JP2005008856A - ポリエステルとジアミンとによるポリマー化合物の製造方法、ポリマー化合物、および該ポリマー化合物を含む構造体 - Google Patents

ポリエステルとジアミンとによるポリマー化合物の製造方法、ポリマー化合物、および該ポリマー化合物を含む構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリエステルとジアミンとによるポリマー化合物の製造方法、ポリマー化合物および該ポリマー化合物を含む構造体を提供する。
【解決手段】 本発明の方法は、表面から内部にまで延びる孔を有する多孔質ポリエステルの粒子を提供するステップと、多孔質ポリエステルをジアミンと混合するステップと、混合物を、ジアミンの融点以上であってポリエステルの所定の温度以下の温度に加熱して、ポリエステルと前記ジアミンとを反応させるステップとを有している。また、本発明は、ポリエステルと、特定構造の両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンとのエステル−アミド交換反応により製造されるポリマー化合物を含む構造体を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリエステルとジアミンとを原料としたポリアミドおよび/またはポリエステル−アミド共重合体の製造方法、上記の製造方法により製造されたポリマー化合物、および上述のポリマー化合物を含む構造体に関し、より具体的には本発明は、多孔質ポリエステルを用いて効果的にポリアミドおよび/またはポリエステル−アミド共重合体を製造する方法、上述の方法により製造されたポリマー化合物、および上述のポリマー化合物を含み、エレクトロニクス分野のために好適に使用することができる構造体に関するものである。
ポリエステルとジアミンとを無溶媒下で反応させて、高分子量のポリアミドおよびポリエステル−アミドを製造する方法は、特開2001−11175号に既に報告されている。本方法は、製造の工程でまったく溶媒を使用しないので、溶媒法に比べ、製造コストが大幅に低下すると共に、地球環境の観点からも大変好ましいといえる。しかしながら、上述した無溶媒法は、反応過程中に反応生成物の一部が凝集してゴロを形成してしまうこと、特に高粘度のジアミノポリマーといったジアミンを大量に使用する条件下では、より激しい場合、反応生成物が反応容器内で大きな一体化物を形成してしまい、製造プロセスが失敗することもあること、という問題を生じさせていた。
一方、近年ではエレクトロニクス機器の小型化、薄肉化、軽量化が進展するにつれて、高密度実装が要求されている。そのため、プリント基板用の絶縁材料には、高耐熱性(高Tg:ガラス転移温度)、低誘電率・誘電正接が強く望まれている。また、環境安全面からハロゲンフリーの難燃性が、さらに、最近では、リサイクル性があることが理想的なプリント基板用絶縁材料であるとされている。プリント基板用絶縁材料としては、架橋エポキシが古くから広く利用されて来たが、耐熱性の観点から近年では、ポリイミドが多用されるようになった。しかしながら、ポリイミドは、誘電率が大きい上に、吸湿性があり、電気絶縁材料としてはけっして理想的な材料ではない。また、基材との充分な接着強度を得るためには200℃以上で長時間の熱圧着が必要である。このような条件は、回路の酸化を考慮すれば好ましいものとはいえない。架橋ポリフェニレンオキサイドやBT樹脂等も検討されているが、一長一短があり、先に述べたような高耐熱、低誘電率・誘電正接、ハロゲンフリー難燃性、それにリサイクル性を兼ね備えた理想的な絶縁材料は、これまで提案されていないのが実情であった。
電気特性(低誘電率、低誘電正接)が良好で、撥水性、難燃性の新たな電気絶縁材料を開発する試みが開示されている。特開平8−193139号公報は、ポリイミドに、特開平7−292342号公報は、アラミドにそれぞれポリシロキサン構造を導入して、プリント基板等の絶縁材料の開発を試みている。また、特開昭60−141723号公報や特開平9−151255号公報は、ポリアリレートにシロキサン構造を導入して、ポリアリレートの加工性や耐摩耗性の改良を試ている。このように各種耐熱性樹脂に、ポリオルガノシロキサン構造を導入することは公知である。しかしながら、これらポリオルガノシロキサン構造を樹脂に導入する従来技術は、既存の重合技術を利用して行われているために多くの間題点を有する。すなわち、シロキサン構造を有する化合物は、一般に、重合に用いられる他の反応物質(モノマー)や反応媒体(溶媒)との相溶性が悪く、高ポリオルガノシロキサン含量の目的材料を正確に、かつ高収率で得ることができず、その結果、目的物性を有する絶縁材料を得ることが困難である。
特開2001−11175 特開平8−193139号公報 特開平7−292342号公報 特開昭60−141723号公撮 特開平9−151255号公報
すなわち、本発明は、上述した問題を生じさせることなく、無溶媒プロセスの利点を保持しながらポリアミドおよび/またはポリエステル−アミド共重合体を製造する、新奇な製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明の他の目的は、新奇なモルフォロジーを有する新奇なポリマー化合物を提供することを目的とする。
さらに本発明の他の目的は、上述した新奇なポリマーを含み、エレクトロニクス部品に好適に使用することができる構造体を提供することにある。
(発明の効果)
本発明による多孔質ポリエステルを用いたポリアミドポリエステル−アミド共重合体の製造法により、ジアミンとして粘度の高いジアミノポリマーを使用しても、無溶媒状態で、反応生成物の一体化やゴロの発生等を生ずることなく、ポリアミドおよびポリエステル−アミド共重合体を製造することが可能となる。
また、本発明のポリアリレート−シロキサンは、良好な銅箔への接着強度(ピール強度)、高耐熱性(Tg)、低誘電特性、低吸湿性、難燃性を有するプリント基板用の樹脂付き金属箔、プリプレグの絶縁材料として有用である。加えて、本発明のポリアリレート−シロキサンは、優れた柔軟性を有し、このため、本発明のポリアリレート−シロキサンは、プリプレグおよび絶縁材料の他、フレキシブルプリント回路板のための好適な絶縁材料である。
本発明者は、無溶媒下で、多量のジアミン化合物、とりわけ高粘性のジアミノポリマー化合物を使用しても、ゴロの発生や生成物の一体化等の問題を生じることがない製造法について鋭意検討を続けた結果、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、ジカルボン酸と2価のOH官能基を有する成分とから重合される0.2dl/g以上の極限粘度のポリエステルと、ジアミンとを反応させることにより、ポリマー化合物を製造する方法が提供される。前記方法は、
表面から内部にまで延びる孔を有する多孔質ポリエステルの粒子を提供するステップと、
前記多孔質ポリエステルを前記ジアミンと混合するステップと、
前記混合物を、前記ジアミンの融点以上であって前記ポリエステルの所定の温度以下の温度に加熱して、前記ポリエステルと前記ジアミンとを反応させるステップとを有し、
前記所定の温度は、前記ポリエステルの結晶特性に依存して、前記多孔質ポリエステルの融点、または前記多孔質ポリエステルの流動開始温度である
ポリマー化合物の製造方法が提供される。
さらに、本発明の方法は、前記ポリエステルと前記ジアミンとの反応生成物を溶融混合して、さらに前記ポリエステルと前記ジアミンとを反応させるステップを含むことができる。
前記ジアミンは、両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンとすることができる。前記ポリマー化合物は、ポリアミド、ポリエステル−アミド共重合体、またはポリアミドおよびポリエステル−アミド共重合体を含む。
本発明によれば、ジカルボン酸と2価のOH官能基を有する成分とから重合され、0.2dl/g以上の極限粘度のポリエステルと、ジアミンとを反応させて得られるポリマー化合物が提供される。前記ポリマー化合物は、
表面から内部にまで延びる孔を有する多孔質ポリエステル粒子と、
前記孔内部に形成された前記ポリエステルおよび前記ジアミンの共重合体と
を含むポリマー化合物が提供される。
本発明によれば、ポリマー化合物を含んでなる構造体であって、前記ポリマー化合物は、ポリアリレートと、両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンとから、前記ポリアリレートと前記ポリオルガノシロキサンとのエステル−アミド交換反応により形成され、かつ前記ポリオルガノシロキサンを、前記ポリマー化合物中に1〜50質量%で含有してなり、
前記ポリアリレートが、下記式(3)
Figure 2005008856
の繰り返し単位を含み、前記式(3)中、ArおよびArは、同一でも異なっていても良い2官能性の芳香族残基であり、nは、1〜100の整数であり、
前記両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンが、下記式(4)
Figure 2005008856
で示され、前記式(4)中、RおよびRは、同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜12個の脂肪族基または芳香族基であり、R、R、RおよびRは、同一でも異なっていても良い脂肪族基または芳香族基であり、mは、1以上の整数である、構造体が提供される。
前記構造体は、前記ポリマー化合物100質量部に対して、1〜200質量部のエポキシ化合物を含むことができる。前記構造体は、前記ポリマー化合物がラミネートされた金属箔、前記ポリマー化合物と少なくとも1種の強化材料とを含むプリプレグ、フレキシブルプリント回路またはプリント配線板からなる群から選択することができる。
前記ポリアリレートは、粒子の形状とされ、前記粒子は、表面から内部にまで延びた複数の孔を有することができる。
パートI:ポリマー化合物の製造
先ず、本発明において用いられる、原料としての多孔質ポリエステルとは、ポリエステルの表面から内部に多くの孔を有する粒子状のポリエステルをいう。孔の大きさは、一般には、平均孔径が500μm以下、好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。また、多孔質ポリエステル粒子の大きさは、平均粒径が5mm以下、好ましくは3mm以下である。さらに、多孔質ポリエステル粒子の表面積は、BET法により測定された値で、0.01m/g以上、好ましくは0.05m/g以上、さらに好ましくは0.1m/g以上である。これら多孔質ポリエステルは、一般には、ポリエステルを有機または無機溶媒に溶解して調整した溶液を、該ポリエステルを溶解しない貧(または非)溶媒中に強制攪拌をしつつ導入して沈殿させる溶媒沈殿法、溶液を押出機中で加熱、または減圧下で加熱することによって溶媒を留出させるニーダ法、溶液を噴霧して溶媒を留去するスプレードライ法等、公知の方法によって得ることができる。
次ぎに、本発明でいうポリエステルとは、一般には、有機ジカルボン酸、またはその誘導体からなるジカルボン酸成分と、2価アルコール化合物または2価フェール化合物からなる2価のOH成分とから、重縮合反応によって得られたものである。かかる有機ジカルボン酸またはその誘導体化合物としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジクロライド、ジフエニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびその誘導体や、シュウ酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸およびそれらの誘導体を挙げることができる。また、2価アルコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール等のアルキレングリコールや、シクロヘキサンジオール等が挙げられる。また、2価フェノール化合物としては、レゾルシノール、ハイドロキノン、4,4′−ビフェノール、2,2′−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−(1−メチルペンチリデン)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシルビフェニル、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンや1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン等のテルペンジフェノール類等を挙げることができる。尚、これらジカルボン酸成分や2価のアルコール、フェノール成分は、各々、上例したものの単独若しくは2種以上含んでいても、何等問題はない。
本発明においては、好ましく用いることができるジカルボン酸としては、主としてテレフタル酸やイソフタル酸を用い、2価アルコールとして、エチレングリコール、2価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いて得られる、ポリエチレンテレフタレートやポリアリレートを挙げることができる。また、ポリエステルとして、2種以上のものが混合されて用いられても良く、また、ポリエステルに、他の有機重合体や無機化合物が混合されていても、何等問題はない。また、そのような原料としてのポリエステルの極限粘度は、ヘキサフロロイソプロパノールを溶媒として用いたとき、温度30℃における極限粘度が、0.2dl/g以上、好ましくは0.3dl/g以上である。さらに、ここで用いられるポリエステルの含水率は、一般には、1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下とされる。
このようなポリエステルに対して反応されるジアミン化合物としては、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチレン−1,6−ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン、3,5−トリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノビフェニール、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニール、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニール、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノアントラキノン、3,3′−ジメトキシベンチジン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−p−イソプロピルベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の芳香族ジアミン類;1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−m−ジイソプロピルベンゼン、メンタンジアミン等の脂環式ジアミン類や、ジアミノポリオルガノシロキサン、ジアミノポリエーテル等のジアミノ高分子化合物を挙げることができる。その中でも、とりわけジアミノポリオルガノシロキサンが好ましい。これらジアミン化合物は、単独で使用される以外に、2種以上のものを混合して使用しても、何等問題とならない。そして、上述したジアミンは、その含水率が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下であることが好ましい。
本発明によれば、ポリアミドは、ポリエステルのエステル官能基のすべてをジアミンが置換した場合に得られ、ポリエステル−アミド共重合体は、ジアミンがポリエステル中のエステル官能基のある部分を置換した場合に得られるものである。
また、使用されるジアミンの量は、多孔質ポリエステルの繰り返し単位の1モルに対して、0.001〜1.5モルであることが望ましく、中でも、好ましくは0.005〜1.3モル、さらに好ましくは0.01〜1.2モルである。そのようなジアミンの使用量が、多孔質ポリエステルの繰り返し単位の1モルに対して0.001モル未満では、良好なポリエステルアミド樹脂が得られず、またジアミンの使用量が多孔質ポリエステルの繰り返し単位の1モルに対して1.5モルを越えるようになると、得られるポリアミドやポリエステル−アミド共重合体の分子量が小さくなり易く、また、溶融混練操作において不溶不融のゲルとなり易い。
本発明においては、目的とするポリアミド、またはポリエステル−アミド共重合体は、下記の手順により得ることができる。すなわち、上記反応原料としてそれぞれ特定量の多孔質ポリエステルとジアミンとを加熱・加圧・減圧および攪拌各機能を有する反応容器に仕込み、次いで、かかる反応容器を、使用するジアミン化合物の融点以上、かつ多孔質ポリエステルの所定の温度以下となるように加熱する。上述した所定の温度とは、ポリエステルが結晶性であれば融点であり、ポリエステルが非晶性であれば流動開始温度をいう。上記手順は、次いで、内部を窒素ガス等の不活性ガスで密閉・加圧或いは減圧状態で攪拌・加熱することにより、ポリエステルとジアミンとを反応させる段階へと進行する。
ここで、多孔質ポリエステルとジアミンを反応させる反応温度は、用いるジアミンの融点以上、多孔質ポリエステルの溶融温度以下の温度とされ、概ね100℃〜350℃とされる。一方、その反応時間は、多孔質ポリエステルの形状(孔径、表面積、粒径等)や、ジアミン化合物の粘度に依存するものの、通常では、0.5時間〜50時間とされ、好ましくは1時間〜40時間とされ、さらに好ましくは2時間〜30時間とされる。
本発明の反応を実施するに際して使用される反応容器としては、原料投入口と製品排出口とを有し、かつ内部を、加圧、または減圧状態において、均一に加熱し得るものであれば、例えば、縦型、横型、回転型等の金属製反応容器や粉体の混合・乾燥機等を挙げることができる。
上述したように、本発明の手法に従えば、無溶媒下で、ポリエステルと多量のジアミン、中でも高粘度のジアミノポリマーを多量に反応させても、反応生成物がゴロとなったり、反応容器内に反応生成物が一体化するような問題は生じ得ない。
このようにして得られたポリアミド樹脂やポリエステル−アミド樹脂の極限粘度は、0.3〜1.5dl/g程度である。この反応生成物を、適当な溶融混練装置に仕込み、溶融混練(溶融重縮合)して、ポリエステル樹脂とジアミン化合物の反応を更に促進させることにより、さらに分子量を高めることもできる。
多孔質ポリエステルとジアミンとの反応を促進させるための温度は、150℃から400℃の範囲とされ、200℃から350℃とされることがより好ましい。この反応温度が150℃未満では、反応生成物が充分に溶融せず、反対に400℃を越える温度では、最終的に生成されるポリアミドまたはポリエステル−アミド共重合体の熱分解が激しく、目的とする反応生成物を得ることができない。
さらに、このための溶融混練時間は、通常では、0.1分〜30分とされる。0.1分未満では、反応が完了するに充分ではなく、また、30分を超える混練時間では、得られるポリアミドまたはポリエステル−アミド共重合体の分解やゲル化により、劣化する可能性がある。混練操作の間、混練機内部を、窒素ガス等の不活性ガスで満たしておくことが望ましい。
溶融混練を行うために用いる前記溶融混練装置としては、加熱条件下で、高粘度の樹脂を混練できるものであれば、公知の装置を採用することができる。例えば、ロール、押出機、ニーダ等を挙げることができる。これらのうち、高温下での混練が容易であると共に、副生成物の除去や生成物の回収が容易であることから、ベンチレーション機能を有する1軸、または2軸の押出機、若しくはニーダが、好適に採用される。このようにして得られたポリアミドおよび/またはポリエステル−アミド共重合体の極限粘度は、通常、0.5〜2.0dl/g程度となる。
最終生成物であるポリアミドおよびポリエステル−アミド共重合体には、公知の熱安定剤、光安定剤、着色剤、滑剤、強化材、充填材等の各種配合剤が、単独若しくは混合されて配合することができ、その後、例えば、圧縮成形、射出成形および/または溶融押出成形を含む群から選択される種々の方法により、所望の成形品に成形される。これとは別に、ポリアミドまたはポリエステル−アミド共重合体を好適な溶媒に溶解させ、種々のコーティング組成物または層間絶縁材料またはフィルムとして使用することもできる。
パートII:ポリマー化合物を含む構造体
本発明に従い、本発明の構造体を形成するために使用されるポリアリレート−シロキサンは、ポリアリレートと両末端ジアミノポリシロキサンから、エステル−アミド交換反応により合成されるブロック、またはランダム共重体である。本発明においては、ポリアリレートは、芳香族ジカルボン酸またはその低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステルおよび/または酸ハロゲン化物と2官能性フェノール類とから、重縮合反応により製造することができる。
このような芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニル−m,m−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−m,m′−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−p,p′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。これらは単独若しくは二種以上を混合して使用してもよい。また、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸やそれらの低級アルキルステル、アリールステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物を、共重合体の特性を損なわない範囲で混合して使用してもよい。尚、脂肪族ジカルボン酸やそのエステルを使用する場合は、全ジカルボン酸単位のうち、通常30質量%以下の範囲で使用される。
また、ポリアリレートを製造するために使用される2価のフェノールは、上述したフェノール化合物から選択することができる。これらは、単独若しくは2種以上の化合物を含んで使用されてもよい。このようなポリアリレートとして好ましいものは、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸の混合物を使用し、2価フェノール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用して重縮合された重合体を挙げることができる。
次ぎに、エステル−アミド交換反応に供される、両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサン化合物は、下記一般式(5)で示される。
Figure 2005008856
上記式(5)中、RおよびRは、同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜12個の脂肪族基または芳香族基であり、R、R、RおよびRは、同一でも異なっていても良い脂肪族基または芳香族基であり、mは、1以上の整数である。ここでR、Rの2価の脂肪族基としては、アルキレン基等を挙げることができ、2価の芳香族基としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、ジフェニレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。また、R、R、RおよびRは、メチル基、エチル基またはフェニル基から選択することができる。ポリオルガノシロキサン構造の分子量は特に制限はないが、mが1〜100であるものが好ましく、さらには、mが2〜50であることが好ましい。上述したポリオルガノシロキサンで市販のものとしては、信越化学株式会社、日本製のX−22−1660B−3、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161AB、KF−8012を挙げることができる。
本発明のポリアリレート−シロキサンの調整は、上述したポリアリレートと両末端ジアミノポリオルガノシロキサンを、エステル−アミド交換反応させることにより達成される。エステル−アミド交換反応は、無溶媒下で粉末、または多孔質ポリアリレートと両末端アミノポリシロキサンとを、99:1〜50:50の質量比で、適度な内部攪拌装置を有する反応容器に仕込み、反応副生成物として生成され、使用したポリアリレートの構成成分である、2価のフェノール成分を反応系外に除去しつつ行われる。この際、反応温度は100〜300℃、反応時間は1〜50時間が好ましい。また、ポリアリレートと両末端アミノポリオルガノシロキサン化合物は、反応前に乾燥させて含水率を500ppm以下、好ましくは100ppm以下にすることが好ましい。また、ポリオルガノシロキサンとのエステル−アミド交換反応は、多孔質ポリアリレートを用いるだけで、より効率的に反応が進行することが見出された。
本発明において粒子とは、平均粒径が5mm以下、好ましくは3mm以下のものをいう。また、多孔質とは、表面から内部に延びる多くの細孔を有し、細孔の大きさが、平均孔径500μm以下、好ましくは100μm以下であることを意味する。
本発明のポリアリレート−ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサン構造が、1〜50質量%、好ましく2〜40質量%で含有する。この範囲内であると、Tg、誘電率、難燃性、機械的強度、擦水性(吸湿性)がプリント基板用の絶縁材料として良好なバランスを与えることが見出された。本発明のポリアリレート−ポリオルガノシロキサンの分子量は、塩化メチレンを用い、30℃で測定した極限粘度が、0.3dl/g以上であることが好ましく、0.5dl/g以上であることが、より好ましい。極限粘度が、0.3dl/g未満であると、機械的強度が低く、得られたプリント基板用の絶縁材料として好ましくない。
次に、本発明のポリアリレート−ポリオルガノシロキサンへのエポキシ樹脂の配合は、基材への接着性、耐熱性がさらに向上させることができるので好ましい。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4′−ビフェノール、2,2′−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価フェノール類から誘導される2官能性エポキシ化合物、ヒドロキシベンズアルデヒド類とフェノール類との重縮合物から誘導される多官能性エポキシ化合物、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック類から誘導されるノボラック型エポキシ化合物等を挙げることができる。これらエポキシ化合物は単独若しくは2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明のエポキシ樹脂の配合量は、ポリアリレート−シロキサン100質量部に対して、1〜200質量部、好ましくは2〜100質量部である。配合量が、1質量部未満であると、エポキシ樹脂を配合した効果が顕著に表れない。また、エポキシ樹脂の配合量が200質量部以上では効果が飽和してしまい、かえってリサイクル性や難燃性等に間題を生じることになる。
本発明において、エポキシ樹脂の硬化が必要な場合、エポシキ硬化剤を配合することができる。エポシキ硬化剤の種類としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノール変性ポリブタジエン等のフェノール系硬化剤、ジシアンジアミド、ジアミノ−ジフェニルメタン、ジアミノ−ジフェニルスルフォン、ジエチレン−トリアミン等のアミン系硬化剤、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の酸無水物硬化剤を挙げることができる。
本発明では、上述したポリマー化合物に対して添加剤を加えることができる。これらの添加剤は、樹脂の熱的安定を図るための各種熱安定剤、濡れ性を高めるための各種界面活性剤、シランカップリング剤、難燃性を高めるための各種難燃剤を含む群から選択することができる。また、特定の必要に応じて、無機充填剤、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂類を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で添加しても良い。
本発明のポリマー化合物は、その特性として、適度な機械特性、高Tg、低誘電率、ハロゲンフリー難燃性、吸湿性、接着性(金属箔、ガラス繊維)、耐薬品性(酸、アルカリ)等を有する。また、熱可塑性であるため、煩わしいポットライフ管理の必要がなく、適当な溶剤に溶解して、各種基材(銅箔、アルミ箔等の金属箔、ガラス繊維マット、ガラス繊維ぺーパー、アラミド繊維ぺーパー等)に簡単に塗布ができる。また、溶媒を用いず、Tダイ法(溶融押出法)でフィルム化も可能であり、そのリサイクル性と共に、地球環境的な観点から大変好ましい材料である。上述した諾特性から、本発明のポリマー化合物は、各種樹脂付金属箔、プリプレグとして各種プリント基板用の絶縁材料として好適に用いられる。また、ガラス、シリコン基板等への接着性が優れているので、半導体デバイスの接着剤、層間絶縁膜、保護膜、コーティング組成物としても広い分野で使用することができる。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明をさらに具体的に開示するが、本発明は、後述する実施例の記載によって、なんらの制約をも受けるものでない。また、本発明には、後述する具体的な実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者によれば、当事者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えることができることが理解されるべきである。
多孔質ポリエステルとして、市販の粒状ポリアリレート、U-100(D)(ユニチカ株式会社製、平均粒径、2mm)を使用した。U-100(D)の電子顕微鏡写真を図1に示す。粒子表面から内部に多数の孔があることが分かる。その孔径範囲は、約300〜10μmである。また、表面積は、大倉理研製AMS-8000装置を用い、吸着ガスN(30%)/He(70%)の25℃-1時間の吸着量から、0.21m/gであった。ジアミンとして、市販の変性シリコンオイル、KF−8012(信越化学工業株式会社製、両末端アミノポリオルガノシロキサン、アミノ当量2300)を使用した。U-100(D)は、熱風恒温乾燥機で、150℃、10時間乾燥し、含水率を30ppmとした。変性シリコンオイルは、150℃で攪拌しつつ真空引きをして脱水乾燥し、含水率を30ppmとした。
次ぎに、乾燥U-100(D)の6kgと脱水KF−8012の2kgを、容量10リットルの内部にリボン式回転翼を有する円錐型反応容器に仕込み、内部を20回転/分で攪拌、200℃、5×10Pa(5mbar:1mbar=1×10Pa)の減圧下、反応副生成物を系外に留出させつつ、24時間反応させた。反応生成物は一体化することも、また、一部が凝集して「ゴロ」を発生することもなく、反応前の良好な粒子形態を保ったままであった。反応生成物の1gを500gのアセトンでよくかき混ぜながら洗浄(25℃、24時間)、ろ過、乾燥(50℃、24時間)したところ5質量%の減量が認められた。従って、KF−8012の80質量%が、U-100(D)と反応したことになる。アセトン洗浄後のサンプルを赤外分析したところ、1720cm-1と1000〜1100cm-1にわたる大きな吸収ピークが認められ、ポリアリレートとポリオルガノシロキサンとの共重合体であることが見出された。また、その極限粘度は、0.70dl/gであった。
上記反応生成物を2軸押出機(ベルストルフ社製、スクリュー径40mm、L/D=40、3ベント)にて、設定温度300℃、回転数100回転/分、吐出量10kg/時間、ベント減圧(約1.3×10Pa=10/760×101325Pa)で溶融混練、水冷、ペレット化した。得られたペレットを粉砕して、前述した方法に従い、アセトンで洗浄、乾燥をしたところ、減量は1質量%であった。従って、溶融混練することにより、KF−8012の96質量%が、U-100(D)と反応したことが示された。また、そのサンプルの赤外分析結果は、溶融混練前のサンプルと略同様であった。極限粘度は、0.85dl/gであった。
(比較例1)
多孔質ポリアリレート、U-100(D)の代わりに、ペレット状ポリアリレート、U-100(ユニチカ株式会社製)を機械粉砕し、500メッシュパス品を使用した以外は、実施例1と同様の実験をしたところ、反応の途中で容器内が餅状に一体化してしまい、反応を続行することはできず、反応生成物を容器から取出すことは困難であった。図2は、機械粉砕されたU-100の表面電子顕微鏡写真である。表面には内部に通ずる孔が一切認められず、平滑であった。表面積は0.005m/gであった。
市販ポリエチレンテレフタレート、ノバペックスGS300(三菱化学株式会社製)の50gを、ヘキサフロロイソプロパノール(和光純薬工業株式会社製)に30℃で溶解して、15質量%の溶液を調整した。該溶液を、エタノール/水(質量比で1対1)中に攪拌しつつ間歇的に添加して、GS300を粒状に沈殿させた。沈殿物を80℃、1×10Paで10時間真空乾燥して、多孔質のGS300を調整した。図3はその電子顕微鏡写真である。粒子表面から内部に多数の孔があることが分かる。その孔径範囲は、約100〜30μmである。また、表面積は、5.1m/gであった。該多孔質GS300の30gと実施例1で使用したKF-8012の10gとを、50mlのガラス容器に入れ、充分に攪拌・混合した。次ぎに、該ガラス容器を220℃の真空乾燥機に移し、内部を1×10Paに減圧して、40時間反応させた。反応終了後、室温に下げ、反応物を取り出したところ、一体化することなく、反応開始前の形態を保っていた。反応生成物をアセトンで実施例1に記載の方法で洗浄・乾燥したところ、3質量%の減量が認められた。従って、88質量%のKF-8012がGS300と反応したことが見出された。アセトン洗浄物を赤外分析したところ、実施例1のサンプルと同様の吸収スペクトルが得られた。その極限粘度は、0.76dl/gであった。
(比較例2)
上述した多孔質GS300の代わりに、市販GS300のペッレトを機械粉砕し、500メッシュパス品を使用して、実施例2と同様の実験を実施したところ、反応の途中で、生成物が一体化してしまった。図4は、GS300の機械粉砕品の電子顕微鏡写真である。比較例1の場合と同様に、表面には内部に通ずる孔が認められず、平滑である。表面積は検出限界以下であった。
本実施例では、ポリアリレートとして、市販の多孔質ポリアリレート、U−100(D)(ユニチカ株式会杜製、ジカルボン酸成分;テレフタル酸:イソフタル酸の等モル混合物、ジフェノール;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ガラス転移温度:199℃)およびKF−8012(信越化学工業株式会杜製、アミノ当量=2300)を上記と同じ含水率として使用した。乾燥U−100(D)の6kgと上記の脱水KF−8012の2kgを、容量10リットルの内部にリボン式回転翼を有する円錐型反応容器に仕込み、20回転/分で攪拌しつつ、205℃、1×10Paの減圧下、反応副生成物を系外に留出しながら、20時間反応させた。白色粒状の反応生成物であるポリアリレート−ポリオルガノシロキサン共重合体、U−100(D)/KF−8012(以下、共重合体Aと略する。)、7.9kgを得た。KF−8012の反応状況を知るために、共重合体Aを機械粉砕して、100メッシュ金網を通した粉末10gを500gのアセトンと攪拌しつつ10時間混合して、未反応のKF−8012を除去した。未溶解物を濾過回収・乾燥したところ、質量の減少は、0.7質量%であった。また、アセトン洗浄前後の共重合体Aの赤外分析と極限粘度の測定を実施したところ、赤外スペクトルには差は認められず、極限粘度(ヘキサフロロイソプロパノール、30℃)は、洗浄前0.70dl/g、洗浄後0.73dl/gであった。以上の結果から、KF−8012は、略全量U−100(D)に共重合したことが分かる。
次ぎに、共重合体Aを、塩化メチレンに溶解し、20質量%の溶液を得た。該溶液を38μmの電解銅箔(日鋼マテリアルズ杜製、JTC−1.0 Oz)にワイヤバーコータで塗布し、塩化メチレンを蒸発させ、厚み20μmの樹脂層を付着させた樹脂付き銅箔を得た。該銅箔を2枚、樹脂層を内側に重ねて、220℃で10分間、3MPaで圧着張合わせ、ピール強度を測定した。一方、銅箔の代わりに、ポリプロピレンフィルムを用いて、該溶液を塗布、乾燥後、剥離して、厚み20μmのフィルムを得た。該フィルムを220℃、10分間熱処理して、Tg、誘電率、吸水率、難燃性の各測定をした。結果を表1に纏めた。
Figure 2005008856
ポリアリレートとして、PAR−4(ユニチカ株式会杜製、ガラス転移温度=240℃)を使用した。実施例1と同様に乾燥して、含水率を30ppmとした。両末端ジアミノポリオルガノシロキサンとしては、実施例1と同一のKF−8012を使用した。乾燥PAR−4の30gと、脱水KF−8012の10gを100ミリリットルのガラス容器に投入し、混合後、真空乾燥機にて230℃、1×10Pa下で20時間反応させた。若干茶色に着色した粒状の反応生成物であるPAR−4/KF−8012共重合体39.5gを得た。該共重合体を実施例1と同様の方法で溶液の調整し、樹脂付き銅箔とフィルムの作成を行い、評価を実施した。結果を表2に纏めた。
Figure 2005008856
実施例3で得られた共重合体Aの16g、およびエピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会杜製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の2g、エピコート152(ジャパンエポキシレジン株式会杜製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂)の2gを、塩化メチレン80gに溶解して、20質量%(樹脂分)の溶液を調整した。実施例1と同様の方法で樹脂付き銅箔とフィルムを作成した後、実施例3に記載した方法に従って評価を実施した。結果を表3に纏めた。
Figure 2005008856
両末端ジアミノポリシロキサンとして、市販の変性シリコンオイル、X−22−161A(信越化学工業株式会杜製、アミノ当量=840)を使用した以外は、実施例3と同様の実験を行った。結果を表4に纏めた。
Figure 2005008856
脱水KF−8012を4kg使用した以外は、実施例3と同様の方法で、U−100(D)/KF−8012共重合体(以下、共重合体Bと略する。)を得た。この共重合体Bを用い実施例3と同様の20質量%溶液を調整し、その後、樹脂付き銅箔とフィルムとを作成して評価を実施した。結果を表5に纏めた。
Figure 2005008856
実施例5で作製した溶液を、ガラスクロス(旭シュエーベル株式会杜製、2116)にワイヤバーコータで塗布、溶媒を蒸発除去して固形分50質量%のプリプレグを作製した。該プリプレグを電解銅箔に挟み、190℃、3MPaで10分間、加圧して銅張積層板を得た。得られた積層板のピール強度を評価したところ、ピール強度は、1.35kN/mであった。
ガラスクロスの代わりに、サーマウントN720#80(デュポン帝人アドバンスドペーパー株式会杜製アラミドペーパー)を使用して同様の実験を実施したところ、ピール強度は、1.30kN/mであった。
実施例1において、ジアミンとして、KF−8012の代わりに、別の市販の変性シリコンオイル、X−22−1660B−3(信越化学工業株式会社製、両末端アミノポリオルガノシロキサン(メチルフェニル型)、アミノ当量2300)を使用した以外は同様の実験を行った。反応生成物は、実施例1と同様、一体化することも、また、一部が凝集してゴロを発生することもなく、反応前の良好な粒子形態を保ったままであった。反応生成物の1gを500gのアセトンでよくかき混ぜながら洗浄(25℃、24時間)、ろ過、乾燥(50℃)したところ、4質量%の減量が認められた。したがって、X−22−1660B−3の84質量%が、U-100(D)と反応したことになる。アセトン洗浄後のサンプルを赤外分析結果は実施例1と同様であった。また、極限粘度は、0.71dl/gであった。さらに、得られた反応生成物を実施例1と同様の条件で、溶融混練し、評価を行った。アセトン洗浄による質量減少は、1質量%であり、極限粘度は、0.87dl/gであった。この結果は、実施例1の結果と略同様であった。
U-100(D)の電子顕微鏡写真。 U-100粉砕粒子の電子顕微鏡写真。 多孔質GS300の電子顕微鏡写真。 GS300粉砕粒子の電子顕微鏡写真。

Claims (9)

  1. ジカルボン酸と2価のOH官能基を有する成分とから重合される0.2dl/g以上の極限粘度のポリエステルと、ジアミンとを反応させることにより、ポリマー化合物を製造する方法であって、前記方法は、
    表面から内部にまで延びる孔を有する多孔質ポリエステルの粒子を提供するステップと、
    前記多孔質ポリエステルを前記ジアミンと混合するステップと、
    前記混合物を、前記ジアミンの融点以上であって前記ポリエステルの所定の温度以下の温度に加熱して、前記ポリエステルと前記ジアミンとを反応させるステップとを有し、
    前記所定の温度は、前記ポリエステルの結晶特性に依存して、前記多孔質ポリエステルの融点、または前記多孔質ポリエステルの流動開始温度である
    ポリマー化合物の製造方法。
  2. さらに、前記ポリエステルと前記ジアミンとの反応生成物を溶融混合して、さらに前記ポリエステルと前記ジアミンとを反応させるステップを含む
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ジアミンは、両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンである、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記ポリマー化合物は、ポリアミド、ポリエステル−アミド共重合体、またはポリアミドおよびポリエステル−アミド共重合体である、請求項1に記載の製造方法。
  5. ジカルボン酸と2価のOH官能基を有する成分とから重合され、0.2dl/g以上の極限粘度のポリエステルと、ジアミンとを反応させて得られるポリマー化合物であって、前記ポリマー化合物は、
    表面から内部にまで延びる孔を有する多孔質ポリエステルの粒子と、
    前記孔内部に形成された前記ポリエステルおよび前記ジアミンの共重合体と
    を含むポリマー化合物。
  6. ポリマー化合物を含んでなる構造体であって、前記ポリマー化合物は、ポリアリレートと、両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンとから、前記ポリアリレートと前記ポリオルガノシロキサンとのエステル−アミド交換反応により形成され、かつ前記ポリオルガノシロキサンを、前記ポリマー化合物中に1〜50質量%で含有してなり、
    前記ポリアリレートが、下記式(1)
    Figure 2005008856
    の繰り返し単位を含み、前記式(1)中、ArおよびArは、同一でも異なっていても良い2官能性の芳香族残基であり、nは、1〜100の整数であり、
    前記両末端がアミノ官能基で停止されたポリオルガノシロキサンが、下記式(2)
    Figure 2005008856
    で示され、前記式(2)中、RおよびRは、同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜12個の脂肪族基または芳香族基であり、R、R、RおよびRは、同一でも異なっていても良い脂肪族基または芳香族基であり、mは、1以上の整数である、構造体。
  7. 前記構造体は、前記ポリマー化合物100質量部に対して、1〜200質量部のエポキシ化合物を含む、請求項6に記載の構造体。
  8. 前記構造体は、前記ポリマー化合物がラミネートされた金属箔、前記ポリマー化合物と少なくとも1種の強化材料とを含むプリプレグ、フレキシブルプリント回路またはプリント配線板からなる群から選択される、請求項6に記載の構造体。
  9. 前記ポリアリレートは、粒子の形状とされ、前記粒子は、表面から内部にまで延びた複数の孔を有する、請求項6に記載の構造体。
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