JPH10301281A - 感光性ポリイミド前駆体組成物 - Google Patents

感光性ポリイミド前駆体組成物

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JPH10301281A
JPH10301281A JP4361798A JP4361798A JPH10301281A JP H10301281 A JPH10301281 A JP H10301281A JP 4361798 A JP4361798 A JP 4361798A JP 4361798 A JP4361798 A JP 4361798A JP H10301281 A JPH10301281 A JP H10301281A
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JP
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diamine
atom
mol
component
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JP4361798A
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Masao Tomikawa
真佐夫 富川
Toshio Yoshimura
利夫 吉村
Yasuo Miura
康男 三浦
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水銀灯のi線でもg線でも露光可能な感光性ポ
リイミド前駆体を提供する。 【解決手段】(A)(a)酸2無水物の平均した電子親
和力が1.40eV以上2.05eV以下である酸2無
水物であり、かつ酸2無水物成分が3,3´,4,4´
−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸2無水物を酸2
無水物成分全体の50モル%以下含有し、(b)アミノ
基よりオルト位の位置に炭素数1から10までの有機
基、フルオロ有機基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子
またはヨウ素原子を有する芳香族ジアミンを、ジアミン
成分全体の20モル%以上70モル%以下含有し、かつ
全ジアミン成分を平均したイオン化ポテンシャルが7.
15eV以上7.45eV以下であるジアミン成分から
構成され、さらに(c)前記全ジアミン成分を平均した
イオン化ポテンシャルより酸2無水物の平均した電子親
和力を引いた差が5.45eV以上5.85eV以下と
なるよう構成されたポリマーと、(B)増感剤を含有す
ることを特徴とする感光性ポリイミド前駆体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水銀灯の輝線のi
線、g線のどちらでも露光可能なネガ型の感光性ポリイ
ミド前駆体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】露光した部分が現像により残るネガ型の
感光性ポリイミド前駆体組成物としては次のものが知ら
れていた。 (a)ポリアミド酸に化学線により2量化又は重合可能
な炭素−炭素二重結合およびアミノ基又はその四級化塩
を添加した組成物(例えば特公昭59−52822号公
報)。
【0003】(b)ポリアミド酸にアクリルアミド類を
添加した組成物(例えば特開平3−170555号公
報)。
【0004】(c)炭素−炭素二重結合基を有するポリ
イミド前駆体と、特定のオキシム化合物と、増感剤を含
有してなる組成物(例えば特開昭61−118423号
公報、特開昭62−184056号公報、特開昭62−
273259号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかるこれらの従来の
先行技術は、i線露光を行うと光線透過率が低いため
に、基板付近で光反応が進行せず逆テ−パ−が生じる欠
点があった。また、i線露光用に開発された感光性ポリ
イミド前駆体(例えば、特開平6−342211号公
報、特開平7−5688号公報、特開平7−12092
1号公報)では、g線の光線透過率が大き過ぎるため
に、g線露光では光エネルギ−が十分に利用されず、感
度が大幅に低下する欠点があった。
【0006】また、芳香族ジアミンのアミノ基よりオル
ト位にアルキル基を有したものと3,3´,4,4´−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物より構成された
溶剤可溶性ポリイミドは、それ自体で感光性があること
が報告されている(例えば、J.Pfeifer and O. Rohde,
Proceeding of Second International Conference onPo
lyimides, 130-150 (1985)。しかし、このものでは、得
られるポリイミド膜の耐溶剤性が悪いという欠点があっ
た。
【0007】本発明は、このような欠点を解決し、水銀
灯のi線でもg線でも露光可能な感光性ポリイミド前駆
体を提供するため、多数の感光性ポリイミド前駆体を合
成し、そのポリイミド前駆体を構成する酸無水物の電子
親和力とジアミンのイオン化ポテンシャルとの間に一定
の関係を満足するポリイミド前駆体を使用することで目
的性能を満足することを見出だし本発明に至ったもので
ある。
【0008】本発明は、かかる問題を解決せしめ、水銀
灯の輝線のi線にもg線においても実用的な感度で露
光、現像可能な感光性ポリイミド前駆体組成物を提供す
ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
(A)(a)酸2無水物の平均した電子親和力が1.4
0eV以上2.05eV以下である酸2無水物であり、
かつ酸2無水物成分が3,3´,4,4´−ジフェニル
スルホンテトラカルボン酸2無水物を酸2無水物成分全
体の50モル%以下含有し、(b)アミノ基よりオルト
位の位置に炭素数1から10までの有機基、フルオロ有
機基、塩素原子、フッ素原子または臭素原子を有する芳
香族ジアミンを、ジアミン成分全体の20モル%以上7
0モル%以下含有し、かつ全ジアミン成分を平均したイ
オン化ポテンシャルが7.15eV以上7.45eV以
下であるジアミン成分から構成され、さらに(c)前記
全ジアミン成分を平均したイオン化ポテンシャルより酸
2無水物の平均した電子親和力を引いた差が5.45e
V以上5.85eV以下となるよう構成された一般式
(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーと、
(B)増感剤を含有することを特徴とする感光性ポリイ
ミド前駆体組成物により達成される。
【0010】
【化4】 (式(1)中、R1は少なくとも2個以上の炭素原子を
有する3価または4価の酸残基を示し、R2は次式
(2)または(3)で表される構造を有するジアミン残
基から選ばれた成分が少なくともR2成分全体の50モ
ル%以上を占め、かつその他のR2成分は、結合手より
オルト位の位置に水素原子以外の置換基を含まない芳香
族ジアミン残基か、あるいは少なくとも2個以上の炭素
原子を有する2価の脂肪族ジアミン残基を示し、R
3は、−OR4、−NHR4、−O-+4567から
選ばれた基を示す。ただし、R4は少なくとも1種のエ
チレン性不飽和結合を有する基、R5、R6、R7はそれ
ぞれ水素原子または炭素数1から10までの炭化水素基
を表す。nは1または2である。)
【化5】 (式(2)および(3)においてR8,R9,R12はそれ
ぞれ炭素数1から10までの有機基、フルオロ有機基、
塩素原子、フッ素原子、臭素原子またはヨウ素原子を有
する基を示し、R10,R11,R13,R14はそれぞれ水素
原子、または炭素数1から10までの有機基、フルオロ
有機基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子またはヨウ素
原子を有する基を示す。また、式(2)においてYは結
合,−O−,−S−、−SO2−,−SO−,−CH
2−、−CF2−,−CO−,−C(CH32−および−
C(CF32−並びに次式(4)〜(8)で表される基
から選ばれた結合基を示す。)
【化6】
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明において使用するポリマーは上記式(1)で表され
る構造単位を主成分とするポリマーとは、加熱あるいは
適当な触媒により、イミド環や、その他の環状構造を有
するポリマー(以下「ポリイミド系ポリマー」という)
となり得るものである。
【0012】上記式(1)中、R1は酸2無水物の酸残
基を表しており、この酸2無水物の形で芳香族環を含有
し、かつ、炭素数6〜30の3価または4価の酸残基で
あることが好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェ
ニル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルエーテル
基、ナフチル基、ヘキサフルオロジフェニルプロパン
基、ジフェニルプロパン基、ビス(フェノキシフェニ
ル)プロパン基、ベンゾフェノン基などが挙げられる
が、該酸無水物の平均した電子親和力が1.40eV以
上で2.05eV以下であるものであればこれらに限定
されない。
【0013】本発明における、酸2無水物の電子親和力
は、V.M.Svetlichnyi,K.K.Kalnin´sh,V.V.Kudryavtse
v, and M.M.Kotton, Dokl.Akad.Nauk.,237,612-615 (19
77)に記載されている。この範囲にはいる酸2無水物と
しては、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸2無水物(電子親和力(以後、Eaと略す)=
1.55eV)、3,3´,4,4´−ジフェニルスル
ホンテトラカルボン酸2無水物(Ea=1.57e
V)、無水ピロメリット酸(Ea=1.90eV)、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラルボン酸2無水
物(Ea=1.38eV)、3,3’,4,4’−ジフ
ェニルエーテルテトラカルボン酸2無水物(Ea=1.
30eV)などがある。この中で3,3´,4,4´−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸2無水物を使用す
る場合、このものは酸成分の中で全体の50モル%以下
にすることが必要である。この範囲を外れると溶媒であ
るN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などに接触し
た場合にクラックが入るなどの問題が生じる恐れがあ
る。また、酸無水物成分を2種類以上使用する場合の電
子親和力はそれらの酸無水物の加重平均を用いれば良
い。例えば、無水ピロメリット酸(Ea=1.90e
V)50モル%と3,3´,4,4´−ビフェニルテト
ラカルボン酸2無水物(Ea=1.38eV)50モル
%の組み合わせで使用する場合のEaは1.90×0.
5+1.38×0.5=1.64eVとなる。また、E
aが不明の酸無水物を使用する場合、酸無水物の炭素1
3−核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定し、カルボ
ニル基のケミカルシフト(CCS)よりEaを推定する
ことができる。この場合のEaとCCSとの関係は、 Ea=-0.379×CCS+62.90 となる。この場合、好ましい範囲は161.0ppmか
ら162.5ppmとなる。
【0014】電子親和力が1.40eVより小さい(化
学シフトが162.5ppmより大きい)とポリマーの
吸収が小さくなるために、g線領域にポリマーの吸収が
小さくなり過ぎるため、光エネルギーを有効に利用する
ことが出来ないため、感度が低下し、また、ジアミン成
分の反応性が低下するために得られるポリマーの分子量
が小さくなるために好ましくない。また、電子親和力が
2.05eVより大きい(化学シフトが161.0pp
m未満)場合、i線での光線透過率が小さくなり過ぎる
ため、基板付近に光線が届かず光反応が起こらず、得ら
れるパターンは逆テーパー状になる。
【0015】また、1から10モル%の範囲で他の酸無
水物を共重合成分として変性することも可能である。こ
のようなものとして、脂肪族の酸無水物であるシクロブ
タンテトラカルボン酸2無水物、シクロペンタンテトラ
カルボン酸2無水物、ブタンテトラカルボン酸2無水物
などと、芳香族酸無水物である、3,3´,4,4´−
ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸2無水物、3,3
´,4,4´−ビフェニルヘキサフルオロプロパンテト
ラカルボン酸2無水物などを挙げることができる。本発
明の感光性ポリイミド前駆体組成物を構成している酸成
分の50モル%以上が、3,3´,4,4´−ジフェニ
ルスルホンテトラカルボン酸2無水物、3,3´,4,
4´−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸2無水物、
あるいはこれらの混合物となると、熱処理によりイミド
化した後の耐薬品性が低下し、例えばN−メチル−2−
ピロリドン(NMP)などの極性有機溶媒と接触した場
合にポリイミド膜にクラックなどが入るために好ましく
ない。
【0016】上記式(1)中、R2はジアミンの構造成
分を表しており、アミノ基よりオルト位に水素原子以外
の置換基が存在しない場合、酸無水物成分とジアミン成
分との間に電荷移動錯体を形成するが、この電荷移動錯
体の吸収がポリイミド前駆体の吸収を決定している。
【0017】本発明者らは、ジアミンの構造により電荷
移動錯体の形成に違いがあることを見出だした。本発明
においては、アミノ基よりオルト位の位置に炭素数1か
ら10までの有機基、フルオロ有機基、塩素原子、フッ
素原子、臭素原子またはヨウ素原子を有する芳香族ジア
ミンを含有せしめることが重要である。上記式(2)お
よび(3)において、R8〜R11のうち1つおよびR12
〜R14のうち1つは次式で表される基を示す。
【0018】
【化7】 (各式中,nは1〜10の数、mは2〜21の数、pは
1〜21の数、sは1〜10の数を示す。)。
【0019】すなわち、上記式(2)または(3)で表
わされる構造のジアミンを主たるジアミン成分に用いる
と、ジアミンのアミノ基のオルト位にある置換基の立体
障害のため、酸無水物成分とジアミン成分の間での電荷
移動が禁制になる。このため、ポリイミド前駆体の電荷
移動錯体の形成が著しく妨げられ、紫外領域の吸収は比
較的小さなものになる。よって、全てのジアミン成分に
上記式(2)または(3)で表される構造のジアミンを
用いるのは、感度が低下する問題があり好ましくなく、
ジアミン成分全体の20〜70モル%含まれることが必
要である。より好ましくは、30から50モル%であ
る。また、上記式(2)または(3)で表されるジアミ
ンであっても、イオン化ポテンシャルが7.15eV未
満のものでは、i線領域に大きな吸収が生じ、i線露光
時に光が基板付近まで到達せず、逆テーパー状のパター
ンとなるので好ましくない。イオン化ポテンシャルが
7.45eVを越えると、電荷移動錯体の吸収が小さく
なり、特にg線露光での感度が大幅に低下する問題があ
るので好ましくない。ジアミンのイオン化ポテンシャル
でより好ましい範囲は、7.15eVから7.45eV
である。さらに好ましくは、7.20eVから7.35
eVの範囲である。
【0020】このようなジアミンのイオン化ポテンシャ
ルについては、幾つかについて、V.V.Kudryavtsev, and
V.M.Svetlichnyi, Zh.Org.Khim.,17,1682-1688 (1981)
に記載されている。例えば、パラフェニレンジアミンの
イオン化ポテンシャル(IP)は6.88eVであり、
メタフェニレンジアミンのIPは7.40eVであり、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのIPは7.2
2eV、ビス(4−アミノフェノキシ−4’−フェニ
ル)スルホンのIPは7.75eVと報告されている。
また、イオン化ポテンシャルについては水素1のNMR
スペクトルのケミカルシフトと対応関係にあり、アミノ
基の水素原子のケミカルシフトが大きくなる(低磁場シ
フト)ほどイオン化ポテンシャルが大きくなることが判
っている(S.Ando,T.Matsuura,S.Sasaki, J.Polym.Sci.
PartA,30,2285-2293(1992))。これによると、イオン化
ポテンシャル(IP)とケミカルシフト(CS)の関係
は、 IP=4.72×log(CS)+4.07 の関係が得られる。よって、イオン化ポテンシャルの不
明なジアミンについても水素1のNMRを測定し、ケミ
カルシフトを得ることで推定することができる。水素1
−NMRを用いたときの好ましい範囲は、4.38pp
mから5.20ppmの範囲である。
【0021】また、窒素15−NMRを用いて、アミノ
基の窒素原子のケミカルシフトよりジアミンのIPを推
定することもできる(S.Ando,T.Matsuura,S.Sasaki, J.
Polym.Sci.PartA,30,2285-2293(1992))。この場合のI
Pと窒素15−NMRでのケミカルシフト(NCS)と
の関係は、 IP=6.44×log(NCS)−4.17 となる。窒素15−NMRを用いたときの好ましい範囲
は、56.2ppmから63.7ppmの範囲である。
【0022】また本発明においては、全ジアミン成分を
平均したイオン化ポテンシャルより酸2無水物の平均し
た電子親和力を引いた差が5.45eV以上5.85e
V以下となるようポリマー(A)を構成する必要があ
る。
【0023】本発明における、ガラス転移温度(Tg)
は示差熱分析(DSC)装置により検出されるもので、
熱機械分析(TMA)や動的粘弾性により検出されるT
gより一般に20〜30℃低い温度となる。このTgが
250℃以下であると、ポリイミドの耐熱性が低下する
ために、封止樹脂に封入するとき、樹脂封止したLSI
をプリント基板などと半田で接続する場合にポリイミド
にクラックが発生するなどなどの問題があり好ましくな
い。また、Tgが400℃以上になるかDSC法でTg
が明確に現れない場合、ポリイミドと下地基板との接着
性が低くなるなどの問題が生じる。よって好ましいTg
の範囲は、250〜400℃であり、さらに好ましくは
270〜350℃である。
【0024】本発明においては、ポリマー(A)がさら
に(d)該ポリマーを構成する酸2無水物の炭素13に
よる核磁気共鳴スペクトル(NMR)のテトラメチルシ
ランを基準にした酸2無水物のカルボニル炭素の平均し
た化学シフトが161.0ppmから162.5ppm
であり、ジアミンの水素のNMRによるテトラメチルシ
ランを基準にした全ジアミン成分の平均したアミノ基の
水素の化学シフトの値が4.38ppm以上5.20p
pm以下でありかつ(e)前記ポリマーの250℃〜5
00℃の熱処理によるイミド化後のガラス転移温度が2
50℃以上であるポリマーであることが好ましい。
【0025】また、1から10モル%の範囲の他のジア
ミン成分を用いて変性することもできる。これらの例と
しては、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビ
スシクロヘキシルアミン、芳香族のパラフェニレンジア
ミン、ビス(アミノフェノキシ)スルホンなどを挙げる
ことができる。
【0026】さらに、基板との接着性を向上させるため
に、耐熱性を低下させない範囲でR1、R2にシロキサン
構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的に
は、ジアミン成分としてビス(3−アミノプロピル)テ
トラメチルジシロキサンなどを1〜10モル%共重合し
たものなどがあげられる。
【0027】R3は、−OR4、−NHR4、−ONR4
567から選ばれた基を示す。ただし、R4は少なくと
も1種のエチレン性不飽和結合を有する基、R5、R6
7はそれぞれ水素原子または炭素数1から10までの
炭化水素基を表している。
【0028】−COR3が−COOR4で表されるエステ
ル基である場合は、R3の好ましい具体例として、2−
アクリロイルオキシエチルカルボニル基、2−メタクロ
イルオキシエチルカルボニル基、2−(1−アクロイル
オキシ)プロピルオキシカルボニル基、2−(1−メタ
クロイルオキシ)プロピルオキシカルボニル基、2−メ
タクリルアミノエチルオキシカルボニル基、3−メタク
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニ
ル基、アクリルアミノメチルオキシカルボニル基などの
エチレン性不飽和結合を有する基を含むことが必要であ
るが、これ以外に、エトキシカルボニル基、2−メトキ
シエトキシカルボニル基などのエチレン性不飽和結合を
含まない基を全体の50モル%以下含有することも可能
である。
【0029】−COR3が−CONHR4で表されるアミ
ド基である場合、R3の好ましい具体例として、N−
(2−アクロイルオキシエチル)−アミノカルボニル
基、N−(2−メタクロイルオキシエチル)−アミノカ
ルボニル基などのエチレン性不飽和結合を含むことが必
要であるが、エチルアミノカルボニル基、N−(2−エ
トキシエチル)アミノカルボニル基などのエチレン性不
飽和結合を含まない基を全体の50モル%以下含有する
ことも可能である。
【0030】−COR3が−COO-+4567
表される置換アンモニウム付加塩型のカルボン酸残基で
ある場合、−COR3の好ましい具体例として、メタク
ロイルオキシエチル・トリメチルアンモニウム付加塩型
カルボン酸残基、アクロイルオキシエチル・ジメチルア
ンモニウム付加塩型カルボン酸残基、メタクロイルオキ
シエチル・ジメチルアンモニウム付加塩型カルボン酸残
基、ビニルピリジニウム付加塩型カルボン酸残基などの
エチレン性不飽和結合を含むことが必要であるが、これ
以外にR4567の全てが、水素あるいは炭化水素基
であるような基を全体の50モル%以下含有することも
可能である。さらに、ポリアミド酸やポリアミド酸の炭
素数1〜10までのアルキルエステル、ポリアミド酸の
炭素数1〜10までのアルキルアミドなどを全体の50
モル%以下含有することもできる。
【0031】さらに、不飽和2重結合を有したポリアミ
ド酸エステル、ポリアミド酸アミド、ポリアミド酸の置
換アンモニウム付加塩の中の全て、あるいは各々2種を
混合することも出来る。
【0032】ポリマー(A)は、R1、R2、R3がこれ
らのうち各々1種から構成されていても良いし、各々2
種以上から構成される共重合体であつてもよい。
【0033】ポリマー(A)は、上記式(1)で表され
る構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構
造単位との共重合体あるいはブレンド体でであっても良
い。その際、上記式(1)で表される構造単位を90モ
ル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいは
ブレンドに用いられる構造単位の種類および量は最終加
熱処理によって得られるポリイミド系ポリマの耐熱性を
損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0034】これらのポリアミド酸およびそのエステル
化合物は公知の方法によって合成される。すなわち、ポ
リアミド酸の場合はテトラカルボン酸二無水物とジアミ
ンを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピ
ロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ
−ブチロラクトン中で反応させることにより合成され
る。ポリアミド酸のエステル化合物は例えば、特開昭6
1−72022号公報、特開昭55−30207号公報
に記載されている方法などで合成される。
【0035】増感剤としては、芳香族2級または3級ア
ミン化合物、チオール化合物などを好ましく使用するこ
とができる。この好ましい具体例としては、N−フェニ
ルグリシン、ジエチルアミノ安息香酸エチル、ジエチル
アミノ安息香酸イソアミル、N−フェニルエタノールア
ミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−エチルア
ニリン、メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト
ベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−
1H−テトラゾールなどが挙げられる。感度向上の点か
らは、N−アリールグリシン化合物がとくに好ましい。
この化合物の例としては、N−フェニルグリシン、N−
(3−メトキシフェニル)グリシン、N−(4−ニトロ
フェニル)グリシン、N−(4−メトキシフェニル)グ
リシン、N−(3−ニトロフェニル)グリシン、N−ナ
フチルグリシン、N−フェニルグリシンのエチルエステ
ルなどが挙げられるがこれらに限定されない。また、芳
香族2級または3級アミン化合物とチオール化合物を併
用して使用することもできる。これらの化合物の添加量
はポリマーに対して、0.1から20重量%、さらに好
ましくは、0.2から10重量%である。
【0036】さらにg線露光に対する感度を向上させる
ために、クマリン類を増感剤として使用しても良い。好
ましいクマリンの具体例としては、3−(4−メトキシ
ベンゾイルクマリン)、7−ジエチルアミノ−3−ベン
ゾイルクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メト
キシベンゾイルクマリン)、5,7−ジメトキシ−3−
(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルア
ミノ−3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)クマリ
ン、3,3´−カルボニルビスクマリン、3,3´−カ
ルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3´−カ
ルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、9−
(7−ジエチルアミノ−3−クマノイル)−1,2,
4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H[1]ベン
ゾピラノ[9,9a,1−gh]キノラジン−10−オ
ンなどが挙げられるがこれに限定されるわけではなく、
実際に水銀灯のg線である436nmに吸収をもつ化合
物であれば使用することができる。
【0037】さらに、ミヒラーケトン、フルオレノン、
ベンズアントロンなどの芳香族カルボニル化合物、2,
6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシク
ロヘキサノン、4−アジドベンザルアセトフェノンなど
のアジド化合物、3−[4−(ジメチルアミノ)フェニ
ル]−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、1−
(3−クロロフェニル)−5−[4−(ジメチルアミ
ノ)フェニル]−1,4−ペンタジエン−3−オンなど
のアミノ芳香族不飽和ケトン、1,3−ジフェニル−
1,2,3−プロパントリオン−2−(O−アセチル)
オキシム、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−
(O−メトキシカルボニル)オキシム、ビス(α−イソ
ニトロソプロピオフェノン)イソフタルなどのオキシム
類、チタノセン系などの有機金属錯体、メロシアニン色
素などが増感剤として有効であるが、これらに限定され
ない。また、これらの中より2種以上のものを併用して
用いても良い。これらの好ましい添加量は、ポリマーに
対して、0.1から20重量%、さらに好ましくは、
0.2から10重量%である。
【0038】本発明の組成物には、さらに光反応性モノ
マーとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメ
タクリレートなどのアクリルモノマー類をポリマー
(A)に対して1から20重量%添加しても良い。
【0039】上記のポリマー(A)、増感剤、その他添
加剤や光反応性モノマーを溶媒と混合することにより感
光性ポリイミド前駆体組成物を得ることができる。この
時に用いられる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリ
ドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラ
クロン、ジメチルアクリルアミドなどを主成分とする溶
媒が単独もしくは2種以上の混合物として好ましく用い
られるがこれらに限定されない。
【0040】また、必要に応じて上記感光性ポリイミド
前駆体組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で界面
活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなど
のアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチル
ケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどのエーテル類を混合しても良い。また、2酸化ケ
イ素、2酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミ
ドの粉末などを添加することもできる。
【0041】次に、本発明の感光性ポリイミド前駆体組
成物を用いてポリイミドパターンを形成する方法につい
て説明する。
【0042】本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を
基板上に塗布する。基板としてはシリコンウエハー、セ
ラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これ
らに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた
回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方
法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形
分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚
が、0.1から150μmになるように塗布される。
【0043】次に感光性ポリイミド前駆体組成物を塗布
した基板を乾燥して、感光性ポリイミド前駆体組成物皮
膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線な
どを使用し、50度から120度の範囲で1分から数時
間行うのが好ましい。
【0044】次に、この感光性ポリイミド前駆体組成物
皮膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線
を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては
紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明
では水銀灯のi線(365nm)とg線(436nm)
を用いるのが好ましい。
【0045】ポリイミドパターンを形成するには、露光
後、現像液を用いて未露光部を除去することによって達
成される。現像液としては、N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラク
ロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテートなどのエステル類、キシレンなどの炭化
水素類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブ
チルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、
水などを単独あるいは数種を組み合わせたものが好まし
く用いられる。現像後、エタノール、イソプロピルアル
コールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル
類などでリンスをする。
【0046】現像後、200度から500度の温度を加
えてポリイミド皮膜に変換する。このイミド化は温度を
選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的
に昇温しながら5分から5時間実施する。一例として
は、130度、200度、350度で各30分づつ熱処
理する。あるいは室温より400度まで2時間かけて直
線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0047】本発明による感光性ポリイミド前駆体組成
物により形成したポリイミド皮膜は、半導体のパッシベ
ーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配
線の層間絶縁膜などの用途に用いられる。
【0048】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を具体的に説
明する。実施例中の物性の測定は次の方法によって行っ
た。
【0049】特性の測定方法 ガラス転移温度の測定 感光性ポリイミド前駆体のワニスを350度の熱処理後
に5μmになるようにシリコンウエハにスピンコートし
た。このウエハを大日本スクリーン社製SKWー636
のホットプレートを用いて100度で3分熱処理した。
このウエハを窒素流量20l/分のオーブンに入れ、室
温より140度に昇温し、30分この温度で熱処理し
た。さらに1時間かけて350度に昇温して、60分熱
処理した後、オーブンの加熱を止め200度に温度が低
下するまで放置した。200度以下になった後、中から
ウエハを取りだした。このウエハの周りに切目を付け
て、45%のフッ化水素酸に3分間漬けた。これによ
り、ポリイミドフィルムをシリコンウエハより剥離し
た。このポリイミドフィルム10mgを秤量し、直径2
mmのアルミパンに入れアルミ製のふたをした。これを
島津製熱示差分析装置DSC−50に入れて、最初30
0度で10分間アニール処理をして、その後急激に10
0度まで冷却し、次いで40度/分で昇温して400度
にし、その間に測定を行った。再度、冷却して同様に4
0度/分で測定した。
【0050】耐薬品性 ポリイミド前駆体膜のパターンをシリコンウエハの上に
以下の実施例に従い形成した。このウエハを窒素流量2
0l/分のオーブンに入れ、室温より140度に昇温
し、30分この温度で熱処理した。さらに1時間かけて
350度に昇温して、60分熱処理した後、オーブンの
加熱を止め200度に温度が低下するまで放置した。2
00度以下になった後、中からウエハを取りだした。こ
のウエハにN−メチル−2−ピロリドンを1滴落として
光学顕微鏡で、そのまわりを観察してクラックの発生の
有無を調べた。ここで、クラックが発生すると耐薬品性
に問題があることになる。
【0051】膜厚の測定 大日本スクリーン社製光学式膜厚測定装置ラムダエース
を用いて、屈折率1.64で感光性ポリイミド前駆体の
膜厚を測定した。また、現像前の膜厚(T1)と現像後
の膜厚(T2)がT2/T1(残膜率)<0.6である
場合、このものは感度が不良であるとした。
【0052】パターンの断面の観察 現像終了後のウエハを5mm×10mm程度にポリイミ
ドのパターンを痛めないように切断した。この試料を走
査型電子顕微鏡(SEM)の試料台に取り付け、金−パ
ラジウムを蒸着してSEM用の試料を作成した。この試
料を明石ビームテクノロジー社製走査型電子顕微鏡AB
T−40を用いて倍率2000倍で感光性ポリイミド前
駆体のパターンの断面を観察した。ここで、垂直あるい
は60度〜90度の角度でパターンが形成されている場
合を良好とした。90度以上の角度でパターンが形成さ
れるものをオーバーハングがあり問題であり、60度以
下の角度でパターンが形成されるものは膜減り量が大き
いか解像度が悪いため問題がある。
【0053】以下、ポリマー(A)の合成法方を具体的
に説明する。ここで使用された酸無水物の電子親和力と
13C−NMRの化学シフトの値、およびジアミノイオ
ン化ポテンシャルと1H−NMRのアミノ基の化学シフ
トの値を表1および表2におのおの示した。
【0054】
【表1】
【化8】
【化9】
【0055】
【表2】
【化10】
【化11】
【化12】
【0056】合成例1 窒素気流下、1lの4つ口フラスコに、ビス(3,5−
ジメチル−4−アミノフェニル)メタン(MDX)(水
素1−NMRによる化学シフト イオン化ポテンシャル
(IP)=7.09eV)9.01g(0.045モ
ル)と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3DA
E)(水素1−NMRによるケミカルシフト=4.7
8、4.97ppm、これより推定されるIP=7.3
2eV)13.7g(0.03モル)と1、3−ビス
(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.
2g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン
(NMP)100gに入れ溶解させた(ジアミン成分の
平均IP=7.21eV)。ここに無水ピロメリット酸
(PMDA)(電子親和力(以後、Eaと略す)=1.
90eV)10.47g(0.048モル)と3,3
´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物
(BPDA)(Ea=1.38eV)14.12g
(0.048モル)(酸無水物成分の平均Ea=1.6
4eV))を加え、室温で6時間反応を行いポリアミド
酸(ポリイミド前駆体)を得た(このEaとIPの差は
5.79eV)。この溶液に、N,N−ジエチルアミノ
エチルメタクリレ−ト(DEM)33g(0.18モ
ル)、N−フェニルジエタノールアミン(NDA)1.
25g、N−フェニルグリシン(NPG)1.25g、
クマリン7(コダック社製)0.5gを加え感光性ポリ
イミドのワニスAを得た。
【0057】このポリイミドのTgは285度であっ
た。耐薬品性は問題なかった。
【0058】合成例2 乾燥空気気流下、無水ピロメリット酸(PMDA)(E
a=1.90eV)10.9g(0.05モル)と3,
3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無
水物(BTDA)(Ea=1.55eV)16.1g
(0.05モル)(平均Ea=1.73eV)をガンマ
ブチロラクトン(GBL)200gに溶解させた(酸2
無水物成分の平均Ea=1.73eV)。ここに26g
の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(0.2モ
ル)、ピリジン14gを加えて50度で1時間反応を行
った。この溶液に氷冷下42.0gの温めて溶液状態に
したジシクロヘキシルカルボジイミド(0.2モル)を
15分かけてこの溶液に滴下した。さらにビス(3−メ
チル−5−エチル−4−アミノフェニル)メタン(ME
D)(推定IP=7.07eV)18.3g(0.06
モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4D
AE)(IP=7.22eV)4.00g(0.02モ
ル)、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)
スルホン(BAPS)(IP=7.75eV)8.65
g(0.02モル)をGBL100gに溶解させた溶液
(ジアミン成分の平均IP=7.23eV)を10分か
けて滴下した。この溶液を氷冷下3時間反応させ、次い
で50度で1時間反応させた。反応終了後、析出した尿
素化合物を濾過で除いた。濾液を3lの水に投入してポ
リアミドエステルの沈殿を生成した(このEaとIPの
差は5.50eV)。この沈殿を集めて、水とメタノー
ルで洗浄の後に真空乾燥機で50度で24時間乾燥し
た。このポリアミドエステルの粉体15gと0.75g
の2−メルカプトベンズイミダゾール、1gのトリメチ
ロールプロパントリアクリレート、2gのエチレングリ
コールジメタクリレート、0.03gのp−tert−
ブチルカテコール、0.5gのミヒラーケトン、0.5
gの3−メタクリロキシ−プロピル−ジメトキシシラ
ン、0.5gの1−フェニル−プロパンジオン2−(o
−ベンゾイル)オキシムを加えた感光性ポリイミドワニ
スBを得た。
【0059】このポリイミドのTgは295度であっ
た。耐薬品性も問題なかった。
【0060】合成例3 窒素気流下、1lの4つ口フラスコに2,5−ジメチル
−パラフェニレンジアミン(DPX)(1H−NMRに
よる化学シフト3.93ppm、IP=6.88eV)
5.19g(0.048モル)とBAPS(IP=7.
75eV)20.32g(0.047モル)と1,3−
ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
1.2g(0.005モル)をNMP100gに入れ溶
解させた(この平均IP=7.31eV)。ここにPM
DA(Ea=1.90eV)10.8g(0.050モ
ル)とBPDA(Ea=1.38eV)15.0g
(0.047モル)を加え(平均Eaは1.64e
V)、室温で6時間反応を行いポリアミド酸(ポリイミ
ド前駆体)を得た(このEaとIPの差は5.67e
V)。ここにグリシジルメタクリレート13gを加え、
室温で12時間反応させた。このワニスにエチレングリ
コールジメタクリレート5gとN−フェニルグリシン
2.5g、0.2gの3,3´−カルボニルビス(7−
ジエチルアミノクマリン)を加え、感光性ポリイミドの
ワニスCを得た。
【0061】このポリイミドのTgは305度であっ
た。耐薬品性も問題なかった。
【0062】合成例4 窒素気流下、1lの4つ口フラスコに3,3’−ビス
(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニ
ル(3TFMB)(1H−NMRによる化学シフト5.
63ppm、推定IP=7.40eV)5.95g
(0.055モル)と4,4’−ジアミノジフェニルエ
−テル(4DAE)(推定IP=7.22eV)8.0
1g(0.040モル)1,3−ビス(3−アミノプロ
ピル)テトラメチルジシロキサン1.2g(0.005
モル)をNMP100gに入れ溶解させた(平均IP=
7.32eV)。ここにBTDA(Ea=1.55e
V)30.93g(0.096モル)を加え、室温で6
時間反応を行いポリアミド酸(ポリイミド前駆体)を得
た(このEaとIPの差は5.77eV)。ここに15
gのN−メチロ−ルメタクリルアミド、エチレングリコ
ールジメタクリレート5gとN−フェニルグリシン2.
5g、0.2gの3,3´−カルボニルビス(7−ジエ
チルアミノクマリン)を加え、感光性ポリイミドのワニ
スDを得た。
【0063】このポリイミドのTgは305度であっ
た。耐薬品性は、問題がなかった。
【0064】実施例1 4インチシリコンウエハ上に、感光性ポリイミド前駆体
のワニスAをプリベーク後の膜厚が10μmとなるよう
に塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン社
製SKW−636)を用いて、100℃で3分プリベー
クすることにより、感光性ポリイミド前駆体膜を得た。
ついで、露光機(ニコン製g線ステッパNSR−150
5−g6E)に、パターンの切られたレチクルをセット
し、(露光量400mJ/cm2 (436nmの強度)でg
線露光を行った。同様の方法により露光機(ニコン製i
線ステッパNSR−1755−i7A)に、パターンの
切られたレチクルをセットし、露光量300mJ/cm
2 (365nmの強度)でg線露光を行った。
【0065】現像の直前に80度で1分の熱処理をホッ
トプレート(大日本スクリーン社製SKW−636)を
用いて行った。現像は、大日本スクリーン製造社製SK
W−636の現像装置を用い、100回転で現像液DV
−605(東レ製)を3秒間噴霧した。この後、60秒
静止し、次いで1000回転で5秒間現像液を噴霧、1
000回転で5秒間イソプロピルアルコールを噴霧して
リンス処理、3000回転で8秒振り切り乾燥した。
【0066】現像後のパターンを光学顕微鏡で目視した
結果、15ミクロンのホールが解像していた。また、残
膜率はi線露光で0.91、g線露光で0.85と良好
であり、現像後のパターンの形状もオーバーハングもな
く良好であった。
【0067】実施例2 6インチシリコンウエハ上に、感光性ポリイミド前駆体
のワニスBをプリベーク後の膜厚が10μmとなるよう
に塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン社
製SKW−636)を用いて、100℃で3分プリベー
クすることにより、感光性ポリイミド前駆体膜を得た。
ついで、露光機(ニコン社製g線ステッパーNSR−1
505−g6E)に、パターンの切られたレチクルをセ
ットし露光量400mJ/cm2 (436nmの強度)でg
線露光を行った。同様の方法により露光機(ニコン社製
i線スッテパ−NSR−1755−i7A)に、パター
ンの切られたレチクルをセットし、露光量200mJ/cm
2 (365nmの強度)でi線露光を行った。
【0068】現像は、大日本スクリーン製造社製SKW
−636の現像装置を用い、1000回転でNMPとキ
シレン(体積比7:3)の現像液を30秒間噴霧した。
この後、1000回転で5秒間乳酸エチルを噴霧してリ
ンス処理、3000回転で8秒振り切り乾燥した。
【0069】現像後のパターンを光学顕微鏡で目視した
結果、20ミクロンのホールが解像していた。また、残
膜率はi線露光で0.90、g線露光で0.85と良好
であり、現像後のパターンの形状もオ−バーハングもな
く良好であった。
【0070】実施例3 6インチシリコンウエハ上に、感光性ポリイミド前駆体
のワニスCをプリベーク後の膜厚が10μmとなるよう
に塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン製
造社製SKW−636)を用いて、100℃で3分プリ
ベークすることにより、感光性ポリイミド前駆体膜を得
た。ついで、露光機(ニコン社製g線ステッパ−NSR
−1505−g6E)に、パターンの切られたレチクル
をセットし露光量400mJ/cm2 (436nmの強度)
でg線露光を行った。同様の方法により露光機(ニコン
社製i線スッテパーNSR−1755−i7A)に、パ
ターンの切られたレチクルをセットし、露光量200mJ
/cm2 (365nmの強度)でi線露光を行った。
【0071】現像の直前に80度で1分の熱処理をホッ
トプレート(大日本スクリーン社製SKW−636)を
用いて行った。現像は、大日本スクリーン製造社製SK
W−636の現像装置を用い、100回転でNMPとエ
タノール(体積比8:2)の現像液を3秒間噴霧した。
この後、90秒静止し、次いで1000回転で5秒間現
像液を噴霧、1000回転で5秒間メチルイソブチルケ
トン処理してリンス、3000回転で8秒振り切り乾燥
した。
【0072】現像後のパターンを光学顕微鏡で目視した
結果、20ミクロンのホールが解像していた。また、残
膜率はi線露光で0.87、g線露光で0.77と良好
であり、現像後のパターンの形状もオーバーハングもな
く良好であった。
【0073】実施例4 4インチシリコンウエハ上に、感光性ポリイミド前駆体
のワニスDをプリベーク後の膜厚が10μmとなるよう
に塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン製
造社製SKW−636)を用いて、100℃で3分プリ
ベークすることにより、感光性ポリイミド前駆体膜を得
た。ついで、露光機(キャノン社製PLA501F)
に、パターンの切られたマスクをセットし、ケンコーガ
ラス製U−350フィルター(透過光線のピークは35
0nmで、ここではi線(365nm)を選択的に露
光)(露光量300mJ/cm2 (365nmの強度)でi
線露光を行った。同様の方法により露光機(キャノン社
製PLA501F)に、パターンの切られたマスクをセ
ットし、東芝ガラス製Y−42フィルター(420nm
以下の光線カット、ここではg線(436nm)を選択
的に露光)(露光量400mJ/cm2 (436nmの強
度)でg線露光を行った。
【0074】現像の直前に80度で1分の熱処理をホッ
トプレート(大日本スクリーン社製SKW−636)を
用いて行った。現像は、大日本スクリーン製造社製SK
W−636の現像装置を用い、100回転で現像液DV
−605(東レ製)を3秒間噴霧した。この後、60秒
静止し、次いで1000回転で5秒間現像液を噴霧、1
000回転で5秒間イソプロピルアルコールを噴霧して
リンス処理、3000回転で8秒振り切り乾燥した。
【0075】現像後のパターンを光学顕微鏡で目視した
結果、10ミクロンのホールが解像していた。また、残
膜率はi線露光で0.90、g線露光で0.82と良好
であり、現像後のパターンの形状もオーバーハングもな
く良好であった。
【0076】実施例5〜20、比較例1〜8 表3に示すごとく感光性ポリイミド前駆体のワニスを作
成した。これを合成例1の方法で合成したものは実施例
1の方法で、合成例2の方法で合成したものは実施例2
の方法で、合成例3の方法で合成したものは実施例3の
方法で、合成例4の方法で合成したものは実施例4の方
法にてパターン加工を行い、特性を調べた。結果を表4
に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、水銀灯のi線でもg線
でも露光可能な感光性ポリイミド前駆体を提供すること
ができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)酸2無水物の平均した電子親
    和力が1.40eV以上2.05eV以下である酸2無
    水物であり、かつ酸2無水物成分が3,3´,4,4´
    −ジフェニルスルホンテトラカルボン酸2無水物を酸2
    無水物成分全体の50モル%以下含有し、(b)アミノ
    基よりオルト位の位置に炭素数1から10までの有機
    基、フルオロ有機基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子
    またはヨウ素原子を有する芳香族ジアミンを、ジアミン
    成分全体の20モル%以上70モル%以下含有し、かつ
    全ジアミン成分を平均したイオン化ポテンシャルが7.
    15eV以上7.45eV以下であるジアミン成分から
    構成され、さらに(c)前記全ジアミン成分を平均した
    イオン化ポテンシャルより酸2無水物の平均した電子親
    和力を引いた差が5.45eV以上5.85eV以下と
    なるよう構成された一般式(1)で表される構造単位を
    主成分とするポリマーと、(B)増感剤を含有すること
    を特徴とする感光性ポリイミド前駆体組成物。 【化1】 (式(1)中、R1は少なくとも2個以上の炭素原子を
    有する3価または4価の酸残基を示し、R2は次式
    (2)または(3)で表される構造を有するジアミン残
    基から選ばれた成分が少なくともR2成分全体の50モ
    ル%以上を占め、かつその他のR2成分は、結合手より
    オルト位の位置に水素原子以外の置換基を含まない芳香
    族ジアミン残基か、あるいは少なくとも2個以上の炭素
    原子を有する2価の脂肪族ジアミン残基を示し、R
    3は、−OR4、−NHR4、−O-+4567から
    選ばれた基を示す。ただし、R4は少なくとも1種のエ
    チレン性不飽和結合を有する基、R5、R6、R7はそれ
    ぞれ水素原子または炭素数1から10までの炭化水素基
    を表す。nは1または2である。) 【化2】 (式(2)および(3)においてR8,R9,R12はそれ
    ぞれ炭素数1から10までの有機基、フルオロ有機基、
    塩素原子、フッ素原子、臭素原子またはヨウ素原子を有
    する基を示し、R10,R11,R13,R14はそれぞれ水素
    原子、または炭素数1から10までの有機基、フルオロ
    有機基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子またはヨウ素
    原子を有する基を示す。また、式(2)においてYは結
    合,−O−,−S−、−SO2−,−SO−,−CH
    2−、−CF2−,−CO−,−C(CH32−および−
    C(CF32−並びに次式(4)〜(8)で表される基
    から選ばれた結合基を示す。) 【化3】
  2. 【請求項2】ポリマーがさらに(d)該ポリマーを構成
    する酸2無水物の炭素13による核磁気共鳴スペクトル
    (NMR)のテトラメチルシランを基準にした酸2無水
    物のカルボニル炭素の平均した化学シフトが161.0
    ppmから162.5ppmであり、ジアミンの水素の
    NMRによるテトラメチルシランを基準にした全ジアミ
    ン成分の平均したアミノ基の水素の化学シフトの値が
    4.38ppm以上5.20ppm以下でありかつ
    (e)前記ポリマーの250℃〜500℃の熱処理によ
    るイミド化後のガラス転移温度が250℃以上であるポ
    リマーであることを特徴とする請求項1記載の感光性ポ
    リイミド前駆体組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121381A (ja) * 2000-10-11 2002-04-23 Toray Ind Inc 無機粉末含有ポリイミド前駆体ペースト
JP2010266843A (ja) * 2009-04-14 2010-11-25 Hitachi Chemical Dupont Microsystems Ltd 感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路形成用基板
WO2024038737A1 (ja) * 2022-08-15 2024-02-22 Jfeケミカル株式会社 ポリイミド、ポリイミド溶液、コーティング材料および成形材料
WO2024058194A1 (ja) * 2022-09-16 2024-03-21 三菱瓦斯化学株式会社 ポリイミドフィルムの製造方法

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