JP4091693B2 - 光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板 - Google Patents

光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂よりなる光学用ポリカーボネート樹脂成形材料に関する。更に詳しくは成形性、熱安定性および耐加水分解性に優れた光学用、特に光ディスク基板に適した成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は透明性が高く、耐熱性や寸法安定性も優れているので、光学記録材料例えば光ディスク材料として利用されている。ポリカーボネート樹脂が使用されている光ディスクとして、具体的にはコンパクトディスク(CD)が代表的であるが、最近記録容量、特に記録密度が一層向上したDVD、DVD−ROM、DVD−RあるいはDVD−RAMの開発が進められている。
【0003】
かかる光学用途においては特に光学的歪みの少ない事が重要な要求特性であって、一般に複屈折が100nm以下である事が必須条件とされている。この様な低い複屈折の成形品を得るには、成形時に良好な流動性や離型性が要求される。成形時の流動性を良くするために、粘度平均分子量が約20,000以下のポリカーボネート樹脂を使用している。しかしながら、それでも成形時の樹脂温度は300℃〜400℃という高温を必要とし、解重合による分子量低下や熱劣化による着色が生じ易い。そのため、ポリカーボネート樹脂に対して優れた耐熱性が要求される。
【0004】
従来、ポリカーボネート樹脂の熱安定性を改良する方法として種々の化合物を配合する試みがなされている。これらの化合物としてとくに亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリクレジルの如き亜リン酸エステルが一般的である。かかる亜リン酸エステルはポリカーボネート樹脂の加工温度ではかなり高い蒸気圧を有するため、充分な熱安定性を付与し得る量を使用すると、得られる成形品に気泡やいわゆるシルバーが入り易いという問題が発生する。その改良技術としてポリカーボネート樹脂に部分エステルと亜リン酸エステルを用いた光学用組成物が提案されている。(特公平1−23498)。しかし、近年では、成形のハイサイクル化に伴う高い離型性が要求される様になってきた。
【0005】
また、ポリカーボネート樹脂製の光ディスク基板のもう一つの問題として、局所加水分解物の発生が挙げられる。これは光ディスク基板を高温高湿下で長時間放置した際、基板内に10〜100μ程度の球状の白色欠点が発生する問題である。この白色欠点は発生場所により情報の読み取りを妨げるため可及的に減少させる必要がある。この白色欠点の発生メカニズムについては明らかでないが、アルカリ性の微小物質がトリガーとなって引き起こされていると考えられる。
これらの問題を解決するため本発明者は以前ポリカーボネート樹脂に高級脂肪酸の部分エステル、リン酸トリメチル、亜リン酸エステルおよび亜リン酸を配合した光学用成形材料を提案した(特開平10−60247号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記特許公報における成形性、熱安定性、白色欠点抑制力を損ねること無く、耐加水分解性をさらに向上させたポリカーボネート樹脂を提供することである。
【0007】
本発明者は上記本発明の目的を達成するため鋭意研究をかさねた結果、高級脂肪酸エステル特に高級脂肪酸と多価アルコールとから誘導される部分エステル、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよび亜リン酸をそれぞれ特定量併用することによって、ポリカーボネート樹脂にその優れた成形性、熱安定性および耐加水分解性を付与し得ることを究明し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粘度平均分子量12,000〜18,000のポリカーボネート樹脂に(A)高級脂肪酸エステル100〜1,000ppm、(B)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト5〜300ppm、(C)亜リン酸1ppm〜10ppmを配合してなり、(D)リン酸トリメチルを含有しない光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および該材料からなる光ディスク基板に係わるものである。
以下本発明についてさらに詳しく説明する。
【0009】
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとポリカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレンα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0010】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3、5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも一種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独集合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0011】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を溶液法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当たっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤を使用しても良い。又ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルポリカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の二種以上を混合した混合物であってもよい。
【0012】
溶液法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分から5時間程度、反応中のPHは9以上に保つのが好ましい。
【0013】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたはアルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0014】
【化1】
Figure 0004091693
【0015】
[式中、Aは水素原子または炭素数1〜9、好ましくは1〜8の脂肪族炭化水素基でありrは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
【0016】
上記単官能フェノール類の具体的例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0017】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いてポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調整剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果が有り、また基板の複屈折率が低減される効果もあり、好ましく使用される。なかでも、下記一般式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0018】
【化2】
Figure 0004091693
【0019】
【化3】
Figure 0004091693
[式中、Xは−R−O−、−R−CO−0−または−R−O−CO−である。ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
【0020】
かかる一般式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0021】
また、一般式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0022】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0023】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0024】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどがあげられ、なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。
【0025】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-9から10-3当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0026】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重宿反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロルフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0027】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で12,000〜18,000である。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、光学用材料として充分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0028】
本発明で使用する(A)成分は例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、硫化魚油の脂肪酸等の炭素数10〜22の一価脂肪酸と例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールから誘導される部分エステルの単独または混合物である。そのエステル化率は、多価アルコールを完全にエステル化した時のエステル化率を100%とすると10〜80%、好ましくは20〜60%の範囲である。この(A)成分の使用量はポリカーボネート樹脂に対し100〜1,000ppm、好ましくは200〜900ppmの範囲である。100ppmより少ないと、溶融成形時の離型性が悪くなって成形品に曇りや離型歪に基づく光学的歪を生じるようになり、1,000ppmより多いと溶融成形時に熱分解により成形品にシルバーを生じさせたり、基板やスタンパーに汚れを発生させるようになる。
【0029】
(B)成分であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトはポリカーボネート樹脂の熱安定性を向上させると共に(A)成分との相互作用によって成形品の色相を改善する効果を奏する。その使用量はポリカーボネート樹脂に対し5〜300ppm、好ましくは10〜200ppmである。5ppmより少ないと、充分な熱安定性向上効果や色相改善効果を発現し難く、300ppmを超えると、耐沸水性が低下する
【0030】
(C)成分は亜リン酸であり、その使用量はポリカーボネート樹脂に対し1〜10ppmである。1ppmより少ないと充分な加水分解抑制効果が得られ難く、10ppmを超えるとポリカーボネート樹脂の色相に影響を与える様になり易い。
【0031】
本発明の光学用成形材料の調製は任意の混合法によって実施でき、混合の順序も任意でよい。特に押出機による溶融混合法が最も好ましい方法である。また、本発明の成形材料は例えば樹脂温度300〜400℃、金型温度60〜140℃で射出成形または射出圧縮成形により光ディスク基板を成形することができる。更に、本発明の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料には必要に応じて例えば紫外線吸収剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
【0032】
【実施例】
以下実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。なお、評価は下記の方法によった。
【0033】
1.耐熱性
50×50×2mmの平板を射出成形機[住友重機(株)製ネオマット150/75]によりシリンダー温度380℃、成形サイクル35秒で成形中、成形を一旦停止して380℃で10分間滞留させた後成形を再開し、滞留前後のL値、a値、b値をスガ試験機(株)製色差計により測定し、下記式により色差(△E)を求めた。△Eが大きい程色が悪くなり、耐熱性に劣ることを示す。
【0034】
【数1】
Figure 0004091693
[式中L1、a1、b1は滞留前のL値、a値、b値であり、L2、a2、b2は滞留後のL値、a値、b値である。]
【0035】
2.色相
1.における滞留前の平板のb値で示した。b値が大きい程色が悪いことを示す。
【0036】
3.耐沸水性
1.における滞留前の平板をオートクレーブ中に120℃×100%RHの条件下で200時間放置し、その前後の粘度平均分子量の(△M)を求めた。△Mが大きい程分子量低下が大きいことを示す。
【0037】
4.離型応力
ペレットを成形温度300℃、金型温度80℃の条件で肉厚4mm、高さ20mm、底部直径63mm、上部開口直径70mmのカップ状成形品を成形する際に突出しプレートに取り付けたストレンゲージにより離型荷重を測定し、離型性を評価した。離型応力が小さい程離型性の良いことを示す。
【0038】
5.白色欠点
ペレットを用いてディスク成形機[住友重機(株)製DISK3 MIII ]により光ディスク用基板(直径120mm、厚さ1.2mm)を成形し、その基板25枚を80℃×85%RHの条件下で168時間放置した後、光学顕微鏡を用いて基板中の球状白色欠点を数え、これを白色欠点数とした。
【0039】
6.外観
上記光ディスク用基板を目視で観察し、欠点(離型不良による汚れやシルバー等)の有無を判定した。欠点無しを○、欠点少し有を×、欠点多数有を××として評価した。
【0040】
実施例1〜2および比較例1〜6
温度計、攪拌機および還流冷却器付き反応器にイオン交換水219.4部、48%水酸化ナトリウム水溶液40.2部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン57.5部(0.252モル)およびハイドロサルファイト0.12部を溶解した後、塩化メチレン181部を加え、撹拌下15〜25℃でホスゲン28.3部を40分要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液7.2部およびp−tert−ブチルフェノール2.42部を加え、撹拌を始め、乳化後トリエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで稀釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほとんど同じになったところで、軸受け部に異物採取口を有する隔離室を設けたニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、粘度平均分子量14,000のパウダーを得た。ついでこのパウダーに表1記載の量の脂肪酸エステル、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、亜リン酸を添加混合して250〜270℃の温度範囲で30mm押出機によりスレッドを押出しカッターでペレット化した。このペレットを用い前記の評価方法により各項目を評価し、その結果を表1にまとめた。
【0041】
実施例3〜4
攪拌機および蒸留塔を備えた反応器に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50.2部(0.22モル)、ジフェニルカーボネート(バイエル社製)49.2部(0.23モル)および触媒として水酸化ナトリウム0.000005部とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.0016部を仕込み、窒素置換した。この混合物を200℃まで加熱しながら溶解させた。次いで、減圧度を30Torrとした加熱しながら1時間で大半のフェノールを留去し、さらに270℃まで温度を上げ、減圧度を1Torrとして2時間重合反応を行ったところで、末端停止剤として2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート2.3部を添加した。その後270℃、1Torr以下で5分間末端封鎖反応を行った。次に溶融状態のままで、触媒中和剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を0.0023部(4×10-5モル/ビスフェノール1モル)添加して270℃、10Torr以下で10分間反応を継続し、粘度平均分子量14,000のポリマーを得た。このポリマ−をギアポンプで30mm押出機に送った。押出機の途中で表1記載の脂肪酸エステル、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、亜リン酸を加え、250〜270℃の温度範囲で30mm押出機によりストランドを押出しカッタ−でペレット化した。このペレットを用い前記の評価方法により各項目を評価し、その結果を表1にまとめた。
【0042】
なお、表1中の脂肪酸エステルを表す記号は下記の通りである。
A1:ステアリン酸モノグリセリド
A2:ベヘン酸モノグリセリド
【0043】
【表1】
Figure 0004091693
【0044】
【発明の効果】
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料は色相、耐熱性、耐沸水性および離型性に優れているので、310℃〜400℃の高温で成形しても分解、焼け、シルバー等を生ずることなく、金型を正確に転写し、実用上問題になる様な光学的歪みがなく且つ高温高湿下で長時間放置しても球状白色欠点の発生がない成形品が得られる。従って光ディスク用基板、各種レンズ、プリズム、フレネルレンズ等の光学用途に有用であり、特に光ディスク用基板として優れている。

Claims (4)

  1. 粘度平均分子量12,000〜18,000のポリカーボネート樹脂に、(A)高級脂肪酸エステル100〜1,000ppm、(B)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト5〜300ppm、(C)亜リン酸1ppm〜10ppmを配合してなり、(D)リン酸トリメチルを含有しない、光学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
  2. 高級脂肪酸エステルが炭素数10〜22の一価脂肪酸と多価アルコールとから誘導される部分エステルである請求項1記載の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
  3. 請求項1記載の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料よりなる光ディスク基板。
  4. 請求項1記載の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料よりなるDVD用光ディスク用基板。
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