JP2001206944A - ポリカーボネート共重合体 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体

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JP2001206944A
JP2001206944A JP2000325281A JP2000325281A JP2001206944A JP 2001206944 A JP2001206944 A JP 2001206944A JP 2000325281 A JP2000325281 A JP 2000325281A JP 2000325281 A JP2000325281 A JP 2000325281A JP 2001206944 A JP2001206944 A JP 2001206944A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム強度、延伸フィルム特性に優れ、色
相の良好な耐熱性ポリカーボネート共重合体を提供す
る。 【解決手段】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モ
ル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)フルオレン、95〜5モル%が他のジヒドロキシ
成分からなるポリカーボネート共重合体であって、該
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解
した溶液を光路長30mmで測定したb値が6.0以下
であり、且つ該共重合体の塩化メチレン溶液での20℃
における極限粘度が0.35〜1.0の範囲であること
を特徴とするポリカーボネート共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
共重合体に関する。さらに詳しくはフィルム強度、色相
および延伸フィルム特性が著しく改善された耐熱性ポリ
カーボネート共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビスフェノールAにカーボネート
前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は
透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れている
がゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分
野に広く使用されている。特に透明性に優れることから
光学材料としての用途も多く、近年液晶ディスプレーの
液晶基板用フィルムや位相差フィルム用途にも使用され
ている。しかしながら、通常のビスフェノールAからの
ポリカーボネート樹脂より得られるフィルムでは、殊に
液晶ディスプレーに用いるフィルムが配向膜形成プロセ
スや電極形成プロセス等で180℃以上の高温処理を要
し、その耐熱性が不足するという問題がある。
【0003】ポリカーボネート樹脂の耐熱性を向上させ
るためには、一般的に嵩高い動きにくい構造を有するビ
スフェノール類を用いる方法があり、種々のポリカーボ
ネートが提案されている。例えば、特開平5−7846
7号公報では、アダマンタン構造を有するビスフェノー
ルを主として得られるポリカーボネート樹脂が提案さ
れ、特開平2−88634号公報では、特定のジヒドロ
キシジフェニルシクロアルカンをベースとするポリカー
ボネート樹脂が提案されている。また、特開平11−1
74424号公報、特開平8−134198号公報、特
開平7−52270号公報では、特定のフルオレン構造
を有するポリカーボネート樹脂が提案されている。しか
しながら、これらの構造を有するポリカーボネート樹脂
は耐熱性に優れるものの、フィルム強度が十分ではな
く、また、延伸したフィルムの特性に劣り、位相差フィ
ルムとして使用した際に視野角が狭くなるなどの問題が
あり、その改善が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、殊に
液晶ディスプレー用のフィルムとして使用する際に、フ
ィルム強度および色相に優れ、延伸フィルム特性の良好
な耐熱性ポリカーボネート共重合体を提供することにあ
る。
【0005】本発明者はこの目的を達成せんとして鋭意
研究を重ねた結果、使用するビスフェノールの色相に着
目し、従来から使用されているb値が6.0を超え色相
の劣る市販のビスフェノールに比べて、特定溶液におけ
るb値が著しく小さい特定の9,9−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)フルオレンを使用すること
により得られた特定範囲の分子量の芳香族ポリカーボネ
ート共重合体が驚くべきことにフィルム強度および延伸
フィルム特性に優れることを見出し、本発明に到達し
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が9,
9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フル
オレン、95〜5モル%が下記一般式[1]
【0007】
【化2】
【0008】[式中、R1〜R4は夫々独立して水素原
子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水
素基又はハロゲンであり、Wは単結合、炭素原子数1〜
20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、S
O、SO2、CO又はCOO基である。]で表されるジ
ヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体であ
って、該9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50m
lに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が
6.0以下であり、且つ該共重合体の塩化メチレン溶液
での20℃における極限粘度が0.35〜1.0の範囲
であることを特徴とするポリカーボネート共重合体が提
供される。
【0009】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
フルオレンが全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル
%、好ましくは10〜95モル%、さらに好ましくは3
0〜85モル%である。5モル%未満の場合、本発明の
目的である耐熱用材料として不満足な性質となり好まし
くない。
【0010】かかる9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3
−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノ
ール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定し
たb値が6.0以下、好ましくは5.5以下であり、よ
り好ましくは5.0以下であり、6.0を越えると、得
られるポリカーボネート共重合体から得られるフィルム
は、フィルム強度が低く、延伸フィルム特性に劣り好ま
しくない。
【0011】通常、この9,9−ビス(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)フルオレンはo−クレゾールと
フルオレノンの反応によって得られる。前記特定のb値
を有する9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)フルオレンは、特定の処理を行い不純物を除去
することによって得ることができる。具体的には、o−
クレゾールとフルオレノンの反応後に、未反応のo−ク
レゾールを留去した後、残さをアルコール系、ケトン系
またはベンゼン誘導体系の溶媒に溶解し、これに活性白
土または活性炭を加えてろ過後、ろ液から結晶化した生
成物をろ過して精製された9,9−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)フルオレンを得ることができ
る。除去される不純物としては、2,4′−ジヒドロキ
シ体、2,2′−ジヒドロキシ体および構造不明の不純
物等である。かかる精製に用いるアルコール系の溶媒と
してはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール等の低級アルコール、ケトン系の溶媒としてはアセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケト
ン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこ
れらの混合物が好ましく、ベンゼン誘導体系の溶媒とし
てはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合
物が好ましい。溶媒の使用量はフルオレン化合物が十分
に溶解する量であれば足り、通常フルオレン化合物に対
して2〜10倍量程度である。活性白土としては市販さ
れている粉末状または粒状のシリカ−アルミナを主成分
とするものが用いられる。また、活性炭としては市販さ
れている粉末状または粒状のものが用いられる。
【0012】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
において用いられる上記一般式(1)で示される他のジ
ヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネート
のジヒドロキシ成分として使用されているものであれば
よく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
A)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビ
スフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,
4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノ
ール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピ
ルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでもビスフェノ
ールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフ
ェノールE、ビスフェノールMが好ましく、特にビスフ
ェノールAが好ましい。
【0013】芳香族ポリカーボネート共重合体はそのポ
リマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃におけ
る極限粘度が0.35〜1.0であり、0.50〜0.8
0が好ましく、0.55〜0.80がより好ましい。極
限粘度が0.35未満では成形品、殊にフィルムの強度
が弱くなり、1.0を越えると溶融粘度および溶液粘度
が高くなり、取り扱いが困難になるので好ましくない。
【0014】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ
自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分に
ホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質
を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造
方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0015】カーボネート前駆物質として、例えばホス
ゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存
在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物
またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒
としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどの
ハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のため
に例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩など
の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常
0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0016】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所
定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加
熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより
異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応は
その初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェ
ノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応
を促進するために通常エステル交換反応に使用される触
媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使
用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。
これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0017】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用
される単官能フェノール類を使用することができる。殊
にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応
の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量
調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポ
リカーボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類
に基づく基によって封鎖されているので、そうでないも
のと比べて熱安定性に優れている。
【0018】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アル
キル置換フェノールであって、下記一般式(2)で表さ
れる単官能フェノール類を示すことができる。
【0019】
【化3】
【0020】[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直
鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基
であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数であ
る。]前記単官能フェノール類の具体例としては、例え
ばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−
クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げ
られる。
【0021】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基或いは脂肪族ポリエステル基を置換基
として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を
使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボ
ネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止
剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂
の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかり
でなく、物性も改良される。特に樹脂の吸水率を低くす
る効果があり、好ましく使用される。これらは下記一般
式[I−a]〜[I−h]で表される。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】[前記一般式[I−a]〜[I−h]中、
Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−C
O−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、
好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、T
は単結合または上記Xと同様の結合を示し、nは10〜
50の整数を示す。Qはハロゲン原子または炭素数1〜
10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示
し、pは0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好
ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1
は水素原子、−CO−R17、−CO−O−R18またはR
19である、ここでR17、R18およびR19は、それぞれ炭
素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水
素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族
炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12
の一価の芳香族炭化水素基を示す。aは4〜20、好ま
しくは5〜10の整数を示し、mは1〜100、好まし
くは3〜60、特に好ましくは4〜50の整数を示し、
Zは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の
二価の脂肪族炭化水素基を示し、W2は水素原子、炭素
数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素
基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭
化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の
一価の芳香族炭化水素基を示す。]これらのうち好まし
いのは、[I−a]および[I−b]の置換フェノール
類である。この[I−a]の置換フェノール類として
は、nが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては、例えばデシルフェノール、ド
デシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデ
シルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシル
フェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチル
フェノールなどを挙げることができる。
【0031】また、[I−b]の置換フェノール類とし
てはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化
合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26の
ものが好適であって、その具体例としては、例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0032】前記一般式[I−a]〜[I−g]で示さ
れる置換フェノール類または置換安息香酸クロライドに
おいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ま
しく、その両者の混合物が好ましい。
【0033】前記単官能フェノール類は、得られた芳香
族ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくと
も5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導
入されることが望ましく、また単官能フェノール類は単
独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
【0034】また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチ
ルフェニル)フルオレンが、全芳香族ヒドロキシ成分の
60モル%以上である場合は、樹脂の流動性が低下する
ことがあり、そのため前記一般式[I−a]〜[I−
g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸ク
ロライド類を末端停止剤として使用することが好まし
い。
【0035】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボ
ン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエス
テルカーボネートであってもよい。また少量の3官能化
合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよ
い。
【0036】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、そのガラス転移点が160℃以上が好ましく、18
0℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好まし
い。
【0037】本発明において、前記芳香族ポリカーボネ
ート共重合体に必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホス
ホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる
群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合す
ることができる。かかるリン化合物の配合量は、該芳香
族ポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.
05重量%が好ましく、0.0005〜0.02重量%が
より好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好まし
い。このリン化合物を配合することにより、かかる芳香
族ポリカーボネート共重合体の熱安定性が向上し、成形
時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
【0038】かかるリン化合物としては、リン酸、亜リ
ン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステ
ルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合
物であり、好ましくは下記一般式
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】[式中、R5〜R16は、それぞれ独立し
て、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、
ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1
〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなど
の炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネ
チルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表し、また
1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、
その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成してい
てもよい。]よりなる群から選択された少なくとも1種
のリン化合物である。
【0044】上記(3)式で示されるリン化合物として
は、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフ
ェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホス
ファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオク
チルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフ
ェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイ
ト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチル
ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペ
ンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0045】上記(4)式で示されるリン化合物として
は、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフ
ェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフ
ェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、
ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイ
ソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記(5)式
で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレ
ンホスホナイトなどが挙げられ、また上記(6)式で示
される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、
ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプ
ロピルなどが挙げられる。
【0046】これらのリン化合物のなかで、トリスノニ
ルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェ
ニレンホスホナイトが好ましく使用される。
【0047】本発明のポリカーボネート共重合体には、
酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加するこ
とができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を
示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコ
ール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6
−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−
ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止
剤の好ましい添加量の範囲はポリカーボネート共重合体
に対して0.0001〜0.05重量%である。
【0048】さらに本発明の芳香族ポリカーボネート共
重合体には、必要に応じて一価または多価アルコールの
高級脂肪酸エステルを加えることもできる。
【0049】かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素
原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子
数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エ
ステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多
価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エ
ステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステア
リン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、
ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリス
リトールテトラステアレート、プロピレングリコールモ
ノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチル
パルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルス
テアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モノ
グリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート
が好ましく用いられる。
【0050】かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステ
ルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対
して0.01〜2重量%が好ましく、0.015〜0.5
重量%がより好ましく、0.02〜0.2重量%がさらに
好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、
また離型剤がマイグレートし金属表面に付着することも
なく好ましい。
【0051】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
には、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、充
填剤などの添加剤や他のポリカーボネート樹脂、他の熱
可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添
加することもできる。
【0052】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
からフィルムを製造する方法としては、厚みの均一性に
優れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光
学欠点の生じない方法が好ましく、例えば溶剤キャスト
法、溶融押出し法、カレンダー法等が挙げられる。
【0053】かかる方法により製造されたフィルムを位
相差フィルムとして用いるためには、最適な複屈折特性
を有するよう少なくとも一軸方向に延伸配向して位相差
フィルムにする。一軸延伸方法としてはテンター法によ
る横一軸延伸、ロール間による縦一軸延伸、ロール間圧
延法等の任意の方法を用いることができる。延伸温度は
用いる樹脂のガラス転移温度(Tg)−50℃以上、T
g+20℃以下が好ましく、Tg−30℃以上、Tg+
10℃以下がより好ましい。かかる範囲の温度で延伸す
ることにより、ポリマー分子の運動が凍結されることな
く均一配向が容易になり好ましく、また、ポリマーの分
子運動が適度であり、延伸による配向の緩和が起り難
く、所望した配向度が得られ易く配向抑制が容易になり
好ましい。
【0054】また、延伸倍率は目的とするフィルムのリ
ターデーションの大きさに応じて適宜選択すればよい。
この値は、延伸温度、膜厚にも依存する。一般に厚膜で
は延伸倍率は小さくともよく、薄膜では大きくとる必要
が有る。STN型液晶ディスプレーに用いる位相差板の
リターデーションの値は、一般には100〜1200n
mであり、好ましくは150〜650nmの範囲が用い
られる。更にリターデーションの振れ幅は10%以下が
好ましく、5%以下が特に好ましい。リターデーション
の振れ幅が大きくなりすぎると色補償の偏差が生じ、色
むらになりやすい。
【0055】位相差フィルムはバリヤー層およびインジ
ウム、酸化スズをターゲットとした液晶用透明電極を形
成した後、偏向板に積層して複合偏向板として好ましく
用いられる。この複合偏向板は、通常の偏向板の光学軸
と位相差フィルムの光学軸を40〜50度の範囲で単層
または複層張り合わせることにより形成できる。この複
合偏向板は耐熱耐久性に優れ、リターデーションの経時
変化が少ない等の優れた特徴を有する。
【0056】また、延伸フィルム特性の一つにフィルム
面内方向の屈折率nxとnyの平均値と厚み方向の屈折率
nzの差の絶対値とフィルム厚みt(nm)の積で規定
されるK値=|(nx+ny)/2−nz|×tがあり、
K値が大きくなると液晶表示素子として用いた場合に表
示が浮いて見える等視野角が狭くなるため、この値は好
ましくは90nm以下、より好ましくは80nm以下に
押さえるのが好ましい。
【0057】また、液晶セルの片面または両面に偏向板
を配置した液晶表示パネルは、視面側の偏向板と液晶セ
ルの間に前記位相差フィルムを配することにより、液晶
の複屈折による着色を解消した白黒表示の液晶表示パネ
ルを形成することができ、更に白黒表示用液晶パネルに
カラーマスクを被せRGBの3色を発色させることによ
りフルカラーの液晶表示パネルを形成することができ
る。
【0058】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、その耐熱性、強度、色相に優れることからレンズ、
光学ディスク基板、フィルム等に好適に使用される。殊
にかかる芳香族ポリカーボネート共重合体から得られた
フィルムは、フィルム強度、延伸フィルム特性に優れ、
耐熱性、色相も良好であり、例えばかかる芳香族ポリカ
ーボネート共重合体を塩化メチレン、ジオキソラン、ト
ルエン、ジオキサン等の有機溶媒に溶解し、キャスティ
ングフィルムを成形して、このフィルムの両面にガスバ
リヤー膜、耐溶剤膜を付けたり、透明導電膜や偏光板と
共に液晶基板用フィルム(プラセル基板)または位相差
フィルム等の液晶ディスプレー用フィルムとして、特に
位相差フィルム用途として好適に用いられ、具体的に
は、ポケベル、携帯電話、ハンディーターミナル、種々
の表示素子等に有利に使用することができる。また、本
発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、特にフィル
ム強度に優れ、延伸フィルム特性が優れているため、位
相差フィルム、液晶基板用フィルムなどのフィルムの厚
さをより薄くすることができる利点がある。
【0059】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%であ
る。なお、評価は下記の方法によった。 (1)モノマー溶液のb値:試料10gを50mlのエ
タノールに溶解し光路長30mmの試料管にて日本電色
(株)色差計300Aを用いて測定した。 (2)極限粘度:ポリマーを塩化メチレンに溶解し20
℃の温度で測定した。 (3)ガラス転移点(Tg):デュポン社製910型D
SCにより測定した。 (4)フィルムのb値:ポリマー溶液をガラス板上にキ
ャスティングして得た厚み0.2mmのフィルムを日立
U−3000分光光度計を用いて測定した。 (5)全光線透過率:ASTM D−1003に準拠し
て日本電色(株)シグマ80により測定した。 (6)ヤング率:厚み0.2mmのフィルムを用いて、
オリエンテック(株)引っ張り試験機RTC−1325
Aにて測定した。 (7)K値:王子製紙(株)製KOBRA21ADHを
用いて550nmの波長で、延伸方向、直角方向、厚み
方向の屈折率を測定して求めた。
【0060】[実施例1]温度計、撹拌機、還流冷却器
付き反応器にイオン交換水24623部、48%水酸化
ナトリウム水溶液4153部を入れ、エタノール溶液で
のb値が3.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)フルオレン(以下“ビスクレゾールフ
ルオレン”と略称することがある)1936.9部、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下“ビスフェノールA”と略称することがある)272
6部およびハイドロサルファイト8部を溶解した後、塩
化メチレン18188部を加えた後撹拌下15〜25℃
でホスゲン1994部を60分を要して吹き込んだ。ホ
スゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノー
ル38.4部を塩化メチレン330部に溶解した溶液お
よび48%水酸化ナトリウム水溶液692.1部を加
え、乳化後、トリエチルアミン5.8部を加えて28〜
33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、
生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性
にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じ
になったところで、塩化メチレン相を濃縮、脱水してポ
リカーボネート濃度が20%の溶液を得た。この溶液か
ら溶媒を除去して得たポリカーボネートはビスクレゾー
ルフルオレンとビスフェノールAとの構成単位の比がモ
ル比で30:70であった(ポリマー収率97%)。ま
たこのポリマーの極限粘度は0.714、Tgは190
℃であった。
【0061】このポリカーボネート溶液を20℃でTダ
イより移動しているステンレス板上に流延し、徐々に温
度を上げながら塩化メチレンを蒸発し、ステンレス板よ
り剥離して更に加熱して塩化メチレンを除去して200
μmの厚みのフィルムを得た。キャスティング製膜性は
良好で、このフィルムのb値は0.5、全光線透過率は
91%、ヤング率は2.30×103MPa(235k
gf/mm2)であった。このフィルムをテンター法に
より190℃で延伸倍率2.0に一軸延伸した。この延
伸フィルムのK値は75と好ましい値を示し、リターデ
ーションは159nmであった。この一軸延伸したフィ
ルムにバリヤー層および液晶用透明電極をスパッタリン
グした後、粘着剤を用いて偏向板の片面に光学軸が45
度になるように接着して複合偏向板を得た。次いでこの
ものをSTN液晶表示装置の液晶セルに貼り合わせて用
いたところ、視野角が広く、背景色が白、表示色が黒の
コントラストのよい白黒表示が得られた。またこの上部
にカラーフィルターを被せ、RGBのセルを白黒のグレ
ー濃度で発色表示させることにより、鮮明なフルカラー
表示が得られた。
【0062】[実施例2]実施例1のビスクレゾールフ
ルオレンの使用量を3171.4部、ビスフェノールA
の使用量を1913部とする以外は実施例1と同様にし
て、ビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの
構成単位の比がモル比で50:50であるポリマー20
%溶液を得た(ポリマー収率96%)。このポリマーの
極限粘度は0.677、Tgは204℃であった。この
ポリカーボネート溶液を実施例1と同様にして200μ
mの厚みのフィルムを得た。キャスティング製膜性は良
好で、このフィルムのb値は0.6、全光線透過率は9
0%、ヤング率は3.43×103MPa(350kg
f/mm2)であった。このフィルムをテンター法によ
り204℃で延伸倍率2.0に一軸延伸した。この延伸
フィルムのK値は73と好ましい値を示し、リターデー
ションは155nmであった。このフィルムを実施例1
と同様の方法で液晶表示させたところ、視野角の広い鮮
明なフルカラー表示が得られた。
【0063】[実施例3]実施例1のビスクレゾールフ
ルオレンの使用量を4441.5部、ビスフェノールA
の使用量を1146.8部とする以外は実施例1と同様
にして、ビスクレゾールフルオレンとビスフェノールA
との構成単位のモル比が70:30であるポリマー20
%溶液を得た(ポリマー収率95%)。このポリマーの
極限粘度は0.647、Tgは230℃であった。この
ポリカーボネート溶液を実施例1と同様にして200μ
mの厚みのフィルムを得た。キャスティング製膜性は良
好で、このフィルムのb値は0.7、全光線透過率は9
0%、ヤング率は3.73×103MPa(380kg
f/mm2)であった。このフィルムをテンター法によ
り230℃で延伸倍率2.0に一軸延伸した。この延伸
フィルムのK値は72と好ましい値を示し、リターデー
ションは153nmであった。このフィルムを実施例1
と同様の方法で液晶表示させたところ、視野角の広い鮮
明なフルカラー表示が得られた。
【0064】[実施例4]エタノール溶液でのb値が
5.0のビスクレゾールフルオレンを用いる以外は実施
例3と同様にして、ビスクレゾールフルオレンとビスフ
ェノールAとの構成単位のモル比が70:30である2
0%のポリカーボネート溶液を得た(ポリマー収率98
%)。このポリマーの極限粘度は0.652、Tgは2
30℃であった。このポリカーボネート溶液を実施例1
と同様にして200μmの厚みのフィルムを得た。この
フィルムのb値は0.9、全光線透過率は90%、ヤン
グ率は3.70×103MPa(377kgf/mm2
であった。このフィルムをテンター法により230℃で
延伸倍率2.0に一軸延伸した。この延伸フィルムのK
値は73と好ましい値を示し、リターデーションは15
4nmであった。このフィルムを実施例1と同様の方法
で液晶表示させたところ、視野角の広い鮮明なフルカラ
ー表示が得られた。
【0065】[比較例1]実施例1と同様な反応装置を
用いて、エタノール溶液でのb値が6.2のビスクレゾ
ールフルオレンを用いる以外は実施例1と同様にして、
ビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの構成
単位のモル比が30:70である20%のポリカーボネ
ート溶液を得た(ポリマー収率98%)。このポリマー
の極限粘度は0.715、Tgは189℃であった。こ
のポリカーボネート溶液を実施例1と同様にして200
μmの厚みのフィルムを得た。このフィルムのb値は
2.5、全光線透過率は88%、ヤング率は2.01×
103MPa(205kgf/mm2)と低くなった。こ
のフィルムをテンター法により189℃で延伸倍率2.
0に一軸延伸したところ、K値は95とやや大きくな
り、リターデーションは162nmであった。このフィ
ルムを実施例1と同様の方法で液晶表示をさせたとこ
ろ、視野角が狭くなり、白表示がやや黄色味を帯び、色
相補償が不十分で色ズレが生じ、やや赤みがかった色調
になった。またカラー表示には色ズレや滲み等があり鮮
明なフルカラー表示はできなかった。
【0066】[比較例2]実施例1のp−tert−ブ
チルフェノールを23.1部使用する以外は実施例1と
同様にして20%のポリカーボネート溶液を得た(ポリ
マー収率98%)。このポリマーの極限粘度は1.01
7と高く、溶液粘度が高く、キャスティング製膜性が悪
く、良好なフィルムは得られなかった。
【0067】[比較例3]実施例1のp−tert−ブ
チルフェノールを102.5部使用する以外は実施例1
と同様にして20%のポリカーボネート溶液を得た(ポ
リマー収率98%)。このポリマーの極限粘度は0.3
40と低く、キャスティング製膜性は良好であったが、
ヤング率が2.01×103MPa(205kgf/m
2)と低くなった。
【0068】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート共重合体は、
色相、透明性、耐熱性に優れ、殊にフィルム強度および
延伸フィルム特性が極めて良好であり、プラセル基板、
位相差フィルム等の液晶ディスプレー用フィルム材料と
して好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA09 AB01 AC02 AD01 AE03 AE04 AE05 BB10A BB12A BB12B BB12C BB13A BB16A BC07B BD09A BD09C BE05A BE05B BE07 BF14A BF14B BG07X BG08X BH02 DB07 DB11 DB13 HA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モ
    ル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
    ニル)フルオレン、95〜5モル%が下記一般式[1] 【化1】 [式中、R1〜R4は夫々独立して水素原子、炭素原子数
    1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲ
    ン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香
    族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、S
    2、CO又はCOO基である。]で表されるジヒドロ
    キシ成分からなるポリカーボネート共重合体であって、
    該9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
    ル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに
    溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が6.0
    以下であり、且つ該共重合体の塩化メチレン溶液での2
    0℃における極限粘度が0.35〜1.0の範囲である
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  2. 【請求項2】 一般式[1]で表される化合物が、2,
    2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1
    −ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
    2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
    プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
    タン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
    −ジイソプロピルベンゼンよりなる群から選ばれた少な
    くとも1種の化合物である請求項1記載のポリカーボネ
    ート共重合体。
  3. 【請求項3】 一般式[1]で表される化合物が、2,
    2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請
    求項1記載のポリカーボネート共重合体。
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