JP4051759B2 - 化学線感応性重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学線感応性重合体組成物に関するものであり、さらに詳しくは、室温における粘度の経時安定性と感光性能の双方が良好である感光性ポリイミドコーティング剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光性ポリイミドは自身がパターン加工性を有するため、通常の非感光性ポリイミドをレジスト等を用いてパターン加工する場合と比べて、プロセスの簡略化が可能である。そのため、半導体の保護膜、絶縁膜などに広く実用化されている。
【0003】
半導体産業においては、製膜プロセスを安定化させるため、粘度の経時安定性が良好な感光性ポリイミドが求められている。
【0004】
半導体関連に用いられている感光性ポリイミドのうち、ポリアミド酸構造を含むものは、ポリマーの加水分解などによる粘度低下が起こるために、経時安定性が十分であると言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、創意工夫をした結果、ポリアミド酸のイミド化率と光架橋基の数を制御することで、室温での粘度の経時安定性と感光性能の双方が良好である組成物を発明するに至った。
【0006】
本発明の目的は、室温での粘度の経時安定性と感光性能の双方が良好な化学線感応性重合体組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、以下の構成を採ることにより達成される。すなわち本発明は、(a)一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーに一般式(2)で表されるアミン化合物をポリマーのカルボキシル基に対して1〜5倍モル当量加えてなるポリイミド前駆体と(b)光開始剤および/または光増感剤を含む組成物のうち、ポリマーのイミド化率Iaが0.08≦Ia≦0.4であり、厚さ10ミクロンのプリベーク膜としたときの波長365nmの光透過率が2%以上40%以下であることを特徴とする化学線感応性重合体組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸のカルボキシル基に光架橋性基を有するアミン化合物を相互作用させて得たポリマーを表し、加熱あるいは適当な触媒によりイミド環や、その他環状構造を有するポリマー(以後、「ポリイミド系ポリマー」と呼ぶ)となり得るものを挙げることができる。
【0009】
代表的には、上記一般式(1)の構造を有するポリアミド酸に、上記一般式(2)の構造を有するアミン化合物を加えてなるものを表す。
【0010】
上記一般式(1)中、R1は少なくとも2個の炭素原子を有する3価または4価の有機基である。耐熱性のすぐれたポリイミド系ポリマーを得るために、R1は炭素数6〜30の3価または4価の基であり、かつ芳香族環または芳香族複素環を含有していることが好ましい。より好ましくは芳香族環を含有していることである。R1の好ましい具体的な例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。耐熱性のすぐれたポリイミド系ポリマーを得るために特に好ましい具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、などが挙げられる。
【0011】
本発明におけるポリマーは、R1が上記の有機基のうちの1種から構成されていても良いし、2種以上から構成される共重合体であっても構わない。
【0012】
上記一般式(1)中、R2は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機
基である。耐熱性のすぐれたポリイミド系ポリマーを得るために、R2は炭素数6〜35の2価の基であり、かつ芳香族環または芳香族複素環を含有していることが好ましい。より好ましくは芳香族環を含有していることである。R2はの好ましい具体的な例としては、フェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、ジメチルフェニレンジアミン、トリメチルフェニレンジアミン、テトラメチルフェニレンジアミン、トリフルオロメチルフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルフェニレンジアミン、メトキシフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシフェニレンジアミン、フルオロフェニレンジアミン、クロロフェニレンジアミン、ブロモフェニレンジアミン、カルボキシフェニレンジアミン、メトキシカルボニルフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、ジメチルベンジジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ジクロロベンジジン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンなど以下に示される化合物の残基などが挙げられる。
【0013】
本発明におけるポリマーは、R2が上記の有機基のうちの1種から構成されていても良いし、2種以上から構成される共重合体であっても構わない。
【0014】
また、ポリイミド系ポリマーの接着性を向上させるために、R2の3〜20モル%がシロキサン結合を有する脂肪族性の基であることが好ましい。この範囲より多いと、粘度の経時安定性が悪く、かつ、ポリマーの耐熱性を損なう。また、この範囲より少ないと十分な接着強度が出ないので注意を要する。好ましい具体例としては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(α,ω−アミノプロピル)ペルメチルポリシロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
上記一般式(2)中、R3、R4、R5は各々水素または炭素数1〜30の有機基を表し、うち少なくとも1つが光架橋性を有する有機基である。光架橋性を有しない有機基である場合は炭素数1〜30の脂肪族有機基が好ましく、炭化水素基の他に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などを構造中に含んでいても良い。好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。また、光架橋性を有する有機基である場合は、エチレン性不飽和結合を含む有機基、芳香族アジド基、芳香族スルホニルアジド基などを含んでいることが好ましい。具体例としてはメタクリロイロキシエチル基、アクリロイロキシエチル基、メタクリロイロキシプロピル基、アクリロイロキシプロピル基、メタクリルアミド−N−エチル基、メタクリルアミド−N−プロピル基、アクリルアミド−N−エチル基、アクリルアミド−N−プロピル基、アジド安息香酸エチル基、アジド安息香酸プロピル基、アジドスルホニル安息香酸エチル基、アジドスルホニル安息香酸プロピル基などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0016】
上記R3、R4、R5は単独種であってもよいし、2種以上の有機基の混合であってもよい。
【0017】
具体的な化合物の例としては、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノブチル、メタクリル酸ジメチルアミノヘキシル、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン、メタクリロイルピペリジン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、メタリルアミン、ビニルピリジン、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジメチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジエチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジメチルアミノプロピルエステル、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジエチルアミノプロピルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジメチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジエチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジメチルアミノプロピルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジエチルアミノプロピルエステルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
一般式(2)で表されるアミン化合物として、上記した具体例のうち、感光性能向上のために特に好ましい例としてはエチレン性不飽和結合を有するものを挙げることができる。
【0019】
本発明におけるポリマは、一般式(1)で表される構造単位の1種または2種以上から成るものである。また、他の構造単位、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレアとの共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(1)で表される構造単位を80%以上含有していることが好ましい。共重合またはブレンドに用いられる構造単位の種類、量は最終加熱処理によって得られるポリイミド系ポリマの耐熱性を著しく損なわない範囲で選択するのが好ましい。
【0020】
ワニスの粘度についての経時安定性が良好であるために必要なイミド化率Iaは、ポリマ構造によって異なる。通常は0.08≦Ia≦0.4であり、0.1≦Ia≦0.35であることが最も好ましい。一般式(1)で表される構造単位が2種以上からなる場合も、後述する測定によって得た平均のイミド化率Iaが、上記の範囲に入っていることが必要である。
【0021】
ここで、非感光性ポリイミドの場合と大きく異なる点は、本発明が化学感応性重合体組成物に関するものであって、粘度の経時安定性と感光性能の双方が良好である組成物であることに発明の意義がある点である。イミド化率の増加に伴い、ポリアミド酸のカルボキシル基の数は減少する。イミド化率が0.4を超える場合、カルボキシル基と相互作用する、一般式(2)で表される光架橋性のアミン化合物の数が極端に少なくなる。このため、組成物の粘度安定性が良好であっても、感度が著しく低下するという問題が生じる。また、イミド化率が0.08未満であると、室温粘度安定性が悪いので好ましくない。
【0022】
特に、一般式(1)においてR1のうち15モル%以上に電子親和力の高いピロメリット酸残基を用いることで、粘度の経時安定性を確保するのに必要なイミド化率を、ピロメリット酸残基を含まない構造のものより小さくすることができる。ポリアミド酸のイミド化率を小さくすると、カルボキシル基の数が増加する。そのため、カルボキシル基と相互作用する、一般式(2)で表される光架橋性のアミン化合物の数も増える。その結果、感度がさらに向上するという利点があるので好ましく用いることができる。
【0023】
本発明におけるポリイミド前駆体は、一般式(1)で表されるポリアミド酸に一般式(2)で表されるアミン化合物を添加させることによって得られる。粘度の経時安定性と感光性能の双方が良好である組成物を得るためには一般式(2)で表されるアミン化合物の量を規定して光架橋基の数を一定量以上に制御する必要がある。添加量としては、ポリアミド酸分子中のカルボキシル基に対し、1〜5倍モル当量、混合するのが望ましい。1倍当量未満であると、イミド化率の高い組成物においては著しく感度が低下する問題が生じる。5倍モル当量を超えると、ポリマー構造によっては、露光時において露光部の膜収縮が大きくなり、現像時にパターンの浮きやクラックを生じるもの、あるいは、キュア膜の物性が著しく低下するものもあるので注意を要する。
【0024】
さらに、パターン加工時の露光波長がi線(波長365nm)である場合は、イミド化率の上昇に伴って、膜のi線透過率が低下するという問題が新たに生じる。しかし、上記イミド化率、光架橋性基の数に加えて、i線透過率を制御することで、粘度安定性とi線露光における感光性能の双方が良好な組成物を得ることができる。
【0025】
具体的には、該ワニスの厚さ10ミクロンのプリベーク膜の波長365nmにおける光透過率が2%以上40%以下になるよう調節される。望ましくは2%以上30%以下であり、より望ましくは4%以上30%以下であり、さらに望ましくは4%以上20%以下であり、さらに望ましくは4%以上15%以下であり、最も望ましくは4%以上10%以下である。
【0026】
厚さ10ミクロンのプリベーク膜の波長365nmにおける光透過率が2%未満であると、i線ステッパーでパターン加工した際にパターンエッジの抉れが生じてしまうので好ましくない。また、光透過率が40%を超えると、基板からの反射の影響が大きくなり、パターン底部にスカムが生じやすくなるので好ましくない。ここで「厚さ10ミクロンのプリベーク膜」とは、ワニスをガラス基板に塗布後、ホットプレートを用いて70〜85℃で2〜5分、ついで90〜105℃で2〜5分加熱処理して形成された厚さ10ミクロンの膜を示す。
【0027】
最も好ましくは一般式(1)におけるR2の20モル%以上が下記一般式(3)及び(4)から選ばれる1種以上のジアミン残基からなることである。
【0028】
これらの構造を含むことで、組成物のi線透過率をより高くすることができる。このため、これらの構造を含まない組成物よりも粘度安定性が良好で、かつ、i線加工に適用できるイミド化率の範囲が大きくなる利点がある。
【0029】
【化5】
(Y1 、Y2、Y3は−O−、−S−、−CH2 −、−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −、−SO2 −、または単結合を表す。)
【化6】
(R6、R7はCH3−、CF3−、C2H5−、C2F5−、(CH3)3C−、F、CH3O−、またはフェニル基を表す。)
具体的な例としては、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ビフェニル
2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ジエチルベンジジン、2,2’−ビス(t−ブチル)ベンジジン、2,2’−ビス(ペンタフルオロエチル)ベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジンなどに示される化合物の残基などが挙げられる。
【0030】
Iaの値は、透過赤外スペクトル(IR)測定によって、試料となる化学線感応性重合体組成物(以下試料ワニスと称する)のイミド基に起因する波数における吸光度を求め、これより算出する。吸光度測定に用いるイミド基に起因する振動波数としては、通常、1750〜1800cm-1を用いる。試料ワニス中に1750〜1800cm-1に吸収を持つイミド基以外の有機基が含有される場合のみ1350〜1400cm-1の波数を用いる。以下、算出法の詳細ついて述べる。
【0031】
まず、試料ワニスをスピンコート法によりシリコンウェハー上に塗布する。ついで30℃で10時間減圧乾燥して膜とし、IR測定により、イミド基の吸光度Iを求める。次に、この膜をオーブンにて窒素気流下350℃で2時間熱処理(キュア)してイミド化を100%進行させる。この時、350℃で2時間キュア後の膜厚が所定の膜厚になるように、あらかじめ製膜時においてスピンコートの回転数を調節して製膜する。この、100%イミド化させた試料についてIR測定を行い、イミド基に起因する波数の吸光度I1を求める。
【0032】
このときの、イミド基の吸光度Iとイミド化率Iaの関係を示す式(1)は、Ia=I/I1となる。
【0033】
イミド基に起因するピークについての吸光度の測定は、図1のように、求めるピークの両端を結んで補助線を引き、ピークの頂点からIRスペクトルの横軸に垂直に降ろした線との交点を求める。その交点とピークの頂点との長さXを吸光度とする。
【0034】
IR測定試料の膜厚としては350℃で2時間キュア後膜厚で0.5ミクロン以上6ミクロン以下の範囲、つまり、30℃で10時間減圧乾燥後の膜厚では0.7ミクロン以上18ミクロン以下の範囲にあることが好ましい。この範囲を外れると、試料作製時の減圧乾燥による溶媒除去が不十分であったり、イミドに起因するIRピークの強度が弱くなったりして測定誤差が大きくなるので注意を要する。
【0035】
減圧乾燥後の試料をキュアすることによって生じる膜厚の減少の度合いは試料ワニスの組成によって異なる。よって、それに併せて、キュア後所定の膜厚に対応するスピンコートの回転数が適切に選択される。
【0036】
ワニスの粘度についての経時安定性が良好であるか否かの判別は、放置前のワニスの粘度に対して、そのワニスを室温(23℃)で6日間放置した後の粘度が何%低下しているかで判別する。この時の低下が10%以上であるワニスをシリコンウェハー上に毎日同じ回転数で塗布していくと、ポリイミド膜の膜厚は日を追うごとに薄くなる。この場合、製膜プロセスが安定しているとは言い難い。よって、室温(23℃)で6日間放置した後の粘度低下が10%以上であるワニスは経時安定性が良好でないと判別する。室温で6日放置後の粘度低下が10%未満であるワニスを用いた場合、塗布膜厚の低下はごくわずかであり、製膜プロセスが安定であるための許容範囲内に収まる。よって、室温(23℃)で6日間放置した後の粘度低下が10%未満であるワニスは経時安定性が良好であると判別する。特に、室温で6日放置後の粘度低下が5%未満であるワニスは最も好ましく用いることができる。
【0037】
ワニスのイミド化率の調節は、ポリマ重合の際の重合温度や重合時間、重合後または感光化後ワニスを熱処理もしくは熟成する際の温度や時間などによって行うことができるが、これら手法に限定されない。
【0038】
また、イミド化率の異なる2種以上のワニスを混合する方法も有効である。
【0039】
これらのポリアミド酸誘導体は公知の方法によって合成される。すなわち、ポリアミド酸の場合はテトラカルボン酸2無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒中で反応させることによって合成される。
【0040】
本発明に適した光開始剤としては、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルグリシン、ミヒラーズケトンなどの芳香族アミン、3−フェニル−5−イソオキサゾロンに代表される環状オキシム化合物、1−フェニルプロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムに代表される鎖状オキシム化合物などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
本発明に適した増感剤としては、アジドアントラキノン、アジドベンザルアセトフェノンなどの芳香族モノアジド、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン化合物、ベンズアントロン、フェナントレンキノンなどの芳香族ケトンなど一般に光硬化性樹脂に使用されるようなものである。その他にも、電子写真の電荷移動剤として使用されるものであれば好ましく使用できることもある。
【0042】
光開始剤や増感剤はポリマに対して0.01〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%添加するのが好ましい。この範囲を外れると感光性が低下したり、ポリマの機械特性が低下したりするので注意を要する。これらの光開始剤や増感剤は、単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0043】
本発明の組成物の感光性能を上げるために、適宜、光反応性モノマーを用いることもできる。
【0044】
光反応性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
光反応性モノマーはポリマーに対して30重量%以下の範囲で添加するのが好ましい。この範囲を外れると感光性が低下したり、ポリマーの機械特性が低下したりするので注意を要する。これらの光反応性モノマーは、単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0046】
本発明の組成物の塗膜または加熱処理後のポリイミド被膜と支持体との接着性を向上させるために適宜接着助剤を用いることもできる。
【0047】
接着助剤としては、オキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの有機珪素化合物、あるいはアルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などのアルミニウムキレート化合物あるいはチタニウムビス(アセチルアセトネート)などのチタニウムキレート化合物などが好ましく用いられる。
【0048】
他の添加剤としては、共重合モノマあるいは基板との接着改良剤を感度と耐熱性が大幅に低下しない範囲で含んでいても良い。
【0049】
次に本発明の組成物の使用方法について説明をする。本発明の組成物は化学線を用いた周知の微細加工技術でパターン加工が可能である。
【0050】
まず、本発明の組成物を適当な支持体の上に塗布する。支持体の材質としては、例えば、金属、ガラス、半導体、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどの手段が可能である。塗布膜厚は塗布手段、組成物の固形分濃度、粘度によって調節することができるが、通常0.1〜150μmの範囲になるように塗布される。
【0052】
次にポリイミド前駆体を塗布した基板を乾燥して、ポリイミド前駆体組成物被膜を得る。乾燥は、オーブン、ホットプレート、赤外線などを利用し、50〜180℃の範囲で行うのが好ましく、75〜150℃の範囲で行うのがより好ましい。乾燥時間は1分〜数時間行うのが好ましい。
【0053】
次に、所望のパターンを有するマスクを用い、露光を行う。露光量としては50〜1000mJ/cm2の範囲が好ましい。特に好ましい範囲は100〜700mJ/cm2である。
【0054】
現像時のパターンの解像度が向上したり、現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク処理をする工程を取り入れても差し支えない。この温度としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜150℃の範囲がより好ましい。時間は10秒〜数時間が好ましい。この範囲を外れると、反応が進行しなかったり、全ての領域が溶解しなくなるなどの恐れがあるので注意を要する。
【0055】
ついで未照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフ・パターンを得る。現像液はポリマの構造に合わせて適当なものを選択することができる。たとえば、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエタノールアミンなどのアルカリ水溶液などを好ましく使用することができる。また、本組成物の溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを単独で用いるか、あるいは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、メチルカルビトール、エチルカルビトール、トルエン、キシレン、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、酢酸エチルなど、組成物の貧溶媒との混合液にして用いても良い。
【0056】
現像は上記の現像液を塗膜面にそのまま、あるいは、霧状にして放射する、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。
【0057】
ついでリンス液により、現像によって形成したレリーフ・パターンを洗浄することが好ましい。リンス液としては有機溶媒でリンスをする場合、現像液との混和性の良いメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、酢酸エチルなどが好ましく用いられる。
【0058】
上記の処理によって得られたレリーフパターンのポリマは耐熱性を有するポリイミド系ポリマの前駆体であり、加熱処理によりイミド環やその他の環状構造を有する耐熱性ポリマとなる。熱処理温度としては、135〜500℃で行うのが好ましく、300〜450℃で行うのがより好ましい。熱処理は通常、段階的にあるいは連続的に昇温しながら行われる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0060】
粘度測定は回転粘度計(トキメック製E型粘度計)を用いて25℃の温度下で行った。
【0061】
赤外スペクトルの測定はFT/IR−5000(日本分光製)にて、ブランクにダミーウェハーを用いて行った。スペクトル測定サンプルはスピンナ(ミカサ製)を用いて、350℃で2時間キュア後の膜厚が4ミクロンになるように回転数を選択して塗布し、ついで、真空オーブンDP−32(yamato製)を用いて減圧乾燥した。キュアは窒素気流下にて行った。
【0062】
紫外・可視スペクトルの測定はUV−260(島津製)にて、ブランクにガラス基板(サンプル作製に用いたものと同一のもの)を用いて行った。スペクトル測定サンプルはスピンナ(ミカサ製)を用いて、ベーク後の膜厚が10ミクロンになるよう回転数を調節して行い、真空吸着式ホットプレートSCW−636(大日本スクリーン製)を用いて、80℃で2分、次いで100℃で2分ベークし作製した。
【0063】
感度の判定は、次のようにして行った。まず、厚さ10μmのプリベーク膜を作製し、露光した。次いで現像前にベークを施し、現像、リンスを行った。現像後に、400mJ/cm2で露光した部分の膜厚を測定し、7μm以上の膜が残っているならば感度が良好であると判定した。
【0064】
パターンエッジに抉れがあるかどうかは光学顕微鏡を用いて、100μm×100μmのビアホールを観察することで判定した。
【0065】
実施例1
窒素気流下1リットルの4つ口フラスコ内にて、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0g(0.19モル)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン2.49g(0.01モル)をN−メチル−2−ピロリドン220gに20℃で溶解させた。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.2g(0.10モル)、無水ピロメリト酸21.8g(0.10モル)を加え、55℃で1時間、さらに85℃で2時間反応させた。その後20℃に冷却し、N−フェニルグリシン4.73g、メタクリル酸ジエチルアミノエチル74.0g、N−メチル−2−ピロリドン91.3gを加えて、乾燥空気気流下25℃で2時間攪拌し、濃度19.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度を測定したところ68ポイズであった。
【0066】
得られた組成物を、350℃で2時間キュア後の膜厚が4ミクロンになるように回転数を調節してシリコンウェハー上にスピンコート塗布し、30℃で10時間減圧乾燥後赤外スペクトルの測定を行った。イミド基に起因するピークとして1750〜1800cm-1に現れるピークを選択し、この波数における吸光度を測定したところ0.0301であった。次に、この試料を350℃で2時間キュアして100%イミド化させた。この、厚さ4ミクロンのキュア膜のイミド基に起因する波数(1750〜1800cm-1)における吸光度を求めたところ0.301であった。これら吸光度の値より本文中の検量式(1)を用いて試料のイミド化率を算出したところ、0.1であった。
【0067】
また、このワニスをガラス基板上にスピンコートして厚さ10ミクロンの膜を作製し、紫外・可視スペクトルの測定を行ったところ、365nmにおける光透過率は6.5%であった。
【0068】
この組成物を6日間室温(23℃)で放置した後粘度を測定したところ69ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0069】
その溶液を4インチシリコンウェハー上にスピンコートし、ホットプレートSCW−636(大日本スクリーン製)を用いて80℃で2分、次いで95℃で2分ベークし、膜厚10ミクロンの膜を得た。次に、i線ステッパー、DSW−8500−70i(GCA製)を用いて、マスクを介してフィルム表面を、露光量については100mJ/cm2刻みで100〜700mJ/cm2、フォーカスについては0ミクロンにて露光した。この膜をNMP、キシレン、水の比が7:2:1の現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを、200℃、300℃、400℃それぞれの温度にて30分窒素気流下で熱処理して、ポリイミドパターンを得た。
【0070】
比較例1
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0g(0.19モル)を用いたほかは実施例1と同様に、N−メチル−2−ピロリドン215gに溶解させた。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物30.9g(0.096モル)、無水ピロメリト酸20.9g(0.096モル)を加え、55℃で1時間、さらに70℃で2時間反応させた。その後、N−メチル−2−ピロリドン138gを加えた他は、実施例1と同様に行い、濃度17.6%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は58ポイズであった。
【0071】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0206、0.343であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.06であった。
【0072】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ、1.3%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は59ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0073】
実施例1と同様に膜厚10ミクロンの膜を得た後、コンタクトアライナー、PLA−501FA(キャノン製)を用いて、i線カット用のフィルター、および、マスクを介してフィルム表面を、露光量については100mJ/cm2刻みで100〜700mJ/cm2の範囲で露光した。実施例1と同じ現像条件で、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理することで、ポリイミドパターンを得た。
【0074】
実施例2
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、3,3’,5,5’−テトラメチルジアミノジフェニルメタン48.3g(0.19モル)を用い、ジアミンをN−メチル−2−ピロリドン245gに溶解させた以外は実施例1と同様に、55℃で1時間、さらに85℃で8時間反応させた。その後、N−フェニルグリシン5.24g、メタクリル酸ジメチルアミノヘキシル58.0g、N−メチル−2−ピロリドン7.60gを加えた他は、実施例1と同様に行い、濃度24.9%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は42ポイズであった。
【0075】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.133、0.277であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.48であった。
【0076】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ30%であった。また6日間室温(23℃)放置後の粘度は41ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0077】
次に実施例1と同様に厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、この膜をNMP、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、水の比が9:3:2の現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理することで、ポリイミドパターンを得た。
【0078】
実施例3
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン47.6g(0.11モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16.0g(0.08モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン324gに溶解させた以外は実施例1と同様に、55℃で1時間、さらに85℃で4時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを6.93g、N−メチル−2−ピロリドンを31.9g用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度21.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は43ポイズであった。
【0079】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0281、0.281であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.1であった。
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ10%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は45ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0080】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液を用いて現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ熱処理することで、ポリイミドパターンを得た。
【0081】
実施例4
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル73.7g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン304gに溶解させた以外は実施例1と同様に、55℃で1時間、さらに75℃で4時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを6.51g、N−メチル−2−ピロリドンを135.3g用いたほかは、実施例1と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は56ポイズであった。
【0082】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0251、0.251であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.1であった。
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ、6%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は54ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0083】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理して、ポリイミドパターンを得た。
【0084】
実施例5
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン82.2g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン324gに溶解させた以外は実施例1と同様にして、55℃で1時間、さらに75℃で4時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを6.93g、N−メチル−2−ピロリドンを150g用いたほかは、実施例1と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は68ポイズであった。
【0085】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0167、0.167であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.1であった。
【0086】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ6%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は68ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0087】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0088】
実施例6
実施例1における無水ピロメリト酸を用いず、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を58.8g(0.20モル)にして、55℃で1時間、さらに85℃で3時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを4.97g、N−メチル−2−ピロリドンを51.6gを用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度21.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は85ポイズであった。
【0089】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0797、0.469であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.17であった。
また、実施例1と同様にして365nmにおける光透過率を測定したところ10%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は83ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0090】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0091】
比較例2
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物313.6g(1.07モル)とN−メチル−2−ピロリドン600gとγ−ブチロラクトン240gを1リットルの4つ口フラスコに加え、乾燥空気を導入しながら室温で攪拌した。次に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル78.2g(0.39モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン11.2g(0.045モル)とN−メチル−2−ピロリドン38.0g、γ−ブチロラクトン20.0gを加え、乾燥空気下60℃で1時間攪拌した。次に2−ヒドロキシエチルメタクリレート138.6gとγ−ブチロラクトン20.0gを添加し、乾燥空気下60℃で3時間攪拌し、室温に冷却した。次に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.6g(0.098モル)とp−フェニレンジアミン57.6g(0.53モル)、γ−ブチロラクトン12.0gを加え乾燥空気下60℃で5時間攪拌した。その後室温に冷却し、4−アジドベンザルアセトフェノン4.80gとN−フェニルグリシン28.8g、エチレングリコールジメタクリレート24.0g、N−メチル−2−ピロリドン185.0g、γ−ブチロラクトン113.4gを添加して乾燥空気下25℃で4時間攪拌して濃度23.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスを23℃で6日間熟成した後に粘度を測定したところ98.8ポイズであった。
【0092】
実施例1における吸光度測定において、イミド基に起因するピークとして1350〜1400cm-1に現れるピークを選択した他は、実施例1と同様に、キュア前後の各吸光度を測定した。キュア前の吸光度は0.264、キュア後の吸光度は1.2であり、検量式(1)よりイミド化率は0.22であった。
【0093】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ0%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は100ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0094】
80℃で4分、次いで100℃で4分ベークした他は、実施例1と同様に膜厚10ミクロンの膜を得た。次に、g線ステッパー、NSR−1505G6E(ニコン製)を用いて、実施例1と同じように露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0095】
実施例7
3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを26.0g(0.13モル)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン19.2g(0.06モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン232gに溶解させた以外は実施例1と同様に、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を19.3g(0.06モル)、無水ピロメリト酸を13.1g(0.06モル)、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物24.8g(0.08モル)を用い、55℃で1時間、さらに75℃で3時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを4.97g、N−メチル−2−ピロリドンを92.7g用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は85ポイズであった。
【0096】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0499、0.384であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.13であった。
【0097】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ18%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は83ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0098】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0099】
実施例8
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン82.2g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン324gに溶解させた以外は実施例1と同様にして、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物を24.8g(0.08モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を35.3g(0.12モル)を用い、55℃で1時間、さらに85℃で4時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを6.93g、N−メチル−2−ピロリドンを123.7g用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度21.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は23ポイズであった。
【0100】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0250、0.313であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.08であった。
【0101】
また、実施例1と同様に、365nmにおける光透過率を測定したところ30%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は24ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0102】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液で現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0103】
比較例3
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を31.3g(0.097モル)、無水ピロメリト酸を21.2g(0.097モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、10℃で10時間反応させた。その後、N−メチル−2−ピロリドンを76.2gを用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は68ポイズであった。
【0104】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.006、0.301であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.02であった。
【0105】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定してところ8.5%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は54ポイズであり、粘度低下が15%以上と経時安定性が悪かった。
【0106】
比較例4
ジアミンをN−メチル−2−ピロリドン235gに溶解させ、その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物30.3g(0.094モル)、無水ピロメリト酸20.5g(0.094モル)を加えた以外は実施例2と同様にして、10℃で10時間反応させた。その後、N−メチル−2−ピロリドンを51.4g用いた他は、比較例1と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は92ポイズであった。
【0107】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.007、0.343であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.02であった。
【0108】
また、実施例1と同様にして365nmにおける光透過率を測定したところ2%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は78ポイズであり、粘度低下が10%以上と経時安定性が悪かった。
【0109】
比較例5
実施例2においてジアミンをN−メチル−2−ピロリドン241gに溶解させ、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を31.3g(0.097モル)、無水ピロメリト酸を21.2g(0.097モル)用いた以外は実施例2と同様にして、10℃で10時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを5.24g、N−メチル−2−ピロリドンを92.9g用い、乾燥空気気流下10℃で5時間攪拌した他は、実施例2と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は136ポイズであった。
【0110】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.006、0.277であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.02であった。
【0111】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ60%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は102ポイズであり、粘度低下が20%以上と経時安定性が悪かった。
【0112】
比較例6
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン82.2g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン320gに溶解させた以外は実施例1と同様にして、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を31.3g(0.097モル)、無水ピロメリト酸を21.2g(0.097モル)用い、10℃で10時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを6.93g、N−メチル−2−ピロリドンを148g用い、乾燥空気気流下10℃で5時間攪拌した他は、実施例1と同様に行い、濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は39ポイズであった。
【0113】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.005、0.261であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.02であった。
【0114】
また、実施例1と同様にして365nmにおける光透過率は測定したところ40%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は24ポイズであり、粘度低下が30%以上と経時安定性が悪かった。
【0115】
比較例7
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン215gに溶解させた以外は実施例1と同様にして、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を30.9g(0.096モル)、無水ピロメリト酸を20.9g(0.096モル)用い、55℃で1時間、さらに70℃で2.5時間反応させ、メタクリル酸ジエチルアミノエチルを用いず、N−メチル−2−ピロリドンを187g用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度18.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は58ポイズであった。
【0116】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0206、0.343であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.06であった。
【0117】
また、実施例1と同様にして、365nmにおける光透過率を測定したところ1.3%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は59ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0118】
比較例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、膜が全て溶解してしまい、パターンが形成されることはなかった。
【0119】
比較例8
比較例7において、反応時間を55℃で1時間、さらに70℃で2時間反応させ、かつ、反応後にトリ−n−ブチルアミン74.0g、N−メチル−2−ピロリドンを138gを用いた他は、比較例7と同様に行い、濃度17.6%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は58ポイズであった。
【0120】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0207、0.343であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.06であった。
【0121】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ1.3%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は59ポイズであり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0122】
比較例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、膜が全て溶解してしまい、パターンが形成されることはなかった。
【0123】
比較例9
実施例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、3,3’,5,5’−テトラメチルジアミノジフェニルメタン48.3g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン245gに溶解させた以外は実施例1と同様にして、55℃で1時間、さらに100℃で8時間反応させた。その後、N−フェニルグリシンを5.24g、メタクリル酸ジメチルアミノエチルのかわりにメタクリル酸ジメチルアミノヘキシルを58.0g、N−メチル−2−ピロリドンを7.60g用いた他は、実施例1と同様に行い、濃度24.9%の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。このワニスの粘度は12ポイズであった。
【0124】
実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.194、0.277であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.7であった。
【0125】
また、実施例1と同様に365nmにおける光透過率を測定したところ20%であった。また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は12.5ポイズであり、粘度低下が5%以下と経時安定性が良好であった。
【0126】
実施例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光し、実施例2と同じ現像液で現像したところ、700mJ/cm2の高露光量領域においても膜厚が5ミクロンのパターンしか得られなかった。
【0127】
合成例1
実施例1において反応時間を、55℃で1時間、さらに85℃で6時間反応させ、反応後に、N−メチル−2−ピロリドンを23.0g用いた他は、実施例1と同様に行った。こうして、濃度22.7%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスAとした。得られたワニスAの粘度は64ポイズであった。
【0128】
合成例2
合成例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0g(0.19モル)を用い、反応後にN−メチル−2−ピロリドンを147g用いた他は、合成例1と同様に行った。こうして濃度17.5%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスBとした。得られたワニスBの粘度は40ポイズであった。
【0129】
合成例3
合成例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、3,3’,5,5’−テトラメチルジアミノジフェニルメタン48.3g(0.19モル)を用い、反応後にN−メチル−2−ピロリドンを24.6g用いた他は、合成例1と同様に行った。こうして濃度23.1%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスCとした。得られたワニスの粘度は49ポイズであった。
【0130】
合成例4
合成例1において、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を31.3g(0.097モル)、無水ピロメリト酸を21.2g(0.097モル)用い、10℃で10時間反応させ、反応後にN−メチル−2−ピロリドンを76.2g用い、乾燥空気気流下10℃で5時間攪拌した他は、合成例1と同様に行った。こうして濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスDとした。得られたワニスDの粘度は68ポイズであった。
【0131】
合成例5
合成例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン235gに溶解させ、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を30.3g(0.094モル)、無水ピロメリト酸を20.5g(0.094モル)用い、10℃で10時間反応させ、反応後にN−メチル−2−ピロリドンを51.4g用い、乾燥空気気流下10℃で5時間攪拌した他は、合成例1と同様に行った。こうして濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスEとした。得られたワニスEの粘度は92ポイズであった。
【0132】
合成例6
合成例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、3,3’,5,5’−テトラメチルジアミノジフェニルメタン48.3g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン241gに溶解させ、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を31.3g(0.097モル)、無水ピロメリト酸を21.2g(0.097モル)用い、10℃で10時間反応させ、反応後にN−フェニルグリシンを5.24g、N−メチル−2−ピロリドンを92.9g用い、乾燥空気気流下10℃で5時間攪拌した他は、合成例1と同様に行った。こうして濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスFとした。得られたワニスFの粘度は136ポイズであった。
【0133】
合成例7
合成例1の3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのかわりに、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン82.2g(0.19モル)を用い、N−メチル−2−ピロリドン320gに溶解させ、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を31.3g(0.097モル)、無水ピロメリト酸を21.2g(0.097モル)用い、10℃で10時間反応させ、反応後にN−フェニルグリシンを6.93g、N−メチル−2−ピロリドンを148g用い、乾燥空気気流下10℃で5時間攪拌した他は、合成例1と同様に行った。こうして濃度20.0%の感光性ポリイミド前駆体組成物を作製し、ワニスGとした。得られたワニスGの粘度はを39ポイズであった。
【0134】
参考例1〜7については、以上の合成例1〜7によって作製したワニスを混合することによって行った。
【0135】
参考例1
ワニスAとEを35:65の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ85ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0361、0.328であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.11であった。
【0136】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は86ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0137】
比較例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0138】
参考例2
ワニスAとFを90:10の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ72ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0837、0.299であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.28であった。
【0139】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は70ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0140】
比較例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0141】
参考例3
ワニスAとGを25:75の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ47ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0407、0.271であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.15であった。
【0142】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は48ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0143】
比較例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0144】
参考例4
ワニスBとCを5:95の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ50ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.115、0.280であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.41であった。
【0145】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は52ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0146】
参考例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0147】
参考例5
ワニスBとDを15:85の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ66ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0184、0.307であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.06であった。
【0148】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は65ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0149】
実施例2と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0150】
参考例6
ワニスBとFを80:20の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ62ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.115、0.329であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.35であった。
【0151】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は60ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0152】
比較例1と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0153】
参考例7
ワニスBとGを7:93の重量比でブレンドし、粘度を測定したところ41ポイズであった。実施例1と同様にキュア前の吸光度、キュア後の吸光度を測定したところ、0.0160、0.267であり、これらの値、および検量式(1)よりイミド化率は0.06であった。
【0154】
また、6日間室温(23℃)放置後の粘度は40ポイズとなり、粘度低下が10%未満と経時安定性が良好であった。
【0155】
実施例2と同じように厚さ10ミクロンの膜を形成、露光、現像したところ、400mJ/cm2以上の高露光量側において膜厚7ミクロン以上のパターンが得られた。パターンエッジの抉れは無く良好なパターンであった。これを実施例1と同じ条件で熱処理してポリイミドパターンを得た。
【0156】
【発明の効果】
本発明によれば、室温での粘度の経時安定性と感光性能の双方が良好な化学線感応性重合体組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】IRスペクトルからイミド基に起因する吸光度を求める方法を示す概略図。
Claims (9)
- (a)一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーに一般式(2)で表されるアミン化合物をポリマーのカルボキシル基に対して1〜5倍モル当量加えてなるポリイミド前駆体組成物と(b)光開始剤および/または光増感剤を含む組成物のうち、ポリマーのイミド化率Iaが0.08≦Ia≦0.4であり、厚さ10ミクロンのプリベーク膜としたときの波長365nmの光透過率が2%以上40%以下であることを特徴とする化学線感応性重合体組成物。
- イミド化率Iaが0.1≦Ia≦0.35であることを特徴とする請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
- 厚さ10ミクロンのプリベーク膜としたときの波長365nmの光透過率が2%以上30%以下である請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
- 厚さ10ミクロンのプリベーク膜としたときの波長365nmの光透過率が4%以上30%以下である請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
- 厚さ10ミクロンのプリベーク膜としたときの波長365nmの光透過率が4%以上20%以下である請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
- 厚さ10ミクロンのプリベーク膜としたときの波長365nmの光透過率が4%以上15%以下である請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
- 一般式(1)においてR1の15モル%以上がピロメリット酸の残基からなることを特徴とする請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
- 一般式(1)においてR2のうち3〜20モル%がシロキサン結合を有する脂肪族性の基を含有するジアミンの残基からなることを特徴とする請求項1記載の化学線感応性重合体組成物。
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