JP2001348494A - 光学用樹脂組成物および光記録媒体基板 - Google Patents

光学用樹脂組成物および光記録媒体基板

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JP2001348494A
JP2001348494A JP2000173461A JP2000173461A JP2001348494A JP 2001348494 A JP2001348494 A JP 2001348494A JP 2000173461 A JP2000173461 A JP 2000173461A JP 2000173461 A JP2000173461 A JP 2000173461A JP 2001348494 A JP2001348494 A JP 2001348494A
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optical
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bis
resin composition
dye
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JP2000173461A
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Akihiro Sakamoto
昭浩 坂本
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠性に優れ、書き込みや読み取り異常を発
生しにくく、着色による樹脂劣化も少ない、着色された
光学用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A成分)および着色剤
(B成分)からなり、B成分のアルカリ金属含有量が5
0ppm未満であり、またB成分のトルエン不溶分が1
%未満である着色剤を、A成分100重量部に対し、B
成分0.001〜5.0重量部を含有することを満足す
る光学成形用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学用樹脂組成物
に関する。詳しくは、アルカリ金属含有量が一定量未満
の着色剤を使用することにより、好ましくは更にトルエ
ン不溶分が一定量未満の着色剤を使用することにより、
光学用樹脂成形品に要求される高度な光学的特性を満足
し、意匠性や他の機能をも有する光学用樹脂成物を提供
するものである。更に詳しくはDVD、CD−Rといっ
た高機能の光記録媒体基板に対して、意匠性や記録保存
性などの機能を付与可能な光学用樹脂組成物および光記
録媒体基板に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の光学的機能を有する光学用樹脂成
形品は、通常無色透明または無色に近い透明を有するも
のである。しかし、用途によっては着色された成形品が
使用される場合がある。特にCD(コンパクトディス
ク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)に代表
される光記録媒体において近年着色された製品が増加し
ている。かかる着色の目的は意匠性や記録膜の長期保存
性などにある。
【0003】従来光記録媒体に着色を行う方法として
は、特開平1−102505号公報には、特定染料から
なるオレンジ色の光記録媒体が、特開平2−33742
号公報および特開平8−124212号公報には黒色の
光記録媒体が提案されている。
【0004】光学用樹脂成形品の場合は、極めて微小な
異物や変質も問題にされる分野である。特開平8−12
4212号公報には液状着色剤を使用する場合に染料の
大きさが50μm以上のものが存在すると光記録媒体の
特性に影響を与えることが記載されている。
【0005】一方で光学用樹脂成形品はその精密さを著
しく向上させており、そのため極めて高い成形温度が求
められるようになっている。そこでは材料中に含まれる
成分の化学的影響も重要となる。樹脂への添加成分の増
加はそれ自体の劣化だけでなく、他の成分との相互作用
によって不安定要因を増大させるものであり、基本的に
好ましいことではない。したがって着色剤の配合におい
ても劣化を引き起こす因子を極力低減することが今後の
精密さを向上させた光学用樹脂成形品には求められる。
しかしながら上記公報に記載された発明はかかる点を十
分に考慮したものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、着色された
DVD基板やCD−R基板などの着色された光学用樹脂
成形品を製造するのに適した光学用樹脂を提供すること
を目的とするものである。本発明者はかかる目的を達成
するため鋭意検討した結果、着色剤に含まれる特定の成
分が少ない着色剤を使用することで、光記録媒体基板へ
の書き込みや読み取り異常が少なく、着色による樹脂劣
化も少なく、色相の優れた成形品を得られる事を見出し
た。これらの知見より本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、着色された光
学用樹脂成形品を得るための光学用樹脂組成物であっ
て、熱可塑性樹脂(A成分)および着色剤(B成分)か
らなり、B成分のアルカリ金属含有量が50ppm未満
であることを特徴とする光学用樹脂組成物に関するもの
である。好ましくはB成分のトルエン不溶分が1%未満
である光学用樹脂組成物を提供するものであり、より好
ましくはA成分100重量部に対し、B成分0.001
〜5.0重量部である光学用樹脂組成物、特に着色され
た光記録媒体基板に好適な樹脂組成物を提供するもので
ある。
【0008】本発明の光学用樹脂組成物とは、光学用樹
脂成形品を形成する樹脂組成物を指す。光学用樹脂成形
品としては、光記録媒体基板、レンズ、光フィルター、
光ファイバー、光導波路、光プリズム、マイクロレンズ
などを挙げることができるが、特に光記録媒体基板が本
発明の対象として好適である。
【0009】更に本発明の光記録媒体としては、コンパ
クトディスク(CD、CD−R、CD−RW等)、マグ
ネト・オプティカルディスク(MO、MD等)、デジタ
ルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−V
ideo、DVD−Audio、DVD−R、DVD−
RAM等)で代表される光ディスク、および光カードを
挙げることができる。特に光ディスクが好適な対象であ
る。
【0010】本発明の光学用樹脂成形品は、種々の目的
に応じて着色剤により着色されたものである。かかる目
的としては意匠性の付与、樹脂劣化の防止、光記録媒体
基板への書き込みや読み取り異常が発生しにくい事など
を挙げることができる。
【0011】本発明の光学用樹脂成形品を形成する熱可
塑性樹脂としては、光学用途に使用可能な各種の樹脂が
挙げられる。具体的には例えば、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、水
添ポリスチレン樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性
ポリアリレート樹脂である。さらに本発明においてより
好適であるのは高い成形温度が必要な芳香族ポリカーボ
ネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリア
リレート樹脂である。中でも芳香族ポリカーボネート樹
脂が本発明の光学用樹脂成形品を形成する熱可塑性樹脂
として好適である。尚、芳香族ポリカーボネート樹脂の
詳細については後述する。
【0012】非晶性ポリオレフィン樹脂としては、三井
化学(株)製のAPO樹脂、JSR(株)製のアート
ン、日本ゼオン(株)製のゼオネックスなどを挙げるこ
とができる。
【0013】本発明のB成分として使用される着色剤と
しては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジ
ゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染
料、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系
染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、
フタロシアニン系染料等の有機系色剤やカーボンブラッ
クが挙げられ、これらの中でも透明性の有機系色剤が好
ましい。更に好ましくは、アンスラキノン系染料、ペリ
ノン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料、クマリ
ン系染料、チオインジゴ系染料をあげることができる。
【0014】B成分の染料の具体例としては、CI S
olvent Red 52、CISolvent R
ed 149、CI Solvent Red 15
0、CI Solvent Red 151、CI S
olvent Red 168、CI Solvent
Red 191、CI Solvent Red20
7、CI Disperse Red 22、CI S
olvent Blue 94、CI Solvent
Blue 97、CI SolventViolet
13、CI Solvent Violet 14、
CI Disperse Violet 28、CI
Solvent Green 3、CI Solven
t Green 5、CI Solvent Gree
n28として知られるアンスラキノン系染料、CI V
at Orange 9、CI Vat Orange
2、CI Vat Orange 4として知られる
ピランスロン類アンスラキノン系染料、イソジベンザン
スロン類アンスラキノン系染料、CI Vat Ora
nge 1、CI Vat Yellow4として知ら
れるジベンズピレンキノン類アンスラキノン系染料など
を挙げることができる。チオインジゴ系染料としてはC
I Vat Red 1、CI Vat Red 2、
CI Vat Red 41、CI Vat Red
47などを挙げることができる。ペリレン系染料として
は、CI Vat Red15、CI Vat Ora
nge 7、CI Solvent Green5およ
びBASF社製LUMOGENシリーズとして F O
range240、F Red300、F Yello
w083、F Red339などを挙げることができ
る。クマリン系染料としては、バイエル社製MACRO
LEX 10GN(CI Disperse Yell
ow 232)、MACROLEXRed G、キノリ
ン系染料としては、CI Solvent Yello
w33、CI Solvent Yellow 15
7、CI DisperseYellow 54などを
挙げることができる。ペリノン系染料としては、CI
Solvent Red 135、CI Solven
t Red 179、CI Solvent Oran
ge 60などを挙げることができる。含イオウ複素環
系染料としては、CI Solvent Orange
63、CISolvent Yellow 98など
を挙げることができる。またフタロシアニン系染料とし
てはCI Pigment Blue 15:1、CI
Pigment Green 7、CI Pigme
nt Green 36などを挙げることができる。こ
れらは1種または2種以上を併用でき、目的に応じた着
色を行うことが可能である。
【0015】これら着色剤は、アルカリ金属含有量が5
0ppm未満である。好ましくはアルカリ金属含有量が
20ppm未満である。更に好ましくはアルカリ金属含
有量が10ppm未満である。本発明のアルカリ金属と
はアルカリ金属イオン、およびアルカリ金属原子のいず
れも含むものである。但し実質的にはアルカリ金属イオ
ン含有量であるといえる。かかるアルカリ金属含有量は
着色剤をイオンクロマトグラフィー測定することにより
得られる値である。
【0016】特にナトリウムの含有量は低いことが好ま
しい。ナトリウム含有量は30ppm未満、好ましく1
0ppm未満、特に好ましくは5ppm未満である。
【0017】この含有アルカリ金属が得られた光記録媒
体基板中に多く存在すると、光記録媒体基板への書き込
みや読み取り異常が発生しやすい。これはアルカリ金属
の影響で光学的異物が発生している可能性がある。本発
明では着色剤中のアルカリ金属量が極めて少量であるも
のを使用することにより、かかる書き込みや読み取り異
常の発生をより低減できることを見出した。
【0018】着色剤自体が樹脂中で少量であることを考
えると極めて少量のアルカリ金属が影響を与えることに
なる。かかる原因は明確ではないものの、着色剤中に含
まれるアルカリ金属と反応性を有する基(水酸基、ハロ
ゲン原子基、アミノ基、アミノ結合、エステル結合な
ど)が、光学用樹脂組成物を製造する工程や光学用樹脂
成形品を成形する工程などの熱履歴を経ることで、劣化
因子を生成し、これが熱可塑性樹脂の劣化をより引き起
こしやすくなるためではないかと考えられる。
【0019】アルカリ金属含有量の少ない着色剤を得る
方法は特に限定しないが、例えば着色剤を製造する際、
製造工程において水洗浄処理する方法が挙げられる。特
にイオン交換水、蒸留水などナトウリムイオン含有量が
極めて少ない水を用いて水洗浄処理を繰り返し行う方法
が望ましい。
【0020】更に着色剤は、トルエン不溶分の含有量が
1%未満であることが好ましい。より好ましくはトルエ
ン不溶分の含有量が0.5%未満であり、更に好ましく
はトルエン不溶分の含有量が0.1%未満である。この
トルエン不溶分の含有量が1%以上になると樹脂の透明
性が劣るようになる。着色剤自体が鮮やかさに欠けるこ
と、および樹脂の熱劣化を生じ易いことが関係している
ものと思われる。
【0021】このトルエン不溶分は、着色剤を製造する
際に触媒として使用する金属類や、着色剤製造原料など
が酸化された物である場合が多い。
【0022】トルエン不溶分の少ない着色剤を得る方法
は着色剤の製造方法によっても違いがあるため特に限定
しないが、塩酸や酢酸、硫酸等で酸洗浄処理する方法が
挙げられる。更にトルエン不溶分の少ない着色剤は、着
色剤を溶媒に溶解したのち再結晶することで得られる。
これら着色剤は、酸洗浄処理した後に前述した水洗浄処
理を行うことも可能である。
【0023】本発明の着色された光学用樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂100重量部に対し、着色剤を0.001
〜5.0重量部、好ましくは0.02〜2重量部、更に
好ましくは0.02〜1重量部を含んでなるものをその
主たる対象とするものである。着色剤が0.001重量
部未満の場合には、着色による明確な認識が難しく好ま
しくない。着色剤が5重量部を超える場合には、光学用
樹脂成形品としての特性に影響を与え好ましくない。即
ちかかる着色剤含有量であれば、通常明確に着色された
こと認識され、また着色剤に要求される機能を十分に発
揮し得る。
【0024】更に本発明の光学用樹脂組成物は、含有す
るアルカリ金属含有量が0.5ppm以下とすることが
好ましい。より好ましくは0.3ppm、更に好ましく
0.2ppmとする場合である。かかるアルカリ金属含
有量は熱可塑性樹脂中のアルカリ金属含有量を極力低減
すると共に、着色剤中のアルカリ金属含有量の低減、ま
たはその配合量により調整をすることができる。
【0025】本発明の光学用樹脂組成物中には、各種の
熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、光安定剤などが含まれ
ていてもよい。
【0026】離型剤としては、各種の離型剤が使用可能
であるが、好ましくは脂肪酸エステルである。かかる脂
肪酸エステルとしては、炭素数6〜34の脂肪族飽和一
価カルボン酸と一価または二価以上の多価アルコールと
のエステルを挙げることができる。かかる脂肪族飽和一
価カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプ
リン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミ
リスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリ
ン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキシン酸、ベ
ヘン酸、およびモンタン酸などが挙げられる。
【0027】具体的には一価アルコールと飽和脂肪酸の
エステルとして、ステアリルステアレート、パルミチル
パルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。
【0028】具体的には多価アルコールと飽和脂肪酸と
の部分エステルまたは全エステルとして、ステアリン酸
モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリ
ン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、
ベヘン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノス
テアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレー
ト、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロ
ピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェ
ネート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキ
シルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステ
アレート等のジペンタエリスリトール全エステルまたは
部分エステル等が挙げられる。
【0029】更に、好ましくは、炭素数10〜24、更
に好ましくは炭素数16〜22の脂肪族飽和一価カルボ
ン酸と二価以上の多価アルコールとの部分エステルを挙
げることができる。二価以上の多価アルコールとして
は、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエ
リスリトールなどを挙げることができる。特に好ましく
はステアリン酸とグリセリンの部分エステルである。
【0030】離型剤は、離型剤全量100重量%に対し
て、上記脂肪酸エステルが90重量%以上であることが
好ましく、更に好ましくは95重量%以上、特に好まし
くは実質的に脂肪酸エステルのみからなる場合である。
【0031】更に上記脂肪酸エステルの酸価は3以下が
好ましく、2以下がより好ましい。グリセリンモノステ
アレートの場合には、酸価1.5以下、純度95重量%
以上が好ましい。更に好ましいグリセリンモノステアレ
ートは酸価1.2以下、純度が98重量%以上のもので
ある。脂肪酸エステルの酸価の測定は、公知の方法を用
いることができる。
【0032】かかる離型剤の組成割合としては、光学用
樹脂組成物100重量%中、0.005〜0.5重量%
が好ましく、より好ましくは0.01〜0.2重量%で
ある。
【0033】熱安定剤としてはリン系安定剤を好ましく
挙げることができる。かかるリン系安定剤としては、ホ
スファイト系、ホスホナイト系、およびホスフェート系
のいずれも使用可能である。
【0034】本発明におけるホスファイト系安定剤とし
ては、さまざまなものを用いることができる。具体的に
は例えば一般式(1)
【0035】
【化1】
【0036】[式中R1は、水素または炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアル
カリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはこ
れらのハロ、アルキルチオ(アルキル基は炭素数1〜3
0)またはヒドロキシ置換基を示し、3個のR1は互い
に同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき、
また2価フェノール類から誘導されることにより環状構
造も選択できる。]で表わされるホスファイト化合物で
ある。
【0037】また、一般式(1)においてより好ましい
態様としては、以下の一般式(2)
【0038】
【化2】
【0039】[式中R2およびR3は、水素または炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基な
いしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル
基を示し、R2およびR3は同時に水素ではなく、互いに
同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき
る。]で表わされるホスファイト化合物を挙げることが
できる。
【0040】また、一般式(3)
【0041】
【化3】
【0042】[式中R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ない
しアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル
基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜
25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリー
ル基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基
は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキ
ル基で置換されているもののいずれも選択できる。]で
表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
【0043】また、一般式(4)
【0044】
【化4】
【0045】[式中R6、R7は炭素数12〜15のアル
キル基である。尚、R6およびR7は互いに同一または互
いに異なるのいずれの場合も選択できる。]で表わされ
るホスファイト化合物を挙げることができる。
【0046】ホスホナイト系安定剤としては下記一般式
(5)で表わされるホスホナイト化合物、および下記一
般式(6)で表わされるホスホナイト化合物を挙げるこ
とができる。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】[式中、Ar1、Ar2は炭素数6〜20の
アリール基ないしアルキルアリール基、または炭素数1
5〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換ア
リール基を示し、4つのAr1は互いに同一、または互
いに異なるのいずれも選択できる。または2つのAr2
は互いに同一、または互いに異なるのいずれも選択でき
る。]
【0050】本発明においては、上記ホスファイト化合
物およびホスホナイト化合物のうち、より好ましいリン
系の安定剤として、上記一般式(2)で示されるホスフ
ァイト化合物(E1成分)、および上記一般式(5)
(E2成分)および上記一般式(6)(E3成分)で示
されるホスホナイト化合物を挙げることができ、これら
は1種もしくは2種以上を併用することができ、より好
ましくは上記一般式(2)で示されるホスファイト化合
物をかかるE成分100重量%中、少なくとも5重量%
含む場合である。
【0051】上記一般式(1)に対応するホスファイト
化合物における好ましい具体例としては、ジフェニルイ
ソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホ
スファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイ
ト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ
(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。より好まし
い上記一般式(2)に対応する好ましい具体例として
は、トリフェニルホスファイト、トリス(ジメチルフェ
ニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホス
ファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホ
スファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト等があげられ、トリス(ジ
アルキル置換フェニル)ホスファイトが好ましく、トリ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトがよ
り好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイトが特に好ましい。上記ホスファイ
ト化合物は1種、または2種以上を併用することができ
る。
【0052】上記一般式(3)に対応するホスファイト
化合物における好ましい具体例としては、ジステアリル
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル
−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリト
ールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステ
アリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイトを挙げることができる。かかるホスフ
ァイト化合物は1種、または2種以上を併用することが
できる。
【0053】上記一般式(4)に対応するホスファイト
化合物における好ましい具体例としては、4,4’−イ
ソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファ
イトを挙げることができる。
【0054】上記一般式(5)に対応するホスホナイト
化合物における好ましい具体例としては、テトラキス
(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラ
キス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,
3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n
−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホ
ナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テ
トラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’
−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジ
ホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイ
トがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト
は、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−1成分)、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−2成
分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト
(E2−3成分)の1種もしくは2種以上を併用して使
用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物であ
る。また、3種の混合物の場合その混合比は、E2−1
成分、E2−2成分およびE2−3成分を重量比で10
0:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:
40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0055】上記一般式(6)に対応するホスホナイト
化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−
iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニル
ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニ
ル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェ
ニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホス
ホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニ
ル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェ
ニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナ
イトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイト
は、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェ
ニル−フェニルホスホナイト(E3−1成分)および、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−
フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を
併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混
合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、
重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範
囲がより好ましい。
【0056】一方ホスフェート系安定剤としては、トリ
ブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ
クロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノ
オルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホス
フェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェ
ート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることが
でき、好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0057】本発明の光学用樹脂成形品中には、酸化防
止の目的で通常知られた酸化防止剤が含まれていてもよ
い。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリ
トールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、
ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピ
オネート)エステル、グリセロール−3−ステアリルチ
オプロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス
−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジ
オールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス
[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロシンナミド)、
3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシ−ベンジ
ルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソ
シアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−
[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカ
ンなどが挙げられる。
【0058】上記熱安定剤は、本発明の光学用樹脂成形
品100重量部あたり、0.0001〜0.1重量部で
含まれることが好ましく、より好ましくは0.0005
〜0.05重量部、更に好ましくは0.001〜0.0
3重量部である。また上記酸化防止剤は、本発明の光学
用樹脂成形品100重量部あたり、0.001〜0.0
5重量部が好ましい。
【0059】本発明の光学用樹脂組成物の製造について
は各種の方法を取ることができる。例えば(1)必要な
原材料を予備混合し、その後溶融混練する方法、(2)
着色剤を高濃度に含有するマスター剤を作成しその他の
原材料と予備混合し、その後溶融混練する方法、および
(3)マスター剤とその他の原材料とを独立して供給
し、その後溶融混練する方法などである。
【0060】溶融混練された光学用樹脂組成物はペレッ
トとして得られた後に光学用樹脂成形品に形成される
か、または溶融混練したものを直接光学用樹脂成形品に
成形することができる。また本発明の光学用樹脂組成物
をマスターペレットとして着色剤を含まない光学用樹脂
と混合することにより光学用樹脂成形品を得ることも可
能である。また上記方法において着色剤のマスター剤を
作成する場合には、他の添加剤なども同時に混合するこ
とが可能である。
【0061】尚、上記光学用樹脂組成物の製造は、かか
る光学特性を阻害する異物の存在を極力少なくする環境
で行われることが好ましい。本発明の樹脂組成物には高
度な光学的特性が要求されるためである。かかる好まし
い樹脂組成物を得るためには、原料として異物量の少な
いものを使用する、押出機やペレタイザー等の製造装置
をフィルターなどを通して得られた清浄な空気の雰囲気
内に設置する、冷却バス用の冷却水についてもイオン交
換樹脂などを通して得られた金属イオンなどの異物量の
少ないものを使用する、並びに原料の供給ホッパー、供
給流路、および得られたペレットの貯蔵タンク等につい
てもより清浄な空気等で満たすなどの手段を挙げること
ができる。
【0062】また溶融混練に使用する装置としては、ス
クリュー式の溶融混練装置が好ましい。例えば単軸押出
機、2軸押出機、スクリュー混練式の射出成形機など一
般に使用されているものが使用可能である。ペレットの
製造には特に好ましくはベント付きの2軸押出機であ
り、ベントから真空排気できるものが好ましい。
【0063】溶融混練前の原料は、タンブラー、リボン
ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、
混練ロールなどで予め混合されるか、または計量器を用
いて独立に溶融混練機に供給することができる。これら
を組合わせて使用することも可能である。
【0064】本発明の樹脂組成物から成形品を得る方法
としては従来公知の種々の方法が使用でき、例えば射出
成形、押出成形、圧縮成形などの方法で所望の形状に成
形することができる。本発明の光学用樹脂組成物はCD
やDVDに代表されるディスク形状の光記録媒体の他、
光カード、レンズ、光フィルター、マイクロレンズなど
に好適なものである。すなわち、本発明の光学用樹脂組
成物は、流動性、耐熱性、特定の光線透過性に優れ、更
に意匠性や識別性に優れるため、特に各種ビデオソフト
用、コンピューターソフト用、ゲーム機ソフト用の光記
録媒体基板用として好適である。
【0065】以下に本発明の光学用樹脂成形品を形成す
る樹脂として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂の詳細
について説明する。本発明で使用する芳香族ポリカーボ
ネート樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネート前
駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させ
て得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相
エステル交換法により重合させたもの、または環状カー
ボネート化合物の開環重合法により重合させて得られる
ものである。
【0066】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0067】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましい。更に、ビスフェノ
ールAの単独重合体、並びに1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロ
キシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピ
ルベンゼンから選択される1種以上のモノマーとの共重
合体が好ましく使用され、特にビスフェノールAの単独
重合体、または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとα,
α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプ
ロピルベンゼンとの共重合体が好ましい。
【0068】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0069】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防
止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は
三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポ
リカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の
二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネ
ート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0070】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0071】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0072】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0073】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール
または低級アルキル置換フェノールであって、下記一般
式(7)で表される単官能フェノール類を示すことがで
きる。
【0074】
【化7】
【0075】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0076】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(8)および(9)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0077】
【化8】
【0078】
【化9】
【0079】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0080】かかる一般式(8)の置換フェノール類と
してはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノール等を挙げることができる。
【0081】また、一般式(9)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0082】末端停止剤は、得られたポリカーボネート
樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少
くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。よ
り好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以
上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する
末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることが
より好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止
剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が
10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0083】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0084】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0085】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0086】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0087】さらにかかる重合反応において触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤
の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−ト
ルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フ
ェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレ
ン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニ
ル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−
フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニ
ウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘ
キシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチ
ルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアン
モニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメ
チルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルア
ンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチ
ルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラ
メチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の
化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0088】失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはア
ンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量とし
ては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの
割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネ
ート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より
好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは
0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0089】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量(M)で10,000〜22,000が好まし
く、12,000〜20,000がより好ましく、1
3,000〜18,000が更に好ましく、13,50
0〜16,500が特に好ましい。かかる粘度平均分子
量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は光学用樹脂成
形品として十分な強度が得られ、また光学歪みや複屈折
を極力低減することが可能となる。また、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。
【0090】本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレ
ン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃
で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入
して求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0091】着色剤の場合と同様、ポリカーボネート樹
脂中の光記録媒体の場合、樹脂中に含まれるアルカリ金
属量を低減することも重要である。上記の如くポリカー
ボネート樹脂はその製造において触媒としてアルカリ金
属化合物を使用するのが通常だからである。したがって
界面重縮合の場合は十分な水洗を行い、溶融エステル交
換法の場合にはかかる触媒の配合量に十分に留意して、
ポリカーボネート樹脂自体のアルカリ金属元素の含有量
を0.5ppm以下とすることが好ましい。より好まし
くはかかる含有量を0.3ppm以下、特に好ましくは
0.2ppm以下としたポリカーボネート樹脂を使用す
ることが好ましい。
【0092】
【発明の実施の形態】以下に、実施例をあげて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何
ら限定されるものではない。また、実施例中の「部」は
特に断りのない限り重量部を意味する。評価項目および
方法は以下の通りである。
【0093】(1)着色剤中のアルカリ金属量の測定 着色剤中のアルカリ金属量は、イオンクロマトグラフ測
定器(日本ダイオネクス(株)製、DX−100型)に
より測定した。
【0094】(2)着色剤のトルエン不溶分の測定 着色剤3.0gをビーカー中で25℃の一級試薬トルエ
ン100mlに溶解する。溶解液を「ADVATEC
Glass fiber filter GF75
55mmφ」で濾過し、その濾過残さ量を測定した。
【0095】(3)BLERの測定 CDディスクサンプルに対して、各サンプルのBLER
をBLER測定機(SONY製・CDplayer c
otrol unit CDS−3000)により測定
した。なお、表3のC1AVEとはC1エラー(C1コ
ードで訂正出来るランダムエラー)の1秒間あたりの平
均値である。
【0096】(4)光ディスクの外観・色相 評価用サンプルとして製造した光ディスクを目視により
色相評価を行った。
【0097】(5)粘度平均分子量の測定 ディスク基板から採取したサンプルを25倍重量の塩化
メチレンに溶解し、かかる可溶分をセライト濾過により
採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレ
ン可溶分の固体を得た。かかる固体0.7gを塩化メチ
レン100mlに溶解した溶液から、20℃における比
粘度を、オストワルド粘度計を用いて求め、本文規定の
式に従い、粘度平均分子量を算出した。
【0098】[実施例1〜4および比較例1、2]表2
記載の各成分を以下の要領で製造し、各種の評価を行っ
た。実施例1、3および比較例1、2については表1記
載の着色剤成分とA成分のうちのパウダー成分とを表2
記載の割合でスーパーフローターにより均一に混合しマ
スター剤とした。一方実施例2および4については、A
成分のうち10重量部と着色剤を5%の濃度で溶解した
アセトン溶液とを混合し、スーパーフローターにより均
一に混合すると共に攪拌熱でアセトン成分を揮発させて
固体状のマスター剤を得た。
【0099】A成分の残りと上記マスター剤とを別々の
計量器に投入し、径30mmφベント式二軸押出機
[(株)日本製鋼所TEX−30XSST]を用いて、
所定の割合になるように2台の計量器の吐出量を設定し
た。A成分の残りとマスター剤はいずれも押出機最後部
の投入口より投入し、真空ポンプを使用し0.5kPa
の真空下において、シリンダー温度270℃で溶融混練
し、得られたストランドを冷却用の水で冷却した後ペレ
タイザーでペレット化した。尚、ペレタイズ直後のペレ
ットの温度は約129℃であった。
【0100】尚、押出機のダイス部分には焼結金属のフ
ィルターを設置し、5μm以上の異物が1gあたり20
個以下となるようにした。上記の機器はすべてフィルタ
ーを通した清浄な空気が循環する1.005気圧の雰囲
気下に置き、ストランド冷却用の水は1μmのフィルタ
ーを通し、更にイオン交換膜を通したイオン交換水を使
用した。得られたペレットをクリーンオーブン中で12
0℃、5時間の熱風乾燥を行った。
【0101】一方、射出成形機(住友重機械工業(株)
製DISK3 M3)にCD専用の金型を取り付け、こ
の金型にピットの入ったニッケル製のCD用スタンパー
を装着し、得られたペレットを自動搬送にて成形機のホ
ッパに投入し、シリンダー温度340℃、金型温度75
℃、射出速度100mm/sec、保持圧力3.9MP
aの条件で直径120mm、肉厚1.2mmの基板を成
形し、この基板にアルミニウム膜をスパッタしCDディ
スクを得た。これらのCDディスクの評価結果を表2に
示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】[実施例5および比較例3]表3記載の各
成分を実施例1と同様の方法でペレット化を行った。金
型温度を125℃とした以外は実施例1と同様の方法
で、ペレットを射出成形機のホッパーに自動搬送し、デ
ィスク基板を成形し、これに色素系記録層および金属反
射膜を形成してCD−Rディスクを作成した。得られた
CD−Rディスクの評価結果を表3に示す。
【0105】
【表3】
【0106】[実施例6および比較例4]実施例1と同
様の方法で、着色剤マスターペレットと主原料のペレッ
トとを射出成形機のホッパーに自動搬送した。一方、射
出成形機にDVD専用の金型を取り付け、この金型にア
ドレス信号などの情報が入ったニッケル製のDVD−R
OM用スタンパーを装着した。そして上記ペレットをシ
リンダー温度380℃、金型温度115℃、射出速度3
00mm/sec、保持圧力3.9MPaの条件で、直
径120mm、肉厚0.6mmの光ディスク基板を得
た。その後基板にアルミニウム膜をスパッタし、UV硬
化型接着剤をスピンコートにより塗布接着させて2枚貼
り合わせ光ディスクを得た。得られたDVD−ROMデ
ィスクの評価結果を表4に示す。
【0107】
【表4】
【0108】更に、かかるDVDディスクについて、P
Iエラーのエラー率の測定をデッキ(パルステック社製
DDU−1000)で行ったところ、本発明の実施例で
得られたDVDディスクは、通常の透明基板のディスク
と同等の特性を示す一方、比較例の着色剤は高いエラー
率を示した。
【0109】なお表1〜表4記載の各成分を示す記号お
よび項目は下記の通りである。 (A成分) PC−1:光学記録媒体用ポリカーボネート樹脂ペレッ
ト(帝人化成(株)製、「パンライト AD−550
3」、かかるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は
15,300であった) PC−2:粘度平均分子量が15,200のアミン触媒
を用いないホスゲン法により得られたビスフェノールA
ポリカーボネート樹脂パウダー(末端停止剤としてp−
tert−ブチルフェノールを使用し、安定剤としてト
リス−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスファ
イトを0.0025重量%含有する) PC−3:末端水酸基濃度34モル%、粘度平均分子量
が15,300のエステル交換触媒として原料ビスフェ
ノールA1モルに対してビスフェノールAの2ナトリウ
ム塩を2×10-7モルを用いた溶融エステル交換法によ
り得られたビスフェノールAポリカーボネート樹脂ペレ
ット(離型剤として酸価0.8かつ純度97.5%のス
テアリン酸モノグリセリドを0.055重量%、および
安定剤としてトリス−2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニルホスファィトを0.0025重量%含有する)
【0110】(B成分) 赤染料−1:下記式(10)で示されるペリノン系赤染
料。かかる染料は1,8−ジアミノナフタレンおよびナ
フタレン−2.3−ジカルボン酸無水物を、酢酸中で反
応させ、その後硫酸水溶液中での洗浄およびイオン交換
水での洗浄を繰り返してろ別し得られた。 赤染料−2:下記式(10)で示されるペリレン系赤染
料。かかる染料は1,8−ジニトロナフタレンをキシレ
ン中で還元した後、その粗生成物をナフタレン−2,3
−ジカルボン酸無水物と縮合反応させ、その後イオン交
換水での洗浄を繰り返してろ別し得られた。 赤染料−3:下記式(10)で示されるペリレン系赤染
料。かかる染料は1,8−ジニトロナフタレンをキシレ
ン中で還元した後、その粗生成物をナフタレン−2,3
−ジカルボン酸無水物と縮合反応させ、工業用水での水
洗を1回行ってろ別し得られた。
【0111】
【化10】
【0112】青染料−1:下記式(11)で示されるア
ンスラキノン系青染料。かかる染料は1,4−ジアミノ
アンスラキノンを酢酸中で反応後に硫酸水溶液中での洗
浄およびイオン交換水での洗浄を繰り返してろ別し得ら
れた。 青染料−2:下記式(11)で示されるアンスラキノン
系青染料。かかる染料は青染料−1と同様の反応後に硫
酸水溶液中での洗浄を行わず、および工業用水での水洗
を1回行い別し得られた。
【0113】
【化11】
【0114】黄染料−1:下記式(12)で示されるク
マリン系黄色染料。かかる染料は反応に無水酢酸ナトリ
ウムを使用し、常法によって反応後、ジオキサンによる
再結晶を十分に行い、その後イオン交換水での洗浄を繰
り返してろ別し得られた。 黄染料−2:下記式(12)で示されるクマリン系黄色
染料。黄染料−1と同様に合成し、ジオキサンによる再
結晶を行わず、その後工業用水での洗浄を1回行いろ別
し得られた。
【0115】
【化12】
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂に、含ま
れるアルカリ金属およびトルエン不溶分などの特定物質
量が一定量未満である着色剤を使用することにより、光
記録媒体基板への書き込みや読み取り異常が発生しにく
く、着色による樹脂劣化も少なく、色相の優れた光記録
媒体を製造することが可能となる。すなわち、高密度の
光記録媒体である各種DVDまたは記録層の保護が重要
なCD−R等の光記録媒体用の樹脂組成物として好適で
ある。かかる点から従来意匠性の乏しかった光学用樹脂
成形品の分野、特に今後多大な需要が予想される高密度
光記録媒体の分野において格別な工業的効果を奏するも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 526 G11B 7/24 526P 526R Fターム(参考) 4F071 AA02 AA50 AA81 AE09 AF05 AF05Y AF34 AH19 BA01 BB05 BC01 BC03 4J002 BB001 BC031 BG021 CF001 CF161 CG001 CG011 CG021 FD060 FD070 FD096 FD160 GP01 GP02 GS02 5D029 KA17 KA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A成分)および着色剤
    (B成分)からなり、B成分のアルカリ金属含有量が5
    0ppm未満であることを特徴とする光学用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 B成分のトルエン不溶分が1%未満であ
    る請求項1に記載の光学用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 A成分100重量部に対し、B成分0.
    001〜5.0重量部を含んでなる請求項1および2の
    いずれかに記載の光学用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 B成分がアンスラキノン系染料、ペリノ
    ン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料、クマリン
    系染料、およびチオインジゴ系染料から選択される少な
    くとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    光学用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 光学用樹脂組成物が実質的に芳香族ポリ
    カーボネート樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の光学用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に光学用樹
    脂組成物を用いて成形された光記録媒体基板。
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