JP3860266B2 - 車いす用の階段昇降運搬車 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、車いすを搭載して階段を昇降する運搬車に関し、特に車いすの乗員に恐怖感・不快感を与えない車いす用の階段昇降運搬車に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、車いすを搭載して階段を昇降する階段昇降運搬車が本出願人より特開平４−１５４４９３号によって提案されている。
この階段昇降運搬車は、図９に示すように、水平接地部が少なくとも階段の２段以上に跨る長さを有するクローラを巻装したクローラ装置ａと、該クローラ装置ａに対して電動シリンダｂの伸長によって傾斜可能に配設される車いす設置台ｃと、ハンドル部ｄとを具備している。
そして、平坦地を走行する場合には、電動シリンダを収縮させ、設置台ｃに設けられた走行輪ｃ１を接地させて走行するようにしている。また、階段を昇降する際には、ハンドル部ｄに設けられた切換スイッチを操作して電動シリンダを伸長させ、車いす設置台ｃをクローラ装置ａに対して４０゜前後傾斜させ、階段を昇降するようにしている。
そのため、図に示すように、車いすに乗っている乗員は、後方に傾斜した状態で階段を昇降するようになる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上述した階段昇降運搬車の場合、階段を昇降する際に、車いすの乗員に恐怖感・不快感を与えないため、車いす設置台を階段の傾斜角度よりも５゜〜１０゜多く傾斜させ、乗員が後方に若干傾斜するような状態で階段を昇降するようにしている。
ところで、実際に傾斜角度が２７゜の階段を昇降する場合には、設置台は１３゜傾斜するようになり、乗員は後方へ対しての恐怖感・不快感が派生する。このような問題を解決するために、傾斜センサーを備えることが考えられるが、通常の傾斜センサーは高価なもので、運搬車の金額を高額化させてしまう問題点が派生する。
また、上記設置台の最高傾斜角が４０゜であることから、階段の傾斜角度が３５゜以上の場合には、適用できないといった問題点も派生する。
【０００４】
本発明は、このような問題点を解決するために案出されたもので、安価な構成で、階段の傾斜角度に対応して車いすを搭載する荷台が傾斜することができる車いす用の階段昇降運搬車を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、水平接地部が少なくとも階段の２段以上に跨る長さを有するクローラを巻装した左右一対のクローラ装置と、該クローラ装置を駆動モータにより駆動して階段を昇降できるようにした車体と、該車体の階段昇降時上方側の端部を支点に傾斜し車いすを上記支点と逆側に向けて搭載可能に構成する荷台と、を備える車いす用の階段昇降運搬車において、上記車体と上記荷台との間に連結されて伸縮動作によって上記荷台を上記車体に対して傾斜させるシリンダ型の伸縮手段と、上記伸縮手段を作動させる作動回路と、上記荷台に設けられ上記荷台の水平に対する傾斜を検知して上記作動回路を通電又は遮断する傾斜センサーとを備え、上記傾斜センサーは、上記荷台が水平より設定された後方傾斜になるまで上記作動回路を通電状態にすると共に上記荷台が上記設定された後方傾斜になると上記作動回路を遮断する第１傾斜センサーと、該第１傾斜センサーが上記作動回路を遮断している状態で上記荷台が更に後方傾斜になると上記作動回路を通電状態にすると共に上記荷台が上記設定された後方傾斜に戻ると上記作動回路を遮断する第２傾斜センサーとからなり、上記作動回路は、上記第１傾斜センサーが上記通電状態にあるときに上記伸縮手段を伸長させる伸長手段と、上記第２傾斜センサーが通電状態になったときに上記伸縮手段を収縮させる収縮手段とを有することを特徴とする。
【０００６】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記傾斜センサーは、容器内に通電可能部材を収容し、該容器の端部に上記作動回路の通電端子を設け、該通電可能部材が該通電端子側に移動することによって上記通電状態になることを特徴とする。
【０００７】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記第１傾斜センサーは上記荷台に対して第１設定角度（α）傾斜させて配設すると共に、上記第２傾斜センサーは上記第１傾斜センサーに対して第２設定角度（β）傾斜させて配設してなることを特徴とする。また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記第１設定角度（α）を１３°〜１８°にし、上記第２設定角度（β）を５°〜１０°にしたことを特徴とする。
【０００８】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記通電可能部材は水銀であることを特徴とする。
【０００９】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記クローラ装置を構成する軌道そりを、クローラの長手方向略中間位置で２分割された前部そり部と後部そり部とし、互いの接続端で「へ」の字状に屈曲可能に接続すると共に、該屈曲連結部近傍に、一端が車体側に枢支されるシリンダ型のそり用伸縮手段の先端を連結し、上記前部そり部と後部そり部とを、通常時は直線状に支持し、上記クローラ装置が最上段の階段の稜線部にさしかかった際に、上記そり用伸縮手段を収縮させて該前部そり部と後部そり部とを「へ」の字状に屈曲するように構成してなることを特徴とする。
【００１０】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記シリンダ型の伸縮手段及びそり用伸縮手段は、モータの回転方向により伸縮する電動シリンダであることを特徴とする。
【００１１】
【作用】
上記構成により、本発明によると、運搬車が平坦地走行から階段昇降に移行する場合に、まず荷台を初期傾斜状態にする。これは、運搬車が階段昇降始めに、車いすの乗員に恐怖感・不快感を与えないため、または、階段昇降始めの際に荷台が傾斜し、これに追従して荷台が傾斜するまでのタイムラグを補うために取られる処置で、１３゜〜１８゜荷台を後方に傾斜させるようにしている。そして階段昇降する際に、さらに荷台が傾くと荷台に配設されている傾斜センサーも傾き、該傾斜センサー内の通電可能部材が一端側へ移動して通電状態になる。そしてシリンダ型の伸縮手段を伸長させて車体に対して荷台が傾斜し、荷台が水平状態以上になると通電可能部材が他端側へ移動して非通電状態になり、前記伸縮手段の伸長が停止する。また、階段昇降から平坦地走行に移行する際には、第２の傾斜センサーの通電可能部材が他端側へ移動して通電可能状態になる。そしてシリンダ型の伸縮手段を収縮させて車体に対して荷台が水平状態に近づく。この結果、階段の傾斜状況に合わせて荷台が傾斜するようになる。
【００１２】
また、本発明によると、通電可能部材に水銀を用いることで、傾斜センサーの価格を安価にすることができ、さらに傾斜センサーの信頼性，耐久性が向上するようになる。
【００１３】
また、本発明によると、運搬車が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態，あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、シリンダ型の収縮手段が収縮し、前部そり部と後部そり部とがへの字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラの接地面が屈曲することから、運搬車の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
【００１４】
また、本発明によると、シリンダ型の伸縮手段を電動シリンダにすることで、電動シリンダ内のモータの回転方向によって伸縮動作が行われる。その結果、急激な伸縮動作が回避され、安定した円滑な伸縮動作が可能となる。
【００１５】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図１は本発明の車いす用の階段昇降運搬車の側面図で、図２は初期傾斜状態を示す側面図である。
図において、符号１は車いす用の階段昇降運搬車であり、この運搬車１は、車体２の左右両側に階段を昇降駆動するクローラ装置３を設け、車体２の上側に該車体２に対して傾斜する荷台４をそれぞれ設けている。また、該荷台４には車いすを固定する垂直台５が設けられており、該垂直台５に傾斜センサー６が配設されている。
【００１６】
上記クローラ装置３は、前端部に駆動輪３１と，後端部に従動輪３２と，後部に転輪３３とが配設されており、該駆動輪３１，従動輪３２，転輪３３にはベルトクローラ３４が巻装されている。また、車体２の前部には前記クローラ装置３を駆動する駆動モータ３５及び減速機構３６が搭載されており、車体２の後部には駆動モータ３５及び後述するそり用電動シリンダ７，荷台用電動シリンダ８の電源となるバッテリ及び電装品３７を搭載している。
【００１７】
また、前記駆動輪３１と転輪３３との間には軌道フレームとして前部そり部３８と後部そり部３９とが配設されており、該前部そり部３８と後部そり部３９とはそれぞれクローラ装置３に対して回動自在に枢支されている。さらに該前部そり部３８と後部そり部３９とは互いに回動自在に連結されており、該連結部近傍にはセンサーからの信号で伸縮するそり用電動シリンダ７の先端部が連結されている。ここで前記センサー（図示せず）は、運搬車１が最上段の階段の稜線部に差し掛かったことを検知し、前記電動シリンダ７を収縮させるものとする。
そのため、運搬車１が平坦地走行及び階段昇降時には、該電動シリンダ７は伸長しており、前部そり部３８及び後部そり部３９は直線状に支持されて軌道フレームの役割をして運搬車１を安定走行させる。また、運搬車１が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、前記センサーがそれを検知し、電動シリンダ７を収縮させ、前部そり部３８と後部そり部３９とが「へ」の字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラ３４の接地面が屈曲することから、運搬車１の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
【００１８】
上記荷台４は、該荷台４の後部において、前記車体２に対して傾斜可能に枢支されている。
また該荷台４には、その前部と後部に下方へ突出する左右一対のキャスター輪４１，４２が設けられている。そして平坦地走行時，すなわち荷台用電動シリンダ８が収縮している時には、図１に示すように、前記キャスター輪４１，４２はクローラ装置３の接地面より下方に突出してクローラ装置３を浮上させ、運搬車１はキャスター輪４１，４２にて走行する。また、階段昇降時，すなわち電動シリンダ８が伸長している時には、図２に示すように、荷台４の上方傾斜に伴いキャスター輪４１，４２は上方に持ち上げられ、クローラ装置３が接地するようになる。そしてクローラ装置３を駆動させて運搬車１は階段昇降を行うようになる。
さらに前記荷台４は、車いすが搭載できるように構成されており、具体的には、図示しないが荷台４の先端部から接地面に向けて延びるスライド板が収容されており、車いす搭載時には、そのスライド板をスライドさせ、該スライド板に沿って車いすを荷台４上まで移動させるようにしている。そして車いすの転落防止のため、荷台４の左右両側には安全バー４３が設けられている。
【００１９】
上記垂直台５は、前記荷台４の後端部に上方に向けて立設されている。該垂直台５には、車いすを係止するための第１の係止部材５１及び第２の係止部材５２が備えられており、荷台４上に搭載された車いすが動かないようになっている。また垂直台５の上部には操縦ハンドル５３及び操作パネル５４が配設されており、操縦者は操作ハンドル５３を握りながら操作パネル５４を操作して運搬車１を走行させる。
【００２０】
また前記垂直台５には傾斜センサー６が配設されている。該傾斜センサー６は第１傾斜センサー６１と第２傾斜センサー６２とで構成されている。そして傾斜センサー６１，６２は、円筒状部材の端部に通電端子６１ａ，６１ｂ、６２ａ，６２ｂが臨んでおり、また円筒状部材の内部に水銀６１ｃ，６２ｃが流動可能に内装されている。そして水銀６１ｃ，６２ｃが円筒状部材内部において通電端子側に位置すると通電状態となり、電動シリンダ８のモータを作動状態にするように構成されている。
【００２１】
また前記第１傾斜センサー６１は垂直台５に対して所要角度α傾斜して配設されている。具体的にはα＝１５゜程度であり、図面上で右上がりに傾斜するように配設されている。さらに前記第２傾斜センサー６２は第１傾斜センサー６１に対して所要角度β傾斜して配設されており、具体的にはβ＝５゜程度であり、図面上で右上がりに傾斜するように配設されている。
【００２２】
次に上記傾斜センサー６１，６２の電気回路９の構成を図６（ａ）を用いて詳しく説明する。
電気回路９は、前記第１傾斜センサー６１と第２傾斜センサー６２との通電端子６１ａ，６１ｂ及び６２ａ，６２ｂと、バッテリー３７及び電動シリンダ８のモータ８１とを結ぶ回路である。そして該回路９には、マニュアルスイッチ９１と，電磁コイル９２，９３と，該電磁コイル９２，９３の作動で入切される切換スイッチ９４，９５とが設けられている。そして前記切換スイッチ９４，９５は常時は図面上Ｂ側に接触しているものとする。
【００２３】
次に本発明の車いす用の階段昇降運搬車１の作用を図１〜図５及び図６，図７，図８の回路図を用いて説明する。
運搬車１が平坦地を走行する場合には、図１に示すように、荷台４は車体２と平行状態になっており、荷台４に設けられているキャスター輪４１，４２が接地して走行する。
【００２４】
次に平坦地走行から階段昇降に移行する場合には、操作パネル５４に設けられているマニュアルスイッチ９１をＯＮする。すると第１傾斜センサー６１は垂直台５に対して所要角度α（α＝１５°）傾斜して配設されているため、第１傾斜センサー６１の水銀６１ｃは、通電端子６１ａ，６１ｂ側に位置しているため通電状態になっている。そのためマニュアルスイッチ９１をＯＮ（Ａ側に倒す）した時点で図６（ｂ）に示すように通電し、電磁コイル９２が作動することから、切換スイッチ９４がＡ側に移動し、モーター８１が正転して電動シリンダ８が伸長する。そして荷台４が車体２に対して１５°前後傾斜すると図６（ｃ）に示すように、水銀６１ｃが他端側へ移動し、通電が遮断される。
この状態が図２に示す初期傾斜状態を示すもので、荷台４の傾斜により、キャスター輪４１，４２が上方に持ち上げられ、クローラ装置３が接地して走行可能になる。また、荷台４の初期傾斜により車いすの乗員は後方に１５°前後傾斜した状態で階段を昇降することができ、恐怖感・不快感を少なくすることが出来るようになる。
【００２５】
次に図３に示す用に、クローラ装置３を駆動させて運搬車１が階段を昇降し始めると、荷台４はさらに傾斜するようになる。そのため、図７（ｄ）に示すように、第１傾斜センサー６１の水銀６１ｃは再び通電端子６１ａ，６１ｂ側に移動して通電状態になり、モータ８１を正転させて電動シリンダ８をさらに伸長させ、荷台４をさらに傾斜させる。
ここで運搬車１が階段昇降始めの際に、電動シリンダ８の伸長による荷台４の傾斜までに、荷台４が若干の間，階段の傾斜方向（前方）に傾斜するが、初期傾斜状態を１５゜にしているため、荷台４が水平より前方傾斜することはない。
そして図４に示すように、荷台４が水平状態以上になった時点で、図７（ｅ）に示すように、第１傾斜センサー６１の水銀６１ｃは他端側へ移動して通電が遮断される。
これにより、荷台４は階段の傾斜角度に対応して傾斜することができるようになり、車いすの乗員は、恐怖感・不快感を感じることなく最適に階段を昇降することができる。
【００２６】
次に図５に示すように、運搬車１が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、センサーがそれを検知し、電動シリンダ７を収縮させ、前部そり部３８と後部そり部３９とが「へ」の字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラ３４の接地面が屈曲することから、運搬車１の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
また、荷台４は階段の傾斜角度に対応して傾斜していることから、運搬車１が平坦地に移行すると、図７（ｆ）に示すように、第２傾斜センサー６２の水銀６２ｃが通電端子６２ａ，６２ｂ側へ移動して通電状態になる。そのため、図７（ｆ）に示すように通電し、電磁コイル９３が作動し、切換スイッチ９５がＡ側に移動し、モーター８１が逆転して電動シリンダ８が伸縮する。
さらに荷台４が初期傾斜状態に戻ると図８（ｇ）に示すように、水銀６２ｃが他端側へ移動し、通電が遮断される。そしてマニュアルスイッチ９１をＯＦＦ（Ｂ側に倒す）すると、図８（ｈ）に示すように、モータ８１が逆転し、電動シリンダ８がさらに収縮して荷台４が水平状態になる。
【００２７】
以上説明したように本実施例においては、マニュアルスイッチ９１等の操作スイッチを操作パネル５４に配設して説明したが、これに限らず車いすの乗員が操作できるようにリモコン状にしてもよい。
【００２８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の階段昇降運搬車によれば、階段の傾斜角度に対応させて車いすを搭載する荷台を傾斜させることができるようになり、車いすの乗員に荷台傾斜による恐怖感・不快感を解消することができる。
【００２９】
また、本発明によると、通電可能部材に水銀を用いることで、傾斜センサーの価格を安価にすることができ、さらに傾斜センサーの信頼性，耐久性を向上させることができるようになる。
【００３０】
また、運搬車が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、シリンダ型の収縮手段が収縮し、前部そり部と後部そり部とが「へ」の字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラの接地面が屈曲することから、運搬車の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
【００３１】
また、シリンダ型の伸縮手段を電動シリンダにすることで、電動シリンダ内のモータの回転方向によって伸縮動作が行われる。その結果、急激な伸縮動作が回避され、安定した円滑な伸縮動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例による階段昇降運搬車の全体側面図である。
【図２】本発明の実施例による階段昇降運搬車の初期傾斜状態を示す側面図である。
【図３】本発明の実施例による階段昇降運搬車の階段の昇り始めまたは降り終りを示す側面図である。
【図４】本発明の実施例による階段昇降運搬車の階段昇降を示す側面図である。
【図５】本発明の実施例による階段昇降運搬車の階段の昇り終りまたは降り始めを示す側面図である。
【図６】回路構成説明図である。
【図７】回路構成説明図である。
【図８】回路構成説明図である。
【図９】従来例の説明図である。
【符号の説明】
１ 車いす用の階段昇降運搬車
２ 車体
３ クローラ装置
３１ 駆動輪
３２ 従動輪
３３ 転輪
３４ ベルトクローラ
３５ 駆動モータ
３６ 減速機構
３７ 電装品
３８ 前部そり部
３９ 後部そり部
４ 荷台
４１ キャスター輪
４２ キャスター輪
４３ 安全バー
５ 垂直台
５１ 第１係止部材
５２ 第２係止部材
５３ 操縦ハンドル
５４ 操作パネル
６ 傾斜センサ
６１ 第１傾斜センサ
６１ａ 通電端子
６１ｂ 通電端子
６１ｃ 水銀
６２ 第２傾斜センサ
６２ａ 通電端子
６２ｂ 通電端子
６２ｃ 水銀
７ そり用電動シリンダ
８ 荷台用電動シリンダ
８１ モータ
９ 電気回路
９１ マニュアルスイッチ
９２ 電磁コイル
９３ 電磁コイル
９４ 切換スイッチ
９５ 切換スイッチ
【産業上の利用分野】
本発明は、車いすを搭載して階段を昇降する運搬車に関し、特に車いすの乗員に恐怖感・不快感を与えない車いす用の階段昇降運搬車に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、車いすを搭載して階段を昇降する階段昇降運搬車が本出願人より特開平４−１５４４９３号によって提案されている。
この階段昇降運搬車は、図９に示すように、水平接地部が少なくとも階段の２段以上に跨る長さを有するクローラを巻装したクローラ装置ａと、該クローラ装置ａに対して電動シリンダｂの伸長によって傾斜可能に配設される車いす設置台ｃと、ハンドル部ｄとを具備している。
そして、平坦地を走行する場合には、電動シリンダを収縮させ、設置台ｃに設けられた走行輪ｃ１を接地させて走行するようにしている。また、階段を昇降する際には、ハンドル部ｄに設けられた切換スイッチを操作して電動シリンダを伸長させ、車いす設置台ｃをクローラ装置ａに対して４０゜前後傾斜させ、階段を昇降するようにしている。
そのため、図に示すように、車いすに乗っている乗員は、後方に傾斜した状態で階段を昇降するようになる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上述した階段昇降運搬車の場合、階段を昇降する際に、車いすの乗員に恐怖感・不快感を与えないため、車いす設置台を階段の傾斜角度よりも５゜〜１０゜多く傾斜させ、乗員が後方に若干傾斜するような状態で階段を昇降するようにしている。
ところで、実際に傾斜角度が２７゜の階段を昇降する場合には、設置台は１３゜傾斜するようになり、乗員は後方へ対しての恐怖感・不快感が派生する。このような問題を解決するために、傾斜センサーを備えることが考えられるが、通常の傾斜センサーは高価なもので、運搬車の金額を高額化させてしまう問題点が派生する。
また、上記設置台の最高傾斜角が４０゜であることから、階段の傾斜角度が３５゜以上の場合には、適用できないといった問題点も派生する。
【０００４】
本発明は、このような問題点を解決するために案出されたもので、安価な構成で、階段の傾斜角度に対応して車いすを搭載する荷台が傾斜することができる車いす用の階段昇降運搬車を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、水平接地部が少なくとも階段の２段以上に跨る長さを有するクローラを巻装した左右一対のクローラ装置と、該クローラ装置を駆動モータにより駆動して階段を昇降できるようにした車体と、該車体の階段昇降時上方側の端部を支点に傾斜し車いすを上記支点と逆側に向けて搭載可能に構成する荷台と、を備える車いす用の階段昇降運搬車において、上記車体と上記荷台との間に連結されて伸縮動作によって上記荷台を上記車体に対して傾斜させるシリンダ型の伸縮手段と、上記伸縮手段を作動させる作動回路と、上記荷台に設けられ上記荷台の水平に対する傾斜を検知して上記作動回路を通電又は遮断する傾斜センサーとを備え、上記傾斜センサーは、上記荷台が水平より設定された後方傾斜になるまで上記作動回路を通電状態にすると共に上記荷台が上記設定された後方傾斜になると上記作動回路を遮断する第１傾斜センサーと、該第１傾斜センサーが上記作動回路を遮断している状態で上記荷台が更に後方傾斜になると上記作動回路を通電状態にすると共に上記荷台が上記設定された後方傾斜に戻ると上記作動回路を遮断する第２傾斜センサーとからなり、上記作動回路は、上記第１傾斜センサーが上記通電状態にあるときに上記伸縮手段を伸長させる伸長手段と、上記第２傾斜センサーが通電状態になったときに上記伸縮手段を収縮させる収縮手段とを有することを特徴とする。
【０００６】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記傾斜センサーは、容器内に通電可能部材を収容し、該容器の端部に上記作動回路の通電端子を設け、該通電可能部材が該通電端子側に移動することによって上記通電状態になることを特徴とする。
【０００７】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記第１傾斜センサーは上記荷台に対して第１設定角度（α）傾斜させて配設すると共に、上記第２傾斜センサーは上記第１傾斜センサーに対して第２設定角度（β）傾斜させて配設してなることを特徴とする。また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記第１設定角度（α）を１３°〜１８°にし、上記第２設定角度（β）を５°〜１０°にしたことを特徴とする。
【０００８】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記通電可能部材は水銀であることを特徴とする。
【０００９】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記クローラ装置を構成する軌道そりを、クローラの長手方向略中間位置で２分割された前部そり部と後部そり部とし、互いの接続端で「へ」の字状に屈曲可能に接続すると共に、該屈曲連結部近傍に、一端が車体側に枢支されるシリンダ型のそり用伸縮手段の先端を連結し、上記前部そり部と後部そり部とを、通常時は直線状に支持し、上記クローラ装置が最上段の階段の稜線部にさしかかった際に、上記そり用伸縮手段を収縮させて該前部そり部と後部そり部とを「へ」の字状に屈曲するように構成してなることを特徴とする。
【００１０】
また、本発明は、前述の特徴に加えて、上記シリンダ型の伸縮手段及びそり用伸縮手段は、モータの回転方向により伸縮する電動シリンダであることを特徴とする。
【００１１】
【作用】
上記構成により、本発明によると、運搬車が平坦地走行から階段昇降に移行する場合に、まず荷台を初期傾斜状態にする。これは、運搬車が階段昇降始めに、車いすの乗員に恐怖感・不快感を与えないため、または、階段昇降始めの際に荷台が傾斜し、これに追従して荷台が傾斜するまでのタイムラグを補うために取られる処置で、１３゜〜１８゜荷台を後方に傾斜させるようにしている。そして階段昇降する際に、さらに荷台が傾くと荷台に配設されている傾斜センサーも傾き、該傾斜センサー内の通電可能部材が一端側へ移動して通電状態になる。そしてシリンダ型の伸縮手段を伸長させて車体に対して荷台が傾斜し、荷台が水平状態以上になると通電可能部材が他端側へ移動して非通電状態になり、前記伸縮手段の伸長が停止する。また、階段昇降から平坦地走行に移行する際には、第２の傾斜センサーの通電可能部材が他端側へ移動して通電可能状態になる。そしてシリンダ型の伸縮手段を収縮させて車体に対して荷台が水平状態に近づく。この結果、階段の傾斜状況に合わせて荷台が傾斜するようになる。
【００１２】
また、本発明によると、通電可能部材に水銀を用いることで、傾斜センサーの価格を安価にすることができ、さらに傾斜センサーの信頼性，耐久性が向上するようになる。
【００１３】
また、本発明によると、運搬車が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態，あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、シリンダ型の収縮手段が収縮し、前部そり部と後部そり部とがへの字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラの接地面が屈曲することから、運搬車の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
【００１４】
また、本発明によると、シリンダ型の伸縮手段を電動シリンダにすることで、電動シリンダ内のモータの回転方向によって伸縮動作が行われる。その結果、急激な伸縮動作が回避され、安定した円滑な伸縮動作が可能となる。
【００１５】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図１は本発明の車いす用の階段昇降運搬車の側面図で、図２は初期傾斜状態を示す側面図である。
図において、符号１は車いす用の階段昇降運搬車であり、この運搬車１は、車体２の左右両側に階段を昇降駆動するクローラ装置３を設け、車体２の上側に該車体２に対して傾斜する荷台４をそれぞれ設けている。また、該荷台４には車いすを固定する垂直台５が設けられており、該垂直台５に傾斜センサー６が配設されている。
【００１６】
上記クローラ装置３は、前端部に駆動輪３１と，後端部に従動輪３２と，後部に転輪３３とが配設されており、該駆動輪３１，従動輪３２，転輪３３にはベルトクローラ３４が巻装されている。また、車体２の前部には前記クローラ装置３を駆動する駆動モータ３５及び減速機構３６が搭載されており、車体２の後部には駆動モータ３５及び後述するそり用電動シリンダ７，荷台用電動シリンダ８の電源となるバッテリ及び電装品３７を搭載している。
【００１７】
また、前記駆動輪３１と転輪３３との間には軌道フレームとして前部そり部３８と後部そり部３９とが配設されており、該前部そり部３８と後部そり部３９とはそれぞれクローラ装置３に対して回動自在に枢支されている。さらに該前部そり部３８と後部そり部３９とは互いに回動自在に連結されており、該連結部近傍にはセンサーからの信号で伸縮するそり用電動シリンダ７の先端部が連結されている。ここで前記センサー（図示せず）は、運搬車１が最上段の階段の稜線部に差し掛かったことを検知し、前記電動シリンダ７を収縮させるものとする。
そのため、運搬車１が平坦地走行及び階段昇降時には、該電動シリンダ７は伸長しており、前部そり部３８及び後部そり部３９は直線状に支持されて軌道フレームの役割をして運搬車１を安定走行させる。また、運搬車１が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、前記センサーがそれを検知し、電動シリンダ７を収縮させ、前部そり部３８と後部そり部３９とが「へ」の字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラ３４の接地面が屈曲することから、運搬車１の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
【００１８】
上記荷台４は、該荷台４の後部において、前記車体２に対して傾斜可能に枢支されている。
また該荷台４には、その前部と後部に下方へ突出する左右一対のキャスター輪４１，４２が設けられている。そして平坦地走行時，すなわち荷台用電動シリンダ８が収縮している時には、図１に示すように、前記キャスター輪４１，４２はクローラ装置３の接地面より下方に突出してクローラ装置３を浮上させ、運搬車１はキャスター輪４１，４２にて走行する。また、階段昇降時，すなわち電動シリンダ８が伸長している時には、図２に示すように、荷台４の上方傾斜に伴いキャスター輪４１，４２は上方に持ち上げられ、クローラ装置３が接地するようになる。そしてクローラ装置３を駆動させて運搬車１は階段昇降を行うようになる。
さらに前記荷台４は、車いすが搭載できるように構成されており、具体的には、図示しないが荷台４の先端部から接地面に向けて延びるスライド板が収容されており、車いす搭載時には、そのスライド板をスライドさせ、該スライド板に沿って車いすを荷台４上まで移動させるようにしている。そして車いすの転落防止のため、荷台４の左右両側には安全バー４３が設けられている。
【００１９】
上記垂直台５は、前記荷台４の後端部に上方に向けて立設されている。該垂直台５には、車いすを係止するための第１の係止部材５１及び第２の係止部材５２が備えられており、荷台４上に搭載された車いすが動かないようになっている。また垂直台５の上部には操縦ハンドル５３及び操作パネル５４が配設されており、操縦者は操作ハンドル５３を握りながら操作パネル５４を操作して運搬車１を走行させる。
【００２０】
また前記垂直台５には傾斜センサー６が配設されている。該傾斜センサー６は第１傾斜センサー６１と第２傾斜センサー６２とで構成されている。そして傾斜センサー６１，６２は、円筒状部材の端部に通電端子６１ａ，６１ｂ、６２ａ，６２ｂが臨んでおり、また円筒状部材の内部に水銀６１ｃ，６２ｃが流動可能に内装されている。そして水銀６１ｃ，６２ｃが円筒状部材内部において通電端子側に位置すると通電状態となり、電動シリンダ８のモータを作動状態にするように構成されている。
【００２１】
また前記第１傾斜センサー６１は垂直台５に対して所要角度α傾斜して配設されている。具体的にはα＝１５゜程度であり、図面上で右上がりに傾斜するように配設されている。さらに前記第２傾斜センサー６２は第１傾斜センサー６１に対して所要角度β傾斜して配設されており、具体的にはβ＝５゜程度であり、図面上で右上がりに傾斜するように配設されている。
【００２２】
次に上記傾斜センサー６１，６２の電気回路９の構成を図６（ａ）を用いて詳しく説明する。
電気回路９は、前記第１傾斜センサー６１と第２傾斜センサー６２との通電端子６１ａ，６１ｂ及び６２ａ，６２ｂと、バッテリー３７及び電動シリンダ８のモータ８１とを結ぶ回路である。そして該回路９には、マニュアルスイッチ９１と，電磁コイル９２，９３と，該電磁コイル９２，９３の作動で入切される切換スイッチ９４，９５とが設けられている。そして前記切換スイッチ９４，９５は常時は図面上Ｂ側に接触しているものとする。
【００２３】
次に本発明の車いす用の階段昇降運搬車１の作用を図１〜図５及び図６，図７，図８の回路図を用いて説明する。
運搬車１が平坦地を走行する場合には、図１に示すように、荷台４は車体２と平行状態になっており、荷台４に設けられているキャスター輪４１，４２が接地して走行する。
【００２４】
次に平坦地走行から階段昇降に移行する場合には、操作パネル５４に設けられているマニュアルスイッチ９１をＯＮする。すると第１傾斜センサー６１は垂直台５に対して所要角度α（α＝１５°）傾斜して配設されているため、第１傾斜センサー６１の水銀６１ｃは、通電端子６１ａ，６１ｂ側に位置しているため通電状態になっている。そのためマニュアルスイッチ９１をＯＮ（Ａ側に倒す）した時点で図６（ｂ）に示すように通電し、電磁コイル９２が作動することから、切換スイッチ９４がＡ側に移動し、モーター８１が正転して電動シリンダ８が伸長する。そして荷台４が車体２に対して１５°前後傾斜すると図６（ｃ）に示すように、水銀６１ｃが他端側へ移動し、通電が遮断される。
この状態が図２に示す初期傾斜状態を示すもので、荷台４の傾斜により、キャスター輪４１，４２が上方に持ち上げられ、クローラ装置３が接地して走行可能になる。また、荷台４の初期傾斜により車いすの乗員は後方に１５°前後傾斜した状態で階段を昇降することができ、恐怖感・不快感を少なくすることが出来るようになる。
【００２５】
次に図３に示す用に、クローラ装置３を駆動させて運搬車１が階段を昇降し始めると、荷台４はさらに傾斜するようになる。そのため、図７（ｄ）に示すように、第１傾斜センサー６１の水銀６１ｃは再び通電端子６１ａ，６１ｂ側に移動して通電状態になり、モータ８１を正転させて電動シリンダ８をさらに伸長させ、荷台４をさらに傾斜させる。
ここで運搬車１が階段昇降始めの際に、電動シリンダ８の伸長による荷台４の傾斜までに、荷台４が若干の間，階段の傾斜方向（前方）に傾斜するが、初期傾斜状態を１５゜にしているため、荷台４が水平より前方傾斜することはない。
そして図４に示すように、荷台４が水平状態以上になった時点で、図７（ｅ）に示すように、第１傾斜センサー６１の水銀６１ｃは他端側へ移動して通電が遮断される。
これにより、荷台４は階段の傾斜角度に対応して傾斜することができるようになり、車いすの乗員は、恐怖感・不快感を感じることなく最適に階段を昇降することができる。
【００２６】
次に図５に示すように、運搬車１が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、センサーがそれを検知し、電動シリンダ７を収縮させ、前部そり部３８と後部そり部３９とが「へ」の字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラ３４の接地面が屈曲することから、運搬車１の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
また、荷台４は階段の傾斜角度に対応して傾斜していることから、運搬車１が平坦地に移行すると、図７（ｆ）に示すように、第２傾斜センサー６２の水銀６２ｃが通電端子６２ａ，６２ｂ側へ移動して通電状態になる。そのため、図７（ｆ）に示すように通電し、電磁コイル９３が作動し、切換スイッチ９５がＡ側に移動し、モーター８１が逆転して電動シリンダ８が伸縮する。
さらに荷台４が初期傾斜状態に戻ると図８（ｇ）に示すように、水銀６２ｃが他端側へ移動し、通電が遮断される。そしてマニュアルスイッチ９１をＯＦＦ（Ｂ側に倒す）すると、図８（ｈ）に示すように、モータ８１が逆転し、電動シリンダ８がさらに収縮して荷台４が水平状態になる。
【００２７】
以上説明したように本実施例においては、マニュアルスイッチ９１等の操作スイッチを操作パネル５４に配設して説明したが、これに限らず車いすの乗員が操作できるようにリモコン状にしてもよい。
【００２８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の階段昇降運搬車によれば、階段の傾斜角度に対応させて車いすを搭載する荷台を傾斜させることができるようになり、車いすの乗員に荷台傾斜による恐怖感・不快感を解消することができる。
【００２９】
また、本発明によると、通電可能部材に水銀を用いることで、傾斜センサーの価格を安価にすることができ、さらに傾斜センサーの信頼性，耐久性を向上させることができるようになる。
【００３０】
また、運搬車が最上段の階段の稜線部にさしかかり、走行方向が傾斜状態から水平状態あるいは水平状態から傾斜状態に向きを換える場合に、シリンダ型の収縮手段が収縮し、前部そり部と後部そり部とが「へ」の字状に屈曲する。そのため、これに沿ってベルトクローラの接地面が屈曲することから、運搬車の走行姿勢が大きく傾動せずに円滑な走行姿勢の変更が可能となる。
【００３１】
また、シリンダ型の伸縮手段を電動シリンダにすることで、電動シリンダ内のモータの回転方向によって伸縮動作が行われる。その結果、急激な伸縮動作が回避され、安定した円滑な伸縮動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例による階段昇降運搬車の全体側面図である。
【図２】本発明の実施例による階段昇降運搬車の初期傾斜状態を示す側面図である。
【図３】本発明の実施例による階段昇降運搬車の階段の昇り始めまたは降り終りを示す側面図である。
【図４】本発明の実施例による階段昇降運搬車の階段昇降を示す側面図である。
【図５】本発明の実施例による階段昇降運搬車の階段の昇り終りまたは降り始めを示す側面図である。
【図６】回路構成説明図である。
【図７】回路構成説明図である。
【図８】回路構成説明図である。
【図９】従来例の説明図である。
【符号の説明】
１ 車いす用の階段昇降運搬車
２ 車体
３ クローラ装置
３１ 駆動輪
３２ 従動輪
３３ 転輪
３４ ベルトクローラ
３５ 駆動モータ
３６ 減速機構
３７ 電装品
３８ 前部そり部
３９ 後部そり部
４ 荷台
４１ キャスター輪
４２ キャスター輪
４３ 安全バー
５ 垂直台
５１ 第１係止部材
５２ 第２係止部材
５３ 操縦ハンドル
５４ 操作パネル
６ 傾斜センサ
６１ 第１傾斜センサ
６１ａ 通電端子
６１ｂ 通電端子
６１ｃ 水銀
６２ 第２傾斜センサ
６２ａ 通電端子
６２ｂ 通電端子
６２ｃ 水銀
７ そり用電動シリンダ
８ 荷台用電動シリンダ
８１ モータ
９ 電気回路
９１ マニュアルスイッチ
９２ 電磁コイル
９３ 電磁コイル
９４ 切換スイッチ
９５ 切換スイッチ
Claims (7)
- 水平接地部が少なくとも階段の２段以上に跨る長さを有するクローラを巻装した左右一対のクローラ装置と、該クローラ装置を駆動モータにより駆動して階段を昇降できるようにした車体と、該車体の階段昇降時上方側の端部を支点に傾斜し車いすを上記支点と逆側に向けて搭載可能に構成する荷台と、を備える車いす用の階段昇降運搬車において、
上記車体と上記荷台との間に連結されて伸縮動作によって上記荷台を上記車体に対して傾斜させるシリンダ型の伸縮手段と、
上記伸縮手段を作動させる作動回路と、
上記荷台に設けられ上記荷台の水平に対する傾斜を検知して上記作動回路を通電又は遮断する傾斜センサーとを備え、
上記傾斜センサーは、上記荷台が水平より設定された後方傾斜になるまで上記作動回路を通電状態にすると共に上記荷台が上記設定された後方傾斜になると上記作動回路を遮断する第１傾斜センサーと、該第１傾斜センサーが上記作動回路を遮断している状態で上記荷台が更に後方傾斜になると上記作動回路を通電状態にすると共に上記荷台が上記設定された後方傾斜に戻ると上記作動回路を遮断する第２傾斜センサーとからなり、
上記作動回路は、上記第１傾斜センサーが上記通電状態にあるときに上記伸縮手段を伸長させる伸長手段と、上記第２傾斜センサーが通電状態になったときに上記伸縮手段を収縮させる収縮手段とを有することを特徴とする車いす用の階段昇降運搬車。 - 上記傾斜センサーは、容器内に通電可能部材を収容し、該容器の端部に上記作動回路の通電端子を設け、該通電可能部材が該通電端子側に移動することによって上記通電状態になることを特徴とする請求項１に記載された車いす用の階段昇降運搬車。
- 上記第１傾斜センサーは上記荷台に対して第１設定角度（α）傾斜させて配設すると共に、上記第２傾斜センサーは上記第１傾斜センサーに対して第２設定角度（β）傾斜させて配設してなることを特徴とする請求項１又は２に記載された車いす用の階段昇降運搬車。
- 上記第１設定角度（α）を１３°〜１８°にし、上記第２設定角度（β）を５°〜１０°にしたことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載された車いす用の階段昇降運搬車。
- 上記通電可能部材は水銀であることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の車いす用の階段昇降運搬車。
- 上記クローラ装置を構成する軌道そりを、クローラの長手方向略中間位置で２分割された前部そり部と後部そり部とし、互いの接続端で「へ」の字状に屈曲可能に接続すると共に、該屈曲連結部近傍に、一端が車体側に枢支されるシリンダ型のそり用伸縮手段の先端を連結し、上記前部そり部と後部そり部とを、通常時は直線状に支持し、上記クローラ装置が最上段の階段の稜線部にさしかかった際に、上記そり用伸縮手段を収縮させて該前部そり部と後部そり部とを「へ」の字状に屈曲するように構成してなることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載の車いす用の階段昇降運搬車。
- 上記シリンダ型の伸縮手段及びそり用伸縮手段は、モータの回転方向により伸縮する電動シリンダであることを特徴とする請求項１又は６に記載の車いす用の階段昇降運搬車。
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