JP6333176B2 - オルガノシロキサン共重合樹脂、ならびにそれを用いた樹脂混合物、樹脂溶液、塗膜、およびフィルム - Google Patents

オルガノシロキサン共重合樹脂、ならびにそれを用いた樹脂混合物、樹脂溶液、塗膜、およびフィルム Download PDF

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Description

本発明は、オルガノシロキサン共重合樹脂、ならびにそれを用いた樹脂混合物、樹脂溶液、塗膜、およびフィルムに関する。
従来より、ビスフェノール残基および芳香族ジカルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂は、エンジニアリングプラスチックとしてよく知られている。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕と、テレフタル酸およびイソフタル酸とからなるポリアリレート樹脂は、高い透明性と耐熱性を有し、衝撃強度に代表される機械的強度や、寸法安定性に優れている。このため、ポリアリレート樹脂は、自動車や電気電子分野で使用される成形品に幅広く使用されている。また、ポリアリレート樹脂は、その優れた透明性と耐熱性を活かしてフィルム等に使用されている。
ところで、ポリアリレート樹脂に撥水性を付与させるために、ビスフェノール成分およびテレフタル酸およびイソフタル酸を、シロキサン成分と共重合させて、ポリアリレート樹脂にシロキサン成分を含ませたオルガノシロキサン共重合樹脂を得ることが提案されている(特許文献1)。
特開2009−46667号公報
しかし、オルガノシロキサン共重合樹脂の溶液を基材に塗布すると、塗布された樹脂溶液より泡が発生し易く、かつ発生した泡が消失し難く、ハンドリング性が低下する。
また、その樹脂溶液を基材に塗布して得られる塗膜は、表面平滑性が低く、微小な空孔(ボイド)が形成され易い。その結果、塗膜と基材との密着性が低下して、塗膜が基板から剥がれ易い。
また、オルガノシロキサン共重合樹脂中には、低分子量のシロキサンを含む揮発成分(樹脂の製造過程で生じた分解物や、共重合に寄与しなかったオルガノシロキサン等)が残存する。この揮発成分の量が多いと、樹脂溶液を基材に塗布して形成された塗膜においてブリードアウト(Bleed Out)が発生し、それにより周辺部材が汚染されるという不具合が生じる。よって、電子材料用途や食品用途においては、樹脂中の揮発成分の含有量を低減することが求められていた。
しかし、上記の揮発成分は消泡剤として作用するため、ブリードアウトの発生を防ぐために揮発成分を低減すると、上述した発泡が起こり易くなる。
このため、上記のブリードアウトの発生の抑制と、上記の泡の発生の抑制とを同時に実現することは困難であった。
さらに、食品包装体に用いられる樹脂には、食品の賞味期限を延ばすために包装体の内容物から発生する湿気を適度に外部に逃すことが求められ、高い強度とともに高い水蒸気透過性が求められている。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、樹脂溶液として用いた際の泡の発生が抑制され、強度、耐熱性、密着性、表面平滑性、および水蒸気透過性に優れ、ブリードアウトの発生が抑制される塗膜またはフィルムを形成することが可能なオルガノシロキサン共重合樹脂を提供することを目的とする。また、そのオルガノシロキサン共重合樹脂を用いた樹脂混合物、樹脂溶液、塗膜、およびフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下のオルガノシロキサン共重合樹脂が、フッ素原子を含む特定のビスフェノール残基と、特定の芳香族カルボン酸残基と、特定のオルガノシロキサン残基とを含み、インヘレント粘度が特定範囲であり、樹脂中に含まれるシロキサン含有揮発成分の量が特定範囲に低減される場合に、樹脂溶液として用いた際の泡の発生が抑制され、強度、耐熱性、密着性、表面平滑性、および水蒸気透過性に優れ、ブリードアウトの発生が抑制される塗膜またはフィルムを形成することができることを見出し、本発明に到達した。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]一般式(1)で示されるビスフェノール残基、一般式(2)で示される芳香族ジカルボン酸残基、および一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基を含有する樹脂であって、
前記樹脂中の一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基の含有量が7質量%超かつ80質量%未満であり、
前記樹脂の1,1,2,2−テトラクロロエタン中、温度25℃、濃度1g/dLで測定したインヘレント粘度が0.80dL/g以下であり、
前記樹脂を180℃で10分間加熱する場合に当該樹脂より揮発するシロキサン含有成分の量が700質量ppm以下であることを特徴とするオルガノシロキサン共重合樹脂。
式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン原子を表す。pおよびqは、独立して、0〜4の整数を表す。Xは、フッ素原子を含有する二価基を表す。
式(3)中、RおよびRは、独立して、脂肪族基および/または芳香族基を表し、窒素原子または酸素原子を含有してもよい。R、R、R、およびRは、独立して、脂肪族基または芳香族基を表す。mは、5以上の数字を表す。
[2]一般式(1)で示されるビスフェノール残基が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基であることを特徴とする[1]に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂。
]一般式(2)で示される芳香族ジカルボン酸残基が、テレフタル酸残基とイソフタル酸残基の混合物であり、
前記混合物におけるテレフタル酸残基とイソフタル酸残基のモル比:テレフタル酸/イソフタル酸が、90/10〜10/90であることを特徴とする[1]または[2]に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂。
][1]〜[]のいずれかに記載のオルガノシロキサン共重合樹脂と、前記オルガノシロキサン共重合樹脂以外の他の樹脂とを混合してなることを特徴とする樹脂混合物。
]前記オルガノシロキサン共重合樹脂以外の他の樹脂が、一般式(4)または(5)で示されるビスフェノール残基を含む樹脂であることを特徴とする[]に記載の樹脂混合物。
式(4)中、RおよびR10は、独立して、炭素数が1〜12の脂肪族基を表す。rおよびsは、独立して、1〜4の整数を表す。
式(5)中、R11、R12、およびR13は、独立して、炭素数が1〜12の脂肪族基を表す。tおよびuは、独立して、0〜4の整数を表す。vは0〜10の整数を表す。
]一般式(4)で示されるビスフェノール残基が、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン残基であることを特徴とする[]に記載の樹脂混合物。
]一般式(5)で示されるビスフェノール残基が、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン残基であることを特徴とする[]に記載の樹脂混合物。
][1]〜[]のいずれかに記載のオルガノシロキサン共重合樹脂、または[]〜[]のいずれかに記載の樹脂混合物を有機溶媒に溶解してなることを特徴とする樹脂溶液。
][]に記載の樹脂溶液を用いて形成されたことを特徴とする塗膜。
10]表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする[]に記載の塗膜。
11][]に記載の樹脂溶液を用いて形成されたことを特徴とするフィルム。
12]表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする[11]に記載のフィルム。
本発明によれば、樹脂溶液として用いた際の泡の発生が抑制され、強度、耐熱性、密着性、表面平滑性、および水蒸気透過性に優れ、ブリードアウトの発生が抑制される塗膜またはフィルムを形成することが可能なオルガノシロキサン共重合樹脂を提供することができる。
オルガノシロキサン共重合樹脂中に含まれるシロキサン含有揮発成分の量が特定範囲に低減されても、オルガノシロキサン共重合樹脂が、フッ素原子を含む特定のビスフェノール残基と、特定の芳香族カルボン酸残基と、特定のオルガノシロキサン残基とを含み、インヘレント粘度が特定範囲であれば、強度、耐熱性、密着性、表面平滑性、および水蒸気透過性に優れ、ブリードアウトの発生が抑制される塗膜またはフィルムを形成することができるとともに、樹脂溶液として用いた際の泡の発生を抑制することが可能である。
さらに、本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂は、他の特定の樹脂と混合して用いることにより、機械的強度を向上させることができる。
本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂や、当該樹脂と他の特定の樹脂との混合物は、水蒸気透過性に優れるため、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイの各部材で使用される保護フィルムや基板フィルム、食品包装用の材料に好適に用いられる。
また、本発明のオルガノシロキサン共重合樹脂や、当該樹脂と他の特定の樹脂との混合物は、電気特性に優れるため、例えば、変圧器やコンデンサのような電子部品用被膜やフィルム、電子写真感光体のバインダー樹脂、導電性フィルム基板、音響機器用振動板フィルムに好適に用いられる。
本発明を実施するための形態
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、オルガノシロキサンを共重合した樹脂であって、ポリアリレート樹脂を構成するビスフェノール残基および芳香族ジカルボン酸残基と、オルガノシロキサン残基とを含む樹脂(以下、樹脂Aと表記する。)に関する。
ビスフェノール残基は、一般式(1)で示される構造を有することが必要である。
一般式(1)中、Xは、フッ素原子を含有する二価基であることが必要である。
一般式(1)中において、Xがフッ素原子を含有する二価基であることで、樹脂Aを含む溶液として用いた際の泡の発生が抑制され、強度、耐熱性、密着性、および表面平滑性に優れ、ブリードアウトの発生が抑制される塗膜またはフィルムが得られるという効果を損なうことなく、優れた水蒸気透過性を有する塗膜またはフィルムが得られる。
フッ素原子を含有する二価基は、例えば、一般式(1a)で表される構造を有する。
一般式(1a)中、R1aおよびR2aは、独立して、トリフルオロメチル基(CF基)、ジフルオロメチル基(CFH基)、モノフルオロメチル基(CHF基)、またはフッ素原子である。これらの中でも、R1aおよびR2aが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
およびRは、一般式(1)中のベンゼン環に結合する置換基を表す。
一般式(1)で示される構造を与えるビスフェノールを工業的に入手し易い、または合成し易いことから、一般式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子である。これらの中でも、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましく、臭素原子、メチル基がより好ましい。
pおよびqは、それぞれベンゼン環に結合する置換基RおよびRの数を表し、独立して、0〜4の整数である。例えば、pおよびqが0の場合、一般式(1)中におけるベンゼン環に結合するすべての水素原子がRおよびRに置換されていないことを示す。pが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。qが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。一般式(1)で示される構造を与えるビスフェノールを工業的に入手し易い、または合成し易いことから、pおよびqは0であるのが好ましい。
一般式(1)で示される構造を与えるビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〔BisAF〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(テトラメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられ、中でも、工業的に入手しやすい点から、BisAFがより好ましい。BisAFを用いる場合、一般式(1)において、p=0、q=0、X=−C(CF−である。
本発明においては、ビスフェノール残基は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)の構造を与えるビスフェノール以外のビスフェノールの残基を含んでいてもよい。そのような残基を与えるビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisC〕、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン〔BCF〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンが挙げられる。
水蒸気透過性の点から、ビスフェノール残基全体に対して一般式(1)で示されるビスフェノール残基が占める割合は、80モル%以上とすることが好ましく、100モル%であることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基は、一般式(2)で示される構造を有することが必要である。
一般式(2)で示される構造を有することで、耐熱性を向上することができる。
一般式(2)で示される構造を与える芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸が挙げられる。反応性の高さの点から、テレフタル酸およびイソフタル酸を併用するのが好ましい。樹脂溶液の溶液安定性の点から、テレフタル酸残基とイソフタル酸残基のモル比:テレフタル酸/イソフタル酸は、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは30/70〜70/30である。
本発明においては、芳香族ジカルボン酸残基は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(2)の構造を与える芳香族ジカルボン酸以外の芳香族ジカルボン酸の残基を含んでいてもよい。そのような残基を与える芳香族ジカルボン酸としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
本発明の樹脂Aは、一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基を有することが必要である。
一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基を有することで、水蒸気透過性および密着性を付与することができる。
一般式(3)で示される構造を与えるオルガノシロキサンは工業的に入手し易い、または合成し易いことから、一般式(3)中、RおよびRは、独立して、脂肪族基および/または芳香族基である。RおよびRは、窒素原子または酸素原子を含有してもよい。RおよびRは、一般式(6)で表される二価基を含むのが好ましい。これらの二価基は、ケイ素原子と直接結合していてもよく、芳香族基および/または炭素数が1〜5の脂肪族基を介してケイ素原子と結合していてもよい。
汎用性が高いことから、RおよびRは、一般式(7)または(8)で示される置換基であるのが好ましい。一般式(3)において、一般式(7)中の−O−または一般式(8)中の−NH−が末端となるように一般式(7)または(8)の置換基が配される。
一般式(7)中、R14は、炭素数が1〜6の炭化水素基であり、R15は、炭素数が1〜5の脂肪族基であり、wは、0〜4の整数である。wが2〜4の整数である場合、複数のR14は、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。
一般式(8)中、R16は、炭素数が1〜5の脂肪族基である。
一般式(3)で示される構造を与えるオルガノシロキサンを工業的に入手し易い、または合成し易いことから、一般式(3)中、R、R、R、およびRは、独立して、脂肪族基または芳香族基である。R、R、R、およびRで用いられる芳香族基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。R、R、R、およびRで用いられる脂肪族基の炭素数は、例えば1〜6である。
一般式(3)中、mは、オルガノシロキサン残基の繰り返し数を表す。オルガノシロキサンは繰り返し数の異なる成分の混合物であり、mは混合物の平均値を表す。mは5以上の数字であることが必要であり、10〜250であることが好ましく、20〜100であることがより好ましい。mが5以上であると、耐熱性や水蒸気透過性が十分に得られる。mが250以下であると、樹脂の機械的強度や溶解性が十分に得られる。
例えば、環状ジメチルシロキサンと末端基の配合比を変えて反応させることで、一般式(3)中のmを調整することができる。
樹脂Aの適度なハンドリング性の観点から、樹脂A中における一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基の含有量は、7質量%超かつ80質量%未満であることが好ましい。オルガノシロキサン残基の含有量が7質量%超であると、水蒸気透過性をより高めることができる。一方、オルガノシロキサン残基の含有量が80質量%未満であると、樹脂の機械的強度や耐熱性をより高めることができる。樹脂A中における一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基の含有量は、10〜75質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることがさらに好ましく、10〜25質量%であることが特に好ましい。
本発明の樹脂Aの、1,1,2,2−テトラクロロエタン中、温度25℃、濃度1g/dLで測定したインヘレント粘度は、0.9dL/g以下であることが必要であり、0.8dL/g以下が好ましく、0.7dL/g以下がより好ましい。
インヘレント粘度が0.9dL/gを超えると、樹脂Aの溶液が泡立ち易くなり、塗膜やフィルムの表面平滑性が低下する。樹脂Aのインヘレント粘度は、例えば、後述する末端封止剤の添加量を変えることにより制御することができる。
樹脂Aを180℃で10分間加熱する場合に樹脂Aから揮発するシロキサン含有成分の量(以下、シロキサン含有揮発成分と表記する。)は、700質量ppm以下であることが必要であり、500質量ppm以下であることが好ましく、200質量ppm以下であることがより好ましい。ここでいうシロキサン含有揮発成分は、樹脂Aの分解物または樹脂A中に含まれる一般式(1)で示される構造を有するシロキサン成分(共重合に寄与しない低分子のシロキサン成分)およびその分解物を含む。
シロキサン含有揮発成分の量が700質量ppmを超えると、樹脂溶液を塗布して得られる塗膜の密着性が低下したり、塗膜やフィルムにおいて揮発成分のブリードアウトが発生したりする。また、破断伸度が経時的に低下する場合がある。シロキサン含有揮発成分の量は、例えば、界面重合法で得られた沈殿物の洗浄度合いにより調整することができる。
本発明の樹脂A中に残留するナトリウムは10質量ppm以下であることが望ましい。残留ナトリウム量が10質量ppmを超えると、樹脂Aの電気特性が低下する場合がある。
樹脂Aの溶解性や樹脂溶液の安定性、電気的特性、および溶融成形時の着色の抑制の観点から、樹脂A中の末端フェノール性水酸基の濃度は30モル/トン以下であることが好ましく、10モル/トン以下であることがより好ましく、4モル/トン未満であることがさらに好ましい。
樹脂A中の末端カルボキシル基の濃度は30モル/トン以下であることが好ましい。樹脂A中の末端カルボキシル基の濃度が30モル/トンを超えると、加水分解し易くなったり、溶融成形後に着色し易くなったり、樹脂の絶縁破壊電圧、耐アーク性、誘電率等の電気的特性が低下したりする場合がある。また、樹脂溶液の安定性が低下する。樹脂溶液の安定性が低下すると、時間の経過とともに、白濁したり、沈澱や不溶物が生じたり、増粘してゲル化したりする。その結果、塗膜の平滑性が低下し、塗膜の機械特性や電気的特性が低下する場合がある。樹脂A中の末端カルボキシル基の濃度が30モル/トンを超え、かつ樹脂A中の末端フェノール性水酸基の濃度が10モル/トンを超える場合、樹脂を溶媒に溶解させたときに、完全に溶解せずに、樹脂溶液中に不溶物が発生する場合がある。
本発明の樹脂Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ジオールの残基、脂環族ジオールの残基、脂肪族ジカルボン酸の残基、脂環族ジカルボン酸の残基を含んでいてもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
また、本発明は、樹脂Aを、樹脂A以外の他の樹脂と混合し、樹脂混合物として用いてもよい。他の樹脂は、例えば、機械的強度を向上させるために用いられる。他の樹脂としては、オルガノシロキサン残基を含まないポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂などが挙げられる。オルガノシロキサン共重合樹脂と、他の樹脂との混合方法としては、例えば、溶融混練する方法、有機溶媒中に溶解して混合する方法が挙げられる。中でも、熱分解による色調低下がなく、均一に混合できることから、有機溶媒中に溶解して混合する方法が好ましい。
樹脂A以外の他の樹脂としては、下記の一般式(4)または一般式(5)で示されるビスフェノール残基を含む樹脂(以下、樹脂Bと表記する。)が好ましい。樹脂の機械的強度がより高められるとともに、均一で安定な樹脂混合物の溶液が得られ、この樹脂混合物の溶液を用いることで均一な塗膜が形成される。また、樹脂混合物を含む溶液として用いた際の泡の発生が抑制され、耐熱性、密着性、表面平滑性、および水蒸気透過性に優れ、ブリードアウトの発生が抑制される塗膜またはフィルムを形成することができる。
一般式(4)で示される構造を与えるビスフェノールを工業的に入手し易い、または合成し易いことから、一般式(4)中、RおよびR10は、独立して、炭素数が1〜12の脂肪族基であり、rおよびsは1〜4の整数である。
一般式(5)で示される構造を与えるビスフェノールを工業的に入手し易い、または合成し易いことから、一般式(5)中、R11、R12、およびR13は、独立して、炭素数が1〜12の脂肪族基であり、tおよびuは0〜4の整数であり、vは0〜10の整数である。tが2〜4の場合、複数のR11は、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。uが2〜4の場合、複数のR12は、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。vが2〜10の場合、複数のR13は、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。
一般式(4)で示される構造を与えるビスフェノール成分としては、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。特に、機械的強度に優れることから、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
一般式(5)で示される構造を与えるビスフェノール成分としては、機械的強度に優れることから、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。
樹脂Aの特性と樹脂Bの特性とがバランス良く得られることから、樹脂混合物における樹脂Aと樹脂Bの質量比は、樹脂A/樹脂B=1/9〜5/5が好ましく、2/8〜3/7がより好ましい。
本発明の樹脂Aの製造方法としては、例えば、界面重合法、溶液重合法、溶融重縮合法が用いられる。重合性、樹脂を用いて得られる成形物の外観、および溶液安定性の観点から、界面重合法を用いるのが好ましい。例えば、ピリジンなどのアミンを用いて溶液重合を行うと、カルボン酸価が高くなり、溶液安定性の低下する場合がある。
以下、界面重合法を用いた樹脂Aの製造方法の一例を示す。
ビスフェノールおよび重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に、オルガノシロキサンを有機溶媒に溶解させて得られたオルガノシロキサン溶液(有機相1)を混合する。さらに、この混合溶液に、二価カルボン酸ハライドを有機溶媒に溶解させて得られた二価カルボン酸ハライド溶液(有機相2)を添加する。この混合溶液を50℃以下の温度で1〜8時間撹拌する。このようにして、ビスフェノール、二価カルボン酸ハライド、およびオルガノシロキサンを重合させる。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
重合触媒としては、例えば、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩が挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、例えば、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライドが挙げられる。第四級ホスホニウム塩としては、例えば、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライドが挙げられる。中でも、重合性の点から、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
有機相に用いる有機溶媒としては、水と相溶せず、かつ樹脂Aが溶解可能な有機溶媒が好ましい。そのような有機溶剤としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素;シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン系溶媒が挙げられる。中でも、重合性の点から、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、シクロヘキサノンが好ましい。
樹脂Aの末端を封止するために、アルカリ水溶液(水相)または有機相に末端封止剤を加えてもよい。末端封止剤は、特に限定はされないが、一価フェノール、一価酸クロリド、一価アルコール、一価カルボン酸であるのが好ましい。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール〔PTBP〕、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロリドとしては、例えば、ベンゾイルクロリド、安息香酸クロリド、メタンスルホニルクロリド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸が挙げられる。中でも、反応性と熱安定性の点からPTBPが好ましい。
重合した後、樹脂溶液に酢酸を添加し、その後、樹脂溶液を水で繰返し洗浄する。洗浄に用いた水の電気伝導度が20μS/cm以下になるまで洗浄することにより、残留ナトリウムを10ppm以下にすることができる。
重合の際に用いた有機溶媒の沸点以上の温度の水に樹脂溶液を加えて有機溶媒を飛散させることで樹脂Aを析出させることができる(温水法)。また、貧溶媒に樹脂溶液を加えて樹脂Aを析出させることができる(再沈殿法)。貧溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、ヘキサン等の炭化水素が好ましい。析出物をろ過等で単離し、その後、乾燥させることにより固形分を得ることができる。乾燥は、減圧下での乾燥や熱風を送り込みながらの乾燥が挙げられる。減圧下での乾燥の場合、乾燥温度は70℃超かつ170℃以下であるのが好ましい。一方、熱風を送り込みながらの乾燥の場合、乾燥温度は150℃以下とすることが好ましい。
本発明の樹脂Aや、樹脂Aと樹脂Bとの樹脂混合物を用いたフィルムは、流延法や溶融押出法により得ることができる。
流延法では、樹脂A、または樹脂Aと樹脂Bの樹脂混合物を有機溶媒に溶解してなる樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥して塗膜を形成する。本発明の樹脂Aまたは樹脂混合物を用いることで、算術平均粗さRaが5μm以下である、表面平滑性に優れた塗膜を形成することが可能である。
その後、得られた塗膜を基材から剥離してフィルムを作製する。溶融押出法では、溶融樹脂をTダイ等から冷却ロールに押出し、押し出されたものを捲き取る。熱分解による色調低下を生じないことから、流延法を用いることが好ましい。
流延法で用いる有機溶媒としては、例えば、上記の樹脂Aの製造過程における有機相に用いる有機溶媒が挙げられる。
流延法で用いる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。
樹脂溶液の基材への塗布方法は、例えば、ワイヤーバーコーター、フィルムアプリケーター、はけやスプレーを用いた方法が挙げられる。また、塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
本発明の樹脂Aや、樹脂Aと樹脂Bとの樹脂混合物は、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイの基板および積層フィルム、透明導電フィルムの基板、電子写真感光体のバインダー樹脂、音響機器用振動板フィルム、コンデンサ等の電子部品用被膜に使用することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
《製造例1》
まず、下記の方法により、水相、有機相1、有機相2を作製した。
攪拌装置を備えた反応容器中にて、ビスフェノールとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〔BisAF〕100質量部と、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール〔PTBP〕2.22質量部と、アルカリとして水酸化ナトリウム〔NaOH〕26.0質量部と、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロリド〔TBBAC〕の50質量%水溶液1.33質量部と、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム〔SHS〕0.6質量部とを、水1650質量部に溶解させて、水相を得た。
また、塩化メチレンの500質量部に、下記の式(9)で示されるオルガノシロキサン〔ORGS〕(m=40)15.9質量部を溶解させて、有機相1を得た。
さらに、塩化メチレンの900質量部に、芳香族ジカルボン酸クロリドとしてテレフタル酸クロリドとイソフタル酸クロリドとを50:50のモル比で混合したフタル酸クロリド(MPC)62.9質量部を溶解させて、有機相2を得た。
上記で得られた水相、有機相1、有機相2を用いて、下記の方法により樹脂(P−1)を得た。
有機相1を水相中に強撹拌下で添加した後、有機相2を、先に撹拌している水相と有機相1の混合溶液中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間、界面重合反応させた。モル比は、BisAF:MPC:ORGS:PTBP:TBBAC:NaOH:=96.0:100.0:1.56:4.88:0.68:210であった。
その後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、塩化メチレン500質量部と、純水2000質量部と、酢酸2質量部とを有機相に添加して反応を停止させ、15℃で30分間攪拌した。その後、有機相を、有機相に対して2倍の体積の純水で10回以上洗浄し、洗浄した水の電気伝導度が20μS/cm以下になった時点で、有機相をメタノール中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、120℃で真空乾燥した。得られた沈殿物(オルガノシロキサン共重合樹脂)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、メタノール1000質量部を添加して再沈殿させた。再沈殿で得られたポリマーを回収し、減圧下、180℃、24時間乾燥する操作を2回繰り返した。このようにして、オルガノシロキサン共重合樹脂(P−1)を得た。オルガノシロキサン共重合樹脂中のオルガノシロキサン残基の含有量は10質量%であった。
《製造例2〜8、19、21〜30》
芳香ジカルボン酸クロリド、ビスフェノール、オルガノシロキサン、および末端封止剤について、表1および2に示す種類およびモル比に変える以外、製造例1と同様の方法により樹脂(P−2)〜(P−8)、(P−19)、(P−21)〜(P−30)を得た。
《製造例9》
攪拌装置を備えた反応容器中に、ビスフェノール成分としてBisAF100質量部と、末端封止剤としてPTBP1.32質量部と、アルカリとしてNaOH25.35質量部と、重合触媒としてTBBACの50質量%水溶液1.28質量部と、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.5質量部とを、水1450質量部に溶解させて、水相を得た。
また、水相とは別に、塩化メチレン1300質量部にMPC61.3質量部を溶解させて、有機相を得た。
水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間、界面重合反応させた。モル比は、BisAF:MPC:PTBP:TBBAC:NaOH=98.52:100.0:2.96:0.67:210とした。それ以降の工程は、製造例1と同様の方法により樹脂(P−9)を得た。
《製造例10》
まず、下記の方法により、水相、有機相1、有機相2を作製した。
攪拌装置を備えた反応容器中にて、二価フェノール成分としてBisAF100.0質量部(99.25モル部)と、末端封止剤としてPTBP0.99質量部(2.2モル部)と、アルカリとしてNaOH25.44質量部と、重合触媒としてTBBACの50質量%水溶液1.28質量部と、SHS0.53質量部とを、水1000質量部に溶解させて、水相を得た。
塩化メチレン200質量部に、上記式(9)で示されるオルガノシロキサン7.40質量部(0.75モル部)を溶解させて、有機相1を得た。
塩化メチレン400質量部に、テレフタル酸クロリドとイソテレフタルクロリドとを50:50のモル比で混合したフタル酸クロリド〔MPC〕61.51質量部(101.1モル部)を溶解させて、有機相2を得た。
上記で得られた水相、有機相1、有機相2を用いて、下記の方法により樹脂(P−10)を得た。
有機相1を水相中に強撹拌下で添加した後、有機相2を、先に撹拌している水相と有機相1の混合溶液中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間、界面重合反応させた。
モル比は、BisAF:MPC:オルガノシロキサン:PTBP:TBBAC:NaOH:=99.25:101.1:0.75:2.2:0.68:210であった。
その後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、塩化メチレン200質量部と、純水1000重量部と、酢酸1質量部とを有機相に添加して反応を停止させ、15℃で30分間攪拌した。この有機相を、有機相に対して2倍の体積の純水で5回洗浄した後、有機相をヘキサン中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを分離回収した後、24時間減圧下にて50℃で乾燥した。このようにして、樹脂(P−10)を得た。
《製造例11〜18》
芳香ジカルボン酸クロリド、ビスフェノール、および末端封止剤について、表1に示す種類およびモル比に変える以外、製造例9と同様の方法により樹脂(P−11)〜(P−18)を得た。
《製造例20》
製造例10で得られた樹脂(P−10)の10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、メタノール1000質量部を添加してポリマーを再沈殿させた。再沈殿したポリマーを回収し、減圧下にて180℃で24時間乾燥した。この操作を3回繰り返した。このようにして、樹脂(P−20)を得た。
《製造例31》
イソフタル酸クロリド37.56質量部(186モル当量)を含む塩化メチレン溶液を、BisAF61.58質量部(185モル当量)と、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンオルガノシロキサン24.975質量部(1.85モル当量)と、ピリジンの36.6質量部(463モル当量)を含む塩化メチレン溶液に加え、混合溶液を得た。加える際の温度は10℃、加える時間は45分間とした。その後、その混合溶液を室温で2時間撹拌し、この混合溶液に、イソフタル酸クロリドの塩化メチレン溶液(濃度1重量%)を、粘度がもはや増加しなくなるまで滴下した後、1時間撹拌した。この溶液を塩化メチレンで希釈し、10%塩酸および蒸留水で洗浄し、メタノールを加え、樹脂を沈殿させた。濾過により得られた樹脂の沈殿物を、メタノールで洗い、100℃で減圧乾燥した。このようにして樹脂(P−31)を得た。
上記で末端封鎖剤を加えなかったが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ分析法)で測定して得られるポリスチレン換算の重量平均分子量が67000であり、末端カルボン酸価が50モル/トンであった。
《製造例32》
製造例31で得られた樹脂(P−31)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、メタノール1000質量部を添加してポリマーを再沈殿させた。再沈殿したポリマーを回収し、減圧下にて180℃で24時間乾燥した。この操作を3回繰り返した。このようにして、樹脂(P−32)を得た。
以下、評価方法を示す。
〈評価方法〉
1.樹脂特性
(1−1)インヘレント粘度
得られた樹脂を1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、濃度1g/dLの試料溶液を作製した。ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いてインヘレント粘度を求めた。
インヘレント粘度(dL/g)=
[ln(試料溶液の落下時間/溶媒のみの落下時間)]/樹脂濃度(g/dL)
(1−2)ガラス転移温度
得られた樹脂10mgを、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。ガラス転移温度が150℃以上である樹脂は、耐熱性に優れていると評価した。
(1−3)残留ナトリウム量
ICP発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック製、iCAP6500Duo)を用いて、検量線法に基づく定量分析により、得られた樹脂中の残留ナトリウム量を測定した。
(1−4)シロキサン含有揮発成分の量
得られた樹脂10mg(試料)を、島津製作所製のダブルショットパイロライザPY−2020iDを用いて180℃で10分間加熱した後、ガスクロマトグラフ分析装置(アジレント・テクノロジー社製、6890N)を用いて分析し、揮発成分の量を求めた(カラム:UA5(MS/HT)−30M−0.25F、キャリアガス:ヘリウム)。揮発成分の量は、ヘキサデカンを標準試料として作成した検量線(シロキサン含有成分と標準物質ヘキサデカンとの面積比より定量換算)を用いて算出した。具体的には、濃度が公知のn−ヘキサデカン/ヘキサン溶液を作製し、この溶液500μLを試料カップに入れてヘキサンを揮発させた後、試料と同じ加熱条件でGC/MS法(ガスクロマトグラフィー質量分析法)にて測定を行った。n−ヘキサデカンのピーク面積と物質量の検量線を作成し、それを用いてシロキサン含有揮発成分のピーク面積に基づき定量を行った。
なお、シロキサン含有揮発成分としては、シロキサン結合を含有する複数の化合物をMS(質量分析)データベースを利用することで特定し、装置としては、アジレント・テクノロジー社の5975Cを用いた。
(1−5)樹脂組成および樹脂中の末端フェノール性水酸基の濃度
得られた樹脂を重水素化クロロホルムに溶解させ試料溶液を得た。試料溶液を用いてH−NMRスペクトルを測定した。測定には、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、ECA500 NMR)を用いた。その測定結果に基づき、共重合する各成分のピーク強度から樹脂組成、および樹脂中の末端フェノール性水酸基の濃度を求めた(分解能:500MHz、溶媒:重水素化クロロホルム、温度:25℃)。また、得られた樹脂組成から、樹脂中のオルガノシロキサン残基の含有量を求めた。
その測定結果より、各樹脂について、得られた重合比率は仕込み比率と同じであることが確認された。
(1−6)樹脂中の末端カルボキシル基の濃度
得られた樹脂150mgを、ベンジルアルコール5mlに加温して溶解させた後、冷却し、さらにクロロホルム10mlを加え、混合し、試料溶液を得た。この試料溶液を用い、フェノールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定した。その滴定した値を用いて、樹脂1トン中に含まれるカルボキシル基のモル数を計算した。
2.樹脂溶液特性
(2−1)溶解性
固形分が15質量%になるように樹脂とクロロホルムを混合し、25℃において24時間攪拌した後の樹脂溶液の状態を目視で判断した。
樹脂溶液中にゲル物等の不溶物が発生せずに透明な溶液の得られたものを「良」、樹脂溶液状態にはなったが微量不溶物は浮遊し少し白濁しているものを「可」、樹脂が溶解せず樹脂溶液状態にならなかったものを「不可」とした。
(2−2)溶液安定性
上記(2−1)で「良」または「可」と判断された樹脂溶液について、25℃で3日間静置した後の樹脂溶液の状態を目視で判断した。
溶液が均一な状態であり目視での透過性が変化しなかったものを「良」、分相やゲル化は見られないものの目視での透過性が少し低下したものを「可」、分相したものまたはゲル化したものを「不可」とした。
(2−3)発泡性
固形分が10質量%となるように樹脂とクロロホルムを混合し、樹脂を完全に溶解させ、樹脂溶液を作製した。得られた樹脂溶液を、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社製)を用いて60分間振盪させ泡を発生させた。撹拌を停止してから1分間静置した後における発生した泡の高さを観察した。泡の高さが比較例4での泡の高さと同等以上である場合は「不可」、泡の高さが比較例4での泡の高さよりも低い場合は「良」とした。
3.塗膜特性
(3−1)塗膜の作成
固形分が12.5質量%になるように樹脂とクロロホルムを混合し、ペイントシェイカーで1時間攪拌した後、24時間静置し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を、安田精機製作所社製のNo.542−ABオートマチックフィルムアプリケーターを用いてバーコーターで、乾燥した後の塗膜の厚みが100μmとなるように、ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製エンブレット、厚み約120μm)の基材の表面(非コロナ面)に塗布した後、室温で乾燥させ、塗膜を得た。
(3−2)塗膜の密着性
(3−1)において、乾燥途中に塗膜が基板から一部でも剥離したものを密着性「有」、乾燥途中に塗膜が基板から全く剥離しなかったものを密着性「無」と評価した。
4.フィルム特性
(4−1)フィルムの作製
固形分が12.5質量%になるように樹脂とクロロホルムを混合し、ペイントシェイカーで1時間攪拌した後、24時間静置し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を、安田精機製作所社製のNo.542−ABオートマチックフィルムアプリケーターを用いてバーコーターで、乾燥した後の塗膜の厚みが100μmとなるように、PETフィルムからなる基材の表面に塗布した後、80℃で乾燥させ、塗膜を得た。その後、塗膜を室温まで冷却した後、基材から塗膜を剥離し、フィルムを得た。得られたフィルムを、減圧下、120℃で24時間乾燥した。このようにして、厚み100μmのフィルムを作製した。
(4−2)引張弾性率、引張破断強度
(4−1)で得られたフィルムについて、JIS K 7127に準拠してModel 2020(インテスコ社製)を用いて引張弾性率、引張破断強度を測定した。
(4−3)水蒸気透過度
(4−1)で得られたフィルムについてボイドのない部分を選び、JIS K 7129に準拠し、PERMATRAN−W 3/31透湿度測定装置(mocon社製)を用い、40℃で100%RHの条件下で水蒸気透過度を測定した。
(4−4)ブリードアウト
(4−1)で得られたフィルムを、100℃の環境下にて24時間放置した。このとき、フィルム表面に液状物が付着していたものをブリードアウト「有」とし、フィルム表面に液状物が付着していなかったものをブリードアウト「無」と評価した。液状物が付着の有無は、フィルム表面を目視することおよび指で触ることにより判定した。
(4−5)表面粗さ
1時間攪拌した後の静置時間を30分に変更した以外、(4−1)と同様の方法によりフィルムを作製した。
剥離したフィルムの基材と接していた面と反対の面について、JIS B 0601に準拠し、ミツトヨ社製の表面粗さ計SJ−400を用いて算術平均粗さRaを測定した。算術平均粗さRaが0.5μm以下であるフィルムを、表面平滑性に優れていると評価した。
(4−6)ボイド
(4−5)で得られた枚葉状フィルム(17cm×25cm)について、四方向のそれぞれ周辺から端部35%を除いたフィルム中央部分(5cm×8cm)を目視で観察した。ボイドが観察された場合はボイド「有」、ボイドが観察されなかった場合はボイド「無」と評価した。
《実施例1〜2、4〜15、参考例1
樹脂(P−1)〜(P−6)、(P−21)〜(P−28)、(P−32)を用いて、各種特性を評価した。その評価結果を表3および4に示す。
《比較例1〜8、10〜12》
樹脂(P−7)〜(P−12)、(P−19)〜(P−20)、(P−29)〜(P−31)を用いて、各種特性を評価した。その評価結果を表3および4に示す。
《比較例9》
固形分が12.5質量%になるように、製造例10で得られた比較例4の樹脂(P−10)樹脂とクロロホルムを混合し、ペイントシェイカーで1時間攪拌した後、24時間静置し、樹脂溶液を得た。揮発成分が多い場合を評価するため、便宜上、この樹脂溶液に、化学式(9)で示されるオルガノシロキサン(m=40)を、樹脂(P−10)の固形分に対して1質量%添加した。
比較例9では、上記で添加したオルガノシロキサンを含む樹脂(P−10)(以下、樹脂(P−10)’と表記する。)として樹脂の特性を評価した。上記で添加した、共重合に寄与しないオルガノシロキサンもシロキサン揮発成分に相当すると考えると、樹脂(P−10)’中のシロキサン含有揮発成分の量は3500ppmであった。
得られた樹脂溶液を用いて、樹脂溶液、塗膜、およびフィルムの特性を評価した。その評価結果を表3に示す。
《実施例16》
オルガノシロキサン残基を含む樹脂(P−6)4.5質量部と、オルガノシロキサン残基を含まない他の樹脂(P−12)10.5質量部と、クロロホルム85質量部とを、25℃において24時間攪拌して、樹脂溶液を作製した。
得られた樹脂溶液を用いて、樹脂溶液、塗膜、およびフィルムの特性を評価した。その評価結果を表5に示す。
《実施例17〜27および比較例13》
オルガノシロキサン残基を含む樹脂と、オルガノシロキサン残基を含まない他の樹脂との混合樹脂組成を表5に示すように変更する以外は、実施例16と同様に、樹脂溶液を作製した。
得られた樹脂溶液を用いて、樹脂溶液、塗膜、およびフィルムの特性を評価した。その評価結果を表5に示す。
実施例1〜2、4〜15は、耐熱性や水蒸気透過度は十分であった。
オルガノシロキサン共重合樹脂中における一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基の含有量が10〜25質量%である実施例1〜2、4は、ガラス転移温度が実施例5よりも高く、引張破断強度が実施例6よりも高かった。
実施例1〜2、4〜15は、インヘレント粘度が0.9dL/g以下であったため、フィルム表面の算術平均粗さRaが比較例2よりも小さかった。
実施例1〜2、4〜15は、樹脂Aを含む溶液において泡の発生が抑制され、塗膜の密着性に優れ、フィルムにおいてボイドおよびブリードアウトは発生しなかった。
実施例15は、末端フェノール性水酸基の濃度が15モル/トン、末端カルボキシル基の濃度が40モル/トンであったため、樹脂を有機溶媒に溶解した際、大部分の樹脂は有機溶媒中に溶解して溶液状態にはなったものの、樹脂溶液中に微量の不溶物が浮遊し、樹脂溶液が少し白濁した。
実施例16〜19、22、23は、樹脂Aと樹脂Bとの混合物であったため、3日間樹脂溶液が分相することなく、溶液安定性が良好であった。また、得られたフィルムは引張弾性率、引張破断強度ともに、実施例1〜2、4〜6よりも高く、機械的強度に優れていた。
実施例20、21、24〜27は、樹脂Aと樹脂Bではない他の樹脂との混合物であったため、得られたフィルムは引張弾性率、引張破断強度ともに、実施例1〜2、4〜6よりも高く、機械的強度に優れていたが、3日間静置後の樹脂溶液は分相しており、溶液安定性が悪かった。
実施例16〜27は、樹脂溶液として用いた場合に泡の発生が抑制され、塗膜の密着性に優れ、フィルムにおいてボイドおよびブリードアウトは発生しなかった。実施例16〜27は、表面平滑性、水蒸気透過性に優れたフィルムが得られた。
比較例1は、ビスフェノール成分にフッ素原子が含まれていなかったため、フィルムの水蒸気透過度が低下した。
比較例3は、樹脂中の一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基を含まないため、フィルムの水蒸気透過度が低下した。
比較例5、6は、ビスフェノール成分にフッ素原子が含まれておらず、オルガノシロキサン残基も含まれていなかったため、フィルムの水蒸気透過度が低下した。
比較例2、4、8では、インヘレント粘度が0.9dL/g超であったため、樹脂を含む溶液では泡が発生し、フィルムの表面平滑性が低下した。また、フィルムにてボイドが発生し、塗膜の基材との密着性が低下した。
比較例4および12は、シロキサン含有揮発成分の量が700質量ppm超であったため、ブリードアウトを生じた。
比較例9は、インヘレント粘度が0.9dL/g超であるが、消泡剤として作用するシロキサン揮発成分の量が3500質量ppmと非常に多いため、樹脂溶液の発泡が抑制された。しかし、比較例9は、シロキサン含有揮発成分の量が700質量ppm超であったため、ブリードアウトを生じた。
比較例7は、フッ素原子を含まなかったため、フィルムの水蒸気透過度が低下した。インヘレント粘度は0.9dL/gであったが、一般式(1)におけるXがフッ素原子を含まないフルオレン基であるため、樹脂溶液として用いた場合に泡が発生し、塗膜の基材との密着性も低かった。また、比較例7のフィルムでは、ボイドが発生し、表面平滑性が低下した。
比較例10は、一般式(9)で示されるオルガノシロキサンにおいてm=2であったため、耐熱性および水蒸気透過性が低下した。
比較例11は、芳香族ジカルボン酸クロリドとしてDSDCを用いたところ、重合反応が進まず、重合中に固体が析出し、樹脂が得られなかった。
比較例13は、オルガノシロキサン残基を含む樹脂が一般式(1)で示されるビスフェノール残基を含まないため、実施例16〜27のフィルムに比べて水蒸気透過度が低かった。

Claims (12)

  1. 一般式(1)で示されるビスフェノール残基、一般式(2)で示される芳香族ジカルボン酸残基、および一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基を含有する樹脂であって、
    前記樹脂中の一般式(3)で示されるオルガノシロキサン残基の含有量が7質量%超かつ80質量%未満であり、
    前記樹脂の1,1,2,2−テトラクロロエタン中、温度25℃、濃度1g/dLで測定したインヘレント粘度が0.80dL/g以下であり、
    前記樹脂を180℃で10分間加熱する場合に当該樹脂より揮発するシロキサン含有成分の量が700質量ppm以下であることを特徴とするオルガノシロキサン共重合樹脂。
    (式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン原子を表す。pおよびqは、独立して、0〜4の整数を表す。Xは、フッ素原子を含有する二価基を表す。)
    (式(3)中、RおよびRは、独立して、脂肪族基および/または芳香族基を表し、窒素原子または酸素原子を含有してもよい。R、R、R、およびRは、独立して、脂肪族基または芳香族基を表す。mは、5以上の数字を表す。)
  2. 一般式(1)で示されるビスフェノール残基が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基であることを特徴とする請求項1に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂。
  3. 一般式(2)で示される芳香族ジカルボン酸残基が、テレフタル酸残基とイソフタル酸残基の混合物であり、
    前記混合物におけるテレフタル酸残基とイソフタル酸残基のモル比:テレフタル酸/イソフタル酸が、90/10〜10/90であることを特徴とする請求項1または2に記載のオルガノシロキサン共重合樹脂。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のオルガノシロキサン共重合樹脂と、前記オルガノシロキサン共重合樹脂以外の他の樹脂とを混合してなることを特徴とする樹脂混合物。
  5. 前記オルガノシロキサン共重合樹脂以外の他の樹脂が、一般式(4)または(5)で示されるビスフェノール残基を含む樹脂であることを特徴とする請求項に記載の樹脂混合物。
    (式(4)中、RおよびR10は、独立して、炭素数が1〜12の脂肪族基を表す。rおよびsは、独立して、1〜4の整数を表す。)
    (式(5)中、R11、R12、およびR13は、独立して、炭素数が1〜12の脂肪族基を表す。tおよびuは、独立して、0〜4の整数を表す。vは0〜10の整数を表す。
  6. 一般式(4)で示されるビスフェノール残基が、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン残基であることを特徴とする請求項に記載の樹脂混合物。
  7. 一般式(5)で示されるビスフェノール残基が、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン残基であることを特徴とする請求項に記載の樹脂混合物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のオルガノシロキサン共重合樹脂、または請求項のいずれかに記載の樹脂混合物を有機溶媒に溶解してなることを特徴とする樹脂溶液。
  9. 請求項に記載の樹脂溶液を用いて形成されたことを特徴とする塗膜。
  10. 表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項に記載の塗膜。
  11. 請求項に記載の樹脂溶液を用いて形成されたことを特徴とするフィルム。
  12. 表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
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