JP6815026B2 - ポリアリレート樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、低線膨張性であって、かつ、UVバリヤ性が高い ポリアリレート樹脂に関するものである。
ポリアリレート樹脂は、耐熱性に優れていることから、自動車、電気電子分野、機械分野等の様々な分野で使用されている。中でも、ビフェノール残基を含むポリアリレート樹脂(以下、「ビフェノール系ポリアリレート樹脂」と略称する。)は、低線膨張性であることから、基板等の用途に応用されている。
ビフェノール系ポリアリレート樹脂としては、例えば、特許文献1に、ビフェノール残基を、全二価フェノール残基に対して10〜90モル%含有するポリアリレート樹脂が開示され、特に実施例では、二価フェノール成分が、2,2’、3、3’、5、5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール残基:ビスフェノール残基=80:20(モル比)であって、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸残基:イソフタル酸残基=50:50(モル比)であるポリアリレート樹脂が開示されている。
特開平10−17658号公報
近年、電気電子分野における要求はますます厳しくなっている。例えば、ポリアリレート樹脂をエポキシ樹脂と併用して基板に用いる場合、基板の両面に紫外線硬化材料を塗布し、生産性向上のため、両面から紫外線を照射する場合がある。この場合、一方の面からの照射によって、反対の面に塗布した紫外線硬化材料が硬化しないようにするため、基板に用いるポリアリレート樹脂は、UVバリヤ性が高いことが求められている。
しかしながら、特許文献1のポリアリレート樹脂は、UVバリヤ性が低いため、片面から照射した紫外線が、もう片方の面に塗布した紫外線硬化剤を硬化させるという裏うつりの問題があった。
本発明は、かかる従来技術に鑑み、耐熱性、低線膨張性であって、かつ、UVバリヤ性が高いポリアリレート樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するため鋭意検討の結果、一般式(1)に示される置換基数が特定数以上のビフェノール残基と一般式(2)で示される二価カルボン酸残基を併用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)一般式(1)で示される二価フェノール残基と、一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂(ただし、式(II−9)で示される二価フェノール残基と式(I−1)で示される芳香族二価カルボン酸残基と式(I−2)で示される芳香族二価カルボン酸残基の3成分のみからなるポリアリレート樹脂は除く。)
(式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜4の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、pおよびqの合計は、6〜8の整数である。)
(式(2)中、RおよびRは、独立して、水素原子、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、rおよびsは、独立して、0〜4の整数を表す。)
(2)一般式(1)で示される二価フェノール残基の含有量が、全二価フェノール残基に対して10モル%以上である(1)に記載のポリアリレート樹脂。
(3)一般式(1)で示される二価フェノール残基が、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール残基である(1)または(2)に記載のポリアリレート樹脂。
(4)一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基である(1)〜(3)いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアリレート樹脂を含有する基板。
(6)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなるフィルム。
(7)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなる層を基材上に設けた積層体。
本発明によれば、耐熱性、低線膨張性であって、かつ、UVバリヤ性が高い ポリアリレート樹脂を提供することができる。本発明のポリアリレート樹脂は、基板等の用途に好適に用いることができる。
本発明のポリアリレート樹脂は、二価フェノール残基と芳香族二価カルボン酸残基とから構成される。
二価フェノール残基としては、一般式(1)で示される残基を含有することが必要である。一般式(1)で示される残基を含有しない場合、耐熱性が低下し、UVバリヤ性が低くなるので好ましくない。
一般式(1)において、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜4の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。pおよびqは、ベンゼン環に結合するRおよびRの数を表し、pおよびqの合計は、6〜8の整数である。前記合計が5以下の場合、UVバリヤ性が低くなるので好ましくない。
一般式(1)で示される残基を与える二価フェノールとしては、例えば、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチルビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサプロピル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサプロピル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’,6−ヘプタメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタエチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。工業的に入手し易いことや合成しやすいことから、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノールが好ましい。
全二価フェノール成分に対して、一般式(1)で示される残基を与える残基を与える二価フェノールの含有量は、耐熱性、UVバリヤ性の観点から、10モル%以上とすることが好ましく、30モル%とすることがより好ましく、50モル%以上とすることがさらに好ましい。前記含有量が10モル%以下の場合、耐熱性とUVバリヤ性が低くなる場合がある。
本発明のポリアリレート樹脂には、一般式(1)で表される残基以外の二価フェノール残基を与える他の二価フェノールを含有してもよい。前記他の二価フェノール残基としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノールが挙げられる。前記他の二価フェノールは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
芳香族二価カルボン酸残基としては、一般式(2)で示される残基を含有することが必要である。一般式(2)で示される残基を含有しない場合、耐熱性とUVバリヤ性が低くなるので好ましくない。
一般式(2)において、RおよびRは、ベンゼン環に結合する置換基を表し、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表す。これらの中でも、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましく、臭素原子、メチル基がより好ましい。
一般式(2)において、rおよびsは、ベンゼン環に結合する置換基の数を表し、独立して、0〜4の整数を表す。なお、rおよびsが0の場合、ベンゼン環に結合するすべての水素原子がRおよびRに置換されていないことを表す。rが1〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。sが1〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。
一般式(2)で示される残基を与える芳香族二価カルボン酸としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、工業的に入手しやすいことから、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が好ましい。
全芳香族二価カルボン酸成分に対して、一般式(2)で示される残基を与える芳香族二価カルボン酸の含有量は、耐熱性、UVバリヤ性の観点から、70モル%以上とすることが好ましく、90モル%以上とすることがより好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂には、一般式(2)で表される残基以外の残基を与える他の芳香族二価カルボン酸を含有してもよい。前記他の芳香族二価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等のフタル酸誘導体や、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸類およびその誘導体や、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類およびその誘導体が挙げられる。前記芳香族二価カルボン酸において、ベンゼン環に結合する水素原子は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基等のアルキル基に置換されていてもよい。前記他の芳香族二価カルボン酸は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。他の芳香族二価カルボン酸を含有させる場合、その含有量は、全芳香族二価カルボン酸成分において、10モル%未満とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、二価フェノール残基を与える二価フェノールや、芳香族二価カルボン酸残基を与える芳香族二価カルボン酸の他に、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等の他の成分の残基を含有してもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。他の成分の残基の含有量は、全モノマー残基に対して、5モル%未満とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、耐熱性、機械強度、加工性の観点から、重量平均分子量が60000〜150000であることが好ましい。重量平均分子量が60000未満の場合、ガラス転移温度や機械強度が低下する場合がある。一方、重量平均分子量が150000を超えた場合、非ハロゲン系有機溶媒に溶解させた時の溶液粘度や、溶融粘度が高すぎて、加工性が低下する場合がある。
本発明のポリアリレート樹脂のガラス転移温度は、200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、240℃以上であることがさらに好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂の製造方法としては、界面重合法や溶液重合法等の有機溶媒中で反応させる方法、または溶融重合等の溶融状態で反応させる方法が挙げられる。重合性や得られる樹脂の外観の観点から、有機溶媒中での反応、特に低温での反応が可能な界面重合法を用いることが好ましい。
界面重合法としては、二価カルボン酸ハライドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、末端封止剤、酸化防止剤および重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリアリレートを溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
末端封止剤は、ポリアリレート樹脂の分子量の調整および熱安定性の向上の観点から用いられる。末端封止剤としては、例えば、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸が挙げられる。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸が挙げられる。中でも、熱安定性が高いことから、p−tert−ブチルフェノールが好ましい。
酸化防止剤は、二価フェノール成分の酸化を防止するために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。中でも、水溶性に優れていることから、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩や、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、分子量が高く、酸価の低いポリマーを得ることができることから、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂は、有機溶媒に溶解した後、基材上に塗布して乾燥したり、基材上に溶融樹脂を押出したりすることにより、基材上にポリアリレート樹脂の層を設けた積層体を得ることができる。また、前記積層体から、樹脂層を剥離することによりフィルムを得ることができる。無色透明のフィルムを得るためには、熱分解による色調低下が生じないことから、有機溶媒に溶解した後、基材上に塗布乾燥し剥離してフィルムを得ることが好ましい。
ポリアリレート樹脂を溶解する有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフランが挙げられる。
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーター塗り、フィルムアプリケーター塗り、はけ塗り、スプレー塗りや、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
本発明のポリアリレート樹脂は、エポキシ樹脂と混合し、基板として用いることができる。
本発明のポリアリレート樹脂は、耐熱性、低線膨張性であって、かつ、UVバリヤ性が高い。そのため、基板、フレキシブル基板、コンデンサー用フィルム、照明等として好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、ポリアリレート樹脂の物性測定は、以下の方法によりおこなった。
(1)樹脂組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製LA−400 NMR)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:400MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化テトラクロロエタンとの容量比が1/11の混合溶媒、温度:50℃)。
(2)数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定した。
送液装置:ウォーターズ社製、Isocratic HPLC Pump 1515
検出器:ウォーターズ社製、Refractive Index Detector 2414
カラム:Mixed−D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
溶媒:クロロホルム
流速:1mL/分
測定温度:35℃
(3)ガラス転移温度(Tg)
ポリアリレート樹脂10mgをサンプルとして用いて、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
(4)UVバリヤ性
ポリアリレート樹脂0.01〜0.05質量部にクロロホルム10〜15質量部を加えて樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液をサンプルとして、自動分光光度計(日立製作所製 U−4000型)を用いて、波長350nmでの透過率を測定し、以下の基準で評価した。
◎:透過率が70%未満である。
○:透過率が70%以上、80%未満である。
×:透過率が80%以上である。
実施例1
攪拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分として2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール(HxMBP)71.11質量部、2,2’−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(BisC)28.89質量部、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)1.64質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)609.64質量部、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(TBBAC)の50質量%水溶液を1.59質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム25.41質量部を仕込み、水3100質量部に溶解させた(水相)。また、これとは別に、塩化メチレン2400質量部に、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロリド(DEDC)112.48質量部を溶解させた(有機相)(HxMBP:BisC:PTBP:DEDC:TBBAC:NaOH=70.00:30.00:2.90:101.45:0.69:4058.00(モル比))。水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間、界面重合法で重合をおこなった。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、塩化メチレン500質量部、純水3000質量部と酢酸10質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。その後、有機相を純水で10回洗浄し、有機相をメタノール中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過した後、165℃で24時間真空乾燥を行い、ポリアリレート樹脂を得た。
得られたポリアリレート樹脂を組成分析したところ、樹脂組成は、HxMBP:BisC:PTBP:DEDC=70.00:30.00:2.90:101.45(モル比)と、仕込組成と同一であった。
実施例2〜6、比較例1〜4
表1に示すように、樹脂組成を変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアリレート樹脂を得た。
実施例1〜6、比較例1〜4で得られたポリアリレート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1〜6のポリアリレート樹脂は、本発明で規定する二価フェノール残基および芳香族二価カルボン酸残基から構成されていたため、耐熱性とUVバリヤ性が高かった。
比較例1のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に一般式(1)を与えるモノマーを用いず、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール(TMBP)を用いたため、UVバリヤ性が低かった。
比較例2〜4のポリアリレート樹脂は、芳香族二価カルボン酸成分に一般式(2)を与えるモノマーを用いず、テレフタル酸クロライド/テレフタル酸クロライド=5/5(モル比)混合物(MPC)を用いたため、UVバリヤ性が低かった。
なお、比較例3のポリアリレート樹脂は、引用文献1の実施例10を追試したものである。

Claims (7)

  1. 一般式(1)で示される二価フェノール残基と、一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂(ただし、式(II−9)で示される二価フェノール残基と式(I−1)で示される芳香族二価カルボン酸残基と式(I−2)で示される芳香族二価カルボン酸残基の3成分のみからなるポリアリレート樹脂は除く。)
    (式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜4の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、pおよびqの合計は、6〜8の整数である。)
    (式(2)中、RおよびRは、独立して、水素原子、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、rおよびsは、独立して、0〜4の整数を表す。)
  2. 一般式(1)で示される二価フェノール残基の含有量が、全二価フェノール残基に対して10モル%以上である請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
  3. 一般式(1)で示される二価フェノール残基が、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール残基である請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
  4. 一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基である請求項1〜3いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリアリレート樹脂を含有する基板。
  6. 請求項1〜4いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなるフィルム。
  7. 請求項1〜4いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなる層を基材上に設けた積層体。
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