JP3535864B2 - 位相差補償フィルム - Google Patents

位相差補償フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、位相差補償フィルムに
関し、より詳しく言うと、特に液晶パネル用位相差補償
フィルム等として有用な高性能の光学的位相差補償フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、一般に、機械的強
度、耐熱性等に優れ、また、透明性等の光学的性質、寸
法安定性等にも優れていることから、様々な分野で素材
として用いられている。それでもなお、近年の用途の拡
大に伴って、更に性能の優れたものの開発が要求されて
いる。
【0003】ポリカーボネートの最も代表的なものとし
て、ビスフェノールAとホスゲンとの反応によって得ら
れるものがあり、またその他にも多種多様のものが知ら
れている。しかしながら、用途によっては、どのような
構造のポリカーボネートが好適に用いられるかという基
本的な点すら明らかにされていないのが現状である。そ
こで、その用途開発という点では、それぞれの用途にお
いて、より良く適合するポリカーボネートの種類を選定
し、更には、これを用途に見合った性能が発揮できるよ
うにすることが必要となる。
【0004】ところで、ポリカーボネートの用途のひと
つとして、最近、光学的位相差補償フィルム(シート状
や板状のものもあり、例えば位相差シート、位相差板な
ど様々な呼称があるが、本明細書では特にことわらない
限り、これらを含めて光学的位相差補償フィルムと総称
する。)としての用途が注目されている。光学的位相差
補償フィルムとは、複屈折性を有し、直線偏光の入射光
に直角方向に位相差を生じせしめ、透過光を円偏光ない
し楕円偏光に変換する機能を有するものであり、例え
ば、液晶パネル用等の種々の光学的機器やデバイスに用
いられている。
【0005】光学的位相差補償フィルムをこうした用途
に用いる場合、通常、その特性のひとつであるリターデ
ーション値(以下、これをR値と呼ぶ。なお、このR値
は、フィルム又はシートの厚みtとその複屈折Δnの
積、すなわち、R=t×Δn、をnm単位の数値で表し
たものとして定義される。)が、135nm付近、いわ
ゆる1/4波長ないしそれ以上、例えば600nm前後
の光路差を生ぜしめる位相差フィルムが適当である。ま
た、高性能の位相差フィルムを得るには、延伸フィルム
又は延伸シートの全部位においてR値にばらつきがない
ように作製することも重要である。
【0006】こうした光学的位相差補償フィルムには、
従来、酢酸セルロース系のフィルムやシートが用いられ
てきた。最近になって、寸法安定性、薄肉化の観点か
ら、ポリカーボネート系のフィルムやシートを光学的位
相差補償フィルムとして利用することが提案されている
(例えば、特開昭63−189804号公報、特開平1
−201608号公報を参照)。しかしながら、これら
従来の材料からなる延伸フィルムやシートにおいては、
一般に、延伸されたフィルムやシートの部位により、例
えば、中央部と両端部とで光学的な性質の差が大きく、
このため、延伸フィルム又はシートの中央部からしか製
品としての位相差補償フィルムを取り出せないという問
題があった。
【0007】また、ポリカーボネート系のフィルムやシ
ートを光学的位相差補償フィルムとして用いるに際し
て、特に、均一なR値を得ることを目標として、ポリカ
ーボネート材料、その延伸方法及び延伸条件等も検討さ
れている(例えば、特開平4−84107号公報参
照)。しかしながら、従来の技術では、十分に満足でき
る均一なR値を実現させるに致っておらず、特に、光学
的に直交ニコル下でのR値のばらつきの無い、すなわ
ち、色むらの無い、より高性能の位相差補償フィルムの
開発が求められているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
基づいてなされたものである。本発明の目的は、前記問
題点を解決し、R値を適当な範囲に制御しやすい上に、
R値のばらつきを著しく低減することができるなどの利
点を有し、液晶パネル用位相差補償フィルム等として好
適に利用できる高性能のポリカーボネート系光学的位相
差補償フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の一般式で表
される繰り返し単位を有するポリカーボネートからなる
素材を延伸してなるフィルム又はシートを用いることに
よって前記目的を満足する高性能の光学的位相差補償フ
ィルムが実現できることを見出した。本発明者らは、上
記知見に基づいて本発明を完成するに致った。
【0010】すなわち、本発明は、下記一般式[I]
【0011】
【化4】 [ただし、式中、R1及びR2は各々独立にハロゲン原
子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の置
換若しくは無置換のアリール基を示し、a及びbは各々
独立に0〜4の整数を示し、Xは
【0012】
【化5】 (ただし、式中、R5及びR6は各々独立にハロゲン原
子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜12の置
換若しくは無置換のアリール基を示し、d及びeは各々
独立に0〜4の整数を示し、Zは単結合、−O−、−C
O−、−S−、−SO−、−SO2−又は−CH2−を示
す。)である。]で表される繰り返し単位[I]、又
は、該繰り返し単位[I]と下記一般式[II]
【0013】
【化6】 [ただし、式中、R11及びR12は各々独立に、ハロゲン
原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜7のシク
ロアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換
のアリール基を示し、j及びkは各々独立に0〜4の整
数を示し、Yは単結合、−O−、−CO−、−S−、−
SO−、−SO2−、−CR1314−(式中、R13及び
14は各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭
素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若し
くは無置換のアリール基を示す。)、炭素数5〜8のシ
クロアルキリデン基又は炭素数2〜12のα、ω−アル
キレン基を示す。]で表される繰り返し単位[II]と
を有し、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dl
の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.5〜
2.5dl/gの範囲にあるポリカーボネートの延伸フ
ィルム又は延伸シートからなることを特徴とする位相差
補償フィルムを提供するものである。
【0014】本発明の位相差補償フィルムには、上記ポ
リカーボネートからなる延伸されたフィルム又はシート
が使用されるが、該ポリカーボネートとしては、前記一
般式[I]で表される繰り返し単位[I]からなるポリ
カーボネート及び前記繰り返し単位[I]と前記一般式
[II]で表される繰り返し単位[II]とからなるポ
リカーボネートのうちの少なくとも一種を使用すること
が重要である。このポリカーボネートとしては、前記繰
り返し単位[I]のうちの1種又は2種以上のみからな
る各種のポリカーボネート単独重合体や共重合体、繰り
返し単位[I]の1種又は2種以上と繰り返し単位[I
I]の1種又は2種以上とからなる各種のポリカーボネ
ート共重合体を用いることができる。また、本発明の目
的の達成を阻害しない範囲で、更に他の繰り返し単位を
含有していてもよい。特に、繰り返し単位[I]と繰り
返し単位[II]を有する共重合体の場合、通常、繰り
返し単位[I]と繰り返し単位[II]の合計含量に対
する繰り返し単位[I]の含有割合が、1モル%以上の
範囲にあるものが好ましい。
【0015】なお、これらのポリカーボネートは1種単
独で使用してもよく、あるいは、必要に応じて、2種以
上を混合物等として併用することもできる。また、これ
らポリカーボネートを延伸する場合に、必要に応じて適
宜、他のポリマー成分や添加剤等の所望の成分を添加し
て組成物として用いることもできる。
【0016】一般式[I]において、R1、R2、R5
びR6は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアル
キル基又は炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアリ
ール基を示す。
【0017】置換基R1、R2、R5及びR6の具体例とし
ては、次のようなものを例示することができる。
【0018】ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げることができ、ア
ルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソロピル基、n−ブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペン
チル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ter
t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イ
ソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシ
ル基、ネオヘキシル基、シクロペンチルメチル基等を挙
げることができ、置換若しくは無置換のアリール基とし
ては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、エチル
フェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シクロヘ
キシルフェニル基、p−ビフェニリル基、m−ビフェニ
リル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、メチルナフ
チル基、ジメチルナフチル基、エチルナフチル基等を挙
げることができる。
【0019】一般式[II]において、R11及びR12
各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5〜7のシクロアルキル基又は炭素数6〜1
2の置換若しくは無置換のアリール基を示し、ハロゲン
原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のア
リール基の具体例としては、上記一般式[I]の説明に
おいて例示したものを挙げることができる。炭素数5〜
7のシクロアルキルとしては、シクロヘキシル基が好適
に好ましい。
【0020】一般式[II]において、Yは単結合、−
O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−C
1314−、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基又は
炭素数2〜12のα、ω−アルキレン基を示す。
【0021】ここで、−CR1314−中のR13及びR14
は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素
数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しく
は無置換のアリール基を示すが、アルキル基、アリール
基の例としては、前記例示のものを挙げることができ
る。
【0022】Yとしてのシクロアルキリデン基として
は、1,1−シクロペンチリデン基、1,1−シクロヘ
キシリデン基、1,1−シクロヘプチリデン基がある。
これらの中でも、1,1−シクロヘキシリデン基が好ま
しい。
【0023】Yとしての炭素数2〜12のα,ω−アル
キレン基としては、ジメチレン基からデカメチレン基に
至る各種のポリメチレン基を挙げることができる。
【0024】これら各種の繰り返し単位[I]及び繰り
返し単位[II]は、それぞれに対応する構造を有する
モノマーから形成することができ、例えば、対応する構
造を有するビスフェノール類(二価フェノール類)とホ
スゲンを反応させることによって形成することができ
る。そこで、これら各種の繰り返し単位[I]及び繰り
返し単位[II]の具体例を直接示す代りに、それらに
対応するビスフェノール類の具体例を以下に挙げる。
【0025】繰り返し単位[I]を形成するビスフェノ
ール類は、下記一般式[III]
【0026】
【化7】 (式中、R1、R2、a、b及びXは、上記と同じ意味を
有する。)で表され、その具体例としては、例えば、下
記のものが挙げられる。
【0027】
【化8】 繰り返し単位[II]を形成するビスフェノール類は、
下記一般式[IV]
【0028】
【化9】 (式中、R11、R12、j、k及びYは、上記と同じ意味
を有する。)で表され、その具体例としては、例えば、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4′−ジヒドロキ
シテトラフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2
−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,
1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イ
ソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−
ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス
(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5
−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−
ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−
4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3′−ジフル
オロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビ
ス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフ
ルオロエタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フェニ
ル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス
(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノノン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホキシド、4,4′−ジヒド
ロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′
−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,
2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジシクロヘキシルビフェニル等が挙げられ
る。
【0029】これら一般式[IV]で表されるビスフェ
ノール類の中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシテトラフェニル
メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシビフェニ
ル、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン等が好適である。
【0030】本発明に用いられるポリカーボネートとし
ては、直鎖状のもの、分岐状のもの、あるいは分岐構造
を有するもの、環状のものあるいは環状構造を有するも
の、更には、ポリカーボネート末端に特殊な構造が導入
されているものなど種々の分子構造を有するものが適用
可能である。
【0031】本発明に用いられるポリカーボネートは、
塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の
20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.5〜2.5d
l/gの範囲にある。還元粘度が0.5dl/g未満で
あるとフィルム又はシートの強度が低下し、2.5dl
/gを超えると成形等が困難になることがある。
【0032】また、これらのポリカーボネートの製造方
法としては特に制限はなく、例えば、前記例示の各種の
ビスフェノール類をモノマーとして用いてアルカリ金属
化合物やピリジン等の酸受容体の存在下で(必要に応じ
て適当な溶媒中で)ホスゲンガスと反応させるホスゲン
法(界面重縮合法、ピリジン法等)、あるいはクロロホ
ルメート法、エステル交換法等、公知の重合方法等の各
種の方法で製造されたものが適用可能である。なお、こ
のホスゲン法の場合、原料のビスフェノール類とホスゲ
ンを一度に反応させて所望のポリカーボネートとしても
よいし、あるいは、予め反応原料のビスフェノール類の
一部とホスゲンとを反応させて分子末端にクロロホルメ
ート基を有するオリゴマーを生成せしめ、次いで残りの
反応原料を添加して重縮合を完結させ所望のポリカーボ
ネートを得るという2段階法などを用いてもよい。
【0033】本発明の位相差補償フィルムは、前記繰り
返し単位[I]又は繰り返し単位[I]と繰り返し単位
[II]からなるポリカーボネートのうちの少なくとも
1種からなる素材を成形・延伸してなるフィルムやシー
トを用いることによって構成される。その際、該ポリカ
ーボネートは、単独であるいは任意の割合の混合物とし
て使用することができるし、更には必要に応じて、他の
ポリマーとの混合物など、他の成分との混合物としても
利用することができる。
【0034】上記ポリカーボネートのフィルム又はシー
トへの成形は、公知の各種の製膜方法によって行うこと
ができ、例えば、溶媒キャスト法、押し出し法、カレン
ダー法などによって好適に実施することができる。な
お、この成形と同時にあるいは連続して延伸を行い、所
望の延伸フィルム又はシートとしてもよい。また、こう
して成形されたフィルム又はシートを延伸して用いても
よい。いずれにしても、この延伸は、延伸ロールを用い
る方法等、公知の延伸、又は公知の成形延伸方法等の各
種の方法によって行うことができる。
【0035】延伸時の温度は、ポリカーボネートのガラ
ス転移温度より幾分高い温度が適当である。
【0036】このフィルム又はシートの延伸は、通常、
1軸方向への延伸を行えばよく、その1軸方向への延伸
倍率(元の長さに対する延伸分長さの百分率)として
は、通常、1〜10%、好ましくは3〜5%の範囲が好
適である。この延伸は一段で行ってもよく、また、多段
で延伸してもよい。
【0037】こうして得られる延伸フィルム又はシート
の厚みとしては、使用したポリカーボネートの特性(特
に複屈折などの光学的特性)や延伸の程度等によって最
適値が異なるので一律に定めることはできないが、通
常、50〜300μm程度とすることが好ましい。すな
わち、延伸フィルム又はシートの複屈折Δnを考慮し、
その厚みtを適宜選定することによって所望のR値を有
する位相差補償フィルムを容易に製造することができ
る。
【0038】以上のようにして得られる本発明の位相差
補償フィルムは、特にR値のばらつきが少なく(例え
ば、このばらつきは、通常、3%以内、更には2%以内
という著しく小さい範囲に容易に納めることができ
る。)、高性能の光学的位相差補償フィルムであり、液
晶パネル用をはじめとする各種の用途に有利に利用する
ことができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】実施例1 原料モノマーとして下記構造
【0041】
【化10】 のビスフェノール化合物20.0g(0.051モル)
及び4,4′−ジヒドロキシテトラフェニルメタン7
2.2g(0.205モル)、濃度8%の水酸化ナトリ
ウム水溶液550ml、塩化メチレン400ml、末端
停止剤(分子量調節剤)としてp−tert−ブチルフ
ェノール0.15g及び触媒として10%トリエチルア
ミン水溶液3mlを邪魔板付き反応器内に導入し、反応
液の温度を10℃付近に保持しながら激しく攪拌しつ
つ、ホスゲンガスを100ml/分の割合で15分間吹
き込んで重縮合反応を行った。
【0042】反応終了後、有機層に塩化メチレン1リッ
トルを加えて希釈し、水、希塩酸、水の順に洗浄した
後、メタノール中に投入してポリカーボネートを得た。
【0043】このようにして得られたポリカーボネート
は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶
液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.82dl
/gであった。1H−NMRスペクトル分析により、得
られたポリカーボネートは下記の繰り返し単位[Ic]
及び[IIc]を下記モル比で有するポリカーボネート
であることが確認された。
【0044】
【化11】 上記のポリカーボネートを押し出しによって厚さ120
μm、幅500mmの透明フィルムとし、このフィルム
を160℃で一軸で5%延伸し、厚さ100μmの均一
な位相差補償フィルムを得た。得られた位相差補償フィ
ルムを幅400mm長さ1mに切断し、縦横各々50m
m間隔で8×20=160箇所で複屈折を偏光顕微鏡に
取付けたセナルモンコンペンセーターを用いて測定し、
R値を算出した。光源としてはハロゲンランプを用い
た。測定結果は表1に示した。また、このフィルムは直
交ニコル下で均一な色調を示した。
【0045】比較例1 市販のポリマーである2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンとホスゲンとの反応(末端停止剤はp
−tert−ブチルフェノール)によって製造された下
記の繰り返し単位[IIa]からなるポリカーボネート
([ηsp/c]=0.76dl/g)を用いて、実施例1
と同様にして位相差補償フィルムの作製を試み、得られ
たフィルムについて実施例1と同様にしてR値の測定を
行った。測定結果は表1に示したようになった。このフ
ィルムは直交ニコル下で顕著な色調のムラを示した。
【0046】
【化12】
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によると、特定の構造のポリカー
ボネートからなる延伸フィルム又は延伸シートを用いて
いるので、R値を適当な範囲に制御しやすい上に、R値
のばらつきを例えば3%以内、更には2%以内という著
しく低い範囲に容易に低減することができ、したがっ
て、液晶パネル用位相差補償フィルム等として好適にか
つ有利に利用できる高性能の位相差補償フィルムを提供
することができる。
【0049】また、本発明によると、同一フィルム内の
みならず各種製品間においてもR値のばらつき等品質の
むらを著しく低減することができるので、製品の歩留り
及び生産性をも著しく改善することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長尾 知浩 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地 出光興産 株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−25398(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[I] 【化1】 [ただし、式中、R1及びR2は各々独立にハロゲン原
    子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の置
    換若しくは無置換のアリール基を示し、a及びbは各々
    独立に0〜4の整数を示し、Xは 【化2】 (ただし、式中、R5及びR6は各々独立にハロゲン原
    子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜12の置
    換若しくは無置換のアリール基を示し、d及びeは各々
    独立に0〜4の整数を示し、Zは単結合、−O−、−C
    O−、−S−、−SO−、−SO2−又は−CH2−を示
    す。)である。]で表される繰り返し単位[I]、又
    は、該繰り返し単位[I]と下記一般式[II] 【化3】 [ただし、式中、R11及びR12は各々独立に、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜7のシク
    ロアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換
    のアリール基を示し、j及びkは各々独立に0〜4の整
    数を示し、Yは単結合、−O−、−CO−、−S−、−
    SO−、−SO2−、−CR1314−(式中、R13及び
    14は各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭
    素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若し
    くは無置換のアリール基を示す。)、炭素数5〜8のシ
    クロアルキリデン基又は炭素数2〜12のα、ω−アル
    キレン基を示す。]で表される繰り返し単位[II]と
    を有し、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dl
    の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.5〜
    2.5dl/gの範囲にあるポリカーボネートの一軸方
    向に1〜10%延伸した延伸フィルム又は延伸シートか
    らなることを特徴とする位相差補償フィルム。
  2. 【請求項2】 繰り返し単位[I]と繰り返し単位[I
    I]の合計含量に対する繰り返し単位[I]の含有割合
    が、1〜20モル%であるポリカーボネートからなる請
    求項1記載の位相差補償フィルム。
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