JP4133077B2 - 水系速乾性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばグラビア印刷用インク等に好適な性能を発揮する水系速乾性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大気汚染等の環境問題から、各種印刷インク、塗料、接着剤等の分野において、従来汎用されてきた溶剤系組成物を水系組成物へと転換する試みが検討されている。しかし、従来の水系組成物では速乾性を期待することが困難であるため、例えば、包装材用途を中心としたプラスチックフィルムを基材とする印刷分野においては、乾燥性や基材への濡れ性といった点で問題があり、一部の用途を除いてほとんど実用化に至っていない。
水系組成物において速乾性を向上させるには、その総固形分量を高くし、界面活性剤や増粘剤等の水溶性成分を極力少なくしたり、あるいは、メタノールのような低沸点アルコール類を多量に含有させて、乾燥を促進させることが考えられるが、これらの方法においては、速乾性を十分に満足させることはできなかった。しかも、総固形分量を高くすると、塗工および印刷作業性を損ないやすいという問題を招き、他方、速乾性を発現させうるために多量の低沸点アルコール類を用いると、大気汚染、作業環境の低下、溶剤処理装置の設置が必要になるという問題があった。
【0003】
また、従来の水系組成物は、密着性や耐性等の性能についても、溶剤系組成物に比べて劣っているため、例えば、表面にセルが形成されたグラビア印刷用シリンダーにインクを供給し、これを基材に印刷するグラビア印刷用のインクとして用いた場合、基材によってはインクの脱落(色移り)が起こったり、水等によって印刷が滲むといった問題が生じることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記問題を解決しうる水系組成物として、特願2001―111560号公報において、特定分子量の水溶性アニオン性樹脂、特定分子量のカチオン性樹脂および多価金属化合物が組み合わされてなる水系速乾性樹脂組成物を提案した。該公報の樹脂組成物は、速乾性に優れ、かつ、密着性および耐水性や耐溶剤性等の耐性について溶剤系組成物と同等の性能を発揮しうるものであったが、耐揉み性に関しては充分に満足しうる性能を有するものではなく、用途によっては可塑剤を必要とする場合があった。また、速乾性や密着性についても、用途によってはさらなる性能の向上が求められていた。
【0005】
そこで、本発明の課題は、速乾性および密着性に極めて優れた性能を発揮すると同時に、良好な耐揉み性をも備え、さらに耐水性や耐溶剤性については溶剤系組成物と同等の性能を発揮しうる水系速乾性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定分子量の水溶性アニオン性樹脂、特定分子量のカチオン性樹脂および多価金属化合物の3成分に加えて、特定分子量の水分散性アニオン性樹脂をも必須とし、さらに該水分散性アニオン性樹脂の含有量を水溶性アニオン性樹脂よりも多く設定することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の水系速乾性樹脂組成物は、重量平均分子量1,000〜20,000の水溶性アニオン性樹脂、水分散性アニオン性樹脂、数平均分子量600〜5,000,000のカチオン性樹脂、および炭酸アンモニウムジルコニウムが組み合わされてなり、前記水溶性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で0.1〜35.0重量%であり、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で63.9〜99.8重量%であり、かつ、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量が、固形分(不揮発分)で前記水溶性アニオン性樹脂100重量部に対して200重量部以上である、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の別の水系速乾性樹脂組成物は、水系媒体と樹脂成分とを含み、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにする水系速乾性樹脂組成物であって、前記樹脂成分として重量平均分子量1,000〜20,000の水溶性アニオン性樹脂、水分散性アニオン性樹脂、および数平均分子量600〜5,000,000のカチオン性樹脂とが組み合わされるとともに、前記樹脂成分に炭酸アンモニウムジルコニウムが組み合わされてなり、前記水溶性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で0.1〜35.0重量%であり、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で63.9〜99.8重量%であり、かつ、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量が、固形分(不揮発分)で前記水溶性アニオン性樹脂100重量部に対して200重量部以上である、ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、水溶性アニオン性樹脂、水分散性アニオン性樹脂、およびカチオン性樹脂の組み合わせからなる樹脂成分を必須とするものである。これにより、水溶性および水分散性のアニオン性樹脂とカチオン性樹脂との凝集が起こり、優れた乾燥性を発現させることができるのである。
本発明における水溶性アニオン性樹脂は、アニオン性の官能基を有する樹脂で、かつ水溶性を有するものである。ここで、水溶性を有するとは、水中で溶解状態にあり、透明な外観を有することであり、特に、水溶性樹脂は粒子の大きさが0. 001ミクロン以下であるものである。
【0009】
本発明における水分散性アニオン性樹脂は、アニオン性の官能基を有する樹脂で、かつコロイダルディスパージョンまたはエマルション形態の樹脂である。
前記水溶性および水分散性のアニオン性樹脂としては、アニオン性の官能基を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、合成樹脂や天然樹脂が使用できる。例えば、アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する樹脂である、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂等の合成樹脂や、カルボキシメチルセルロース等の天然樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0010】
前記アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する樹脂は、少なくとも1種の不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合して得られる重合体樹脂であることが好ましい。
前記不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸やそのモノエステル類;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの不飽和カルボン酸のほかに、該不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体を前記単量体成分として使用することもできる。不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体類;が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する重合体樹脂を得るための重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等により行えばよく、具体的には、水溶性アニオン性樹脂は溶液重合法等で、水分散性アニオン性樹脂は乳化重合法や懸濁重合法等で得ることができる。また、重合の際には、必要に応じて、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個以上の共重合可能な不飽和基を有する単量体を用いて、重合体樹脂の一部を架橋してもよく、また、t−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いて、重合度を制御することもできる。
【0012】
前記水溶性アニオン性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上であることが重要である。好ましくは1,700以上であるのがよい。水溶性アニオン性樹脂の重量平均分子量が1,000未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向がある。
前記水溶性アニオン性樹脂の重量平均分子量の上限は特に限定されないが、好ましくは20,000以下、より好ましくは16,000以下であるのがよい。水溶性アニオン性樹脂の重量平均分子量が20,000を超えると、マトリックス形成時の分子量アップが過分となり、密着性が低下したり、塗膜が脆くなったりする傾向があるため、好ましくない。
【0013】
前記水溶性および水分散性アニオン性樹脂のガラス転移点(Tg)は、−50〜130℃であることが好ましく、さらに好ましくは−10〜100℃である。アニオン性樹脂のガラス転移点(Tg)が−50℃未満であると、マトリックスが過度に軟化するため、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、130℃を越えると、マトリックスが過度に硬くなるため、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。
前記水溶性および水分散性アニオン性樹脂の酸価は、1〜800mgKOH/g−solidであることが好ましく、より好ましくは2〜500mgKOH/g−solid、さらに好ましくは3〜300mgKOH/g−solid、特に好ましくは3〜240mgKOH/g−solidである。アニオン性樹脂の酸価が1mgKOH/g−solid未満であると、マトリックス形成が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなり、一方、800mgKOH/g−solidを越えると、特に耐水性が低下する傾向がある。
【0014】
前記水溶性アニオン性樹脂の含有量は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和(固形分(不揮発分)換算に対して固形分(不揮発分)で0.1〜35.0重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜30.0重量%、より好ましくは2.0〜25.0重量%、特に好ましくは3.0〜15.0重量%である。水溶性アニオン性樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、高分子マトリックスの形成が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下し、一方、35.0重量%を超えると、形成された樹脂組成物層の硬度が過分となり、成膜性及び可とう性が著しく低下し、形成された樹脂組成物層の基材への密着性低下や、耐揉み性が低下する。
【0015】
前記水分散性アニオン性樹脂の含有量は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和(固形分(不揮発分)換算)に対して固形分(不揮発分)で63.9〜99.8重量%であることが好ましく、さらに好ましくは70.0〜95重量%、より好ましくは80.0〜93.0重量%である。水分散性アニオン性樹脂の含有量が63.9重量%未満であると、高分子マトリックスの形成が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなり、一方、99.8重量%を越えると、カチオン性樹脂の含有量が少なくなるため、形成された樹脂組成物層の基材への密着性や、耐溶剤性が低下しやすくなる。
【0016】
本発明においては、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量が、固形分(不揮発分)で前記水溶性アニオン性樹脂100重量部に対して200重量部以上であることが重要である。水分散性アニオン性樹脂を必須とし、かつその含有量を水溶性アニオン性樹脂に対して特定量以上とすることにより、優れた耐揉み性を発揮することができ、例えば、従来は可塑剤が必要であった場合においても、可塑剤を要することなく良好な耐揉み性を発現することができると同時に、速乾性および密着性も著しく向上させることができる。好ましくは、水分散性アニオン性樹脂の含有量が固形分(不揮発分)で前記水溶性アニオン性樹脂100重量部に対して450重量部以上、さらに好ましくは800重量部以上であるのがよい。
【0017】
本発明におけるカチオン性樹脂としては、カチオン性の官能基を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、カチオン性の官能基としてアミノ基を有する、ポリアルキレンイミン類、ポリアミドアミン類、アミノスルホポリエステル類、ポリアリルアミン類、ポリビニルアミン類、およびこれらの変性ポリマー等の塩基性含窒素樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、カチオン性樹脂の使用時の形態は、特に限定されるものではないが、水溶液が好ましい。
前記ポリアルキレンイミン類は、一般に、エチレンイミン、1,2−プロピレンイミン、1,2−ドデシレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン、フェニルエチレンイミン、ベンジルエチレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、アミノエチルエチレンイミン、2−メチルプロピレンイミン、3−クロロプロピルエチレンイミン、メトキシエチルエチレンイミン、ドデシルアジリジニルフォルメート、N−エチルエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)エチレンイミン、N−フェネチルエチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(シアノエチル)エチレンイミン、N−(p−クロロフェニル)エチレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、あるいは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解または完全加水分解させる方法等で製造することができるが、特に限定はされない。
【0018】
前記ポリビニルアミン類は、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、これを塩酸等の酸や塩基性物質により部分加水分解または完全加水分解する方法、あるいは、ポリニトロエチレンやその誘導体を還元する方法、あるいは、ポリアクリルアミドをホフマン分解する方法、あるいは、N−ビニルフタルイミド樹脂をアルカリ還元する方法等によって得ることができるが、特に限定はされない。例えば、ポリビニルアミン、ポリメタビニルアミン、ポリビニルアミン塩酸塩、ポリビニルエチルアミン塩酸塩、ポリメタビニルメチルアミン塩酸塩、ポリビニル−N−トリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0019】
前記ポリアリルアミン類は、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られるが、特に限定はされない。例えば、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルエチルアミン塩酸塩、ポリアリルジメチルエチルアンモニウム塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩重合体、ジアリルメチルアミン塩酸塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩重合体、これらの二酸化硫黄共重合体、アクリルアミド共重合体、ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
【0020】
前記ポリアミドアミン類は、一般に、ヘキサメチレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジプロピレンペンタアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸、マレイン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸等のジカルボン酸またはこれらの酸塩化物等の誘導体とを加熱し、生成する水を減圧下除去する、重縮合、界面重縮合、低温溶液重縮合、ポリリン酸溶液重縮合、固相重縮合等により得られる重縮合物;ジイソシアネートとジカルボン酸との重付加物;ラクタムの開環重合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
前記アミノスルホポリエステル類は、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のポリアルカノールアミン類と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール類と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸、マレイン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸等のジカルボン酸と、および5−ソジオスルホイソフタル酸とを加熱し、生成する水を減圧下除去し、脱水縮合することにより得られるが、これらに限定はされない。
本発明におけるカチオン性樹脂は、さらに、前述の2種以上のカチオン性樹脂同士を架橋剤により架橋したものであってもよい。例えば、ポリアルキレンイミンとポリアミドとをエピクロルヒドリン等で架橋したものが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、本発明のカチオン性樹脂は、変性ポリマーであってもよく、例えば、変性率0〜100%のエチレンオキシド変性、プロピレンオキシド変性、スチレンオキシド変性、α,β−不飽和エステル変性等が挙げられる。
【0022】
前記カチオン性樹脂の数平均分子量は、600〜5,000,000であることが重要である。好ましくは600〜2,700,000、より好ましくは600〜1,000,000、さらに好ましくは1,000〜300,000、特に好ましくは1,200〜250,000であるのがよい。カチオン性樹脂の数平均分子量が600未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、5,000,000を越えると、マトリックス形成時の反応が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐水性が低下することとなる。
【0023】
前記カチオン性樹脂の含有量は、その種類や分子量に応じて適宜設定すればよく、例えば、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和(固形分(不揮発分)換算)に対して固形分(不揮発分)で0.1〜36.0重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜30.0重量%、より好ましくは0.5〜25.0重量%、特に好ましくは1.0〜20.0重量%である。カチオン性樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、形成された樹脂組成物層の基材への密着性が低下しやすくなり、一方、36.0重量%を越えると、水溶性および水分散性のアニオン性樹脂の含有量が少なくなるため、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなる。
【0024】
本発明においては、前記樹脂成分として、前記水溶性および水分散性のアニオン性樹脂と前記カチオン性樹脂以外の他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、特に制限されず、合成樹脂や天然樹脂を使用することができる。例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびジエン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル系樹脂;アクリロニトリル系樹脂;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル系樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエステル系樹脂;不飽和ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリイミド系樹脂;等の合成樹脂と、カゼイン等の天然樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これら他の樹脂を併用する場合、その含有割合は、特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0025】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、前記樹脂成分と多価金属化合物とが組み合わされてなるものである。これにより、前記水溶性および水分散性のアニオン性樹脂と多価金属化合物とが安定な共有結合による複雑な高分子マトリックスを形成し、さらに該高分子マトリックス中の多価金属と、前記アニオン性樹脂およびカチオン性樹脂の酸性官能基および塩基性官能基とがキレーションを形成してより強固に固定され、密着性や耐性の向上を図ることができるのである。
前記多価金属化合物としては、例えばカルボキシル基やアミノ基のような前記アニオン性樹脂またはカチオン性樹脂中の酸性官能基または塩基性官能基と共有結合可能なものであれば特に制限はなく、例えば、その金属種として、ジルコニウム、亜鉛、ホウ素、チタン等が挙げられ、好ましくはジルコニウム、亜鉛、ホウ素またはチタンである。また、その配位子として、アンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウム、カルボン酸アンモニウム、カルボン酸類、ハロゲン化物等が挙げられる。具体的には、これらの金属種と配位子からなる化合物として、例えば、炭酸アンモニウムジルコニウム、乳酸アンモニウムジルコニウム、酢酸アンモニウムジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム、炭酸アンモニウム亜鉛、ボレート、シュウ酸チタンアンモニウム、炭酸チタンアンモニウム等が挙げられる。また、これらを、例えば酒石酸、グルコン酸等で安定化したものであってもよい。これら多価金属化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記多価金属化合物の含有量は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和(固形分(不揮発分)換算)に対して固形分(不揮発分)で0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは3〜35重量%である。多価金属化合物の含有量が0.1重量%未満であると、マトリックス形成時の反応が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐水性および耐溶剤性が低下することとなり、一方、50重量%を越えると、マトリックス形成時の反応が過分となり、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。
【0027】
本発明の水系速乾性樹脂組成物においては、さらに、揮発性塩基性化合物が組み合わされてなることが好ましい。揮発性塩基性化合物を存在させておくことにより、使用されるまでの間アニオン性樹脂の酸性官能基を保護し、貯蔵安定性を向上させることができるのである。そして、この揮発性塩基性化合物は、使用時には容易に揮発するので、保護されていた酸性官能基は速やかにマトリックス形成に寄与し、乾燥を促進するとともに耐性を付与することになるのである。
前記揮発性塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、モルホリン、アルキルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記揮発性塩基性化合物の含有量は、その種類や塩基性度に応じて適宜設定すればよく、樹脂組成物のpHを前記カチオン性樹脂の塩基性官能基が非イオン化されるpHにまで上昇させうるだけの量であれば、特に制限されるものではない。具体的には、前記揮発性塩基性化合物により調整された樹脂組成物のpHが8以上となるように前記揮発性塩基性化合物を用いることが好ましい。前記揮発性塩基性化合物により調整された樹脂組成物のpHが8未満であると、樹脂組成物の貯蔵安定性が損なわれると同時に、形成される樹脂組成物層の密着性や耐性が低下しやすくなる。
【0029】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、前記水溶性アニオン性樹脂、前記水分散性アニオン性樹脂、前記カチオン性樹脂、および前記多価金属化合物が組み合わされてなる形態であってもよいし、水系媒体と前記樹脂成分とを含み、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにする形態であってもよい。後者の場合、水系媒体としては、特に限定されるものではないが、最も好ましくは水単独溶媒が挙げられる。また、例えばメタノールやエタノール等の低沸点水溶性有機溶媒の1種または2種以上、あるいはこれらと水との混合溶媒を用いることもできる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、その全固形分が1重量%以上であることが好ましい。樹脂組成物中の全固形分が1重量%未満であると、速乾性が不十分となる傾向がある。したがって、前記水系溶媒を含む形態の場合は、通常、樹脂組成物中の全固形分が1重量%以上となるように調整して用いられる。
【0030】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、その用途に応じて、着色剤を含有するものであってもよい。着色剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、各種の有機あるいは無機顔料;酸性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、食品用色素、蛍光増白剤等の各種染料;が挙げられる。さらに具体的には、C.I.Pigment Yellow1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,72,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,153,C.I.Pigment Orange5,13,16,17,36,43,51,C.I.Pigment Red1,2,3,5,17,22,23,31,38,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,63:2,64:1,81,83,88,101,104,105,106,108,112,114,122,123,146,149,166,168,170,172,177,178,179,185,190,193,209,216,C.I.Pigment Violet1,3,5:1,16,19,23,38,C.I.Pigment Blue1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17:1,18,24,27,28,29,56,60,61,63,C.I.Pigment Green1,4,7,8,10,17,18,36,C.I.Pigment Brown25,C.I.Pigment Black1,7,11,C.I.Pigment Metal 1,2,C.I.Pigment White1,4,5,6,7,11,12,18,19,20,21,22,24,26,27,真珠光沢顔料、昼光蛍光顔料等の顔料;C.I.Acid Black1,2,7,16,17,24,26,28,31,41,48,52,56,58,60,63,94,107,109,112,118,119,121,122,131,155,156,172,194,208,C.I.Acid Blue1,7,9,22,23,25,27,29,40,41,43,45,49,51,53,55,56,59,62,78,90,91,92,93,102,104,111,113,117,120,124,126,145,167,171,175,183,185,229,234,236,254,C.I.Acid Brown4,14,C.I.Acid Green3,9,12,16,19,20,25,27,41,C.I.Acid Orange7,8,10,33,56,64,C.I.Acid Red1,4,6,8,13,14,15,18,19,21,26,27,30,32,34,37,38,40,42,45,51,52,54,57,80,82,83,85,87,88,89,92,94,97,106,108,110,111,119,129,131,134,135,154,155,172,176,180,184,186,187,243,249,254,256,257,270,289,317,318,C.I.Acid Violet 7,11,15,34,35,41,43,49,75,C.I.Acid Yellow1,3,4,7,11,12,13,14,17,18,19,23,25,29,34,36,38,40,41,42,44,49,53,55,59,61,71,72,76,78,99,111,114,116,122,135,161,172,C.I.Basic Black2,8,C.I.Basic Blue1,3,5,7,9,24,25,26,28,29,C.I.Basic Brown1,12,C.I.Basic Green1,4,C.I.Basic Orange2,15,21,22,C.I.Basic Red1,2,9,12,13,37,C.I.Basic Violet1,3,5,7,9,24,25,26,28,29,C.I.Basic Yellow1,2,11,12,14,21,32,36,C.I.Reactive Black1,3,5,6,8,12,14,C.I.Reactive Blue2,5,7,12,13,14,15,17,18,19,20,21,25,27,28,37,38,40,41,71,C.I.Reactive Brown1,7,16,C.I.Reactive Green5,7,C.I.Reactive Orange2,5,7,16,20,24,C.I.Reactive Red6,7,11,12,15,17,21,23,24,35,36,42,63,66,C.I.Reactive Violet2,4,5,8,9,C.I.Reactive Yellow1,2,3,13,14,15,17,C.I.Food Black2,C.I.Food Blue3,4,5,C.I.Food Green2,3,C.I.Food Red2,3,7,9,14,52,87,92,94,102,104,105,106,C.I.Food Violet2,C.I.Food Yellow3,4,5等の染料;が挙げられる。これら着色剤を用いる場合、その含有量は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂)とカチオン性樹脂の総和(固形分(不揮発分)換算)に対して1〜300重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜200重量%である。
【0031】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤を含有するものであってもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、ワックス、保湿剤、消泡剤界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、レオロジー改良剤、金属イオン封鎖剤、殺生剤、分散剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、シリケート等の増量剤;フィラー、凍結防止剤、凍結および解凍安定剤、保存料、腐食防止剤、カラー保水性向上剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、蛍光増白剤等が挙げられる。これら添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜設定すればよい。
【0032】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、前記水溶性アニオン性樹脂、前記水分散性アニオン性樹脂、前記カチオン性樹脂、および前記多価金属化合物を少なくとも組み合わせることにより得ることができ、その製造方法は特に限定されるものではない。具体的には、各成分をどのような順序でどのようにして混合してもよく、例えば、貯蔵安定性を考慮して、前記必須4成分のうち一部の成分を先に混合しておき、使用直前に残りの成分を添加するようにしてもよいが、本発明の水系速乾性樹脂組成物の好ましい形態としては、水溶性アニオン性樹脂、前記水分散性アニオン性樹脂、カチオン性樹脂および多価金属化合物を同時に含んでなる形態、すなわち初期に必須4成分を混合しておくことが望ましい。
【0033】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、具体的には、バドル翼等の攪拌機、高速攪拌分散機、高圧ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル、振動式分散機等の公知の攪拌、分散、破砕装置により製造することができる。また、必要に応じて、ストレーナー等を通して粗大粒子等を除去することもできる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにするものである。例えば、本発明の水系速乾性樹脂組成物を基材へ付着させると直ちに、前記アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)と前記カチオン性樹脂との凝集が起こり、水系媒体を系外へ押し出す効果により、優れた速乾性を発揮する。そして、水系媒体が除去された後の樹脂組成物においては、前記アニオン性樹脂と前記多価金属化合物との安定的な共有結合により複雑な高分子マトリックスが形成され、さらに該高分子マトリックス中の多価金属と、アニオン性樹脂およびカチオン性樹脂の酸性官能基および塩基性官能基とがキレーションを形成してより強固に固定されるので、極めて優れた密着性および耐性を示す皮膜を形成することができるのである。すなわち、本発明の水系速乾性樹脂組成物は、アニオン性樹脂(水溶性アニオン性樹脂および必要に応じて水分散性アニオン性樹脂)、カチオン性樹脂および多価金属化合物の4成分が共存することによって、優れた速乾性を発揮するとともに、4成分の相乗作用による極めて優れた密着性および耐性を発現させることができるのである。
【0034】
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、グラビア印刷用インクの用途において、特に好適に用いることができ、その場合、前記必須4成分と前記顔料および/または前記染料とが組み合わされて用いられる。このような樹脂組成物を用いてグラビア印刷を行った場合には、従来の水系樹脂組成物では解決できなかった、耐水性、耐溶剤性、耐磨耗性、耐揉み性、耐水揉み性等の耐性、乾燥性、密着性といった問題を効果的に回避することができる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物は、室温という緩やかな乾燥条件においても、良好な乾燥性を示すとともに、得られた塗膜は、プラスチック等の各種基材への密着性、耐水性、耐溶剤性、強度に優れている。このため、本発明の水系樹脂組成物は、前記グラビア印刷用インクの他にも、例えば、フレキソ印刷用インク、インクジェットプリンター用インク等の各種インク;OPニス、フィルムコート等の各種クリアーコーティング剤;インクジェットプリンター用受容紙の受容層;路面表示用塗料、導電性塗料、プラスチック用塗料、無機建材用塗料、金属用塗料、皮革塗料、補修用塗料等の各種塗料;有機基材、無機基材、難接着性基材へのプライマー;不織布バインダー、顔料捺染用バインダー、撥水加工や仕上げ加工用バインダー、織布コーティングや含浸処理加工用バインダー等の各種繊維処理剤;ドライラミネートや押し出しラミネート等の各種ラミネート用接着剤、木材用接着剤、構造用接着剤等の各種接着剤;帯電防止剤;プライマー;トップコート;粘着剤;マニキュアやヘアセット剤等の各種化粧品;等の幅広い用途において、耐摩擦性、耐ブロッキング性、耐洗濯性、耐水強度、耐水接着性、耐薬品性等の実用的な耐性および良好な作業性を発揮し、好適に用いることができる。
【0035】
本発明の水系速乾性樹脂組成物の塗工・含浸方法は、特に限定されず、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、コンマコート、スロットダイコート、スライドダイコート、エアナイフコート、プレードコート、バーコート、キスコート、スプレーコート、エアスプレーコート、ロールコート、ブラシコート、カーテンコート、フラッドコート、ディッピングコート等の公知の塗工方法や装置を採用することができる。
本発明の水系速乾性樹脂組成物を塗工または含浸する各種基材としては、特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン、PET等のポリエステル系樹脂、セロファン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の有機基材;上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙、プラスチックコート紙等の紙基材;金属(例えば、鉄、アルミニウム、銅)、ガラス、コンクリート、セメント、煉瓦、石膏板等の無機基材;ビチューメン;シンダーブロック;パーチクルポード;木材;麻、綿、レーヨン、キュプラ等のセルロース系繊維;羊毛、獣毛、絹等のタンパク繊維;アセテート等の半合成繊維;ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ビニロン等の合成繊維;ロックウール、ガラスファイバー等の無機繊維;皮革;等が挙げられる。これら基材の形態としては、特に限定されないが、フィルム、シート、成形物、発泡体、コード、不織布や布等の繊維加工品等が挙げられる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例および比較例に記載の「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を示している。
(実施例1)
水溶性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:重量平均分子量12,000、酸価195mgKOH/g−solid、Tg70℃、固形分30%)4.9部、水分散性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:酸価55mgKOH/g−solid、Tg37℃、固形分46%)36.2部、プロピレンオキシドで変性したポリエチレンイミンA(数平均分子量1,200(変性前の数平均分子量600)、100モル%変性、固形分50%)2.3部、炭酸アンモニウムジルコニウム(固形分46%(二酸化ジルコニウム換算では固形分20%)5.3部、および水17.3部を分散容器に秤取り、分散機にて2000回転/分にて5分間攪拌し、全固形分33%の樹脂組成物を得た。
【0037】
得られた樹脂組成物を用いて下記評価を行った。結果を表1に示す。
<塗膜外観> 得られた樹脂組成物を、コロナ放電処理のOPPフィルムに固形分として膜厚が約1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、30℃60%RHで24時間養生して、試験フィルムを得た。そして、該試験フィルムの塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;外観不良なし、×;外観不良あり
<指触乾燥性> 得られた樹脂組成物を、ガラス板に固形分として膜厚が約1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、指で塗布面を押さえ、指紋が付かなくなるまでの時間を測定し、以下のように評価した。
〇;1分未満、△;1分以上、2分未満、×;2分以上
<密着性> 前記塗膜外観の評価に用いた試験フィルムの塗膜面に12mm幅の粘着テープを貼り付けた後、強制剥離したときの塗膜の状態を目視にて観察し、以下のように評価した。
◎;変化なし、〇;若干傷有り、△;傷有り、×;剥離
<耐水ラビング性> 前記塗膜外観の評価に用いた試験フィルムの塗膜上で、学振型摩擦堅牢度試験機を用いて水に浸した脱脂綿を200回往復させ、塗膜に変化が現われたときの回数を測定し、以下のように評価した。
〇;200回で変化なし、△;100回以上200回未満、×;100回未満
<耐アルコールラビング性> 前記塗膜外観の評価に用いた試験フィルムの塗膜上で、学振型摩擦堅牢度試験機を用いて80%エタノールに浸した脱脂綿を10回往復させたときの塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;変化なし、△;白化または傷が若干あり、×;剥離または溶解が生じる
<耐揉み性> 前記塗膜外観の評価に用いた試験フィルムを両手で塗膜面同士を擦るように10回揉んだときの塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;変化なし、△;若干傷有り、×;剥離
<耐水揉み性> 前記塗膜外観の評価に用いた試験フィルムを両手で塗膜面同士を流水中、擦るように10回揉んだときの塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように評価した。
〇;変化なし、△;若干傷有り、×;剥離
(実施例2)
実施例1で用いた各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、全固形分33%の樹脂組成物を得た。
【0038】
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で用いた水分散性アニオン性樹脂Aの代わりに、水分散性アニオン性樹脂B(スチレン−アクリル系樹脂:酸価87mgKOH/g−solid、Tg12℃、固形分42%)を用い、各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、全固形分32%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例4)
実施例1で用いたポリエチレンイミンAの代わりに、プロピレンオキシドで変性したポリエチレンイミンB(数平均分子量20,000(変性前の数平均分子量10,000)、100モル%変性、固形分50%)を用い、各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、全固形分32%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例5)
実施例1で用いた水溶性アニオン性樹脂Aの代わりに、水溶性アニオン性樹脂B(スチレン−アクリル系樹脂:重量平均分子量1,700、酸価238mgKOH/g−solid、Tg56℃、固形分60%)を用い、ポリエチレンイミンAの代わりに、ポリアミドで変性したポリエチレンイミンC(ポリアミド変性ポリエチレンイミン:数平均分子量230,000、固形分10%)を用い、各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、全固形分38%の樹脂組成物を得た。
【0041】
(比較例1および2)
実施例1で用いた各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ全固形分33%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004133077
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、速乾性および密着性に極めて優れた性能を発揮すると同時に、良好な耐揉み性をも備え、さらに耐水性や耐溶剤性については溶剤系組成物と同等の性能を発揮しうる水系速乾性樹脂組成物を提供することができる。

Claims (3)

  1. 重量平均分子量1,000〜20,000の水溶性アニオン性樹脂、水分散性アニオン性樹脂、数平均分子量600〜5,000,000のカチオン性樹脂、および炭酸アンモニウムジルコニウムが組み合わされてなり、前記水溶性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で0.1〜35.0重量%であり、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で63.9〜99.8重量%であり、かつ、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量が、固形分(不揮発分)で前記水溶性アニオン性樹脂100重量部に対して200重量部以上である、ことを特徴とする水系速乾性樹脂組成物。
  2. 水系媒体と樹脂成分とを含み、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにする水系速乾性樹脂組成物であって、前記樹脂成分として重量平均分子量1,000〜20,000の水溶性アニオン性樹脂、水分散性アニオン性樹脂、および数平均分子量600〜5,000,000のカチオン性樹脂とが組み合わされるとともに、前記樹脂成分に炭酸アンモニウムジルコニウムが組み合わされてなり、前記水溶性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で0.1〜35.0重量%であり、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量は、水溶性アニオン性樹脂および水分散性アニオン性樹脂とカチオン性樹脂の総和に対して固形分(不揮発分)で63.9〜99.8重量%であり、かつ、前記水分散性アニオン性樹脂の含有量が、固形分(不揮発分)で前記水溶性アニオン性樹脂100重量部に対して200重量部以上である、ことを特徴とする水系速乾性樹脂組成物。
  3. 揮発性塩基性化合物がさらに組み合わされてなる、請求項1または2に記載の水系速乾性樹脂組成物。
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