JP2013209640A - オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を含む樹脂組成物 - Google Patents

オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を含む樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、表面潤滑性を維持しつつ、密着性と弾性率を向上させたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示されるオルガノシロキサン化合物の残基、二価フェノール残基、および芳香族ジカルボン酸残基からなるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)と、(A)以外のポリアリレート樹脂(B)および/またはポリカーボネート樹脂(C)からなり、(A)〜(C)の合計に対して、(A)の含有比率が5〜80質量%であり、200℃で10分間加熱したときの揮発物量が10〜2500質量ppmである樹脂組成物。

(式中、RおよびRは、独立して、フェノール性水酸基またはアミノ基を有する炭素原子数が1〜12個の基を表し、R、R、RおよびRは、独立して、炭素原子数が1〜12個の基を表し、aは5以上を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を含む樹脂組成物に関するものである。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(特許文献1、2)は、表面潤滑性が高いことから、電子機器を構成するギア、ガイド等の部品の被膜として用いることが検討されている。しかしながら、被膜として用いる場合、弾性率が低いために変形しやすく、また、部品等として用いられる材料との密着性が低いという問題があった。
特開2010−24345号公報 特開2009−46667号公報
本発明は、耐熱性、表面潤滑性を維持しつつ、密着性と弾性率を向上させたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂組成物を提供することを目的としたものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の揮発物量を調整し、さらにポリアリレート樹脂および/またはポリカーボネート樹脂を混合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)一般式(1)で示されるオルガノシロキサン化合物の残基、二価フェノール残基、および芳香族ジカルボン酸残基からなるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)と、(A)以外のポリアリレート樹脂(B)および/またはポリカーボネート樹脂(C)からなり、(A)〜(C)の合計に対して、(A)の含有比率が5〜80質量%であり、200℃で10分間加熱したときの揮発物量が10〜2500質量ppmである樹脂組成物。
(式中、RおよびRは、独立して、フェノール性水酸基またはアミノ基を有する炭素原子数が1〜12個の基を表し、R、R、RおよびRは、独立して、炭素原子数が1〜12個の基を表し、aは5以上を表す。)
(2)(1)記載の樹脂組成物と有機溶媒を含有する樹脂溶液。
(3)(1)記載の樹脂組成物からなる被膜。(4)(1)記載の樹脂組成物からなるフィルム。
(5)(1)記載の樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、耐熱性、表面潤滑性を維持しつつ、密着性と弾性率を向上させたオルガノシロキサン共重合樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の樹脂組成物は、フィルムや成形体として用いることができ、特に、電子機器を構成するギア、ガイド等の部品の被膜として好適に使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)と、(A)以外のポリアリレート樹脂(B)および/またはポリカーボネート樹脂(C)から構成される。
本発明に用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)は、オルガノシロキサン化合物の残基、二価フェノール残基、および芳香族ジカルボン酸残基から構成される。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)に用いるオルガノシロキサン化合物は、一般式(1)で示される。
一般式(1)において、RおよびRは、独立して、フェノール性水酸基またはアミノ基を有する炭素原子数が1〜12個の基であることが必要である。フェノール性水酸基またはアミノ基を有しない場合、ジカルボン酸成分との化学結合が形成できないため、十分な重合度が得られないので好ましくない。また、炭素数が12を超える場合、耐熱性が低下するので好ましくない。RおよびRとしては、例えば、2−ヒドロキシフェニル−メチル基、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチル基、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル基、4−(2−ヒドロキシフェニル)ブチル基、3−ヒドロキシフェニル−メチル基、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル基、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル基、4−(3−ヒドロキシフェニル)ブチル基、4−ヒドロキシフェニル−メチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル基、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基が挙げられる。中でも、重合性の観点から、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル基、アミノプロピル基が好ましい。
、R、RおよびRは、独立して、炭素原子数が1〜12個の基であることが必要である。炭素数が12を超える場合、耐熱性が低下するので好ましくない。重合度aは、5以上であることが必要であり、9〜100であることが好ましく、20〜70であることがより好ましい。aが5未満である場合、摩擦係数を十分に低くすることができなくなるため好ましくない。R、R、RおよびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基が挙げられる。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)において、一般式(1)で示されるオルガノシロキサン化合物の残基の共重合量は、0.05〜80質量%とすることが好ましく、1〜60質量%とすることがより好ましく、15〜50質量%とすることがさらに好ましい。オルガノシロキサン化合物の残基の共重合量をこの範囲とすることで、耐熱性を維持しつつ、密着性と表面潤滑性を共に向上させることができる。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)の骨格として用いる二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔TMBPA〕、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン (ビスフェノールAF)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ビフェノール、4,4−スルホニルビスフェノールが挙げられる。中でも、耐熱性や溶液安定性を向上させることができることから、ビスフェノールA、TMBPA、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAFが好ましく、密着性を向上させることができることから、TMBPA、ビスフェノールC、ビスフェノールAFがさらに好ましい。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)の骨格として用いる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。中でも、耐熱性や弾性率向上の観点から、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸がより好ましい。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない限り、脂肪族二価アルコールや脂肪族ジカルボン酸を共重合させてもよい。脂肪族二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタジエングリコールが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸が挙げられる。
本発明に用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)において、オルガノシロキサン化合物の残基および二価フェノール残基の合計と、カルボン酸残基とのモル比は、95/105〜105/95の範囲が好ましい。
本発明に用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂において、ポリアリレート樹脂に起因するガラス転移温度は、150℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度は、共重合するモノマーを適宜選択することで制御することができる。
本発明に用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、30000〜300000であることが好ましく、50000〜200000であることがより好ましい。重量平均分子量をこの範囲とすることで、樹脂溶液の溶液粘度を取り扱いに適した範囲とすることができる。オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、末端封止剤の添加量によって制御することができる。
次に、本発明に用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の製造方法について説明する。
本発明に用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を製造する方法としては、界面重合法、溶液重合法、溶融重縮合法等が挙げられる。中でも、重合性が良好であることや、得られるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の色調が良好であることから、界面重合法が好ましい。
界面重合法としては、重合触媒を添加した二価フェノールのアルカリ水溶液(水相)に、オルガノシロキサン化合物の有機溶媒溶液(有機相1)を混合し、さらに、二価カルボン酸ハライドの有機溶媒溶液(有機相2)を添加して、50℃以下の温度で1〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。有機相1に用いる有機溶媒は、水とは相溶せず、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂が溶解できる有機溶媒が好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水溶液が挙げられる。
重合触媒としては、例えば、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩や、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、重合性の観点から、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが好ましい。
有機相1に用いる有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ、中でも、取り扱いが容易であることから、塩化メチレンが好ましい。
有機相2に用いる有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン系溶媒が挙げられる。中でも、重合性の観点から、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、シクロヘキサノンが好ましい。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の末端は、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸で封止されていることが好ましい。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸が挙げられる。中でも、重合性や熱安定性の観点から、p−tert−ブチルフェノールが好ましい。
重合後、樹脂溶液に酢酸を添加し、その後、樹脂溶液を水で繰返し洗浄し、樹脂溶液に含まれるナトリウムやカリウムや重合触媒等のイオン性物質を除去することが好ましい。洗浄は、洗浄に用いた水が中性になるまで繰返し洗浄することが好ましい。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂溶液は、重合時に用いた有機溶媒の沸点以上の温度とした温水に添加し、有機溶媒を飛散させることによりポリマーを析出させることができる(温水法)。また、貧溶媒に添加することによりポリマーを析出させることもできる(再沈殿法)。貧溶媒としては、特に限定はされないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やヘキサン等の炭化水素等が好ましく、有機溶媒の除去の観点からヘキサンがより好ましい。析出して得られるポリマーは濾過等で単離し、その後、乾燥させることにより固形分を得ることができる。乾燥は、減圧下または熱風乾燥下いずれの条件下でおこなってもよい。減圧下でおこなう場合、乾燥温度は120〜270℃とすることが好ましく、150〜200℃とすることがより好ましい。一方、熱風乾燥下でおこなう場合、乾燥温度は150℃以下とすることが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、弾性率向上の観点から、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)以外のポリアリレート樹脂(B)および/またはポリカーボネート樹脂(C)(以下、併せて「他の樹脂」と略称する。)を含有させることが必要である。
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)以外のポリアリレート樹脂(B)は、二価フェノール残基と芳香族ジカルボン酸残基から構成される。二価フェノール残基を与える二価フェノールとしては、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)に用いるものと同様の二価フェノールが挙げられる。中でも、耐熱性や溶液安定性を向上させることができることから、ビスフェノールA、TMBPA、ビスフェノールC、ビスフェノールZが好ましい。また、芳香族ジカルボン酸残基を与えるジカルボン酸としては、先述したオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)に用いるジカルボン酸残基を与えるジカルボン酸が挙げられる。中でも、耐熱性や弾性率向上の観点から、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸がより好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(C)は、二価フェノール残基とカーボネート残基から構成される。二価フェノール残基を与える二価フェノールとしては、先述したオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)に用いる二価フェノール残基を与える二価フェノールが挙げられる。中でも、耐熱性や溶液安定性を向上させることができることから、ビスフェノールA、TMBPA、ビスフェノールC、ビスフェノールZが好ましい。
なお、他の樹脂には、本発明の効果を損なわない限り、脂肪族二価アルコールや脂肪族ジカルボン酸を共重合させてもよい。
他の樹脂のガラス転移温度は、得られる被膜やフィルムの耐熱性を向上させるため、160℃以上であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)と他の樹脂との質量比は、5/95〜100/0の範囲とすることが必要であり、5/95〜80/20の範囲とすることが好ましく、15/85〜50/50の範囲とすることがより好ましい。(A)の含有量が5質量%未満の場合、密着性が低下するので好ましくない。一方、(A)の含有量が80質量%を超える場合、弾性率が低くなるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物を200℃で10分間加熱したときの揮発物量は、密着性の観点から、10〜2500質量ppmとなるよう調整することが必要であり、10〜1500質量ppmとなるよう調整することが好ましく、10〜400質量ppmとなるよう調整することがより好ましい。揮発物量が2500質量ppmを超える場合、10質量ppm未満の場合、いずれも、密着性が低くなるので好ましくない。なお、ここでの揮発成分は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂中に含まれる一般式(1)で示されるオルガノシロキサン、またはその分解物であると考えられる。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させてもよい。
本発明の樹脂組成物は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)と、他の樹脂を混合して得ることができる。混合する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂溶液を作製して混合したり、あるいは、ガラス転移温度以上に加温することで溶融状態にして混合したりすることができる。中でも、透明性を維持できることから、前者の方が好ましい。
本発明の樹脂組成物の樹脂溶液は、有機溶媒に溶解して作製する。樹脂溶液の有機溶媒は、前述のオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の製造方法における有機層2に用いる溶媒を用いることができる。樹脂溶液の固形分濃度の下限は、10質量%以上とすることが好ましく、12質量%以上とすることがより好ましい。固形分濃度が10質量%未満の場合、大量の有機溶媒を用いることになり、環境への負荷が増大したり、溶媒乾燥や溶媒回収のコストが増加したりする。固形分濃度の上限としては、30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい。固形分濃度が30質量%を超えると、樹脂組成物が溶け残る場合がある。
本発明の樹脂組成物は、公知の方法により、その被膜を形成させたり、そのフィルムを作製したり、その成形体を作製することができる。
本発明の被膜は、その樹脂溶液を公知の塗布方法で基材に塗布し、その後乾燥工程に付すことで、形成することができる。基材としては、例えば、アクリル板、アルミ体、銅箔が挙げられる。塗布方法は特に限定されないが、ワイヤーバーコーター塗り、フィルムアプリケーター塗り、はけ塗り、スプレー塗り、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法を用いることができる。乾燥方法は特に限定されないが、効率よく有機溶媒を除去するためには加熱乾燥することが好ましい。乾燥温度や乾燥時間は樹脂の物性や塗布基板の組み合わせにより適宜選択されが、経済性を考慮した場合、乾燥温度は40〜200℃とすることが好ましく、40〜150℃とすることがより好ましい。乾燥時間は1分〜24時間とすることが好ましく、5分〜1時間とすることがより好ましい。なお、必要に応じて、室温で自然乾燥してもよい。被膜の厚みは、溶液濃度や塗布方法により異なるが、例えば、アプリケーターを用いた場合、アプリケーターの隙間幅を変更することで調整でき、また、ワイヤーバーコーターの場合、バーコーターに巻きつけられた針金直径を変更することで調整することができる。
本発明の樹脂組成物からなる被膜の密着性は、後述する密着性試験において、被膜に残る被膜のマス目の数が70個以上となるよう調整することが好ましく、85個以上となるよう調整することがより好ましく、90個以上となるよう調整することがさらに好ましい。被膜に残る被膜のマス目の数が70個以上であれば、被膜として多用途に用いることができる。
また、本発明のフィルムは、流延法やTダイ法により作製することができる。流延法とは、樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥した後、基材から剥離してフィルムを得る方法である。流延法における塗布方法や乾燥方法は、上記の被膜を設ける場合と同じ条件でおこなえばよい。Tダイ法とは、乾燥した樹脂を押出機に投入し、溶融樹脂をTダイから冷却ロールに押出し、捲き取る方法である。Tダイ法における冷却ロールの温度としては、40〜90℃の温度範囲が好ましい。冷却ロールにフィルムを密着させる方法としては、静電印加法やエアーナイフ法等、公知の方法を用いることができる。
また、本発明の成形体は、射出成形、押出成形、吹き込み成形等の熱溶融成形法により作製することができる。
本発明のフィルムや成形体の弾性率は1500〜2000MPaであることが好ましく、1650〜1800MPaであることがより好ましい。弾性率が1500〜2000MPaのとき、ハンドリング性が低下することなく、変形しにくいフィルムや成形体とすることができる。弾性率は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)の共重合組成や、含有比率を制御することで、調整することができる。
本発明の被膜やフィルムは表面潤滑性に優れており、その表面の摩擦係数は0.60以下となる。摩擦係数は、0.50以下であることがより好ましく、0.45以下であることがさらに好ましい。摩擦係数は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)の共重合組成や含有比率を制御することで、調整することができる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、ギア・ガイド等の摺動部品や電子写真感光体の被膜、コンデンサ等の電子部品用フィルム、液晶表示装置・プラズマディスプレイ・有機EL用等の位相差フィルム、偏光フィルム・反射防止フィルム・視野角拡大フィルム・高輝度フィルム・拡散フィルム・導光フィルム等の光学フィルム、ITO膜等を付与したタッチパネル用のフィルム、微細加工用のベースフィルム、スピーカー等の音響機器用振動フィルム、滑り板、プーリー、レバー、CD−R・DVD−R等の光記録メディア、平面ディスプレー、光学レンズ等、半導体レーザー・発光ダイオード等の光源材料、電子回路基板、液晶ドライバの部品として用いることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの発明によって限定されるものではない。
1.評価項目
(1)樹脂組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製ECA500NMR)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から求めた(分解能:500MHz、溶媒:重水素化クロロホルム、温度:25℃)。
(2)密着性
塩化メチレンに、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を溶液濃度が15質量%になるように混合した。その溶液を古河電気工業株式会社製GTS銅箔(厚さ175μm)の粗化処理面に流延塗布し、減圧下、120℃、24時間加熱乾燥させ、厚み10μmの被膜を作製した。なお、比較例6は、200℃、24時間加熱乾燥させた。
得られた被膜に、JIS K5400に規定されたクロスカット法に準拠して切込みを入れ、マス目を100個形成した。その後、市販のセロハンテープ(「CT−24(幅24mm)」、ニチバン株式会社製)を、切り込み方向の一方向に平行な方向に、端部を残して貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させ、貼付面に対して90度の角度の方向に瞬間的に引き剥がした。引き剥がした後、被膜層に残るマス目の数を目視で確認した。
(3)揮発物量
(2)で得られた被膜からオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を削りだし、それから10mgを精秤して試料カップに詰め、島津製作所製ダブルショットパイロライザPY−2020iDを用いて250℃で10分間加熱したときに発生する揮発成分を、GC/MSを用いて測定をおこなった。GCはアジレント・テクノロジー社製6890N(カラム:UA5(MS/HT)−30M−0.25F、キャリアガス:ヘリウム)を用いて定量をおこない、MSはアジレント・テクノロジー社製5975Cを用いた。揮発物量は、ヘキサデカンを標準試料として作成した検量線を用いて算出した。
(4)弾性率
(2)で得られた溶液をPETフィルム上に流延塗布した後、減圧下、120℃、24時間乾燥し、PETフィルムからフィルムを剥離し、厚み100μmのフィルムを作製した。
得られたフィルムを、JIS K−2318に準拠して、インテスコ社製引張圧縮試験機を用いて測定した。
(5)摩擦係数
(4)で得られたフィルムの摩擦係数を、協和界面科学製自動摩擦摩耗解析装置TS501を用いて測定した(接触子:SUS製の線状接触子、荷重500g、速度5cm/秒)。
(6)耐熱性
(4)で得られたフィルムを120℃雰囲気下に3時間静置した。実施例、比較例すべてにおいて、フィルム形状が維持され、樹脂が溶融する等の問題は発生しなかった。
(7)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
送液装置:ウォーターズ社製Isocratic HPLC Pump 1515
検出器:ウォーターズ社製Refractive Index Detector 2414
カラム:Mixed−D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
溶媒:クロロホルム
流速:1mL/分
測定温度:40℃
(8)ガラス転移温度
樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて、−80℃から300℃まで10℃/分で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
2.製造例
<(A)オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂>
・(A−1)
[重合]
攪拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分としてビスフェノールC42.03質量部、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)1.32質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム18.71質量部、重合触媒としてベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド(BTBAC)0.38質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.16質量部を仕込み、水1000質量部に溶解した(水相)。これとは別に、化学式(2)で示されるオルガノシロキサン36.04質量部を塩化メチレン200質量部に溶解した(有機相1)。この有機相1を、攪拌下、水相中に添加し、さらに15℃で30分間攪拌を続けた。
続いて、この有機相1とは別に、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(DEDC)53.10質量部を塩化メチレン400質量部に溶解した(有機相2)。(ビスフェノールC:オルガノシロキサン:DEDC:PTBP=93.4:6.6:102.5:5.0(モル比))この有機相2を、水相と有機相1の混合溶液中に攪拌下で添加し、さらに15℃で2時間重合反応をおこなった。この時、有機相1と有機相2は一つの有機相となった。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、新たに塩化メチレン200質量部、純水1000質量部と酢酸1質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。この有機相を純水で10回洗浄した後に、有機相を蒸発させ、固形物を取り出した後に25℃24時間真空乾燥をおこない、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を得た。得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の樹脂組成を確認したところ、仕込みの配合と同じ樹脂組成であった。
[再沈殿乾燥]
得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、メタノール1000質量部を添加して再沈殿をおこなった。再沈殿したポリマーを、減圧下、85℃、24時間乾燥し、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−1)を得た。(A−1)中に占める共重合成分としてのオルガノシロキサン化合物の残基の含有量は30質量%であった。(A−1)の重量平均分子量は90000、ガラス転移温度は176℃であった。
・(A−2)
(A−1)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、メタノール1000質量部を添加して再沈殿をおこなった。再沈殿したポリマーを、減圧下、120℃、24時間乾燥し、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−2)を得た。
・(A−3)
(A−1)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、メタノール1000質量部を添加して再沈殿をおこなった。再沈殿したポリマーを、減圧下、150℃、24時間乾燥し、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−3)を得た。
・(A−4)
(A−1)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、ヘキサン1000質量部を添加して再沈殿をおこなった。再沈殿したポリマーを、減圧下、170℃、24時間乾燥し、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−4)を得た。
・(A−5)
(A−1)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、ヘキサン1000質量部を添加して再沈殿をおこなった。再沈殿したポリマーを、減圧下、200℃、24時間乾燥し、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−5)を得た。
・(A−6)
(A−1)10質量部を塩化メチレン300質量部に溶解し、その後、ヘキサン1000質量部を添加して再沈殿をおこなった。再沈殿したポリマーを、減圧下、250℃、24時間乾燥し、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−6)を得た。
・(A−7)
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂中に占める共重合成分としてのオルガノシロキサン残基の含有量を5質量%となるようにして重合した以外は、(A−1)の重合する際と同様の操作をおこなって、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を得た。
得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を、(A−1)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−2)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−3)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作を順におこない、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−7)を得た。
・(A−8)
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂中に占める共重合成分としてのオルガノシロキサン残基の含有量を15質量%となるようにして重合した以外は、(A−1)の重合する際と同様の操作をおこなって、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を得た。
得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を、(A−1)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−2)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−3)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作を順におこない、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−8)を得た。
・(A−9)
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂中に占める共重合成分としてのオルガノシロキサン残基の含有量を50質量%となるようにして重合した以外は、(A−1)の重合する際と同様の操作をおこなって、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を得た。
得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を、(A−1)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−2)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−3)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作を順におこない、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−9)を得た。
・(A−10)
ビスフェノール成分を、(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに変更して重合した以外は、(A−1)の重合する際と同様の操作をおこなって、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を得た。
得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を、(A−1)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−2)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−3)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作を順におこない、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−10)を得た。
・(A−11)
ビスフェノール成分を、ビスフェノールAFに変更して重合した以外は、(A−1)の重合する際と同様の操作をおこなって、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を得た。
得られたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂を、(A−1)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−2)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作、(A−3)の再沈殿し乾燥する際と同様の操作を順におこない、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−11)を得た。
<(B)ポリアリレート樹脂>
・(B−1)
攪拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分としてビスフェノールC77.28質量部、末端封止剤としてPTBP2.71質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム10.82質量部、重合触媒としてBTBAC0.38質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.16質量部を仕込み、水1000質量部に溶解した(水相)。
続いて、テレフタル酸とイソフタル酸の等量混合物(MPC)63.04質量部を塩化メチレン400質量部に溶解した(有機相)。(ビスフェノールC:MPC:PTBP:BTBAC=100:103:6(モル比))この有機相2を、水相と有機相1の混合溶液中に攪拌下で添加し、さらに15℃で2時間重合反応をおこなった。この時、有機相1と有機相2は一つの有機相となった。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、新たに塩化メチレン200質量部、純水1000質量部と酢酸1質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。この有機相を純水で10回洗浄した後に、有機相を蒸発させ、固形物を取り出した後に25℃24時間真空乾燥をおこない、ポリアリレート樹脂(B−1)を得た。得られたポリアリレート樹脂の樹脂組成を確認したところ、仕込みの配合と同じ樹脂組成であった。(B−1)の重量平均分子量は89000、ガラス転移温度は180℃であった。
<(C)ポリカーボネート樹脂>
・(C−1)
ビスフェノールA74質量部を、6重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550質量部に溶解した溶液に、塩化メチレン250質量部を加えて攪拌しながら、冷却下、該溶液にホスゲンガスを950質量部/分間の割合で15分間吹き込んだ。ついで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基であるポリカーボネート樹脂オリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
このポリカーボネート樹脂オリゴマーの塩化メチレン溶液200質量部に、塩化メチレンを加えて全量を450質量部とした後、これに、ビスフェノールC20.6質量部を、8重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液200質量部と混合し、さらに分子量調節剤としてPTBP2.0質量部を加えた。つぎに、この混合液を激しく攪拌しながら、触媒として7重量%濃度のトリエチルアミン水溶液を2質量部加え、28℃において、攪拌下に1.5時間反応した。反応終了後、反応生成物を塩化メチレン1000質量部で希釈し、ついで、水1500質量部で2回、0.01規定濃度の塩酸1000質量部で1回、さらに水1000質量部で2回の順で洗浄した後、有機層をメタノール中に投入し、析出した固体を濾過して乾燥することにより、ポリカーボネート樹脂(C−1)を得た。(C−1)の重量平均分子量は85000、ガラス転移温度は128℃であった。
実施例1
オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A−5)30質量部、ポリアリレート樹脂(B−1)70質量部を、固形分濃度が15質量%になるように、塩化メチレンに溶解させ、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂組成物の樹脂溶液を作製した。
実施例2〜17、比較例1〜6
用いるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂と他の樹脂の種類と含有比率を表1のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアリレート樹脂組成物の樹脂溶液を得た。
表1に、ポリアリレート樹脂組成物について評価した結果を示す。
実施例1〜17の樹脂組成物は、密着性、剛性、表面潤滑性いずれにも優れていた。
実施例1〜4の樹脂組成物は、揮発物量のみが異なる実施例である。揮発物量が多くなると、密着性が低下することがわかる。
実施例3、5〜9の樹脂組成物は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂と他の樹脂の含有比率のみが異なった実施例である。オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の含有量が多くなると、密着性が向上し、弾性率が低下することがわかる。
実施例14、16、17の樹脂組成物は、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂のビスフェノール成分のみが異なった実施例である。ビスフェノール成分が、ビスフェノールC、ビスフェノールAFの場合、密着性が高くなることがわかる。
実施例1〜9の樹脂組成物の密着性評価から、密着性は、揮発物量と、オルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂と他の樹脂の含有比率に影響されることがわかる。
比較例1、2の樹脂組成物は揮発物量が多かったため、密着性が低かった。
比較例3の樹脂組成物は樹脂を含有していなかったため、弾性率が低かった。
比較例4の樹脂組成物は、用いたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の含有量が少なかったため、密着性が低かった。
比較例5の樹脂組成物は、用いたオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂の含有量が少なかったため、弾性率が低かった。
比較例6の樹脂組成物は、揮発物量が少なかったため、密着性が低かった。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で示されるオルガノシロキサン化合物の残基、二価フェノール残基、および芳香族ジカルボン酸残基からなるオルガノシロキサン共重合ポリアリレート樹脂(A)と、(A)以外のポリアリレート樹脂(B)および/またはポリカーボネート樹脂(C)からなり、(A)〜(C)の合計に対して、(A)の含有比率が5〜80質量%であり、200℃で10分間加熱したときの揮発物量が10〜2500質量ppmである樹脂組成物。
    (式中、RおよびRは、独立して、フェノール性水酸基またはアミノ基を有する炭素原子数が1〜12個の基を表し、R、R、RおよびRは、独立して、炭素原子数が1〜12個の基を表し、aは5以上を表す。)
  2. 請求項1記載の樹脂組成物と有機溶媒を含有する樹脂溶液。
  3. 請求項1記載の樹脂組成物からなる被膜。
  4. 請求項1記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  5. 請求項1記載の樹脂組成物からなる成形体。
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