JP2003183378A - 芳香族ポリカーボネート樹脂およびそれからの成形品 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂およびそれからの成形品

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JP2003183378A
JP2003183378A JP2001385735A JP2001385735A JP2003183378A JP 2003183378 A JP2003183378 A JP 2003183378A JP 2001385735 A JP2001385735 A JP 2001385735A JP 2001385735 A JP2001385735 A JP 2001385735A JP 2003183378 A JP2003183378 A JP 2003183378A
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aromatic polycarbonate
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bis
aromatic
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Toshimasa Tokuda
俊正 徳田
Hiroshi Shudo
宏 首藤
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相および透明性に優れた耐熱性ポリカーボ
ネート樹脂およびそれからなる成形品を提供すること、
特に液晶ディスプレー用のフィルムとして使用する際
に、色相および透明性に優れ、延伸フィルム特性が良好
で視野角が広く、表示色調が鮮明となる耐熱性に優れた
芳香族ポリカーボネート樹脂を提供することにある。 【解決手段】 全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも
2モル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)フルオレン(BCFと略称)からなる芳香族
ポリカーボネート樹脂において、(A)ポリカーボネー
ト樹脂中に含まれる本文に定義された方法によって測定
された特定の化合物の含有率が0.30%以下であり、
(B)その0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し
た溶液の20℃において測定された比粘度が0.2〜
2.0の範囲であることを満足する樹脂およびそれから
の成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂およびこれからなる成形品に関する。さらに
詳しくは成形時における熱安定性、光学異方性、色相、
フィルム特性等が著しく改善された芳香族ポリカーボネ
ート樹脂およびそれからの成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)にホスゲン
やジフェニルカーボネートを反応させて得られたポリカ
ーボネート樹脂は透明性、耐熱性、寸法精度が良い等の
優れた性質を有することからエンジニアリングプラスチ
ックとして多くの分野に広く使用されている。特に透明
性に優れることから光学材料としての用途も多く、近年
液晶ディスプレーの液晶基板用フィルムや位相差フィル
ム用途にも使用されている。しかしながら、通常のビス
フェノールAからのポリカーボネートより得られるフィ
ルムでは、位相差の波長分散特性や耐熱性が不足すると
いう問題がある。
【0003】ポリカーボネート樹脂の耐熱性を向上させ
るためには、一般的に嵩高い動きにくい構造を有するビ
スフェノール類を用いる方法があり、種々のポリカーボ
ネートが提案されている。例えば、特開平5−7846
7号公報では、アダマンタン構造を有するビスフェノー
ルを主として得られるポリカーボネート樹脂が提案さ
れ、特開平2−88634号公報では、特定のジヒドロ
キシジフェニルシクロアルカンをベースとするポリカー
ボネート樹脂が提案されている。また、特開平11−1
74424号公報、特開平8−134198号公報およ
び特開平7−52270号公報では、特定のフルオレン
構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている。
しかしながら、これらの構造を有するポリカーボネート
樹脂は耐熱性に優れるものの、色相の点で十分はでな
く、また、延伸したフィルムの特性に劣り、位相差フィ
ルムとして使用した際に視野角が狭くなるなどの問題が
あり、その改善が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、色相
および透明性に優れた耐熱性ポリカーボネート樹脂およ
びそれからなる成形品を提供すること、特に液晶ディス
プレー用のフィルムとして使用する際に、色相および透
明性に優れ、延伸フィルム特性が良好で、視野角が広
く、液晶表示の色調が鮮明となる耐熱性に優れたポリカ
ーボネート樹脂を提供することにある。
【0005】本発明者はこれら目的を達成せんとして鋭
意研究を重ねた結果、特定構造の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を選択し、特定の比粘度範囲で、さらに特定成分
の割合を特定量以下とすることによって良好な色相を達
成し、成形時の着色が低減された成形品が得られること
を見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも2モル%が
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
フルオレン(BCFと略称)からなる芳香族ポリカーボ
ネート樹脂において、(A)ポリカーボネート樹脂中に
含まれる本文に定義された方法によって測定された下記
式[X−1]〜[X−3]で示される化合物の合計の含
有率が0.30%以下であり、
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】(B)その0.7gを塩化メチレン100
mlに溶解した溶液の20℃において測定された比粘度
が0.2〜2.0の範囲であることを特徴とする芳香族
ポリカーボネート樹脂が提供される。
【0011】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、特定の
成分が全ヒドロキシ成分の少なくとも2モル%であるこ
とが必要である。
【0012】以下本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
について説明する。
【0013】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
BCFが全芳香族ジヒドロキシ成分当り、少なくとも2
モル%の割合で構成されたポリカーボネート樹脂である
ことが必要である。
【0014】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
BCFを全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも2モル
%、好ましくは少なくとも5モル%使用している。この
BCFの割合が2モル%未満の場合、得られた成形品の
性能が不十分で、且つ、透明性、耐熱性、色相、熱安定
性、フィルム特性等の性質が不満足となり、これら特性
を全て満足する成形品および光学フィルムは得られな
い。BCFは、100モル%でもよいがガラス転移温度
(Tg)が高くなりすぎるので、BCFの割合がこのよ
うに高い場合には、特定構造のTgを低めるビスフェノ
ール類と共重合することが望ましい。
【0015】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
それを構成する全芳香族ジヒドロキシ成分中のBCFの
割合が2〜99モル%の範囲であるのが好ましく、5〜
90モル%の範囲であるのが特に好ましい。
【0016】本発明者の研究によれば、前記BCFに対
して、或る特定のジヒドロキシ成分を組合わせて得られ
た共重合ポリカーボネート樹脂は、本発明の成形品用
途、特にフィルム、レンズ、ディスク等の光学成形品と
して適していることが見出された。すなわち、共重合ポ
リカーボネート樹脂は、(a)BCF(これを成分aと
いう)および(b)2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(ビスフェノールAと略称)、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビス
フェノールZと略称)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールCと
略称)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン(ビスフェノールEと略称)、α,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン
(ビスフェノールMと略称)[これらを成分bという]
を全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%と
し、且つ成分aと成分bとの割合(a:b)がモル比
で、3:97〜95:5であるポリカーボネート樹脂は
本発明の成形品および光学フィルムとして特に好まし
い。
【0017】前記共重合ポリカーボネート樹脂の好まし
い態様の1つは、成分bがビスフェノールAである組合
せであり、その場合成分a:成分bの割合がモル比で、
2:98〜90:10の範囲、特に10:90〜80:
20の範囲であるのが一層好ましい。更に30:70〜
70:30が最も好ましい。
【0018】また好ましい他の態様は、成分bがビスフ
ェノールMの組合せであり、その場合成分a:成分bの
割合がモル比で、20:80〜90:10の範囲、特に
30:70〜80:20の範囲であるのがより好まし
い。これら好ましい態様において、成分aと成分bの合
計は、全芳香族ジヒドロキシ成分中、少なくとも80モ
ル%、好ましくは少なくとも90モル%であるのが有利
であり、典型的には、成分aおよび成分bによって実質
的に形成された共重合ポリカーボネート樹脂であるのが
望ましい。
【0019】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂にお
いて、成分aおよび成分bが全芳香族ジヒドロキシ成分
の少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モ
ル%を占めることが望ましいが、他のジヒドロキシ成分
(成分C)を全芳香族ジヒドロキシ成分当り20モル%
以下、好ましくは10モル%以下含有していても特に差
支えない。
【0020】かかる成分Cとしては、通常芳香族ポリカ
ーボネートのジヒドロキシ成分として使用されている、
成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例えばハ
イドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノー
ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペ
ンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデ
ン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルフォン等が挙げられる。
【0021】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体
公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホス
ゲンや炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質を反応
させる方法により製造される。次にこれらの製造方法に
ついて基本的な手段を簡単に説明する。
【0022】カーボネート前駆物質として例えばホスゲ
ンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在
下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物または
ピリジン等のアミン化合物が用いられる。溶媒としては
例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三
級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であ
り、反応時間は数分〜5時間である。
【0023】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所
定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加
熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異
なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はそ
の初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を
促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒
を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用
される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカー
ボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。こ
れらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0024】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
前記したように芳香族ジヒドロキシ成分として、ビスフ
ェノールMあるいはビスフェノールMと他の芳香族ジヒ
ドロキシ成分との混合物を使用し、それ自体公知のポリ
カーボネート形成の反応に従って製造することができ
る。
【0025】その重合反応において、末端停止剤として
通常使用される単官能フェノール類を使用することがで
きる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用
する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤とし
て分子量調節のために一般的に使用され、また得られた
芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノー
ル類に基づく基によって封鎖されているので、そうでな
いものと比べて熱安定性に優れている。
【0026】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノールあるいは低級ア
ルキル置換フェノールであって、下記一般式で表される
単官能フェノール類を示すことができる。
【0027】
【化7】
【0028】[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直
鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基
であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数であ
る。]前記単官能フェノール類の具体例としては、例え
ばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−
クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げ
られる。
【0029】これら単官能フェノールは、得られた芳香
族ポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5
モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入さ
れることが望ましい。
【0030】本発明者の研究によれば、長鎖のアルキル
基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有する
フェノール類、または安息香酸クロライド類もしくは長
鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用して芳香族
ポリカーボネート樹脂の末端基を封鎖すると、これらは
前記単官能フェノール類と同様に末端停止剤または分子
量調節剤として機能するのみならず、さらに得られた芳
香族ポリカーボネート樹脂の改質にも役立つことが見出
された。
【0031】すなわち、長鎖のアルキル基あるいは脂肪
族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類、
または安息香酸クロライド類もしくは長鎖のアルキルカ
ルボン酸クロライド類(以下これらを、前記単官能フェ
ノール類と区別するために“末端改質剤”と略称するこ
とがある)は、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端に結
合することによって、樹脂の溶融流動性が改良され、成
形加工が容易となるばかりでなく、基板としての物性も
改良される。特に樹脂の吸水率を低くする効果がある。
【0032】かかる末端改質剤は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の組成によってその割合は一定ではないが、全
末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくと
も10モル%、末端に結合するように使用される。末端
改質剤は前記単官能性フェノール類と組合せて使用する
ことができる。
【0033】前記末端改質剤としては下記一般式[I−
a]〜[I−h]で表される化合物を使用することがで
きる。
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
【化15】
【0042】[各式中、Xは−R−O−、−R−CO−
O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合
または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪
族炭化水素基を示し、Tは単結合または上記Xと同様の
結合を示し、nは10〜50の整数を示す。
【0043】Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、
好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、p
は0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましく
は1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1は水素
原子、−CO−R1、−CO−O−R2またはR3であ
る、ここでR1、R2およびR3は、それぞれ炭素数1〜
10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭
素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素
基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の
芳香族炭化水素基を示す。
【0044】lは4〜20、好ましくは5〜10の整数
を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好
ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素
数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素
基を示し、W2は水素原子、炭素数1〜10、好ましく
は1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好
ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数
6〜15、好ましくは1〜12の一価の芳香族炭化水素
基を示す。] 前記した末端改質剤[I−a]〜[I−h]のうち好ま
しいのは、[I−a]および[I−b]の置換フェノー
ル類である。この[I−a]の置換フェノール類として
は、nが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては、例えばデシルフェノール、ド
デシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデ
シルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシル
フェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチル
フェノール等を挙げることができる。
【0045】また、[I−b]の置換フェノール類とし
てはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化
合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26の
ものが好適であって、その具体例としては、例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0046】前記一般式[I−a]〜[I−g]で示さ
れる置換フェノール類または置換安息香酸クロライドに
おいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ま
しく、その両者の混合物が好ましい。
【0047】前記した末端改質剤のうち[I−a]およ
び[I−b]は特に優れている。その理由は前述したと
おり、これらは芳香族ポリカーボネート樹脂中に末端基
として導入されると、その溶融流動性が改善されるばか
りでなく、吸水率を低下させる効果もあるからである。
【0048】芳香族ポリカーボネート樹脂はその樹脂の
0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20℃
で測定した比粘度が0.2〜2.0の範囲のものであ
り、好ましくは0.25〜1.0の範囲のものである。
比粘度が0.2未満では成形品が脆くなり、2.0より
高くなると溶融流動性が悪く、成形不良を生じ、良好な
成形品が得られ難くなる。また、溶液キャスト法におい
ても溶解性が悪くなり、かつ溶液粘度も高くなって成形
し難くなるので好ましくない。
【0049】本発明の成形品は、前記芳香族ポリカ−ボ
ネ−ト樹脂を、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成
形法、溶液キャスト法等任意の方法で成形することによ
り得ることができる。
【0050】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
前記式[X−1]〜[X−3]で表される化合物の含有量
の合計が、ポリカーボネート樹脂中、0.30%以下で
あり、0.25%以下が好ましく、0.20%以下がよ
り好ましい。但し、前記式[X−1]〜[X−3]で表さ
れる化合物を完全に除去することは困難であり、0.1
%程度含有していても差し支えない。含有率が0.30
%を超えると熱安定性に劣り、溶融成形時に色相が悪化
し、該ポリカーボネート樹脂を成形して得られた成形品
は外観に劣り、さらにフィルム特性も悪化するので好ま
しくない。
【0051】前記式[X−1]〜[X−3]で表される化
合物は、LC−MSで測定された分子量364、39
2、648に相当する成分であって、具体的には、9−
(4−ヒドロキシフェニル)−9−(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)フルオレン、9−(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)−9−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、フルオレン二
量体等[X−1]〜[X−3]の構造式で表される化合
物である。これら[X]化合物のポリカーボネート樹脂
中における含有量は、ポリカーボネート樹脂をモノマー
に分解して、その分解物をHPLC分析して求められる
ピーク面積の割合(%)で示された値である。なお、L
C−MSでの測定ではこれらの分子量の付近(例えばリ
テンションタイムが18分、22分、42分)に小さな
ピークが存在するが、これら3種類に比べピーク面積は
著しく小さいものである。
【0052】前記式[X−1]〜[X−3]で表される化
合物は、BCFの製造工程において副生する不純物であ
る。かかる不純物を除去する方法としては、BCFをア
ルコール系、ケトン系またはベンゼン誘導体系の溶媒に
溶解し、これに活性炭あるいは活性白土を加えてろ過
後、ろ液から結晶化した生成物をろ過する方法が好まし
く採用される。かかる精製に用いるアルコール系の溶媒
としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール等の低級アルコール、ケトン系の溶媒としてはア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケト
ン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこ
れらの混合物が好ましく、ベンゼン誘導体系の溶媒とし
てはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合
物が好ましい。溶媒の使用量はBCFが十分に溶解する
量であれば足り、通常BCFに対して2〜10倍量程度
である。
【0053】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂およ
びそれからの成形品は、オリゴマー含量が10%以下、
好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である芳
香族ポリカーボネート樹脂が好適に使用される。このオ
リゴマー含量の値は下記方法およびカラムを使用して測
定された値である。すなわち、東ソー(株)製、TSK
gelG2000HXLとG3000HXLカラム各1
本づつ直列に繋いで溶離液としてクロロホルムを用い、
流量0.7ml/分で安定化した後、該ポリカーボネー
ト樹脂のクロロホルム溶液を注入する方法で測定したG
PCチャートのリテンションタイムが19分以降のオリ
ゴマーピーク面積の合計の全ピーク面積に対する割合が
オリゴマー含量であり、この値が10%以下、好ましく
は5%以下であることが必要である。オリゴマー含量が
5%、殊に10%を越えると、成形時の金型表面を汚染
することがあるので望ましくなく、その汚染はオリゴマ
ー含量が多くなる程顕著になる傾向がある。 オリゴマ
ーは、前記した含量以下であればよく、その値を満足す
る限り、少割合含有されていても差支えない。0.1%
以上、好ましくは0.15%以上の少割合の含量でオリ
ゴマーが存在すると、それ以下のものと比べて溶融流動
性が向上する。
【0054】芳香族ポリカーボネート樹脂中のオリゴマ
ー含量を前記範囲に制御するには、大量のオリゴマーが
樹脂中に含まれないように重合を充分に完結することが
必要であり、また触媒および重合条件を適宣選択するこ
とが要求される。もしオリゴマー含量が前記範囲を越え
ている場合には、例えばオリゴマーを抽出等の手段によ
り除去する処置が採用される。この抽出は芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の溶液(例えば塩化メチレン溶液)を、
その樹脂の貧溶剤または非溶剤(例えばアセトンまたは
メタノール)中に滴下する方法、あるいはその樹脂を貧
溶媒または非溶媒に浸漬して、オリゴマーを抽出する方
法等の手段によって実施することができる。
【0055】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
光ディスク基板、殊にビデオ用光ディスク基板として使
用される場合には、その中に未溶解粒子が或る一定量以
上存在しないことが好ましい。
【0056】すなわち、ポリカーボネート樹脂は、その
20gを塩化メチレン1Lに溶解した溶液をハイアック
ロイコ社製液体パーティクルカウンターモデル4100
を用いたレーザーセンサー法にて散乱光をラテックス粒
子の散乱光に換算する方法で求めた径0.5μm以上の
未溶解粒子が該ポリカーボネート樹脂1g当り25,0
00個以下且つ1μm以上の未溶解粒子が500個以下
であることが好適である。0.5μm以上の未溶解粒子
が25,000個を超えるか、または1μm以上の未溶
解粒子が500個を超えると光ディスクに書き込まれた
情報ピットに悪影響を及ぼしエラーレートが大きくなる
場合がある。さらに好ましくは、0.5μm以上の未溶
解粒子が20,000個以下、且つ1μm以上の未溶解
粒子が200個以下である。また、10μm以上の未溶
解粒子は実質的に存在しないことが好ましい。
【0057】芳香族ポリカーボネート樹脂中における未
溶解粒子の量を前記範囲とするためには、重合過程およ
び造粒過程において、未溶解粒子が混入しないかあるい
は除去し得る手段を採用すべきである。
【0058】そのような手段としては、例えば操作をク
リーンルームで行うこと、未溶解粒子の除去装置の付い
た造粒装置を使用すること(具体的例としては、後述す
る実施例1で使用された軸受け部に異物取り出し口を有
する隔離室を設けたニーダー)あるいは摺動部分に樹脂
粒子が触れない構造の装置(例えばスプレードライヤー
形式の造粒機)で造粒すること等がある。
【0059】また、未溶解粒子を除去する他の手段とし
て、樹脂の溶液を目開きの小さいフィルター(0.5〜
1μm)によりろ過する方法あるいは樹脂を溶融して
後、金属フィルター(10〜40μm)により固体粒子
を除去する方法等が採用される。
【0060】本発明の芳香族ポリカーボネートからの成
形品である光ディスク基板の場合、全光線透過率が少な
くとも85%、好ましくは少なくとも90%の芳香族ポ
リカーボネート樹脂から形成される。全光線透過率が8
5%よりも低くなると、光ディスク基板として不適当で
ある。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の斜め入射複
屈折位相差の値が60nm以下、好ましくは40nm以
下であるのが適当である。この斜め入射複屈折位相差の
値が60nmを越えると、光ディスクとして使用した場
合記録の読み取りに支障を来すことになり不適当であ
る。
【0061】芳香族ポリカーボネート樹脂は、そのガラ
ス転移点が120℃以上が好ましく、150℃以上がよ
り好ましく、185℃以上がさらに好ましい。ガラス転
移点が低くなると熱源の近くで使用する成形品、例えば
ランプレンズ、ランプレンズリフレクタ、素子基板、プ
ラセル基板、位相差フィルムとしての耐熱性が不足す
る。また射出成形用途としての芳香族ポリカーボネート
樹脂の流動性はMFRの値で3g/10分以上が好まし
く、10g/10分以上がより好ましく、25g/10
分以上がさらに好ましい。流動性が低くなると成形性に
劣り所望の成形品が得られなくなる。
【0062】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
カーボネート前駆物質としてホスゲンを使用し、また溶
媒として塩化メチレン等の塩素系溶媒を使用した場合、
塩素が少なからず残存している。この塩素の含有量が多
いと成形金型が腐蝕したり、芳香族ポリカーボネート樹
脂の熱安定性が低下したり、また光ディスクの金属膜の
腐蝕が起こったりするので望ましくない。従って、塩素
の含量は10ppm以下、好ましくは5ppm以下、特
に好ましくは1ppm以下であるのが推奨される。ここ
で云う塩素含量とは、芳香族ポリカーボネート樹脂を三
菱化学製全有機ハロゲン分析装置TOX10型を用いて
燃焼法により測定された値を意味するものとする。
【0063】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に
は、必要に応じて燐系熱安定剤を加えることができる。
燐系熱安定剤としては、亜燐酸エステルおよび燐酸エス
テルが好ましく使用される。亜燐酸エステルとしては、
例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニ
ルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、
トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファ
イト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチル
モノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニ
ルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、
モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフ
ェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−ter
t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノ
ニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレ
ンホスホナイト等の亜燐酸のトリエステル、ジエステ
ル、モノエステルが挙げられる。これらのうち、トリス
ノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリ
スリトールジホスファイトが好ましい。
【0064】一方、熱安定剤として使用される燐酸エス
テルとしては、例えばトリブチルホスフェート、トリメ
チルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホス
フェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフ
ェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホス
フェート等が挙げられ、なかでもトリフェニルホスフェ
ート、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0065】前記燐系熱安定剤は、単独で使用してもよ
く、また二種以上を組合せて使用してもよい。燐系熱安
定剤は、芳香族ポリカーボネート樹脂に基づいて0.0
001〜0.05重量%の範囲で使用するのが適当であ
る。
【0066】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に
は、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加す
ることができる。その例としてはフェノール系酸化防止
剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレング
リコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、
1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナ
マイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメ
チル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチ
ル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウ
ンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい
添加量の範囲は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、
0.0001〜0.05重量%である。
【0067】さらに本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂には、必要に応じて多価アルコールの高級脂肪酸エス
テルを加えることもできる。この高級脂肪酸エステルを
加えることによって、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱
安定性が向上し、成形時の樹脂の流動性が良くなり、さ
らに成形後の金型からの基板の離型性が改良されて離型
不良によるディスク基板の変形が防止できる。かかる高
級脂肪酸エステルとしては、炭素数2〜5の多価アルコ
ールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステ
ル、または全エステルであるのが好ましい。この多価ア
ルコールとしては、グリコール類、グリセロールまたは
ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0068】前記高級脂肪族酸エステルは、芳香族ポリ
カーボネート樹脂に対して、0.005〜2重量%の範
囲、好ましくは0.02〜0.1重量%の範囲で添加され
るのが適当である。
【0069】添加量が0.01重量%未満では、上記効
果が得られず、一方2重量%を越えると金型表面の汚れ
の原因となるので好ましくない。
【0070】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に
は、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の添
加剤を透明性を損なわない範囲で加えることができる。
また、他のポリカーボネート樹脂、熱可塑性樹脂を本発
明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもでき
る。
【0071】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%であ
る。なお、評価は下記の方法によった。
【0072】比粘度:ポリマー0.7gを100mlの
塩化メチレンに溶解し20℃の温度で測定した。
【0073】ガラス転移点(Tg):デュポン社製91
0型DSCにより測定した。
【0074】オリゴマー含量:東ソー製GPCカラムT
SKgelG2000HXLとTSKgelG3000
HXLを用い、溶離液としてクロロホルムを流量0.7
ml/分で流しながら試料50mgをクロロホルム5m
lに溶解した溶液を20μl注入する方法で求めたGP
Cチャートのリテンションタイムが19分以降のオリゴ
マー成分のピーク面積の全ピーク面積に対する割合を%
で示した。
【0075】上記式[X]で示される化合物の含有率
ポリカーボネート樹脂2.5gを、苛性ソーダ0.03
5gをメタノール1mlとトルエン1.5mlの混合溶
媒に溶解した溶液に加え、60℃、1時間処理して、ポ
リカーボネート樹脂を分解させ、この溶液をイオン交換
水40ml中に入れて、フェノール類を析出させ乾燥し
た後、Develosil ODS−7のカラムにて、
溶離液メタノール/0.2%酢酸水とメタノールとの混
合液を用いて、50℃、280nmでグラジエントプロ
グラムにてHPLC分析し、上記式[X]で示される成
分の面積%を合計して求めた。
【0076】全光線透過率(Tt):ASTM D−1
003に準拠して日本電色シグマ80を用いて測定し
た。
【0077】熱安定性(△E):ポリカーボネート樹脂
ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アン
カー V−17−65型)を用い、シリンダー温度38
0℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片
(厚さ1mmの角板)をそれぞれ作成し、その色相の変
化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電
色(株)製Z1001DP)でそれぞれのL、a、b値
を測定し、下記式を用いて算出した。
【0078】
【数1】
【0079】(L、a、bは滞留させないもの、L′、
a′、b′は10分間滞留させたもの)
【0080】実施例1 温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水
24620部、48%カセイソ−ダ水溶液4150部を
入れ、ビスフェノールA1913部、活性炭処理して精
製したX成分の含有量が0.18%のBCF3171.
4部およびハイドロサルファイト8部を溶解した後、塩
化メチレン18190部を加え撹拌下15〜25℃でホ
スゲン1994部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲ
ン吹き込み終了後p−tert−ブチルフェノール11
3.3部と塩化メチレン350部および48%カセイソ
ーダ水溶液692部を加え乳化後、トリエチルアミン6
部を添加し、28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了
した。
【0081】反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈
して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率
がイオン交換水と殆ど同じになったところで、ニーダー
にて塩化メチレンを蒸発して、ビスフェノールAとBC
Fの比がモル比で50:50であるポリマーを得た(収
率97%)。
【0082】このポリマーの比粘度は0.279、オリ
ゴマー含有量は0.5%、Tgは205℃であった。こ
のポリマーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイトを0.03%、ステアリン酸モノ
グリセリドを0.04%加えてペレット化した。このペ
レットを用いて50mm×90mm×1mmの成形板を
成形して測定した樹脂の全光線透過率は89%であっ
た。[X]成分の含有率は0.13%であり、△Eの値
は2.2と良好であった。
【0083】このポリマーの20%塩化メチレン溶液を
20℃でTダイより移動しているステンレス板上に流延
し、徐々に温度を上げながら塩化メチレンを蒸発し、ス
テンレス板より剥離して更に加熱して塩化メチレンを除
去して200μmの厚みのフィルムを得た。キャスティ
ング製膜性は良好でこのフィルムのb値は0.65と良
好であった。次いでこのフィルムをテンター法により2
10℃で延伸倍率2.0に一軸延伸した。この一軸延伸
したフィルムにバリヤー層、および液晶用透明電極をス
パッタリングした後、粘着剤を用いて偏光板の片面に光
学軸が45度になるように接着して複合偏光板を得た。
次いでこのものをSTN液晶表示装置の液晶セルと上部
偏光板の間に貼り合せて用いたところ、視野角が広く、
背景色が白、表示色が黒のコントラストのよい白黒表示
が得られた。また、この上部にカラーフィルターを被
せ、RGBのセルを白黒のグレー濃度で発色させること
により、鮮明なフルカラー表示が得られた。
【0084】比較例1 実施例1のBCFを[X]成分が0.42%のBCFと
した以外は実施例1と同様にして、ビスフェノールAと
BCFの比がモル比で50:50であるポリマーを得た
(収率96%)。このポリマーの比粘度は0.277、
オリゴマー含量は0.6%、Tgは204℃であった。
【0085】このポリマーを実施例1と同様に成形し実
施例1と同様に評価したところ、このものの全光線透過
率は88%、[X]成分の含有率は0.35%、△Eは
3.9であった。
【0086】このポリマーの塩化メチレン溶液を実施例
1と同様にして評価したところ、フィルムのb値は0.
98と悪く、液晶表示も白表示がやや黄色味を帯び、カ
ラー表示では鮮明なフルカラー表示はできなかった。
【0087】実施例2 実施例1のBCFの使用量を4441.5部、ビスフェ
ノールAの使用量を1146.8部とし、p−tert
−ブチルフェノールの使用量を21.5部用いる以外は
実施例1と同様にしてBCFとビスフェノールAの比が
モル比で70:30であるポリマーを得た(収率94
%)。このポリマーの比粘度は0.688、オリゴマー
含量は0.4%、Tgは231℃であった。
【0088】このポリマーを実施例1と同様にフィルム
成形し実施例1と同様に評価したところ、[X]成分の
含有率は0.16%、フィルムのb値は0.75と良好
であった。
【0089】また、液晶表示では、白黒のコントラスト
のよい表示が得られ、フルカラー表示も鮮明であった。
【0090】実施例3 実施例1のBCFの使用量を1937部、ビスフェノー
ルAの使用量を2726部、p−tert−ブチルフェ
ノールの使用量を115部とした以外は実施例1と同様
にしてBCFとビスフェノールAの比がモル比で30:
70のポリマーを得た(収率98.6%)。このポリマ
ーの比粘度は0.301、オリゴマーの含量は0.5
%、Tgは183℃であった。
【0091】このものを実施例1と同様にして評価した
ところ、成形片の全光線透過率は89%、△E値は1.
3と良好であった。また、このものの[X]成分の含有
率は0.15%、フィルムb値は0.53と良好であっ
た。
【0092】また、液晶表示では、白黒のコントラスト
のよい表示が得られ、フルカラー表示も鮮明であった。
【0093】実施例4 実施例1のBCFの使用量を2537.1部、ビスフェ
ノールAの代わりにビスフェノールMの使用量を348
3.5部、p−tert−ブチルフェノール106.6
部とした以外は実施例1と同様にして、BCFとビスフ
ェノールMの比がモル比で40:60であるポリマー1
85部を得た(収率96%)。
【0094】このポリマーの比粘度は0.245、オリ
ゴマー含量は3.8%、Tgは143℃であった。この
ポリマーを実施例1と同様にして評価したところ、
[X]成分の含有率は0.15%、△Eは2.3、フィ
ルムb値は0.68と良好であった。
【0095】
【発明の効果】本発明の方法によれば、熱安定性の良好
な芳香族ポリカーボネート樹脂およびそれからの成形品
特に優れた熱安定性と光学フィルム特性をもった成形品
が得られるので、ランプレンズ、リフレクタ、プラセル
基板、位相差フィルム、光ディスク等に好適に用いられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA50 AF35 AF45 AH19 BA01 BB05 BB06 BC01 BC03 4J029 AA09 AB01 AC02 AD01 AE04 BB12A BB12C BB13A BB13B BC09 BD09B BD09C FC02 HC01 HC04A HC05A JA091 JC021 JC091 JF031 JF041

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも
    2モル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル
    フェニル)フルオレン(BCFと略称)からなる芳香族
    ポリカーボネート樹脂において、(A)ポリカーボネー
    ト樹脂中に含まれる本文に定義された方法によって測定
    された下記式[X−1]〜[X−3]で示される化合物の
    合計の含有率が0.30%以下であり、 【化1】 【化2】 【化3】 (B)その0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し
    た溶液の20℃において測定された比粘度が0.2〜2.
    0の範囲であることを特徴とする芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂。
  2. 【請求項2】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜99モ
    ル%がBCFである請求項1記載の芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、
    (a)BCF(成分a)および(b)2,2−ビス(4
    −ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−
    ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
    (4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
    1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,
    α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプ
    ロピルベンゼンよりなる群より選ばれた少なくとも1種
    の化合物(成分b)を全芳香族ジヒドロキシ成分の少な
    くとも80モル%とし、且つ成分aと成分bの割合がモ
    ル比で3:97〜95:5である請求項1記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂。
  4. 【請求項4】 前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、そ
    のガラス転移点が120℃〜280℃である請求項1記
    載の芳香族ポリカーボネート樹脂。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂から形成された成形品。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂から形成されたフィルム。
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