JPH023985Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車椅子用階段昇降機に関し、とくに、
人が着座したままの車椅子を搭載して階段の昇
り、降りし、さらには車椅子の走行体への搭載、
下降が容易に行い得る車椅子用階段昇降機に関す
る。

〔従来の技術〕

車椅子を搭載して階段を昇降移動する階段昇降
機は既に知られるところであつて、これらのうち
代表的なものには本願出願人が先に提案した特公
昭57−55424号公報、特開昭60−78864号公報等に
記載されるものがある。

これら公報に示されている車椅子用階段昇降機
は、車椅子の構造を考慮して、車椅子と階段昇降
機との着脱を工夫したものであり、加えて、平坦
面上も容易に走行できるようにしたものである。

このため、従来の車椅子用階段昇降機は、駆動
輪と遊動輪との間に接地面が少くとも階段の二段
以上に跨る長さを有するクローラを巻装して駆動
モータで自走できるよう構成された走行体と、こ
の走行体に取付けられて、前部に左右一対のキヤ
スタ、後部に左右一対の駆動輪を有する車椅子を
走行体上に装着保持し、かつ下端部を走行体に前
後回動可能に保持する保持ハンドル体とを有し、
車椅子を後ろ向きに宙吊り保持して階段の昇降に
供せられる構成となつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、走行体への車椅子の搭載および下降操
作はまだ面倒なものであり、また、階段昇降時に
は保持ハンドルを回動することにより車椅子は走
行体（クローラ）から離れた宙吊り状になるた
め、車椅子搭乗者に不安感を与えると云う問題が
あつた。

〔問題点を解決するための手段〕 そこで、この考案では、走行体はその両側に、
車椅子の駆動輪およびキヤスタを転接して走行体
に搭載または下降可能のガイド体を設け、このガ
イド体は、車椅子を搭載するとき接地してほぼ水
平となり、車椅子を搭載した後保持ハンドル体を
介して後方に回動したときは車椅子の駆動輪とキ
ヤスタとの間でキヤスタ支持部分がその自重で駆
動輪支持部分より所定量回動するよう枢支し、キ
ヤスタ支持部分から離れたキヤスタがその自重に
より前向きに走行できるよう反転することを特徴
とするものである。

〔作用〕

上記のように構成することで本考案は、車椅子
の走行体への搭載および下降操作が簡単、容易か
つ安定よく行え、しかも、階段昇降時に車椅子搭
乗者に不安感を与えないものである。

〔実施例〕

次に、この考案の構成を添付した図面に示す実
施例によつて説明する。まず、第１図および第２
図はこの考案による階段昇降機を示す側面図で、
符号１で示す階段昇降機は走行体２、保持ハンド
ル体３、ガイド体４を備えている。

走行体２は、第１図および第２図に示すように
側面視ソリ状に一端部が上向くアルミダイキヤス
ト製の左右一対の軌道フレーム５を有し、第３図
に示すように、この軌道フレーム５の他端部に形
成したフランジ部６が駆動モータ７と減速機８と
を一体化する減速機ケースの取付フランジ９を介
して左右に連結され、また、その長さ方向中間部
においてアングル材からなる連結部材１０を介し
て左右に連結されることでフレーム構造の本体を
形成するもので、上記連結部材１０に支持して駆
動モータ７の電源たるバツテリ１１を載置収容し
ている。また、上述の減速機８から取出される駆
動軸１２の両端には一対の駆動輪１３が装着され
ると共に、軌道フレーム５上、これと反対側のソ
リ状をなす傾斜ガイド部１４の上端部には左右の
遊動輪１５，１５を回転自在に枢着した遊動軸１
６，１６がそれぞれ分離して取付けられ、これら
の駆動輪１３と遊動輪１５との間に、軌道フレー
ム５の接地ガイド部１７および傾斜ガイド部１４
下面の凹溝で案内されるベルトクローラ１８が巻
回されてなり、その全幅は車椅子の車輪間隔の内
寸法より小さく構成されている。

また、ベルトクローラ１８は、その走行時にお
ける道路、階段等の保護および緩衝作用を考慮し
て合成ゴム等の弾性材で構成されると共に、その
外周面には階段昇降に適するよう台形状断面を有
するラグ１８ａが所定ピツチで配列して形成さ
れ、またその内周面には、駆動輪１３の外周に形
成した駆動歯に係合する突起列１８ｂが形成され
てベルトクローラ１８のスリツプを防止してい
る。

ここで、前記軌道フレーム５の接地ガイド１７
はその略中央部すなわち階段昇降機１の使用時に
おける総重量の重心付近で略へ字状に上方へ折曲
げ成形してあり、階段を降り始める時または階段
を昇り終る時における走行体２の前傾または後傾
角度を緩やかにして車椅子搭乗者およびオペレー
タに安心感を与えるようにしてある。ベルトクロ
ーラ１８の傾斜ガイド部１４寄りの後端部にはベ
ルトクローラ１８を挾んで軌道フレーム５に前後
回動可能に枢支された車輪支持アームに前後一対
の車輪１９，１９が軸支されている（第７図参
照）。

そして、数多い階段の蹴上げ寸法、ステツプ寸
法の平均値から、車輪１９の外径D100φ、各車輪
１９が平坦面に接地した場合のベルトクローラ１
８の地上高を20mm、傾斜ガイド部１４の傾斜角θ
を45度、接地ガイド部１７と傾斜ガイド部１４と
の接点間で描かれる弧の中心位置は、遊動輪１５
側の車輪１９の中心を通る垂直線から５mmだけ外
側に位置する垂直線上に定めてあつて、所定の曲
率半径の弧を描いて傾斜ガイド部１４と接地ガイ
ド部１７とが連続し、どのような階段においても
対処できるようにしてある。

前記走行体２の遊動輪１５側の部分には左右の
軌道フレーム５，５に保持ハンドル体３が軸２０
を中心にして前後に回動可能に装着されている。
この軸２０には、ベルトクローラ１８の遊動輪１
５側上面外周を押圧規制してベルトクローラ１８
上面の地上高を車椅子のクロスバーに干渉しない
所定位置に保持するアイドラ転輪２１が設けられ
ている。

保持ハンドル体３は軸２０に軸支される取付部
３ａの両側にガイド体４を支持するためのガイド
体支持部３ｂを設け、このガイド体支持部３ｂ
に、ベルトクローラ１８の両外側にガイド体４を
取付けている。

ガイド体４は、車椅子２２の後部に設けられた
左右一対の駆動輪２３と、駆動輪２３の前側に設
けられた左右一対のキヤスタ２４とを転接させて
前後に移動自在の幅を有している。さらに、ガイ
ド体４は、車椅子２２を後ろ向きにガイド体４上
に搭載したとき、駆動輪２３が接する駆動輪支持
部分２５と、キヤスタ２４が接するキヤスタ支持
部分２６とに分れ、駆動輪支持部分２５の後端を
取付部材を介してガイド体支持部３ｂに固着して
おり、駆動輪支持部分２５の先端に、ヒンジ２７
を介してキヤスタ支持部分２６の後端を取付けて
いる。このヒンジ２７位置には、基部をキヤスタ
支持部分２６に固定し、先端を駆動輪支持部分２
５側に延びα度傾斜した傾斜面を有するストツパ
２７ａが設けられ、このストツパ２７ａは、保持
ハンドル体３を第１図に示す起立位置から第２図
で示す傾斜位置まで回動したときガイド体４が持
上げられ、このときキヤスタ支持部分２６がその
自重でストツパ２７ａが駆動輪支持部分２５の底
面に接するまで回動するようになつている（第４
図参照）。このキヤスタ支持部分２６の回動で、
キヤスタ２４は宙吊り状態となり、その自重によ
つて半回転して前向きに走行できるよう姿勢変更
する。また、駆動輪支持部分２５およびキヤスタ
支持部分２６の各先端には、保持ハンドル体３を
第１図に示すようにほぼ垂直に起立させ、ガイド
体４をほぼ水平にしたとき接地して支持するスタ
ンド２８，２８が設けられている。また、キヤス
タ支持部分２６の先端には、係合金具２６ａが設
けてあり、この係合金具２６ａが着脱自在にブリ
ツジ２９の一端に設けたフツク２９ａに取付けら
れる。ブリツジ２９の他端は接地していて、車椅
子２２をガイド体４に搭載、あるいは下降すると
きに用いられ、搭載または下降が終つたときには
取外して駆動輪支持部分２５の側部に着脱可能に
係止するようにしている。

さらに、駆動輪支持部分２５の後端部には、側
面視三角形状の車輪ストツパ２５ａが前後に移
動、かつ固定可能に設けられ、搭載される駆動輪
２３の大きさに合せて移動調節される（第７図参
照）。

また、前記保持ハンドル体３は、第２図に示す
ように傾斜したとき、足踏み式のロツク機構３０
により走行体２側にロツクされ、このロツクを解
除して保持ハンドル体３を第１図に示すようにほ
ぼ垂直に起立させ得るようになつている。さら
に、保持ハンドル体３の中間部には、第８図およ
び第９図に詳細に示すように車椅子２２の手押し
ハンドル３１を保持する保持装置３２が設けられ
ている。この保持装置３２は、車椅子の手押しハ
ンドル３１の後方への屈曲部分をその両側で係止
する左右の係止具３２ａ，３２ａを有し、この係
止具３２ａを左右位置決め可能に取付けた背あて
棒３３が、保持ハンドル体３の左右のハンドルフ
レームに沿つて固定されたガイド棒３４にスライ
ドして上下位置決め可能に取付けられることで、
係止具３２ａの位置を上下方向および左右方向に
調節可能とし、これに取付け得る車椅子の適用範
囲を広げている。また、保持ハンドル体３の頂部
に左右に突出するグリツプ３５が設けられてい
る。グリツプ３５の近傍には駆動モータ７をオ
ン、オフ遠隔操作する機構３６が設けられてい
る。なお、符号３７は保持ハンドル体３に設けた
ヘツドレストであり、３８は車椅子２２の背当て
部を保持ハンドル体３に締付け、固定するバンド
である。

以上のように構成した階段昇降機１に車椅子を
搭載するには、まずロツク機構３０のペダルを踏
込んで保持ハンドル体３およびガイド体４の前方
への回動を自由にし、そして保持ハンドル体３の
グリツプ３５で第１図に示すようにほぼ垂直に起
立させ、ガイド体４のスタンド２８，２８を接地
させてガイド体４をほぼ水平にする。そして、キ
ヤスタ支持部分２６の係合金具２６ａにブリツジ
２９のフツク２９ａを係合させて連結し、車椅子
２２を後ろ向き状態でブリツジ２９、キヤスタ支
持部分２６、駆動輪支持部分２５の順に移動させ
る。そして、車椅子２２の手押しハンドル３１を
保持装置３２に保持させる。その後、ブリツジ２
９を外し、保持ハンドル体３を回動して第２図の
ように傾斜させロツク機構３０でロツクする。保
持ハンドル体３の回動によつてガイド体４も共に
回動し、キヤスタ保持部分２６は、そのヒンジ２
７位置でストツパ２７ａが当接するまで回動し、
キヤスタ２４はキヤスタ支持部分２６から離れ、
このためキヤスタ２４はそれまでの後ろ向き走行
状態から自重で半回転して前向き走行状態とな
る。この状態で第１０図に示すように階段を昇降
する。車椅子２２はガイド体４で支持されている
ので、階段昇降時に走行体２と離れていても車椅
子搭乗者に安心感を与える。

階段の昇降が終つて走行体２が平地に達したな
らば、ロツク機構３０のペダルを踏込んでロツク
を解除し、保持ハンドル体３を前方に回動してガ
イド体４のスタンド２８を接地させる。そして係
合金具２６ａにブリツジ２９のフツク２９ａを係
合させ、車椅子２２の手押しハンドル３１の保持
装置３２による保持を解除し、車椅子２２を前進
させて階段昇降機から下降させる。このとき、キ
ヤスタ２４は前向き走行状態となつているので、
駆動輪２３を駆動させるか、または手押しハンド
ル３１によつて車椅子２２を安定よく移動するこ
とができる。

また、車椅子２２の手押しハンドル３１は、型
式によつて短くて保持装置３２に保持できないも
のがあるが、この場合には、バンド３８によつて
その背当て部を保持ハンドル体３に固定すること
ができる。さらに、駆動輪２３の大きさによつ
て、車輪ストツパ２５ａを前後に移動調節し安定
して支持させる。

なお、階段昇降機を平地走行させるときは、保
持ハンドル体３の前後回動をロツクした状態で、
車輪１９，１９を接地させてベルトクローラ１８
の前方を浮かせるようにして、移動旋回させるこ
とができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の車椅子用階段昇
降機によれば、走行体の両側にガイド体を設けて
このガイド体上に車椅子の車輪を用いて搭載、下
降するようにしたのでその動作が極めて容易に安
定して行え、また、あらゆる型式の車椅子に適用
することができる。

しかも、ガイド体を傾動させたとき駆動輪支持
部分に対し、キヤスタ支持部分が所定量回動し、
キヤスタがその自重で反転して前向き走行状態と
なるので、ガイド体から車椅子を下降させるとき
直ちに安定して走行することができる。また、こ
のキヤスタの回転動作はガイド体の傾動により自
動的に行われるので、便利である。

さらに、ガイド体は、車椅子の駆動輪、キヤス
タの下側に位置しているので、ガイド体がないも
のに比べ、階段昇降時において車椅子搭乗者に安
定感を与える効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図および第
２図は階段昇降機全体の側面図および動作説明
図、第３図は同部分平面図、第４図は第３図の
−線断面図、第５図は第３図の−線断面
図、第６図は全体の背面図、第７図は部分側面
図、第８図および第９図は保持装置の平面図およ
び側面図、第１０図は階段昇降時の動作説明図で
ある。 １……階段昇降機、２……走行体、３……保持
ハンドル体、４……ガイド体、５……軌道フレー
ム、７……駆動モータ、１３……駆動輪、１４…
…傾斜ガイド部、１５……遊動輪、１７……接地
ガイド、１８……ベルトクローラ、１９……車
輪、２０……軸、２１……アイドラ転輪、２２…
…車椅子、２３……駆動輪、２４……キヤスタ、
２５……駆動輪支持部分、２５ａ……車輪ストツ
パ、２６……キヤスタ支持部分、２７……ヒン
ジ、２７ａ……ストツパ、２８……スタンド、２
９……ブリツジ、３０……ロツク機構、３１……
手押しハンドル、３２……保持装置、３２ａ……
係止具、３５……グリツプ、３７……ヘツドレス
ト、３８……バンド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 駆動輪と遊動輪との間に接地面が少くとも階段
   の二段以上に跨る長さを有するクローラを巻装し
   て駆動モータで自走できるよう構成された走行体
   と、この走行体に取付けられて、前部に左右一対
   のキヤスタ、後部に左右一対の駆動輪を有する車
   椅子を走行体上に装着保持し、かつ下端部を走行
   体に前後回動可能に保持する保持ハンドル体とを
   有し、車椅子を後ろ向きに搭載して階段の昇降に
   供せられる車椅子用階段昇降機において、 走行体はその両側に、車椅子の駆動輪およびキ
   ヤスタを転接して走行体に搭載または下降可能の
   ガイド体を設け、このガイド体は、車椅子を搭載
   するとき接地してほぼ水平となり、車椅子を搭載
   した後保持ハンドル体を介して後方に回動したと
   きは車椅子の駆動輪とキヤスタとの間でキヤスタ
   支持部分がその自重で駆動輪支持部分より所定量
   回動するよう枢支し、キヤスタ支持部分から離れ
   たキヤスタがその自重により前向きに走行できる
   よう反転することを特徴とする車椅子用階段昇降
   機。