JP5344861B2 - オルガノシロキサン共重合樹脂 - Google Patents

オルガノシロキサン共重合樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性を維持しつつ、透明性や柔軟性があり、撥水性に優れ、摩擦係数が小さく、表面特性に優れ、さらには、溶液粘度が低くハンドリング性に優れた樹脂組成物に関する。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールAと略記することがある〕とテレフタル酸及びイソフタル酸とから得られるポリアリレートは、エンジニアリングプラスチックとして既によく知られている。かかるポリアリレートは、耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法安定性に優れ、その成形品は電気・電子、自動車、機械等の分野に幅広く応用されている。
また、優れた電気的特性(絶縁性、誘電特性等)、耐熱性を有しているため、コンデンサ等の電子部品用フィルム、液晶表示装置用等の光学フィルム、微細加工用のベースフィルムなどに応用されている。
一般的に、光学用途に使用される樹脂材料は、色変化の起こりにくいものが適している。しかし、ポリアリレートは紫外線照射により色変化の起こることが知られている。そのため、光学用途へ展開するときには限界のある場合があり、紫外線照射による色変化の起こらない材料設計が求められていた(特許文献1)。
また、近年、これらの用途では、フレキシビリティー性を要求されることが多くなっており、樹脂材料には柔軟性が必要とされていたが、ポリアリレートでは不十分なものであった(特許文献2、3)。
さらに、樹脂表面の防汚性・撥水性や、摩擦や摩耗に対する要求は、ますます厳しいものになってきている。例えば、摺動部品材料では金属や他のプラスチック材料との摩擦摺動により傷が生じたりする問題があり、低摩擦の材料が求められている。
また、防汚性・撥水性や低摩擦特性を成型品の表面コートで達成させようとする場合は、コート液に使用される樹脂材料は、ハンドリング性の観点から、溶液粘度の低いことが望まれる。
特開2000−255016号公報 特開2000−243988号公報 特開2000−243144号公報
本発明は、耐熱性を維持しつつ、透明性や柔軟性があり、紫外線による色変化が抑制され、さらには、撥水性に優れ、摩擦係数が小さく、表面特性に優れ、また、溶液粘度の低い樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定構造の酸成分から構成され、かつオルガノシロキサン構造を有するシロキサン共重合樹脂が、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(1)(A)ジカルボン酸残基、(B)二価フェノール残基、および(C)オルガノシロキサン残基より構成されるオルガノシロキサン共重合樹脂であって、全ジカルボン酸に対し、60モル%以上の脂環族ジカルボン酸を含み、前記脂環族ジカルボン酸が、下記一般式(I)で示される脂環族ジカルボン酸であり、オルガノシロキサンが、下記一般式(II)で示されるオルガノシロキサンであり、樹脂中におけるオルガノシロキサン残基の割合が0.05質量%以上80質量%未満であることを特徴とするオルガノシロキサン共重合樹脂。
[一般式(II)中R1およびR2は、同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜12個の脂肪族基または芳香族基である。R3、R4、R5およびR6は、すべて同一でも異なっていても良い脂肪族基または芳香族基である。mは20以上の整数であり、X1およびX2は一般式(III)のいずれかの基である。一般式(III)中、R10は炭素原子数が1〜5個の脂肪族基または芳香族基であり、sは0〜4の整数である。]
(2)ジカルボン酸が、脂環族ジカルボン酸/脂肪族ジカルボン酸=60/40〜100/0(モル比)であることを特徴とする(1)のオルガノシロキサン共重合樹脂。
(3)(1)または、(2)に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂を成形して得られる成型体、フィルムまたはコート被膜。
本発明によれば、特定構造を有する(A)ジカルボン酸残基、(B)二価フェノール残基、および(C)オルガノシロキサン残基よりなるオルガノシロキサン共重合樹脂は、耐熱性を維持しつつ、透明性や柔軟性があり、紫外線による色変色が抑制され、さらには撥水性に優れ、摩擦係数が小さく、溶液粘度の低いオルガノシロキサン共重合樹脂を提供することができ、特に、電気機器、モータ、発電機、相間絶縁、電線の被覆等の絶縁被膜、変圧器やコンデンサーなどの誘電体被膜、液晶表示用の基板フィルム、そのコート層や積層フィルム、情報記録用ディスクなどの基板や、その積層体、光学レンズや電子写真感光体用バインダー、音響機器の振動板などへの適用が可能であり、産業上の利用価値は極めて高い。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂は、特定構造を有する(A)ジカルボン酸残基、(B)二価フェノール残基、および(C)オルガノシロキサン残基より構成される。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂を構成するジカルボン酸残基を与えるジカルボン酸としては、下記一般式(I)で示すシクロヘキサンジカルボン酸である必要があり、その具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、などのシクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。中でも、耐熱性の優れている点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましく用いられる。
なお、脂環族ジカルボン酸とは、シクロヘキサン構造を有するジカルボン酸であり、メチル基やメトキシ基等の側鎖が付いたものでも良い。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂に用いるシクロヘキサンジカルボン酸は、オルガノシロキサン共重合樹脂を構成する全ジカルボン酸成分に対し60モル%以上配合する必要があり、耐熱性、フィルムとして用いた場合の紫外線による黄変を抑制するためには90モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂に用いるジカルボン酸としては、脂環族ジカルボン酸としてシクロヘキサンジカルボン酸を用いるほかに、他の脂肪族ジカルボン酸を含んでもよい。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
他の脂肪族ジカルボン酸を配合する場合は、脂環族ジカルボン酸/脂肪族ジカルボン酸=60/40〜100/0(モル比)の範囲で混合することが必要であり、耐熱のためには90/10〜100/0が望ましい。脂肪族ジカルボン酸の配合が、40モル%を超える場合は、本願発明の耐熱性に優れるオルガノシロキサン共重合樹脂とすることができず好ましくない。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂を構成する二価フェノール残基を与えるニ価フェノールの具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔ビスフェノールAP〕、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔TMビスフェノールA〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフルオレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジsec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3ーフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール〔TMBP〕、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2ーヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2ーヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。
上記の二価フェノールの中でも、工業的に入手しやすく、耐熱性に優れている点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔TMビスフェノールA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン〔TMビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン〔ビスフェノールAP〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕が好ましい。これらは1種だけ用いても、2種以上を併用してもよい。
中でも、側鎖にメチル基を有する二価フェノールとして、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔TMビスフェノールA〕は、溶媒に溶解し、塗工液とした場合に、溶液濃度を下げずに溶液粘度を下げられるために、溶液粘度を低く抑えることができ、塗工時のハンドリングが向上し、特に好ましい。
また、側鎖にメチル基を有しない二価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン〔ビスフェノールAP〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕を用いた場合は、紫外線を照射したときに、黄変の程度が抑制され、特に好ましい。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂を構成するオルガノシロキサンは、下記式(II)で示される。
上記一般式(II)中R1及びR2は、同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜12個の脂肪族基または芳香族基である。R3、R4、R5およびR6は、すべて同一でも異なっていても良い脂肪族基または芳香族基である。mは20以上の整数であり、X1およびX2は一般式(III)のいずれかを示す。一般式(III)中、R10は炭素原子数が1〜5個の脂肪族基または芳香族基を示し、sは0〜4の整数である。
オルガノシロキサン構造のシロキサン長を示す上記一般式(II)におけるmは20以上の整数であり、好ましくは20以上250以下、特に好ましくは20以上100以下である。mが4以下のときは耐熱性が低下し、250を超えるときは、オルガノシロキサンの粘度増加や溶解性低下のため重合時のハンドリング性が低下したり、得られるオルガノシロキサン共重合樹脂の透明性が低下したりすることがある。
オルガノシロキサン共重合樹脂中における、上記一般式(II)で示されるオルガノシロキサン残基の含有量は、0.05質量%以上80質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上50質量%以下である。0.05質量%未満の場合は、樹脂の弾性率を低下させ柔軟性を付与したり、撥水性などシロキサン導入による効果が不十分となることがあり、80質量%を超えるときは耐熱性が不足する場合がある。
なお、オルガノシロキサン共重合樹脂中における一般式(II)で示されるオルガノシロキサン残基の含有するモル比は、好ましくは0.001モル%以上、10モル%未満であり、特に好ましくは、0.01モル%以上、1モル%未満である。0.001モル%未満の場合は、撥水性などシロキサン導入による効果が不十分となることがあり、10モル%以上のときは耐熱性が不足することがある。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂のカルボキシル価およびアミン価は、それぞれ100mol/t以下とすることが必要であり、好ましくは50mol/t以下であり、最適には30mol/t以下である。カルボキシル価およびアミン価がそれぞれ100mol/tを超えると、加水分解しやすくなったり、溶融成型後に着色が見られたり、樹脂の絶縁破壊電圧、耐アーク性や誘電率等の電気的特性が悪化したりする傾向がある。また、樹脂を溶媒に溶解して塗工液とした場合、溶液の保存安定性が低下する傾向にある。塗工液の保存安定性が低下すると、時間の経過とともに、白濁したり沈澱、不溶物が生じたり、増粘してゲル化したりして、その結果として均一な被膜が形成できなくなり、被膜の機械特性や電気的特性が低下する場合がある。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂の分子量は、重量平均分子量Mwを指標として表すことができ、重量平均分子量Mwは30,000〜300,000が好ましく、より好ましくは50,000〜200,00である。重量平均分子量Mwが30,000未満では、樹脂の強度が不足する場合がある。一方、重量平均分子量Mwが300,000を超えると、高粘度のため取扱いが困難になる傾向がある。樹脂の分子量は、製造に際して、後述する末端封止剤の添加量によって制御することができる。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂を製造する方法としては、界面重合法や溶液重合法などの有機溶媒中で反応させて得る方法、あるいは溶融重縮合などの溶融状態で反応させる方法が挙げられるが、重合性や、得られた樹脂の外観の点から、有機溶媒中での反応、特には低温で反応をおこなうことができる界面重合法によって製造することが最も好ましい。
界面重合法とは、水と相溶しない有機溶剤に溶解させた二価カルボン酸ハライドと、アルカリ水溶液に溶解させた二価フェノールとを混合することによってポリエステルを得る重合方法である。界面重合法に関する文献として、W.M.EARECKSON J.Poly.Sci.XL399 1959年や、特公昭40−1959号公報などが挙げられる。界面重合法は溶液重合法と比較すると、反応が速いため、酸ハライドの加水分解を抑えることができ、結果として高分子量の樹脂を得ることができる。
界面重合法についてさらに詳細に例示する。まず、水相として、二価フェノールのアルカリ水溶液を調製し、続いて、重合触媒を添加する。次に、有機相として、水と相溶せず樹脂を溶解する有機溶媒にオルガノシロキサンを溶解させ、この溶液を先のアルカリ溶液に混合する。一方で、この混合液とは別に、有機溶媒に二価カルボン酸ハライドを溶解させ、この溶液を先のアルカリ・有機溶媒混合溶液にさらに添加することにより、オルガノシロキサン共重合樹脂を重合する。
重合条件としては、好ましくは50℃以下の温度で1時間〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなうことによって所望の樹脂溶液を得ることができる。
界面重合において二価フェノール水溶液を調製する際に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが挙げられる。
本発明の樹脂の末端は、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸などで封止されていてもよい。そのような末端封止剤として用いられる一価フェノールとしては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「p−(α−クミル)フェノール)」と記すことがある。)2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、一価酸クロライドとしては、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどが挙げられ、一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが挙げられ、一価カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などが挙げられる。これらの中でも、好ましい末端封止剤としては、p−tert−ブチルフェノールが挙げられる。
界面重合の重合触媒としては、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライドなどの第四級アンモニウム塩や、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライドなどの第四級ホスホニウム塩が挙げられるが、中でも、重合を促進しやすく、樹脂中に含有する二価カルボン酸量を300ppm以下にしやすい点で、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが好ましい。
界面重合における有機相の溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどのケトン系溶媒を用いることができるが、重合性の観点から、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、シクロヘキサノンなどが好適に使用される。
重合後に得られた樹脂溶液に酢酸を添加し、重合を終了したあと、樹脂溶液を水で繰返し洗浄し、樹脂溶液に含まれるナトリウムやカリウム、および重合触媒などのイオン性成分を除去する。洗浄に使用する水は、酸性であっても、塩基性であっても構わないが、洗浄廃液水が、中性になるまで繰返し洗浄することが望ましい。
ここで得られたオルガノシロキサン共重合樹脂溶液を、貧溶媒に添加することによりポリマーを析出させる(再沈殿)。ここで用いられる貧溶媒としては、特に限定はされないがメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類やヘキサンなどの炭化水素などが好適に用いられる。析出で得られたポリマー固形分はろ過などで単離し、その後に乾燥させることにより固形分を得ることができる。
本願発明のオルガノシロキサン共重合樹脂は、得られた樹脂単独で用いても良いし、または、2種類以上を混合して用いても良い。
また、本願発明のオルガノシロキサン共重合樹脂に、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定化剤や酸化防止剤などを適宜加えても構わない。紫外線吸収剤としては、公知のものを用いることができ、溶剤に対する溶解性、樹脂との相溶性及び耐久性、特に薄膜クリアに対し、ブリードアウトすることなく通常の紫外線吸収剤よりも高濃度な添加を行うことが可能なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
本願発明のオルガノシロキサン共重合樹脂は、耐熱性を維持しつつ、透明性や柔軟性があり、紫外線による色変化が抑制され、撥水性に優れ、摩擦係数が小さく、電気的特性(絶縁性、誘電特性等)に優れるため、コンデンサ等の電子部品用フィルム、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL用の位相差フィルム、偏光フィルム、反射防止フィルム、視野角拡大フィルム、高輝度フィルム、拡散フィルム、導光フィルム等の光学フィルム、およびそのコート層や積層体、ITO膜等を付与したタッチパネル、微細加工用のベースフィルム、スピーカーなどの音響機器用振動板などの他、電子回路基板、液晶ドライバ、ワイヤーハーネス等の絶縁保護被膜として用いることができる。
また、短波長領域での透明性にも優れるため、CD−RやDVD−Rなどのような光記録メディアや平面ディスプレー、電子写真方式の感光体バインダー、光学レンズなどに用いられるほかに、半導体レーザーや発光ダイオードなどの光源材料として使用することができ、特に350nm近傍の短波長の紫外線の透過性に優れるため、次世代の高密度な光記録メディア等に使用することが可能である。
次に、本発明を実施例、比較例によって具体的に説明する。
なお、実施例においては、下記一般式(IV)〜(VII)の構造を有するオルガノシロキサンを用いた。使用したオルガノシロキサンの分子量、mの関係を表1に示す。
得られたオルガノシロキサン共重合樹脂に対して、各種評価を以下の方法に従って行なった。
1.樹脂特性
(分子量)
ウォーターズ社製GPCシステム(1515HPLCポンプおよび2414示差屈折計)、検出器として2410 RI、カラムとしてMixed-D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300x内径7.5mm)を用い、溶媒クロロホルムを流速1ml/分として、ポリスチレン換算で、重量平均分子量を測定した。
(Tg)
樹脂15mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、−80℃から300℃までを、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
(溶解性)
樹脂10質量部に対してクロロホルム90質量部を加え、25℃において24時間攪拌し、ゲル物などの不溶物が発生せずに樹脂が溶解したかを判断した。溶解したものを○、溶解なかったものを×とした。
(溶液粘度)
クロロホルムを溶媒とし、樹脂固形分10%のポリマー溶液を作製し、15℃での溶液粘度を測定した。
(カルボキシル価)
試験管に樹脂0.15gを精秤し、ベンジルアルコール5mlに加熱溶解した。クロロホルム10mlと前記の樹脂のベンジルアルコール溶液とを混合した後、フェノールレッドを指示薬として加え、撹拌しながら0.1N−KOHベンジルアルコール溶液で中和滴定を行なってカルボキシル価を求めた。
(アミン価)
樹脂0.5gをm−クレゾール20mlに60℃で溶解した後、室温まで冷却し、0.1N p−トルエンスルホン酸水溶液で滴定を行うことにより求めた。
2.フィルム特性
上記で得られたオルガノシロキサン共重合樹脂に対して、樹脂15質量部にクロロホルム85質量部加えて作製した溶液を用い、PETフィルム上に溶液流延塗布を行い100μmの塗膜を作製した。得られた塗膜について、減圧にて120℃24時間乾燥して、樹脂フィルムを作製した。そして、以下の評価を行なった。
(透過率)
日立製作所製U−4000形自記分光光度計を用い、得られた100μmの樹脂フィルムでの、波長350nmおよび450nmにおける光線透過率を測定し 、透過率50%以上を合格とした。
(引張弾性率・引張伸度)
得られた100μmの樹脂フィルムで、インテスコ社 引張圧縮試験機を用い、JIS K-2318に準拠し、引張弾性率と、破断点での引張伸度を測定した。
(接触角)
得られた100μmの樹脂フィルムで、JIS R 3257に準拠し、協和界面科学社製接触角計CA−DT・A型を用いて、20℃×50%RHの環境下で、50μmの樹脂フィルムに対し、純水を滴下することで接触角の測定を行った。接触角が大きいほど、撥水性が高いことを示す。
(摩擦係数)
得られた100μmの樹脂フィルムで、協和界面科学製TS501を用い、SUS製の線状接触子を用いて、荷重50g、速度100m/秒で測定した。
(紫外線照射)
屋外に放置したときの黄変の程度を把握するための簡易な試験として、サンハヤト製紫外線露光装置に、360nm付近の波長を発する補虫器用ブラックライト10W-FL10BL6を取り付け、上記で得たフィルムを用い紫外線を24h照射した。日本電飾工業株式会社製Z−Σ90を用いて、紫外線照射前後のイエローインデックス(YI)を測定し、紫外線照射前後のYIの変化である△YIを測定することで、黄変の程度を調べた。なお、紫外線照射前のYIをYIと表記する。
製造例1
攪拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン24.4219.67質量部(97.2モル部)、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)0.50質量部(3.0モル部)、アルカリとして水酸化ナトリウム13.4010.82質量部(300モル部)、重合触媒としてベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド(BTBAC)0.47質量部、ハイドロサルファイトナトリウム(SHS)0.17質量部を仕込み、水1000質量部に溶解した(水相)。また、これとは別に、塩化メチレン200質量部に、下記式(IV)で示すオルガノシロキサン9.85質量部(2.8モル部)を溶解した(有機相1)。この有機相1を、先に調製した水相中に強攪拌下で添加し、そのまま15℃で30分間攪拌した。
さらに、この有機相1とは別に、塩化メチレン400質量部に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド23.36質量部(101.5モル部)を溶解した(有機相2)。この有機相2を、すでに攪拌している水相と有機相1の混合溶液中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間重合反応を行った。この後攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、新たに塩化メチレン200質量部、純水1000重量部と酢酸を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。この有機相を純水で5回洗浄した後に、有機相をヘキサン中に添加してポリマーを沈殿させ、分離・乾燥後、オルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)を得た。その結果を表2に示す。得られたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)の樹脂組成は、NMRで確認したところ、仕込みの配合通りの樹脂組成であった。
製造例2
二価フェノール成分として2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisC)25.48質量部(97.0モル部)、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)0.46質量部(3.0モル部)、アルカリとして水酸化ナトリウム12.48質量部(300モル部)、オルガノシロキサン9.83質量部(3.0モル部)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド21.75質量部(101.5モル部)とした以外は、製造例1と同様に製造し、オルガノシロキサン共重合樹脂(P−2)を得た。その結果を表2に示す。得られたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−2)の樹脂組成は、NMRで確認したところ、仕込みの配合通りの樹脂組成であった。
製造例3〜製造例8
製造例1と同様にして、オルガノシロキサン共重合樹脂(P−3)〜(P−8)の製造を行った。その結果を表2に示す。得られたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−3)〜(P−8)の樹脂組成は、NMRで確認したところ、すべて仕込みの配合通りの樹脂組成であった。
製造例9〜製造例12
製造例1と同様にして、オルガノシロキサン共重合樹脂(P−9)〜(P−12)の製造を行った。その結果を表3に示す。得られたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−9)〜(P−12)の樹脂組成は、NMRで確認したところ、すべて仕込みの配合通りの樹脂組成であった。
製造例13〜製造例15
製造例1と同様にして、ポリアリレート樹脂(P−13)〜(P−15)の製造を行った。その結果を表3に示す。得られたポリアリレート樹脂(P−13)〜(P−15)の樹脂組成は、NMRで確認したところ、すべて仕込みの配合通りの樹脂組成であった。
実施例1
製造例1で作成されたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)15質量部にクロロホルム85質量部を加えて作製した溶液を用い、PETフィルム上に溶液流延塗布を行い100μmの塗膜を作製した。得られた塗膜について、減圧にて120℃24時間乾燥して、樹脂フィルム(F−1)を作製し、各種評価を行なった。その結果を、表4に示す。
実施例2
オルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)の代わりにオルガノシロキサン共重合樹脂(P−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂フィルム(F−2)を作製し、各種評価を行なった。評価結果を表4に示す。
実施例3
オルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)の代わりにオルガノシロキサン共重合樹脂(P−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂フィルム(F−3)を作製し、各種評価を行なった。評価結果を表4に示す。
実施例4〜実施例10
実施例1と同様の操作を行って、樹脂フィルム(F−4)〜(F−10)の評価を行なった。評価結果を表4に示す。
比較例1〜比較例5
実施例1と同様の操作を行って、樹脂フィルム(F−11)〜(F−15)の評価を行なった。評価結果を表5に示す。
実施例11
製造例1で作成されたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)15質量部にクロロホルム85質量部、紫外線吸収剤として チバスペシャリティケミカル社製チヌビンPを0.15質量部を加えて作製した溶液を用い、PETフィルム上に溶液流延塗布を行い100μmの塗膜を作製した。得られた塗膜について、減圧にて120℃24時間乾燥して、樹脂フィルム(F−16)を作製し、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
実施例12
製造例2で作成されたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−2)を用いた以外は、実施例11と同様にして、樹脂フィルム(F−17)を作製し、各種評価を行なった。評価結果を表5に示す。
実施例13〜15
実施例11と同様の操作を行って、樹脂フィルム(F−18)〜(F−20)の評価を行なった。評価結果を表5に示す。
実施例で得られたフィルムは、引張弾性率が低く柔軟性に優れていた。また、接触角は大きく、摩擦係数が低かった。そのため、樹脂組成物の表面が汚れにくく摩擦や摩耗に強く、表面特性が優れていた。また、溶解時の溶液粘度が低いために、ハンドリング性にも優れていた。
比較例1で得られたフィルムは、用いたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−11)のジカルボン酸成分として、MPCを用いたため、紫外線照射時の黄変が著しかった。
比較例2で得られたフィルムは、用いたオルガノシロキサン共重合樹脂(P−12)の二価フェノール成分として、側鎖を有するビスフェノールCを用いたため、紫外線照射時の黄変が著しかった。また、引張弾性率が低く柔軟性に優れているが、耐熱性が不足した。
比較例3で得られたフィルムは、用いたポリアリレート樹脂(P−13)には、オルガノシロキサンが共重合されていないため、引張弾性率が高く柔軟性に乏しかった。
比較例4で得られたフィルムは、用いたポリアリレート樹脂(P−14)のジカルボン酸成分としてSBCを所定以上に用い、また、オルガノシロキサンが共重合されていないため、柔軟性に乏しく、また耐熱性も不足した。
比較例5で得られたフィルムは、用いたポリアリレート樹脂(P−15)のジカルボン酸成分としてMPCを用い、また、オルガノシロキサンが共重合されていないため、紫外線照射時の黄変が著しかった。また、弾性率が高く柔軟性に乏しかった。さらに、接触角は小さく、摩擦係数が高かった。そのため、樹脂組成物の表面が汚れやすく摩擦や摩耗に弱く、表面特性が不十分であった。

Claims (3)

  1. (A)ジカルボン酸残基、(B)二価フェノール残基、および(C)オルガノシロキサン残基より構成されるオルガノシロキサン共重合樹脂であって、全ジカルボン酸に対し、60モル%以上の脂環族ジカルボン酸を含み、前記脂環族ジカルボン酸が、下記一般式(I)で示される脂環族ジカルボン酸であり、オルガノシロキサンが、下記一般式(II)で示されるオルガノシロキサンであり、樹脂中におけるオルガノシロキサン残基の割合が0.05質量%以上80質量%未満であることを特徴とするオルガノシロキサン共重合樹脂。
    [一般式(II)中R1およびR2は、同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜12個の脂肪族基または芳香族基である。R3、R4、R5およびR6は、すべて同一でも異なっていても良い脂肪族基または芳香族基である。mは20以上の整数であり、X1およびX2は一般式(III)のいずれかの基である。一般式(III)中、R10は炭素原子数が1〜5個の脂肪族基または芳香族基であり、sは0〜4の整数である。]
  2. ジカルボン酸が、脂環族ジカルボン酸/脂肪族ジカルボン酸=60/40〜100/0(モル比)であることを特徴とする請求項1に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂
  3. 請求項1または、2に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂を成形して得られる成型体、フィルムまたはコート被膜。
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