JP2011089049A - ポリカーボネート樹脂及びそれを用いた積層成形部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面硬度の優れた外観の良い積層成形部材の提供、及びその原料として有用なポリカーボネートの提供。
【解決手段】化合物(A)から得られる130〜160℃のTgのポリカーボネート、及び該ポリカーボネートを主成分とする層を有する積層成形部材。
Figure 2011089049

【選択図】なし

Description

本発明は、所定の構造のポリカーボネート、及びそれを用いた積層成形部材に関する。更に詳しくは、特定構造のポリカーボネート、及びそれを用いた、表面硬度に優れるとともに、外観の良い積層成形部材に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、優れた電気特性、難燃性、透明性、寸法安定性、及び機械的物性を示し、且つ軽量であることから、電気電子分野、自動車分野、及び建築資材分野で広く用いられている。特にビスフェノールA由来のポリカーボネート樹脂は、安価で透明性、耐衝撃強度に優れることから無機ガラスの代替材料として、シート状、及びフィルム状に成形され、電気電子部品、建築資材等に広く利用されている。しかしながら、ビスフェノールA由来のポリカーボネート樹脂は表面硬度に劣るという欠点があった。
この問題を解決する手段として、ビスフェノールA由来のポリカーボネート樹脂の成形体の表面を改質する手法が種々提案され、例えば、シリコーン系もしくはアクリル系材料を用いて表面にハードコートを施す方法、及びアクリル系ポリマー材料の層を積層する方法が提案されている。また、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂基体の表面に、所定のフィラーが透明樹脂マトリックス中に分散してなる樹脂組成物からなる薄層を形成して、表面強度を改善することが提案されている。
これらの方法では、ビスフェノールA由来のポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート樹脂を主原料とする基体の表面に、ポリカーボネート樹脂と異なる材料からなる層を積層する必要があり、密着不良が生じ易く、また、吸水率の違い及び線膨張係数の違いにより反りの発生が生じ易いという問題があった。また、使用後のリサイクルの観点では、分別回収が困難であるという欠点もある。
また、特許文献2には、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(以下、CBPZと略)を出発原料の一つとするポリカーボネート樹脂を用いることで、引掻き耐性特性(表面硬度)を改善することが提案されている。しかしながら、CBPZからなるポリカーボネート樹脂は、加熱溶融成形法により成形体を得る際に、熱劣化(焼け易い)しやすいという欠点があり、電気電子機器に搭載される表示パネルとして用いた際に外観が良好な積層成形体を得ることができなかった。
特開2007−145015号公報 特表2009−500195号公報
本発明が解決しようとする課題は、表面硬度に優れたポリカーボネート樹脂からなる積層成形部材の外観性の改善である。
より具体的には、本発明は、高い表面硬度及び良好な外観性が要求される成形体の原料として有用な、ポリカーボネートを提供することを課題とする。
また、本発明は、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂とともに、加熱溶融共押出しすることによって、高い表面硬度及び良好な外観性を有する積層成形部材を作製可能なポリカーボネートを提供することを課題とする。
また、本発明は熱劣化し難く、加熱溶融成形法による成形体の原料として適するポリカーボネート樹脂を提供することを課題とする。
また、本発明は、表面硬度に優れるとともに外観が良好な、ポリカーボネート樹脂組成物からなる積層成形部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ビスフェノール骨格中に脂肪族環を持たず、且つ芳香環にメチル基を有する所定の構造の化合物を原料とするポリカーボネートが、熱劣化(焼け易い)し難い材料であるとともに、高い表面硬度の形成体となり得るとの知見を得た。さらに、この知見に基づいて種々検討した結果、特に、ガラス転移温度(Tg)が所定の範囲である、前記構造のポリカーボネートは、ビスフェノールA由来のポリカーボネート樹脂と共に加熱溶融共押出しが可能であり、簡便な加熱溶融共押出成形法により、高い表面硬度を有するとともに、外観が良好な積層成形部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 1種類以上の一般式(A)で表される化合物を、炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネートであって、且つガラス転移温度(Tg)が130〜160℃であるポリカーボネート。
Figure 2011089049
(式中、Xは、
Figure 2011089049
であり;R1及びR2はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表し;R3及びR4はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表し;R5は置換基を有してもよい1〜9のアルキレン基であり;aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。)
[2] 極限粘度[η]が0.2〜1.0〔dl/g〕である[1]のポリカーボネート。
[3] 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンからなる群から選ばれる化合物である[1]又は[2]のポリカーボネート。
[4] 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタンである[1]〜[3]のいずれかのポリカーボネート。
[5] 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタンと、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、及び1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との混合物である[1]〜[3]のいずれかのポリカーボネート。
[6] 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンと、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、及び1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との混合物である[1]〜[3]のいずれかのポリカーボネート。
[7] 前記炭酸エステル形成化合物が、ホスゲンである[1]〜[6]のいずれかのポリカーボネート。
[8] [1]〜[7]のいずれかのポリカーボネートを主成分とする第1の組成物からなる層と、該第1の層と隣接する、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネートを主成分とする第2の組成物からなる層と、を少なくとも有する積層成形部材。
[9] 第1及び第2の組成物を溶融共押出法によって成形してなる[8]の積層成形部材。
[10] シート状又はフィルム状である[8]又は[9]の積層成形部材。
本発明のポリカーボネートは、所定の構造を有するビスフェノール類を構成単位として含むので、熱劣化し難く、且つ高い表面硬度の成形体の原料として有用である。また、本発明のポリカーボネートは、ガラス転移温度が所定の範囲であるので、通常広く用いられているビスフェノールA由来のポリカーボネートとともに、加熱溶融共押出し成形法により、積層させることができる。その結果、簡便に、表面硬度に優れ、外観が良好な積層成形部材を提供できるという効果がある。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.ポリカーボネート
本発明は、1種類以上の一般式(A)で表される化合物を、炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネートであって、且つガラス転移温度(Tg)が130〜160℃であるポリカーボネートに関する。
Figure 2011089049
式中、Xは、
Figure 2011089049
であり;R1及びR2はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表し;R3及びR4はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表し;R5は置換基を有してもよい1〜9のアルキレン基であり;aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。
中でも、Xは、
Figure 2011089049
であるのが好ましい。
本発明では、前記一般式(A)で表される化合物1種のみ用いても、2種以上併用してもよい。但し、本発明のポリカーボネートは、前記一般式(A)で表される化合物以外のビスフェノール類から誘導される単位を含まない。
前記一般式(A)で表される化合物の具体例には、1,1’−ビフェニル−3,3’ジメチル−4,4’−ジオール、1,1’−ビフェニル−2,2’ジメチル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ケトン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、3,3’−ジメチル−4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、及び2,2’−ジメチル−4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールなどが含まれる。
また、これらの中でも特に2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。
本発明では、前記一般式(A)で表されるビスフェノール類として、純度が98%以上に精製された化合物を使用するのが好ましく、さらに99%以上に精製された化合物を使用するのがより好ましい。特に、2,4’−ジヒドロキシ化合物等を始めとする異性体等種々の異性体を含む材料を利用すると、反応性が低下し、重合の制御が困難となり好ましくない。
一方、本発明に利用可能な前記炭酸エステル形成化合物の例には、ホスゲン、並びにジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、及びジナフチルカーボネートなどのビスアリルカーボネートが含まれる。
本発明のポリカーボネートの製造には、前記炭酸エステル形成化合物を1種のみ用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明のポリカーボネートは、ビスフェノールAと炭酸エステル形成化合物とからポリカーボネートを製造する際に利用される種々の方法、例えば、ビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、及びビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法のいずれの方法を採用しても製造することができる。
ホスゲン法とエステル交換法とでは、前記一般式(A)で表される化合物の反応性を考慮した場合、ホスゲン法の方が好ましい。
ホスゲン法においては、通常、酸結合剤及び溶媒の存在下において、前記式(A)で表されるビスフェノール類と、ホスゲンとを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物を分子量調節剤として加えることが好ましい。また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤、又はフロログルシン、イサチンビスフェノールなどの分岐化剤を小量添加してもよい。反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって好ましい範囲が左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
一方、エステル交換法においては、前記ビスフェノール類とビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜24時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく。また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
本発明のポリカーボネートは、シートフィルム状に成形するために溶融押出成形、射出成形、圧縮成形、湿式成形など公知の成形法で成形可能である。特に、熱劣化し難いので、溶融押出成形法等、加熱溶融成形法の原料として適する。特に、後述する通り、他のポリカーボネートとともに、加熱溶融成共押出法により、積層成形部材として成形することができる。
上記溶融押出成形の原料とするには、極限粘度0.2〜1.0dl/gの範囲であることが好ましく、極限粘度が0.3〜0.6dl/gの範囲であることがさらに好ましく、極限粘度0.39〜0.45dl/gの範囲であることが特に好ましい。ポリカーボネート樹脂の極限粘度が0.2dl/gより低いと、シートフィルム状に成形したした際に機械的強度が低く、1.0dl/gより高いと成形性に劣り好ましくない。
本発明のポリカーボネートは、ガラス転移温度(Tg)が130〜160℃であり、好ましくは140〜160℃である。本発明のポリカーボネートは、ガラス転移温度が、上記範囲であるので、後述する、ビスフェノールA由来のポリカーボネート樹脂と共に、加熱溶融共押出法といった簡易な方法で、積層成形部材として成形することができる。
本発明のポリカーボネートの一例は、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン(CBPAP)を、炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネートである。この例では、GPCによって測定される重量平均分子量(ポリスチレン換算)が、30,000〜70,000程度であると、Tgが130〜160℃の範囲になる。
本発明のポリカーボネートの他の例は、CBPAPと、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、及び1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、炭酸エステル形成化合物とを反応させて得られるポリカーボネートである。この例では、GPCによって測定される重量平均分子量(ポリスチレン換算)が30,000〜70,000程度であると、Tgが130〜160℃の範囲になる。また、この例では、CBPAPの割合が、全ビスフェノール類の合計モル数に対して、50モル%を超えているのが好ましく、50モル%を超えて90%以下であるのが好ましく、50モル%を超えて70モル%以下であるのがより好ましい。
本発明のポリカーボネートのさらに他の例は、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCFL)と、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、及び1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、炭酸エステル形成化合物とを反応させて得られるポリカーボネートである。この例では、GPCによって測定される重量平均分子量(ポリスチレン換算)が、30,000〜70,000程度であると、Tgが130〜160℃の範囲になる。
また、この例では、BCFLの割合が、全ビスフェノール類の合計モル数に対して、20モル%〜70モル%であるのが好ましく、30モル%〜60モル%であるのが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
より詳細には、BCFLと2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンとの組合せでは、BCFLは、全ビスフェノール類の合計モル数に対して、50モル%未満であるのが好ましく、20モル%以上50モル%未満であるのがより好ましく、30モル%以上50モル%未満であるのが特に好ましい。また、BCFLと、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン及び/又はビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタンとの組み合わせでは、BCFLは、全ビスフェノール類の合計モル数に対して、40モル%以上であるのが好ましく、40モル%以上70モル%以下であるのがより好ましく、50モル%以上60モル%以下であるのが特に好ましい。
2. 積層成形部材
本発明は、本発明のポリカーボネートを主成分とする第1の組成物からなる層と、該第1の層と隣接する、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から誘導されるポリカーボネートを主成分とする第2の組成物からなる層と、を少なくとも有する積層成形部材にも関する。
本発明の積層成形部材の製造方法については特に制限はなく、溶融押出成形、射出成形、圧縮成形、湿式成形など公知の成形法で成形可能である。溶融押出成形法等、加熱溶融成形法は、汎用されている簡便な方法であるので好ましい。特に、原料として用いる本発明のポリカーボネートが熱劣化し難いので、この方法を利用すると有利である。
本発明の積層成形部材の製造に利用される前記第1の組成物は、本発明のポリカーボネートを主成分として含有し、前記第2の組成物は、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネートを主成分とする。ここで「主成分として含有する」とは、組成物の全成分(溶媒を含む場合は溶媒を除いた全成分)の合計重量に対して、50重量%以上含有する状態をいい、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含有する状態をいう。
第2の組成物が主成分として含有するポリカーボネートは、ビスフェノールAから誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネート類である限りいずれであってもよい。但し、溶融共押出法により本発明の積層成形部材を形成する場合は、第1の組成物と第2の組成物のガラス転移温度の差が、10℃以下(より好ましくは5℃以下)であるのが好ましく、そのためには、第2の組成物が主成分として含有するポリカーボネートのガラス転移温度は、140〜155℃程度であるのが好ましい。前記範囲にガラス転移温度を有する、ビスフェノールAから誘導される単位を有するポリカーボネート類の中には、市販されているものもあり、例えば、「ユーピロンE−2000R」、「ユーピロンS−1000R」、「ユーピロンS−2000R」、「ユーピロンS−3000R」、「ユーピロンH−3000R」及び「ユーピロンH−4000」(全て、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)などがその例であり、これらの市販品を利用するのも好ましい。
前記第1及び第2の組成物は、それぞれ主成分であるポリカーボネート以外に、1種以上の添加剤を含有していてもよい。添加剤の例には、成形時に必要な安定性や離型性を確保することを目的として添加される添加剤が挙げられ、具体的には、ヒンダードフェノール系やホスファイト系酸化防止剤;シリコン系、脂肪酸エステル系、脂肪酸系、脂肪酸グリセリド系、密ろう等天然油脂などの滑剤や離型剤;ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系、サリチレート系等の光安定剤;ポリアルキレングリコール、脂肪酸グリセリド等帯電防止剤;などが挙げられる。これらは、主成分であるポリカーボネートに対して、1重量%程度以下添加されるであろう。
本発明では、前記第1及び第2の組成物はそれぞれ、主成分として含むポリカーボネート樹脂類以外のポリカーボネート樹脂類を含まないのが好ましい。
本発明の積層成形部材の製造方法の一例は、以下の通りである。
まず、前記第1及び第2の組成物をそれぞれ調製する。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂の粉末と、所望により添加剤とを混合して、第1の組成物を調製する。第2の組成物についても同様に調製する。次に、主押出機に第2の組成物を、及び副押出機に第1の組成物をそれぞれ導入し、シリンダー温度を220〜320℃程度に設定しそれぞれ溶融した後、Tダイから溶融共押出する。シート状に押出された溶融物を、その後、表面温度110〜160℃程度に設定した水平2本ロール間を通過させて、シート状又はフィルム状の積層成形部材を得る。
上記方法は、一例であり、この条件等に限定されるものではない。温度条件等の製造条件は、適宜設定することができる。また、上記では、2層からなる積層成形部材の製造方法の例を示したが、共押出法におり、3層以上からなる積層成形部材を製造することも勿論可能である。
本発明の積層成形部材の形状については、特に制限はない。シート状及びフィルム状に成形されたものが挙げられる。また、第1の組成物からなる層、及び第2の組成物からなる層の厚みについても特に制限はなく、その相対的関係についても特に制限はない。本発明のポリカーボネートを主成分として含有する第1の組成物からなる層は、特に高い硬度を示すので、例えば、第2の組成物からなる基体(例えば、厚みは20〜30,000μm程度)の表面に、第1の組成物からなる、高い表面硬度の層(例えば、厚みは30〜300μm程度)を有する態様が一例として挙げられる。
本発明の積層成形部材は、電気電子分野、自動車分野、及び建築資材分野の部材として広く利用することができる。特に高い表面硬度を示し、外観も良好であるので、電気電子機器に搭載される表示パネル用の部材として有用である。
本発明の積層成形部材を構成する2つの層はいずれもポリカーボネート類を主成分として含有するので、密着性が良好であり、また吸水率の違いや線膨張係数の違いなどに起因する反りの発生なども生じ難い。また、他のポリマー類と混合した部材や、他のポリマー類からなるコート層を形成した部材と比較して、リサイクルの観点でも好ましい。
また、本発明のシロキサン共重合ポリカーボネートを主成分とする第1の組成物からなる層のさらに表層(第2の組成物からなる基体の反対側)に、公知の熱硬化、紫外線硬化ハードコートをさらに積層させて表面硬度を向上させることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
1.本発明のポリカーボネートの合成
[合成例1]
7.0w/w%の水酸化ナトリウム水溶液700mlに、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン(本州化学工業株式会社製、以下「CBPAP」と略称)101.8g(0.320mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.08g、及びハイドロサルファイト0.2gを溶解した。
これにメチレンクロライド500mlを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、引き続き、ホスゲン45gを30分間で吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称)1.92gを加え、激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、1mlのトリエチルアミンを加え、温度20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、60℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、温度120℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.43dl/gであった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm-1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂(以下PC−1と略称)であることが確認された。
[合成例2]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、CBPAP 61.1g(0.192mol)と2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(本州化学工業株式会社製、以下「BPC」と略称)32.8g(0.128mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−2と略称)の極限粘度は0.39dl/gであった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
[合成例3]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、CBPAP 71.2g(0.224mol)と1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオール(本州化学工業株式会社製、以下「CBP」と略称)20.5g(0.096mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−3と略称)の極限粘度は0.41dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
[合成例4]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(本州化学工業株式会社製、以下「BCFL」と略称)36.3g(0.096mol)と、BPC57.3g(0.224mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−4と略称)の極限粘度は0.42dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
[合成例5]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、BCFL 72.6g(0.192mol)と、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(本州化学工業株式会社製、以下「CBPF」と略称)29.2g(0.128mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−5と略称)の極限粘度は0.45dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
[合成例6]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、BCFL 60.5g(0.160mol)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(旭有機材工業株式会社製、以下「CBPE」と略称)38.7g(0.160mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−6と略称)の極限粘度は0.43dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
2.比較例用ポリカーボネートの合成
[合成例7]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、CBPAP 10.2g(0.032mol)と、BPC 73.7g(0.288mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−8と略称)の極限粘度は0.36dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
[合成例8]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、BCFL 60.5g(0.160mol)と、BPC 41.0g(0.160mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−9と略称)の極限粘度は0.45dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
[合成例9]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、1,1−ビス(4ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(本州化学工業株式会社製、以下「CBPZ」と略称)94.7g(0.320mol)に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−10と略称)の極限粘度は0.37dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。なお、CBPZは、特許文献2に利用されているポリカーボネートである。
[合成例10]
CBPAP 101.8g(0.320mol)を、CBPAP 50.9g(0.160mol)と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学株式会社製、以下「BPA」と略称)36.5g(0.160mol)との混合物に変更した以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−11と略称)の極限粘度は0.43dl/gであった。ポリカーボネート樹脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
3.合成したポリカーボネートの性質
合成例1〜10で作製したポリカーボネートのそれぞれの性質を、下記の表1にまとめた。
なお、極限粘度は、温度20℃で、各ポリマーの0.5%ジクロロメタン溶液を調製し、ハギンズ定数0.45で測定した値である。
また、ガラス転移温度(Tg)は、島津製作所製:DCS−50にて、窒素気流下にて測定した値(接線法によりTg算出)である。また、メルトボリュームレイト(MVR)は、東洋精機製:D−Aにて、300℃、1.2kg荷重にて測定した値である。
4.積層成形部材の作製
合成例1〜6のそれぞれと等しい原料仕込み比率でスケールアップ試作を行い、シート成形実施可能な重合体それぞれの粉末を30kg以上製造した。得られたPC−1〜6のそれぞれの粉末に、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト0.01重量%を混合した後、混合粉末を副押出機(ベント付25mm単軸押出機、ムサシノキカイ株式会社製MK−25、シリンダー温度290℃)へ、並びに市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製の「ユーピロンE−2000R」;ビスフェノールAの繰り返し単位を含むポリカーボネート;ガラス転移温度は150℃)を主押出機(ベント付30mm単軸押出機、ムサシノキカイ株式会社製MK−30、シリンダー温度290℃)にそれぞれ導入した。溶融物をフィードブロック型のTダイを経て共押出し、水平2本ロール(ロール温度:150℃)により除冷し、積層押出シート(表面に100μm厚のPC−1〜6それぞれからなる層、裏面に200μm厚のポリカーボネート樹脂からなる層)を得た。この様にして、実施例の積層押出シート試料1〜6を作製した。
合成例7〜10のそれぞれと等しい原料仕込み比率でスケールアップ試作を行い、シート成形実施可能な重合体(PC−7〜10)それぞれの粉末を30kg以上製造した。得られたPC−7〜10のそれぞれの粉末を用いた以外は、上記と同様にして、比較例用の積層押出シート試料7〜10を作製した。
5.積層成形部材の評価
得られた積層シート試料それぞれについて、その表面に関して、鉛筆引っかき試験(JIS−K5600−5−4準拠)を行って、表面硬度を評価した。
具体的には、三菱鉛筆製UNI使用して、積層成形部材の表面(PC−1〜10からなる層の表面)について5回、JIS−K5600−5−4準拠して測定を行い、傷発生が2回以下なら合格とした。
また、目視により、シート外観評価を行った。
結果を下記表2に示す。
Figure 2011089049
Figure 2011089049

Claims (10)

  1. 1種類以上の一般式(A)で表される化合物を、炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネートであって、且つガラス転移温度(Tg)が130〜160℃であるポリカーボネート。
    Figure 2011089049
    (式中、Xは、
    Figure 2011089049
    であり;R1及びR2はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表し;R3及びR4はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は各々置換基を有してもよい、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、もしくは炭素原子数6〜12アリール基を表し;R5は置換基を有してもよい1〜9のアルキレン基であり;aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。)
  2. 極限粘度[η]が0.2〜1.0〔dl/g〕である請求項1に記載のポリカーボネート。
  3. 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンからなる群から選ばれる化合物である請求項1又は2に記載のポリカーボネート。
  4. 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
  5. 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタンと、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、及び1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
  6. 前記1種類以上の一般式(A)で表される化合物が、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンと、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、及び1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
  7. 前記炭酸エステル形成化合物が、ホスゲンである請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネートを主成分とする第1の組成物からなる層と、該第1の層と隣接する、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネートを主成分とする第2の組成物からなる層と、を少なくとも有する積層成形部材。
  9. 第1及び第2の組成物を溶融共押出法によって成形してなる請求項8に記載の積層成形部材。
  10. シート状又はフィルム状である請求項8又は9に記載の積層成形部材。
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