JP2002015462A - 貼り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物、およびそれからなる光記録媒体基板 - Google Patents

貼り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物、およびそれからなる光記録媒体基板

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JP2002015462A
JP2002015462A JP2000255209A JP2000255209A JP2002015462A JP 2002015462 A JP2002015462 A JP 2002015462A JP 2000255209 A JP2000255209 A JP 2000255209A JP 2000255209 A JP2000255209 A JP 2000255209A JP 2002015462 A JP2002015462 A JP 2002015462A
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JP
Japan
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optical recording
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component
bis
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Application number
JP2000255209A
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English (en)
Inventor
Akihiro Sakamoto
昭浩 坂本
Tomohiro Nakatsuchi
智博 中土
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 意匠性に優れ、且つその種類、用途などが瞬
時に判断しうると共に、特に、紫外線硬化型の接着層に
より貼り合わせた光記録媒体に好適な着色を施した光記
録媒体基板用着色樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A成分)および蛍光着色
剤(B成分)からなる樹脂組成物であって、かつ該樹脂
組成物からなる0.6mm厚みの板状成形品において、
波長350nm〜400nmの光線に対する最大光線透
過率が15%以上、400nm〜650nmの光線に対
する最小光線透過率が30%以下、且つ波長650nm
の光線に対する光線透過率が70%以上であることを満
足する貼り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光によっ
て光学的に情報信号の読み取りを行う光記録媒体基板用
樹脂組成物に関するものである。詳しくは、意匠性に優
れ、且つその種類、用途などが瞬時に判断しうると共
に、紫外線硬化型の接着層により貼り合わせた光記録媒
体に好適な着色を施した光記録媒体基板用着色樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでオーディオやコンピューターの
プログラム、データなどをデジタル記録するには、コン
パクトディスク(以下、CDとする)が使用されてい
た。近年、より大容量のデータをデジタル記録するた
め、CDよりも大容量の記録媒体であるデジタルバーサ
タイルディスク(以下、DVDとする)が使用されるよ
うになった。かかるDVDとして具体的にははDVD−
ビデオ、DVD−オーディオ、DVD−ROM、DVD
−R、DVD−RAMなどを挙げることができる。
【0003】CDは樹脂基板に凸凹ピットを形成し、そ
の上に反射層を形成してなる信号記録部より、レーザー
光によって基板を通して光学的に情報信号を読み取る。
一方DVDは大容量の記録を可能にするため、2枚の樹
脂基板に凸凹ピットを形成し、その2枚を通常紫外線硬
化樹脂で貼り合わせ、その間に反射層を形成してなる信
号記録部より、やはり基板を通してレーザー光によって
光学的に情報信号を読み取る。
【0004】ここで2枚の樹脂基板を紫外線硬化樹脂で
貼り合わせるには、樹脂基板が紫外線硬化樹脂を硬化さ
せるために必要な光線を透過する必要がある。すなわち
樹脂基板が波長350nm〜400nmの光線の一部を
透過する必要がある。
【0005】また同時にDVDから情報信号を読み取る
ためには、樹脂基板が特定のDVD読み取り光線(波長
650nm)を透過する必要がある。すなわち樹脂基板
が波長650nm付近の光線を透過する必要がある。
【0006】一方近年は樹脂基板を着色することによ
り、光記録媒体自体の意匠性を高め、メーカー各社の独
自性を打ち出し、それにより商品のアイデンティティー
強化を図ることが盛んである。更にDVDは大容量の記
録媒体であるため、従来の記録媒体以上に多くの種類や
用途での使用が予想および期待され、かかる場合に誤使
用などを防止するために何らかの識別手段を付与するこ
とが要望され、例えば種類、用途毎にDVDに異なる着
色を施せば、使用者が瞬時に判断できると期待される。
特に現在のいわゆるダミーディスクによる片面のみの読
み取り方式から、今後DVDの本来の特性である両面読
み取り方式化が広がると、記録媒体の識別は従来の印刷
方式が困難となり、将来的にディスク自体を着色する要
求は極めて高いものがある。
【0007】更に上記のDVDの着色については、DV
Dの透明な保護ケースやDVD再生装置の透明カバー部
からでも瞬時に認識できたり、またその透明カバー部か
らディスクの薄い側面においても認識できるような極め
て鮮やかな着色が要望されている。
【0008】従来光記録媒体に着色を行う方法として
は、特開平1−102505号公報には、特定染料から
なるオレンジ色の光記録媒体が、特開平2−33742
号公報および特開平8−124212号公報には黒色の
光記録媒体が提案されている。しかしながらこれらの公
報に提案された光記録媒体は、DVDに要求される特性
までをも考慮したものではなかった。
【0009】特公平4−13778号公報には、赤色レ
ーザー光(波長780nm)の透過率が85%以上であ
り、光吸収端が600nm付近にある光ディスクが開示
されているが、かかる公報は厚みが0.6mmのディス
クを貼り合わせた場合において十分な識別性を有し、か
つ650nmでの十分な透過率を有する光ディスクおよ
びそれを形成する樹脂組成物を十分に開示するものでは
なかった。
【0010】また特公平7−111785号公報には、
樹脂基板中に蛍光色素を含有してなる光ディスクが記載
され、かかるディスクが着色されていると共に、良好な
レーザー光(波長780nm)の透過性があることを開
示しているが、かかる公報は貼り合わせにおいて必要な
紫外域光線の透過や、波長650nmの光線の透過を十
分に考慮したものではなく、かかる特性を十分に満足す
る樹脂組成物を開示するものではなかった。
【0011】更に特開平9−161320号公報には、
両面で異なる透過スペクトルを有する基板を貼り合わせ
た光記録媒体が提案されているものの、かかる基板は各
面の識別を目的とするものであり、すなわちほとんど無
色に近い程度の着色で十分であるため、意匠性を意識し
た明確な着色を施す場合の問題点を認識するものであな
かった。すなわち例えばポリカーボネート樹脂に従来使
用されているシアニン系染料などを配合し、かつ貼り合
わせ光記録媒体に要求される特性を満足しようとした場
合、無色透明に近いか、非常に淡い着色しかできかなっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、意匠性に優
れ、且つその種類、用途などが瞬時に判断しうると共
に、特に、紫外線硬化型の接着層により貼り合わせた光
記録媒体に好適な着色を施した貼り合わせ型光記録媒体
基板用着色樹脂組成物を提供することを目的とするもの
である。本発明者等はかかる目的を達成するため鋭意検
討した結果、特定の条件を満足する着色樹脂組成物が本
発明の目的を達成できるものであることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
(A成分)および着色剤(B成分)からなる樹脂組成物
であって、かつ該樹脂組成物からなる0.6mm厚みの
板状成形品において、波長350nm〜400nmの光
線に対する最大光線透過率が15%以上、400nm〜
650nmの光線に対する最小光線透過率が30%以
下、且つ波長650nmの光線に対する光線透過率が7
0%以上であることを満足する貼り合わせ型光記録媒体
基板用着色樹脂組成物、およびそれから形成される貼り
合わせ型光記録媒体基板にかかるものである。
【0014】本発明のA成分である熱可塑性樹脂として
は、芳香族ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィ
ン樹脂、アクリル樹脂、水添ポリスチレン樹脂、非晶性
ポリエステル樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂などから
選択される熱可塑性樹脂を好ましく挙げることができ、
より好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂、または非
晶性ポリオレフィン樹脂である。非晶性ポリオレフィン
樹脂としては、三井化学(株)製のAPO樹脂、JSR
(株)製のアートン、日本ゼオン(株)製のゼオネック
スなどを挙げることができる。特に芳香族ポリカーボネ
ート樹脂が好ましい。尚、芳香族ポリカーボネート樹脂
の詳細については後述する。
【0015】すなわち本発明によれば、好ましい態様と
して、A成分として芳香族ポリカーボネート樹脂または
非晶性ポリオレフィン樹脂、およびB成分として着色剤
からなる樹脂組成物であって、かつ該樹脂組成物からな
る0.6mm厚みの板状成形品において、波長350n
m〜400nmの光線に対する最大光線透過率が15%
以上、400nm〜650nmの光線に対する最小光線
透過率が30%以下、且つ波長650nmの光線透過率
が70%以上であることを満足する貼り合わせ型光記録
媒体基板用着色樹脂組成物が提供される。
【0016】本発明のB成分として使用される着色剤と
しては、上記A成分および着色剤からなる樹脂組成物で
あって、かつ該樹脂組成物からなる0.6mm厚みの板
状成形品において、波長350nm〜400nmの光線
に対する最大光線透過率として15%以上、400nm
〜650nmの光線に対する最小光線透過率が30%以
下、且つ波長650nmの光線に対する光線透過率が7
0%以上であることを満足する光記録媒体基板用着色樹
脂組成物を形成するものである。
【0017】より好ましくは波長350〜400nmで
の最大光線透過率が30%以上、更に好ましくは40%
以上、特に好ましくは50%以上を満足するものであ
る。
【0018】一方上限としては70%以下であるものが
より好ましい。記録層部分の劣化を抑制することが可能
だからである。特に本発明では意匠性を高めるため、カ
バーの一部を透明にしたり、内部に光源を設ける場合が
あり、劣化の可能性は高くなる。
【0019】また波長400nm〜650nmでの最小
光線透過率について、該透過率が30%以下、好ましく
20%以下、より好ましくは15%以下である。かかる
場合には十分に認識可能な色味が生ずる。
【0020】更に波長650nmでの光線透過率につい
ては、該透過率が70%以上であることが好ましく、よ
り好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、
特に好ましくは88%以上を満足するものである。かか
る光線透過率が70%未満の場合には読み取り時のノイ
ズやエラーが大きくなる可能性がある。
【0021】尚、ここで光線透過率を測定するに使用す
る板状成形品は、厚みが0.6mmであり、その表面が
平滑なものである。またその作成は熱可塑性樹脂を射出
成形、押出成形などすることにより得ることが可能であ
る。
【0022】上記条件を満足する好ましいB成分として
は、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系
染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料な
どの各種蛍光染料を挙げることができる。かかる中でも
より好ましくはペリレン系、クマリン系、またはチオイ
ンジゴ系の蛍光染料を挙げることができ、特にペリレン
系染料が好ましい。
【0023】更に、かかる蛍光染料と共に少量の他の色
剤を適宜目的とする色の調色のため配合してもよい。他
の色剤としては、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン
系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキ
サジン系染料、イソインドリノン系染料、フタロシアニ
ン系染料等の有機系色剤やカーボンブラックが挙げられ
る。
【0024】更に、本発明においてB成分としてより好
ましい着色剤としては、赤色、オレンジ色、または黄色
の蛍光染料を主成分とする着色剤を挙げることができ
る。すなわち、B成分において赤色、オレンジ色、また
は黄色の蛍光染料が80重量%以上、より好ましく90
重量%以上を占めるものを好ましく挙げられる。
【0025】かかる好ましいB成分の染料としては、C
I Solvent Red 52、CI Solve
nt Red 149、CI Solvent Red
150として知られるアンスラキノン系染料、CI
Vat Orange 9、CI Vat Orang
e 2、CI Vat Orange 4として知られ
るピランスロン類アンスラキノン系染料、として知られ
るイソジベンザンスロン類アンスラキノン系染料、CI
Vat Orange 1、CI VatYello
w 4として知られるジベンズピレンキノン類アンスラ
キノン系染料などを挙げることができる。チオインジゴ
系染料としてはCI Vat Red2、CI Vat
Red 41、CI Vat Red 47などを挙
げることができる。ペリレン系染料としては、CI V
at Red 15、CIVat Orange 7、
およびBASF社製LUMOGENシリーズとしてF
Orange240、F Red300、F Yell
ow083、FRed339などを挙げることができ
る。クマリン系染料としては、バイエル社製MACRO
LEX Fluoresent Yellow 10G
N(Solvent Yellow160:1)、MA
CROLEX Fluorescent Red Gな
どを挙げることができる。これらは1種または2種以上
を併用でき、目的に応じた着色を行うことが可能であ
る。かかる中でも耐熱性の良好なペリレン系染料を主体
とすることが好ましい。
【0026】尚、着色剤は十分に均一な分散を達成する
ため粒径の細かいものが好ましく、より好ましくは50
μm以下の粒径を有するものである。かかる着色剤は各
種フィルターによる選別により得ることができる。
【0027】上記より本発明によればその好ましい態様
として、A成分として熱可塑性樹脂、およびB成分とし
て赤色、オレンジ色、または黄色の蛍光染料を主成分と
する着色剤、すなわち該蛍光染料が80重量%以上を占
める着色剤からなる樹脂組成物であって、かつ該樹脂組
成物からなる0.6mm厚みの板状成形品において、波
長350nm〜400nmの光線に対する最大光線透過
率が15%以上、400nm〜650nmの光線に対す
る最小光線透過率が30%以下、且つ波長650nmの
光線透過率が70%以上であることを満足する貼り合わ
せ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物を挙げることがで
きる。さらに好ましい態様としては、該蛍光染料が、ペ
リレン系、クマリン系、およびチオインジゴ系から選択
される少なくとも1種の蛍光染料である貼り合わせ型光
記録媒体基板用着色樹脂組成物を挙げることができる。
【0028】本発明のA成分およびB成分の割合として
は、好ましくはA成分100重量部に対して、B成分が
0.01〜0.45重量部である。かかる範囲において
は、光記録媒体にした場合に十分な彩度を有し、意匠性
に富んだ着色が可能であると共に、貼り合わせ型光記録
媒体としての必要な特性を十分に満足することが可能で
あり、特に紫外線硬化樹脂による貼り合わせを無色の場
合と同様の条件で行うことが可能となる。B成分の割合
としてより好ましくはA成分100重量部に対して0.
03〜0.4重量部である。
【0029】本発明の光記録媒体用着色樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲で各種の熱安定剤、
離型剤、帯電防止剤、光安定剤などを更に配合すること
が可能である。
【0030】離型剤としては、ポリカーボネート樹脂に
使用される各種の離型剤が使用可能であるが、好ましく
は脂肪酸エステルである。かかる脂肪酸エステルとして
は、炭素数6〜34の脂肪族飽和一価カルボン酸と一価
または二価以上の多価アルコールとのエステルを挙げる
ことができる。かかる脂肪族飽和一価カルボン酸として
は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン
酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタ
デカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン
酸、ノナデカン酸、アラキシン酸、ベヘン酸、およびモ
ンタン酸などが挙げられる。
【0031】具体的には一価アルコールと飽和脂肪酸の
エステルとして、ステアリルステアレート、パルミチル
パルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。
【0032】具体的には多価アルコールと飽和脂肪酸と
の部分エステルまたは全エステルとして、ステアリン酸
モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリ
ン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、
ベヘン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノス
テアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレー
ト、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロ
ピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェ
ネート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキ
シルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステ
アレート等のジペンタエリスリトール全エステルまたは
部分エステル等が挙げられる。
【0033】更に、好ましくは、炭素数10〜24、更
に好ましくは炭素数16〜22の脂肪族飽和一価カルボ
ン酸と二価以上の多価アルコールとの部分エステルを挙
げることができる。DVDでは極めて高温での成形が必
要とされる。かかる部分エステルは高温時の成形におけ
る蛍光染料の特性の低下を抑制することができる。二価
以上の多価アルコールとしては、例えばエチレングリコ
ール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどを挙げる
ことができる。特に好ましくはステアリン酸とグリセリ
ンの部分エステルである。
【0034】離型剤は、離型剤全量100重量%に対し
て、上記脂肪酸エステルが90重量%以上であることが
好ましく、更に好ましくは95重量%以上、特に好まし
くは実質的に脂肪酸エステルのみからなる場合である。
【0035】更に上記脂肪酸エステルの酸価は3以下が
好ましく、2以下がより好ましい。グリセリンモノステ
アレートの場合には、酸価1.5以下、純度95重量%
以上が好ましい。更に好ましいグリセリンモノステアレ
ートは酸価1.2以下、純度が98重量%以上のもので
ある。脂肪酸エステルの酸価の測定は、公知の方法を用
いることができる。
【0036】かかる離型剤の組成割合としては、A成分
100重量部に対して、0.005〜0.5重量部が好
ましく、より好ましくは0.01〜0.2重量部であ
る。
【0037】更に本発明の光記録媒体基板用着色樹脂組
成物の製造については各種の方法を取ることができる。
例えば(1)必要な原材料を予備混合し、その後溶融混
練する方法、(2)着色剤を高濃度に含有するマスター
剤を作成しその他の原材料と予備混合し、その後溶融混
練する方法、および(3)マスター剤とその他の原材料
とを独立して供給し、その後溶融混練する方法などであ
る。
【0038】更にかかるマスター剤としては、ペレット
状、粉粒体状、液状の各種の形態を使用することができ
る。ペレット状の場合には、マスター剤の作成に必要な
着色剤およびその他の原材料とを溶融混練し、その後ペ
レタイズされてマスター剤が作成される。通常溶融押出
されたストランドの切断により作成されるが、シートの
切断や、また粉砕による作成も可能である。
【0039】粉粒体状の場合には、第1にマスター剤の
作成に必要な着色剤およびその他の原材料をヘンシェル
ミキサー等の粉体混合機を使用して混合したものが挙げ
られる。混合機としては特にスーパーフローターが好ま
しい。かかる着色剤は通常の固体状の他、他の媒体に溶
解または分散させた液体状であってもよい。更に液体状
の場合には、混合時の発生熱や、混合機のジャケット温
度の設定により、媒体を蒸発させてもよい。また液体状
の場合には、かかる液体をフィルター濾過し必要な異物
や分散不良成分を取り除くことが好ましい。
【0040】粉粒体状の場合には、第2に液体状の更に
高濃度のマスター剤とその他の原材料の溶液から溶媒成
分を同時に除去する方法が挙げられる。高濃度のマスタ
ー剤とその他の原材料の溶液は混合して、または独立し
て溶媒除去装置内に供給することができる。例えばスプ
レードライヤーを使用してマスター剤の粉粒体を得るこ
とができる。
【0041】液状のマスター剤は、着色剤が液状の成分
中に溶解または分散されたものである。かかる液状の成
分としては各種のものが使用できるが、例えば流動パラ
フィンなどを挙げることができる。液状のマスター剤で
は、かかる液状成分が樹脂組成物中に残留する場合の影
響を十分に考慮する必要がある。
【0042】したがって上記のマスター剤の中では、好
ましくはペレット状または粉粒体状のものが挙げられ
る。
【0043】溶融混練された光記録媒体基板用着色樹脂
組成物はペレットとして得られた後に光記録媒体基板に
形成されるか、または溶融混練したものを直接光記録媒
体に成形することができる。また上記方法において着色
剤のマスター剤を作成する場合には、他の添加剤なども
同時に混合することが可能である。
【0044】尚、上記光記録媒体基板用着色樹脂組成物
の製造は、かかる光学特性を阻害する異物の存在を極力
少なくする環境で行われることが好ましい。本発明の樹
脂組成物には高度な光学的特性が要求されるためであ
る。かかる好ましい樹脂組成物を得るためには、原料と
して異物量の少ないものを使用する、押出機やペレタイ
ザー等の製造装置をフィルターなどを通して得られた清
浄な空気の雰囲気内に設置する、冷却バス用の冷却水に
ついてもイオン交換樹脂などを通して得られた金属イオ
ンなどの異物量の少ないものを使用する、並びに原料の
供給ホッパー、供給流路、および得られたペレットの貯
蔵タンク等についてもより清浄な空気等で満たすなどの
手段を挙げることができる。
【0045】また溶融混練に使用する装置としては、ス
クリュー式の溶融混練装置が好ましい。例えば単軸押出
機、2軸押出機、スクリュー混練式の射出成形機など一
般に使用されているものが使用可能である。ペレットの
製造には特に好ましくはベント付きの2軸押出機であ
り、ベントから真空排気できるものが好ましい。
【0046】溶融混練前の原料は、タンブラー、リボン
ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、
混練ロールなどで予め混合されるか、または計量器を用
いて独立に供給することができる。これらを組合わせて
使用することも可能である。
【0047】本発明の樹脂組成物から成形品を得る方法
としては従来公知の種々の方法が使用でき、例えば射出
成形、押出成形、圧縮成形などの方法で所望の形状に成
形することができる。本発明の光記録媒体基板用着色樹
脂組成物はDVDに代表されるディスク形状の光記録媒
体の他、光カードなどの板状成形体にも好適なものであ
り、その他光記録媒体機能を有する貼り合わせ型記録媒
体各種の態様において好適なものである。すなわち、本
発明の光記録媒体基板用着色樹脂組成物は、流動性、耐
熱性、特定の光線透過性に優れ、更に意匠性や識別性に
優れるため、特に各種ビデオソフト用、コンピューター
ソフト用、ゲーム機ソフト用の光記録媒体基板用として
好適なものである。
【0048】以下に本発明のA成分として好適な芳香族
ポリカーボネート樹脂の詳細について説明する。本発明
で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂とは、通常二価
フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶
融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カー
ボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合
させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合
法により重合させて得られるものである。
【0049】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0050】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノ
ールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
とビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベ
ンゼンとの共重合体が好ましく使用され、特にビスフェ
ノールAの単独重合体、または1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サンとα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましい。
【0051】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0052】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防
止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は
三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポ
リカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の
二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネ
ート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0053】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0054】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0055】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0056】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール
または低級アルキル置換フェノールであって、下記一般
式(1)で表される単官能フェノール類を示すことがで
きる。
【0057】
【化1】
【0058】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。)
【0059】上記単官能フェノール類の具体例として
は、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルが挙げられる。
【0060】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0064】かかる一般式(2)の置換フェノール類と
してはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノール等を挙げることができる。
【0065】また、一般式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0066】末端停止剤は、得られたポリカーボネート
樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少
くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。よ
り好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以
上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する
末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることが
より好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止
剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が
10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0067】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0068】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0069】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0070】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0071】さらにかかる重合反応において触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤
の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−ト
ルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フ
ェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレ
ン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニ
ル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−
フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニ
ウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘ
キシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチ
ルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアン
モニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメ
チルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルア
ンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチ
ルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラ
メチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の
化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0072】失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはア
ンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量とし
ては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの
割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネ
ート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より
好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは
0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0073】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量(M)で10,000〜22,000が好まし
く、12,000〜20,000がより好ましく、1
3,000〜18,000が更に好ましく、13,50
0〜16,500が特に好ましい。かかる粘度平均分子
量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は光学用材料と
して十分な強度が得られ、また成形時の溶融流動が良好
であり、成形歪みが発生せず好ましい。また、芳香族ポ
リカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えな
い。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100
mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解し
た溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求め
る。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0074】また本発明の樹脂組成物には熱安定剤を含
むことが好ましく、特により好ましくはリン系の安定剤
を含有する場合である。かかるリン系安定剤としては、
ホスファイト系、ホスホナイト系、およびホスフェート
系のいずれも使用可能である。
【0075】本発明におけるホスファイト系安定剤とし
ては、さまざまなものを用いることができる。具体的に
は例えば一般式(4)
【0076】
【化4】
【0077】[式中R1は、水素または炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアル
カリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはこ
れらのハロ、アルキルチオ(アルキル基は炭素数1〜3
0)またはヒドロキシ置換基を示し、3個のR1は互い
に同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき、
また2価フェノール類から誘導されることにより環状構
造も選択できる。]で表わされるホスファイト化合物で
ある。
【0078】また、一般式(4)においてより好ましい
態様としては、以下の一般式(5)
【0079】
【化5】
【0080】[式中R2およびR3は、水素または炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基な
いしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル
基を示し、R2およびR3は同時に水素ではなく、互いに
同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき
る。]で表わされるホスファイト化合物を挙げることが
できる。
【0081】また、一般式(6)
【0082】
【化6】
【0083】[式中R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ない
しアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル
基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜
25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリー
ル基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基
は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキ
ル基で置換されているもののいずれも選択できる。]で
表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
【0084】また、一般式(7)
【0085】
【化7】
【0086】[式中R6、R7は炭素数12〜15のアル
キル基である。尚、R6およびR7は互いに同一または互
いに異なるのいずれの場合も選択できる。]で表わされ
るホスファイト化合物を挙げることができる。
【0087】ホスホナイト系安定剤としては下記一般式
(8)で表わされるホスホナイト化合物、および下記一
般式(9)で表わされるホスホナイト化合物を挙げるこ
とができる。
【0088】
【化8】
【0089】
【化9】
【0090】[式中、Ar1、Ar2は炭素数6〜20の
アリール基ないしアルキルアリール基、または炭素数1
5〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換ア
リール基を示し、4つのAr1は互いに同一、または互
いに異なるのいずれも選択できる。または2つのAr2
は互いに同一、または互いに異なるのいずれも選択でき
る。]
【0091】本発明においては、上記ホスファイト化合
物およびホスホナイト化合物のうち、より好ましいリン
系の安定剤として、上記一般式(5)で示されるホスフ
ァイト化合物(E1成分)、および上記一般式(8)
(E2成分)および上記一般式(9)(E3成分)で示
されるホスホナイト化合物を挙げることができ、これら
は1種もしくは2種以上を併用することができ、より好
ましくは上記一般式(1)で示されるホスファイト化合
物をかかるE成分100重量%中、少なくとも5重量%
含む場合である。
【0092】上記一般式(4)に対応するホスファイト
化合物における好ましい具体例としては、ジフェニルイ
ソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホ
スファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイ
ト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ
(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。より好まし
い上記一般式(5)に対応する好ましい具体例として
は、トリフェニルホスファイト、トリス(ジメチルフェ
ニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホス
ファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホ
スファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト等があげられ、トリス(ジ
アルキル置換フェニル)ホスファイトが好ましく、トリ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトがよ
り好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイトが特に好ましい。上記ホスファイ
ト化合物は1種、または2種以上を併用することができ
る。
【0093】上記一般式(6)に対応するホスファイト
化合物における好ましい具体例としては、ジステアリル
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル
−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリト
ールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステ
アリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイトを挙げることができる。かかるホスフ
ァイト化合物は1種、または2種以上を併用することが
できる。
【0094】上記一般式(7)に対応するホスファイト
化合物における好ましい具体例としては、4,4’−イ
ソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファ
イトを挙げることができる。
【0095】上記一般式(8)に対応するホスホナイト
化合物における好ましい具体例としては、テトラキス
(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラ
キス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,
3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n
−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホ
ナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テ
トラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’
−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジ
ホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイ
トがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト
は、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−1成分)、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−2成
分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト
(E2−3成分)の1種もしくは2種以上を併用して使
用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物であ
る。また、3種の混合物の場合その混合比は、E2−1
成分、E2−2成分およびE2−3成分を重量比で10
0:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:
40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0096】上記一般式(9)に対応するホスホナイト
化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−
iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニル
ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニ
ル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェ
ニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホス
ホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニ
ル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェ
ニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナ
イトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイト
は、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェ
ニル−フェニルホスホナイト(E3−1成分)および、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−
フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を
併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混
合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、
重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範
囲がより好ましい。
【0097】一方ホスフェート系安定剤としては、トリ
ブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ
クロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノ
オルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホス
フェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェ
ート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることが
でき、好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0098】上記熱安定剤は、A成分100重量部あた
り、0.0001〜0.1重量部で含まれることが好ま
しく、より好ましくは0.0005〜0.05重量部、
更に好ましくは0.001〜0.03重量部である。
【0099】
【発明の実施の形態】以下に、実施例をあげて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何
ら限定されるものではない。また、実施例中の「部」は
特に断りのない限り重量部を意味する。評価項目および
方法は以下の通りである。
【0100】(1)光線透過特性 長さ50mm×幅90mm×厚さ0.6mmの透過率評
価用成形板を日立製作所(株)製自記分光光度計U−3
200型を用いて、光線透過特性を測定し、350n
m〜400nmの各波長における最大光線透過率、4
00nm〜650nmにおける最小光線透過率、65
0nmにおける光線透過率を求めた。
【0101】(2)基板貼合せ試験 データ基板とダミー基板の成形は、住友重機械工業
(株)製射出成形機DISK3M3と情報信号に対応し
た凹凸形状を持つスタンパーが設置された厚さ0.6m
m、直径120mmのキャビティを持つ金型を用いて行
った。成形後アルミニウム反射膜をスパッタ法により製
膜し、その後で紫外線硬化型接着剤をスピンコート塗
布、および紫外線照射により硬化させ、DVDディスク
を得、その接着性を以下の手法により評価した。 ○:手ではがすことはできず、十分な接着力を有する ×:手ではがすことができる
【0102】(3)DVDディスクの外観観察 上記で得られたDVDディスクについて、その外観観察
を目視にて行った。
【0103】[実施例1〜6および比較例1〜6]表1
および表2記載の各成分を以下の割合で製造し、各種の
評価を行った。表1および表2記載の着色剤成分とA成
分のうちのパウダー成分とを(実施例5の場合はPCC
−1;100重量部のうち10重量部、STおよびL1
成分と共に)スーパーフローターで均一に混合し着色剤
マスターを得た。かかるマスター剤を表1の組成割合と
なるよう残りのA成分と混合し、櫛歯付きのV型ブレン
ダーで均一に混合した。かかる混合物を径30mmφの
ベント付き2軸押出機[(株)神戸製鋼所KTX−3
0]でベントから真空排気させながらシリンダー温度2
60℃で溶融混練しストランドを押出した。押出された
ストランドは水槽に浸漬することで冷却し、その後ペレ
タイザーで切断することによりペレット化した。押出機
のダイス部分には、焼結金属のフィルターを設置し、5
μm以上の異物が1gあたり20個以下となるようにし
た。また上記の機器はすべてフィルターを通した清浄な
空気が循環する1.005気圧の雰囲気下に置き、スト
ランド冷却用の水は1μmのフィルターを通し、更にイ
オン交換膜を通したイオン交換水を使用した。
【0104】得られたペレットから、光線透過率測定用
試験片を射出成形機[住友重機械工業(株)製S480
/150]でシリンダー温度350℃、金型温度120
℃で作成し、前述の方法で評価した。評価結果は表1お
よび表2に記載した。
【0105】またデータ基板およびダミー基板を共に射
出成形機[住友重機械工業(株)製DISK3M3]を
用いて厚さ0.6mm、直径120mmのキャビティを
持つ金型を用いて作成した(したがって貼り合わせられ
た光記録媒体は両面同色であった)。
【0106】[実施例7および8]表3記載のA成分以
外の各成分とA成分100重量部中の10重量部とをス
ーパーフローターを用いて均一に混合しマスター剤を作
成した。かかるマスター剤と残りのA成分(90重量
部)とを櫛歯付きのV型ブレンダーで均一に混合した。
かかる混合物を実施例1と同様の方法でペレット化し、
得られたペレットをシリンダー温度350℃、金型温度
120℃の射出成形機[住友重機械工業S480/15
0]で通常の成形をした後、シリンダーを後退させ10
分間放置する方法で10分間の滞留を行い、かかる滞留
前後の光線透過率測定試験片を作成し、前述の方法で光
線透過特性を評価した。評価結果は表3に記載した。
【0107】なお表1、表2および表3記載の各成分を
示す記号および項目は下記の通りである。 (A成分) PC−1:光学記録媒体用ポリカーボネート樹脂ペレッ
ト(帝人化成(株)製、「パンライト AD−550
3」) PC−2:粘度平均分子量が15,200のアミン触媒
を用いないホスゲン法により得られたビスフェノールA
ポリカーボネート樹脂パウダー(末端停止剤としてp−
tert−ブチルフェノールを使用) PCC−1:粘度平均分子量が14,800のアミン触
媒を用いてホスゲン法により得られた、全芳香族ジヒド
ロキシ成分のうち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン[ビス
フェノールTMC]が45モル%、4,4’−(m−フ
ェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール[ビスフェ
ノールM]が55モル%である芳香族ポリカーボネート
共重合体パウダー(末端停止剤としてp−tert−ブ
チルフェノールを使用) PO−1:非晶性ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン
(株)製「ゼオネックスE48R」 PO−2:上記PO−1ををシクロへキサンに溶解した
後、かかる溶液をメタノール中に滴下して得られた樹脂
パウダー
【0108】(B成分) 赤染料F−1:ペリレン系蛍光赤染料、BASF社製
Lumogen F Red300 赤染料F−2:クマリン系蛍光赤染料、バイエル社製
Macrolex Fluoresent Red G 赤染料F−3:チオインジゴ系蛍光赤染料、有本化学
(株)製 Plast Red D54 黄染料F−1:クマリン系蛍光黄染料、バイエル社製
Macrolex Fluoresent Yello
w 10GN (B成分以外) 赤染料−4:アンスラキノン系赤染料、有本化学(株)
製 Plast Red8360 赤染料−5:ペリノン系赤染料、有本化学(株)製 P
last Red 8315 黄染料−2:複素環系黄染料、有本化学(株)製 Pl
ast Yellow8010 オレンジ染料−1:ペリノン系オレンジ染料、有本化学
(株)製 PlastOrange 8150−2 (その他の成分) ST:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル
ホスファイト)、日本チバガイギー(株)製Irgaf
os168 L1:グリセリンモノステアレート、理研ビタミン
(株)製リケマールS−100A L2:グリセリントリステアレートとステアリルステア
レートとの混合物、理研ビタミン(株)製リケマールS
L−900
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂に着色剤を配合した樹脂組成物は、貼り合わせ型
光記録媒体に要求される特定の光線を透過し、且つ識別
可能な様々な色に着色された光記録媒体を製造すること
が可能となる。特に蛍光染料を主成分とする着色剤を使
用することにより、極めて識別性の高い着色が可能とな
る。すなわち、その導光性を利用して厚みの薄い光記録
媒体の側面部から光を発生し、高い識別性と従来の貼り
合わせ型光記録媒体にはない特異な意匠性をも可能とす
るものである。尚、かかる特性より発揮させるために
は、側面部が外部から視認できる装置を使用することが
好ましい。したがって本発明の奏する工業的効果は格別
なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1と比較例2における各波長の光線透過
率を示した図である。
【図2】実施例2と比較例3における各波長の光線透過
率を示した図である。
【図3】実施例4と比較例3における各波長の光線透過
率を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/1545 C08K 5/1545 5/45 5/45 C08L 23/00 C08L 23/00 69/00 69/00 101/00 101/00 Fターム(参考) 4J002 AA011 BB001 CG001 EA066 EL096 EV306 FD096 GF00 GS00 GS02 5D029 KA19 KC04 RA07 RA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A成分)および着色剤
    (B成分)からなる樹脂組成物であって、かつ該樹脂組
    成物からなる0.6mm厚みの板状成形品において、波
    長350nm〜400nmの光線に対する最大光線透過
    率が15%以上、400nm〜650nmの光線に対す
    る最小光線透過率が30%以下、且つ波長650nmの
    光線透過率が70%以上であることを満足する貼り合わ
    せ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記樹脂組成物がA成分100重量部に
    対し、B成分0.01〜0.45重量部を含んでなる請
    求項1に記載の貼り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 A成分が芳香族ポリカーボネート樹脂、
    または非晶性ポリオレフィン樹脂である請求項1または
    2に記載の貼り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 B成分が赤色、オレンジ色、または黄色
    の蛍光染料を主成分とする着色剤である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の貼り合わせ型光記録媒体基板用着
    色樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 B成分が、ペリレン系、クマリン系、お
    よびチオインジゴ系から選択される少なくとも1種の蛍
    光染料である請求項4に記載の貼り合わせ型光記録媒体
    基板用着色樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 上記組成物が更にA成分100重量部に
    対して、炭素数10〜22の脂肪族飽和一価カルボン酸
    と二価以上の多価アルコールの部分エステル0.01〜
    0.2重量部含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の貼り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の貼
    り合わせ型光記録媒体基板用着色樹脂組成物から形成さ
    れた貼り合わせ型光記録媒体基板。
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