JP5267911B2 - 回転成形体の成形方法 - Google Patents

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本発明は、ポリカーボネート樹脂粉粒体を回転成形する回転成形体の成形方法に関する。更に詳しくは特定の形状のポリカーボネート樹脂粉粒体を回転成形して気泡の発生しない回転成形体の成形方法に関する。
比較安価な設備により大型の樹脂成形品を得る方法として、従来から回転成形が知られている。しかしながら従来その主たる対象はオレフィン系樹脂などに限られていた。近年回転成形の方法は急速に進展している。
従来は金型を回転させながら長時間高温の炉の中を通すなどの方法であった。現在では金型に直接熱媒および冷媒を通す技術、およびその媒体を効率よく金型内に通じる技術が進展し、従来よりも複雑または精密な成形品が得られるようになっている。
かかる回転成形の進展に伴い、対象となる樹脂も多様化し従来の汎用樹脂に代わりポリカーボネート樹脂などのエンジニアリングプラスチックを回転成形により製造する要求も高まっている。特に芳香族ポリカーボネートは透明性、衝撃特性、電気特性、難燃性、寸法安定性の面から、大型の回転成形体への要求が高い。
しかしながら回転成形は、押出成形や射出成形とは異なり、樹脂に高い圧力をかけることが実質的に困難であるため、樹脂中に気泡が発生しやすいとの欠点があった。特に溶融粘度の高いポリカーボネート樹脂においてはかかる要求を満足することは極めて困難であり、気泡の発生により、成形品において外観や光学的要求が不十分となったり、または機械強度的に不安定な要素を有する問題があった。特に芳香族ポリカーボネート樹脂は透明であるため、気泡の発生は従来の不透明なオレフィン系樹脂等では問題になり難かった課題であり、早急な技術検討が望まれている。
非特許文献1には、回転成形条件例が示されているものの、かかる条件は安定した品質の回転成形体を得るのに十分なものとはいえなかった。また、特許文献1や特許文献2にはポリカーボネート粉粒体の粒径を規定し、気泡等の不良に対応しようとした試みがなされている。しかしながら、該特許文献に規定された粒系の範囲内にあっても、突発的に気泡不良が発生することが、大きな問題となっている。
特開2002−020496号公報 特開2004−124062号公報 本間精一編、「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」、日刊工業新聞社、1992年8月、p565〜567
本発明の目的は、特定の形状のポリカーボネート樹脂粉粒体を回転成形して気泡の発生しない回転成形体の成形方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、回転成形における樹脂状態の変化を十分に考察し鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂粉粒体の特定の粒子について、その形状を特定することにより気泡が発生しないことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、
1.ポリカーボネート樹脂粉粒体を回転成形する回転成形体の成形方法であって、該ポリカーボネート樹脂粉粒体として、Tyler篩による標準篩法で得られた60メッシュより大きい粒子の割合が20〜100重量%であり、且つ60メッシュより大きい粒子の長径が、長径と直行する粒子の幅である短径の1.0〜2.5倍であるポリカーボネート樹脂粉粒体を用いることを特徴とする回転成形体の成形方法
2.ポリカーボネート樹脂粉粒体の平均粒子径が0.01〜6mmの範囲である前項1記載の回転成形体の成形方法
3.60メッシュより大きい粒子の長径の平均径が0.25〜8mmの範囲である前項1記載の回転成形体の成形方法、および
4.回転成形体を成形する際に、金型内部を15kPa以下に減圧することを特徴とする前項1記載の回転成形体の成形方法、
が提供される。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂について以下に説明する。ポリカーボネート樹脂としては、製造法は特に限定されないが、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、更に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。特にビスフェノールAの単独重合体が好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化を防止する酸化防止剤などを使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノールなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドなどの第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 0005267911
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も示すことができる。これらのなかでは、下記一般式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
Figure 0005267911
Figure 0005267911
(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
かかる一般式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。
また、一般式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。より好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点などにより異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートなどの化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体は、ポリカーボネート樹脂組成物からなる粉粒体であって、粘度平均分子量が13,000〜50,000であることが好ましい。好ましくは粘度平均分子量が15,000〜30,000であり、より好ましくは16,000〜23,000である。
かかる粘度平均分子量は回転成形時の樹脂の溶融粘度に対して大きな影響を与える因子である。回転成形時は、(i)樹脂が金型壁面から均一に溶融すること、および(ii)樹脂粉粒体がかかる溶融液面を流れながら溶融していくこと、の2点を満足することで均一で欠陥のない肉厚が形成される。しかしながら樹脂の溶融粘度が高い場合はかかる溶融液面を流れる際の抵抗が高くなり、均一な溶融層の形成が困難となる。一方金型温度の細かなコントロールを実施することで、溶融粘度が高い場合でも良好な回転成形体を得られる場合もある。
粘度平均分子量が13,000未満では製品の強度が不十分となりやすく、50,000を超える場合には良好な成形品が得られにくくなる。ポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量を制御する方法は従来から広く知られるところであり、目的に応じて適宜設定可能である。
また、粘度平均分子量の異なるポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。例えば粘度平均分子量が80,000以上のポリカーボネート樹脂、更に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂を混合し、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの方法により2ピークの分子量分布を有するものも使用可能である。
尚、本発明における粘度平均分子量とは、ポリカーボネート樹脂組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、かかる可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、次式により算出される20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
更に、上記で求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求めたものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂粉粒体は、Tyler篩による標準篩法で得られた60メッシュより大きい粒子の割合が20〜100重量%であり、30〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、50〜100重量%がさらに好ましい。かかる粉粒体のTyler篩による標準篩法で得られる60メッシュを通過する粒子は、回転成形時の気泡発生には影響しない。しかしながら、60メッシュを通過する粒子の割合が増えると、粉粒体の製造コストが増大し、また回転成形時の飛散等による環境悪化原因となり得る。また粉粒体の嵩比重が低下し、取り扱いや輸送コストの増加につながる。60メッシュを通過する粒子の割合は80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。
また、本発明で使用されるポリカーボネート樹脂粉粒体は、60メッシュより大きい粒子の長径(もっとも長い部分)が、長径と直行する粒子の幅である短径の1.0〜2.5倍であり、好ましくは1.0〜2.0倍、もっとも好ましくは1.0〜1.8倍である。粒子のもっとも長い部分の長径が、長径と直交する粒子の幅である短径の2.5倍を超えると粉粒体を回転成形にて溶融する場合に、雰囲気中の気体を取り込む形で溶融していくため、成形品に気泡が発生する。回転成形時に金型内部の気体を取り除く方法が、気泡を取り除くには有用であるが、粉粒体の粒子が小さい場合、粉粒体を回転成形用金型に投入した直後より溶融が始まり、気泡が発生してしまう。
一方、粉粒体の粒子が大きいほうが、金型内の気体を取り除く効果が顕著である。回転成形中の金型内の気圧は常圧でも成形可能であるが、通常15kPa以下、好ましくは10kPa以下、もっとも好ましくは5kPa以下である。金型内の気圧が低すぎる場合には、特に技術的問題は発生しないが、コストが増大する。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂粉粒体の平均粒子径は特に限定されるものではないが好ましくは0.01〜6mm、より好ましくは0.1〜3.5mm、特に好ましくは0.5〜3.0mmである。また、60メッシュより大きい粒子の長径の平均径は0.25〜8mmの範囲であることが好ましく、0.5〜6mmの範囲であることがより好ましい。粉粒体の粒子径が大きくなりすぎると、回転成形時の溶融に時間がかかり、高温滞留などの別の問題が発生する。
かかる条件を満足するポリカーボネート樹脂粉粒体を得る方法としては、(1)ポリカーボネート樹脂粉粒体を分級する方法、(2)ポリカーボネート樹脂粉粒体を押出機により押出する際、ダイス径および引き取り速度などによりスレッド径およびそのカット長をペレタイザーにより調整する方法などを挙げることができる。また、(3)通常の大きさのポリカーボネート樹脂ペレット、または各種成形体を粉砕する方法、(4)ポリカーボネート樹脂粉粒体を各種メカノケミカル装置により処理する方法、および(5)ポリカーボネート樹脂の溶液中から溶媒を除去する方法などを挙げることができ、適宜目的に応じて使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体を構成するポリカーボネート樹脂組成物は、目的に応じて各種の熱可塑性樹脂および添加剤などを含むことができる。
ポリカーボネート樹脂以外の他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。更にスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも使用することができる。
その他各種添加剤としては、例えば補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイスカーなど)、難燃剤(ハロゲン系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、シリコン系、金属水和物系などであり、滴下防止剤も含む)、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤を配合することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体を構成するポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定剤としてリン系安定剤を含むことが好ましい。かかるリン系安定剤としては、ホスファイト系、ホスホナイト系、およびホスフェート系のいずれも使用可能である。
本発明におけるホスファイト系安定剤としては、さまざまなものを用いることができる。具体的には例えば一般式(4)で表わされるホスファイト化合物である。
Figure 0005267911
[式中Rは、水素または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルカリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはこれらのハロ、アルキルチオ(アルキル基は炭素数1〜30)またはヒドロキシ置換基を示し、3個のRは互いに同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき、また2価フェノール類から誘導されることにより環状構造も選択できる。]
また、一般式(5)で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
Figure 0005267911
[式中R、Rはそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキル基で置換されているもののいずれも選択できる。]
また、一般式(6)で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
Figure 0005267911
[式中R、Rは炭素数12〜15のアルキル基である。尚、RおよびRは互いに同一または互いに異なるのいずれの場合も選択できる。]
ホスホナイト系安定剤としては下記一般式(7)で表わされるホスホナイト化合物、および下記一般式(8)で表わされるホスホナイト化合物を挙げることができる。
Figure 0005267911
Figure 0005267911
[式中、Ar、Arは炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、または炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示し、4つのArは互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。または2つのArは互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。]
上記一般式(4)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。
上記一般式(5)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを挙げることができる。かかるホスファイト化合物は1種、または2種以上を併用することができる。
上記一般式(6)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファイトを挙げることができる。
上記一般式(7)に対応するホスホナイト化合物における好ましい具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−3成分)の1種もしくは2種以上を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物である。また、3種の混合物の場合その混合比は、E2−1成分、E2−2成分およびE2−3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
上記一般式(8)に対応するホスホナイト化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト(E3−1成分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
一方ホスフェート系安定剤としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリメチルホスフェートである。
上記のリン系安定剤に対して更に好ましいリン系安定剤としては、以下の一般式(9)および(10)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 0005267911
(式(9)中、RおよびRは、それぞれ炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
Figure 0005267911
(式(10)中、R、R、R10、R11、R14、R15、およびR16はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、R12は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、およびR13は水素原子またはメチル基を示す。)
式(9)中、好ましくはRおよびRは炭素原子数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基である。かかる式(9)の化合物としては具体的に、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどがあげられ、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
一方、式(10)のリン化合物は公知の方法で製造できる。例えば下記一般式(11)に示されるビスフェノール化合物と三塩化リンとを反応させて相当する塩化リン酸を得て、その後それと下記一般式(12)で示されるフェノールとを反応させる方法などがある。
Figure 0005267911
(式(11)中、R、R、R10、およびR11はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、R12は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、およびR13は水素原子またはメチル基を示す。)
Figure 0005267911
(式(12)中、R14、R15、およびR16はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
上記一般式(11)の化合物の具体例としては、2,2’−メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−エチリデンビスフェノール、2,2’−エチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,2’−イソプロピリデンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、および2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などが挙げられ、好ましく使用することができる。
一般式(11)の化合物としてより好ましくは、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、および2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を挙げることができる。
一方、一般式(12)の化合物の具体例としては、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−s−ブチルフェノールなどが挙げられ、好ましく使用できる。一般式(12)の化合物の具体例としてより好ましいのは、アルキル置換基を2つ以上有する場合である。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体を構成するポリカーボネート組成物はフェノール系酸化防止剤を含むことが好ましい。かかるフェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用することができる。
かかるフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げることができ、好ましく使用できる。
より好ましくは、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンであり、更にn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネートが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体を構成するポリカーボネート樹脂組成物はイオウ系酸化防止剤を含んでいることが好ましい。かかるイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。より好ましくはリン系安定剤を必須として併用する場合であり、特にリン系安定剤として上記一般式(9)、または一般式(10)の化合物を含んでいることが好ましい。更に好ましいのはリン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤の3成分を必須成分として併用する場合である。かかる場合においてもリン系安定剤として上記一般式(9)、または一般式(10)の化合物を含んでいることが好ましい。
これらの安定剤の組成物中の割合としては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、リン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸化防止剤はそれぞれ0.0001〜1重量部であることが好ましい。より好ましくはポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0005〜0.5重量部である。更に好ましくは0.001〜0.2重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体を構成するポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含むことが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワツクス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物(シリコーンオイル、シリコーン樹脂など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。
好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げられ、例えばステアリン酸モノグリセライドなどのモノグリセライド類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。離型剤はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
更に紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、2−(4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンジカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリ{[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も配合することができる。
かかる紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.02〜1重量部である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としてはポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、一般名Solvent Violet31[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名 バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テラゾールブルーRLS」]、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社のマクロレックスバイオレットやテラゾールブルーRLS等があげられ、特に、マクロレックスブルーRR、マクロレックスバイオレットBやテラゾールブルーRLSが好ましい。これらブルーイング剤は通常0.3〜1.2ppmの濃度でポリカーボネート樹脂中に配合される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばポリカーボネート樹脂および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
他に、ポリカーボネート樹脂および任意に他の成分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法、ポリカーボネート樹脂および任意に他の成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂粉粒体を回転成形する際に使用する回転成形機は特に制限されるものではない。しかしながら回転成形金型を直接急速加熱および急冷できるものが、金型内部の温度ムラがなく、成形効率にも優れるため好ましい。かかる回転成形機としては例えば江南特殊産業(株)製「GYRO SPACE」システムなどを挙げることができる。更に好適には金型内部の気圧を下げる設備がついているものが好ましい。
回転成形は特に大型の成形品を低歪で得ることが可能である。したがってかかる回転成形体としては各種グレージング材、照明カバー、および大型容器などを得るのに適しており、航空機、船舶、車両、電子・電気機器、機械装置などの幅広い分野に好適に使用されるものである。
本発明により得られたポリカーボネート樹脂製回転成形体は、気泡の発生がなく、各種グレージング材、照明カバー、および大型容器などを得るのに適しており、その奏する工業的効果は格別なものである。
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。尚、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。評価は以下の方法によった。
(1)成形品外観;回転成形体を5個成形し、その外観を目視で観察し、気泡の発生などの不良を生じた成形品個数を求めた。
(2)ポリカーボネート樹脂粉粒体の形状及び分布;ポリカーボネート樹脂粉粒体をTyler篩による標準篩法にて60メッシュより大きいものをとり、質量割合を測定し60メッシュonの重量割合を求めた。また、60メッシュonをキーエンス製ビデオマイクロ顕微鏡にて50倍で観察した。測定は2次元的に観察される粒子のもっとも長い部分を長径とし、長径に対して垂直な粒子幅の最大値を短径とした。500個の粉粒体について測定し、それぞれの短径に対する長径の比率を計算し、その平均値を求めた。さらに長径の平均値を求めた。
ポリカーボネート樹脂粉粒体の平均粒子径はレーザ回折式粒度分布測定にて測定した。
(3)粘度平均分子量の測定;ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計を用いて塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めた。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表1記載の原材料を、V型ブレンダーに表記載の量投入した後混合し均一な混合物を得た。かかる混合物を径30mmの二軸ルーダー[(株)日本製綱所製TEX−30]により、3000Paの真空度でベント吸引しながらシリンダー温度270℃で押出してペレットを得た。得られたペレットは下記粉砕方法(A法またはB法)により粉砕した。実施例3及び4は粉砕せずにペレットのまま使用した。比較例3はペレタイズ時の引き取りスピードを変えることで形状の違うペレットを得た。
得られたポリカーボネート樹脂組成物粉粒体を120℃で5時間、熱風乾燥機を用いて乾燥した後、江南特殊産業(株)製「GYRO SPACE」を用いて回転成形を行った。300℃のオイルを通して金型設定温度を約300℃とした後、金型内に粉粒体1kgを投入した。かかる温度で主軸の回転数50rpm、該主軸にと共に回転する小軸の回転数50rpmの条件で回転を行い、約15分間回転させた。その後室温のオイルを投入して徐々に金型温度を室温付近まで冷却させながら更に約18分間の回転を続け、回転を停止させた後、金型内から図1及び図2で示される容器成形品を取出し、上記評価を行った。実施例4及び比較例3は金型内脱気を行い、気圧を5kPaにした。
尚、表1記載の各ポリカーボネート樹脂組成物を示す記号、および粉砕方法は下記の通りである。
PC1:ホスゲン法により製造された粘度平均分子量18,100のポリカーボネート樹脂
PC2:ホスゲン法により製造された粘度平均分子量23,500のポリカーボネート樹脂
B1:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト(チバジャパン株式会社製Irgafos168)
B2:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバジャパン株式会社製Irganox1076)
B3:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(クラリアントジャパン製サンドスタブP−EPQ)を50℃、95%RHにて24時間状態調節し、粉砕して使用。
B4:ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学製スミライザーTP−D)
B5:ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(チバジャパン製Irganox1010)
UV1:2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(ケミプロ化成(株)製ケミソーブ79)
L1:グリセリンモノステアレート(理研ビタミン(株)製リケマールS−100A)
L2:アルキルモノステアレートとアルキルトリグリセリン混合物(理研ビタミン(株)製リケマールSL−900A)
L3:ペンタエリスリトールテトラステアレート(コグニス社製ロキシオールVPG861)
CL1:アントラキノン系染料(バイエル社製マクロレックスバイオレットB)
CL2:アントラキノン系染料(バイエル社製マクロレックスブルーRR)
N1:パーフルオロブチルスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学工業社製メガファックF−114)
N2:ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム塩(シールサンドケミカルズ社製KSS)
N3:リン系難燃剤(錦海化学社製FG−1500)
粉砕方法−A法:ポリカーボネート樹脂ペレットを凍結粉砕機により粉砕し、該粉砕品を篩分級処理した。
粉砕方法−B法:ポリカーボネート樹脂ペレットを常温で粉砕機により粉砕し、該粉砕品を篩分級処理した。
Figure 0005267911
容器成形品の正面図である。 容器型成形品の底面側側面図である。
符号の説明
1 容器型成形品本体(欠球型。厚み約2mm)
2 容器型成形品正面中心線(上下方向)
3 成形品直径(360mm)
4 底面欠球(孔開き)部分
5 底面欠球(孔開き)部分直径(140mm)

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂粉粒体を回転成形する回転成形体の成形方法であって、該ポリカーボネート樹脂粉粒体として、Tyler篩による標準篩法で得られた60メッシュより大きい粒子の割合が20〜100重量%であり、且つ60メッシュより大きい粒子の長径が、長径と直行する粒子の幅である短径の1.0〜2.5倍であるポリカーボネート樹脂粉粒体を用いることを特徴とする回転成形体の成形方法
  2. ポリカーボネート樹脂粉粒体の平均粒子径が0.01〜6mmの範囲である請求項1記載の回転成形体の成形方法
  3. 60メッシュより大きい粒子の長径の平均径が0.25〜8mmの範囲である請求項1記載の回転成形体の成形方法
  4. 回転成形体を成形する際に、金型内部を15kPa以下に減圧することを特徴とする請求項1記載の回転成形体の成形方法。
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