JP3857885B2 - 水系速乾性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばグラビア印刷用インク等に好適な性能を発揮する水系速乾性樹脂組成物とその製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大気汚染等の環境問題から、各種印刷インク、塗料、接着剤等の分野において、従来汎用されてきた溶剤系組成物を水系組成物へと転換する試みが検討されている。しかし、従来の水系組成物では速乾性を期待することが困難であるため、例えば、包装材用途を中心としたプラスチックフィルムを基材とする印刷分野においては、乾燥性や基材への濡れ性といった点で問題があり、一部の用途を除いてほとんど実用化に至っていない。
水系組成物において速乾性を向上させるには、その総固形分量を高くし、界面活性剤や増粘剤等の水溶性成分を極力少なくしたり、あるいは、メタノールのような低沸点アルコール類を多量に含有させて、乾燥を促進させることが考えられるが、これらの方法においては、速乾性を十分に満足させることはできなかった。しかも、総固形分量を高くすると、塗工および印刷作業性を損ないやすいという問題を招き、他方、速乾性を発現させうるために多量の低沸点アルコール類を用いると、大気汚染、作業環境の低下、溶剤処理装置の設置が必要になるという問題があった。
【0003】
また、従来の水系組成物は、密着性や耐性等の性能についても、溶剤系組成物に比べて劣っているため、例えば、表面にセルが形成されたグラビア印刷用シリンダーにインクを供給し、これを基材に印刷するグラビア印刷用のインクとして用いた場合、基材によってはインクの脱落(色移り)が起こったり、水等によって印刷が滲むといった問題が生じることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、速乾性に優れ、かつ、密着性や耐性について溶剤系組成物と同等の性能を発揮しうる水系速乾性樹脂組成物およびその製造方法、さらにこの水系速乾性樹脂組成物を用いたグラビアインク組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定分子量の水溶性アニオン性樹脂、特定分子量のカチオン性樹脂および多価金属化合物の3成分を共存させると、アニオン性樹脂とカチオン性樹脂との凝集によって、優れた乾燥性を発現させうること、および、アニオン性樹脂と多価金属化合物との安定な共有結合により複雑な高分子マトリックスが形成され、さらに該高分子マトリックス中の多価金属と、アニオン性樹脂およびカチオン性樹脂の酸性官能基および塩基性官能基とがキレーションを形成してより強固に固定されることにより、密着性や耐性の向上を図りうること、を見いだし、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の水系速乾性樹脂組成物は、水系媒体と樹脂成分と多価金属化合物とを含み、前記樹脂成分は、重量平均分子量1,000以上の水溶性アニオン性樹脂および数平均分子量600〜5,000,000のカチオン性樹脂を含み、前記多価金属化合物として、ジルコニウム化合物を前記樹脂成分の総和に対して0.1〜50重量%含む。
【0007】
本発明のグラビアインク組成物は、前記水系樹脂速乾性樹脂組成物と、顔料および/または染料とを含む。
なお、以下の記載において、「…と…とを組み合わせた…」との記載は、「…と…とを含む…」を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、少なくとも水溶性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂との組み合わせからなる樹脂成分を必須とするものである。
前記水溶性アニオン性樹脂は、アニオン性の官能基を有する樹脂で、かつ水溶性を有するものである。ここで、水溶性を有するとは、水中で溶解状態にあり、透明な外観を有することであり、特に、水溶性樹脂は粒子の大きさが0. 001ミクロン以下であるものである。なお、本発明においては、水溶性アニオン性樹脂を必須とするが、アニオン性樹脂の一部として水分散性アニオン性樹脂、すなわちコロイダルディスパージョンまたはエマルション形態のアニオン性樹脂を併用することもできる。
【0009】
前記水溶性もしくは水分散性のアニオン性樹脂としては、アニオン性の官能基を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、合成樹脂や天然樹脂が使用できる。例えば、アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する樹脂である、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂等の合成樹脂や、カルボキシメチルセルロース等の天然樹脂が等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0010】
前記アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する樹脂は、少なくとも1種の不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合して得られる重合体樹脂であることが好ましい。
前記不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸やそのモノエステル類;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの不飽和カルボン酸のほかに、該不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体を前記単量体成分として使用することもできる。不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体類;が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する重合体樹脂を得るための重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等により行えばよく、具体的には、水溶性アニオン性樹脂は溶液重合法等で、水分散性アニオン性樹脂は乳化重合法や懸濁重合法等で得ることができる。また、重合の際には、必要に応じて、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個以上の共重合可能な不飽和基を有する単量体を用いて、重合体樹脂の一部を架橋してもよく、また、t−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いて、重合度を制御することもできる。
【0012】
前記水溶性アニオン性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上であることが重要である。好ましくは8,000以上であるのがよい。水溶性アニオン性樹脂の重量平均分子量が1,000未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向がある。なお、アニオン性樹脂の一部として水分散性アニオン性樹脂を併用する場合の水分散性アニオン性樹脂の重量平均分子量は、特に制限されるものではない。
前記水溶性または水分散性アニオン性樹脂のガラス転移点(Tg)は、−50〜130℃であることが好ましく、さらに好ましくは−10〜100℃である。アニオン性樹脂のガラス転移点(Tg)が−50℃未満であると、マトリックスが過度に軟化するため、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、130℃を越えると、マトリックスが過度に硬くなるため、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。
【0013】
前記水溶性または水分散性アニオン性樹脂の酸価は、10〜800mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは30〜240mgKOH/gである。アニオン性樹脂の酸価が10mgKOH/g未満であると、マトリックス形成が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなり、一方、800mgKOH/gを越えると、特に耐水性が低下する傾向がある。
前記水溶性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して0.1〜99.9重量%であることが好ましく、さらに好ましくは25〜99重量%、より好ましくは30〜98重量%である。水溶性アニオン性樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、マトリックス形成が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなり、一方、99.9重量%を越えると、カチオン性樹脂の含有量が少なくなるため、形成された樹脂組成物層の基材への密着性が低下しやすくなる。なお、アニオン性樹脂の一部として水分散性アニオン性樹脂を併用する場合の水分散性アニオン性樹脂の割合は、特に制限されるものではない。
【0014】
前記カチオン性樹脂としては、カチオン性の官能基を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、カチオン性の官能基としてアミノ基を有する、ポリアルキレンイミン類、ポリアミド類、アミノスルホポリエステル類、ポリアリルアミン類、ポリビニルアミン類、およびこれらの変性ポリマー等の塩基性含窒素樹脂が挙げられる。
ポリアルキレンイミン類は、一般に、エチレンイミン、1,2−プロピレンイミン、1,2−ドデシレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン、フェニルエチレンイミン、ベンジルエチレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、アミノエチルエチレンイミン、2−メチルプロピレンイミン、3−クロロプロピルエチレンイミン、メトキシエチルエチレンイミン、ドデシルアジリジニルフォルメート、N−エチルエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)エチレンイミン、N−フェネチルエチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(シアノエチル)エチレンイミン、N−(p−クロロフェニル)エチレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、あるいは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解または完全加水分解させる方法等で製造することができるが、特に限定はされない。
【0015】
ポリビニルアミン類は、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、これを塩酸等の酸や塩基性物質により部分加水分解または完全加水分解する方法、あるいは、ポリニトロエチレンやその誘導体を還元する方法、あるいは、ポリアクリルアミドをホフマン分解する方法、あるいは、N−ビニルフタルイミド樹脂をアルカリ還元する方法等によって得ることができるが、特に限定はされない。例えば、ポリビニルアミン、ポリメタビニルアミン、ポリビニルアミン塩酸塩、ポリビニルエチルアミン塩酸塩、ポリメタビニルメチルアミン塩酸塩、ポリビニル−N−トリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0016】
ポリアリルアミン類は、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られるが、特に限定はされない。例えば、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルエチルアミン塩酸塩、ポリアリルジメチルエチルアンモニウム塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩重合体、ジアリルメチルアミン塩酸塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩重合体、これらの二酸化硫黄共重合体、アクリルアミド共重合体、ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
【0017】
ポリアミド類は、一般に、ヘキサメチレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジプロピレンペンタアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸、マレイン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸等のジカルボン酸またはこれらの酸塩化物等の誘導体とを加熱し、生成する水を減圧下除去する、重縮合、界面重縮合、低温溶液重縮合、ポリリン酸溶液重縮合、固相重縮合等により得られる重縮合物;ジイソシアネートとジカルボン酸との重付加物;ラクタムの開環重合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
アミノスルホポリエステル類は、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のポリアルカノールアミン類と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール類と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸、マレイン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸等のジカルボン酸と、および5−ソジオスルホイソフタル酸とを加熱し、生成する水を減圧下除去し、脱水縮合することにより得られるが、これらに限定はされない。
さらに、前述の2種以上のカチオン性樹脂同士を架橋剤により架橋したものを用いることもできる。例えば、ポリアルキレンイミンとポリアミドとをエピクロルヒドリン等で架橋したものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
また、カチオン性樹脂が変性ポリマーである場合、例えば、変性率0〜100%のエチレンオキシド変性、プロピレンオキシド変性、スチレンオキシド変性、α,β−不飽和エステル変性等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらカチオン性樹脂の使用時の形態は、特に限定されるものではないが、水溶液が好ましい。
前記カチオン性樹脂の数平均分子量は、600〜5,000,000であることが重要である。好ましくは600〜2,700,000、より好ましくは600〜150,000、さらに好ましくは1,000〜120, 000であるのがよい。カチオン性樹脂の数平均分子量が600未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、5,000,000を越えると、マトリックス形成時の反応が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐水性が低下することとなる。
【0020】
前記カチオン性樹脂の含有量は、その種類や分子量に応じて適宜設定すればよく、例えば、水溶性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して0.1〜99.9重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜75重量%である。カチオン性樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、形成された樹脂組成物層の基材への密着性が低下しやすくなり、一方、99.9重量%を越えると、水溶性アニオン性樹脂の含有量が少なくなるため、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなる。
本発明においては、前記樹脂成分として、前記アニオン性樹脂と前記カチオン性樹脂以外の他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、特に制限されず、合成樹脂や天然樹脂を使用することができる。例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびジエン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル系樹脂;アクリロニトリル系樹脂;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル系樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエステル系樹脂;不飽和ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリイミド系樹脂;等の合成樹脂と、カゼイン等の天然樹脂が挙げられる。
【0021】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、前記樹脂成分と多価金属化合物とが組み合わされてなるものである。
前記多価金属化合物としては、例えばカルボキシル基やアミノ基のような前記アニオン性樹脂またはカチオン性樹脂中の酸性官能基または塩基性官能基と共有結合可能なものであれば特に制限はなく、例えば、その金属種として、ジルコニウム、亜鉛、ホウ素、チタン等が挙げられ、好ましくはジルコニウム、亜鉛、ホウ素またはチタンである。また、その配位子として、アンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウム、カルボン酸アンモニウム、カルボン酸類、ハロゲン化物等が挙げられる。具体的には、これらの金属種と配位子からなる化合物として、例えば、炭酸アンモニウムジルコニウム、乳酸アンモニウムジルコニウム、酢酸アンモニウムジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム、炭酸アンモニウム亜鉛、ボレート、シュウ酸チタンアンモニウム、炭酸チタンアンモニウム等が挙げられる。また、これらを、例えば酒石酸、グルコン酸等で安定化したものであってもよい。これら多価金属化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記多価金属化合物の含有量は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは3〜35重量%である。多価金属化合物の含有量が0.1重量%未満であると、マトリックス形成時の反応が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐水性および耐溶剤性が低下することとなり、一方、50重量%を越えると、マトリックス形成時の反応が過分となり、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。
【0023】
本発明の水系速乾性樹脂組成物においては、さらに、揮発性塩基性化合物が組み合わされてなることが好ましい。揮発性塩基性化合物を存在させておくことにより、使用されるまでの間アニオン性樹脂の酸性官能基を保護し、貯蔵安定性を向上させることができるのである。そして、この揮発性塩基性化合物は、使用時には容易に揮発するので、保護されていた酸性官能基は速やかにマトリックス形成に寄与し、乾燥を促進するとともに耐性を付与することになるのである。
前記揮発性塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、モルホリン、アルキルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記揮発性塩基性化合物の含有量は、その種類や塩基性度に応じて適宜設定すればよく、樹脂組成物のpHを前記カチオン性樹脂の塩基性官能基が非イオン化されるpHにまで上昇させうるだけの量であれば、特に制限されるものではない。具体的には、前記揮発性塩基性化合物により調整された樹脂組成物のpHが8以上となるように前記揮発性塩基性化合物を用いることが好ましい。前記揮発性塩基性化合物により調整された樹脂組成物のpHが8未満であると、樹脂組成物の貯蔵安定性が損なわれると同時に、形成される樹脂組成物層の密着性や耐性が低下しやすくなる。
【0025】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、前記樹脂成分および前記多価金属化合物とともに水系媒体を含むものである。水系媒体としては、特に限定されるものではないが、最も好ましくは水単独溶媒が挙げられる。また、例えばメタノールやエタノール等の低沸点水溶性有機溶媒の1種または2種以上、あるいはこれらと水との混合溶媒を用いることもできる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、その全固形分が1重量%以上であることが好ましい。樹脂組成物中の全固形分が1重量%未満であると、速乾性が不十分となる傾向がある。したがって、前記水系溶媒は、通常、樹脂組成物中の全固形分が1重量%以上となるように調整して用いられる。
【0026】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、その用途に応じて、着色剤を含有するものであってもよい。着色剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、各種の有機あるいは無機顔料;酸性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、食品用色素、蛍光増白剤等の各種染料;が挙げられる。さらに具体的には、C.I.Pigment Yellow1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,72,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,153,C.I.Pigment Orange5,13,16,17,36,43,51,C.I.Pigment Red1,2,3,5,17,22,23,31,38,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,63:2,64:1,81,83,88,101,104,105,106,108,112,114,122,123,146,149,166,168,170,172,177,178,179,185,190,193,209,216,C.I.Pigment Violet1,3,5:1,16,19,23,38,C.I.Pigment Blue1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17:1,18,24,27,28,29,56,60,61,63,C.I.Pigment Green1,4,7,8,10,17,18,36,C.I.Pigment Brown25,C.I.Pigment Black1,7,11,C.I.Pigment Metal 1,2,C.I.Pigment White1,4,5,6,18,21,24,27,真珠光沢顔料、昼光蛍光顔料等の顔料;C.I.Acid Black1,2,7,16,17,24,26,28,31,41,48,52,56,58,60,63,94,107,109,112,118,119,121,122,131,155,156,172,194,208,C.I.Acid Blue1,7,9,22,23,25,27,29,40,41,43,45,49,51,53,55,56,59,62,78,90,91,92,93,102,104,111,113,117,120,124,126,145,167,171,175,183,185,229,234,236,254,C.I.Acid Brown4,14,C.I.Acid Green3,9,12,16,19,20,25,27,41,C.I.AcidOrange7,8,10,33,56,64,C.I.Acid Red1,4,6,8,13,14,15,18,19,21,26,27,30,32,34,37,38,40,42,45,51,52,54,57,80,82,83,85,87,88,89,92,94,97,106,108,110,111,119,129,131,134,135,154,155,172,176,180,184,186,187,243,249,254,256,257,270,289,317,318,C.I.Acid Violet7,11,15,34,35,41,43,49,75,C.I.Acid Yellow1,3,4,7,11,12,13,14,17,18,19,23,25,29,34,36,38,40,41,42,44,49,53,55,59,61,71,72,76,78,99,111,114,116,122,135,161,172,C.I.Basic Black2,8,C.I.Basic Blue1,3,5,7,9,24,25,26,28,29,C.I.Basic Brown1,12,C.I.Basic Green1,4,C.I.Basic Orange2,15,21,22,C.I.Basic Red1,2,9,12,13,37,C.I.Basic Violet1,3,5,7,9,24,25,26,28,29,C.I.Basic Yellow1,2,11,12,14,21,32,36,C.I.Reactive Black1,3,5,6,8,12,14,C.I.Reactive Blue2,5,7,12,13,14,15,17,18,19,20,21,25,27,28,37,38,40,41,71,C.I.Reactive Brown1,7,16,C.I.Reactive Green5,7,C.I.Reactive Orange2,5,7,16,20,24,C.I.Reactive Red6,7,11,12,15,17,21,23,24,35,36,42,63,66,C.I.Reactive Violet2,4,5,8,9,C.I.Reactive Yellow1,2,3,13,14,15,17,C.I.Food Black2,C.I.Food Blue3,4,5,C.I.Food Green2,3,C.I.Food Red2,3,7,9,14,52,87,92,94,102,104,105,106,C.I.Food Violet2,C.I.Food Yellow3,4,5等の染料;が挙げられる。これら着色剤を用いる場合、その配合量は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和に対して1〜300重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜200重量%である。
【0027】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤を含有するものであってもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、ワックス、保湿剤、消泡剤界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、レオロジー改良剤、金属イオン封鎖剤、殺生剤、分散剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、シリケート等の増量剤;フィラー、凍結防止剤、凍結および解凍安定剤、保存料、腐食防止剤、カラー保水性向上剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、蛍光増白剤等が挙げられる。これら添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜設定すればよい。
【0028】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、前記水溶性アニオン性樹脂、前記カチオン性樹脂、および前記多価金属化合物を少なくとも組み合わせることにより得ることができ、その製造方法は特に限定されるものではない。詳しくは、前記水溶性アニオン性樹脂、前記カチオン性樹脂、および前記多価金属化合物からなる必須3成分と水系媒体と、必要に応じて着色剤等のその他の添加物を、どのような順序でどのようにして混合してもよい。例えば、貯蔵安定性を考慮して、前記必須3成分のうちの2成分を先に混合しておき、使用直前に残りの1成分を添加するようにしてもよい。本発明の水系速乾性樹脂組成物の好ましい形態としては、水溶性アニオン性樹脂、カチオン性樹脂および多価金属化合物を同時に含んでなる形態、すなわち初期に必須3成分を混合しておくことが望ましい。
【0029】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、具体的には、バドル翼等の攪拌機、高速攪拌分散機、高圧ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル、振動式分散機等の公知の攪拌、分散、破砕装置により製造することができる。また、必要に応じて、ストレーナー等を通して粗大粒子等を除去することもできる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにするものである。例えば、本発明の水系速乾性樹脂組成物を基材へ付着させると直ちに、前記アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)と前記カチオン性樹脂との凝集が起こり、水系媒体を系外へ押し出す効果により、優れた速乾性を発揮する。そして、水系媒体が除去された後の樹脂組成物においては、前記アニオン性樹脂と前記多価金属化合物との安定的な共有結合により複雑な高分子マトリックスが形成され、さらに該高分子マトリックス中の多価金属と、アニオン性樹脂およびカチオン性樹脂の酸性官能基および塩基性官能基とがキレーションを形成してより強固に固定されるので、極めて優れた密着性および耐性を示す皮膜を形成することができるのである。すなわち、本発明の水系速乾性樹脂組成物は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)、カチオン性樹脂および多価金属化合物の3成分が共存することによって、優れた速乾性を発揮するとともに、3成分の相乗作用による極めて優れた密着性および耐性を発現させることができるのである。
【0030】
本発明のグラビアインク組成物は、前記水系媒体と前記樹脂成分とを含み、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにするグラビアインク組成物であって、前記アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)と、前記カチオン性樹脂と、前記多価金属化合物と、前記顔料および/または前記染料とが組み合わされてなるものである。このような、本発明のグラビアインク組成物を用いてグラビア印刷を行った場合には、従来の水系樹脂組成物では解決できなかった、耐水性、耐溶剤性、耐磨耗性等の耐性、乾燥性、密着性といった問題を効果的に回避することができる。
【0031】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、もちろん、前記グラビア印刷用インクの他にも、フレキソ印刷用インク、インクジェットプリンター用インク等の各種インク;OPニス等の各種クリアーコーティング剤;インクジェットプリンター用受容紙の受容層;路面表示用塗料、導電性塗料、プラスチック用塗料等の各種塗料;ドライラミネートや押し出しラミネート等の各種ラミネート用接着剤、木材用接着剤、構造用接着剤等の各種接着剤;帯電防止剤;プライマー;トップコート;粘着剤;マニキュアやヘアセット剤等の各種化粧品;等の幅広い用途において適用することができる。
【0032】
本発明の水系速乾性樹脂組成物の塗工方法は、特に限定されず、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、コンマコート、スロットダイコート、スライドダイコート、エアナイフコート、プレードコート、バーコート、キスコート、スプレーコート、エアスプレーコート、ロールコート、ブラシコート、カーテンコート、フラッドコート、ディッピングコート等の公知の塗工方法や装置を採用することができる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物を塗工する各種基材としては、特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン、PET等のポリエステル系樹脂、セロファン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の有機基材;上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙、プラスチックコート紙等の紙基材;金属(例えば、鉄、アルミニウム、銅)、ガラス、コンクリート、セメント、煉瓦、石膏板等の無機基材;ビチューメン;シンダーブロック;パーチクルポード;木材;等が挙げられる。これら基材の形態としては、特に限定されないが、フィルム、シート、板状成形物等が挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例および比較例に記載の「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を示している。
(実施例1)
水溶性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:重量平均分子量(LS)12, 000、酸価195mgKOH/g、Tg70℃、固形分30%)56.6部、水分散性アニオン性樹脂B(スチレン−アクリル系樹脂:酸価55mgKOH/g、Tg37℃、固形分46%)16.6部、スチレンオキシドで変性された、ポリアミド変性ポリエチレンイミンA(ポリアミド変性ポリエチレンイミン数平均分子量(GPC)120,000)、25モル%スチレンオキシド変性、固形分20%)2.4部、炭酸アンモニウムジルコニウム(固形分20%)14.3部、ポリエチレンワックス(固形分25%)8.3部、可塑剤(ブチルベンジルフタレート)0.9部、および水0.9部を、分散容器に秤取り、分散機にて2000回転/分にて5分間攪拌し、全固形分32%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、コロナ放電処理のOPPフィルムに固形分として膜厚が約3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、塗布後直ちに、以下の方法で耐水試験を行った。結果を表1に示す。
【0034】
(耐水試験) 塗布直後の塗膜面に水滴を落とし、10分放置後に目視にて塗膜の変化が確認されなくなった時間を測定し、次のように評価した。
〇;15分未満、△;15分以上30分未満、×;30分以上
さらに、前述のようにして得られた、樹脂組成物を塗布したフィルムを、25℃、60%RHで24時間養生した。この養生したフィルムを用いて、以下の方法で各種評価を行った。結果を表1に示す。
(塗膜外観) 塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;クラック等の問題なし、×;クラック等の外観不良有り
(耐水ラビング試験) S型摩擦試験機を用い、塗膜上で、水に浸した脱脂綿を200回往復させ、塗膜変化の現われた回数を測定し、以下のように評価した。
【0035】
〇;200回変化なし、△;100回以上200回未満、×;100回未満
(耐アルコールラビング試験) S型摩擦試験機を用い、塗膜上で、80%エタノールに浸した脱脂綿を100回往復させ、塗膜変化の現われた回数を測定し、以下のように評価した。
〇;100回変化なし、△;50回以上100回未満、×;50回未満
(密着性試験) 塗膜面に12mm幅の粘着テープを貼り付けた後、強制剥離し、基材からの塗膜の剥がれの有無を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;剥離なし、×;剥離あり
(実施例2)
プロピレンオキシドで変性した変性ポリエチレンイミンB(数平均分子量(GPC)1,200(変性前のポリエチレンイミンの数平均分子量(GPC)600))、100モル%変性、固形分50%)と、界面活性剤(アセチレンジオール系)とのほかは、実施例1で用いた配合成分のうちから、それぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分21%の樹脂組成物を得た。
【0036】
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエチレンイミンC(数平均分子量(GPC)60,000、固形分50%)のほかは、実施例1で用いた配合成分のうちから、それぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分35%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例4)
スチレンオキシドで変性した変性ポリエチレンイミンD(数平均分子量(GPC)1,000(変性前のポリエチレンイミンの数平均分子量(GPC)600))、25モル%変性、固形分59%)のほかは、実施例1で用いた配合成分のうちから、それぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分33%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例5)
実施例2で用いた配合成分のうちから、それぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分26%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
実施例1〜3で用いた配合成分を表2に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1では全固形分38%の樹脂組成物を、比較例2では全固形分32%の樹脂組成物を、比較例3では全固形分27%の樹脂組成物を、それぞれ得た。
【0039】
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
プロピレンオキシドで変性した変性ポリエチレンイミンE(数平均分子量(GPC)140,000(変性前のポリエチレンイミンの数平均分子量(GPC)70,000)、100モル%変性、固形分50%)のほかは、実施例1で用いた配合成分のうちから、それぞれ表2に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分31%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種試験を行った。結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
(実施例6,7および比較例5〜7)
水分散性アニオン性樹脂C(スチレン−アクリル系樹脂:酸価87mgKOH/g、Tg12℃、固形分42%)、C.I.ピグメントブラック、C.I.ピグメントホワイトのほかは、実施例2で用いた配合成分のうちから、それぞれ表3に示す配合比で用い、それらを実施例1と同様にして攪拌して、グラビア印刷用インクを得た。
得られたインクを、コロナ放電処理のOPPフィルムに固形分として膜厚が約3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、塗布後直ちに、以下の方法で指触乾燥試験を行った。結果を表3に示す。
【0043】
(指触乾燥試験) 塗布直後の塗膜面を指で触り、指紋がつかなくなるまでの時間を測定し、次のように評価した。
〇;2分未満、×;2分以上
さらに、前述のようにして得られた、インクを塗布したフィルムを、30℃、60%RHで24時間養生した。この養生したフィルムを用いて、以下の方法で各種評価を行った。結果を表3に示す。
(塗膜外観) 塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;クラック等の問題なし、×;クラック等の外観不良有り
(耐水ラビング試験) 染色用摩擦堅牢度試験機を用い、塗膜上で、水に浸した脱脂綿を200回往復させ、塗膜変化を目視にて観察し、以下のように評価した。
【0044】
〇;変化なし、×;傷、溶出または剥離あり
(耐アルコールラビング試験) 染色用摩擦堅牢度試験機を用い、塗膜上で、80%エタノールに浸した脱脂綿を10回往復させ、塗膜変化を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;変化なし、×;傷、溶出または剥離あり
(密着性試験) 塗膜面に12mm幅の粘着テープを貼り付けた後、強制剥離し、基材からの塗膜の剥がれの有無を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;剥離なし、×;剥離あり
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、速乾性に優れ、かつ、密着性や耐性について溶剤系組成物と同等の性能を発揮しうる水系速乾性樹脂組成物と、その製造方法と、この水系速乾性樹脂組成物を用いたグラビアインク組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 水系媒体と樹脂成分と多価金属化合物とを含み、
前記樹脂成分は、重量平均分子量1,000以上の水溶性アニオン性樹脂および数平均分子量600〜5,000,000のカチオン性樹脂を含み、
前記多価金属化合物として、ジルコニウム化合物を前記樹脂成分の総和に対して0.1〜50重量%含む
水系速乾性樹脂組成物。 - 揮発性塩基性化合物がさらに含まれてなる、請求項1に記載の水系速乾性樹脂組成物。
- 請求項1から2までのいずれかに記載の水系速乾性樹脂組成物と顔料および/または染料とを含むグラビア印刷用インク。
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