JP3233734B2 - 位相差補償フィルム - Google Patents

位相差補償フィルム

Info

Publication number
JP3233734B2
JP3233734B2 JP13002593A JP13002593A JP3233734B2 JP 3233734 B2 JP3233734 B2 JP 3233734B2 JP 13002593 A JP13002593 A JP 13002593A JP 13002593 A JP13002593 A JP 13002593A JP 3233734 B2 JP3233734 B2 JP 3233734B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
bis
hydroxyphenyl
carbon atoms
compensation film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13002593A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06322094A (ja
Inventor
秀幸 宮本
秀治 坂元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP13002593A priority Critical patent/JP3233734B2/ja
Publication of JPH06322094A publication Critical patent/JPH06322094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3233734B2 publication Critical patent/JP3233734B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、位相差補償フィルムに
関し、より詳しく言うと、特にSTN液晶表示素子用位
相差補償フィルム等として有用な高性能の位相差補償フ
ィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、一般に、機械的強
度、耐熱性等に優れ、また、透明性等の光学的性質、寸
法安定性等にも優れていることから、様々な分野で素材
として用いられている。それでもなお、近年の用途の拡
大に伴って更に性能の優れたものの開発が要求されてい
る。
【0003】ポリカーボネート(PC)の最も代表的な
ものとして、ビスフェノールAとホスゲンとの反応によ
って得られるものがあり、またその他にも多種多様のも
のが知られている。しかしながら、用途によっては、ど
のような構造のポリカーボネートが好適に用いられるか
という基本的な点すら明らかにされていないのが現状で
ある。そこで、その用途開発という点では、それぞれの
用途において、より良く適合するポリカーボネートの種
類を選定し、更には、これを用途に見合った性能が発揮
できるようにすることが必要となる。
【0004】ところで、ポリカーボネートの用途のひと
つとして、最近、光学的位相差補償フィルム(シート状
や板状のものもあり、例えば位相差シート、位相差板な
ど様々な呼称があるが、ここでは特にことわらない限
り、これらを含めて相差補償フィルムと総称する。)と
しての用途が注目されている。位相差補償フィルムと
は、複屈折性を有し、直線偏光の入射光に直角方向に位
相差を生じせしめ、透過光を円偏光ないし楕円偏光に変
換する機能を有するものであり、例えば、液晶パネル用
等の種々の光学的器機やデバイスに用いられている。特
に、STN液晶表示素子の複屈折効果による位相差を補
償し、表示を白黒化させるために用いられ、従来、ポリ
カーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン等
の線状高分子材料を一軸配向させて製造されている。
【0005】光学的位相差補償フィルムをこうした用途
に用いる場合、通常、その特性のひとつであるリターデ
ーション値(以下、これをR値と呼ぶ。なお、このR値
は、フィルム又はシートの厚みtとその複屈折Δnの
積、すなわち、R=t×Δn、をnm単位の数値で表し
たものとして定義される。)が、135nm付近、いわ
ゆる1/4波長ないしそれ以上、例えば600nm前後
の光路差を生ぜしめる位相差フィルムが適当である。ま
た、高性能の位相差フィルムを得るには、R値にばらつ
きがないように作製することも重要である。
【0006】従来の高分子材料の複屈折を利用した位相
差補償フィルムは、斜めから見た場合、リターデーショ
ン値が大きく変化するため、垂直に見た場合は白黒表示
であっても、斜めから見た場合は著しい着色を生じた
り、表示の反転を生じるため、視野が制限されている。
【0007】この位相差補償フィルムのリターデーショ
ン値の角度依存性を低減させるために、材料、延伸方法
及び延伸条件等も検討されている(例えば、特開平4−
84107号公報、特開平4−195103号公報参
照)。しかしながら、従来の技術では、十分な効果が得
られない、技術的に困難である、材料費が高くなるとい
う欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
問題点を解決し、材質として新しい素材を用いることに
よって、リターデーション値の角度依存性を低減し、視
野角の広角化を達成した液晶パネル用位相差補償フィル
ム等として好適に利用できる高性能のポリカーボネート
系位相差補償フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボ
ネート重合体からなる素材を延伸してなるフィルム又は
シートを用いることによって前記目的を満足する高性能
の光学的位相差補償フィルムが実現できることを見いだ
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、次の一般式[I]
【0011】
【化2】 (ただし、式[I]中のR1及びR2は、各々独立に、ハ
ロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜8
のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは
無置換のアリール基を示し、a及びbは各々独立に0〜
4の整数を示し、Xは、単結合、−O−、−CO−、−
S−、−SO−、−SO2−、−CR34 −(ここで、
3及びR4は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5〜8の置換若しくは無置換のシクロアルキ
ル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリー
ル基を示す。)、炭素数5〜11のシクロアルキリデン
基又は炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基又はフル
オレン基を示し、ただし、上記においてa=b=0の場
合にはXが−C(CH32−になることはないものとす
る。)で表される二価フェノール[I]と、フェノール
性水酸基を有する3官能以上の多官能性有機化合物とを
炭酸エステル形成化合物と反応させて得られる分岐ポリ
カーボネートからなる延伸されたフィルム又はシートよ
りなることを特徴とする位相差補償フィルムを提供する
ものである。
【0012】なお、これらのポリカーボネート系重合体
は1種単独で使用してもよく、あるいは、必要に応じ
て、2種以上を混合物等として併用することもできる。
また、これらポリカーボネート系重合体を延伸する場合
に、必要に応じて適宜、他のポリマー成分や添加剤等の
所望の成分を添加して組成物として用いることができ
る。
【0013】置換基R1及びR2の具体例としては、次の
ようなものを例示することができる。すなわち、R1
びR2について、前記ハロゲン原子としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げることが
でき、前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチ
ル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペン
チル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−
ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、t
ert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、シクロペンチル
メチル基などを挙げることができ、前記シクロアルキル
基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘプチル基、メ
チルシクロヘキシル基、ジメチルシクロペンチル基、エ
チルシクロペンチル基などを挙げることができ、前記ア
リール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニ
ル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチル
フェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル
基、シクロヘキシルフェニル基、p−ビフェニリル基、
m−ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル
基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、エチルナ
フチル基などを挙げることができる。
【0014】Xとしての前記シクロアルキリデン基とし
ては、1,1−シクロペンチリデン基、1,1−シクロ
ヘキシリデン基、1,1−シクロヘプチリデン基及び
1,1−シクロオクチリデン基がある。これらの中で
も、特に、1,1−シクロヘキシリデン基が好ましい。
【0015】Xとしての前記炭素数2〜10のα,ω−
アルキレン基としては、ジメチレン基からデカメチレン
基に至る各種のポリメチレン基を挙げることができる。
【0016】一般式[I]で表わされる二価フェノール
類の具体例として、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビ
ス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−
tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,
1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−
アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタ
ン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−
4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−
フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロ
キシフェニル)エーテル、3,3′−ジフルオロ−4,
4′−ヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(3−シク
ロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、
2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3−フェニル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4′−ジヒ
ドロキシベンゾフェノンなどを例示することができる。
【0017】これらの中でも、特に、モノマーとして、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジ
フェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(3
−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどを
用いて得られる各種のポリカーボネート系重合体が好適
に用いられる。また、これらモノマーと2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
A)とを用いて得られるポリカーボネート系重合体も用
いられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンの使用割合は98モル%未満とすることが好まし
い。
【0018】なお、ビスフェノールAポリカーボネート
は、後述のように添加成分等として併用可能ではある
が、このものを単独で用いても本発明におけるような視
野角の広い位相差補償フィルムを得ることはできない。
【0019】本発明で用いられる多官能有機化合物は分
岐剤としての役割をもっており、その具体例としては、
フロログリシン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゾール、2,6−ジメチル−2,4,6−
トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、4,6
−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプテン−2、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5
−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,
α′,α″−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,
3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリ
ヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ
ール)オキシインドール[=イサチンビスフェノー
ル]、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチ
ン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。多官能有機化
合物の使用量は二価フェノールの使用量に対して、好ま
しくは0.01〜10モル%、更に好ましくは0.05
〜5モル%である。
【0020】本発明に用いられるポリカーボネート系重
合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dl
の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.2
〜5.0dl/gの範囲にあることが好ましい。更に好
ましくは0.3〜4.0dl/gである。0.2dl/
g未満であるとフィルム又はシートの強度が低下し、
5.0dl/gを超えると成形等が困難になることがあ
る。
【0021】また、これらのポリカーボネート系重合体
の製造方法としても特に制限はなく、例えば、前記例示
の各種の二価フェノールをモノマーとして用いてアルカ
リ金属化合物やピリジン等の酸受容体の存在下で(必要
に応じて適当な溶媒中で)ホスゲンガスと反応させるホ
スゲン法(界面重縮合法、ピリジン法等)、あるいはク
ロロホルメート法、エステル交換法など、公知の重合方
法等の各種の方法で製造されたものが適用可能である。
なお、このホスゲン法の場合、原料の二価フェノールと
多官能有機化合物とホスゲンを一度に反応させて所望の
ポリカーボネートとしてもよいし、あるいは、予め反応
原料の二価フェノールの一部とホスゲンとを反応させて
分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーを生
成せしめ、次いで残りの反応原料を添加して重縮合を完
結させ所望のポリカーボネートを得るという2段階法な
どを用いてもよい。
【0022】本発明の位相差補償フィルムは、上記のよ
うにして得られた分岐ポリカーボネートのうちの少なく
とも1種からなる素材を成形・延伸してなるフィルムや
シートを用いることによって構成される。その際、該分
岐ポリカーボネートは、単独であるいは任意の割合の混
合物として使用することができるし、更には必要に応じ
て、他のポリマー(例えば、ビスフェノールAポリカー
ボネートやポリエーテル等)との混合物など、他の成分
との混合物としても利用することができる。
【0023】ここで、フィルム又はシートへの成形は、
公知の各種の製膜方法によって行うことができ、例え
ば、溶媒キャスト法、押し出し法、カレンダー法などに
よって好適に実施することができる。なお、この成形と
同時にあるいは連続して延伸を行い、所望の延伸フィル
ム若しくはシートとしてもよい。また、こうして成形さ
れたフィルム又はシートを延伸して用いてもよい。
【0024】いずれにしても、この延伸は、公知の延伸
若しくは成形延伸方法等の各種の方法によって行うこと
ができる。
【0025】このフィルム若しくはシートの延伸は、通
常、一軸方向への延伸を行えばよく、その一軸方向への
延伸倍率(元の長さに対する延伸分長さの百分率)とし
ては、通常、1〜10%、好ましくは、3〜5%の範囲
に選定するのが好適である。
【0026】こうして得られる延伸フィルム又はシート
の厚みとしては、使用したポリカーボネート系重合体の
特性(特に複屈折などの光学的特性)や延伸の程度等に
よって最適値が異なるので一律に定めることができない
が、通常、50〜300μmの範囲に選定するのが好ま
しい。
【0027】すなわち、延伸フィルム又はシートの複屈
折Δnを考慮し、その厚みtを適宜選定することによっ
て所望のR値を有する位相差補償フィルムを容易に実現
することができる。
【0028】本発明の位相差補償フィルムは、以上のよ
うにして作製した延伸フィルム又はシートを、所望の大
きさに切断するなどして適宜形状を整えて、単独で構成
してもよいし、あるいは、複数を組合せて構成してもよ
いし、更には、必要に応じて適宜他の構成要素と組合せ
て構成することもできる。
【0029】以上のようにして得られる本発明の位相差
補償フィルムは、視野角が広い高性能の光学的位相差補
償フィルムであり、液晶パネル用をはじめとする各種の
用途に有利に利用することができる。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例によ
って本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0031】実施例1 原料モノマーとして2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−フェニルフェニル)プロパン(ビスフェノールPH)
95.0g(0.25モル)を濃度10%の水酸化カリ
ウム水溶液550mlに溶解し、この水溶液に塩化メチ
レン400ml、末端停止剤としてp−tert−ブチ
ルフェノール0.25g、分岐剤としてフロログルシン
0.10gを邪魔板付反応器内に導入し、10%トリエ
チルアミン水溶液5mlを加え、反応液の温度を10℃
付近に保持しながら激しく攪拌しつつ、ホスゲンガスを
450ml/分の割合で30分間吹き込んで重縮合反応
を行った。ホスゲンガス停止後、更に1時間攪拌して反
応を終結させた。
【0032】反応終了後、有機層に塩化メチレン1リッ
トルを加えて希釈し、水、希塩酸、水の順に洗浄した
後、メタノール中に投入してポリカーボネート99.5
gを得た。
【0033】このようにして得られた重合体は塩化メチ
レンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃に
おける還元粘度[ηsp/c]が0.78dl/gであ
り、1H−NMRスペクトル分析より下記の繰り返し単
位からなるポリカーボネートであることが確認された。
【0034】
【化3】 上記のポリカーボネートを塩化メチレンに溶解し、固形
分20重量%のワニスとし、キャスト法により厚さ70
μmのフィルムを作製した。更にこのフィルムをテンタ
ー式延伸機にて、150℃に加熱し、1.2倍に延伸を
行った。
【0035】得られたフィルムの光学特性を評価したと
ころ、リターデーションは410nmであり、リターデ
ーションの角度依存性は、入射45度における増相方向
と減相方向の平均で9%であった。この位相差補償フィ
ルムをSTN液晶セルに装着したところ、広い視野角が
得られた。
【0036】実施例2 原料モノマーとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(ビスフェノールA)59.3g(0.
26モル)を濃度8%の水酸化ナトリウム水溶液550
mlに溶解し、この水溶液に塩化メチレン250mlを
邪魔板付反応器内に導入し、反応液の温度を10℃付近
に保持しながら激しく攪拌しつつ、ホスゲンガスを95
0ml/分の割合で15分間吹き込んで重縮合反応を行
った。この反応液を静置後、有機層を分離し、重合度2
〜4の分子末端がクロロフォーメート基のビスフェノー
ルAのオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
【0037】このオリゴマー溶液と、後添加モノマーと
しての1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
1−ジフェニルメタン(ビスフェノールTP)11.3
g(0.032モル)、分岐材としての1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニルエタン)0.32gを溶
解した8%水酸化ナトリウム水溶液150mlとを邪魔
板付反応器内に導入し、更に末端停止剤としてp−te
rt−ブチルフェノール0.15g、10%トリエチル
アミン水溶液5mlを加え、10℃付近に保持して激し
く攪拌し重縮合反応を行った。
【0038】反応終了後、有機層に塩化メチレン1リッ
トルを加えて希釈し、水、希塩酸、水の順に洗浄した
後、メタノール中に投入してポリカーボネート71.5
gを得た。
【0039】このようにして得られた重合体は塩化メチ
レンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃に
おける還元粘度[ηsp/c]が0.69dl/gであ
り、1H−NMRスペクトル分析より下記の繰り返し単
位からなるポリカーボネートであることが確認された。
【0040】
【化4】 上記のポリカーボネートを塩化メチレンに溶解し、固形
分20重量%のワニスとし、キャスト法により厚さ70
μmのフィルムを作製した。更にこのフィルムをテンタ
ー式延伸機にて、150℃に加熱し、1.2倍に延伸を
行った。
【0041】得られたフィルムの光学特性を評価したと
ころ、リターデーションは370nmであり、リターデ
ーションの角度依存性は、入射45度における増相方向
と減相方向の平均で9%であった。この位相差補償フィ
ルムをSTN液晶セルに装着したところ、広い視野角が
得られた。
【0042】比較例1 市販のポリマーである2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンとホスゲンとの反応(末端停止剤はp
−tert−ブチルフェノール)によって製造されたポ
リカーボネート([ηsp/c]=0.65dl/g)を
用いた以外は実施例1と同様にして位相差補償フィルム
の製作を試み、得られたフィルムについて実施例1と同
様にして光学特性を評価したところリターデーションは
450nmであり、リターデーションの角度依存性は、
入射45度における増相方向と減相方向の平均で25%
であった。この位相差補償フィルムをSTN液晶セルに
装着したところ、視野角が狭く、容易に視野の反転を生
じ表示性が悪かった。
【0043】
【発明の効果】本発明により得られた位相差補償フィル
ムはリターデーション値の角度依存性が小さく、液晶装
置に装着した場合、視野の広角化が達成されるので、液
晶パネル用位相差補償フィルム、特にSTN液晶表示素
子用位相差補償フィルムとして好適に利用される。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式[I] 【化1】 (ただし、式[I]中のR1及びR2は、各々独立に、ハ
    ロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜8
    のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは
    無置換のアリール基を示し、a及びbは各々独立に0〜
    4の整数を示し、Xは、単結合、−O−、−CO−、−
    S−、−SO−、−SO2 −、−CR34 −(ここで、
    3及びR4は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル
    基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜1
    2の置換若しくは無置換のアリール基を示す。)、炭素
    数5〜11の置換若しくは無置換のシクロアルキリデン
    基又は炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基又はフル
    オレン基を示し、ただし、上記においてa=b=0の場
    合にはXが−C(CH32−になることはないものとす
    る。)で表される二価フェノール[I]と、フェノール
    性水酸基を有する3官能以上の多官能性有機化合物とを
    炭酸エステル形成化合物と反応させて得られる分岐ポリ
    カーボネートからなる延伸されたフィルム又はシートよ
    りなることを特徴とする位相差補償フィルム。
JP13002593A 1993-05-07 1993-05-07 位相差補償フィルム Expired - Fee Related JP3233734B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13002593A JP3233734B2 (ja) 1993-05-07 1993-05-07 位相差補償フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13002593A JP3233734B2 (ja) 1993-05-07 1993-05-07 位相差補償フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06322094A JPH06322094A (ja) 1994-11-22
JP3233734B2 true JP3233734B2 (ja) 2001-11-26

Family

ID=15024301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13002593A Expired - Fee Related JP3233734B2 (ja) 1993-05-07 1993-05-07 位相差補償フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3233734B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3600528B2 (ja) 1999-01-12 2004-12-15 株式会社宇宙環境工学研究所 低環境ホルモン性のポリカーボネート樹脂
DE10005770A1 (de) 2000-02-10 2001-08-16 Bayer Ag Verfahren zur Entfernung von gelöstem Sauerstoff aus Phenol
JP4484131B2 (ja) * 2001-04-24 2010-06-16 三菱瓦斯化学株式会社 フラットパネルディスプレー用フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06322094A (ja) 1994-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3349173B2 (ja) 位相差補償フィルム
CN1325535C (zh) 芳香族聚碳酸酯树脂及其制造方法、光学零件成型材料及光学零件
JP2015532333A (ja) 末端変性ポリオキシアルキレングリコール及びそれを含む光学特性が改善されたポリカーボネート樹脂組成物
JP5895850B2 (ja) ポリカーボネート樹脂およびその製造方法
JP7219291B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物または共重合体、および光学フィルム
JP3233734B2 (ja) 位相差補償フィルム
JP4316959B2 (ja) ポリカーボネート共重合体、その製造方法及び光学部材
JPH05339390A (ja) ポリカーボネートフィルム
JP2000063506A (ja) 芳香族―脂肪族共重合ポリカ―ボネ―ト
JP2001253960A (ja) 高屈折率低複屈折性ポリカーボネート樹脂から形成された位相差フィルム用フィルムおよびその利用
JP3535864B2 (ja) 位相差補償フィルム
JPH0675113A (ja) 位相差補償フィルム
JPH10324796A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光学製品部材
JP5896893B2 (ja) ハロゲン化ポリカーボネートからなる光学フィルムの製造方法
JP5296452B2 (ja) 末端変性ポリカーボネートおよびその製造方法
TWI336714B (en) Polycarbonate resin
JPH06336521A (ja) ポリカーボネート共重合体及びその製造方法
JPH11302364A (ja) ポリアリレート及びそのフィルム
JP2001206944A (ja) ポリカーボネート共重合体
JP2003279733A (ja) 位相差フィルム及び位相差板
JP5229444B2 (ja) ポリカーボネート樹脂
WO2020250732A1 (ja) ポリカーボネート樹脂
JPH10310692A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光学製品部材
JP2002179784A (ja) ポリカーボネート共重合体
TW202124518A (zh) 聚碳酸酯樹脂之製造方法,及成形體

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070921

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080921

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees