JP4568971B2 - ポリイミド及びその前駆体、感光性樹脂組成物、パターンの製造法並びに電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非常に優れたi線透過性を示し、かつ低応力を与えるポリイミド及びその前駆体、これを用いた感光性樹脂組成物並びに電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体工業にあっては、従来より無機材料を用いて行われていた層間絶縁材料として、ポリイミド樹脂等のような耐熱性に優れた有機物が、その特性を活かして使用されてきている。
しかし、半導体集積回路やプリント基板上の回路パターン形成は、基材表面へのレジスト材の造膜、所定箇所への露光、エッチング等により不要箇所の除去、基板表面の洗浄作業等の煩雑で多岐に亘工程を経てパターン形成が行われることから、露光、現像によるパターン形成後も必要な部分のレジストを絶縁材料としてそのまま残して用いることができる耐熱感光材料の開発が望まれている。
【0003】
これらの材料として、例えば、感光性ポリイミド、環化ポリブタジエン等をベースポリマとした耐熱感光材料が提案されており、特に感光性ポリイミドは、その耐熱性が優れていることや不純物の排除が容易であること等の点から特に注目されている。
また、このような感光性ポリイミドとしては、ポリイミド前駆体と重クロム酸塩からなる系(特公昭49−17374号公報)が最初に提案されたが、この材料は、実用的な光感度を有するとともに膜形成能が高い等の長所を有する反面、保存安定性に欠け、ポリイミド中にクロムイオンが残存すること等の欠点があり、実用には至らなかった。
【0004】
このような問題を回避するために、例えば、ポリイミド前駆体に感光基を有する化合物を混合する方法(特開昭54−109828号公報)、ポリイミド前駆体中の官能基と感光基を有する化合物の官能基とを反応させて感光基を付与させる方法(特開昭56−24343号公報、特開昭60−100143号公報等)などが提案されている。
しかし、これらの感光性ポリイミド前駆体は耐熱性、機械特性に優れる芳香族系モノマに基本骨格を用いており、そのポリイミド前駆体自体の吸収のため、紫外領域での透光性が低く、露光部における光化学反応を充分効果的に行うことができず、低感度であったり、パターンの形状が悪化するという問題があった。
また、最近では、半導体の高集積化に伴い、加工ルールが益々小さくなり、より高い解像度が求められる傾向にある。
【0005】
そのため、従来の平行光線を用いるコンタクト/プロキシミテイ露光機から、ミラープロジェクションと呼ばれる1:1投影露光機、さらにステッパと呼ばれる縮小投影露光機が用いられるようになってきている。
ステッパは、超高圧水銀灯の高出力発振線、エキシマレーザのような単色光を利用するものである。これまでステッパとしては、超高圧水銀灯のg−lineと呼ばれる可視光(波長:435nm)を使ったg線ステッパが主流であったが、さらに加工ルール微細化の要求に対応するため、使用するステッパの波長を短くすることが必要である。
そのため、使用する露光機は、g線ステッパ(波長:435nm)からi線ステッパ(波長:365nm)に移行しつつある。
【0006】
しかし、コンタクト/プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション投影露光機、g線ステッパ用に設計された従来の感光性ポリイミドのベースポリマでは、先に述べた理由により透明性が低く、特にi線(波長:365nm)での透過率はほとんどないため、i線ステッパでは、まともなパターンが得られない。
また、半導体素子の高密度実装方式であるLOC(リードオンチップ)に対応して表面保護用ポリイミド膜はさらに厚膜のものが求められているが、厚膜の場合には、透過性が低い問題はさらに深刻になる。このため、i線透過率の高く、i線ステッパにより良好なパターン形状を有するポリイミドパターンの得られる感光性ポリイミドが強く求められている。
【0007】
また、基板となるシリコンウエハの径は、年々大きくなり、ポリイミドとシリコンウエハの熱膨張係数差により、表面保護膜としてのポリイミドを形成したシリコンウエハの反りが以前より大きくなるという問題が発生している。そのため、従来のポリイミドよりも更に低熱膨張性を有する感光性ポリイミドが強く求められている。一般に分子構造を剛直にすることにより低熱膨張性は達成できるが、剛直構造の場合、i線をほとんど透過しないため、感光性特性が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良好なi線透過性とイミド化後の低熱膨張性を両立するポリイミド及びその前駆体を提供するものである。
また本発明は、良好なi線透過性とイミド化後の低熱膨張性を両立し、優れた耐熱性のパターンを形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、良好なi線透過性とイミド化後の低熱膨張性を両立し、優れた耐熱性のパターンを形成できるパターンの製造法を提供するものである。
さらに本発明は、ポリイミド膜形成後の残留応力が究めて小さく、良好な耐熱性と低応力性を両立した膜パターンを有することにより、信頼性に優れる電子部品を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の(1)〜(7)に関する。
(1)一般式(1)
【化5】
(式中R1及びR2は、各々独立に水素原子、又は、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素炭素不飽和二重結合を有するアクリロキシアルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜10)及び炭素炭素不飽和二重結合を有するメタクリロキシアルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜10)から選択される一価の有機基であり、R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子又は炭化水素基であり、少なくとも1つは炭化水素基であり、矢印で示される2つの結合は相互に逆に結合していてもよい)で表される構造単位と、
一般式(2)
【化6】
(式中R1及びR2は、各々独立に水素原子、又は、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素炭素不飽和二重結合を有するアクリロキシアルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜10)及び炭素炭素不飽和二重結合を有するメタクリロキシアルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜10)から選択される一価の有機基であり、R7、R8、R9及びR10は各々独立に水素原子又はフッ素原子を含有する基であり、少なくとも1つはフッ素原子を含有する基であり、矢印で示される2つの結合は相互に逆に結合していてもよい)で表される構造単位とを有してなるポリイミド前駆体。該ポリイミド前駆体としては、後述のように、上記一般式(1)で表される構造単位と上記一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位が、全構造単位の10%以下であるものが好ましい。
【0010】
(2)一般式(3)
【化7】
(式中R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子又は炭化水素基であり、少なくとも1つは炭化水素基である)で表される構造単位と、一般式(4)
【化8】
(式中、R7、R8、R9及びR10は各々独立に水素原子又はフッ素原子を含有する基であり、少なくとも1つはフッ素原子を含有する基である))で表される構造単位とを有してなるポリイミド。該ポリイミドとしては、後述の記載から明らかなように、上記一般式(3)で表される構造単位と上記一般式(4)で表される構造単位以外の構造単位が、全構造単位の10%以下であるものが好ましい。
【0011】
(3) 前記(1)記載のポリイミド前駆体を含有してなる感光性樹脂組成物。該感光性樹脂組成物においては、後述のように、ポリイミド前駆体が、その側に共有結合により炭素炭素不飽和二重結合を有する基を導入する方法か、そのカルボキシル基にアミノ基を有するアクリル化合物をイオン結合で導入する方法により感光性を付与したポリイミド前駆体であり、当該感光性樹脂組成物としては、前記ポリイミド前駆体と、その他の成分として光重合開始剤または光により酸を発生する化合物を含有するものが好ましい。該感光性樹脂組成物は、より詳しくは、前記(1)のポリイミド前駆体と、光により酸を発生する化合物を含有してなる感光性樹脂組成物であり、あるいは、前記一般式(1)及び(2)中のR 1 及びR 2 の少なくとも一方が水素原子であることによりカルボキシル基を有する前記(1)に記載のポリイミド前駆体の前記カルボキシル基にアミノ基を有するアクリル化合物がイオン結合しているポリイミド前駆体、又は前記一般式(1)及び(2)中のR 1 及びR 2 の少なくとも一方が炭素炭素不飽和二重結合を有するアクリロキシアルキル基及び炭素炭素不飽和二重結合を有するメタクリロキシアルキル基から選ばれた基である前記(1)に記載のポリイミド前駆体と、光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物である。
(4) 前記(3)記載の感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程及び加熱処理する工程を含むパターンの製造法。
(5) 露光する工程が、露光光源としてi線を用いて行うものである前記(4)記載のパターンの製造法。
【0012】
(6) 前記(4)又は(5)記載の製造法により得られるパターンの層を有してなる電子部品。
(7) 前記(2)記載のポリイミドの層を有してなる電子部品。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミド前駆体は、前記一般式(1)及び前記一般式(2)で表される構造単位を含有する。
一般式(1)及び(2)において、R1及びR2の1価の有機基としては、炭素原子数が1〜20の炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基、アラルキル基等)、炭素炭素不飽和二重結合を有する基(例えば、アクリロキシアルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜10)、メタクリロキシアルキル基(アルキル基の炭素原子数1〜10)等)などの光重合性基などが挙げられる。
【0014】
本発明のポリイミド前駆体を感光性樹脂組成物に使用する場合、R1及びR2のほとんど又はすべてに光重合性基を有する場合は溶剤現像型の感光性樹脂組成物とすることができ、R1又はR2の一部が水素原子である場合は溶剤現像型とアルカリ現像型のどちらの感光性樹脂組成物とすることも可能である。
一般式(1)において、R3〜R6は、水素原子の他、フェニル基、アルキル基、ベンジル基等が挙げられるが、i線透過性と低残留応力の点から、アルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、低残留応力となるためにはメチル基が最も好ましい。R3〜R6は少なくとも1つが炭化水素基であるが、2つ以上が炭化水素基であることが好ましく、4つ全てが炭化水素基であることがより好ましい。
【0015】
一般式(2)において、R7〜R10はi線透過性、溶解性の点から、これらの少なくとも1つにフッ素原子を含有している基であるが、2つ以上がフッ素原子を含有している基であることが好ましい。フッ素原子を含有する基としては、フッ素原子自体の他、トリフルオロメチル基等のフルオロアルキル基が好ましいものとしてあげられ、その炭素数は1〜5であることが好ましい。中でもトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0016】
本発明のポリイミド前駆体は、一般式(1)及び(2)の構造を与えるテトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンとを、必要に応じて用いる有機溶媒中で、反応させることにより合成することができる。前記テトラカルボン酸としてはピロメリト酸又はその酸二無水物などの誘導体が挙げられる。
【0017】
i線透過率、低応力性及び耐熱性等を低下させない程度に一般式(1)以外の構造を与えるテトラカルボン酸又はその誘導体を使用することができる。例えば、オキシジフタル酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、スルホニルジフタル酸、m−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、p−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス (2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{4′−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス{4′−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン、下記一般式(5)
【化9】
で表されるテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸などが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】
テトラカルボン酸の誘導体としては、例えば、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸塩化物等が挙げられる。ジアミンの反応の相手としては、反応性等の点から、ポリアミド酸を合成する場合はテトラカルボン酸二無水物が好ましく、ポリアミド酸エステルを合成する場合はテトラカルボン酸塩化物が好ましい。
【0019】
前記一般式(1)又は(2)の構造を与えるジアミン成分として、例えば
【化10】
等が好ましいものとして挙げられる。
これらの他にi線透過率、低応力性及び耐熱性等を低下させない程度に上記以外のジアミンを使用することができる。
【0020】
前記一般式(1)及び(2)以外の構造を与えるジアミンとしては、特に制限はなく、例えば、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルメタン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−トリジン,o−トリジンスルホン、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ベンゾフェノンジアミン、ビス−{4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス{4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス{4−(3′−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、しジアミノポリシロキサン等の脂肪族ジアミン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
前記反応に使用する有機溶媒としては、生成するポリイミド前駆体を完全に溶解する極性溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0022】
また、この極性溶媒以外にケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等も使用することができ、例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0023】
本発明のポリイミド前駆体において、前記一般式(1)で示される構造単位と一般式(2)で示される構造単位の比は、ワニスの保存安定性と基板との接着性の点から、前者/後者で70/30〜1/99(モル比)とすることが好ましく、50/50〜10/90(モル比)とすることがより好ましい。
【0024】
また、前記一般式(1)で示される構造単位と一般式(2)で示される構造単位以外の構造単位は、i線透過性と低応力性の点から全構造単位中、10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましい。
【0025】
本発明のポリイミド前駆体の分子量に特に制限はないが、重量平均分子量で10,000〜100,000とすることが、耐熱性と溶解性の点で好ましい。なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算して求めることができる。
【0026】
本発明のポリイミド前駆体の製造方法に特に制限はなく、公知の種々の方法を用いることができる。
【0027】
ポリイミド前駆体の側鎖のエステルを構成するためにはアルコール化合物が用いられる。前記アルコール化合物としては、ネガ型の感光性樹脂組成物用のポリイミド前駆体を製造するため光重合性の感光性基を付与する場合は、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどの不飽和アルコール化合物が好ましく、中でもアルキル鎖の炭素数が1〜10のヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレートが好ましいものとして用いられる。
【0028】
また前記アルコール化合物としては、主としてポジ型の感光性樹脂組成物用のポリイミド前駆体を製造するためのに用いられるものとして、飽和アルコール化合物が挙げられ、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノールなどの炭素原子数1〜10のアルキルアルコールが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
各成分の反応は、周知の方法によることができる。即ち、塩化チオニル法、DCC法、イソイミド法などが知られている。
反応に使用する有機溶媒としては、生成するポリイミド前駆体を完全に溶解する極性溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0030】
また、この極性溶媒以外にケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等も使用することができ、例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0031】
本発明のポリイミドは、前記ポリイミド前駆体を閉環させることにより合成することができる。
閉環は、通常、加熱により行うことができる。
加熱条件としては、特に制限はないが、加熱温度は、80〜450℃とすることが好ましい。この加熱温度が、80℃未満では、閉環反応が遅くなる傾向があり、450℃を超えると、生成するポリマーが劣化する傾向がある。
また、加熱時間は、10〜100分間とすることが好ましい。この加熱時間が、10分未満では、閉環反応が遅くなる傾向があり、100分を超えると、生成するポリマーが劣化する傾向があり、作業性が低下する傾向がある。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記ポリイミド前駆体の組成物に感光性を付与することにより得られる。
感光性を付与する方法としては、例えば、ポリイミド前駆体の側に共有結合により炭素炭素不飽和二重結合を有する基を導入する方法、ポリイミド前駆体のカルボキシル基にアミノ基を有するアクリル化合物をイオン結合で導入する方法、ポリイミド前駆体と反応性のモノマ、光酸発生剤及び光塩基発生剤等の感光性付与剤を混合するなど既知の方法が挙げられる。
【0033】
側鎖のイオン結合を構成するために用いられるアミノ基を有するアクリル化合物としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、などのジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でもアミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましいものとして用いられる。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物において、ネガ型感光性樹脂組成物とするには、一般に、光重合開始剤を含有させる。
光重合開始剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ|)ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ベンジル、ジフェニルジスルフィド、フェナンスレンキノン、2−イソプロピルチオキサントン、リボフラビンテトラブチレート、2,6−ビス(p−ジエチルアミノベンザル)−4−メチル−4−アザシクロヘキサノン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−フェニルジエタノールアミン、2−(o−エトキシカルボニル)オキシイミノ−1,3−ジフェニルプロパンジオン、1−フェニル−2−(o−エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタン、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0035】
光重合開始剤の使用量は、ポリイミド前駆体の総量100重量部に対して、0.01〜30重量部とすることが好ましく、0.05〜10重量部とすることがより好ましい。この使用量が、0.01重量部未満では、光感度が劣る傾向があり、30重量部を超えると、フィルムの機械特性が劣る傾向がある。
【0036】
また、ネガ型の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、付加重合性化合物を含有することができる。
付加重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0037】
付加重合性化合物の使用量は、ポリイミド前駆体の総量100重量部に対して、1〜200重量部とすることが好ましい。この使用量が、1重量部未満では、現像液への溶解性も含んだ感光特性が劣る傾向があり、200重量部を超えると、フィルムの機械特性が劣る傾向がある。
【0038】
また、ネガ型の感光性樹脂組成物には、保存時の安定性を高めるために、ラジカル重合禁止剤又はラジカル重合抑制剤を含有することができる。
ラジカル重合禁止剤又はラジカル重合抑制剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ジフェニル−p−ベンゾキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノン、ピロガロール、フェノチアジン、レソルシノール、オルトジニトロベンゼン、パラジニトロベンゼン、メタジニトロベンゼン、フェナントラキノン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、クペロン、フェノチアジン、2,5−トルキノン、タンニン酸、パラベンジルアミノフェノール、ニトロソアミン類等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0039】
ラジカル重合禁止剤又はラジカル重合抑制剤の使用量は、ポリイミド前駆体の総量100重量部に対して、0.01〜30重量部とすることが好ましく、0.05〜10重量部とすることがより好ましい。この使用量が、0.01重量部未満であると、保存時の安定性が劣る傾向があり、30重量部を超えると、光感度及びフィルムの機械特性が劣る傾向がある。
【0040】
一方、ポジ型の感光性樹脂組成物を製造する場合、ポリイミド前駆体とともに、光により酸を発生する化合物を用いることが好ましい。光により酸を発生する化合物は、酸を発生させ、光の照射部の現像液(アルカリ水溶液)への可溶性を増大させる機能を有するものである。その種類としてはo−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられる。
光により酸を発生する化合物は、現像後の膜厚及び感度の点から、ポリイミド前駆体の総量100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜40重量部用いられる。
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記ポリイミド前駆体及び他の成分を溶剤に溶解して、溶液状態で得ることができる。
前記溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等の非プロトン性極性溶剤が単独で又は2種以上併用して用いられる。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、さらに有機シラン化合物、アルミキレート化合物、けい素含有ポリアミド酸などを含むことができる。
有機シラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセテート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物は、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、回転塗布法等によってシリコンウエハー、金属基板、セラミック基板等の基材上に塗布され、溶剤の大部分を加熱乾燥することにより粘着性のない塗膜とすることができる。この塗膜の膜厚には特に制限はないが、回路特性等の点から、4〜50μmであることが好ましく、6〜40μmであることがより好ましく、10〜40μmであることが特に好ましく、20〜35μmであることが極めて好ましい。
【0044】
この塗膜上に、所望のパターンが描かれたマスクを通して活性光線又は化学線を照射する等してパターン状に露光後、未露光部を適当な現像液で現像して溶解し、除去することにより、所望のレリーフパターンを得ることができる。
【0045】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、低残留応力の膜を形成できるので、直径が20cm以上、特に30cm(12インチ)以上のシリコンウエハなどの大径のウエハへの適用に好適である。
この塗膜上に、所望のパターンが描かれたマスクを通して活性光線又は化学線を照射してパターン状に露光後、未露光部又は露光部を適当な現像液で現像して溶解し、除去することにより、所望のパターンを得ることができる。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、i線ステッパ等を用いたi線単色光の露光用に好適なものであるが、照射する活性光線又は化学線としては、i線以外に、例えば、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機、g線ステッパ、その他の紫外線、可視光源、X線、電子線等も使用することができる。
【0047】
現像液としては、例えば、有機溶媒現像液として、良溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等)、前記良溶媒と貧溶媒(低級アルコール、ケトン、水、芳香族炭化水素等)との混合溶媒、アルカリ水溶液などが挙げられる。前記アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、トリエタノールアミン水溶液等が挙げられる。
現像後は、必要に応じて、水又は貧溶媒でリンスを行い、パターンを安定なものとすることが好ましい。また、このレリーフパターンを、加熱することによりパターン化された高耐熱性ポリイミドを形成することができる。
【0048】
この時の加熱温度は、150〜500℃とすることが好ましく、200〜400℃とすることがより好ましい。この加熱温度が、150℃未満であると、ポリイミド膜の機械特性及び熱特性が低下する傾向があり、500℃を超えると、ポリイミド膜の機械特性及び熱特性が低下する傾向がある。
【0049】
また、この時の加熱時間は、0.1〜10時間とすることが好ましい。この加熱時間が、0.1時間未満であると、ポリイミド膜の機械特性及び熱特性が低下する傾向があり、10時間を超えると、ポリイミド膜の機械特性及び熱特性が低下する傾向がある。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に使用することができ、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。
本発明の電子部品は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
【0051】
本発明の電子部品の一例として、半導体装置の製造工程の一例を以下に説明する。
図1は多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。図において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜としての樹脂等の膜4が形成される(工程(a))。
【0052】
次に塩化ゴム系、フェノールノボラック系などの感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出するように窓6Aが設けられている(工程(b))。
前記窓6Aの層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
【0053】
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。
3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
【0054】
次に表面保護膜8が形成される。この図の例では、この表面保護膜を前記感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、加熱してレリーフパターンの樹脂膜とする。この樹脂膜は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
なお、上記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
合成例1〜3及び合成例4〜5
(1)200mlの四つ口フラスコに表1に示す酸無水物0.03モル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.81g(0.06モル)、ピリジン4.75g(0.06モル)、ヒドロキノン0.01g、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)70mlを入れ、60℃で撹拌すると1時間で透明な溶液になった。この溶液を室温でその後12時間撹拌した後、フラスコを氷で冷却し、塩化チオニル8.57g(0.072モル)を10分で滴下した。その後、室温で1時間撹拌し、酸クロライドを含む溶液を得た。
【0056】
(2)ポリイミド前駆体の合成
別の200mlの四つ口フラスコに表1に示すジアミン0.03モル、ピリジン5.06g(0.064モル)、ヒドロキノン0.01g、DMAc50mlを入れ、フラスコを氷で冷却(10℃以下)撹拌しながら上記(1)で得られた酸クロライド溶液を1時間かけてゆっくりと滴下した。その後室温で1時間撹拌し、1リットルの水へ投入して析出したポリマーを濾取後二回洗浄し、真空乾燥した。
このポリマー粉末をγ−ブチロラクトン(γ−BL)に溶解し、粘度を80ポイズに調節し、ポリイミド前駆体溶液(PAE−1〜5)とした。
【0057】
また、得られたポリイミド前駆体の溶液(PAE−1〜PAE−5)を乾燥させたものを、KBr法により、赤外吸収スペクトル(日本電子(株)製、JIR−100型)を測定したところ、いずれも、1600cm-1付近にアミド基のC=Oの吸収と、3300cm-1付近にN−Hの吸収が確認された。
【0058】
実施例1〜3及び比較例1〜2
合成例1〜3及び合成例4〜5で得られた各ポリイミド前駆体(PAE−1〜PAE−5)の粉末10gをγ−ブチロラクトン(γ−BL)15gに溶解し、ミヒラケトン100mgと1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム200mgを加えて溶解後、実施例1〜3及び比較例1〜2に供する均一な感光性樹脂組成物溶液を得た。
【0059】
得られた感光性樹脂組成物溶液を、フィルタ濾過し、それぞれシリコンウエハ上に滴下スピンコートした。
次いで、ホットプレートを用いて、100℃で150秒間加熱し、23μmの塗膜を形成した後、パターンマスクし、i線ステッパで露光した。
露光後、γ−ブチロラクトンと酢酸ブチルの混合溶液を用いて、パドル現像し、これを、350℃で60分間加熱して、ポリイミドのレリーフパターンを得た。
得られたポリイミドのレリーフパターンの一部について、KBr法により、赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm-1付近にイミドの特性吸収が確認された。
【0060】
合成例1〜5で得られた各ポリイミド前駆体(PAE−1〜PAE−5)の透過率とシリコンウエハ上の残留応力及びレリーフパターンの解像度を以下の方法により評価し、これらの評価結果を表2に示した。
透過率は、得られた各ポリイミド前駆体(PAE−1〜PAE−5)の樹脂溶液をスピンコートし、85℃で2分間、さらに105℃で2分間乾燥して得られた塗膜(20μm)を、分光光度計で測定した。
残留応力は5インチウエハ上にポリイミド膜を形成し、テンコール社製応力測定装置(FLX−2320型)で測定した。
解像度は、スルホールテストパターンを用いて、現像可能なスルホールの最小の大きさとして評価した。
【0061】
上記の実施例1〜4及び比較例1〜2で得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下400℃で60分間加熱してポリイミドパターンを得た。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
分子量測定条件(GPC法)
検出器: L4000 UV Detector ((株)日立製作所製)、検出波長270nm
ポンプ: L6000 Pump ((株)日立製作所製)
データ処理: C-R4A Chromatopac ((株)島津製作所製)
カラム: Gelpack GL-S300 MDT-5(日立化成工業(株)製)×2本
溶離液: THF/DMF=1/1(容積比)、LiBr(0.03mol/dm3)、H3PO4(0.06mol/dm3)
【0064】
【発明の効果】
本発明のポリイミド及びその前駆体は、良好なi線透過性とイミド化後の低残留応力を両立するものである。
本発明の感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体における良好なi線透過性、イミド化後の低ガラス転移温度を両立し、かつ、ポリイミド膜を形成したシリコンウエハが低残留応力となる、良好なパターンが形成可能である。
【0065】
また本発明のパターンの製造法によれば、高i線透過率により、i線露光により高感度、高解像度で形状も良好なパターンを製造でき、イミド化後に低応力で、耐熱性等に優れるポリイミド膜を形成することができる。
また本発明の電子部品は、高解像度で形状も良好なパターンであり、耐熱性等に優れたポリイミド膜を有し、しかも残留応力が極めて小さいため、信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
【符号の説明】
1…半導体基板、 2…保護膜、 3…第1導体層、 4…層間絶縁膜層、
5…感光樹脂層、 6A、6B、6C…窓、 7…第2導体層、 8…表面保護膜層。
Claims (8)
- 一般式(1)
一般式(2)
上記一般式(1)で表される構造単位と上記一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位が、全構造単位の10%以下である、ポリイミド前駆体。 - 請求項1記載のポリイミド前駆体と、光により酸を発生する化合物を含有してなる感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)及び(2)中のR 1 及びR 2 の少なくとも一方が水素原子であることによりカルボキシル基を有する請求項1に記載のポリイミド前駆体の前記カルボキシル基にアミノ基を有するアクリル化合物がイオン結合しているポリイミド前駆体、又は前記一般式(1)及び(2)中のR 1 及びR 2 の少なくとも一方が炭素炭素不飽和二重結合を有するアクリロキシアルキル基及び炭素炭素不飽和二重結合を有するメタクリロキシアルキル基から選ばれた基である請求項1に記載のポリイミド前駆体と、光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物。
- 請求項3又は4記載の感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程及び加熱処理する工程を含むパターンの製造法。
- 露光する工程が、露光光源としてi線を用いて行うものである請求項5記載のパターンの製造法。
- 請求項5又は6記載の製造法により得られるパターンの層を有してなる電子部品。
- 請求項2記載のポリイミドの層を有してなる電子部品。
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