JP3843880B2 - ガス濃度センサのヒータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス濃度センサのヒータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車用エンジンにおいては、一般にA/Fセンサ等のガス濃度センサによる検出結果に基づき空燃比制御が実施される。ガス濃度センサはジルコニア製の固体電解質体を用いたセンサ素子を有し、このセンサ素子により空燃比(酸素濃度)を精度良く検出するにはセンサ素子の温度を所定の活性温度に維持する必要がある。通常は同センサにヒータを内蔵しヒータの通電量(デューティ比)を制御している。こうしたヒータ制御の手法として、例えばヒータへの供給電力を制御したり、センサ素子の活性温度相当の目標値に素子抵抗をフィードバック制御したりするものが知られている。
【0003】
上記ガス濃度センサでは、ヒータの電源電圧の変化やハーネスによる電圧変化が生じ、それが原因で電力が変動してしまう。そのため、結果としてヒータ通電の制御性が低下するという問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的は、ヒータ制御量を適正に設定し、ひいてはヒータ通電の制御性を向上させることができるガス濃度センサのヒータ制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、素子抵抗検出手段により、ガス濃度センサの素子抵抗(素子インピーダンス)が検出され、制御量算出手段により、前記検出した素子抵抗と目標値との偏差に基づいてヒータ制御量が算出される。また、制御量補正手段により、予め規定したヒータ電圧の基準値とヒータ電圧の検出値との比較により補正項が算出され、その算出された補正項によって、前記制御量算出手段により算出したヒータ制御量が補正される。かかる場合、ヒータの電源電圧の変化やハーネスによる電圧変化が生じ、それが原因で電力が変動しても、その変動に対応させつつヒータ制御量を設定することができる。その結果、ヒータ制御量を適正に設定し、ひいてはヒータ通電の制御性を向上させることができる。
【0007】
なお本明細書では、ガス濃度センサの素子抵抗を検出することを要件とするが、それは交流的なインピーダンス、又はその逆数であるアドミタンスを含むものである。
【0008】
また請求項2の発明では、請求項1に記載の発明では、素子抵抗検出手段により、ガス濃度センサの素子抵抗(素子インピーダンス)が検出され、制御量算出手段により、前記検出した素子抵抗と目標値との偏差に基づいてヒータ制御量が算出される。また、制御量補正手段により、予め規定したヒータ電流の基準値とヒータ電流の検出値との比較により補正項が算出され、その算出された補正項によって、前記制御量算出手段により算出したヒータ制御量が補正される。かかる場合にも、ヒータの電源電圧の変化やハーネスによる電圧変化が生じ、それが原因で電力が変動しても、その変動に対応させつつヒータ制御量を設定することができる。その結果、ヒータ制御量を適正に設定し、ひいてはヒータ通電の制御性を向上させることができる。なおこれらの構成によれば、ヒータ電圧又はヒータ電流の何れかについてのみ検出を要するため、簡易な手法にてヒータ制御量の補正が実現できる。なおこの場合、ヒータ抵抗又はヒータ電流の何れかが一定であるとした条件下において、ヒータ電圧の比較によりヒータ制御量を補正するのが望ましく、また一方で、ヒータ抵抗又はヒータ電圧の何れかが一定であるとした条件下において、ヒータ電流の比較によりヒータ制御量を補正するのが望ましい。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、制御量補正手段により、その都度検出したヒータ電圧又はヒータ電流とそれ以前に検出したヒータ電圧又はヒータ電流との比較に基づき、前記制御量算出手段により算出したヒータ制御量が補正される。この場合、ヒータの電源電圧の変化やハーネスによる電圧変化が生じ、それが原因で電力が変動しても、その変動に対応させつつヒータ制御量を設定することができる。その結果、請求項1の発明と同様に、ヒータ制御量を適正に設定し、ひいてはヒータ通電の制御性を向上させることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、ガード値設定手段により、ヒータ制御量を制限するためのガード値が、素子抵抗の検出値が大きいほど大きくなるよう設定される。つまり、この種のガス濃度センサでは、素子温度が低いほど素子抵抗の検出値が大きくなり、この場合にはヒータ制御量が比較的大きいガード値で制限される。これにより、低温時におけるセンサ素子の早期活性化が実現できる。また逆に、高温時にはヒータ制御量のガード値が小さくなるため、過剰なヒータ通電が抑制され、素子割れ等の不具合が解消される。
【0011】
また、ヒータ通電のフィードバック制御に際して、その都度の素子抵抗の偏差が積分項として反映される場合、センサ素子の環境温度の変化等により素子抵抗が大幅に変化すると、その変化に素早く追従できず、制御の遅れが生じてしまう。かかる場合において、以下の請求項5を提案する。
【0012】
すなわち、請求項5に記載の発明では、素子抵抗が目標値を含む所定の制御範囲にあるか否かが判定される。そして、前記制御範囲から外れて素子抵抗が変化した旨判定される場合、その素子抵抗の変化を抑える向きにヒータ制御量のガード値が設定される。本構成によれば、環境温度の変化等により素子抵抗が所定の制御範囲を外れる場合において、制御の遅れが解消される。
【0013】
より具体的には、請求項6に記載したように実現されるのが望ましい。すなわち、前記制御範囲に対し素子温の高温側に素子抵抗が変化した旨判定される場合、ヒータ制御量の最大値を制限するための第1のガード値が設定される。また、前記制御範囲に対し素子温の低温側に素子抵抗が変化した旨判定される場合、ヒータ制御量の最小値を制限するための第2のガード値が設定される。
【0014】
前記設定したガード値でヒータ制御量が制限される場合、言い換えればガード値でヒータが通電される場合、請求項7に記載したように、該ガード値を対象に補正が実施されると良い。請求項7によれば、ガード値を用いたヒータ通電の制御精度が向上する。
【0015】
またガード値でヒータが通電される場合には、ガード値に対する補正は比較的緩い精度で良い。そこで、請求項8に記載したように、補正実施の時間間隔が拡げられると良い。この場合、補正に関する処理頻度が少なくなり、処理負荷が軽減できる。
【0016】
また、請求項9に記載の発明では、ヒータ通電のON時間が所定値よりも長い場合にのみ、ヒータ電力算出のためのヒータ電圧又はヒータ電流の検出が許可される。つまり、ヒータ電圧又はヒータ電流はヒータ通電のON時に検出されるが、そのON時間が短すぎると、ヒータ電圧又はヒータ電流の検出が困難になる。これに対し本発明によれば、ヒータ電圧又はヒータ電流の検出が確実に実施できる。
【0017】
請求項10に記載の発明では、センサ素子への印加電圧又は電流が素子抵抗検出用の値に一時的に切り換えられ、その時の電流変化又は電圧変化から素子抵抗が検出される。かかる構成において、その素子抵抗の検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複する場合、各タイミングの何れかが強制的にずらされる。つまり、素子抵抗の検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複すると、ヒータ通電のON/OFF切り換えによるノイズの影響から素子抵抗が誤検出されるおそれがある。これに対し本発明によれば、素子抵抗の誤検出が抑制され、その検出精度が向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を空燃比検出装置として具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態における空燃比検出装置は、自動車に搭載されるガソリンエンジンに適用されるものであって、空燃比制御システムにおいては空燃比検出装置による検出結果を基にエンジンへの燃料噴射量を所望の空燃比にて制御する。また、空燃比制御装置においては、限界電流式空燃比センサ(A/Fセンサ)の検出結果を用い排ガス中の酸素濃度から空燃比を検出することとしており、該A/Fセンサを活性状態に保つべく、素子インピーダンス(素子抵抗)を検出すると共にセンサ内蔵のヒータを通電制御する。以下、詳細に説明する。
【0029】
図1は、本実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す全体構成図である。図1において、空燃比検出装置15は、その内部演算の中枢をなすマイクロコンピュータ(以下、マイコン20という)を備え、マイコン20は燃料噴射制御や点火制御等を実現するためのエンジン制御ECU16に対して相互に通信可能に接続されている。A/Fセンサ30は、エンジン10のエンジン本体11から延びる排気管12に取り付けられており、マイコン20から指令される電圧の印加に伴い、排ガス中の酸素濃度に比例したリニアな空燃比検出信号(センサ電流信号)を出力する。
【0030】
マイコン20は、各種の演算処理を実行するための周知のCPU,ROM,RAM等により構成され、所定の制御プログラムに従い後述するバイアス制御回路24やヒータ制御回路26を制御する。マイコン20は、バッテリ電源+Bの給電を受けて動作する。
【0031】
A/Fセンサ30は、固体電解質体からなるセンサ素子にヒータを積層して配置し、これら固体電解質体とヒータとを一体化してなる、いわゆる積層型センサにて構成されている。以下、A/Fセンサ30のセンサ素子構造について図2を用いて説明する。なお、センサ素子は長尺状をなし、図2には長手方向に直交する方向での断面構造を示す。
【0032】
A/Fセンサ30において、部分安定化ジルコニアよりなる酸素イオン導電性の固体電解質体31は長方形板状をなしており、その一方の面には排ガス側電極32が設けられ、他方の面には基準ガス室37と対面する基準ガス側電極33が設けられている。固体電解質体31には、気孔率10%程度のアルミナセラミックよりなる多孔質拡散抵抗層34と、緻密でガスシール性のアルミナセラミックよりなるガス遮蔽層35とが積層されている。
【0033】
また、固体電解質体31には、電気絶縁性を有し且つ緻密でガスを透過させないアルミナセラミックよりなるスペーサ36が積層されており、スペーサ36には、基準ガス室37として機能する溝部36aが設けられている。また、スペーサ36にはヒータ基板38が積層され、そのヒータ基板38に、通電により発熱するヒータ(発熱体)39が設けられている。
【0034】
前記図1の説明に戻る。図1において、A/Fセンサ30に電圧を印加するためのバイアス指令信号Vrはマイコン20からD/A変換器21に入力され、同D/A変換器21にてアナログ信号V1に変換された後、LPF(ローパスフィルタ)22に入力される。そして、LPF22にてアナログ信号V1の高周波成分が除去された出力電圧V2はバイアス制御回路24に入力される。バイアス制御回路24では、A/F検出時には所定の印加電圧特性に基づきその時々のA/F値に対応した電圧がA/Fセンサ30に印加され、素子インピーダンス検出時には所定周波数信号よりなる単発的で且つ所定の時定数を持った電圧がA/Fセンサ30に印加されるようになっている。
【0035】
バイアス制御回路24内の電流検出回路25は、A/Fセンサ30への電圧印加時にそれに伴って流れる電流値を検出する。電流検出回路25にて検出された電流値のアナログ信号は、A/D変換器23を介してマイコン20に入力される。
【0036】
A/Fセンサ30のヒータ39は、ヒータ制御回路26によりその動作が制御される。つまり、ヒータ制御回路26は、マイコン20からの指令に従い、A/Fセンサ30の素子インピーダンスに応じてヒータ39への通電をデューティ制御する。この場合、ヒータ制御信号のデューティ周波数は10Hz程度であり、ヒータ通電時には、1周期約100msにおけるヒータ39のON時間(通電時間)が制御される。
【0037】
図3は、ヒータ制御回路26の構成を示す回路図である。図3において、ヒータ39の一端はバッテリ電源+Bに接続され、他端はトランジスタ26aのコレクタに接続されている。同トランジスタ26aのエミッタはヒータ電流検出用抵抗26bを介して接地されている。ヒータ電圧Vheはヒータ39の両端電位差により検出され、その検出結果はオペアンプ26c並びにA/D変換器27を介してマイコン20に入力される。また、ヒータ電流Iheはヒータ電流検出用抵抗26bの両端電位差により検出され、その検出結果はオペアンプ26d並びにA/D変換器28を介してマイコン20に入力される。
【0038】
因みに、ヒータ制御信号のOFF→ON切り換え時には、マイコン20による割り込み処理が起動し、その割り込み処理にてヒータ電圧Vheやヒータ電流Iheの検出タイミングが設定される。この場合、ヒータ通電のON切り換え時には、ヒータ電流Iheの立ち上がりにハード的な遅れが生じるため、その遅れを考慮したタイミングでヒータ電圧Vheやヒータ電流Iheが検出されるようになっている。
【0039】
次に、上記の如く構成される空燃比検出装置15の作用を説明する。
図4は、マイコン20により実施されるメインルーチンの概要を示すフローチャートであり、同ルーチンはマイコン20への電源投入に伴い起動される。
【0040】
図4において、先ずステップ100では、前回のA/F検出時から所定時間Taが経過したか否かを判別する。所定時間Taは、A/F値の検出周期に相当する時間であって、例えばTa=4msec程度に設定される。そして、ステップ100がYESであることを条件にステップ110に進み、A/F値の検出処理を実施する。このA/F値の検出処理では、その時々のセンサ電流に応じた印加電圧を設定すると共に、その電圧をA/Fセンサ30の電極32,33間に印加し、その時のセンサ電流を電流検出回路25により検出する。そして、該検出したセンサ電流をA/F値に変換する。
【0041】
A/F値の検出後、ステップ120では、前回の素子インピーダンス検出時から所定時間Tbが経過したか否かを判別する。所定時間Tbは、素子インピーダンスZACの検出周期に相当する時間であって、例えばエンジン運転状態に応じて128msec、2sec等の時間が選択的に設定される。そして、ステップ120がYESであることを条件に、ステップ130で素子インピーダンスZACを検出すると共に、続くステップ140でヒータ通電制御を実施する。素子インピーダンスZACの検出処理、ヒータ通電制御については後で詳しく説明する。
【0042】
次に、前記図4のステップ130における素子インピーダンスZACの検出手順を図5を用いて説明する。なお本実施の形態では、素子インピーダンスZACの検出に際し、掃引法を用いていわゆる「交流インピーダンス」を求めることとしている。
【0043】
図5において、先ずステップ131では、素子インピーダンスZACの検出期間内にヒータ39のON/OFFが切り換えられることがないよう、ヒータ制御信号の確認処理を実施する。
【0044】
要するに、掃引法によるインピーダンス検出時には、一時的にセンサ印加電圧が正負何れかに操作されるが、その際にヒータ39のON/OFFが切り換えられると、センサ素子の電気経路にノイズが生じ、ZACの検出値に影響が及ぶことが考えられる。特にセンサ素子のハーネスとヒータ39のハーネスとが一つに束ねられていると、こうした不具合が生じやすい。そこで、マイコン20内のカウンタによりヒータON/OFFのタイミングをモニタし、素子インピーダンスZACの検出期間とヒータON/OFFのタイミングとが重複しないよう、以下の何れかの処理を実施する。
(1)素子インピーダンスZACの検出期間内にヒータON/OFFのタイミングが発生する時、ヒータON/OFFのタイミングを待ってインピーダンス検出を開始する。
(2)素子インピーダンスZACの検出期間内にヒータON/OFFのタイミングが発生する時、インピーダンス検出が終了するまでヒータON/OFFの切り換えを待たせる。なおこの場合、ヒータ39のON時間又はOFF時間を一時的に長くする(又は短くする)。
【0045】
その後、ステップ132では、バイアス指令信号Vrを操作し、それまでのA/F検出用の印加電圧に対して電圧を正側に数10〜100μsec程度の時間で単発的に変化させる。また、ステップ133では、その時の電圧変化量ΔVと電流検出回路25により検出されたセンサ電流の変化量ΔIとを読み取る。続くステップ134では、前記ΔV値及びΔI値から素子インピーダンスZACを算出し(ZAC=ΔV/ΔI)、その後元の図4のルーチンに戻る。
【0046】
上記の処理によれば、前記図1のLPF22並びにバイアス制御回路24を介し、所定の時定数を持たせた電圧が単発的にA/Fセンサ30に印加される。その結果、図7に示すように、当該電圧の印加からt時間経過後にピーク電流(電流変化量ΔI)が検出され、その時の電圧変化量ΔVとピーク電流(ΔI)とから素子インピーダンスZACが検出される(ZAC=ΔV/ΔI)。かかる場合、LPF22を介して単発的な電圧をA/Fセンサ30に印加することにより、過度なピーク電流の発生が抑制され、信頼性の高い素子インピーダンスZACが検出できる。
【0047】
上記の如く求められる素子インピーダンスZACは、素子温に対して図8に示す関係を有する。すなわち、素子温が低いほど、素子インピーダンスZACは飛躍的に大きくなる。なお上記構成では、インピーダンス検出に際し、センサ印加電圧を一時的に切り換えたが、これに代えて、センサ素子に流れる電流を一時的に切り換えても良く、何れにしても、その際の電流変化量と電圧変化量とから素子インピーダンスが検出される。
【0048】
次に、前記図4のステップ140におけるヒータ通電の制御手順を図6を用いて説明する。なお本実施の形態では、A/Fセンサ30のセンサ素子が目標温度=700℃に保持されるよう、素子インピーダンスZACの偏差に応じてヒータ通電がフィードバック制御される。
【0049】
図6において、先ずステップ141では、昇温時ヒータ制御の実施条件を判定する。具体的には、素子インピーダンスZACが所定の判定値(例えば、50Ω)以上であるか否かにより昇温時ヒータ制御の実施条件を判別する。例えば、エンジン始動直後でありA/Fセンサ30の素子温が未だ低い場合には、素子インピーダンスZACが大きく、昇温時ヒータ制御を行う旨が判別される(ステップ141がYES)。
【0050】
ステップ141がYESの場合、ステップ142に進み、昇温時ヒータ制御を実施する。この昇温時ヒータ制御では基本的に、デューティ比100%の全通電制御が実施される。次いで、ステップ149では、ヒータ電力等に基づくDuty補正を実施した後、元の図4のルーチンに戻る。なお、ステップ149のDuty補正に関しては後述する。
【0051】
また、素子温が上昇すると、ステップ141がNOとなる。この場合、ステップ143では、その時の素子インピーダンスZACに基づいて素子温が720℃未満であるか否かを判別し、続くステップ144では、同じく素子インピーダンスZACに基づいて素子温が680℃以上であるか否かを判別する。つまり、素子温の目標値(700℃)を中心としてその±20℃の範囲を素子温の制御範囲としており、ステップ143,144では、素子温が制御範囲(本実施の形態では、700±20℃)内に入っているか否かが判別される。そして、素子温が制御範囲内に入っていることを条件にステップ145に進み、周知のPID制御手法により制御デューティ比Dutyを算出する。
【0052】
具体的には、ステップ145では、前回処理時の素子インピーダンスZACを前回値「ZAC0」とし、続くステップ146では、素子インピーダンスの今回値ZAC(前記図5による検出値)を読み出す。また、ステップ147では、下記の数式により比例項Gp、積分項Gi、微分項Gdを算出する。
Gp=Kp・(ZAC−ZACref)
Gi=Gi+Ki・(ZAC−ZACref)
Gd=Kd・(ZAC−ZAC0)
但し、上記各式において、「Kp」は比例定数、「Ki」は積分定数、「Kd」は微分定数を表す。
【0053】
そして、ステップ148では、上記比例項Gp、積分項Gi、微分項Gdを加算して制御デューティ比Dutyを算出し(Duty=Gp+Gi+Gd)、続くステップ149でDuty補正を実施した後、元の図4のルーチンに戻る。
【0054】
一方、素子温が制御範囲内に入っていない場合、ステップ150,151で制御デューティ比Dutyがガードされる。すなわち、素子温が720℃以上の場合(ステップ143がNOの場合)、ステップ150に進み、制御デューティ比Dutyを所定の上限値でガードする。このとき、例えばDuty=10%以下となるようDutyの最大値を制限する。また、素子温が680℃未満の場合(ステップ144がNOの場合)、ステップ151に進み、制御デューティ比Dutyを所定の下限値でガードする。このとき、例えばDuty=60%以上となるようDutyの最小値を制限する。
【0055】
因みに、ステップ150で設定した上限ガードが特許請求の範囲で記載した「第1のガード値」に、ステップ151で設定した下限ガードが同「第2のガード値」にそれぞれ相当し、これらのガード値によれば、素子温(素子インピーダンス)の変化を抑える向きにDutyが制限される。これらガード値は一例としてDuty=10%,60%としたが、その数値は任意で良く、素子割れ等の不具合を招かないような設計上の数値を適宜用いれば良い。
【0056】
なお本実施の形態では、図5の処理が特許請求の範囲に記載した「素子抵抗検出手段」に相当する。また、図6のステップ143,144が同「判定手段」に、ステップ145〜148が同「制御量算出手段」に、ステップ149が同「制御量補正手段」に、ステップ150,151が同「ガード値設定手段」に、それぞれ相当する。
【0057】
次に、ステップ149のDuty補正の内容について詳述する。
このDuty補正は、予め規定した基準のヒータ電力と、その都度のヒータ電力の算出値との比較に基づいて実施されるものであり、基本的には、基準電力と検出電力との商、「基準電力/検出電力」を補正項としてその補正項を制御デューティ比Dutyに乗算し、その積を補正後のDutyとする。この場合、電力比較(基準電力/検出電力)による補正を実施するには、ヒータ電圧とヒータ電流の双方の検出値が必要になるが、それでは処理の負荷が増えるため、以下には、(a)ヒータ電圧による補正、(b)ヒータ電流による補正について詳しく説明する。
【0058】
(a)ヒータ電圧による補正
ヒータ電力をW、ヒータ電圧をV、ヒータ電流をI、ヒータ抵抗をRとした時、W=V・I=V^2/Rとなる(なお、「^」はベキ乗を示す)。この場合、ヒータ抵抗Rが一定であるとみなせば、補正項「基準電力/検出電力」は「基準電圧^2/検出電圧^2」で求められる。つまり、基準電圧を予め規定しておけば、ヒータ39の検出電圧により補正項が算出できる。そして、その補正項をDuty算出値に乗算し、Dutyを補正する。
【0059】
一方、W=V・Iであり、ヒータ電流Iが一定であるとみなせば、補正項「基準電力/検出電力」は「基準電圧/検出電圧」で求められる。この場合にも、基準電圧を予め規定しておけば、ヒータ39の検出電圧により補正項が算出できる。そして、その補正項をDuty算出値に乗算し、Dutyを補正する。
【0060】
(b)ヒータ電流による補正
W=V・I=I^2・Rであり、ヒータ抵抗Rが一定であるとみなせば、補正項「基準電力/検出電力」は「基準電流^2/検出電流^2」で求められる。つまり、基準電流を予め規定しておけば、ヒータ39の検出電流により補正項が算出できる。そして、その補正項をDuty算出値に乗算し、Dutyを補正する。
【0061】
一方、W=V・Iであり、ヒータ電圧Vが一定であるとみなせば、補正項「基準電力/検出電力」は「基準電流/検出電流」で求められる。この場合にも、基準電流を予め規定しておけば、ヒータ39の検出電流により補正項が算出できる。そして、その補正項をDuty算出値に乗算し、Dutyを補正する。
【0062】
上記した(a)ヒータ電圧による補正、(b)ヒータ電流による補正によれば、電圧変化又は電流変化に対するDuty補正が簡易的に実施できる。特に、ヒータ電流による補正を実施する場合、ヒータ39の通電経路に流れる電流はどこでも同一であるため、ハーネス抵抗のばらつき分をも含む形で補正が実施できる。
【0063】
ヒータ電圧又はヒータ電流による補正として、予め規定したマップを用いることも可能である。具体的には、図9の関係を用い、ヒータ電圧の検出値に応じて補正量を算出する。図9によれば、ヒータ電圧(検出値)が基準電圧に対して大きくなるほど、小さい補正項が設定されるようになる。また、ヒータ電流による補正時にも同様に行えば良い。この場合、マップ値としてハーネスによる電圧降下分など反映させておけば、システム適合が簡単に実施できる。
【0064】
上記の如くヒータ通電制御が実施される様子、特に素子温が急激に上昇又は降下する場合の様子を図10のタイムチャートに示す。ここで、図10の(a)は、排気の加熱等の要因により素子温が上昇(すなわち、ZACが低下)して制御範囲を外れた場合を示し、図10の(b)は、燃料カット等の要因により素子温が下降(ZACが増大)して制御範囲を外れた場合を示す。なお図中、記号▽は、例えば128msec間隔でヒータ通電制御が実施されるタイミングを示す。
【0065】
図10(a)において、t1のタイミング以前は素子温が目標値(700℃)付近にフィードバック制御されている。そして、t1のタイミングで素子温が急上昇し、t2のタイミングでの素子温が制御範囲の高温側に外れると(720℃以上になると)、制御デューティ比Dutyが最大値10%でガードされる。この場合、t2以降も通常のフィードバック制御(PID制御)を継続すると、図に二点鎖線で示す如くDutyが変化し、Dutyを直ぐに低い値に制御することができない。これに対し、上記の通りDutyを最大値でガードすることにより、制御の遅れが解消される。
【0066】
また、図10(b)において、t11のタイミング以前は素子温が目標値(700℃)付近にフィードバック制御されている。そして、t11のタイミングで素子温が急降下し、t12のタイミングでの素子温が制御範囲の低温側に外れると(680℃未満になると)、制御デューティ比Dutyが最小値60%でガードされる。この場合にも前記同様、制御の遅れが解消される。
【0067】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
予め規定した基準のヒータ電力とその都度の実際のヒータ電力との比較に基づき、制御デューティ比Duty(ヒータ制御量)が補正されるよう構成したので、ヒータ39の電源電圧の変化やハーネスによる電圧変化が生じ、それが原因で電力が変動しても、その変動に対応させつつ制御デューティ比Dutyを設定することができる。その結果、制御デューティ比Dutyを適正に設定し、ひいてはヒータ通電の制御性を向上させることができる。
【0068】
またこの場合、ヒータ電圧の基準値と検出値との比較によりDutyを補正したり、ヒータ電流の基準値と検出値との比較によりDutyを補正したりすることで、簡易な手法にてDuty補正が実現できる。
【0069】
制御デューティ比Dutyの上限ガード及び下限ガードを設定し、素子温(素子インピーダンス)の変化を抑える向きにDutyを制限するので、排気温の上昇や燃料カット等により素子温が急激に変化してもその変化に素早く追従してヒータ制御を実施することができる。特に、PID制御により積分項を反映しつつDutyを算出する場合、急激な温度変化に際して制御の遅れが生じるが、本実施の形態によれば制御の遅れが解消される。従って、低温時におけるセンサ素子の早期活性化や、高温時における素子割れ等の不具合防止が実現できる。
【0070】
制御デューティ比Dutyの上限ガード及び下限ガードに対しても、通常のフィードバック制御時と同様にDuty補正を実施するので、ガード値を用いたヒータ通電の制御精度が向上する。
【0071】
素子インピーダンスZACの検出期間とヒータON/OFFのタイミングとが重複しないよう各タイミングを調整するので、素子インピーダンスZACの誤検出が抑制され、その検出精度が向上する。
【0072】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を説明する。上記第1の実施の形態では、素子インピーダンスZACの検出期間内にヒータ39がON/OFFされないよう、ヒータ制御信号の確認処理(図5のステップ131)を実施することを簡単に説明したが、本実施の形態ではその詳細な構成について説明する。
【0073】
本実施の形態では、排ガス中のNOx濃度を検出することが可能なガス濃度検出装置に本発明を具体化することとしており、図11は、ガス濃度検出装置の概要を示す構成図であり、図12はガス濃度センサの詳細を示す断面図である。先ずはじめに、図12によりガス濃度センサ100の構成を説明する。このガス濃度センサ100は、ポンプセル、センサセル及びモニタセルからなる3セル構造を有し、排ガス中の酸素濃度とNOx濃度とを同時に検出可能な、いわゆる複合型ガスセンサとして具体化されている。なお、図12(a)は、センサ素子の先端部構造を示す断面図であり、図12(b)は、図12(a)のA−A線断面図である。
【0074】
ガス濃度センサ100において、酸素イオン伝導性材料からなる固体電解質(固体電解質素子)141,142は板状をなし、アルミナ等の絶縁材料からなるスペーサ143を介して図の上下に所定間隔を隔てて積層されている。このうち、図の上側の固体電解質141にはピンホール141aが形成されており、このピンホール141aを介して当該センサ周囲の排ガスが第1チャンバー144内に導入される。第1チャンバー144は、絞り部145を介して第2チャンバー146に連通している。符号147は多孔質拡散層である。
【0075】
図の下側の固体電解質142には、第1チャンバー144に面するようにしてポンプセル110が設けられており、ポンプセル110は、第1チャンバー144内に導入した排ガス中の酸素を排出又は汲み込む働きをすると共に、その際に排ガス中の酸素濃度を検出する。ここで、ポンプセル110は、固体電解質142を挟んで上下一対の電極111,112を有し、そのうち特に第1チャンバー144側の電極111はNOx不活性電極(NOxガスを分解し難い電極)である。ポンプセル110は、第1チャンバー144内に存在する酸素を分解して電極112より大気通路150側に排出する。
【0076】
また、図の上側の固体電解質141には、第2チャンバー146に面するようにしてモニタセル120及びセンサセル130が設けられている。モニタセル120は、第2チャンバー146内の残留酸素濃度に応じて起電力、又は電圧印加に伴い電流出力を発生する。また、センサセル130は、ポンプセル110を通過した後のガスからNOx濃度を検出する。
【0077】
特に本実施の形態では、図12(b)に示すように、排ガスの流れ方向に対して同等位置になるよう、モニタセル120及びセンサセル130が並列に配置されると共に、これら各セル120,130の大気通路148側の電極が共通電極122となっている。すなわち、モニタセル120は、固体電解質141とそれを挟んで対向配置された電極121及び共通電極122とからなり、センサセル130は、同じく固体電解質141とそれを挟んで対向配置された電極131及び共通電極122とからなる。なお、モニタセル120の電極121(第2チャンバー146側の電極)はNOxガスに不活性なAu−Pt等の貴金属からなるのに対し、センサセル130の電極131(第2チャンバー146側の電極)はNOxガスに活性なPt等の貴金属からなる。
【0078】
固体電解質142の図の下面には絶縁層149が設けられ、この絶縁層149により大気通路150が形成されている。また、絶縁層149には、センサ全体を加熱するためのヒータ151が埋設されている。ヒータ151はポンプセル110、モニタセル120及びセンサセル130を含めたセンサ全体を活性状態にすべく、外部からの給電により熱エネルギーを発生させる。
【0079】
上記構成のガス濃度センサ100において、排ガスは多孔質拡散層147及びピンホール141aを通って第1チャンバー144に導入される。そして、この排ガスがポンプセル110近傍を通過する際、ポンプセル110の電極111,112間に電圧を印加することで分解反応が起こり、第1チャンバー144内の酸素濃度に応じてポンプセル110を介して酸素が出し入れされる。なおこのとき、第1チャンバー144側の電極111がNOx不活性電極であるので、ポンプセル110では排ガス中のNOxは分解されず、酸素のみが分解されて大気通路150に排出される。そして、ポンプセル110に流れた電流により、排ガス中に含まれる酸素濃度が検出される。
【0080】
その後、ポンプセル110近傍を通過した排ガスは第2チャンバー146に流れ込み、モニタセル120では、ガス中の残留酸素濃度に応じた出力が発生する。モニタセル120の出力は、該モニタセル120の電極121,122間に所定の電圧を印加することで、モニタセル電流として検出される。また、センサセル130の電極131,122間に所定の電圧を印加することでガス中のNOxが還元分解され、その際発生する酸素が大気通路148に排出される。その際、センサセル130に流れた電流により、排ガス中に含まれるNOx濃度が検出される。
【0081】
次に、ガス濃度検出装置の電気的な構成を図11を用いて説明する。なお図11は、前述のガス濃度センサ100を用いたガス濃度検出装置であるが、モニタセル120及びセンサセル130の電極配置については、便宜上、横並びの状態で示す。
【0082】
図11において、制御回路200は、CPU、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、I/Oポート等を備える周知のマイクロコンピュータで構成されており、各セル110〜130の印加電圧をD/Aコンバータ(D/A0〜D/A2)より適宜出力する。また、制御回路200は、各セル110〜130に流れる電流を測定すべく、各端子Vc、Ve、Vd、Vb、Vg、Vhの電圧をA/Dコンバータ(A/D0〜A/D5)より各々入力する。制御回路200は、ポンプセル110やセンサセル130での測定電流に基づいて排ガス中の酸素濃度やNOx濃度を検出し、その検出値をD/Aコンバータ(D/A4,D/A3)より外部に出力する。
【0083】
回路構成について詳しくは、ポンプセル110において一方の電極112には、基準電源201及びオペアンプ202により基準電圧Vaが印加され、他方の電極111には、オペアンプ203及び電流検出抵抗204を介して制御回路200の指令電圧(Vb)が印加される。Vb印加に際し、排ガス中の酸素濃度に応じてポンプセル110に電流が流れると、その電流が電流検出抵抗204により検出される。つまり、電流検出抵抗204の両端子電圧であるVb電圧及びVd電圧が制御回路200に取り込まれ、そのVb電圧及びVd電圧によりポンプセル電流Ipが算出される。
【0084】
また、モニタセル120及びセンサセル130の共通電極122には、基準電源205及びオペアンプ206により基準電圧Vfが印加され、共通電極122とは異なる方のセンサセル電極131には、オペアンプ207及び電流検出抵抗208を介して制御回路200の指令電圧(Vg)が印加される。Vg印加に際し、排ガス中のNOx濃度に応じてセンサセル130に電流が流れると、その電流が電流検出抵抗208により検出される。つまり、電流検出抵抗208の両端子電圧であるVg電圧及びVh電圧が制御回路200に取り込まれ、そのVg電圧及びVh電圧によりセンサセル電流Isが算出される。
【0085】
また、共通電極122とは異なる方のモニタセル電極121には、LPF(ローパスフィルタ)209、オペアンプ210及び電流検出抵抗211を介して制御回路200の指令電圧(Vc)が印加される。Vc印加に際し、排ガス中の残留酸素濃度に応じてモニタセル120に電流が流れると、その電流が電流検出抵抗211により検出される。つまり、電流検出抵抗211の両端子電圧であるVc電圧及びVe電圧が制御回路200に取り込まれ、そのVc電圧及びVe電圧によりモニタセル電流Imが算出される。なお、LPF209は、例えば抵抗及びコンデンサからなる一次フィルタにて実現される。
【0086】
また本実施の形態では、モニタセル120を対象に、掃引法を用いて素子インピーダンスが検出されるようになっている。つまり、モニタセル120のインピーダンス検出時において、制御回路200により、モニタセル印加電圧(指令電圧Vc)が正側又は負側の少なくとも何れかに瞬間的に切り換えられる。この印加電圧は、LPF209により正弦波的になまされつつモニタセル120に印加される。交流電圧の周波数は10kHz以上が望ましく、LPF209の時定数は5μsec程度で設定される。そして、その時の電圧変化量と電流変化量とからモニタセル120の素子インピーダンスが算出される。
【0087】
因みに、モニタセル120及びセンサセル130では、一方の電極を共通電極122としたため、基準電圧側のドライブ回路が削減できるというメリットや、ガス濃度センサ100からのリード線の取り出し本数が削減できるというメリットが得られる。また、モニタセル120とセンサセル130とは同じ固体電解質141で隣り合って形成されるため、掃引時には隣の電極に電流が流れ、インピーダンスの検出精度が悪化することが懸念されるが、共通電極122を設けることで一方の電極が同じ電位となり、この影響が低減できる。
【0088】
ところで、モニタセル120では残留酸素を検出する際に数μA程度の電流しか流れないのに対し、インピーダンス検出のための掃引時には数mA程度の電流が流れる。このオーダーの異なる電流を同じ検出抵抗で検出すると、オーバーレンジしたり、検出精度が悪くなったりする。そこで本実施の形態では、モニタセル120による残留酸素検出時とインピーダンス検出時とで電流検出抵抗を切り換えることとする。
【0089】
具体的には、電流検出抵抗211に並列に、別の電流検出抵抗212とスイッチ回路213(例えば、半導体スイッチ)とを設ける。そして、制御回路200のI/Oポートからの出力により、スイッチ回路213をオン/オフさせるよう構成する。この場合、通常のガス濃度検出時には、スイッチ回路213をオフ(開放)し、電流検出抵抗211による数100kΩ程度の抵抗でモニタセル電流Imを検出する。これに対し、インピーダンス検出時には、スイッチ回路213をオン(閉鎖)し、電流検出抵抗211及び212による数100Ω程度の抵抗でモニタセル電流Imを検出する。
【0090】
Ve電圧は、P/H回路(ピークホールド回路)220を通じて制御回路200に入力される。この場合、P/H回路220は、制御回路200によりP/H期間が設定及び解除され、インピーダンス検出時には電圧変化がピーク値に達する付近でP/H期間が一時的に設定されるようになっている。
【0091】
また、制御回路200内のCPUは、制御デューティ比DutyをI/Oポートから出力してMOSFETドライバ251を駆動する。このとき、MOSFET252により電源253(例えばバッテリ電源)からヒータ151へ供給される電力がPWM制御される。なお本実施の形態では、制御回路200により特許請求の範囲に記載した「素子抵抗検出手段」及び「ヒータ制御手段」が構成される。
【0092】
図13は、ヒータ通電の概要を示すタイムチャートである。図13に示すように、PWMカウンタは一定の時間周期でカウントアップを繰り返す構成となっており、本実施の形態の場合、128msecをPWMカウンタの1周期としている。因みに、この時間は素子インピーダンスZACの検出周期と同じである。
【0093】
制御デューティ比Dutyが算出される都度、そのDutyに応じてヒータON設定時間がレジスタ等にセットされ、そのPWMカウンタがON設定時間に達するとヒータ通電がONからOFFに切り換えられる。また、PWMカウンタがリセットされるタイミングで、ヒータ通電が再度ONされる。
【0094】
例えば、インピーダンス検出期間が図のTiの期間で設定され、当該Ti期間とヒータ通電のON/OFFの切り換え(図ではON→OFF)とが重複する場合、前述の通りセンサ素子の電気経路にノイズが生じ、ZACの検出値に影響が及ぶと考えられる。具体的には、図20に示すように、印加電圧の掃引に伴う掃引電流の波形に誤差ΔIaが生じ、P/H回路220を用いる場合において誤ったピーク値が保存されてしまう。そこで本実施の形態では、インピーダンス検出期間内にヒータ通電がON/OFF切り換えられる場合に、ヒータ通電のON又はOFFの何れかのタイミングを強制的に変更することを提案する。
【0095】
すなわち、詳細を示す図14では、タイミングa〜bがインピーダンス検出期間Tiであり、その期間Ti内でセンサ端子電圧(又はセンサ電流)に掃引波形が与えられる。この場合、インピーダンス検出期間Ti内で通電OFFタイミングcが生じるため、その通電OFFタイミングcを早く、或いは遅くしてインピーダンス検出期間Ti内にヒータ通電のON/OFFが生じないようにする。
【0096】
実際には、インピーダンス検出期間Ti内において、正確に検出したいのは電圧変化量ΔV(又はそれ相当の電流変化)であり、センサ電圧の変化開始からピーク値に達するまでの期間でヒータ通電のON/OFFが生じなければ良い。特に電圧変化のピーク値をP/H回路220を介して制御回路200に取り込む本構成では、P/H回路220によるP/H期間(図のa〜dの期間)でヒータ通電のON/OFFが生じなければ良い。故に、通電OFFタイミングを早くする場合には、通電OFFのタイミングをタイミングaに変更し、通電波形を図の「変更後1」のようにする。また、通電OFFタイミングを遅くする場合には、通電OFFのタイミングをタイミングdに変更し、通電波形を図の「変更後2」のようにする。因みに、変更後1ではDutyが小さくなり、変更後2ではDutyが大きくなる。
【0097】
ヒータ通電のON/OFFのタイミングを強制的に早く又は遅くするには、ポート出力を操作することにより実際のヒータ制御信号を制御すれば良い。具体的には、図15に示すように、インピーダンス検出期間Tiと通電OFFのタイミングとが重複する場合において、ポート出力を一時的にOFFし、それによりヒータ通電を図示の変更前の状態から変更後の状態に切り換える。その他に、PWMカウンタのON設定時間を増加側又は減少側に変更し、それにより通電切り換えのタイミングを早く又は遅くすることも可能である。
【0098】
図16は、本実施の形態におけるZAC検出ルーチンを示すフローチャートであり、この処理は、所定時間周期(本実施の形態では128msec周期)で制御回路200により実施される。図16の処理は、第1の実施の形態における図5の処理に相当するものであり、実際には、制御回路200はこのZAC検出ルーチンの他、図4、図6相当の処理を実施する。なお、図示は割愛するが、本実施の形態の場合、図4相当の処理ではA/Fの検出の他、NOx濃度の検出が行われる。
【0099】
ヒータ通電のON/OFF切り換えは、基本的に素子インピーダンスの検出処理(図16の処理)とは別に実施されるが、本実施の形態では、インピーダンス検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複する場合に限り、当該通電の切り換えを素子インピーダンスの検出処理内で実施するものである。
【0100】
図16において、先ずステップ301では、現時点でのPWMカウンタの値を読み込み、続くステップ302では、今現在のPWMカウンタ、ON設定時間、P/H期間の所要時間から通電切り換えのタイミングを確認する。そして、今回のインピーダンス検出期間(P/H期間)内にヒータ通電のON/OFF切り換えが重複して行われるか否かを推測する。またこのとき、通電切り換えが重複すると推測される場合に通電切り換えを早くするか、又は遅くするかを判断する。これは、Dutyの変更が少ない方を選択すれば良い。
【0101】
その後、ステップ303では、ヒータ通電のON/OFF切り換えを今実施すべきか否かを判別する。通電切り換えが重複すると推測され、通電切り換えを早くする場合には、当該ステップをYESとし、ステップ304で直ちにヒータ通電のON/OFF切り換えを実施する。
【0102】
その後、ステップ305では、P/H回路220によるP/Hを開始し、続くステップ306では、印加電圧を単発的に変化(掃引)させる。そして、ステップ307では、その時の電圧変化と電流変化とを計測し、ステップ308では、P/H回路220によるP/Hを終了する。
【0103】
ステップ309では、ヒータ通電のON/OFF切り換えを今実施すべきか否かを判別する。通電切り換えが重複すると推測され、通電切り換えを遅くする場合には、当該ステップをYESとし、ステップ310で直ちにヒータ通電のON/OFF切り換えを実施する。最後に、ステップ311では、前記計測した電圧変化及び電流変化から素子インピーダンスZACを算出する。
【0104】
以上本実施の形態によれば、インピーダンス検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複する場合に、各タイミングの何れかが強制的に前後にずらされるため、素子インピーダンスZACの誤検出を抑制し、その検出精度を向上させることができる。
【0105】
ヒータ通電のON/OFF切り換えがインピーダンス検出期間に重複する場合において、インピーダンス検出開始前若しくは検出終了後のうち、ヒータ通電時間(Duty)の変更が少ない方に通電切り換えのタイミングが変更されるため、ヒータ通電時間への影響が少なく、ヒータ制御性も良好に維持できる。
【0106】
特にP/H期間に重複しないようヒータ通電切り換えのタイミングが変更されるので、通電切り換えが重複してはいけない期間が限定的に狭められ、ヒータ通電時間の変更を最小限に抑えることができる。因みに、P/H回路220を介して電圧変化のピーク値を取り込むことにより、電圧ピークのタイミングが前後にばらついたとしてもピーク値を正しく検出することができる。
【0107】
なお所定タイミングでA/D変換を行い、それによりピーク電圧等を取り込む構成とした場合には、少なくともA/D変換のタイミングでヒータ通電切り換えが行われないよう、当該切り換えのタイミングが変更されれば良い。
【0108】
インピーダンス検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複しないようにするには、上記以外の手法を用いることも可能であり、以下には別の形態を説明する。
【0109】
先ず図17では、ヒータ通電切り換えのタイミングとインピーダンス検出期間Tiとが重複する場合において、通電切り換えが終わるまでインピーダンス検出の開始(実際には、P/Hの開始)を待つようにした。図17の事例では、インピーダンス検出期間がTiからTiaに変更される。このようにインピーダンス検出期間の方をずらす場合であっても同様に、インピーダンス検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複することが防止できる。
【0110】
次に、図18では、ヒータ通電切り換えのタイミングとインピーダンス検出期間Tiとが重複する場合において、ヒータ制御状態を変更すべくPWMの周期を長く又は短くする。図18の事例では、PWMの周期をTαからTβに変更する。この場合、PWMの周期とインピーダンス検出の周期とが同調していれば、Tβに変更するのは1回だけで良く、その後Tαに戻す。ここで、PWMの周期とインピーダンス検出の周期とが同調しているとは、それらの周期が同一である場合、PWMの周期に対してインピーダンス検出の周期がn倍又は1/n倍である場合を言う。このようにヒータ制御状態を変更する場合であっても同様に、インピーダンス検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複することが防止できる。
【0111】
また、図19では、PWMの周期とインピーダンス検出の周期とが同調する場合において、ヒータ通電切り換えのタイミングとインピーダンス検出期間Tiとが重複しないよう、ヒータ通電のデューティ比(ON設定時間)について最大値又は最小値を規定するものである。図19の事例では、上限ガード値を設定し、ON設定時間がこの上限ガード値を超えないようにしている。かかる場合にも同様に、既述の効果が得られる。なお、ヒータ通電ONの直後にインピーダンス検出期間が存在する場合には、ON設定時間の下限ガード値を設定すれば良い。
【0112】
上記の説明では、ガス濃度センサ100のモニタセル120について素子インピーダンスを検出する旨説明したが、他のセル(ポンプセル100,センサセル130)についても素子インピーダンスを検出する場合が考えられる。この場合には、何れかのセルのインピーダンス検出期間においてもヒータ通電切り換えのタイミングと重複させないようにすると良い。
【0113】
また、エンジンの排気管に複数のガス濃度センサが設けられる場合など、ガス濃度センサを複数有するシステムでは、何れかのガス濃度センサのインピーダンス検出期間においても全てのヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングと重複させないようにすると良い。
【0114】
なお本発明は、上記以外に次の形態にて具体化できる。
前記図6においてステップ150,151でのガード値でDutyが制限される場合、そのガード値に対するDuty補正は比較的緩い精度で良い。そこで、ガード値でDutyが制限される場合に限り、補正実施の時間間隔を拡張する。この場合、補正に関する処理頻度が少なくなり、マイコン20の処理負荷が軽減できる。
【0115】
また、制御デューティ比DutyのON時間が所定値よりも長い場合にのみ、ヒータ電圧及びヒータ電流の検出を許可するよう構成する。実際には、Duty≧50%の場合のみ、ヒータ電圧及びヒータ電流の検出を許可する。つまり、ヒータ電圧やヒータ電流はヒータ通電のON時に検出されるが、そのON時間が短すぎると、ヒータ電圧やヒータ電流の検出が困難になる。これに対し本構成によれば、ヒータ電圧やヒータ電流の検出が確実に実施できる。またこの場合、マイコン20の演算負荷が軽減できると共に、簡単な検出回路でヒータ電圧やヒータ電流を検出することができる。
【0116】
Duty補正として、その都度検出したヒータ電圧又はヒータ電流とそれ以前に検出したヒータ電圧又はヒータ電流との比較に基づき、制御デューティ比Dutyを補正することも可能である。具体的には、次式を用いて補正を実施する。
【0117】
【数1】
かかる場合にも、既述の実施の形態と同様に、制御デューティ比Dutyを適正に設定し、ひいてはヒータ通電の制御性を向上させることができる。なお、上記数式において、「前回の検出電圧/今回の検出電圧」の項を、「前回の検出電圧^2/今回の検出電圧^2」に変更したり、「前回の検出電流/今回の検出電流」や「前回の検出電流^2/今回の検出電流^2」に変更したりしても良い。因みに、電圧又は電流は2乗の値を用いた方が補正の精度が向上する。また、比較の対象は、今回値と前回値とに限らず、今回値とそれ以前の値との比較であれば良い。
【0118】
上記実施の形態では、図6のヒータ通電制御ルーチンにおいて、Duty補正の処理と、上限及び下限のガード処理とを共に実施したが、同ルーチンとしては、少なくともDuty補正を組み込んだもので実現されれば良い。また、素子温の高温側の上限ガード(図6のステップ150)と、低温側の下限ガード(図6のステップ151)とのうち、少なくとも一方のみを実施するものであっても良い。制御デューティ比Dutyをガードするための構成としては基本的に、低温時におけるセンサ素子の早期活性化や、高温時における素子割れ等の不具合防止が実現できるよう、素子インピーダンスの検出値が大きいほどガード値大きくなるよう設定されるものであれば任意に実現できる。
【0119】
ガス濃度センサの素子抵抗として、インピーダンスに代えて、その逆数であるアドミタンスを演算するようにしても良い。この場合、素子温度(センサ活性状態)に応じてインピーダンスとアドミタンスとを切り換えて使用することも可能である。
【0120】
ガス濃度センサとして、排ガス中の酸素濃度を検出する既述のA/Fセンサ以外に、例えば、NOx濃度を検出するNOxセンサ、HC濃度を検出するHCセンサ、CO濃度を検出するCOセンサ等が適用できる。その場合、検出セルは複数個有するものであっても良い。更に、排ガス以外のガスを被測定ガスとすることも可能である。ガス濃度検出装置としても、空燃比検出装置以外の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図。
【図2】センサ素子の要部断面図。
【図3】ヒータ制御回路の構成を示す回路図。
【図4】マイコンによるメインルーチンを示すフローチャート。
【図5】素子インピーダンスの検出手順を示すフローチャート。
【図6】ヒータ通電の制御手順を示すフローチャート。
【図7】インピーダンス検出時における電圧変化と電流変化とを示す波形図。
【図8】素子インピーダンスと素子温との関係を示す図。
【図9】ヒータ電圧と補正項との関係を示す図。
【図10】ヒータ通電制御が実施される様子を示すタイムチャート。
【図11】第2の実施の形態におけるガス濃度検出装置の概要を示す構成図。
【図12】ガス濃度センサの構成を示す断面図。
【図13】ヒータ通電の動作を示すタイムチャート。
【図14】ヒータ通電切り換えの詳細を示すタイムチャート。
【図15】ヒータ通電の動作を示すタイムチャート。
【図16】素子インピーダンスの検出手順を示すフローチャート。
【図17】ヒータ通電の動作を示すタイムチャート。
【図18】ヒータ通電の動作を示すタイムチャート。
【図19】ヒータ通電の動作を示すタイムチャート。
【図20】ヒータ通電切り換え時の電流波形を示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、15…空燃比検出装置、20…マイコン、30…A/Fセンサ、31…固体電解質体、39…ヒータ、100…ガス濃度センサ、110…ポンプセル、120…モニタセル、130…センサセル、141,142…固体電解質、151…ヒータ、200…制御回路、220…P/H回路。
Claims (10)
- 固体電解質体を用いたセンサ素子、並びに該センサ素子を活性状態に加熱するためのヒータを有するガス濃度センサと、
前記ガス濃度センサの素子抵抗を検出する素子抵抗検出手段と、
前記検出した素子抵抗と目標値との偏差に基づいてヒータ制御量を算出する制御量算出手段と、
予め規定したヒータ電圧の基準値とヒータ電圧の検出値との比較により補正項を算出し、前記制御量算出手段により算出したヒータ制御量を前記補正項にて補正する制御量補正手段と、
を備えることを特徴とするガス濃度センサのヒータ制御装置。 - 固体電解質体を用いたセンサ素子、並びに該センサ素子を活性状態に加熱するためのヒータを有するガス濃度センサと、
前記ガス濃度センサの素子抵抗を検出する素子抵抗検出手段と、
前記検出した素子抵抗と目標値との偏差に基づいてヒータ制御量を算出する制御量算出手段と、
予め規定したヒータ電流の基準値とヒータ電流の検出値との比較により補正項を算出し、前記制御量算出手段により算出したヒータ制御量を前記補正項にて補正する制御量補正手段と、
を備えることを特徴とするガス濃度センサのヒータ制御装置。 - 固体電解質体を用いたセンサ素子、並びに該センサ素子を活性状態に加熱するためのヒータを有するガス濃度センサと、
前記ガス濃度センサの素子抵抗を検出する素子抵抗検出手段と、
前記検出した素子抵抗と目標値との偏差に基づいてヒータ制御量を算出する制御量算出手段と、
検出したヒータ電圧又はヒータ電流をそれ以前に検出したヒータ電圧又はヒータ電流と比較し、その比較に基づき、前記制御量算出手段により算出したヒータ制御量を補正する制御量補正手段と、
を備えることを特徴とするガス濃度センサのヒータ制御装置。 - ヒータ制御量を制限するためのガード値を、素子抵抗の検出値が大きいほど大きくなるよう設定するガード値設定手段を更に備える請求項1〜3の何れかに記載のガス濃度センサのヒータ制御装置
- 前記検出した素子抵抗と素子抵抗の目標値との偏差に基づき、少なくとも積分項を反映しつつヒータ通電のフィードバック制御を実施するヒータ制御装置であって、
前記検出した素子抵抗が目標値を含む所定の制御範囲にあるか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記ガード値設定手段は、前記制御範囲から外れて素子抵抗が変化した旨判定される場合、その素子抵抗の変化を抑える向きにヒータ制御量のガード値を設定する請求項4に記載のガス濃度センサのヒータ制御装置。 - 請求項5に記載のガス濃度センサのヒータ制御装置において、前記ガード値設定手段は、前記制御範囲に対し素子温の高温側に素子抵抗が変化した旨判定される場合、ヒータ制御量の最大値を制限するための第1のガード値を設定し、前記制御範囲に対し素子温の低温側に素子抵抗が変化した旨判定される場合、ヒータ制御量の最小値を制限するための第2のガード値を設定するガス濃度センサのヒータ制御装置。
- 請求項4〜6の何れかに記載のガス濃度センサのヒータ制御装置において、前記ガード値設定手段により設定したガード値でヒータ制御量が制限される場合、前記制御量補正手段は、該ガード値を対象に補正を実施するガス濃度センサのヒータ制御装置。
- 請求項7に記載のガス濃度センサのヒータ制御装置において、前記ガード値設定手段により設定したガード値でヒータ制御量が制限される場合、前記制御量補正 手段は、補正実施の時間間隔を拡げるガス濃度センサのヒータ制御装置。
- 所定周期におけるヒータ通電のON時間を制御するようにしたガス濃度センサのヒータ制御装置において、
ヒータ通電のON時間が所定値よりも長い場合にのみ、ヒータ電力算出のためのヒータ電圧又はヒータ電流の検出を許可する請求項1〜8の何れかに記載のガス濃度センサのヒータ制御装置。 - 前記素子抵抗検出手段は、センサ素子への印加電圧又は電流を素子抵抗検出用の値に一時的に切り換え、その時の電流変化又は電圧変化から素子抵抗を検出するものであり、その素子抵抗の検出期間とヒータ通電のON/OFF切り換えのタイミングとが重複する場合、各タイミングの何れかを強制的にずらすようにした請求項1〜9の何れかに記載のガス濃度センサのヒータ制御装置。
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