JP3380101B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JP3380101B2
JP3380101B2 JP33357895A JP33357895A JP3380101B2 JP 3380101 B2 JP3380101 B2 JP 3380101B2 JP 33357895 A JP33357895 A JP 33357895A JP 33357895 A JP33357895 A JP 33357895A JP 3380101 B2 JP3380101 B2 JP 3380101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは成形性およ
び離型性の改善された芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物および低複屈折のそれからの成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンにカーボネート前駆体物質を反応させ
て得られるポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、機
械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニア
リングプラスチックとして多くの分野に広く使用されて
いる。特に透明性に優れることから光学材料としての用
途も多い。しかしながら、かかるポリカーボネート樹脂
はベンゼン環の光学異方性から光弾性定数が大きく、従
って成形品の複屈折が大きい欠点があり、この改善が求
められている。またより溶融流動性に優れ、より転写性
や離型性の良い樹脂が求められている。
【0003】一方、特開平2−88634号公報には、
特定構造のジヒドロキシジフェニルアルカンおよびそれ
からの新規な芳香族ポリカーボネートについて記載され
ている。この公報に開示されている代表的例は、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンを全ジヒドロキシ成分の100〜2
モル%使用した芳香族ポリカーボネートである。具体的
には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンを100〜30モル
%の割合で使用したホモ・またはコ・ポリカーボネート
が示され、コポリマーの場合の共重合成分としては、ビ
スフェノールAが30、50、65または70モル%使
用されている。
【0004】上記公報には、得られた前記芳香族ポリカ
ーボネートは、従来のポリカーボネートの用途、例えば
電気分野、被覆および透明板ガラスの分野において使用
され、高い耐熱性において優れていることが開示されて
いる。しかしながら、かかる芳香族ポリカーボネート
は、溶融流動性が悪く良好な成形品が得られ難い。ま
た、他の種々の共重合体に関する記載はあるが、その具
体的事例は示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
用材料に適した芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた透
明性、機械物性を保持しつつ、成形性および離型性など
を向上した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物ならびに
低複屈折のそれからの成形品を提供することにある。本
発明者はこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結
果、特定の2種の二価フェノールを使用することにより
得られた芳香族ポリカーボネート共重合体に特定の脂肪
族アルコールと特定の飽和脂肪酸とのエステルが配合さ
れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が光学用材料と
して好適であることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%
が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分a)および
(b)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデ
ン)ジフェノール(成分b)であり、且つ成分aと成分
bの割合がモル比で99:1〜20:80の範囲で構成
された芳香族ポリカーボネート共重合体に、その共重合
体に対して0.01〜2重量%の割合の炭素原子数1〜
20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜3
0の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが配
合された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提供され
る。
【0007】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン(成分a)および4,4’−
(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール
(成分b)が全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも8
0モル%、好ましくは少なくとも90モル%であるのが
有利であり、典型的には、成分aおよび成分bによって
実質的に形成された芳香族ポリカーボネート共重合体で
あるのが望ましい。この成分aおよび成分bの割合が8
0モル%未満の場合、本発明の目的である光学用材料と
して不満足な性質となり好ましくない。
【0008】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
において、成分aと成分bとの割合がモル比で99:1
〜20:80の範囲であり、80:20〜20:80の
範囲が好ましく、80:20〜30:70の範囲がさら
に好ましい。成分aの割合が99モル%より多く、成分
bの割合が1モル%より少なくなると、得られた共重合
体の溶融流動性が悪く成形不良を生じ、光学的に良好な
成形品が得られ難くなる。また成分aの割合が20モル
%より少なく、成分bの割合が80モル%より多くなる
と、得られた共重合体の光弾性定数が大きくなり、また
ガラス転移温度も低下する傾向にあるので好ましくな
い。
【0009】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
において、成分aおよび成分bが全芳香族ジヒドロキシ
成分の少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも9
0モル%を占めることが望ましいが、他のジヒドロキシ
成分(成分c)を全芳香族ジヒドロキシ成分当り20モ
ル%以下、好ましくは10モル%以下含有していても特
に差支えない。
【0010】かかる成分cとしては、通常芳香族ポリカ
ーボネートのジヒドロキシ成分として使用されている、
成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例えばハ
イドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フ
ェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソ
プロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンな
どが挙げられ、なかでも2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパンおよび9,9−ビス(4>
−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
【0011】芳香族ポリカーボネート共重合体はそのポ
リマー0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、
20℃で測定した比粘度が0.2〜0.5のものが好まし
く、0.25〜0.4の範囲のものがより好ましい。比粘
度が0.2未満では成形品が脆くなり、0.5より高くな
ると溶融流動性が悪く、成形不良を生じ、光学的に良好
な成形品が得られ難くなる。
【0012】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、ASTM D−0570によって測定した吸水率が0.
2重量%以下であることが好ましく、0.18量%以下
であることがより好ましい。吸水率が0.2重量%を超
えると、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が
好適に用いられる光ディスク基板の表面上に金属膜を形
成させた光ディスクが吸水によって反りを生じ易くな
り、トラッキングエラーを起こし易くなるので好ましく
ない。特に好ましい吸水率は0.15重量%以下であ
る。
【0013】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、オリゴマー含量が10%以下であることが好まし
く、7%以下がより好ましく、特に5%以下が好まし
い。このオリゴマー含量の値は下記方法およびカラムを
使用して測定された値である。すなわち、東ソー(株)
製、TSKgelG2000HXLとG3000HXL
カラム各1本づつ直列に繋いで溶離液としてクロロホル
ムを用い、流量0.7ml/分で安定化した後、該芳香
族ポリカーボネート共重合体のクロロホルム溶液を注入
する方法で測定したGPCチャートのリテンションタイ
ムが19分以降のオリゴマーピーク面積の合計の全ピー
ク面積に対する割合がオリゴマー含量であり、この値が
10%以下であることが好ましく、7%以下であること
がより好ましい。オリゴマー含量が7%、殊に10%を
越えると、成形時に金型表面を汚染することがあるので
望ましくなく、その汚染はオリゴマー含量が多くなる程
顕著になる傾向がある。一方、オリゴマーは芳香族ポリ
カーボネート共重合体の製造過程で生じるものであり、
完全に零(0)にすることはできない。
【0014】オリゴマーは、前記した含量以下であれば
よく、その値を満足する限り、少割合含有されていても
差支えない。0.1%以上、より好ましくは0.15%以
上の少割合の含量でオリゴマーが存在すると、それ以下
のものと比べて溶融流動性が向上する。そのため、特に
好ましくはオリゴマー含量は0.15〜4%の範囲であ
る。
【0015】芳香族ポリカーボネート共重合体中のオリ
ゴマー含量を前記範囲に制御するには、大量のオリゴマ
ーが共重合体中に含まれないように重合を充分に完結す
ることが必要であり、また触媒および重合条件を適宣選
択することが要求される。もしオリゴマー含量が前記範
囲を越えている場合には、例えばオリゴマーを抽出など
の手段により除去する処置が採用される。この抽出は芳
香族ポリカーボネート共重合体の溶液(例えば塩化メチ
レン溶液)を、その共重合体の貧溶剤または非溶剤(例
えばアセトンまたはメタノール)中に滴下する方法、或
いはその共重合体を貧溶媒または非溶媒に浸漬して、オ
リゴマーを抽出する方法などの手段によって実施するこ
とができる。
【0016】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、光学的材料、殊に光ディスク基板として好適に使用
されるため、その中に未溶解粒子が或る一定量以上存在
しないことが望ましい。
【0017】すなわち、かかる芳香族ポリカーボネート
共重合体は、その20gを塩化メチレン1Lに溶解した
溶液をハイアックロイコ社製液体パーティクルカウンタ
ーモデル4100を用いたレーザーセンサー法にて、散
乱光をラテックス粒子の散乱光に換算する方法で求めた
径0.5μm以上の未溶解粒子が、該芳香族ポリカーボ
ネート共重合体1g当り25,000個以下、且つ1μ
m以上の未溶解粒子が500個以下であることが好まし
い。0.5μm以上の未溶解粒子が25,000個を超え
るか、または1μm以上の未溶解粒子が500個を超え
ると光ディスクに書き込まれた情報ピットに悪影響を及
ぼしエラーレートが大きくなるので好ましくない。さら
に好ましくは、0.5μm以上の未溶解粒子が20,00
0個以下、且つ1μm以上の未溶解粒子が200個以下
である。また、10μm以上の未溶解粒子は実質的に存
在すべきでない。
【0018】芳香族ポリカーボネート共重合体中におけ
る未溶解粒子の量を前記範囲とするためには、重合過程
および造粒過程において、未溶解粒子が混入しないか或
いは除去し得る手段を採用すべきである。そのような手
段としては、例えば操作をクリーンルームで行うこと、
未溶解粒子の除去装置の付いた造粒装置を使用すること
(具体的例としては、軸受け部に異物取り出し口を有す
る隔離室を設けたニーダーなど)或いは摺動部分に樹脂
粒子が触れない構造の装置(例えばスプレードライヤー
形式の造粒機)で造粒することなどがある。また、未溶
解粒子を除去する他の手段として、樹脂の溶液を目開き
の小さいフィルター(0.5〜1μm)によりろ過する
方法或いは樹脂を溶融して後、金属フィルター(10〜
40μm)により固体粒子を除去する方法などが採用さ
れる。
【0019】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ
自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分に
ホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質
を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造
方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0020】カーボネート前駆物質として、例えばホス
ゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存
在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物
またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒
としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどの
ハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のため
に例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩など
の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常
0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0021】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所
定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加
熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより
異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応は
その初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェ
ノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応
を促進するために通常エステル交換反応に使用される触
媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使
用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。
これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0022】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、前記したように芳香族ジヒドロキシ成分として、成
分aと成分b、必要であれば成分cの混合物を使用し、
それ自体公知のポリカーボネート形成の反応に従って製
造することができる。
【0023】その重合反応において、末端停止剤として
通常使用される単官能フェノール類を使用することがで
きる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用
する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤とし
て分子量調節のために一般的に使用され、また得られた
芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フェ
ノール類に基づく基によって封鎖されているので、そう
でないものと比べて熱安定性に優れている。
【0024】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アル
キル置換フェノールであって、下記一般式で表される単
官能フェノール類を示すことができる。
【0025】
【化1】
【0026】[式中、Aは水素原子または炭素数1〜
9、好ましくは1〜8の脂肪族炭化水素基を示し、rは
1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。] 前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0027】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基或いは脂肪族ポリエステル基を置換基
として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を
使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボ
ネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止
剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂
の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかり
でなく、基板としての物性も改良される。特に樹脂の吸
水率を低くする効果があり、好ましく使用される。これ
らは下記一般式[I−a]〜[I−h]で表される。
【0028】
【化2】
【0029】[各式中、Xは−R−O−、−R−CO−
O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合
または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪
族炭化水素基を示し、Tは単結合または上記Xと同様の
結合を示し、nは10〜50の整数を示す。Qはハロゲ
ン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価
の脂肪族炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示し、
Yは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、W1は水素原子、−CO−R1、−C
O−O−R2またはR3である、ここでR1、R2およびR
3は、それぞれ炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一
価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜
6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好
ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。l
は4〜20、好ましくは5〜10の整数を示し、mは1
〜100、好ましくは3〜60、特に好ましくは4〜5
0の整数を示し、Zは単結合または炭素数1〜10、好
ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W2
は水素原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価
の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6
の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ま
しくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
【0030】これらのうち好ましいのは、[I−a]お
よび[I−b]の置換フェノール類である。この[I−
a]の置換フェノール類としては、nが10〜30、特
に10〜26のものが好ましく、その具体例としては、
例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトデ
シルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシ
ルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノ
ールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げること
ができる。
【0031】また、[I−b]の置換フェノール類とし
てはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化
合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26の
ものが好適であって、その具体例としては、例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0032】前記一般式[I−a]〜[I−g]で示さ
れる置換フェノール類または置換安息香酸クロライドに
おいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ま
しく、その両者の混合物が好ましい。
【0033】前記単官能フェノール類は、得られた芳香
族ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくと
も5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導
入されることが望ましく、また単官能フェノール類は単
独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
【0034】また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂において、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、全芳香族ヒ
ドロキシ成分の80モル%以上である場合は、樹脂の流
動性が低下することがあり、そのため前記一般式[I−
a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置
換安息香酸クロライド類を末端停止剤として使用するこ
とが好ましい。
【0035】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、その光弾性定数の値が60×10-13cm2/dyn
以下、好ましくは50×10-13cm2/dyn以下のも
のが有利に利用される。光弾性定数の値が前記値よりも
大きい場合、光学用材料、殊に光ディスクとして適さな
くなる。芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのガラ
ス転移点が120℃以上が好ましく、130℃以上がよ
り好ましく、145℃以上がさらに好ましい。ガラス転
移点が低くなると光学用材料、殊にディスク基板として
の耐熱性が不足する。
【0036】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
は、カーボネート前駆物質としてホスゲンを使用し、ま
た溶媒として塩化メチレンなどの塩素系溶媒を使用した
場合、塩素が少なからず残存している。この塩素の含有
量が多いと成形金型が腐蝕したり、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物の熱安定性が低下したり、また光ディス
ク基板として用いた場合、その金属膜の腐蝕が起こった
りするので望ましくない。従って、塩素の含量は10p
pm以下、好ましくは7ppm以下、特に好ましくは5
ppm以下であるのが推奨される。ここで云う塩素含量
とは、芳香族ポリカーボネート共重合体を三菱化学製全
有機ハロゲン分析装置TOX10型を用いて燃焼法によ
り測定された値を意味するものとする。
【0037】本発明において、前記芳香族ポリカーボネ
ート共重合体に対して0.01〜2重量%の割合の炭素
原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子
数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エ
ステルが配合される。この一価または多価アルコールの
高級脂肪酸エステルを配合することにより、前記芳香族
ポリカーボネート共重合体の成形時の金型からの離型性
が改良され、ディスク基板の成形においては、離型荷重
が少なく離型不良によるディスク基板の変形、ピットず
れを防止できる。また、芳香族ポリカーボネート共重合
体の熱安定性が向上し、さらに溶融流動性が改善される
利点もある。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素
原子数1〜20、好ましくは2〜15の一価または多価
アルコールと炭素原子数10〜30、好ましくは12〜
20の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルで
ある。
【0038】かかる一価または多価アルコールとして
は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルア
ルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコー
ル、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エ
チル−1−ヘキサノール、デシルアルコール、ラウリル
アルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコ
ール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリト
ール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどが挙
げられ、飽和脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘ
ニン酸などの飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
【0039】また、かかる一価または多価アルコールと
飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとして
は、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソ
ルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリス
リトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテト
ラステアレート、プロピレングリコールモノステアレー
ト、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテー
ト、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロ
ピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートな
どが挙げられ、なかでもステアリン酸モノグリセリド、
ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレン
グリコールモノステアレートが好ましく用いられる。
【0040】かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステ
ルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対
して0.01〜2重量%であり、0.015〜0.5重量
%が好ましく、0.02〜0.2重量%が特に好ましい。
配合量が0.01重量%未満では上記効果が得られず、
2重量%を越えると金型表面の汚れの原因となるので好
ましくない。また、これらのアルコールと高級脂肪酸と
のエステルは単独でもしくは2種以上混合して使用して
もよい。
【0041】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、全光線透過率が少なくとも85%、好ましくは少
なくとも90%であることが望ましい。全光線透過率が
85%よりも低くなると、光学用材料、殊に光ディスク
基板として不適当であり好ましくない。また、芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物の斜め入射複屈折位相差の値
が60nm以下、好ましくは40nm以下であるのが適
当である。この斜め入射複屈折位相差の値が60nmを
越えると、光ディスク基板として使用した場合記録の読
み取りに支障を来すことになり不適当である。また芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性はMFRの値で
25g/10分以上が好ましく、30g/10分以上が
より好ましく、45g/10分以上がさらに好ましい。
溶融流動性が低くなると成形性に劣り光学的に良好な成
形品が得られ難くなる。
【0042】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、必要に応じて燐系熱安定剤を加えることができ
る。燐系熱安定剤としては、亜燐酸エステルおよび燐酸
エステルが好ましく使用される。亜燐酸エステルとして
は、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフ
ェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホス
ファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオク
チルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフ
ェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイ
ト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチル
ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t
ert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペン
タエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4
−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニ
レンホスホナイトなどの亜燐酸のトリエステル、ジエス
テル、モノエステルが挙げられる。これらのうち、トリ
スノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリ
ルペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
【0043】一方、熱安定剤として使用される燐酸エス
テルとしては、例えばトリブチルホスフェート、トリメ
チルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホス
フェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフ
ェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホス
フェートなどが挙げられ、なかでもトリメチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェートが好ましい。
【0044】前記燐系熱安定剤は、単独で使用してもよ
く、また二種以上を組合せて使用してもよい。燐系熱安
定剤は、芳香族ポリカーボネート共重合体に基づいて
0.0001〜0.05重量%の範囲で使用するのが適当
である。
【0045】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添
加することができる。その例としてはフェノール系酸化
防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレ
ングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、
トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−
ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,
5)ウンデカンなどが挙げられる。これら酸化防止剤の
好ましい添加量の範囲は芳香族ポリカーボネート共重合
体に対して、0.0001〜0.05重量%である。
【0046】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤な
どの添加剤を透明性を損なわない範囲で加えることがで
きる。また、他のポリカーボネート樹脂、熱可塑性樹脂
を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加すること
もできる。
【0047】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物を製造するには、任意の方法で行うことができる。例
えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、
バンバリーミキサー、混練ロール、押出機などで混合す
る方法が適宜用いられる。この芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成
形法、溶液キャスティング法など任意の方法により成形
される。
【0048】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、複屈折性、成形性および離型性に特に優れている
ので種々の成形品として利用することができる。殊に光
学ディスク、光学レンズ、液晶パネル、光カード、シー
ト、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラス
チック反射鏡、ディスプレーなどの光学部品の構造材料
または機能材料用途に適した光学用成形品として有利に
使用することができる。これらのうち、光ディスク基板
として特に有利に使用することができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%であ
る。なお、評価は下記の方法によった。比粘度: ポリマー0.7gを100mlの塩化メチレン
に溶解し20℃の温度で測定した。ガラス転移点(Tg): デュポン社製910型DSCに
より測定した。流動性(MFR): JIS K−7210に準拠して、
東洋精機製セミオートメルトインデクサーを用いて、2
80℃、荷重2.16kgで10分間に流出したポリマ
ー量(g)で示した。オリゴマー含量: 東ソー製GPCカラムTSKgelG
2000HXLとTSKgelG3000HXLを用
い、溶離液としてクロロホルムを流量0.7ml/分で
流しながら試料50mgをクロロホルム5mlに溶解し
た溶液を20μl注入する方法で求めたGPCチャート
のリテンションタイムが19分以降のオリゴマー成分の
ピーク面積の全ピーク面積に対する割合を%で示した。吸水率: ASTM D−0570によって測定した。
【0050】塩化メチレン未溶解粒子:該芳香族ポリカ
ーボネート樹脂20gを塩化メチレン1Lに溶解した溶
液をハイアックロイコ社製液体パーティクルカウンター
モデル4100を用いたレーザーセンサー法にて散乱光
をラテックス粒子の散乱光に換算する方法で求めた。全光線透過率: ASTM D−1003に準拠して日本
電色シグマ80を用いて測定した。光弾性定数: 理研計器(株)製の光弾性測定装置PA−
150により測定した。斜め入射複屈折位相差: オーク製エリプソメータADR
−200B自動複屈折測定装置を用い、入射角30度で
測定した。離型荷重: 上辺直径70mm、底辺直径63mm、深さ
20mm、厚み4mmの円筒状のカップを射出成形し、
その離型時の突出荷重をストレーンゲージで測定した。ピットずれ: 光ディスク表面にハロゲンランプを照射
し、目視にて曇りを観察し、曇り部分のSEM写真を8
000倍にて撮影した。
【0051】実施例1 温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水
929.2部、48%水酸化ナトリウム水溶液61.3部
を入れ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“ビスフェノ
ールTMC”と略称することがある)39部、4,4’
−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール
(以下“ビスフェノールM”と略称することがある)4
3.6部およびハイドロサルファイト0.17部を溶解し
た後、p−tert−ブチルフェノール1.51部と塩
化メチレン637.9部を加えトリエチルアミン0.09
部を添加した後攪拌下15〜25℃でホスゲン32.4
部を40分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了
後、48%水酸化ナトリウム水溶液15.6部を加え、
28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終
了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩
酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆
ど同じになったところで、軸受け部に異物取り出し口を
有する隔離室を設けたニーダーにて塩化メチレンを蒸発
して、ビスフェノールTMCとビスフェノールMの比が
モル比で50:50である無色のポリマー86.4部を
得た(収率97%)。
【0052】このポリマーの比粘度は0.286、オリ
ゴマー含量は2.3%、Tgは147℃、MFRは70
g/10分であった。また吸水率は0.15重量%であ
った。このポリマーにトリス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイトを0.003%、トリメ
チルホスフェートを0.005%、ペンタエリスリトー
ルテトラステアレートを0.05%加えてペレット化
し、住友重機製DISK5Mlllを用いて120mm
φ、1.2mm厚みのディスク基板に射出成形した。こ
のものの塩化メチレン未溶解粒子は0.5μm以上が1
5,000個/g、1μm以上が190個/gであっ
た。また全光線透過率は89%、光弾性定数は40×1
-13cm2/dyn、斜め入射複屈折位相差は21n
m、離型荷重は45kgで曇りの発生は見られなかっ
た。
【0053】実施例2 実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを46.8部、4,
4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノ
ールを34.9部とし、p−tert−ブチルフェノー
ルの代わりに炭素原子数17〜29(平均23)のアル
キルフェノール(オルソ置換体70%、パラ置換体30
%の混合物)を3.8部用いる以外は実施例1と同様に
してビスフェノールTMCとビスフェノールMの比がモ
ル比で60:40であるポリマー86.4部(収率94
%)を得た。このポリマーの比粘度は0.275、オリ
ゴマー含量は3.1%、Tgは133℃、MFRは68
g/10分であった。また吸水率は0.16重量%であ
った。
【0054】このポリマーにトリス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ホスファイトを0.003%、
トリメチルホスフェートを0.005%、ペンタエリス
リトールテトラステアレートを0.05%加えてペレッ
ト化し、実施例1と同様に成形し、実施例1と同様に評
価したところ、このものの塩化メチレン未溶解粒子は
0.5μm以上が16,000個/g、1μm以上が17
0個/gであった。また全光線透過率は89%、光弾性
定数は37×10-13cm2/dyn、斜め入射複屈折位
相差は19nm、離型荷重は45kgで曇りの発生は見
られなかった。
【0055】実施例3 実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを31.2部、4,
4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノ
ールを52.2部とした以外は実施例1と同様にして、
ビスフェノールTMCとビスフェノールMの比がモル比
で40:60であるポリマー86.4部を得た(収率9
6%)。このポリマーの比粘度は0.292、オリゴマ
ー含量は2.8%、Tgは135℃、MFRは90g/
10分であった。また吸水率は0.12重量%であっ
た。
【0056】このポリマーをペンタエリスリトールテト
ラステアレートに代えて、プロピレングリコールモノス
テアレートとした以外は実施例1と同様に成形し実施例
1と同様に評価したところ、このものの塩化メチレン未
溶解粒子は0.5μm以上が13,000個/g、1μm
以上が140個/gであった。また全光線透過率は89
%、光弾性定数は38×10-13cm2/dyn、斜め入
射複屈折位相差は22nm、離型荷重は40kgで曇り
の発生は見られなかった。
【0057】実施例4 実施例1と同様の装置にイオン交換水945部と48.
5%水酸化ナトリウム水溶液62.5部を仕込み、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン16部、9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレン9部(以下、“ビスフェノー
ルフルオレン”と略称することがある)、4,4’−
(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール6
2.1部を溶解させた後塩化メチレン649部を加え、
p−tert−ブチルフェノール1.15部とトリエチ
ルアミン0.09部を加えて激しく攪拌しながら20℃
でホスゲン33部を約40分を要して吹き込み反応せし
めた。次いで内温を30℃に上げ48.5%水酸化ナト
リウム水溶液16部を加えて1時間攪拌を続けて反応を
終了した。
【0058】このものを実施例1と同様に精製してビス
フェノールTMCとビスフェノールMとビスフェノール
フルオレンの比がモル比で20:70:10であるポリ
マーを得た。このポリマーの比粘度は0.301、オリ
ゴマー含量は3.9%、MFRは64g/10分、Tg
は146℃であった。また吸水率は0.12重量%であ
った。
【0059】このポリマーに、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイトを0.003%、トリメチルホスフェ
ートを0.005%、炭素原子数10〜20の脂肪族モ
ノカルボン酸のトリグリセリド70%と炭素原子数13
〜20の脂肪族アルコールの高級脂肪酸エステル30%
の混合物(理研ビタミン(株)製リケマールS−90
0)を0.06%加えて、実施例1と同様に成形し評価
したところ、塩化メチレン未溶解粒子は0.5μm以上
が16,000個/g、1μm以上が180個/gであ
った。また全光線透過率は89%、光弾性定数は40×
10-13cm2/dyn、斜め入射複屈折位相差は38n
m、離型荷重は40kgで、曇りの発生は見られなかっ
た。
【0060】比較例1 実施例1において、ペンタエリスリトールテトラステア
レートを0.005%とした以外は、実施例1と同様に
してディスク基板を成形し、評価した。この基板の全光
線透過率は89%、光弾性定数は39×10-13cm2
dyn、斜め入射複屈折位相差は22nm、離型荷重は
200kgと大きく、ディスク基板表面に曇りが発生し
ており、その曇り部分のSEM写真でピットずれが確認
された。
【0061】比較例2 ビスフェノールAより得られた比粘度が0.283、T
gが143℃、MFRが65g/10分であるポリカー
ボネート樹脂をペンタエリスリトールテトラステアレー
トを加えない以外は実施例1と同様にディスク基板を成
形し、実施例1と同様に評価したところ、吸水率は0.
31重量%、全光線透過率は89%、光弾性定数は82
×10-13cm2/dyn、斜め入射複屈折位相差は82
nm、離型荷重は280kgと大きく、ディスク基板表
面に曇りが認められ、その曇り部分のSEM写真からピ
ットずれが起こっていることが確認された。
【0062】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、低複屈折の成形品を与え、かつ成形性および離
型性に優れているので、光学ディスクのピットのような
微細な成形ずれを生じないため、光学ディスク、光学レ
ンズ、光カードなどの各種光学用成形品として好適に用
いられる。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも
    80モル%が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
    ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分
    a)および(b)4,4’−(m−フェニレンジイソプ
    ロピリデン)ジフェノール(成分b)であり、且つ成分
    aと成分bの割合がモル比で99:1〜20:80の範
    囲で構成された芳香族ポリカーボネート共重合体に、そ
    の共重合体に対して0.01〜2重量%の割合の炭素原
    子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数
    10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エス
    テルが配合された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分aと成分bの割合がモル比で80:
    20〜20:80である請求項1記載の芳香族ポリカー
    ボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 該芳香族ポリカーボネート共重合体は、
    その0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液
    の20℃において測定された比粘度が0.2〜0.5の範
    囲である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 該芳香族ポリカーボネート共重合体は、
    本文に定義された吸水率が0.2重量%以下である請求
    項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 該芳香族ポリカーボネート共重合体は、
    本文に定義された方法によって測定されたオリゴマー含
    量が10%以下である請求項1記載の芳香族ポリカーボ
    ネート樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 該芳香族ポリカーボネート共重合体は、
    その塩化メチレン溶液中で測定された未溶解粒子がポリ
    カーボネート共重合体1g当り粒子換算直径0.5μm
    以上のものが25,000個以下、且つ1μm以上のも
    のが500個以下である請求項1記載の芳香族ポリカー
    ボネート樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂組成物より形成された光学用材料。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂組成物より形成された光ディスク基板。
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