では不十分であった透明性、低複屈折、高耐熱性、耐摩耗性といった性能を兼備した新規なポリアリレートを提供すること、及びこの樹脂からなり、これら性能を兼備したフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の様な課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアリレートを構成する2価フェノール成分として、スピロビクロマン構造を有する2価フェノールを特定量以上含有する2価フェノールを用い、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、又はテレフタル酸及びイソフタル酸の混合物を用いて得られるポリアリレート、このポリアリレートよりなるフィルムは、高耐熱性、低複屈折性、透明性及び耐摩耗性に優れることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は第1に、2価フェノール残基とジカルボン酸残基より構成されていて、2価フェノール残基が構造式(1)で示される2価フェノール残基と一般式(2)で示される2価フェノール残基より構成されており、これらのモル分率が式(3)を満足するものであり、
【0009】
【化2】
Figure 0003905634
【0010】
0.05≦〔(a)/{(a)+(b)}〕≦1.00 (3)
〔一般式(2)中、R,R’は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p,qはp+q=0〜8の整数、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基からなる群から選ばれる。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキレン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデン基、置換フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボキシルアルキレン基、カルボキシルアルキリデン基、アルコキシカルボニルアルキレン基、アルコキシカルボニルアルキリデン基、フルオレン基、イサチン基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基からなる群から選ばれる。式(3)中、(a)は構造式(1)に示すフェノール残基のモル数であり、(b)は一般式(2)に示すフェノール残基のモル数を示す。〕
ジカルボン酸残基がテレフタル酸又はテレフタル酸とイソフタル酸との混合物に由来する残基から構成されており、1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とする濃度1.0g/dlのポリアリレート溶液の25℃におけるインヘレント粘度(ηinh.)が0.25〜2.50であることを特徴とするポリアリレートである。そして、このポリアリレートにおいて、ジカルボン酸残基がテレフタル酸残基10〜90モル%及びイソフタル酸残基90〜10モル%から構成されていることは好ましい態様である。
第2に前記ポリアリレートを成形してなるフィルムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアリレートは、2価フェノール残基とジカルボン酸残基より構成されていて、2価フェノール残基が構造式(1)で示される2価フェノール残基と一般式(2)で示される2価フェノール残基より構成されており、これらのモル分率が式(3)を満足するものである。
【0012】
一般式(2)中、R,R’は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p,qはp+q=0〜8の整数、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基からなる群から選ばれる。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキレン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデン基、置換フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボキシルアルキレン基、カルボキシルアルキリデン基、アルコキシカルボニルアルキレン基、アルコキシカルボニルアルキリデン基、フルオレン基、イサチン基、アルキルシラン基、アイアルキルシラン基からなる群から選ばれる。
0.05≦〔(a)/{(a)+(b)}〕≦1.00 (3)
【0013】
式(3)中、(a)は構造式(1)に示すフェノール残基のモル数であり、(b)は一般式(2)に示すフェノール残基のモル数を示す。構造式(1)で示される2価フェノール残基、すなわちスピロビクロマン構造を有する2価フェノール残基のモル分率が0.05未満である場合には、ポリアリレートの耐熱性、低複屈折性、透明性及び耐摩耗性の向上が発現せず、本発明の効果が得られ難い。本発明のポリアリレートにおいて、2価フェノール残基を100%構造式(1)で示される2価フェノール残基としてもよく、この場合、特に低複屈折性に優れたものとなる。さらに、2価フェノールのモル分率が
0.25≦〔(a)/{(a)+(b)}〕≦1.00
の範囲にあることが好ましい。
【0014】
また、本発明のポリアリレートの1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とする濃度1.0g/dlのポリアリレート溶液の25℃におけるインヘレント粘度(ηinh.)が0.25〜2.50である。インヘレント粘度が0.25未満では溶液粘度が低すぎ、2.50を超えると逆に高すぎ、フィルム化に不適当である。
【0015】
一般式(2)に示す2価フェノール残基を構成する2価フェノールを具体的に例示すると、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
【0016】
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−secブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフローレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−〔1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)〕−ビス(2−メチルフェノール)、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−ブタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
【0017】
3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジsecブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、
【0018】
1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルエステル、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4ーヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
【0019】
3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸エチルエステル、
【0020】
イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
【0021】
ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。これら2価フェノールは得られるポリアリレートの性能に応じて用いることができる。
【0022】
また、ジヒドロキシベンゼンを本発明の効果が損なわれない範囲で用いることができ、これらジヒドロキシベンゼンとしては、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,2−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0023】
本発明のポリアリレートを構成するジカルボン酸残基は、テレフタル酸、又はテレフタル酸とイソフタル酸の混合物に由来する残基から構成されており、テレフタル酸残基10〜90モル%及びイソフタル酸残基90〜10モル%から構成されるのがより好ましい。テレフタル酸残基が10モル%未満では耐熱性及び機械的特性に劣る傾向にあり、90モル%を超えると分子が硬直となり、また重合度が向上しない傾向にある。
【0024】
本発明のポリアリレートにおいて、テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸を本発明の効果を損なわない範囲で、その要求特性に応じて用いることができる。共重合可能なジカルボン酸を例示すると、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4、4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、4,4’−ジカルボキシフェニルスルホン、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0025】
また、本発明のポリアリレートは必ずしも直鎖状のポリアリレートである必要はなく、得られるポリアリレートの性能に応じて多価フェノールを共重合することができる。このような多価フェノールを具体的に例示すると、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−メチルフェニル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−〔(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、
【0026】
4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2−〔ビス(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、3,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、
【0027】
4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、3−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、2,4,6−〔トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1,2,2−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,4−〔〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、4−〔1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕アニリン、(2,4−ジヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、1,3,3−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0028】
本発明のポリアリレートの製造方法としては、ジカルボン酸ハライドと2価のフェノールを有機溶剤中で反応させる溶液重合法(A.Conix Ind.Eng.ohem.51 147 1959年、特公昭37−5599号公報)、2価のカルボン酸と2価のフェノールを無水酢酸の存在下で加熱する溶融重合法、2価のカルボン酸と2価のフェノールをジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法(特公昭38−26299号公報)、水と相溶しない有機溶剤に溶解せしめた2価のカルボン酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解せしめた2価のフェノールとを混合する界面重合法(W.M.EARECKSON J.Poly.Sci.XL399 1959年、特公昭40−1959号公報)等が挙げられるが、本発明のスピロビクロマンを構造単位に含むポリアリレートは上記のごとき公知の方法で製造することができるが、特に界面重合法が好適に採用される。
【0029】
界面重合法をさらに詳細に説明すると、2価フェノールのアルカリ水溶液を調製し、続いて、重合触媒、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン等の第三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等を添加する。一方、水と相溶せず、かつポリアリレートを溶解する様な溶媒、例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素等にジカルボン酸ハライドを溶解させた溶液を先のアルカリ溶液に混合する。25℃以下の温度で1時間〜5時間撹拌しながら反応を行うことによって所望のポリアリレート(共重合体)を得ることができる。ここで用いることができるアルカリには、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等がある。
【0030】
本発明のポリアリレートの分子量を調節する方法としては、重合時に一官能の物質を添加して行うことができる。ここで言う分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げられる。
【0031】
本発明のポリアリレートには、その特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、チオエーテル系、燐系の各種抗酸化剤を添加することができる。
【0032】
また、本発明のポリアリレートは、有機溶媒に対して高い溶解性を有しており、このような溶媒としえては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
【0033】
さらに、本発明のポリアリレートは非晶性であり、非晶性であるかどうかは、公知の方法例えば示差走差熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定等により融点が存在しているかどうかを確認するすればよい。
【0034】
ポリアリレートからフィルムを製造する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法で作製することができ、一般的には、原反製造工程、乾燥工程の各工程を経て製造される。原反製造工程では、押出法やキャレンダー法、プレス法に代表される溶融法、及びソルベントキャスト法等が用いられ、中でもソルベントキャスト法が好適に用いられる。
【0035】
ソルベントキャスト法では、ポリアリレート樹脂を前記溶媒に溶解して、ポリアリレート溶液を調製し、基板上に流延し、流延後、加熱乾燥して溶媒を除去して、フィルムを基板から剥離し、さらに加熱乾燥する。乾燥工程では、ポリアリレートと残存溶媒量に応じて系のガラス転移温度が変化することを考慮し、段階的に加熱乾燥を行なうことが好ましい。
ソルベントキャスト法に用いられる溶媒としては、前記したポリアリレートを溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができる。この場合10〜15重量%以上の濃度でポリアリレートを完溶するものを用いることが好ましい。
上記のようにして、光学的に等方性を有するポリアリレートフィルムを得ることができる。
【0036】
本発明のポリアリレートフィルムの厚みは特に制限されるものではないが、0.5〜1500μm、特に0.5〜500μmであることが好ましい。
ポリアリレートフィルムの全光線透過率は、70%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましい。
本発明のポリアリレートフィルムの垂直光による複屈折率は、20nm以下であることが好ましく、特に好ましくは10nm以下である。また、斜め入射光による複屈折率は、垂直光によるものと比較して変動幅が30%以下であることが好ましく、特に好ましくは、20%以下である。
【0037】
本発明のポリアリレートは、成形材料として機械、自動車、食品分野に利用することができるだけでなく、皮膜形成用材料として(溶融法やソルベントキャスト法によりフィルムとして、あるは塗工液等のバインダーとして)、電気・電子分野や光学機器分野に利用される。
また本発明のポリアリレートは、耐摩耗性、耐熱性及び透明性優れ、複屈折の入射角依存性が小さいといった性能を有しており、高透明で複屈折の入射角依存性が小さいという性能を利用して、時計、テレビ、ICカード、ワードプロセッサ、パソコン、計器盤及び各種表示盤中の液晶表示部及びエレクトロルミネッセンス表示部の基板、透明導電性フィルム、光ディスクや光カードの表面保護フィルム等へ応用することができ、耐摩耗性を利用して電子写真感光体製造用のバインダー樹脂として、耐摩耗性、耐熱性を利用して皮膜型可変抵抗器等に応用することができ、電気的特性にも優れるという性能を応用してコンデンサー等の電気・電子分野に利用できる。また、低比重、成形性、耐熱性、高透明性、低複屈折性を利用して、現行のガラス基板や金属基板の代替材料として用いることができる。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形及び応用が可能である。
【0039】
実施例1
2000mlの容器に300mlの水を添加した後、水酸化ナトリウム4.34g、スピロビクロマン構造を有する2価フェノール10.00g、p−tert−ブチルフェノール0.01gを溶解させ、さらに2価フェノールに対し0.25mol%の重合触媒(トリブチルベンジルアンモニウムクロライド)を添加し、激しく撹拌した。別に、テレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライドの等量混合物(以下にMPCと略称)を5.51g測り取り、150mlの塩化メチレンに溶解させ、この塩化メチレン溶液を先に調製した撹拌下のアルカリ水溶液に添加し、重合を開始した。重合反応温度は25℃以下になるように調整した。重合時間は3時間行い、その後、系内に酢酸を添加することによって重合反応を終了した。水相が中性になるまで水で洗浄を繰り返した。洗浄終了後、撹拌下のメタノール中にゆっくり添加し、ポリアリレートを沈澱させた。さらにろ別、乾燥することによって、ポリアリレート13.5g(Mn59068,Mw207748)を得た。このポリマーの 1H−NMRを図1に示し、IRチャートを図2に示す。得られたスペクトルより次の繰り返し単位を有するポリアリレートであることが分かった。
【0040】
【化3】
Figure 0003905634
【0041】
実施例2
水酸化ナトリウム6.22g、スピロビクマン構造を有する2価フェノール8.07g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.00g、p−tert−ブチルフェノール0.016g、MPC8.90gを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート18.7g(Mn57270,Mw242848)を得た。
【0042】
実施例3
水酸化ナトリウム5.93g、スピロビクロマン構造を有する2価フェノール7.19g、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.00g、p−tert−ブチルフェノール0.015g、MPC7.93gを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート17.2g(Mn48264,Mw150694)を得た。
【0043】
実施例4
水酸化ナトリウム5.42g、スピロクロマン構造を有する2価フェノール6.48g、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.00g、p−tert−ブチルフェノール0.013g、MPC7.15gを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート16.0g(Mn60655,Mw221690)を得た。
【0044】
実施例5
水酸化ナトリウム5.10g、スピロクロマン構造を有する2価フェノール6.35g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン5.00g、p−tert−ブチルフェノール0.013g、MPC7.00gを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート15.8g(Mn45482,Mw190712)を得た。
【0045】
実施例6
カルボン酸成分にテレフタル酸5.51gを使用した以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート13.5g(Mn48216,Mw190229)を得た。
【0046】
比較例1
水酸化ナトリウム3.52g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン9.54g、p−tert−ブチルフェノール0.016g、MPC8.50gを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート14.8g(Mn59233,Mw217586)を得た。
【0047】
比較例2
水酸化ナトリウム3.91g、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン10.28g、p−tert−ブチルフェノール0.014g、MPC7.35gを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート14.9g(Mn42628,Mw241520)を得た。
【0048】
比較例3
水酸化ナトリウム3.42g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルプロパン10.35g、p−tert−ブチルフェノール0.013g、MPC7.25gを用いた以外は実施例1と同様の方法で行ない、樹脂14.7g(Mn37964,192318)を得た。
【0049】
ポリアリレートフィルムの作製
上記の実施例及び比較例によって製造したポリアリレート樹脂を塩化メチレンに溶解し、濃度10〜15重量%溶液を調製し、この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、温度100℃で2時間、フィルムの前面を加熱乾燥してから、フィルムをガラス基板から剥離した。さらに剥離したフィルムの両端を緩く固定後、乾燥器中でフィルムを両面から100℃(2時間)、150℃(2.5時間)、さらに200℃(2.5時間)乾燥した。
【0050】
樹脂及びフィルムの評価
上記のように合成した樹脂及びフィルムの物性を評価した。この結果を表1ならびに2に示した。なお、評価は以下の方法によって行なった。
(1)インヘレント粘度(溶液粘度)
溶媒に1,1,2,2−テトラクロロエタンを用い、温度25℃、溶液の濃度を1g/dlの条件で行なった。また、粘度値の誤差を0.1%以内に抑えるために、溶媒のフロータイムが100秒になるウベローデ粘度計を用いた。
(2)耐摩耗性
上記のように作製下フィルム、テーバー摩耗試験機(摩耗輪CS−10F)を用い、荷重250gで10000サイクル試験の後の重量減少を測定子、耐摩耗性の指標とした。
【0051】
(3)分子量
Waters社製GPCを使用し、ポリスチレン換算により重量及び数平均分子量を求めた。
(4)厚み
厚みはPeacock Upright Gaugeにて測定し、3回の平均値を代表値とした。
(5)複屈折
溝尻光学工業所製の自動エリプソメーターDVA−36VWLDを用いて行なった。光源にヘリウム−ネオンレーザー(633nm)を使用した。測定サンプルは、縦、横10cmのキャストフィルムを用いて、9点の異なる位置のレターデーション値の平均値(但し厚みを100μmとして換算)を代表値とした。測定はサンプルに対して垂直と斜め45度の入射光によって行なった。
【0052】
(6)透明性
フィルムの透明性の指標として、全光線透過率を用いた。全光線透過率の測定は、日本電色工業製Z−Σ90、Color Measuring Systemをもちいて行なった。
(7)耐熱性
パーキンエルマー社製DSC(differential scanningcalorimeter)によって、試料10mg昇温速度20℃/分で行ない、ガラス転移温度を測定した。このガラス転移温度を耐熱性の指標とした。
【0053】
【表1】
Figure 0003905634
【0054】
以上の実験結果から以下のことがわかった。
(1)実施例1、6と比較例1〜3の比較から、スピロビクロマン構造を有する本発明のポリアリレートは耐熱性に優れている。
(2)実施例1、6と比較例1〜3の比較から、スピロビクロマン構造を有する本発明のポリアリレートのフィルムは、ビスフェノール類を構成単位としたポリアリレートフィルムよりも複屈折が小さく、光学的等方性を有している。また複屈折の入射角依存性が小さく、透明性にも優れている。
(3)実施例2〜5と比較例1〜3の比較から、スピロビクロマン構造をポリアリレートに導入することにより耐摩耗性及び耐熱性が向上し、かつ複屈折の大幅な低減効果があり、高透明性を維持する。
【0055】
【発明の効果】
本発明のポリアリレートは、従来の樹脂では不十分であった透明性、低複屈折、高耐熱性、耐摩耗性といった性能を兼備しており、このポリアリレートよりなるフィルムも当然これらの性能を兼備しており、これらの性能を利用して、本発明のポリアリレート及びこの樹脂よりなるフィルムは各種分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリマーの 1H−NMR図である。
【図2】実施例1で得られたポリマーのIRチャート図である。

Claims (2)

  1. 2価フェノール残基とジカルボン酸残基より構成されていて、2価フェノール残基が構造式(1)で示される2価フェノール残基と一般式(2)で示される2価フェノール残基より構成されており、これらのモル分率が式(3)を満足するものであり、
    Figure 0003905634
    0.05≦〔(a)/{(a)+(b)}〕≦1.00 (3)
    〔一般式(2)中、R,R’は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、p,qはp+q=0〜8の整数、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基からなる群から選ばれる。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキレン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデン基、置換フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボキシルアルキレン基、カルボキシルアルキリデン基、アルコキシカルボニルアルキレン基、アルコキシカルボニルアルキリデン基、フルオレン基、イサチン基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基からなる群から選ばれる。式(3)中、(a)は構造式(1)に示すフェノール残基のモル数であり、(b)は一般式(2)に示すフェノール残基のモル数を示す。〕
    ジカルボン酸残基がテレフタル酸又はテレフタル酸とイソフタル酸との混合物に由来する残基から構成されており、1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とする濃度1.0g/dlのポリアリレート溶液の25℃におけるインヘレント粘度(ηinh.)が0.25〜2.50であることを特徴とするポリアリレート。
  2. 請求項1に記載のポリアリレートを成形してなるフィルム。
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