JP2009242712A - ポリアリレートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性を維持しつつ溶剤溶解性にすぐれ、さらに他の化合物やポリマーとの反応性の良好なカルボキシル酸価を付与させたポリアリレートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】二価フェノールの残基と芳香族ジカルボン酸残基で構成されるポリアリレートであって、界面重縮合法で合成され、酸価が100mol/t以上であることを特徴とするポリアリレート。二価フェノール残基を与える二価フェノールの構成成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール単位を含有することを特徴とする(1)のポリアリレート。

【選択図】なし

Description

本発明は、界面重縮合法で合成され、100mol/t以上の酸価を有するポリアリレートおよびその製造方法に関するものである。
二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分から得られるポリアリレートは、非晶性が高く透明で、かつ耐熱に優れることから近年さまざまな用途に用いられている。
たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕の残基とテレフタル酸及びイソフタル酸の残基とからなる非晶性ポリアリレートはエンジニアリングプラスチックとして既によく知られており、耐熱性や、衝撃強度に代表される機械的強度・寸法安定性、透明性などが要求される電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く応用されている。
これらの樹脂製品の多くは、押出成形や射出成形のように溶融状態で加工された成形品であるが、溶剤に溶解してキャストされたシートやフィルム、あるいは金属、ガラス、樹脂、木材などの基材にコーティングされた被膜としての応用も盛んになってきており、優れた電気的特性(絶縁性、誘電特性等)や光学特性を利用して、コンデンサー用や液晶ディスプレー用のフィルムのような電子材料用途に適用されつつある。
通常、ポリアリレートは、分子量が高く、かつ着色が少なく、しかも、純度の高いポリマーが得られる界面重縮合法で作られるのが一般的である。
しかしながら、従来のポリアリレートは、分子鎖中および分子鎖末端に反応性基を有していないために、他の化合物やポリマーとの反応性が低いという課題があった。
分子鎖末端に反応性基を有したポリアリレートとして、芳香族ジオール成分を無水酢酸でアセチル化した後、芳香族ジカルボン酸と反応させる熔融重合法によって合成したカルボキシル酸価の高いポリアリレートが知られている(特許文献1)。しかし、熔融重合により得られたポリマーは、色調が悪い、樹脂中に酢酸が残り成形時に金型を腐食させたり、成形品を電気や電子部品として使用した際の金属部分を腐食させるという問題、溶剤溶解性に乏しいなどの欠点があった。
また、ポリアリレート樹脂をフォトレジストのポリマーマトリックスとして使用した場合、ポリアリレート樹脂をMEKやNMP等の極性溶媒に溶かし、樹脂溶液とした後、所定の基材に塗布した後、回路部形成のために、光・電子線を用いて露光し、露光部をアルカリ溶液を用いて溶出させる。この場合、用いるポリアリレート樹脂の基材塗布時の溶媒溶解性と、露光後のアルカリ溶解性が要求される。しかしながら、従来のポリアリレート樹脂ではアルカリ分解性が低く、フォトレジストの適性に問題があった。
特開2003−212980号公報
本発明は、耐熱性を維持しつつ溶剤溶解性にすぐれ、さらに他の化合物やポリマーとの反応性の良好なカルボキシル酸価を付与させたポリアリレートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、界面重縮合法で得られるポリアリレートにおいて、特定構造の二価フェノールを配合すること、ポリアリレートの反応条件を変更することで、カルボキシル酸価を高くすることができ、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の趣旨は以下の通りである。
(1) 二価フェノールの残基と芳香族ジカルボン酸残基で構成されるポリアリレートであって、界面重縮合法で合成され、酸価が100mol/t以上であることを特徴とするポリアリレート。
(2) 二価フェノール残基を与える二価フェノールの構成成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール単位を含有することを特徴とする(1)のポリアリレート。
[式(I)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜5の炭化水素基、塩素原子又はフッ素原子を表し、xはメトキシ基やエトキシ基、フェノキシド等のアルコキシドを表し、Yは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表す。式(I)で示される二価フェノールは1種だけ用いても、2種以上を併用してもよい。]
(3) 二価フェノール残基を与える二価フェノールの構成成分として、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(BisAF)単位、4,4’−スルホニルジフェノール(BisS)単位からなり、BisAF/BisS=100/0〜20/80の構成比で含むことを特徴とする(1)または(2)のポリアリレート。
(4) 重合触媒の配合量が二価フェノールに対して5モル%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のポリアリレートの製造方法。
(5) 二価フェノールのアルカリ水溶液のアルカリの配合量が二価フェノールの水酸基に対して2.5倍以上であることを特徴とする(1)〜(3)のポリアリレートの製造方法。
(6) (1)〜(3)のポリアリレートより構成されるコーティング膜。
本発明によれば、界面重縮合法で得られるポリアリレートにおいて、特定構造の二価フェノールを配合すること、ポリアリレートの反応条件を変更することで、酸価の高いポリアリレートを提供することができる。
酸価の高いポリアリレートより得られるコーティング膜は基材への密着性が良好で、さらにはアルカリが浸透しやすくなるためアルカリ分解性が向上する。
また、他樹脂との反応性に富むため、ブロック共重合や架橋などの二次反応を行うことも可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明でいうポリアリレートについて説明する。ポリアリレートは、二価フェノール残基と芳香族ジカルボン酸残基とから構成されているポリエステルであり、本発明の製造方法では、界面重合によって合成される。すなわち、アルカリ水溶液に溶解させた二価フェノール(水相)と、水に溶解しない有機溶剤に溶解させたジカルボン酸ハライド(有機相)とを混合することによって行われ(W.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399 1959年、特公昭40−1959号公報)、溶液重合と比較して反応が速く、熔融重合と比較して酢酸臭がなく、溶剤溶解性に優れた、着色の少ない透明性の高いポリアリレートを得ることが可能である。本発明のようなポリアリレートを得る場合には有利な合成法である。
本発明のポリエステルを構成する二価フェノール残基を与えるニ価フェノールの具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフルオレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジsec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3ーフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2ーヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2ーヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。
この中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、〔ビスフェノールP-PRM〕(下記一般式(II))などが好ましく、さらにこの中でも、〔ビスフェノールP-PRM〕(下記一般式(II))、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(以下BisAF)、4,4’−スルホニルジフェノール(以下BisS)がアルカリ分解性、密着性、溶剤溶解性の観点から好ましく用いられる。これらの二価フェノールは、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。BisAF、BisSを使用する場合、これらの比率がBisAF/BisS=100/0〜20/80の範囲、好ましくは70/30〜30/70の範囲であり、特に好ましいのは両者の等量混合物である。
本発明のポリアリレートを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸、4,4‘−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。特に好適に用いることのできる芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸とイソフタル酸であり、これらの比率がテレフタル酸/イソフタル酸=80/20〜20/80の範囲、好ましくは、7/3〜3/7の範囲であり、特に好ましいのは両者の等量混合物である。
本発明のポリアリレートの酸価は100mol/t以上である必要がある。酸価が、100mol/t未満であると、基材への密着性が悪く、剥がれてしまう。またアルカリの浸透性が低いため、アルカリ分解性に乏しくなる。
本発明のポリアリレートの分子量は、5000〜150000の範囲が望ましい。さらに好ましくは5000〜70000のであり、最も好ましくは、5000〜50000である。分子量が5000未満であると、脆いため造膜することができない。また150000を超えると、溶液粘度が高すぎるため、ハンドリング性が悪くなる。
界面重合によってポリアリレートを合成する方法についてさらに詳細に説明する。まず、水相として、二価フェノールのアルカリ水溶液を調製し、続いて、重合触媒および分子量調整剤を添加する。ここで用いることができるアルカリには、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等がある。
前記アルカリは、全二価フェノールに対して2.5倍モル量以上配合することが必要である。配合量が2.5倍モル量より少ないと酸価100mol/t以上のポリアリレートを製造することができない。アルカリの最適な配合量は2.5〜5倍モル量の範囲が適切である。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第3級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられ、特にトリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドの反応速度が速く好ましい。
前記重合触媒は、全二価フェノールに対して5モル%以上添加することが必要である。添加量が5モル%より少ないと、酸価100mol/t以上のポリアリレートを製造することができない。重合触媒の最適な添加量は5〜15モル%の範囲が適切である。
また、二価フェノールをアルカリ溶液中で酸化させないために、酸化防止剤を添加する必要がある。
酸化防止剤としては、亜硫酸塩が好適である。亜硫酸塩としては、種々のものが挙げられる。具体的には、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム(別名:ハイドロサルファイト)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。その中でも、酸化防止の効果および環境負荷の低減からも次亜硫酸ナトリウムが最適である。酸化防止剤の添加量としては、全2価フェノールに対して0.1〜100質量%添加することが必要である。添加量が0.1質量%より少ないと、酸化防止効果がなく出来たポリマーが著しく着色する。一方、100重量%より多いと、効果が飽和するだけでなく、重合反応を阻害し、所定の粘度のポリマーを得ることができない。好ましくは、0.5〜70質量%であり、最適には、0.5〜50質量%である。
また水相には分子量調整剤として、重合時に、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸などを添加してもよい。
そのような末端封止剤として用いられる一価フェノールとしては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「p−(α−クミル)フェノール)」と記すことがある。)2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、一価酸クロライドとしては、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどが挙げられ、一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが挙げられ、一価カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などが挙げられる。
次に、有機相として、水と相溶せず、かつ、ポリアリレートを溶解するような溶媒、具体的には塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、もしくはテトラヒドロフランなどに、二価の芳香族カルボン酸ハライドを溶解させる。この有機相の溶液を前述の水相の溶液に混合し、好ましくは50℃以下の温度で1時間〜8時間攪拌しながら重縮合を行うことによって所望の樹脂溶液を得ることができる。
重合後に得られた樹脂溶液に酢酸を添加し、重合を終了したあと、樹脂溶液を水で繰返し攪拌・洗浄し、樹脂溶液に含まれるナトリウムやカリウム、および重合触媒などのイオン性成分を除去する。洗浄に使用する水は、酸性であっても、塩基性であっても構わないが、洗浄廃液水が、中性になるまで繰返し洗浄する必要がある。
得られた樹脂溶液を、貧溶媒に滴下することにより、固形分としての樹脂が析出する。樹脂溶液の固形分濃度は3質量%以下が好ましい。また、貧溶媒の体積は樹脂溶液の体積の3倍以上が好ましい。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ヘキサンなどが挙げられる。
樹脂溶液を貧溶媒へ添加することにより、樹脂に含有される遊離の二価カルボン酸量を低減させることができる。二価カルボン酸の含有量を低減するためには、特に、貧溶媒へ析出処理をした後の貧溶媒への浸漬時間を1分以上とすることが好ましい。また、重合触媒として、重合活性の比較的低いトリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライドなどを用いたときは、浸漬時間を3分以上とすることが特に好ましい。3分未満で取り出したときは、樹脂からの二価カルボン酸除去が不十分である場合がある。遊離の二価カルボン酸量を減少させるためには、得られた樹脂を再び溶媒に溶解し、貧溶媒へ添加して析出をおこなう上記操作を繰り返してもよい。
上記のようにして得られた樹脂は、汎用溶媒に対して高い溶解性を有しているので、溶媒に溶解させて、容易に本発明の塗工液とすることができる。塗工液とするときに用いる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−、m−,p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどが挙げられ、これらの溶媒を単独で、もしくは混合溶媒として用いることができる。
本願発明の高酸価ポリアリレートは、フォトレジスト組成物として、電子デバイス、例えばプリント配線板および集積回路の製造に用いられる多様な支持体に対して用いることができる。適切な支持体には、銅張り板、プリント配線板内部層および外部層、集積回路の製造に用いられるウエハーが含まれる。界面重合で、重合を行い、酢酸等の溶出の懸念がないため、配線基板、回路の金属線が腐食する懸念がなく、電子部品材料に好適に用いることができる。
フォトレジスト組成物にはネガ型とポジ型の二つのタイプのものがある。ネガ型フォトレジスト組成物を像様露光した場合は、レジスト組成物の露光された領域が現像剤溶液に対して溶けにくくなり(例えば、架橋反応が起こる)、一方フォトレジスト膜の非露光領域はこのような溶液に対して比較的可溶性のままに維持される。それゆえ、露光したネガ型レジストを現像剤で処理することにより、フォトレジスト膜の非露光領域が除去され、そして膜にネガ型の像が形成される。それにより、フォトレジスト組成物が付着していたその下の基体表面の所望の部分が裸出される。
一方、ポジ型フォトレジスト組成物を像様露光した場合には、フォトレジスト組成物の露光された領域が現像剤溶液に対してより可溶性になり(例えば、転位反応が起こる)、そして非露光領域は、現像剤溶液に対して比較的不溶性のまま維持される。それゆえ、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理することにより、膜の露光領域が除去されそしてフォトレジスト膜にポジ型の像が形成する。この場合も、下にある表面の所望の部分が裸出される。
本願発明の高酸価ポリアリレートは、ネガ型フォトレジスト、ポジ型フォトレジストの何れの用途にも用いることができる。
本発明の高酸価のポリアリレートの使用方法としては、従来のフォトレジスト技術のレジストパターン形成方法が用いられるが、好適に行うには、まずシリコンウェハーのような支持体上に、レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに露光装置などにより、エキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば0.1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実なパターンを得ることができる。
本発明の応用分野は、さらに所望により混和性のある添加物、例えば付加的樹脂、クエンチャー、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤などの種々添加剤を含有させることができる。
また本願発明の高酸価のポリアリレートは、高い酸価を有しているため水性分散体や、ブロック共重合やイソシアネート、エポキシ等と架橋などの二次反応を行うことができる。高い酸価は、反応性に富むため、水分散体とする場合の分散性、他樹脂との混練において、親和性に優れ、優れた樹脂組成物とすることができる。
以下、本発明を実施例、比較例によりさらに詳細に説明する。
(測定方法)
(1)ポリアリレートの構成
H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)により求めた。
(2)ガラス転移温度
ポリアリレート約10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求めた。
(3)酸価
試験管にポリアリレート約0.15gを精秤し、ベンジルアルコール5mlを加えて加熱溶解した。これにクロロホルム10mlを混合した後、フェノールレッドを指示薬として加え、撹拌しながら0.1N−KOHベンジルアルコール溶液で中和滴定を行なってカルボキシル酸価を求めた。
(4)重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC分析(ウォーターズ社製)使用、RI検出器、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により求めた。
(5)溶剤溶解性
10gのポリアリレートを40gおよび90gのメチルエチルケトン(以下MEK)およびN−メチルピロリドン(以下NMP)が入ったフラスコに入れ、25℃に保ちながら攪拌し、2時間後の状態を目視観察した。20質量%で完全に溶解しているものを◎、10質量%で完全に溶解しているものを○、どちらも溶解せずにポリマーが残留したものを×とした。
(6)密着性
ポリアリレート樹脂5質量部に本発明ポリアリレート樹脂5質量部混ぜ、NMPを90質量部加え、25℃室温で攪拌溶解することにより、ポリマー濃度10質量%のポリマー溶液を得た。次に、このポリマー溶液を基材として各種基板にコーティングした。基材は表面を予めアセトンで脱脂した上で、安田精機社製フィルム製膜機542−ABにセットし、ベーカー式アプリケーターで溶液を基材表面に塗布した。用いた基材は次の通り:軟アルミ箔(住軽アルミ箔社、厚み80μm)、一般構造用圧延ステンレス(ニラコ社)、電解銅箔(福田金属箔社)のマット面。この際、温度15℃、湿度30%RHに保たれたクリーンルーム内で作業を行った。塗布した溶液を室温にて10分間風乾し、90℃で3分間の予備乾燥を行った。
その後、200℃で10分間の本乾燥を行い、基材上に厚さが約4μmの透明な乾燥被膜を形成させた。
その後、カッターナイフを用いて、基材に達する深さで被膜に切れ目を入れた。切れ目は長さ10mm、間隔1mmで格子状に入れ、100個の升目をつけた。このようにして準備したカット面に、ニチバン社製セロハンテープ(登録商標)(幅12mm)を貼り、上からこすり付けて十分貼り付けた後、基板から90°の角度で上方に引き剥がした。このようにテープ剥離した試料の被膜の状態を目視して、剥離した升目の数を確認した(最大100、最小0)。この個数が小さいほど密着性に優れている。
(7)アルカリ分解性
ポリアリレート樹脂と本発明ポリアリレートを混ぜ込み、塩化メチレンに溶解して15質量%溶液を作成し、これをポリエステル基材上に流延塗布した。得られたフィルムを自然乾燥後にポリエステル基材から剥離し、120℃にて5時間乾燥し、厚さ100μmのフィルムを得た。次に、このフィルムを3cm×6cmに切り出し、質量を測定して試料とした。この試料を30質量%の水酸化ナトリウム水溶液に室温で120時間浸漬した。その後、試料を水洗・乾燥して、質量を測定した。このときのアルカリ溶液浸漬前後における質量減少割合を算出しアルカリ分解性の評価基準とした。減少割合の大きいものほどポリマー膜の加工性に優れていると判断し、65質量%以上であれば合格とした。
(実施例1)
撹拌装置を備えた反応容器中に4,4’−スルホニルジフェノール(以下BisS)73.9g(0.295モル)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(以下BisAF)99.3g(0.295モル)、水酸化ナトリウム118.1g(2.95モル)、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド49.1g(13mol%)を仕込み、純水4.3Lに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン2.6Lに、二価カルボン酸としてテレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(以下MPC)119.9g(0.59モル)を溶解して有機相を調製した。
この有機相を先に調製した水相中に強撹拌下で20秒かけて添加し、15℃で重合反応を行なった。4時間後、攪拌を停止・静置した後に水相を分離・除去した。次に、有機相に純水を800mLと酢酸2mLを添加・攪拌して重合反応を完全に停止した。30分後に攪拌を停止し、水相と有機相を静置して、再び水相を分離した。そして、有機相が中性になるまで純水にて洗浄を繰り返し行った。水洗後の有機相にジクロロメタン100mL加えた後、2μm孔径のフィルターを通過させ、不溶物を除去した。この樹脂溶液を1500mLのメタノール中に攪拌しながら添加して樹脂を沈殿させ、その状態で30秒間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリアリレートP−1を得た。H−NMRで分析したところ、樹脂構成は表1に示すとおりであった。また、その他の評価結果を表1に示す。
(実施例2、3)
実施例1において水酸化ナトリウムを二価フェノールに対して2.5、3倍量、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライドを5、7モル%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリアリレートP−2、3を得た。その結果を表1に示す。
(実施例4〜6)
実施例1において下記一般式(II)に示す二価フェノール〔ビスフェノールP-PRM〕を使用し、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと略す。)を二価フェノールに対して0.5〜2.5モル%の範囲で添加し、水酸化ナトリウムを二価フェノールに対して2.5,3,5倍モル量、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライドを二価フェノールに対して5,7,15モル%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリアリレートP−4〜6を得た。その結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(以下BisAF)を使用し、水酸化ナトリウムを二価フェノールに対して5倍量、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライドを13モル%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリアリレートP−7を得た。その結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
実施例1において水酸化ナトリウムを全二価フェノールに対して2.3,2.5倍モル量、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノールを全二価フェノールに対して0〜4モル%の範囲で添加し、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライドを全二価フェノールに対して0.5,4.8モル%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリアリレートP−8〜10を得た。その結果を表2に示す。
(比較例4〜6)
実施例1において下記一般式(II)に示す二価フェノール〔ビスフェノールP-PRM〕を使用し、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと略す。)を二価フェノールに対して0.5〜2.5モル%の範囲で添加し、水酸化ナトリウムを二価フェノールに対して2.3,2.5倍モル量、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライドを二価フェノールに対して0.5,4.8モル%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリアリレートP−11〜13を得た。その結果を表2に示す。
(比較例7)
攪拌装置及び窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BisAと表記する)85.3g、イソフタル酸(以下IPA)14.6gおよびテレフタル酸(TPA)34.2g(モル比=BisA/IPA/TPA=100/30/70)と無水酢酸66.0g(BisAのヒドロキシル基に対して1.1倍モル)とを仕込み、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で3時間撹拌混合しながら反応させた。その後、280℃まで4時間で昇温し、1時間保持後、さらに310℃まで1.5時間かけて昇温した。その後、120分かけて1hPa以下まで減圧して、最終的に、310℃、0.5hPaの条件を2時間保持した後、払出し、ポリアリレートP−14を得た。その結果を表2に示す。
実施例1〜7では、溶解性、密着性、アルカリ分解性に優れるポリアリレートが得られた。
比較例1〜比較例6は、酸価が低く、アルカリ分解性に劣った。
比較例7は、溶融重合でポリアリレートの重合を行ったため、酸価は高かったものの、溶解性に劣り、密着性、アルカリ分解性が悪かった。













Claims (6)

  1. 二価フェノールの残基と芳香族ジカルボン酸残基で構成されるポリアリレートであって、界面重縮合法で合成され、酸価が100mol/t以上であることを特徴とするポリアリレート。
  2. 二価フェノール残基を与える二価フェノールの構成成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール単位を含有することを特徴とする請求項1記載のポリアリレート。
    [式(I)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜5の炭化水素基、塩素原子又はフッ素原子を表し、xはメトキシ基やエトキシ基、フェノキシド等のアルコキシドを表し、Yは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表す。式(I)で示される二価フェノールは1種だけ用いても、2種以上を併用してもよい。]
  3. 二価フェノール残基を与える二価フェノールの構成成分として、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(BisAF)単位、4,4’−スルホニルジフェノール(BisS)単位からなり、BisAF/BisS=100/0〜20/80の構成比で含むことを特徴とする請求項1または2記載のポリアリレート。
  4. 重合触媒の配合量が二価フェノールに対して5モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリレートの製造方法。
  5. 二価フェノールのアルカリ水溶液のアルカリの配合量が二価フェノールの水酸基に対して2.5倍以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリレートの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリレートより構成されることを特徴とするコーティング膜。

















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