JP3736445B2 - 内燃機関のガス濃度検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合型のガス濃度センサからの検出値に基づき内燃機関の排気ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する内燃機関のガス濃度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関のガス濃度検出装置に関連するものとして、限界電流式の複合型のガス濃度センサを用い、内燃機関の排気ガス中のNOx (窒素酸化物)を検出するものが知られている。この複合型のガス濃度センサは、例えば、ポンプセル、センサセル及びモニタセルからなる3セル構造を有する。このガス濃度センサのポンプセルでは、チャンバに導入した排気ガス中の酸素の排出または汲み込みが行なわれ、また、センサセルでは、ポンプセルを通過したのちのガスから特定ガス成分の濃度としてNOx 濃度が検出され、モニタセルでは、チャンバ内の残留酸素濃度が検出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の複合型のガス濃度センサでは、各セルのうち制御中のセル(以下、『制御セル』と記す)を活性状態に保持するため、その素子抵抗が制御目標値になるようヒータ制御されるが、長期にわたるセンサ使用に伴って、ヒータに同一電流を流しているにもかかわらず各セルの素子抵抗が経時的に変動する傾向にある。ここで、各セルの素子抵抗が変動するとガス濃度センサの所定のセルの検出値に誤差が生じるという不具合があった。
【0004】
また、前述の複合型のガス濃度センサでは、センサ使用の過渡時には、ヒータに同一電流を流しているにもかかわらず各セルの素子抵抗が一時的に変動する傾向にある。ここで、各セルの素子抵抗が一時的にでも変動するとガス濃度センサの所定のセルの検出値に誤差が生じるという不具合があった。
【0005】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、複合型のガス濃度センサの各セルを活性状態に保持するヒータ制御による素子抵抗の経時的または一時的な変動に伴う所定のセルの検出値を適切に補正可能な内燃機関のガス濃度検出装置の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の内燃機関のガス濃度検出装置によれば、素子抵抗検出手段にて複合型のガス濃度センサを構成する少なくともポンプセル、センサセル、モニタセルのうち少なくとも2つのセルに対して印加する電圧または電流が所定周期で一時的に切換えられ、そのときの電圧変化及び電流変化から各セルの素子抵抗が検出され、これらの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するようヒータ制御手段にてヒータへの通電が制御され、センサセルに流れる電流の検出値から特定ガス成分の濃度が逐次検出される。このように、ヒータ制御手段によって、所定のセルの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するよう制御される際、補正手段によって他のセルの素子抵抗または目標素子抵抗の変化量に応じて、または目標素子抵抗が所定範囲外となるとき、所定のセルの検出値が補正される。これにより、ガス濃度センサのヒータ制御による素子抵抗の経時的または一時的な変動に伴う所定のセルの検出値であるセンサセルの電流値が適切に補正され、結果として、特定ガス成分の濃度の検出精度が向上される。
【0007】
請求項2の内燃機関のガス濃度検出装置における素子抵抗検出手段では、セルに対して印加する電圧または電流を一時的に切換えることで素子抵抗を検出する際、センサセル以外のセルを対象に素子抵抗が検出されるため、センサセルによる特定ガス成分の濃度の検出が中断されることがなく、特定ガス成分の濃度検出に影響を及ぼすことがないという効果が得られる。
【0008】
請求項3の内燃機関のガス濃度検出装置における補正手段では、内燃機関の運転条件または排気温に基づき所定のセルの検出値が補正されるため、ガス濃度センサの補正後センサセル電流算出の際にも、センサセルによる特定ガス成分の濃度の検出が中断されることがなく、特定ガス成分の濃度検出に影響を及ぼすことがないという効果が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置の電気的構成を示す概略図である。図2及び図3は、図1のガス濃度センサ100の要部構成を示す断面図である。
【0011】
本実施例のガス濃度検出装置は、限界電流式のガス濃度センサ100を用い、被検出ガスである内燃機関1からの排気ガス中の酸素(O )濃度を検出すると共に、特定ガス成分の濃度としてのNOx (窒素酸化物)濃度を検出する。
【0012】
まず、ガス濃度センサ100の構造について、図2及び図3を参照して説明する。
【0013】
図2に示すように、ガス濃度センサ100はポンプセル110、モニタセル120及びセンサセル130を有する3セル構造からなり、排気ガス中の酸素濃度とNOx 濃度とを同時に検出可能な、所謂、複合型ガスセンサとして具体化されている。なお、図2(a)はセンサ素子の先端部構造を示す断面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿う断面図である。
【0014】
また、ガス濃度センサ100では、酸素イオン伝導性材料からなる固体電解質(固体電解質素子)141,142が板状に形成され、アルミナ等の絶縁材料からなるスペーサ143を介して上下に所定間隔を隔てて積層されている。このうち、固体電解質141にはピンホール141aが形成されており、このピンホール141aを介してガス濃度センサ100周囲の排気ガスが第1チャンバ144内に導入される。第1チャンバ144は、絞り部145を介して第2チャンバ146に連通されている。なお、147は多孔質拡散層である。
【0015】
固体電解質142には、第1チャンバ144に面するようにしてポンプセル110が設けられており、ポンプセル110によって第1チャンバ144内に導入された排気ガス中の酸素が排出または汲み込まれると共に、この際に排気ガス中の酸素濃度が検出される。ここで、ポンプセル110には、固体電解質142を挟んで一対の電極111,112が形成され、このうち特に第1チャンバ144側の電極111はNOx 不活性電極(NOx ガスを分解し難い電極)に形成されている。このポンプセル110によって、第1チャンバ144内に存在する酸素が分解され電極112より大気通路150側に排出される。
【0016】
また、固体電解質141には、第2チャンバ146に面するようにしてモニタセル120及びセンサセル130が設けられている。モニタセル120からは、第2チャンバ146内の余剰酸素濃度に応じて起電力または電圧印加に伴う電流出力が発生される。また、センサセル130によって、ポンプセル110を通過したのちのガスからNOx 濃度が検出される。
【0017】
特に、図2(b)に示すように、排気ガスの流れ方向に対して同等位置になるよう、モニタセル120及びセンサセル130が並列に配置されていると共に、これら各セル120,130の大気通路148側の電極が共通電極122として形成されている。即ち、モニタセル120は、固体電解質141とそれを挟んで対向配置された電極121及び共通電極122とからなり、センサセル130は同じく固体電解質141とそれを挟んで対向配置された電極131及び共通電極122とからなる。なお、モニタセル120の電極121(第2チャンバ146側の電極)はNOx ガスに不活性なAu−Pt等の貴金属にて形成されているのに対し、センサセル130の電極131(第2チャンバ146側の電極)はNOx ガスに活性なPt等の貴金属にて形成されている。
【0018】
更に、図3(a)は、モニタセル120及びセンサセル130の電極を第2チャンバ146側から見た断面図であり、図3(b)は、これら各セルの電極を大気通路148側から見た断面図である。但し、モニタセル120及びセンサセル130の電極は、図3(a)に示すように、排気ガスの流れ方向に沿って並列に配置すること以外に、排気ガスの流れ方向で前後(即ち、図3(a)の左右)に配置してもよい。例えば、モニタセル120を上流側(図3(a)の左側)、センサセル130を下流側(図3(a)の右側)に配置してもよい。
【0019】
また、図2(a)に示すように、固体電解質142の下面には絶縁層149が設けられ、この絶縁層149により大気通路150が形成されている。また、絶縁層149にはセンサ全体を加熱するためのヒータ151が埋設されている。そして、ポンプセル110、モニタセル120及びセンサセル130を含めたセンサ全体を活性状態にすべく、ヒータ151では外部からの給電により熱エネルギが発生される。
【0020】
上記構成のガス濃度センサ100において、排気ガスは多孔質拡散層147及びピンホール141aを通って第1チャンバ144に導入される。そして、この排気ガスがポンプセル110近傍を通過する際、ポンプセル110の電極111,112間に電圧が印加されることで分解反応が起こされ、第1チャンバ144内の酸素濃度に応じてポンプセル110を介して酸素が排出または汲み込まれる。なお、このとき、第1チャンバ144側の電極111がNOx 不活性電極であるので、ポンプセル110では排気ガス中のNOx は分解されず、酸素のみが分解されて大気通路150に排出される。そして、ポンプセル110に流れるポンプセル電流Ipにより、排気ガス中に含まれる酸素濃度が検出される。
【0021】
この後、ポンプセル110近傍を通過した排気ガスは第2チャンバ146に流れ込み、モニタセル120ではガス中の余剰酸素濃度に応じた出力が発生される。モニタセル120の出力は、このモニタセル120の電極121,122間に所定の電圧が印加されることで、モニタセル電流Imとして検出される。また、センサセル130の電極131,122間に所定の電圧が印加されることでガス中のNOx が還元分解され、このとき発生する酸素が大気通路148に排出される。この際、センサセル130に流れるセンサセル電流Isにより、排気ガス中に含まれるNOx 濃度が検出される。
【0022】
次に、本実施例の内燃機関のガス濃度検出装置の電気的な構成について、図1を参照して説明する。なお、図1は、上述の図2及び図3に示すガス濃度センサ100を用いたガス濃度検出装置であるが、モニタセル120及びセンサセル130の電極配置については、便宜上、横並びの状態で示す。
【0023】
図1において、制御回路200は、CPU、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、I/Oポート等からなる周知のマイクロコンピュータで構成されており、ポンプセル110、モニタセル120及びセンサセル130の印加電圧がD/Aコンバータ(D/A0〜D/A2)より適宜、出力される。また、制御回路200には、これらポンプセル110、モニタセル120及びセンサセル130に流れる電流を測定すべく、各端子Vc,Ve,Vd,Vb,Vg,Vhの電圧がA/Dコンバータ(A/D0〜A/D5)より各々入力される。そして、制御回路200では、ポンプセル110やセンサセル130による測定電流に基づく排気ガス中の酸素濃度やNOx 濃度が検出され、それらの検出値がD/Aコンバータ(D/A3,D/A4)より外部に出力される。
【0024】
回路構成について、詳しくは、ポンプセル110において一方の電極112には、基準電源201及びオペアンプ202により基準電圧Vaが印加され、他方の電極111には、オペアンプ203及び電流検出抵抗204を介して制御回路200からの指令電圧Vbが印加される。指令電圧Vbの印加に際し、排気ガス中の酸素濃度に応じてポンプセル110に電流が流れると、この電流が電流検出抵抗204により検出される。つまり、電流検出抵抗204の両端子電圧Vb,Vdが制御回路200に取込まれ、この電圧Vb,Vdによりポンプセル電流Ipが算出される。
【0025】
また、モニタセル120及びセンサセル130の共通電極122には、基準電源205及びオペアンプ206により基準電圧Vfが印加され、共通電極122と異なる方のセンサセル電極131には、オペアンプ207及び電流検出抵抗208を介して制御回路200からの指令電圧Vgが印加される。指令電圧Vgの印加に際し、排気ガス中のNOx 濃度に応じてセンサセル130に電流が流れると、この電流が電流検出抵抗208により検出される。つまり、電流検出抵抗208の両端子電圧Vg,Vhが制御回路200に取込まれ、この電圧Vg,Vhによりセンサセル電流Isが算出される。
【0026】
そして、共通電極122と異なる方のモニタセル電極121には、LPF(ローパスフィルタ)209、オペアンプ210及び電流検出抵抗211を介して制御回路200からの指令電圧Vcが印加される。指令電圧Vcの印加に際し、排気ガス中のNOx 濃度に応じてモニタセル120に電流が流れると、この電流が電流検出抵抗211により検出される。つまり、電流検出抵抗211の両端子電圧Vc,Veが制御回路200に取込まれ、この電圧Vc,Veによりモニタセル電流Imが算出される。なお、LPF209は、例えば、抵抗及びコンデンサからなる1次フィルタにて実現される。
【0027】
また、本実施例では、モニタセル120を対象に、掃引法を用いて素子抵抗に相当する素子インピーダンスが検出されるようになっている。つまり、モニタセル120のインピーダンス検出時において、制御回路200によりモニタセル印加電圧(指令電圧Vc)が正(+)側または負(−)側の少なくとも何れかに瞬間的に切換えられる。この印加電圧は、LPF209により正弦波的になまされつつモニタセル120に印加される。なお、交流電圧の周波数は10〔kHz〕以上が望ましく、LPF209の時定数は5〔μsec〕程度に設定される。そして、このときの電圧変化量と電流変化量とからモニタセル120の素子インピーダンスが算出される。
【0028】
更に、モニタセル120及びセンサセル130では、一方の電極が共通電極122として形成されているため、基準電圧側のドライブ回路が削減できるという利点や、ガス濃度センサ100からのリード線の取出し本数が削減できるという利点が得られる。また、モニタセル120とセンサセル130とは同じ固体電解質141で隣合って形成されているため、掃引時には隣の電極に電流が流れ、インピーダンスの検出精度が悪化することが懸念されるが、共通電極122が設けられていることで一方の電極が同電位となり、この影響が低減される。
【0029】
ところで、モニタセル120では残留酸素を検出する際に数〔μA〕程度の電流しか流れないのに対し、インピーダンス検出のための掃引時には数〔mA〕程度の電流が流れる。このオーダの異なる電流を同じ検出抵抗で検出すると、オーバレンジしたり、検出精度が悪くなったりする。そこで、本実施例では、モニタセル120による残留酸素検出時とインピーダンス検出時とで電流検出抵抗を切換えることとする。
【0030】
具体的には、電流検出抵抗211に並列に、別の電流検出抵抗212とスイッチ回路213(例えば、半導体スイッチ)とが設けられている。そして、制御回路200のI/Oポートからの出力により、スイッチ回路213がON(オン)/OFF(オフ)されるよう構成されている。この場合、通常のガス濃度検出時には、スイッチ回路213がOFF(開放)され、電流検出抵抗211による数100〔kΩ〕程度の抵抗でモニタセル電流Imが検出される。これに対し、インピーダンス検出時には、スイッチ回路213がON(閉鎖)され、電流検出抵抗211,212による数100〔Ω〕程度の抵抗でモニタセル電流Imが検出される。
【0031】
また、制御回路200内のCPUによって、制御指令値DutyがI/Oポートから出力されMOSFETドライバ251が駆動される。このとき、MOSFET252により電源253(例えば、バッテリ電源)からヒータ151へ供給される電力がPWM制御される。
【0032】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路200内のCPUにおけるガス濃度センサ100の各セルに対するヒータ制御の処理手順を示す図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、このヒータ制御ルーチンは制御回路200への電源投入に伴い所定時間毎にCPUにて繰返し実行される。
【0033】
図4において、まず、ステップS101では、前回のA/F(酸素濃度)及びNOx 濃度の検出時から所定時間Taが経過しているかが判定される。この所定時間Taは、A/F及びNOx 濃度の検出周期に相当する時間であって、例えば、Ta=4〔msec〕程度に設定される。ステップS101の判定条件が成立、即ち、所定時間Taが経過しているときにはステップS102に移行し、A/F及びNOx 濃度の検出処理が実行される。
【0034】
このA/F(酸素濃度)の検出処理では、その時々のポンプセル電流Ipに応じたポンプセル印加電圧が設定されると共に、その電圧印加時のポンプセル電流Ipが検出される。この検出されたポンプセル電流IpがA/F値に変換される。また、NOx 濃度の検出処理では、所定のセンサセル印加電圧が設定されると共に、その電圧印加時のセンサセル電流Isが検出される。この検出されたセンサセル電流IsがNOx 濃度値に変換される。
【0035】
次にステップS103に移行して、前回の素子インピーダンス検出時から所定時間Tbが経過しているかが判定される。この所定時間Tbは、素子インピーダンスZACの検出周期に相当する時間であって、例えば、運転状態に応じて128〔msec〕,2〔sec〕等の時間が選択的に設定される。ステップS103の判定条件が成立、即ち、所定時間Tbが経過しているときにはステップS104に移行し、後述の素子インピーダンスZACの検出処理が実行される。次にステップS105に移行して、ヒータ151に対する通電制御が実行され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS101の判定条件が成立せず、即ち、所定時間Taが未だ経過していないとき、またはステップS103の判定条件が成立せず、即ち、所定時間Tbが未だ経過していないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0036】
なお、ヒータ151に対する通電制御に関しては、素子インピーダンスZACが所望の目標値に一致するようヒータ151に通電制御されるものであれば、任意の制御手法が適用できる。一例としては、ガス濃度センサ100の素子温が低く、素子インピーダンスZACが比較的大きい場合には、例えば、デューティ比100〔%〕の全通電制御によりヒータ151に通電される。また、素子温が上昇すると、周知のPID制御手法等を用いて制御デューティ比が算出され、このデューティ比によりヒータ151に通電される。
【0037】
次に、上述の図4のステップS104における素子インピーダンスZACの検出処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
図5において、まず、ステップS201では、スイッチ回路213がOFFからONに切換えられる。これにより、それまで数100〔kΩ〕程度であった検出抵抗が数100〔Ω〕程度に切換えられる。次にステップS202に移行して、モニタセル120の印加電圧(指令電圧Vc)が操作され、それまでの残留酸素濃度検出用の印加電圧に対して電圧が正側に数10〜100〔μsec〕程度の時間で一時的に切換えられ変化される。
【0039】
次にステップS203に移行して、このときのモニタセル印加電圧の変化量とモニタセル電流Imの変化量とが読込まれる。次にステップS204に移行して、電圧変化量と電流変化量とから素子インピーダンスZAC(=電圧変化量/電流変化量)が算出される。次にステップS205に移行して、スイッチ回路213がONからOFFに戻されたのち、本ルーチンを終了する。
【0040】
これにより、以下に示すような効果が得られる。
【0041】
ガス濃度センサ100のモニタセル120を対象に素子インピーダンスZACが検出されるので、素子インピーダンスZACの検出に際し、センサセル130でのNOx 濃度検出が中断されることはない。即ち、NOx 濃度の不検出期間ができることはない。また同様に、ポンプセル110でのA/F検出(酸素濃度検出)が中断されることはなく、A/Fの不検出期間ができることもない。したがって、NOx 濃度検出やA/F検出に影響を及ぼすことなく素子インピーダンスZACを好適に検出することができる。
【0042】
また、この際、モニタセル120とセンサセル130とは近接した状態で配置されており、モニタセル120での素子インピーダンスZACに基づきヒータ151に対する通電制御が実行されることで、これらモニタセル120とセンサセル130とが共に所望の活性状態に保持されることとなる。つまり、センサセル130での温度変動が抑制され、この結果、NOx 濃度の検出精度が向上される。
【0043】
また、ガス濃度センサ100において、モニタセル120とセンサセル130とで一方の電極が共通化されており、共通電極ではない方のモニタセル電極で印加電圧が一時的に切換えられ、素子インピーダンスZACが検出される。このため、構成の簡素化を図りつつ、適正なる素子インピーダンス検出を実施することができる。但し、モニタセル120及びセンサセル130で共通電極を設けず、各セルで個別に電極を設けてもよい。この場合、モニタセル印加電圧を一時的に変化させる電極は、モニタセル120の何れの電極であってもよい。
【0044】
そして、モニタセル120による残留酸素濃度検出時と素子インピーダンス検出時とで、電流検出抵抗の抵抗値が切換えられるので、モニタセル120での電流検出に際し、オーバレンジしたり、検出精度が悪くなったりする等の不都合が解消される。
【0045】
次に、上述の図4のステップS104における素子インピーダンスZACの検出処理の変形例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
上述の素子インピーダンスZACの検出処理では、モニタセル120を対象に素子インピーダンスが検出されるのに対し、本変形例では、ポンプセル110を対象に素子インピーダンスが検出される。
【0047】
なお、内燃機関のガス濃度検出装置の構成上の違いとしては、ポンプセル110での素子インピーダンスの検出に際して、制御回路200から出力されるポンプセル印加電圧(指令電圧Vb)を正弦波的になますことができるよう制御回路200のD/A1にLPFが接続される。
【0048】
図6において、まず、ステップS301では、ポンプセル110の印加電圧(指令電圧Vb)が操作され、それまでのA/F検出用の印加電圧に対して電圧が正側に数10〜100〔μsec〕程度の時間で一時的に切換えられ変化される。次にステップS302に移行して、このときのポンプセル印加電圧の変化量とポンプセル電流Ipの変化量とが読込まれる。次にステップS303に移行して、電圧変化量と電流変化量とから素子インピーダンスZAC(=電圧変化量/電流変化量)が算出され、本ルーチンを終了する。
【0049】
ここで、ポンプセル110で素子インピーダンスZACが検出される場合、A/F検出時及びインピーダンス検出時には何れも数mA程度の電流が流れる。このため、上述の図1に示すようなスイッチ回路213を設けて検出抵抗の切換えを行なう必要はない。
【0050】
このように、本変形例でも、素子インピーダンスZACの検出に際し、同様にセンサセル130でのNOx 濃度検出が中断されることはない。即ち、NOx 濃度の不検出期間ができることはない。したがって、NOx 濃度検出に影響を及ぼすことなく、素子インピーダンスZACを好適に検出することができる。
【0051】
また、この場合、ポンプセル110が所望の活性状態に保持できるため、ポンプセル110での酸素排出機能が適正に作用し、チャンバ144内の残留酸素濃度を一定に保つことができ、NOx 濃度の検出精度が確保される。
【0052】
次に、本実施例のガス濃度センサ100のヒータ制御による各セルの劣化前及び劣化後における素子温度〔℃〕と素子抵抗〔Ω〕との関係について、図7に示す特性図を参照して説明する。
【0053】
図7において、ガス濃度センサ100のヒータ151への通電を制御するヒータ制御によって、各セルが劣化前から劣化後と徐々に劣化が進むに連れて、白抜き矢印にて『劣化』として示すように、各セルの素子抵抗の制御目標を一定に維持した場合、素子温度は高くなるという特性を有する。このように、各セルは素子温度が高くなると劣化が促進されてしまうため、各セルが活性状態を保持可能な素子温度より必要以上に高くならないようにすることが重要である。そこで、各セルの素子温度の上昇を抑え劣化前に維持するには、白抜き矢印にて『補正』として示すように、各セルの素子抵抗の制御目標を劣化の進み具合に連れて高く設定することで達成できる。
【0054】
次に、本実施例のガス濃度センサ100のヒータ制御によるセンサセル130の劣化前及び劣化後における素子温度〔℃〕とセンサセル電流Is〔nA〕との関係について、図8に示す特性図を参照して説明する。
【0055】
図8において、ガス濃度センサ100のヒータ151への通電を制御するヒータ制御によって、センサセル130が劣化前から劣化後へと徐々に劣化が進むに連れて、素子温度の制御目標を一定に維持した場合、センサセル130のセンサセル電流Isが増加するという特性を有する。このように、センサセル130は劣化が進むと素子温度の制御目標を一定に維持していると、センサセル130のセンサセル電流Isが大きくなってしまうため、センサセル130のセンサセル電流Isを劣化に連れて補正することが重要である。そこで、センサセル130のセンサセル電流Isを劣化前に維持するには、白抜き矢印にて『補正』として示すように、センサセル130のセンサセル電流Isを劣化の進み具合に連れて小さく設定することで達成できる。
【0056】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路200内のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順を示す図9のフローチャートに基づき、図10を参照して説明する。ここで、図10は図9におけるポンプセル110の素子抵抗Rps〔Ω〕の定常時からの変化量に応じてセンサセル130の電流補正量ISHOSEI 〔nA〕を算出するマップである。なお、この補正後センサセル電流演算ルーチンは制御回路200への電源投入に伴い所定時間毎にCPUにて繰返し実行される。
【0057】
図9において、ステップS401では、ガス濃度センサ100に導入された排気ガスのガス濃度に応じてセンサセル130に流れるセンサセル電流Isが検出される。次にステップS402に移行して、ポンプセル110の素子抵抗Rpsが検出される。このポンプセル110の素子抵抗Rpsの検出では、上述したように、ポンプセル110の印加電圧(指令電圧Vb)が操作され、それまでのA/F検出用の印加電圧に対して電圧が正側に数10〜100〔μsec〕程度の時間で一時的に切換えられ変化される。このときのポンプセル印加電圧の変化量とポンプセル電流Ipの変化量とが読込まれる。そして、ポンプセル110の素子抵抗Rpsは、この電圧変化量と電流変化量とから素子インピーダンスZAC(=電圧変化量/電流変化量)として検出される。
【0058】
次にステップS403に移行して、図10に示すマップに基づき、ステップS402で算出されたポンプセル110の素子抵抗Rpsの定常時からの変化量に応じて、センサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI が算出される。次にステップS404に移行して、ステップS401で検出されたセンサセル130のセンサセル電流IsにステップS403で算出されたセンサセル130の電流補正量ISHOSEI が加算され、センサセル130の補正後センサセル電流ISBHOSEIが算出され、本ルーチンを終了する。
【0059】
上述のように算出されたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI を用いたセンサセル電流Is補正について、図10及び図11を参照して説明する。ここで、図11は図9の処理に対応するヒータ制御セルであるモニタセル120の素子抵抗Rms〔Ω〕、ポンプセル110の素子抵抗Rps〔Ω〕及びセンサセル電流Is〔nA〕の遷移状態を示すタイムチャートである。
【0060】
図10に示すマップにより算出されたポンプセル110の素子抵抗Rpsの定常時からの変化量に応じたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、センサセル130のセンサセル電流Isが補正される。即ち、図11において、センサセル130の補正前(破線にて示す)におけるセンサセル電流Isが、ポンプセル110の素子抵抗Rpsの変化量に応じたセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、矢印にて示すように小さくなるよう補正される。これにより、ガス濃度センサ100のセンサセル130のセンサセル電流Isが各セルの経時的または一時的な影響を受けないよう適切に補正され、結果として、NOx 濃度を正確に検出することができる。
【0061】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路200内のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順の第1の変形例を示す図12のフローチャートに基づき、図13を参照して説明する。ここで、図13は図12におけるモニタセル120の素子抵抗Rms〔Ω〕の定常時からの変化量に応じてセンサセル130の電流補正量ISHOSEI 〔nA〕を算出するマップである。なお、この補正後センサセル電流演算ルーチンは制御回路200への電源投入に伴い所定時間毎にCPUにて繰返し実行される。
【0062】
図12において、ステップS501では、ガス濃度センサ100に導入された排気ガスのガス濃度に応じてセンサセル130に流れるセンサセル電流Isが検出される。次にステップS502に移行して、モニタセル120の素子抵抗Rmsが検出される。このモニタセル120の素子抵抗Rmsの検出では、上述したように、モニタセル120の印加電圧(指令電圧Vc)が操作され、それまでの残留酸素濃度検出用の印加電圧に対して電圧が正側に数10〜100〔μsec〕程度の時間で一時的に切換えられ変化される。このときのモニタセル印加電圧の変化量とモニタセル電流Imの変化量とが読込まれる。そして、モニタセル120の素子抵抗Rmsは、この際の電圧変化量と電流変化量とから素子インピーダンスZAC(=電圧変化量/電流変化量)として検出される。
【0063】
次にステップS503に移行して、図13に示すマップに基づき、ステップS502で算出されたモニタセル120の素子抵抗Rmsの定常時からの変化量に応じて、センサセル130の電流補正量ISHOSEI が算出される。次にステップS504に移行して、ステップS501で検出されたセンサセル130のセンサセル電流IsにステップS503で算出されたセンサセル130の電流補正量ISHOSEI が加算され、センサセル130の補正後のセンサセル電流ISBHOSEIが算出され、本ルーチンを終了する。
【0064】
上述のように算出されたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI を用いたセンサセル電流Is補正について、図13及び図14を参照して説明する。ここで、図14は図12の処理に対応するヒータ制御セルであるモニタセル120の素子抵抗Rms〔Ω〕及びセンサセル電流Is〔nA〕の遷移状態を示すタイムチャートである。
【0065】
図13に示すマップにより算出されたモニタセル120の素子抵抗Rmsの定常時からの変化量に応じたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、センサセル130のセンサセル電流Isが補正される。即ち、図14において、センサセル130の補正前(破線にて示す)におけるセンサセル電流Isが、モニタセル120の素子抵抗Rmsの変化量に応じたセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、矢印にて示すように大きくなるよう補正される。これにより、ガス濃度センサ100のセンサセル130のセンサセル電流Isが各セルの経時的または一時的な影響を受けないよう適切に補正され、結果として、NOx 濃度を正確に検出することができる。
【0066】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路200内のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順の第2の変形例を示す図15のフローチャートに基づき、図16を参照して説明する。ここで、図16は図15におけるモニタセル120の目標素子抵抗Rmsm 〔Ω〕の劣化前からの変化量に応じてセンサセル130の電流補正量ISHOSEI 〔nA〕を算出するマップである。なお、この補正後センサセル電流演算ルーチンは制御回路200への電源投入に伴い所定時間毎にCPUにて繰返し実行される。
【0067】
図15において、ステップS601では、ガス濃度センサ100に導入された排気ガスのガス濃度に応じてセンサセル130に流れるセンサセル電流Isが検出される。次にステップS602に移行して、モニタセル120の目標素子抵抗Rmsm が検出される。次にステップS603に移行して、図16に示すマップに基づき、ステップS602で算出されたモニタセル120の目標素子抵抗Rmsm の劣化前からの変化量に応じて、センサセル130の電流補正量ISHOSEI が算出される。次にステップS604に移行して、ステップS601で検出されたセンサセル130のセンサセル電流IsにステップS603で算出されたセンサセル130の電流補正量ISHOSEI が加算され、センサセル130の補正後のセンサセル電流ISBHOSEIが算出され、本ルーチンを終了する。
【0068】
上述のように算出されたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI を用いたセンサセル電流Is補正について、図16及び図17を参照して説明する。ここで、図17は図15の処理に対応するヒータ制御セルであるモニタセル120の素子抵抗Rms〔Ω〕及びセンサセル電流Is〔nA〕の遷移状態を示すタイムチャートである。
【0069】
図16に示すマップにより算出されたモニタセル120の目標素子抵抗Rmsm の劣化前からの変化量に応じたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、センサセル130のセンサセル電流Isが補正される。即ち、図17において、センサセル130の補正前(破線にて示す)におけるセンサセル電流Isが、モニタセル120の目標素子抵抗Rmsm の変化量に応じたセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、劣化後から白抜き矢印にて示すように劣化前へと小さくなるよう補正される。これにより、ガス濃度センサ100のセンサセル130のセンサセル電流Isが各セルの経時的な影響を受けないよう適切に補正され、結果として、NOx 濃度を正確に検出することができる。
【0070】
このように、本実施例及び変形例の内燃機関のガス濃度検出装置は、第1チャンバ144に導入した被検出ガス中の酸素を排出または汲み込むポンプセル110と、ポンプセル110を通過したのちのガスから特定ガス成分としてのNOx 濃度を検出するセンサセル130と、第2チャンバ146内の残留酸素濃度を検出するモニタセル120とを少なくとも有し、各セルを形成する固体電解質の素子抵抗に基づき各セルを活性状態に保持する複合型のガス濃度センサ100と、ガス濃度センサ100の少なくとも2つのセルに対して印加する電圧または電流を所定周期で一時的に切換え、そのときの電圧変化及び電流変化から各セルの素子抵抗を検出する制御回路200にて達成される素子抵抗検出手段と、前記素子抵抗検出手段で検出された各セルの素子抵抗のうち、所定のセルの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するように、セル全体対して設けられたヒータ151への通電を制御する制御回路200にて達成されるヒータ制御手段と、センサセル130に流れる電流を検出し、その検出値から特定ガス成分の濃度を逐次検出する制御回路200にて達成されるガス濃度検出手段と、前記ヒータ制御手段により所定のセルの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するよう制御する際、他のセルの素子抵抗または目標素子抵抗の変化量に応じて、または前記目標素子抵抗が所定範囲外となるとき、各セルの素子抵抗を補正する制御回路200にて達成される補正手段とを具備するものである。
【0071】
つまり、複合型のガス濃度センサ100のポンプセル110、モニタセル120、センサセル130のうちポンプセル110とモニタセル120とに対して印加する電圧または電流を所定周期で一時的に切換え、そのときの電圧変化及び電流変化からモニタセル120の素子抵抗Rmsとポンプセル110の素子抵抗Rpsとが検出される。そして、これらの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するようヒータ151への通電が制御され、センサセル130に流れる電流の検出値から特定ガス成分としてのNOx 濃度が逐次検出される。このとき、他のセルであるポンプセル110の素子抵抗Rpsの変化量またはモニタセル120の素子抵抗Rmsの変化量に応じて、所定のセルの検出値、即ち、センサセル130のセンサセル電流Isが補正される。これにより、ガス濃度センサ100のヒータ制御による各セルの素子抵抗の経時的または一時的な変動に伴うセンサセル130のセンサセル電流Isを適切に補正することができ、結果として、NOx 濃度の検出精度を向上することができる。
【0072】
また、本実施例及び変形例の内燃機関のガス濃度検出装置の制御回路200にて達成される素子抵抗検出手段は、センサセル130以外のセルであるポンプセル110及びモニタセル120を対象にそれらの素子抵抗Rms,Rpsを検出するものである。このため、ガス濃度センサ100の補正後センサセル電流算出の際にも、センサセル130によるNOx 濃度の検出が中断されることがなく、NOx 濃度検出に影響を及ぼすことがない。
【0073】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路200内のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順の第3の変形例を示す図18のフローチャートに基づき、図19を参照して説明する。ここで、図19は図18における排気温TEMPH〔℃〕の定常時からの変移量に応じてセンサセル130の電流補正量ISHOSEI 〔nA〕を算出するマップである。なお、この補正後センサセル電流演算ルーチンは制御回路200への電源投入に伴い所定時間毎にCPUにて繰返し実行される。
【0074】
図18において、ステップS701では、ガス濃度センサ100に導入された排気ガスのガス濃度に応じてセンサセル130に流れるセンサセル電流Isが検出される。次にステップS702に移行して、内燃機関の排気通路に配設された排気温センサ(図示略)によって、ガス濃度センサ100の近傍における排気ガスの排気温TEMPHが検出される。
【0075】
次にステップS703に移行して、図19に示すマップに基づき、ステップS702で算出された排気温TEMPHの定常時からの変化量に応じて、センサセル130の電流補正量ISHOSEI が算出される。次にステップS704に移行して、ステップS701で検出されたセンサセル130のセンサセル電流IsにステップS703で算出されたセンサセル130の電流補正量ISHOSEI が加算され、センサセル130の補正後のセンサセル電流ISBHOSEIが算出され、本ルーチンを終了する。
【0076】
上述のように算出されたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI を用いたセンサセル電流Is補正について、図19及び図20を参照して説明する。ここで、図20は図18の処理に対応する排気温TEMPH〔℃〕及びセンサセル電流Is〔nA〕の遷移状態を示すタイムチャートである。
【0077】
図19に示すマップにより算出された排気温TEMPHの定常時からの変化量に応じたセンサセル130のセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、センサセル130のセンサセル電流Isが補正される。即ち、図20において、センサセル130の補正前(破線にて示す)におけるセンサセル電流Isが、排気温TEMPHの変化量に応じたセンサセル電流補正量ISHOSEI に基づき、矢印にて示すように大きくなるよう補正される。これにより、ガス濃度センサ100のセンサセル130のセンサセル電流Isが各セルの経時的または一時的な影響を受けないよう適切に補正され、結果として、NOx 濃度を正確に検出することができる。
【0078】
このように、本変形例の内燃機関のガス濃度検出装置の制御回路200にて達成される補正手段は、内燃機関(図示略)の排気温TEMPHに基づき所定のセルであるセンサセル130のセンサセル電流Isを補正するものである。このため、ガス濃度センサ100の補正後センサセル電流算出の際にも、センサセル130によるNOx 濃度の検出が中断されることがなく、NOx 濃度検出に影響を及ぼすことがない。
【0079】
ところで、上記実施例及び変形例では、ヒータ制御にて所定のセルの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するよう制御する際、他のセルの素子抵抗または目標素子抵抗の変化量に応じて所定のセルの検出値を補正するとしたが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、他のセルの目標素子抵抗が予め設定された所定範囲外となるとき補正するようにしてもよい。
【0080】
また、内燃機関の排気通路に排気温センサを配設して排気ガスの排気温を直接検出するとしたが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、排気温センサを用いることなく、推定された排気温を適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置を示す概略構成図である。
【図2】 図2は図1のガス濃度センサの構成を示す詳細断面図である。
【図3】 図3は図2のモニタセル及びセンサセルの電極配置を示す断面図である。
【図4】 図4は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路のCPUにおけるガス濃度センサの各セルに対するヒータ制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 図5は図4における素子インピーダンスを検出する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 図6は図4における素子インピーダンスを検出する処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【図7】 図7は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で用いられているガス濃度センサのヒータ制御による各セルの素子温度と素子抵抗との関係を劣化前及び劣化後とで示す特性図である。
【図8】 図8は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で用いられているガス濃度センサのヒータ制御によるセンサセルの素子温度とセンサセル電流との関係を劣化前と劣化後とで示す特性図である。
【図9】 図9は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】 図10は図9におけるポンプセル素子抵抗の定常時からの変移量に応じてセンサセル電流補正量を算出するマップである。
【図11】 図11は図9の処理に対応する各セルの素子抵抗及びセンサセル電流等の遷移状態を示すタイムチャートである。
【図12】 図12は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順の第1の変形例を示すフローチャートである。
【図13】 図13は図12におけるモニタセル素子抵抗の定常時からの変移量に応じてセンサセル電流補正量を算出するマップである。
【図14】 図14は図12の処理に対応するモニタセル素子抵抗及びセンサセル電流の遷移状態を示すタイムチャートである。
【図15】 図15は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順の第2の変形例を示すフローチャートである。
【図16】 図16は図15におけるモニタセル目標素子抵抗の劣化前からの変移量に応じてセンサセル電流補正量を算出するマップである。
【図17】 図17は図15の処理に対応するモニタセル素子抵抗及びセンサセル電流の遷移状態を示すタイムチャートである。
【図18】 図18は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関のガス濃度検出装置で使用されている制御回路のCPUにおける補正後センサセル電流演算の処理手順の第3の変形例を示すフローチャートである。
【図19】 図19は図18における排気温の定常時からの変移量に応じてセンサセル電流補正量を算出するマップである。
【図20】 図20は図18の処理に対応する排気温及びセンサセル電流の遷移状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
100 ガス濃度センサ
110 ポンプセル
120 モニタセル
130 センサセル
144 第1チャンバ
146 第2チャンバ
151 ヒータ
200 制御回路

Claims (3)

  1. チャンバに導入した被検出ガス中の酸素を排出または汲み込むポンプセルと、前記ポンプセルを通過したのちのガスから特定ガス成分の濃度を検出するセンサセルと、前記チャンバ内の残留酸素濃度を検出するモニタセルとを少なくとも有し、各セルを形成する固体電解質の素子抵抗に基づき各セルを活性状態に保持する複合型のガス濃度センサと、
    前記ガス濃度センサの少なくとも2つのセルに対して印加する電圧または電流を所定周期で一時的に切換え、そのときの電圧変化及び電流変化から各セルの素子抵抗を検出する素子抵抗検出手段と、
    前記素子抵抗検出手段で検出された各セルの素子抵抗のうち、所定のセルの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するように、セル全体対して設けられたヒータへの通電を制御するヒータ制御手段と、
    前記センサセルに流れる電流を検出し、その検出値から特定ガス成分の濃度を逐次検出するガス濃度検出手段と、
    前記ヒータ制御手段により所定のセルの素子抵抗が所望の目標素子抵抗に一致するよう制御する際、他のセルの素子抵抗または目標素子抵抗の変化量に応じて、または前記目標素子抵抗が所定範囲外となるとき、前記所定のセルの検出値を補正する補正手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関のガス濃度検出装置。
  2. 前記素子抵抗検出手段は、前記センサセル以外のセルを対象に素子抵抗を検出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のガス濃度検出装置。
  3. 前記補正手段は、内燃機関の運転条件または排気温に基づき前記所定のセルの検出値を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のガス濃度検出装置。
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