JP3855365B2 - ポリイミドコーティング剤組成物及びポリイミドコーティング膜 - Google Patents

ポリイミドコーティング剤組成物及びポリイミドコーティング膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、半導体デバイス、多層配線基板などの電気、電子材料の製造に有用なポリイミドコーティング剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは、加熱加湿処理による密着性低下の問題を著しく改善したポリイミドコーティング剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドはその優れた耐熱性、電気特性、機械特性のため、半導体の保護膜、層間絶縁膜などの電子材料分野で注目されている。ポリイミドを半導体の保護膜として使用する場合、下層の無機膜や上層の封止樹脂との密着性は半導体の信頼性に大きな影響を及ぼす。ポリイミドの密着性は初期に良好なものでも、加熱加湿処理によって低下する傾向があることが知られている。これは半導体の信頼性低下につながりかねないので好ましくない。
【0003】
近年、半導体素子の高集積化やLOC(Lead On Chip)パッケージの採用によって、ポリイミドコーティング剤に対しても、より高度な性能が要求されるようになってきた。例えば、無機膜や封止樹脂に対する初期の良好な密着力を長期の加熱加湿処理後も保持することが要求されてきている。感光性ポリイミドコーティング剤を半導体素子の保護膜に用いる場合についても同様の要求が強まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明はかかる従来技術の諸欠点に鑑み創案されたもので、本願発明の目的は、初期の良好な密着力を加熱加湿処理後も長期にわたって保持することを特徴とするポリイミドコーティング剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らはポリイミドコーティング剤の密着性について種々研究を重ねた結果、ポリイミド骨格に従来密着性に劣るとされていたフッ素を特定範囲量含有させれば、驚くべきことに、初期の密着性が良好で、かつ加熱加湿処理後の密着性低下を低く抑えることができることを見出し、この知見に基づき本願発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本願発明の目的は、以下の構成を採ることによって達成される。
【0007】
一般式(1)
【化4】
Figure 0003855365
で表される構造単位を主成分とし、R1およびR2中のフッ素含有率が1.0〜7.0%であり、R2がビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの残基を含むポリイミド前駆体を必須成分とすることを特徴とするポリイミドコーティング剤組成物、
(R1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する4価の有機基、R2は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基、R3およびR4は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または、炭素数1〜30の有機基を表す。R3、R4は同じでも異なっていても良い)
及び、上記一般式で表される構造単位を主成分とし、R2ががビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの残基を含むポリイミド前駆体を必須成分とする組成物から得られ、かつフッ素含有率が0.86.0%であることを特徴とするポリイミドコーティング膜、
さらに、上記のポリイミドコーティング膜を保護膜として有する半導体。
【0008】
本願発明における一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体としては、加熱あるいは適当な触媒によりイミド環や、その他環状構造を有するポリマー(以後、「ポリイミド系ポリマー」と呼ぶ)となり得るものをあげることができる。
【0009】
上記一般式(1)中、R1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する4価の有機基である。ポリイミド系ポリマーの耐熱性から、R1は芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の3価または4価の基が好ましい。R1の好ましい具体的な例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。ポリイミド系ポリマーの耐熱性の点から、特に好ましい具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、などの残基が挙げられる。
【0010】
本願発明におけるポリイミド前駆体は、R1がこれらのうち1種から構成されていても良いし、2種以上から構成される共重合体であっても構わない。
【0011】
上記一般式(1)中、R2は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基である。ポリイミド系ポリマーの耐熱性の点から、R2は芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価の基が好ましい。R2の好ましい具体的な例としては、以下に示される化合物の残基及びその水添化合物の残基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、クロロパラフェニレンジアミン、クロロメタフェニレンジアミン、ブロモパラフェニレンジアミン、ブロモメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、ジメチルベンジジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ジクロロベンジジン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン。
【0013】
本願発明におけるポリイミド前駆体は、R2がこれらのうち1種から構成されていても良いし、2種以上から構成される共重合体であっても構わない。
【0014】
さらに、ポリイミド系ポリマーの接着性を向上させるため、耐熱性を低下させない範囲でR2として、シロキサン結合を有する脂肪族性の基を共重合することも可能である。好ましい具体例としては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0015】
上記一般式(1)で表される構造単位において、R1およびR2中のフッ素含有率が1.0〜7.0%の範囲にあることが重要である。ここでいうフッ素含有率とは、R1およびR2中に存在するフッ素原子の総数にフッ素の原子量19を乗じ、R1およびR2の分子量の和で除した値であり、R1およびR2が数種類から構成されている場合には、各R1およびR2内に含まれるフッ素原子の数とフッ素を含有するR1およびR2成分のモル分率から計算されるフッ素原子の数の平均値にフッ素の原子量19を乗じ、各R1およびR2成分の分子量とモル分率から計算されるR1およびR2の平均分子量の和で除した値である。フッ素含有率が1.0%より少ない場合、フッ素導入の効果は認められず、通常のポリイミドと同様に加熱加湿処理後の密着性低下が大きい。一方、フッ素含有率が7.0%より多い場合、ポリイミド膜の撥水撥油性が顕著になり、初期の密着性が低下する。
【0016】
上記定義で決定されるフッ素含有率のさらに好ましい範囲としては2.0〜6.0%である。
【0017】
本願発明のポリイミドコーティング剤組成物では一般式(1)で示されるR1およびR2中のフッ素含有率で規定しているが、結果物であるポリイミドコーティング膜中のフッ素含有量がそれにも増して重要である。典型的には、ポリイミドコーティング剤組成物を窒素雰囲気下、350℃、1時間加熱処理後に得られる残存物(すなわち熱硬化物)中のフッ素含有率で規定することも出来る。加熱処理はイナートオーブンや縦型拡散炉などポリイミドのキュアに一般に用いられるものであれば好ましく用いることが出来る。熱処理後の残存物中のフッ素含有率はイオン電極法、吸光光度法、イオンクロマト法などで求めることが出来る。
【0018】
この残存物中の好ましいフッ素含有率の範囲は0.8〜6.0%であり、さらに好ましくは1.5〜5.0%である。
【0019】
上記一般式(1)で示されるR1およびR2中のフッ素含有率はR1および/またはR2にフッ素を含有する成分を単独またはフッ素を含有しない成分と共重合して用いることで調整することができる。
【0020】
フッ素を含有するR1成分の好ましい具体例としては、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、トリフルオロメチルピロメリット酸、ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。フッ素を含有するR1成分は単独であっても良いし、複数からなる共重合体であっても良い。
【0021】
フッ素を含有するR2成分の好ましい具体例としては、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどの残基が挙げられるが、これらに限定されない。フッ素を含有するR2成分は単独であっても良いし、複数からなる共重合体であっても良い。
【0022】
上記一般式(1)中、R3およびR4は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または、炭素数1〜30の有機基を表す。炭素数1〜30の有機基としては脂肪族有機基が好ましく、含有される有機基としては、炭化水素基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、メタクリル酸エチル基、アクリル酸エチル基、メタクリル酸プロピル基、アクリル酸プロピル基、エチルメタクリルアミド基、プロピルメタクリルアミド基、エチルアクリルアミド基、プロピルアクリルアミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。また、脱離が容易でポリイミドへの転化が速やかである点で、R3およびR4は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンであることがより好ましく、水素が最も好ましい。
【0023】
上記R3およびR4はそれぞれ単独種であってもよいし、2種以上の混合であってもよい。R3およびR4は同じであっても、異なっても良い。
【0024】
本願発明におけるポリイミド前駆体は、一般式(1)で表される構造単位のみから成るものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(1)で表される構造単位を80%以上含有していることが好ましい。共重合またはブレンドに用いられる構造単位の種類、量は最終加熱処理によって得られるポリイミド系ポリマーの耐熱性を著しく損なわない範囲で選択するのが好ましい。
【0025】
これらのポリイミド前駆体は公知の方法によって合成される。すなわちR3およびR4が水素である場合はテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させるなど、公知の方法によって合成される。
【0026】
R3およびR4がアルキル基であるである場合はテトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物と反応させた後、塩化チオニル等を用いて酸塩化物を合成した後に適当なジアミンとを選択的に組み合わせるか、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の適当な脱水剤を用いてジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させるなど、公知の方法によって合成される。
【0027】
本願発明のポリイミドコーティング組成物に感光性を付与するために、R3およびR4成分にメタクリル酸エチル基、アクリル酸エチル基、メタクリル酸プロピル基、アクリル酸プロピル基、エチルメタクリルアミド基、プロピルメタクリルアミド基、エチルアクリルアミド基、プロピルアクリルアミド基などを用いること、及び/または、エチレン性不飽和二重結合及びアミノ基を含む一般式(2)で表される化合物(R4、R5、R6は炭素数1〜30の有機基であり、うち、少なくとも1つはエチレン性不飽和二重結合を含む)
を含有させることも可能である。
【0028】
上記一般式(2)で表される化合物中、R5、R6、R7は炭素数1〜30の有機基を表す。有機基としては脂肪族有機基が好ましく、含有される有機基としては、炭化水素基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、感光性能の向上のため、R5、R6、R7のうち少なくとも1つはエチレン性不飽和二重結合を含んでいることが好ましい。
【0029】
一般式(2)の好ましい具体例として、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミドなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
一般式(2)で表される化合物は単独種であってもよいし、2種以上の混合であってもよい。
【0031】
さらに、本願発明のポリイミドコーティング剤は、光開始剤および/または光増感剤を含有することも可能である。
【0032】
本願発明に適した光開始剤としては、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルグリシン、ミヒラーズケトンなどの芳香族アミン、3−フェニル−5−イソオキサゾロンに代表される環状オキシム化合物、1−フェニルプロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムに代表される鎖状オキシム化合物、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0033】
本願発明に適した増感剤としては、アジドアントラキノン、アジドベンザルアセトフェノンなどの芳香族モノアジド、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン化合物、ベンズアントロン、フェナントレンキノンなどの芳香族ケトンなど一般に光硬化性樹脂に使用されるようなもの、その他電子写真の電荷移動剤として使用されるものであれば好ましく使用できることもある。
【0034】
光開始剤や増感剤はポリマーに対して0.01〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%添加するのが好ましい。この範囲を外れると感光性が低下したり、ポリマーの機械特性が低下したりするので注意を要する。これらの光開始剤や増感剤は、単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0035】
本願発明の組成物の感光性能を上げるために、適宜、光反応性モノマーを用いることもできる。
【0036】
光反応性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、メチレンビスメタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
光反応性モノマーはポリマーに対して1〜30重量%の範囲で添加するのが好ましい。この範囲を外れると感光性が低下したり、ポリイミド系ポリマーの機械特性が低下したりするので注意を要する。これらの光反応性モノマーは、単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0038】
本願発明の組成物の塗膜または加熱処理後のポリイミド被膜と支持体との接着性を向上させるために適宜接着助剤を用いることもできる。
【0039】
接着助剤としては、オキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの有機珪素化合物、あるいはアルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などのアルミニウムキレート化合物あるいはチタニウムビス(アセチルアセトネート)などのチタニウムキレート化合物などが好ましく用いられる。
【0040】
さらに、他の添加剤が基板との接着性、感度、耐熱性が大幅に低下しない範囲で含んでいても良い。
【0041】
次に本願発明の組成物の使用方法について説明をする。本願発明の組成物は化学線を用いた周知の微細加工技術でパターン加工が可能である。
【0042】
まず、本願発明の組成物を適当な支持体の上に塗布する。支持体の材質としては、例えば、金属、ガラス、半導体、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどの手段が可能である。塗布膜厚は塗布手段、組成物の固形分濃度、粘度によって調節することができるが、通常0.1〜150μmの範囲になるように塗布される。
【0044】
次にポリイミド前駆体を塗布した基板を乾燥して、ポリイミド前駆体組成物被膜を得る。乾燥は、オーブン、ホットプレート、赤外線などを利用し、50〜180℃の範囲で行うのが好ましく、60〜150℃の範囲で行うのがより好ましい。乾燥時間は1分〜数時間行うのが好ましい。
【0045】
次に、所望のパターンを有するマスクを用い、露光を行う。露光量としては50〜1000mJ/cm2の範囲が好ましい。特に好ましい範囲は100〜600mJ/cm2である。適当な増感剤を用いることによって、i線ステッパー、g線ステッパー、マスクアライナー、ミラープロジェクションなどの露光機を用いて露光が可能である。
【0046】
現像時のパターンの解像度が向上したり、現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク処理をする工程を取り入れても差し支えない。この温度としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜150℃の範囲がより好ましい。時間は10秒〜数時間が好ましい。この範囲を外れると、反応が進行しなかったり、全ての領域が溶解しなくなるなどの恐れがあるので注意を要する。
【0047】
ついで未照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフ・パターンを得る。現像液はポリイミド前駆体の構造に合わせて適当なものを選択することができるが、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエタノールアミンなどのアルカリ水溶液などを好ましく使用することができる。また、本組成物の溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを単独あるいはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、メチルカルビトール、エチルカルビトール、トルエン、キシレン、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、酢酸エチルなど、組成物の貧溶媒との混合液も好ましく使用することができる。
【0048】
現像は上記の現像液を塗膜面にそのまま、あるいは、霧状にして放射する、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。
【0049】
ついでリンス液により、現像によって形成したレリーフ・パターンを洗浄することが好ましい。リンス液としては有機溶媒でリンスをする場合、現像液との混和性の良いメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、酢酸エチルなどが好ましく用いられる。
【0050】
上記の処理によって得られたレリーフパターンのポリマーは耐熱性を有するポリイミド系ポリマーの前駆体であり、加熱処理によりイミド環やその他の環状構造を有する耐熱性ポリマーとなる。熱処理温度としては、135〜500℃で行うのが好ましく、300〜450℃で行うのがより好ましい。熱処理は通常、段階的にあるいは連続的に昇温しながら行われる。
【0051】
【実施例】
以下実施例により本願発明を具体的に説明する。本願発明の範囲はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。なお、各実施例中の特性は以下の要領で決定した。
【0052】
(1)R1およびR2中のフッ素含有率
R1およびR2中のフッ素含有率は、一般式(1)で示されるR1およびR2中のフッ素含有量をR1およびR2の分子量で除した値であり、下記の式に従って求められる。
【0053】
[F]=(Nfc+Nfa)*19/(Mc+Ma)
上記式中、Nfcは一般式(1)で表される構造単位においてR1に含まれるフッ素原子の数を表し、R1が2種類以上の場合は各成分のR1に含まれるフッ素原子の数と使用モル比から計算される平均フッ素原子数を用いる。NfaはR2に含まれるフッ素原子の数を表し、R2が2種類以上の場合は各成分のR2に含まれるフッ素原子の数と使用モル比から計算される平均フッ素原子数を用いる。McはR1の分子量を表し、原料として用いたテトラカルボン酸無水物の分子量から4個の炭素と6個の酸素の原子量の和144を減じて求める。R1が2種類以上の場合は各成分のR1の分子量と使用モル比から計算される平均分子量を用いる。MaはR2の分子量を表し、原料として用いたジアミンの分子量から2個の窒素と4個の水素の原子量の和32を減じて求める。R2が2種類以上の場合は各成分のR2の分子量と使用モル比から計算される平均分子量を用いる。
【0054】
(2)コーティング膜中のフッ素含有率
ポリイミドコーティング剤組成物をシリコンウエハー上に所定条件でスピンコート、プリベークを行った後に、オーブン中で窒素雰囲気下、350℃、1時間加熱処理し、厚さ約10ミクロンのポリイミド硬化膜を得た。ポリイミド硬化膜をシリコンウエハーから単離した後、燃焼、アルカリ処理し、イオン電極法によってポリイミド硬化膜中のフッ素含有量を求めた。
【0055】
(3)無機膜との密着性
厚さ約3000オングストロームの窒化膜を表面に有するシリコンウエハー上に各実施例に示した手順でポリイミド膜を形成させた。剃刀を用い、ポリイミド膜に1mm間隔で碁盤目状に切り込みを入れ、セロファンテープで引き剥がし試験を行った。この試料をプレッシャークッカー(1.5気圧、120℃、100%RH、以下PCTと略称)にて100時間加熱加湿処理処理し、上記と同様の引き剥がし試験を行った。
【0056】
(4)封止樹脂との密着性
ベアシリコンウエハー上に各実施例に示した手順でポリイミド膜を形成させた。ポリイミド膜上に東レ(株)製封止樹脂TM20−100を高さ5mm、直径5mmの円柱状にトランスファー成形によって形成した。テンシロン(東洋ボールドウィン(株))を用い、封止樹脂がポリイミド膜から引き剥がされる際の強度を求めた。封止樹脂の付いたポリイミド膜をPCT(1.5気圧、120℃、100%RH)にて100時間加熱加湿処理処理した後に上記と同様の引き剥がし試験を行い、PCT処理をしない場合の強度と比較した。
【0057】
合成例、表1においてポリイミド原料の略号を下記の要領で使用する。
【0058】
BAPS ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
SiDA ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
6FDA 3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物
PMDA 無水ピロメリット酸
HFBAPP ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン
3,4’−DAE
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BTDA 3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
TFMB 2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル
DAE 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
合成例1
窒素気流下、1リットルの4つ口フラスコ内でBAPS41.1g、SiDA1.2gをN−メチル−2−ピロリドン274.4gに20℃で溶解させた。その後、6FDA8.9g、PMDA17.4gを加え、55℃で4時間反応させた。得られたポリイミド前駆体組成物をワニスAとした。ワニスAの仕込み組成、R1およびR2中のフッ素含有率、ポリイミドコーティング膜中のフッ素含有率を表1及び表2に示す。
【0059】
合成例2
窒素気流下、1リットルの4つ口フラスコ内でHFBAPP10.4g、3,4’−DAE15.0g、SiDA1.2gをN−メチル−2−ピロリドン133.5gに20℃で溶解させた。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物30.6gを加え、55℃で4時間反応させた。その後20℃に冷却し、N−フェニルグリシン2.9g、エチレングリコールジメタクリレート5.7g、メタクリル酸ジエチルアミノエチル36.3g、N−メチル−2−ピロリドン50.4gを加えて感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスBとした。ワニスBの仕込み組成、R1およびR2中のフッ素含有率、ポリイミドコーティング膜中のフッ素含有率を表1及び表2に示す。
【0060】
合成例3
窒素気流下、1リットルの4つ口フラスコ内でBTDA32.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート27.0gをγ−ブチロラクトン100mlに溶解し、氷浴下、ピリジン17.0g滴下した。その後室温で12時間攪拌を続けた。ジシクロヘキシルカルボジイミド41.2gとγ−ブチロラクトン60mlの混合物を氷浴下添加し、TFMB4.8g、DAE16.0g、γ−ブチロラクトン100mlの混合液を添加した。氷浴下6時間攪拌した後、メタノール10mlを加え、さらに1時間攪拌の後、反応液をろ過し、炉液をエタノール10l中に添加した。沈殿物をろ過によって回収した後、真空乾燥した。このようして得られたポリイミド前駆体20.0g、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム0.8g、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール0.12g、1−フェニルー5−メルカプトー1,2,3,4−テトラゾール0.2g、2−ニトロソナフトール0.01g、トリメチロールプロパントリアクリレート1.2g、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4−ジカルボン酸0.4gをN−メチル−2−ピロリドン27.3gに溶解して、感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスCとした。ワニスCの仕込み組成、R1およびR2中のフッ素含有率、ポリイミドコーティング膜中のフッ素含有率を表1及び表2に示す。
【0061】
合成例4
6FDAを1.3g、PMDAを20.1g、N−メチル−2−ピロリドンを254.8g用いる他は合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物を作成し、ワニスDとした。ワニスDの仕込み組成、R1およびR2中のフッ素含有率、ポリイミドコーティング膜中のフッ素含有率を表1及び表2に示す。
【0062】
合成例5
窒素気流下、1リットルの4つ口フラスコ内でHFBAPP20.7g、3,4’−DAE11.0g、SiDA1.2gをN−メチル−2−ピロリドン148.3gに20℃で溶解させた。その後、BTDA30.6gを加え、55℃で4時間反応させた。その後20℃に冷却し、N−フェニルグリシン3.2g、エチレングリコールジメタクリレート6.4g、メタクリル酸ジエチルアミノエチル36.1g、N−メチル−2−ピロリドン60.3gを加えて感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスEとした。ワニスEの仕込み組成、R1およびR2中のフッ素含有率、ポリイミドコーティング膜中のフッ素含有率を表1及び表2に示す。
【0063】
合成例6
窒素気流下、1リットルの4つ口フラスコ内でBTDA32.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート27.0gをγ−ブチロラクトン100mlに溶解し、氷浴下、ピリジン17.0g滴下した。その後室温で12時間攪拌を続けた。ジシクロヘキシルカルボジイミド41.2gとγ−ブチロラクトン60mlの混合物を氷浴下添加し、TFMB30.4g、γ−ブチロラクトン100mlの混合液を添加した。氷浴下6時間攪拌した後、メタノール10mlを加え、さらに1時間攪拌の後、反応液をろ過し、炉液をエタノール10l中に添加した。沈殿物をろ過によって回収した後、真空乾燥した。このようして得られたポリイミド前駆体20.0g、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム0.8g、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール0.12g、1−フェニルー5−メルカプトー1,2,3,4−テトラゾール0.2g、2−ニトロソナフトール0.01g、トリメチロールプロパントリアクリレート1.2g、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4−ジカルボン酸0.4gをN−メチル−2−ピロリドン27.3gに溶解して、感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスFとした。ワニスFの仕込み組成、R1およびR2中のフッ素含有率、ポリイミドコーティング膜中のフッ素含有率を表1及び表2に示す。
【0064】
比較例1
ワニスAをスピンナーでシリコンウエハー上に回転塗布し、次いで真空吸着式のホットプレート(大日本スクリーン(株)製SCW636型)を用いて80℃で2分、100℃で2分乾燥を行いプリベーク膜を作成した。このプリベーク膜の膜厚は10μmであった。この後、窒素雰囲気下で140℃で30分、350℃で60分の熱処理をした。得られたポリイミド膜の無機膜に対する密着性は表2に示す通り良好であり、封止樹脂に対する密着強度も高く、PCT処理後も強度の低下幅は小さかった。
【0065】
実施例
ワニスBを比較例1と同様に回転塗布、乾燥を行い、プリベーク膜を作成した。このプリベーク膜の膜厚は10μmであった。この後、窒素雰囲気下で140℃で30分、350℃で60分の熱処理をした。得られたポリイミド膜の無機膜に対する密着性は表2に示す通り良好であり、封止樹脂に対する密着強度も高く、PCT処理後も強度の低下幅は小さかった。
【0066】
上記操作と同様にして得られたプリベーク膜をi線ステッパー(ニコン(株)製NSR−1755I7A)によって400mJ/cm2の露光量で露光を行った。ホットプレートで80℃1分間のベークを行った後、N−メチルピロリドン(70部)とキシレン(30部)の混合溶媒を用い、スプレー・パドル現像を行った。次いでイソプロピルアルコールで20秒間リンスし、スピンナーで回転乾燥した。この後、140℃で30分、350℃で60分熱処理し、光学顕微鏡を用いてパターンを観察したところ、5μmの解像度を有する良好なパターンを示した。
【0067】
比較例2
ワニスCを比較例1と同様に回転塗布、乾燥を行い、プリベーク膜を作成した。このプリベーク膜の膜厚は10μmであった。この後、窒素雰囲気下で140℃で30分、350℃で60分の熱処理をした。得られたポリイミド膜の無機膜に対する密着性は表2に示す通り良好であり、封止樹脂に対する密着強度も高く、PCT処理後も強度の低下幅は小さかった。
【0068】
上記操作と同様にして得られたプリベーク膜をi線ステッパーによって500mJ/cm2の露光量で露光を行った。ホットプレートで80℃1分間のベークを行った後、シクロペンタノンを用い、スプレー現像を行った。次いでプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで20秒間リンスし、スピンナーで回転乾燥した。この後、140℃で30分、350℃で60分熱処理し、光学顕微鏡を用いてパターンを観察したところ、10μmの解像度を有する良好なパターンを示した。
【0069】
比較例
ワニスDを比較例1と同様に回転塗布、乾燥を行い、プリベーク膜を作成した。このプリベーク膜の膜厚は10μmであった。この後、窒素雰囲気下で140℃で30分、350℃で60分の熱処理をした。得られたポリイミド膜の無機膜に対する密着性は表2に示す通り良好であり、封止樹脂に対する初期の密着強度は高かったが、PCT処理後の強度の低下幅が大きかった。
【0070】
比較例
ワニスEを実施例と同様に回転塗布、乾燥を行い、プリベーク膜を作成した。このプリベーク膜の膜厚は10μmであった。この後、窒素雰囲気下で140℃で30分、350℃で60分の熱処理をした。得られたポリイミド膜の無機膜に対する密着性は表2に示す通り良好であったが、封止樹脂に対する密着強度がPCT処理の有無に関わらず低かった。
【0071】
比較例
ワニスFを比較例2と同様に回転塗布、乾燥を行い、プリベーク膜を作成した。このプリベーク膜の膜厚は10μmであった。この後、窒素雰囲気下で140℃で30分、350℃で60分の熱処理をした。得られたポリイミド膜の無機膜に対する密着性は表2に示す通り不良であり、封止樹脂に対する密着強度もPCT処理の有無に関わらず低かった。
【0072】
【表1】
Figure 0003855365
【表2】
Figure 0003855365
【0073】
【発明の効果】
本願発明によれば加熱加湿処理による密着性低下の問題を著しく改善したポリイミドコーティング剤組成物を得ることができる。

Claims (8)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003855365
    で表される構造単位を主成分とし、R1およびR2中のフッ素含有率が1.0〜7.0%であり、R2がビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの残基を含むポリイミド前駆体を必須成分とすることを特徴とするポリイミドコーティング剤組成物。
    (R1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する4価の有機基、R2は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基、R3およびR4は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または、炭素数1〜30の有機基を表す。R3、R4は同じでも異なっていても良い)
  2. 一般式(1)におけるR2がさらにビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンの残基を含むことを特徴とする請求項1記載のポリイミドコーティング剤組成物。
  3. 一般式(1)においてR3およびR4が水素であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドコーティング剤組成物。
  4. 該組成物中に、エチレン性不飽和二重結合及びアミノ基を含む一般式(2)
    Figure 0003855365
    で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1記載のポリイミドコーティング剤組成物。
    (R5、R6、R7は炭素数1〜30の有機基であり、うち、少なくとも1つはエチレン性不飽和二重結合を含む)
  5. 該組成物中に、光開始剤および/または光増感剤を含有することを特徴とする請求項1記載のポリイミドコーティング剤組成物。
  6. 一般式(1)
    Figure 0003855365
    で表される構造単位を主成分とし、R2がビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの残基を含むポリイミド前駆体を必須成分とする組成物から得られ、かつフッ素含有率が0.8〜6.0%であるすることを特徴とするポリイミドコーティング膜。
    (R1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する4価の有機基、R2は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基、R3およびR4は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または、炭素数1〜30の有機基を表す。R3、R4は同じでも異なっていても良い)
  7. 一般式(1)におけるR2がさらにビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンの残基を含むことを特徴とする請求項6記載のポリイミドコーティング膜。
  8. 請求項6記載のポリイミドコーティング膜を保護膜として有する半導体。
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