JP4695247B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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JP4695247B2 JP2000215588A JP2000215588A JP4695247B2 JP 4695247 B2 JP4695247 B2 JP 4695247B2 JP 2000215588 A JP2000215588 A JP 2000215588A JP 2000215588 A JP2000215588 A JP 2000215588A JP 4695247 B2 JP4695247 B2 JP 4695247B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂組成物に関する。詳しくは、長時間使用時の蛍光性の持続力を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より主として透明性を有する熱可塑性樹脂において、その透明性を活かして蛍光染料を配合した樹脂組成物が知られている。例えばパチンコ部品、各種ランプ類のケースやカバー、その他各種電気製品のハウジング等の幅広い分野に使用されている。
しかしながら、蛍光染料入り樹脂製品の多くは長時間の使用、屋外での使用、またはランプカバー類での使用において、蛍光性の低下が生じ、商品性がなくなる。特に赤色の蛍光染料においては蛍光持続性の良好なものは少ないのが現状である。一部、蛍光持続性の良好な染料(BASF製ルモゲンカラー)が市販されているが、高価であり使用用途が限定されるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な一般的な蛍光染料入り樹脂組成物の長時間使用に於ける蛍光性の低下を改善し、蛍光持続性の優れた樹脂組成物を提供せんとするものである。
本発明者らは、上記課題を達成せんとして鋭意検討した結果、特定の蛍光染料を併用することにより蛍光持続性が著しく向上することを見出した。この知見に基づいて更に検討を重ねた結果本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂(A成分)100重量部に対し、蛍光染料(B成分)0.001〜1重量部を含んでなる樹脂組成物であって、該B成分がB成分100重量%中、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料からなる群(B−1群)より選択される少なくとも1種の蛍光染料を5〜80重量%、並びにチオインジゴ系蛍光染料およびアンスラキノン系蛍光染料からなる群(B−2群)より選択される少なくとも1種の蛍光染料を95〜20重量%含んでなる熱可塑性樹脂組成物にかかるものである。
【0005】
本発明のA成分で使用する樹脂は、種々の熱可塑性樹脂が使用できるが、より好ましくは透明性を有する熱可塑性樹脂である。透明性を有する熱可塑性樹脂としては例えばアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明ポリプロピレン樹脂、透明ABS樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリ−4−メチルペンテン−1、透明フッ素樹脂、透明フェノキシ樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、透明ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、非晶性ポリエステルなどを挙げることができる。また熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して使用することができる。
【0006】
上記の中でも特にアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂および非晶性ポリオレフィン樹脂は耐熱性に優れ、光記録媒体などの分野で既に異物や不純物が極めて少ない製品を安定して製造する方法が確立されており、幅広い分野への用途展開が可能であるため本発明においてより好ましい熱可塑性樹脂として挙げることができる。特にポリカーボネート樹脂は、更に耐熱性および耐衝撃性に優れるものであり、極めて幅広い分野への展開が可能であり好適な熱可塑性樹脂である。
【0007】
本発明のアクリル樹脂としては、メチルメタクリレートを主な構成単位として含むものが挙げられる。通常アルキルアクリレートとの共重合体が使用されるが、他の共重合体成分としては耐熱性を向上させるためアクリルイミド構成単位やメチルシクロヘキシルメタクリレート構成単位などが共重合されたものであってもよい。更にα−メチルスチレンが共重合されたものを使用することもできる。
【0008】
本発明の非晶性ポリオレフィン樹脂としては、三井化学(株)製のAPO樹脂、JSR(株)製のアートン、日本ゼオン(株)製のゼオネックスなどを挙げることができる。尚、ポリカーボネート樹脂の詳細については後述する。
【0009】
本発明のB成分は、(1)2種以上の蛍光染料からなり、かつ(2)クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料からなる群(B−1群)より選択される少なくとも1種の蛍光染料をB成分100重量%中5重量%以上含んでなるものである。B−1群の蛍光染料を特定量含有した樹脂組成物は、他の蛍光持続性に劣る蛍光染料を含む場合であっても、良好な蛍光持続性を有する。
【0010】
ここでクマリン系染料としては、各種のものが使用可能であるが例えば下記一般式(1)および(2)に示される化合物を使用することができる。
【0011】
【化1】
Figure 0004695247
【0012】
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基を示す。R3は炭素数1〜11のアルキル基を示す。)
【0013】
【化2】
Figure 0004695247
【0014】
(式(2)中、R4およびR5はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基を示す。R6は水素原子、ハロゲン原子、およびメチル基を示す。Z1は−O−、−S−、−NH−、および−N(CH3)−の結合を示す。)
【0015】
上記クマリン系蛍光染料の具体例としては、バイエル社製MACROLEX Fluorescent Yellow 10GN(CI Solvent Yelllow 160:1)、およびMACROLEX Fluorescent Red Gなどを挙げることができる。
【0016】
ベンゾピラン系蛍光染料としては、各種のものが使用可能であるが例えば下記一般式(3)に示される化合物を使用することができる。
【0017】
【化3】
Figure 0004695247
【0018】
(式(3)中、R7およびR8はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基を示す。R9はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルバモイル基(2つの水素原子のいずれかが炭素数1〜4のアルキル基で置換されたものを含む)、またはスルファモイル基(2つの水素原子のいずれかが炭素数1〜4のアルキル基で置換されたものを含む)を示す。nは1または2である。Z2は酸素原子またはイミノ基を示し、Z3はシアノ基またはカルバモイル基を示す。)
上記ベンゾピラン系蛍光染料の具体例としては、BASF社製FluorolシリーズとしてRed BKおよびRed GKなどを挙げることができる。
【0019】
ペリレン系蛍光染料としては、各種のものが使用可能であるが例えば下記一般式(4)、(5)および(6)に示される化合物を使用することができる。
【0020】
【化4】
Figure 0004695247
【0021】
(式(4)中、R10は炭素数1〜13のアルキル基を示す。)
【0022】
【化5】
Figure 0004695247
【0023】
(式(5)中、R11は水素またはシアノ基を示す。R12は炭素数1〜11のアルキル基を示す。)
【0024】
【化6】
Figure 0004695247
【0025】
(式(6)中、R13は場合により酸素原子により中断されている炭素数5〜20のアルキル基、または炭素数1〜13のアルキル基もしくはアルコキシ基により1〜3個所置換されているフェニル基を示す。R14は水素原子、塩素原子、またはフェノキシ基(ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基で置換されたものを含む)を示す。)
【0026】
上記ペリレン系蛍光染料の具体例としては、例えば、CI Vat Red 15、CI Vat Orange 7、CI Solvent Green 5およびBASF社製LUMOGENシリーズとして F Orange240、F Red300、F Yellow083、F Red339などを挙げることができる。
【0027】
上記B−1群の中でもペリレン系蛍光染料が蛍光持続性の点で好ましい。またB−1群の蛍光染料の割合がB成分100重量%中5重量%未満の場合には、十分な蛍光持続性が得られにくくなる。
【0028】
一方上記蛍光染料以外の蛍光染料としては以下のものが挙げられる。例えば、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。かかる中でもアンスラキノン系蛍光染料およびチオインジゴ系蛍光染料からなる群(B−2群)から選択される少なくとも1種の蛍光染料が好適である。特に好適であるのはチオインジゴ系蛍光染料である。かかる染料は蛍光性がより強調される赤色の発色が良好である一方、蛍光持続性に劣るため本発明の効果をより発揮できるためである。
【0029】
チオインジゴ系蛍光染料の具体例としては、CI Vat Red 1、CIVat Red 2、CI Vat Red 41、およびCI Vat Red 47などを挙げることができる。
【0030】
本発明においてB成分としてより好ましくは、B成分100重量%中、上記B−1群より選択される少なくとも1種の蛍光染料を5〜80重量%、並びに上記B−2群より選択される少なくとも1種の蛍光染料を95〜20重量%含んでなる蛍光染料を挙げることができる。
【0031】
更に好ましくはB−1群より選択される少なくとも1種の蛍光染料の下限としてはB成分100重量%中10重量%以上が好ましく、さらに好ましくは15重量%以上である。一方B−1群より選択される少なくとも1種の蛍光染料の上限としてはB成分100重量%中60重量%以下が好ましく、更に好ましくは50重量%以下である。
【0032】
上記B−2群より選択される少なくとも1種の蛍光染料の下限としてはB成分100重量%中40重量%以上が好ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。一方B−2群より選択される少なくとも1種の蛍光染料の上限としてはB成分100重量%中90重量%以下が好ましく、更に好ましくは85重量%以下である。
【0033】
更に、本発明においてB成分としてより好ましい着色剤としては、赤色、またはオレンジ色の蛍光染料を主成分とする着色剤を挙げることができる。これらの蛍光染料は本発明の目的である蛍光持続性の点から好ましいものである。すなわち、B成分において赤色、またはオレンジ色の蛍光染料が80重量%以上、より好ましく90重量%以上を占めるものを好ましく挙げられる。
【0034】
特に本発明に好ましいのは、熱可塑性樹脂組成物全体の色調が赤色の蛍光を呈するものである。かかる赤色の蛍光色を呈する熱可塑性樹脂組成物においては、既に述べたとおり極一部の高価な染料以外に、蛍光持続性に優れたものがなかったためである。
【0035】
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物には、離型剤や安定剤の添加が好ましく、目的を損なわない範囲で有効発現量の紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、および着色剤などを添加してもよい。
【0036】
離型剤としては、各種の離型剤が使用可能であるが、好ましくは脂肪酸エステルである。かかる脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜34の脂肪族飽和一価カルボン酸と一価または二価以上の多価アルコールとのエステルを挙げることができる。かかる脂肪族飽和一価カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキシン酸、ベヘン酸、およびモンタン酸などが挙げられる。
【0037】
具体的には一価アルコールと飽和脂肪酸のエステルとして、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。
【0038】
具体的には多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとして、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスリトール全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。
【0039】
更に、好ましくは、炭素数10〜24、更に好ましくは炭素数16〜22の脂肪族飽和一価カルボン酸と二価以上の多価アルコールとの部分エステルを挙げることができる。かかる部分エステルは高温時の成形における蛍光染料の特性の低下を抑制することができる。二価以上の多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。特に好ましくはステアリン酸とグリセリンの部分エステルである。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱安定剤としてリン系安定剤を含むことが好ましい。かかるリン系安定剤としては、ホスファイト系、ホスホナイト系、およびホスフェート系のいずれも使用可能である。
【0041】
本発明におけるホスファイト系安定剤としては、さまざまなものを用いることができる。具体的には例えば一般式(7)
【0042】
【化7】
Figure 0004695247
【0043】
[式中R15は、水素または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはこれらのハロ、アルキルチオ(アルキル基は炭素数1〜30)またはヒドロキシ置換基を示し、3個のR1は互いに同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき、また2価フェノール類から誘導されることにより環状構造も選択できる。]で表わされるホスファイト化合物である。
【0044】
また、一般式(8)
【0045】
【化8】
Figure 0004695247
【0046】
[式中R16、R17はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキル基で置換されているもののいずれも選択できる。]で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
【0047】
また、一般式(9)
【0048】
【化9】
Figure 0004695247
【0049】
[式中R18、R19は炭素数12〜15のアルキル基である。尚、R18およびR19は互いに同一または互いに異なるのいずれの場合も選択できる。]で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
【0050】
ホスホナイト系安定剤としては下記一般式(10)で表わされるホスホナイト化合物、および下記一般式(11)で表わされるホスホナイト化合物を挙げることができる。
【0051】
【化10】
Figure 0004695247
【0052】
【化11】
Figure 0004695247
【0053】
[式中、Ar1、Ar2は炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、または炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示し、4つのAr1は互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。または2つのAr2は互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。]
【0054】
上記一般式(7)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。
【0055】
上記一般式(8)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを挙げることができる。かかるホスファイト化合物は1種、または2種以上を併用することができる。
【0056】
上記一般式(9)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファイトを挙げることができる。
【0057】
上記一般式(10)に対応するホスホナイト化合物における好ましい具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−3成分)の1種もしくは2種以上を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物である。また、3種の混合物の場合その混合比は、E2−1成分、E2−2成分およびE2−3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0058】
上記一般式(11)に対応するホスホナイト化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0059】
一方ホスフェート系安定剤としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0060】
上記のリン系安定剤に対して更に好ましいリン系安定剤としては、以下の一般式(12)で示される化合物を挙げることができる。
【0061】
【化12】
Figure 0004695247
【0062】
(式(12)中、R20およびR21は、それぞれ炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
式(12)中、好ましくはR20およびR21は炭素原子数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基である。式(12)の化合物としては具体的に、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどがあげられ、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0063】
本発明の熱可塑性樹脂組成物はフェノール系酸化防止剤を含むことができる。フェノール系酸化防止剤により長期の使用時における酸化劣化を防止して、蛍光持続性を改善することが可能である。かかるフェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用することができる。
【0064】
かかるフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げることができ、好ましく使用できる。
【0065】
より好ましくは、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンであり、更にn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネートが好ましい。
【0066】
本発明の熱可塑性樹脂組成物はイオウ系酸化防止剤を含むことができる。特に成形が回転成形や圧縮成形により行われる場合には好適である。かかるイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
【0067】
上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。より好ましくはリン系安定剤を必須とする場合であり、特にリン系安定剤として上記一般式(12)の化合物を含んでいることが好ましい。
【0068】
これらの安定剤の組成物中の割合としては、本発明のA成分100重量部当たり、リン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸化防止剤はそれぞれ0.0001〜1重量部の割合で含まれることが好ましい。より好ましくはA成分100重量部当たり、0.0005〜0.5重量部である。更に好ましくは0.001〜0.2重量部である。
【0069】
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造については各種の方法を取ることができる。例えば(1)必要な原材料を予備混合し、その後溶融混練する方法、(2)B成分を高濃度に含有するマスター剤を作成しその他の原材料と予備混合し、その後溶融混練する方法、および(3)マスター剤とその他の原材料とを独立して供給し、その後溶融混練する方法などである。
【0070】
更にかかるマスター剤としては、ペレット状、粉粒体状、液状の各種の形態を使用することができる。ペレット状の場合には、マスター剤の作成に必要な着色剤およびその他の原材料とを溶融混練し、その後ペレタイズされてマスター剤が作成される。通常溶融押出されたストランドの切断により作成されるが、シートの切断や、また粉砕による作成も可能である。
【0071】
粉粒体状の場合には、第1にマスター剤の作成に必要な着色剤およびその他の原材料をヘンシェルミキサー等の粉体混合機を使用して混合したものが挙げられる。混合機としては特にスーパーフローターが好ましい。かかる着色剤は通常の固体状の他、他の媒体に溶解または分散させた液体状であってもよい。更に液体状の場合には、混合時の発生熱や、混合機のジャケット温度の設定により、媒体を蒸発させてもよい。また液体状の場合には、かかる液体をフィルター濾過し必要な異物や分散不良成分を取り除くことが好ましい。
【0072】
粉粒体状の場合には、第2に液体状の更に高濃度のマスター剤とA成分などのその他の原材料の溶液から溶媒成分を同時に除去する方法が挙げられる。高濃度のマスター剤とその他の原材料の溶液は混合して、または独立して溶媒除去装置内に供給することができる。例えばスプレードライヤーを使用してマスター剤の粉粒体を得ることができる。
【0073】
液状のマスター剤は、着色剤が液状の成分中に溶解または分散されたものである。かかる液状の成分としては各種のものが使用できるが、例えば流動パラフィンなどを挙げることができる。液状のマスター剤では、かかる液状成分が樹脂組成物中に残留する場合の影響を十分に考慮する必要がある。
【0074】
したがって上記のマスター剤の中では、好ましくはペレット状または粉粒体状のものが挙げられる。
【0075】
溶融混練された熱可塑性樹脂組成物はペレットとして得られた後に各種樹脂成形品に形成されるか、または溶融混練したものを直接樹脂成形品に成形することができる。また上記方法において着色剤のマスター剤を作成する場合には、他の添加剤なども同時に混合することが可能である。
【0076】
尚、上記熱可塑性樹脂組成物に光学的な機能が要求される場合には、かかる光学的な機能を阻害する異物の存在を極力少なくする環境でその製造を行うことが好ましい。かかる好ましい樹脂組成物を得るためには、原料として異物量の少ないものを使用する、押出機やペレタイザー等の製造装置をフィルターなどを通して得られた清浄な空気の雰囲気内に設置する、冷却バス用の冷却水についてもイオン交換樹脂などを通して得られた金属イオンなどの異物量の少ないものを使用する、並びに原料の供給ホッパー、供給流路、および得られたペレットの貯蔵タンク等についてもより清浄な空気等で満たすなどの手段を挙げることができる。
【0077】
また溶融混練に使用する装置としては、スクリュー式の溶融混練装置が好ましい。例えば単軸押出機、2軸押出機、スクリュー混練式の射出成形機など一般に使用されているものが使用可能である。ペレットの製造には特に好ましくはベント付きの2軸押出機であり、ベントから真空排気できるものが好ましい。
【0078】
溶融混練前の原料は、タンブラー、リボンブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロールなどで予め混合されるか、または計量器を用いて独立に供給することができる。これらを組合わせて使用することも可能である。
【0079】
本発明の樹脂組成物から成形品を得る方法としては従来公知の種々の方法が使用でき、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形、および回転成形などの方法で所望の形状に成形することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は各種用途に使用可能である。例えばパチンコ部品、ランプカバー、建材シート、農業用シート、車両用グレージング材、標識および標示灯などを挙げることができる。更に各種文具、台所用品、衛生用品、包装材料、電子・電気機器の部品、および自動車部品などの幅広い用途に使用可能である。また導光板、光導波路、光分岐路、光分配器、プリズムシート、光記録媒体、光カード、レンズ、光学フィルターなどの高度な光学特性が要求される分野においても好適なものであり、特に各種の貼り合わせ型記録媒体において好適なものである。
【0080】
以下に本発明のA成分として好適なポリカーボネート樹脂の詳細について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂は通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0081】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0082】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0083】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0084】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0085】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0086】
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても3、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0087】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0088】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(13)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0089】
【化13】
Figure 0004695247
【0090】
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0091】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も示すことができる。これらのなかでは、下記一般式(14)および(15)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0092】
【化14】
Figure 0004695247
【0093】
【化15】
Figure 0004695247
【0094】
(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0095】
かかる一般式(14)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0096】
また、一般式(15)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0097】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0098】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0099】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0100】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0101】
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0102】
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0103】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、分子量が10,000未満であると高温特性等が低下し、50,000を超えると成形加工性が低下するようになるので、粘度平均分子量で表して10,000〜50,000のものが好ましく、14,000〜30,000のものがより好ましく、更に好ましくは14,000〜24,000である。また、ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0104】
特に粘度平均分子量が50,000を超えるポリカーボネート樹脂との混合物は、ブロー成形などに重要なドローダウン性能、難燃性を向上させるドリップ防止性能、および射出成形時のジェティングなどを防止する溶融特性改質性能に優れた効果を発揮するため、かかる目的に応じて適宜混合することができる。より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの方法により2ピーク以上の分子量分布を有するものが好ましく使用できる。
【0105】
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0106】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、実施例中の部は重量部であり、評価は下記の方法により行った。
【0107】
(1)蛍光持続性:各例で得た見本板を、以下測定条件による耐候促進試験を行い、蛍光性を目視確認により判断した。
[蛍光性の判定]
○:蛍光性を有する
×:蛍光性を有しない
[耐候促進試験試験方法]
試験方法 : JIS A 1415
試験装置種類: WS形(サンシャインカーボンアーク燈を用いるもの)
試験機 : スガ試験機(株)製サンシャインウェザーメーター
WEL−SUS−HCH−B型
試験条件 : ブラックパネル温度:63℃
雨あり(120分中18分スプレー)
【0108】
[実施例1〜15、比較例1〜3]
表1および表2に記載の樹脂組成物を以下の要領で作成した。尚、説明は以下の表中の記号にしたがって説明する。
まず蛍光染料、離型剤成分(C)およびそれらの10倍量(重量比)のA成分とをスーパーミキサーを用いて均一に混合しマスター剤を作成した。かかるマスター剤および残りの各成分を表1および表2の割合で計量し、タンブラーを用いて均一に混合し、かかる混合物を押出機に投入して樹脂組成物の作成を行った。
【0109】
押出機としては径30mmφのベント式単軸押出機(ナカタニ機械(株)製VSK−30)を使用した。スクリューはダルメージ1段のものを使用し、レンコン型ブレーカープレートをダイス手前に装着した。シリンダ−温度およびダイス温度が280℃、およびベント吸引度が3000Paの条件でストランドを押出し、水浴において冷却した後ペレタイザーでストランドカットを行い、ペレット化した。
【0110】
得られたペレットは熱風循環式乾燥機にて乾燥し(A成分がPCの場合には120℃で5時間、PMMAの場合には100℃で6時間、POの場合は未乾燥)、射出成形機[住友重機械工業(株)製サイキャップ480/150]によりシリンダー温度280℃、金型温度80℃で試験片(縦70mm×横50mm×厚み2mmの板状成形品)を成形した。
【0111】
[実施例16、および比較例4]
表3記載の着色剤成分とA成分のうちのパウダー成分とをスーパーフローターで均一に混合し着色剤マスターを得た。かかるマスター剤を表1の組成割合となるよう残りのA成分と混合し、櫛歯付きのV型ブレンダーで均一に混合した。かかる混合物を径30mmφのベント付き2軸押出機[(株)神戸製鋼所KTX−30]でベントから真空排気させながらシリンダー温度260℃で溶融混練しストランドを押出した。押出されたストランドは水槽に浸漬することで冷却し、その後ペレタイザーで切断することによりペレット化した。押出機のダイス部分には、焼結金属のフィルターを設置し、5μm以上の異物が1gあたり20個以下となるようにした。また上記の機器はすべてフィルターを通した清浄な空気が循環する1.005気圧の雰囲気下に置き、ストランド冷却用の水は1μmのフィルターを通し、更にイオン交換膜を通したイオン交換水を使用した。
【0112】
得られたペレットはクリーンオーブンを用いて120℃、5時間の熱風乾燥を行った。かかるペレットを以下の射出成形に供した。射出成形機(住友重機械工業(株)製DISK3 M3)にCD専用の金型を取り付け、この金型にピットの入ったニッケル製のCD用スタンパーを装着し、成形材料を自動搬送にて成形機のホッパに投入し、シリンダー温度340℃、金型温度75℃、射出速度100mm/sec、保持圧力3.9MPaの条件で直径120mm、肉厚1.2mmの基板を成形し、この基板にアルミニウム膜をスパッタしCDを得た。
【0113】
得られたCDサンプルは実施例16および比較例4ともに、極めて鮮明な赤色を呈した意匠性に優れたCDであった。得られたCDサンプルに対して、各サンプルのBLERをBLER測定機(SONY製・CDplayer cotrol unit CDS−3000)により測定しC1AVE値(C1エラー(C1コードで訂正出来るランダムエラー)の1秒間あたりの平均値である)を求めた。かかるC1AVE値は実施例16のサンプルは0.59、比較例17のサンプルは0.62であり、共に十分な値を有していた。
【0114】
一方、かかるCDを直射日光に当たる窓ガラスに、CD裏面が直射日光に当たるように貼り付け20日放置したところ、実施例16のCDはほぼ初期の色相を有するものであったが、比較例4のCDにおいては初期の鮮明さが消失していた。
【0115】
また、表1、表2および表3に記載の使用した原材料等は以下の通りである。
<A成分>
PC−1:ポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製パンライトL−1225WP]
PC−2:光学記録媒体用ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成(株)製、「パンライト AD−5503」)
PC−3:粘度平均分子量が15,200のアミン触媒を用いないホスゲン法により得られたビスフェノールAポリカーボネート樹脂パウダー(末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用)
PO:非晶性ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製「ゼオネックスE48R」
PMMA:メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重合体[旭化成工業(株)製デルペット80N]
【0116】
<B成分>
(B−1群)
B−1−1:ペリレン系赤蛍光染料[BASF社製 Lumogen F Red 300]
B−1−2:ベンゾピラン系赤橙蛍光染料[BASF社製 Fluorol Red BK]
B−1−3:クマリン系赤橙蛍光染料[Bayer社製 MACROLEX Fluorescent Red G]
B−1−4:ペリレン系橙蛍光染料[BASF社製 Lumogen F Orange240]
(B−2群)
B−2−1:チオインジゴ系赤蛍光染料[有本化学工業(株)製 プラストレッドD−54]
B−2−2:チオインジゴ系赤蛍光染料[三井東圧化学工業(株)製 Brilliant Pink FFR]
B−2−3:アンスラキノン系橙蛍光染料[住友化学(株)製 ニホンスレン Orange RRTS]
【0117】
<その他>
C:ステアリン酸とグリセリンのモノエステル[理研ビタミン(株)製リケマールS−100A]
【0118】
【表1】
Figure 0004695247
【0119】
【表2】
Figure 0004695247
【0120】
【表3】
Figure 0004695247
【0121】
上記表から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、チオインジゴ系赤蛍光染料などを用いて赤色の蛍光を呈する熱可塑性樹脂組成物において、蛍光持続性が改良されていることが分かる。
【0122】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般的な蛍光染料入り樹脂組成物の長時間使用に於ける蛍光性の低下を改善し、蛍光持続性の優れた樹脂組成物が達成されるものである。本発明の熱可塑性樹脂組成物は各種用途に使用可能である。例えばパチンコ部品、ランプカバー、建材シート、農業用シート、車両用グレージング材、標識および標示灯などの各種雑貨類、文具、包装材料、電子・電気機器の部品、および自動車部品などの幅広い産業分野に使用可能である。したがって本発明の奏する工業的効果は格別なものである。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂(A成分)100重量部に対し、蛍光染料(B成分)0.001〜1重量部を含んでなる樹脂組成物であって、該B成分がB成分100重量%中、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料からなる群(B−1群)より選択される少なくとも1種の蛍光染料を5〜80重量%、並びにチオインジゴ系蛍光染料およびアンスラキノン系蛍光染料からなる群(B−2群)より選択される少なくとも1種の蛍光染料を95〜20重量%含んでなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. B成分は、赤色、またはオレンジ色の蛍光染料が80重量%以上を占める蛍光染料である請求項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. A成分は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂または非晶性ポリオレフィン樹脂の1種または2種以上を併用した熱可塑性樹脂である請求項1または2のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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