JP5067469B2 - ガス濃度検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス濃度検出装置に係り、特に回路個体差等によるセンサ出力の誤差を解消するための技術に関するものである。
従来より、車両用エンジンより排出される排ガスを対象に同ガス中の酸素濃度(空燃比)を検出する限界電流式の空燃比センサ(いわゆるA/Fセンサ)が知られている。すなわち、空燃比センサは、固体電解質体よりなるセンサ素子を有し、該センサ素子への電圧印加に伴いその都度の酸素濃度に応じた素子電流を流すよう構成されている。この場合、センサ素子に流れる素子電流がセンサ回路にて計測され、センサ回路は素子電流に比例する酸素濃度信号を出力する。
ここで、空燃比センサやセンサ回路では特性ばらつきが存在しており、その特性ばらつきに起因して空燃比の検出精度が低下するという問題が生じる。この問題に対し、例えば特許文献1では、空燃比センサが非活性状態であることを判定し、該非活性状態である時のセンサ回路の出力値と基準出力値とから出力誤差を検出する。そして、この出力誤差に基づいて空燃比変換マップを校正するようにしていた。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、センサ非活性状態で計測したセンサ回路の出力値が必須要件であるため、空燃比センサの冷間始動時にしか回路誤差が検出できない。そのため、回路誤差の検出機会が制限されるという不都合が生じる。また、センサ回路の温度上昇時などにおいて回路誤差が検出できず、空燃比の検出精度が悪化することも考えられる。空燃比センサの非活性状態を完全に判定することは困難であるため、誤った補正を行ってしまうおそれもあった。
車両用ガソリンエンジンでは、特にストイキ(理論空燃比)近傍を精度良く検出することへの要望が高く、ストイキ近傍のみを領域拡大して精密に空燃比検出することも検討されている。こうした実状からも既存の技術では出力誤差の補正が十分であるとは言えず、改善の余地が多分に残されている。また、トリミング調整による回路誤差の低減も図られているが、抵抗の誤差が完全に調整しきれないなどやはり問題が残されている。
特許第3257319号公報
本発明は、任意のタイミングでセンサ回路の出力誤差の算出を可能とし、ひいてはガス濃度の検出精度向上を図ることができるガス濃度検出装置を提供することを主たる目的とするものである。
第1の構成では、通常時はセンサ回路が通常状態とされ、内燃機関からの排出ガスを対象にガス濃度検出が行われる。また、センサ回路が一時的に基準出力発生状態に切り替えられると、排出ガス雰囲気に関係なくセンサ回路が所定の基準出力を発生しようとする。そして、センサ回路が基準出力発生状態に切り替えられた後、その時発生するガス濃度出力と基準出力との差に基づいてガス濃度出力補正量が算出される。
この場合、ガス濃度センサやセンサ回路の特性ばらつき等が存在していると、センサ回路の出力に誤差が生じ、基準出力発生状態では、センサ回路の出力誤差分だけガス濃度出力が基準出力から外れる。基準出力発生状態で発生するガス濃度出力の誤差を求めれば、センサ回路の出力を基準出力(正常値)に修正するためのガス濃度出力補正量が好適に且つ容易に算出できる。こうしてガス濃度出力補正量が好適に算出できることから、ガス濃度の検出精度向上を図ることができる。また本構成では、補正量算出のためのデータがセンサ回路の状態切替により直ちに得られるため、センサ非活性時であることを条件に誤差検出を行う従来技術とは異なり、出力誤差の算出タイミングに制約は生じない。従って、任意のタイミングでセンサ回路の出力誤差の算出が可能となり、望み通りに高精度なガス濃度出力が得られるようになる。
ストイキ(理論空燃比)は、理論上、燃料が完全燃焼する空燃比であり、ストイキ燃焼後の排出ガスは酸素濃度=0(素子電流=0mA)となる。そのため、ストイキ検出状態では、本来素子電流=0mAに対応するガス濃度出力(ストイキ基準出力)が発生する。第2の構成では、基準出力発生状態への切替に際し、センサ回路がストイキ基準出力を発生するストイキ検出状態とされる。そして、その時発生するガス濃度出力とストイキ基準出力とに基づいてガス濃度出力補正量が算出される。この場合、素子電流=0mAとする状態は比較的容易に作り出すことができ、比較的簡易な手段にて所望の作用効果を得ることができる。
センサ回路をストイキ検出状態に切り替えるための具体的手段として、以下の第3〜6の構成がある。第3の構成では、センサ回路の電流経路に設けたスイッチ手段を開状態とすることで、センサ回路をストイキ検出状態とする。この場合、スイッチ手段の開放により素子電流が遮断され、素子電流=0mAのストイキ検出状態を作り出すことができる。
第4の構成では、センサ回路において、ガス濃度センサに接続される増幅回路の出力段スイッチ素子を強制的にオフ状態とすることで、センサ回路をストイキ検出状態としている。この場合、スイッチ素子をオフ状態とすることで素子電流が遮断され、素子電流=0mAのストイキ検出状態を作り出すことができる。なお、センサ回路において、増幅回路の出力段スイッチ素子をオン状態又はオフ状態とするための変更手段(例えばスイッチ素子としてのトランジスタ等)を設け、この変更手段により前記出力段スイッチ素子をオフ状態とする構成としても良い。
第5の構成では、ガス濃度センサの正負両側の接続端子に電流検出抵抗とスイッチ手段とをそれぞれ接続し、スイッチ手段を開状態とすることで、センサ回路をストイキ検出状態としている。つまり、素子電流=0mAのストイキ検出状態を作り出すことができる。特にこの場合、ガス濃度検出側(電流検出抵抗の接続側)とは反対側にスイッチ手段を接続するようにしたため、スイッチ開放に伴いガス濃度出力の変動が生じ、それがそのまま出力されてしまうといった不都合が抑制できる。
また、第6の構成では、ガス濃度センサに接続される正負両側の接続端子を同電位とすることで、センサ回路をストイキ検出状態としている。つまり、センサ印加電圧=0Vとなり、結果素子電流=0mAのストイキ検出状態を作り出すことができる。
上記のとおり出力誤差の算出タイミングは任意となるが、このとき具体的には、第7の構成のように、状態切替手段による基準出力発生状態への切替を所定の時間周期で実施すると良い。又は、第8の構成のように、状態切替手段による基準出力発生状態への切替を、内燃機関の制御システムにおいてガス濃度出力を要しない状態で実施すると良い。特に第8の構成では、制御システムにおける各種制御の実施に全く影響を及ぼすことなく、ガス濃度出力補正量の算出が実施できる。制御システムにおいてガス濃度出力を要しない状態とは、例えば、センサ出力により空燃比フィードバック制御を実施するシステムにおいて燃料カット中である場合や、センサ活性前である場合を含む。
また、センサ回路の温度が変化すると、抵抗値の変化等が生じるために出力誤差量が変化する。そのため、第9の構成のように、状態切替手段による基準出力発生状態への切替を、センサ回路の所定値以上の温度変化時に実施すると良い。つまり、センサ回路の温度変化を監視しておき、所定値以上の温度変化時に基準出力発生状態への切替を行い、ガス濃度出力補正量を算出する。
また、第10の構成のように、状態切替手段による基準出力発生状態への切替を、内燃機関の始動直後と停止時との少なくとも何れかに実施すると良い。内燃機関の停止時には、例えば制御装置等への電源遮断を一時的に遅らせて実行されるメインリレー制御において状態切替手段による切替が行われると良い。
第11の構成では、補正量算出手段により算出されたガス濃度出力補正量が逐次更新され保存される。このとき、ガス濃度出力補正量はその都度バックアップ用メモリに記憶されると良い。これにより、例えば内燃機関の始動後、ガス濃度出力補正量を算出する以前であっても、適正なガス濃度出力が得られるようになる。
センサ回路の温度が変化すると出力誤差量が変化するため、第12の構成のように、センサ回路の温度に対応付けてガス濃度出力補正量を保存すると良い。これにより、内燃機関の運転状態等に応じてセンサ回路の温度が変化しても、それに対応して適正なガス濃度出力が得られる。
また、センサ回路の出力誤差には、基準出力特性に対してほぼ一定量のオフセット誤差と、センサ電流に応じて変化するゲイン誤差とが含まれる。かかる場合、ゲイン誤差も含めて誤差補正を行うには、複数の基準出力点で誤差検出を行い、その結果からガス濃度出力補正量を算出すると良い。
第13の構成では、前記ガス濃度出力補正量が第1の誤差量として算出される。また、基準出力発生状態相当のガス雰囲気とは異なる所定の基準ガス雰囲気になったことが判定され、該基準ガス雰囲気となった時にセンサ回路にて発生するガス濃度出力とその時本来の基準出力とに基づいて第2の誤差量が算出される。そして、第1の誤差量と第2の誤差量とに基づいてガス濃度出力が補正される。この場合、センサ出力特性上の2点で誤差量が検出されることで、オフセット誤差だけでなくゲイン誤差も含んだ出力誤差を求めることができ、センサ回路の出力誤差が確実に補正できるようになる。これにより、ガス濃度の検出精度向上を図ることができる。
ここで、内燃機関の燃料カット時等では排ガスとして大気が排出される。この場合、第14の構成のように、内燃機関の排出ガスが大気相当のガス雰囲気になることを判定し、その際に前記第2の誤差量を算出すると良い。
第15の構成では、予め定めた2つのガス雰囲気又は当該ガス雰囲気相当のセンサ回路状態で、センサ回路にて発生するガス濃度出力とその時本来の基準出力とに基づいて第1,第2の誤差量が算出され、それら第1,第2の誤差量に基づいてガス濃度出力が補正される。この場合、センサ出力特性上の2点で誤差量が検出されることで、オフセット誤差だけでなくゲイン誤差も含んだ出力誤差を求めることができ、センサ回路の出力誤差が確実に補正できるようになる。これにより、ガス濃度の検出精度向上を図ることができる。
ここで、第16の構成のように、内燃機関の始動直後又は停止後にセンサ回路にて発生するガス濃度出力を基に第1の誤差量を算出すると共に、内燃機関の排出ガスが大気相当のガス雰囲気となった時にセンサ回路にて発生するガス濃度出力を基に第2の誤差量を算出すると良い。この場合、第1の誤差量の算出は、センサ非活性状態である内燃機関の始動直後又は停止後に実施されることの制約が生じるが、その第1の誤差量を内燃機関の始動時等に1回算出しておけば、その後は第2の誤差量の算出の都度、適正にガス濃度出力の補正が実施できる。
第17の構成では、第1の誤差量と第2の誤差量とがそれぞれ逐次更新され保存される。このとき、第1の誤差量と第2の誤差量はその都度バックアップ用メモリに記憶されると良い。これにより、例えば内燃機関の始動後、各誤差量が算出される以前であっても、ガス濃度出力が好適に補正でき、適正にガス濃度が検出できるようになる。
センサ回路の温度が変化すると出力誤差量が変化するため、第18の構成のように、センサ回路の温度に対応付けて第1の誤差量や第2の誤差量を保存すると良い。これにより、内燃機関の運転状態等に応じてセンサ回路の温度が変化しても、それに対応して適正なガス濃度出力が得られる。
センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 センサ素子の構成を示す断面図である。 A/Fセンサの出力特性を示す図である。 センサ制御回路の出力特性を示す図である。 A/F出力電圧補正処理を示すフローチャートである。 センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 センサ制御回路の出力特性を示す図である。 A/F出力電圧補正処理を示すフローチャートである。 別のA/Fセンサの素子構造を示す断面図である。 センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 別のA/Fセンサの素子構造を示す断面図である。 センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 センサ制御回路の電気的構成を示す回路図である。 ガソリンエンジンの排ガス浄化特性を示す図である。 ディーゼルエンジンのO2濃度と排ガス濃度との関係を示す図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明のガス濃度検出装置を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、車載エンジンより排出される排ガス(燃焼ガス)を被検出ガスとして同ガス中の酸素濃度(空燃比、以下A/Fとも言う)を検出する空燃比検出装置を具体化しており、空燃比の検出結果はエンジンECU等により構成される空燃比制御システムにて用いられる。空燃比制御システムでは、空燃比をストイキ近傍でフィードバック制御するストイキ燃焼制御や、同空燃比を所定のリーン領域でフィードバック制御するリーン燃焼制御等が適宜実現される。
先ずはじめに、ガス濃度センサとしてのA/Fセンサの構成を図2を用いて説明する。本A/Fセンサは積層型構造のセンサ素子10を有し、図2にはセンサ素子10の断面構成を示す。実際には当該センサ素子10は図2の紙面直交方向に延びる長尺状をなし、素子全体がハウジングや素子カバー内に収容される構成となっている。
センサ素子10は、固体電解質11、拡散抵抗層12、遮蔽層13及び絶縁層14を有し、これらが図の上下に積層されて構成されている。同素子10の周囲には図示しない保護層が設けられている。長方形板状の固体電解質11(固体電解質体)は部分安定化ジルコニア製のシートであり、その固体電解質11を挟んで上下一対の電極15,16が対向配置されている。電極15,16は白金Pt等により形成されている。拡散抵抗層12は電極15へ排ガスを導入するための多孔質シートからなり、遮蔽層13は排ガスの透過を抑制するための緻密層からなる。これら各層12,13は何れも、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスをシート成形法等により成形したものであるが、ポロシティの平均孔径及び気孔率の違いによりガス透過率が相違するものとなっている。
絶縁層14はアルミナ、ジルコニア等のセラミックスからなり、電極16に対面する部位には大気ダクト17が形成されている。また、同絶縁層14には白金Pt等により形成されたヒータ18が埋設されている。ヒータ18は、バッテリ電源からの通電により発熱する線状の発熱体よりなり、その発熱により素子全体を加熱する。なお以下の説明では場合によって、電極15を拡散層側電極、電極16を大気側電極とも言うこととする。本実施の形態では、大気側電極16に接続される端子を正側端子(+端子)、拡散層側電極15に接続される端子を負側端子(−端子)としている。
上記センサ素子10において、その周囲の排ガスは拡散抵抗層12の側方部位から導入されて拡散層側電極15に達する。排ガスがリーンの場合、排ガス中の酸素は電極15,16間の電圧印加により拡散層側電極15で分解され、イオン化されて固体電解質11を通過した後、大気側電極16より大気ダクト17に排出される。このとき、大気側電極16→拡散層側電極15の向きに電流(正電流)が流れる。また、排ガスがリッチの場合、逆に大気ダクト17内の酸素が大気側電極16で分解され、イオン化されて固体電解質11を通過した後、拡散層側電極15より排出される。そして、排ガス中のHCやCO等の未燃成分と触媒反応する。このとき、拡散層側電極15→大気側電極16の向きに電流(負電流)が流れる。
図3は、A/Fセンサについての基本的な電圧−電流特性(V−I特性)を示す図面である。図3において、電圧軸(横軸)に平行な平坦部分はセンサ素子10の素子電流Ip(限界電流)を特定する限界電流域であって、この素子電流Ipの増減が空燃比の増減(すなわち、リーン・リッチの程度)に対応している。つまり、空燃比がリーン側になるほど素子電流Ipは増大し、空燃比がリッチ側になるほど素子電流Ipは減少する。
このV−I特性において、限界電流域よりも低電圧側は抵抗支配域となっており、抵抗支配域における一次直線部分の傾きはセンサ素子10の直流内部抵抗Riにより特定される。直流内部抵抗Riは素子温に応じて変化し、素子温が低下すると直流内部抵抗Riが増大する。すなわちこのとき、抵抗支配域の一次直線部分の傾きが小さくなる(直線部分が寝た状態となる)。また、素子温が上昇すると直流内部抵抗Riが減少する。すなわちこのとき、抵抗支配域の一次直線部分の傾きが大きくなる(直線部分が立った状態となる)。図中のRGは、センサ素子10への印加電圧Vpを決定するための印加電圧特性(印加電圧線)を表している。
次に、本発明の主要部たるセンサ制御系の構成を図1を参照しながら説明する。そのセンサ制御系にはマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)20とセンサ制御回路30とが設けられ、これらによりA/Fセンサ(センサ素子10)の検出結果に基づきA/Fの検出やセンサ素子10のインピーダンス(素子インピーダンスZac)の検出が実施される。
図1において、マイコン20は、CPU、各種メモリ、A/D変換器、I/Oポート等を備える周知の論理演算回路にて構成されており、後述するセンサ制御回路30により検出した電流信号(アナログ信号)をA/D変換器を介して取り込み、A/F値の演算や素子インピーダンスZacの演算を適宜実施する。同マイコン20により演算されたA/F値は、例えば図示しないエンジンECUに出力され、空燃比フィードバック制御等に使用される。
また、センサ制御回路30において、センサ素子10の大気側電極16に接続された正側端子には、オペアンプ31及び電流検出抵抗32を介して基準電源33が図示の如く接続され、同センサ素子10の拡散層側電極15に接続された負側端子には、オペアンプ34及びスイッチ35を介して印加電圧制御回路36が接続されている。この場合、電流検出抵抗32の一端のA点は基準電圧Vf(例えば2.2V)と同じ電圧に保持される。素子電流Ipは電流検出抵抗32を介して流れ、素子電流Ipに応じてB点の電圧が変化する。スイッチ35がON(閉鎖)された状態において、排ガスがリーンであれば、センサ素子10には正側端子から負側端子に向けて素子電流Ipが流れるためB点電圧が上昇し、逆にリッチであれば、センサ素子10には負側端子から正側端子に向けて素子電流Ipが流れるためB点電圧が低下する。
印加電圧制御回路36は、B点電圧をモニタすると共にその電圧値に応じてセンサ素子10に印加すべき電圧を決定(例えば、図3の印加電圧特性RGに基づき決定)し、オペアンプ34及びスイッチ35を介してD点電圧を制御する。但し、ストイキ近傍のみでA/F検出を行う場合、印加電圧固定とすることも可能である。
また、基準電源33にはオペアンプ37が接続され、このオペアンプ37の出力とB点電圧とが所定増幅率のオペアンプ(差動増幅器)38に入力される。オペアンプ38は基準電圧VfとB点電圧との電圧差を増幅し、その結果をA/F出力電圧AFOとして出力する。この場合、オペアンプ38において基準電圧VfとB点電圧との電圧差を増幅する構成として、オペアンプ38にA点電圧とB点電圧とを入力する構成も考えられるが、かかる構成ではオペアンプ38の帰還電流が電流検出抵抗32に流れ、空燃比検出に誤差が生じるおそれがある。これに対し、本構成ではオペアンプ38にオペアンプ37の出力とB点電圧とを入力するため、オペアンプ37が帰還電流吸収素子として機能し、空燃比検出に対する悪影響が排除できる。
なお、電流検出抵抗32のB点端子からオペアンプ38への経路にはスイッチ40とコンデンサ41とが図示の如く設けられている。この場合、後述するインピーダンス検出時にはスイッチ40がOFF(開放)され、そのスイッチOFF時におけるB点電圧がコンデンサ41にて記憶保持される。これにより、インピーダンス検出時において、センサ素子10への印加電圧が交流的に変化してもその影響によりオペアンプ38の出力が不用意に変化し空燃比検出に悪影響が及ぶといった不都合が回避できる。また、インピーダンス検出時にあっても適正な空燃比出力(実際にはスイッチOFF直前の電流信号)が得られるようになる。
マイコン20は、A/F出力電圧AFOをA/Dポートより取り込み、該取り込んだA/F出力電圧AFOに基づいてその都度のA/F値を算出する。このA/F値は空燃比フィードバック制御等に適宜用いられる。
また、マイコン20は、センサ素子10への印加電圧を一時的に交流的に変化させる旨指令し、その際の電流変化量に基づき素子インピーダンスZacを検出する。より具体的には、インピーダンス検出に際し、印加電圧制御回路36がマイコン20からの指令を受け、センサ素子10への印加電圧(図のD点電圧)を所定幅(例えば0.2V)で正負両側に変化させる。このとき、マイコン20は、印加電圧変化に伴うB点電圧の変化を計測し、印加電圧変化量ΔVと、B点電圧変化量を電流検出抵抗32の抵抗値で割った電流変化量ΔIとから素子インピーダンスZacを演算する(Zac=ΔV/ΔI)。なお、インピーダンス検出に際し、センサ素子10に流す電流を交流的に変化させ、その際の電流又は電圧の変化量から素子インピーダンスZacを演算する構成とすることも可能である。
インピーダンス検出は所定の周期で(すなわち所定時間毎に)実施され、その実施のタイミングがマイコン20から印加電圧制御回路36に対して指令される。また、マイコン20は、素子インピーダンスZacが所定の目標値に保持されるようヒータ18への通電を制御する。これにより、センサ素子10が所定の活性状態に保持されるようになる。
ところで、A/Fセンサとセンサ制御回路30では、センサ自体の特性ばらつきや回路特性ばらつき等を要因とする個体差が存在し、この個体差によりセンサ出力精度が低下する。図4は、素子電流Ipに対するA/F出力電圧AFOの出力特性を示しており、同図4では、本来の基準出力特性を実線で、基準出力特性に対してオフセット誤差を有する出力特性を一点鎖線で示している。この場合、基準出力特性によれば、ストイキ状態(Ip=0mA)でAFO=2.2Vとなり、大気状態(Ip=2.6mA)でAFO=4.1Vとなる。これに対し、オフセット誤差が生じると、そのオフセット誤差分だけA/F出力電圧AFOが大きくなってしまう。本実施の形態では、オフセット誤差によるセンサ出力の精度低下を解消すべく、かかるオフセット誤差分の補正を実施する。
ストイキ状態ではIp=0mAであり、その時基準出力はAFO=2.2Vであることが既知であるため、センサ制御回路30を強制的にストイキ検出状態とし、かかる状態下でオフセット誤差を求めることとする。具体的には、通常のエンジン運転途中において、オペアンプ34の出力側に設けたスイッチ35を一時的にOFF(開放)し、その時のA/F出力電圧AFOを計測する。そして、該計測したA/F出力電圧AFOによりオフセット誤差K1を算出し、そのオフセット誤差K1を「ガス濃度出力補正量」として適宜用いることで誤差分のないAFO出力電圧AFOを取得するようにしている。なお、スイッチ35をON(閉鎖)した状態が「通常状態」に相当し、スイッチ35をOFF(開放)した状態が「基準出力発生状態」に相当する。
図5は、A/F出力電圧補正処理を示すフローチャートであり、本処理はマイコン20により所定の時間周期で実行される。
図5において、先ずステップS101では、学習タイミングであるか否かを判別する。この学習タイミングは、センサ制御回路30を一時的にストイキ検出状態としてオフセット誤差K1を学習するタイミングであり、例えば、所定時間が経過する度に学習タイミングであると判別される。例えば所定時間=10分程度とすれば良いが、これに限定されず、所定時間=数10分、1〜数時間とするなど適宜設定できる。また、空燃比制御等でA/F値を使わない状態下で学習タイミングを設定しても良い。例えば、A/Fセンサの活性前、燃料カット中、イグニッションOFF後のメインリレー制御時などで学習タイミングを設定する。なおここでは、データの更新及び保存を行う処理を「学習」と言う。
学習タイミングである場合、ステップS102に進み、スイッチ35に対して切替信号を出力し、当該スイッチ35を所定時間(例えば5msec程度)だけOFF(開放)する。そして続くステップS103では、その時のA/F出力電圧AFOを取り込む。ステップS104では、前記取り込んだA/F出力電圧AFOとストイキ規定電圧Vstとからオフセット誤差K1を算出する(K1=AFO−Vst)。なお、ストイキ規定電圧Vstは、ストイキ状態で本来出力されるべきAFO基準出力であり、本実施の形態ではVst=2.2Vである。ステップS105では、オフセット誤差K1をスタンバイRAMに格納する。
一方、ステップS101がNOの場合、ステップS106に進み、その時のA/F出力電圧AFOを取り込む。続くステップS107では、A/F出力電圧AFOをオフセット誤差K1により補正する(AFO=AFO−K1)。そして、こうして算出された補正後のA/F出力電圧AFOにより空燃比フィードバック制御等が実施される。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
センサ制御回路30をスイッチ35の開放により一時的にストイキ検出状態とし、その際検出したA/F出力電圧AFOによりオフセット誤差K1(ガス濃度出力補正量)を学習する構成としたため、オフセット誤差K1が好適に検出でき、A/Fの検出精度向上を図ることができる。また本構成では、センサ非活性時であることを条件に誤差検出を行う従来技術とは異なり、オフセット誤差K1の学習タイミングに制約は生じない。従って、任意のタイミングで出力誤差の学習が可能となり、望み通りに高精度なA/F出力が得られるようになる。
A/F検出精度の向上により空燃比のストイキ制御精度が向上し、ひいては排気エミッションの改善等を実現することができる。つまり、図16に示すように、本来、A/Fがストイキで制御されていれば、排ガス中の3成分(HC,CO,NOx)の浄化率が高められるが、例えばA/F出力特性がA(補正前)となる場合、特にNOx浄化率が大幅に悪化する。これに対し、上記補正により確実にストイキ制御が実施できれば、A/F出力特性がB(補正後)となり、排ガス中の3成分(HC,CO,NOx)について高い浄化率が維持できる。
また、オフセット誤差K1を逐次学習(更新及び保存)するようにしたため、例えばエンジン始動の直後であっても、A/F出力電圧AFOの補正を実施することができ、適正なA/F出力が得られるようになる。
ところで、前記図1の回路構成では、センサ素子10の正側端子に電流検出抵抗32を接続し、同負側端子に印加電圧制御回路36を接続したが、この構成を変更する。例えば図6の回路構成とする。図6に示すセンサ制御回路50は、基本的にセンサ素子10の正側及び負側の回路構成を入れ替えたものであり、図6には要部構成のみを示している。以下、前記図1との相違点を中心に説明する。
センサ素子10の負側端子には、オペアンプ51及び電流検出抵抗52を介して基準電源53が図示の如く接続され、正側端子にはオペアンプ54及びスイッチ55を介して印加電圧制御回路56が接続されている。この場合、電流検出抵抗52の一端のA点は基準電源53の基準電圧(例えば2.2V)と同じ電圧に保持される。素子電流Ipは電流検出抵抗52を介して流れ、素子電流Ipに応じてB点の電圧が変化する。排ガスがリーンの場合、センサ素子10には+→−の向きに素子電流Ipが流れるためB点電圧が下降し、逆にリッチの場合、センサ素子10には−→+の向きに素子電流Ipが流れるためB点電圧が上昇する。
印加電圧制御回路56は、B点電圧をモニタすると共にその電圧値に応じてセンサ素子10に印加すべき電圧を決定するようにして印加電圧制御を実施する。図のA点及びB点にはオペアンプ(差動増幅器)57が接続されており、オペアンプ57からマイコン20にA/F出力電圧AFOが出力される。
図6の回路構成にあっても、前記図5のA/F出力電圧補正処理により、オフセット誤差K1の学習やA/F出力電圧AFOの補正が実施される。すなわち、センサ制御回路50がスイッチ55の開放により一時的にストイキ検出状態とされ、その際検出されたA/F出力電圧AFOによりオフセット誤差K1(ガス濃度出力補正量)が学習される。そして、通常時に検出されるA/F出力電圧AFOがオフセット誤差K1により補正される。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、A/F出力電圧AFOのオフセット誤差分を補正する手法について説明したが、実際のセンサ制御回路では、オフセット誤差の他に、オペアンプのゲイン調整ずれ等によりゲイン誤差が生じると考えられる。これを図7を用いて説明する。ゲイン誤差はストイキ状態で0であり、A/F出力電圧AFOが増大するほどほぼ比例的に大きくなる。この場合、ストイキ状態ではAFO出力誤差としてオフセット誤差が含まれ、大気状態ではAFO出力誤差としてオフセット誤差+ゲイン誤差が含まれる。本実施の形態では、ストイキ状態と大気状態との2点のAFO出力誤差を求め、その差からゲイン誤差を算出する。そして、オフセット誤差及びゲイン誤差の両方を対象に誤差補正を実施する。
図8は、本実施の形態におけるA/F出力電圧補正処理を示すフローチャートであり、本処理はマイコン20により所定の時間周期で実行される。本処理の実施に際し、例えば前記図5によりオフセット誤差K1が別途算出され、既にスタンバイRAMに格納されているものとする。
図8において、ステップS201では、今現在燃料カット中であるか否かを判別し、燃料カット中であることを条件にステップS202に進む。このとき、燃料カット中であることは、大気時ゲイン誤差K2の学習条件が成立していることに相当する。ステップS202では、その時のA/F出力電圧AFOを取り込み、続くステップS203では、前記取り込んだA/F出力電圧AFOと大気時規定電圧Vairとから大気時誤差量ΔVを算出する(ΔV=AFO−Vair)。なお、大気時規定電圧Vairは、大気状態(燃料カット状態)で本来出力されるべきAFO基準出力であり、本実施の形態ではVair=4.1Vである。
その後、ステップS204では、大気時誤差量ΔVからオフセット誤差K1を減算して大気時ゲイン誤差K2を算出する(K2=ΔV−K1)。ステップS205では、大気時ゲイン誤差K2をスタンバイRAMに格納する。すなわち、大気時ゲイン誤差K2を学習する。
一方、ステップS201がNOの場合、すなわち燃料カット中でなく通常制御時である場合、ステップS206に進み、その時のA/F出力電圧AFOを取り込む。ステップS207では、オフセット誤差K1と大気時ゲイン誤差K2とを読み込み、続くステップS208では、これら各誤差K1,K2からAFO補正値Kafを算出する。このとき、ゲイン誤差は、ストイキ時=0、大気時=K2であり、補間等によりその都度の空燃比に対応するゲイン誤差K2aを算出する。そして、オフセット誤差K1とゲイン誤差K2aとからAFO補正値Kafを算出する(Kaf=K1+K2a)。
その後、ステップS209では、A/F出力電圧AFOをAFO補正値Kafにより補正する(AFO=AFO−Kaf)。そして、こうして算出された補正後のA/F出力電圧AFOにより空燃比フィードバック制御等が実施される。
以上第2の実施の形態によれば、センサ制御回路30をストイキ検出状態にして算出したオフセット誤差K1(第1の誤差量)と、燃料カット時における大気状態下で算出した大気時ゲイン誤差K2(第2の誤差量)とに基づいてA/F出力電圧AFOを補正する構成としたため、A/Fの検出精度向上を図ることができる。
また、オフセット誤差K1と大気時ゲイン誤差K2とを逐次学習するようにしたため、例えばエンジン始動の直後であっても、A/F出力電圧AFOの補正を実施することができ、適正なA/F出力が得られるようになる。
(第3の実施の形態)
前記実施の形態では、図2のセンサ素子構造を有するA/Fセンサについて説明したが、他のセンサ素子構造を有するA/Fセンサに適用することも可能である。図9に示すセンサ素子60では、2層の固体電解質61,62を有しており、一方の固体電解質61には一対の電極63,64が対向配置され、他方の固体電解質62には一対の電極65,66が対向配置されている。なお、電極63〜65は図の左右対象に2カ所に見えるが、それらは紙面の前後何れかの部位で連結された同一部材である。本センサ素子60では、固体電解質61及び電極63,64により「第1セル」としてのポンプセル71が構成され、固体電解質62及び電極65,66により「第2セル」としてのモニタセル72が構成されている。各電極63〜66はセンサ制御回路80に接続されている。センサ素子60が積層構造を有することは、前述のセンサ素子10と同じである。図9において、符号67はガス導入孔、符号68は多孔質拡散層、符号69は大気ダクト、符号70はヒータである。モニタセル72は、一般に起電力セル、酸素濃度検出セルとも称される。
上記センサ素子構造のA/Fセンサにおいて、モニタセル72は、排ガスがストイキに対してリーンかリッチかに応じて2値(0V又は0.9V)の起電力出力を発生する。例えばリーンである場合、モニタセル72の起電力出力が小さくなり、逆にリッチである場合、モニタセル72の起電力出力が大きくなる。かかる場合において、モニタセル72の起電力出力がストイキ値(0.45V)になるようにポンプセル71の印加電圧が制御される。
図10は、上記図9のセンサ素子構造を有するA/Fセンサについてセンサ制御回路80の構成を示す回路図である。図10において、VMはポンプセル71及びモニタセル72の共通端子であり、その共通端子VMには基準電圧電源81が接続されている。基準電圧電源81の基準電圧は例えば2.5Vである。また、IPはポンプセル71の電極63に接続されるポンプセル端子、UNはモニタセル72の電極66に接続されるモニタセル端子である。これら各端子IP,UNには、各セル71,72を通じてオペアンプ82及び電流検出抵抗83を有する閉回路が接続されており、オペアンプ82の非反転端子(+端子)には基準電圧(3.0V)を生成する基準電圧電源84が接続されている。
リーン時にはB→Aの向きに電流検出抵抗83に電流が流れ、逆にリッチ時にはA→Bの向きに電流検出抵抗83に電流が流れる。かかる場合、モニタセル72の出力電圧が所定値になるようポンプセル71がフィードバック制御されるようになっている(但し、フィードバック制御回路については既に種々公開されておりここでは図示及び詳細な説明を省略する)。
電流検出抵抗83の両端子A点,B点には、所定増幅率のオペアンプ85が接続されている。このオペアンプ85の出力がA/F出力電圧AFOとされる。
また、オペアンプ82の正負両側の入力端子間にはスイッチ87が設けられる一方、共通端子VMにはスイッチ88が接続され、モニタセル端子UNにはスイッチ89が接続されている。スイッチ87は常開式のスイッチであり、切替信号1により開閉状態が制御される。また、スイッチ88,89は何れも常閉式のスイッチであり、切替信号2により開閉状態が制御される。
上記構成では、通常のA/F検出時においてはスイッチ87をOFF(開放)、スイッチ88,89をON(閉鎖)することで、その都度のA/Fに応じたA/F出力電圧AFOが計測できる。また、学習タイミングでは、一時的にスイッチ87をON(閉鎖)、スイッチ88,89をOFF(開放)することで、その時のA/F出力電圧AFOからセンサ制御回路80のオフセット誤差が算出できる。なお、説明は省略するが、ゲイン誤差の算出も前記同様実施できる。
上記図10のセンサ制御回路80では、電流検出抵抗83の両端子のA点電圧、B点電圧は何れも固定されず変動するが、以下の図11に示すセンサ制御回路90では電流検出抵抗の一方の端子電圧が固定できる。
図11において、ポンプセル71及びモニタセル72の共通端子にはオペアンプ93を通じて基準電圧Vf1と同等の電圧(例えば3V)が印加される。つまり、図のB点電圧は3V固定となる。また、モニタセル72を通じてフィードバック回路91及び電流検出抵抗92を有する閉回路が構成されている。フィードバック回路91内の基準電圧Vf2は例えば2.55Vである。
センサ制御回路90の動作をリッチ時を例に説明する。リッチ時には、モニタセル72の起電力により図のC1点が例えば3.45Vに上がるため、フィードバック回路91内のC2点の電位が下がる。すると、フィードバック回路91の出力、すなわちA点電圧が上昇する。つまり、リッチ時にはA→Bの向きに電流検出抵抗92に電流が流れる。逆に、リーン時にはB→Aの向きに電流検出抵抗92に電流が流れる。また、電流検出抵抗92の両端子A点、B点には所定の増幅率を有するオペアンプ94が接続されている。
また、フィードバック回路91内のオペアンプ95の正負両側の入力端子間にはスイッチ96が設けられる一方、モニタセル72とフィードバック回路91との間にはスイッチ97が設けられている。スイッチ96は常開式のスイッチであり、切替信号1により開閉状態が制御される。また、スイッチ97は常閉式のスイッチであり、切替信号2により開閉状態が制御される。
上記構成では、通常のA/F検出時においてはスイッチ96をOFF(開放)、スイッチ97をON(閉鎖)することで、その都度のA/Fに応じたA/F出力電圧AFOが計測できる。また、学習タイミングでは、一時的にスイッチ96をON(閉鎖)、スイッチ97をOFF(開放)することで、その時のA/F出力電圧AFOからセンサ制御回路90のオフセット誤差が検出できる。
他の構成のA/Fセンサを図12に示す。図12のセンサ素子100では、3層の固体電解質101,102,103を有し、固体電解質101には一対の電極104,105が対向配置され、固体電解質102には一対の電極106,107が対向配置されている。本センサ素子100では、固体電解質101及び電極104,105により「第1セル」としてのポンプセル111が構成され、固体電解質102及び電極106,107により「第2セル」としてのモニタセル112が構成されている。また、固体電解質103は、酸素基準室108を確保するための壁材を構成している。センサ素子100が積層構造を有することは、前述のセンサ素子10等と同じである。図12において、符号109は多孔質拡散層、符号110はガス検出室である。なお、モニタセル112は、前記図9のモニタセル72と同様、一般に起電力セル、酸素濃度検出セルとも称される。上記構成のセンサ素子100であっても同様に本発明が適用できる。
更に、積層型構造のA/Fセンサに限らず、コップ型構造のA/Fセンサに本発明を適用したりすることも可能である。また、排ガス中の酸素濃度に応じてセンサ素子の電極間に起電力を発生させるようにした、いわゆるO2センサにも適用できる。
また、酸素濃度を検出対象とするA/Fセンサ以外に、他の成分濃度を検出対象とするガス濃度センサにも本発明が適用できる。例えば、複合型のガス濃度センサは、固体電解質体にて形成された複数のセルを有し、そのうちポンプセルでは、チャンバ内に導入した被検出ガス中の酸素を排出又はくみ出すと共に酸素濃度を検出し、センサセルでは酸素排出後のガスから特定成分濃度を検出する。これに加え、チャンバ内の残留酸素濃度に応じて起電力信号を出力するモニタセルを有するガス濃度センサであっても良い。このガス濃度センサは、例えば排ガス中のNOx濃度を検出するNOxセンサとして具体化されるものであり、本発明の適用により、NOxセンサについて好適なNOx濃度検出が可能となる。
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
センサ制御回路を一時的にストイキ検出状態とする構成として、図13,図14の構成が適用できる。なお図13,図14は、前記図1の構成においてセンサ素子10に接続される−端子側の要部構成を示す。図13には、センサ−端子側に接続されたオペアンプ34の詳細な回路構成を示しており、その出力段に設けられたトランジスタ151,152(出力段スイッチ素子)は、トランジスタ153,154により作動状態が切替制御される。この場合、切替信号をONすることでトランジスタ153,154がONし、トランジスタ151,152の作動がOFFされる。これにより、センサ制御回路が一時的にストイキ検出状態とされる。
また、図14では、2つのトランジスタ161,162の間にセンサ−端子への接続点を挟んで2つのMOSFET163,164が設けられており、MOSFET163,164のゲート入力がスイッチ165により切替制御されるようになっている。この場合、切替信号をONすることでスイッチ165がONし、MOSFET163,164がOFFする。これにより、センサ−端子に繋がる電気経路が開放され、センサ制御回路が一時的にストイキ検出状態とされる。
また、図15では、センサ素子10に接続される正負両側の接続端子を同電位とすることで、センサ制御回路をストイキ検出状態としている。なお、図15は前記図1の構成の一部を変更したものである。つまり、印加電圧制御回路36とオペアンプ34との間にはスイッチ171が設けられ、このスイッチ171は切替信号により切替制御される。この場合、スイッチ171をx接点からy接点に切り替えることにより、センサ素子10の両接続端子が同電位(共にVf)となり、センサ印加電圧=0Vとなる。それにより、センサ制御回路が素子電流=0mAのストイキ検出状態とされる。
オフセット誤差を算出する際、ストイキ検出状態以外の基準出力発生状態とすることも可能である。例えば、ストイキ近傍の基準出力発生状態とする(但し、ゲイン誤差の影響を極力排除するにはできるだけストイキ近傍であるのが望ましい)。
また、ゲイン誤差を算出する際、排ガス雰囲気が大気以外の雰囲気になったことを判定し、その雰囲気下でゲイン誤差の算出を実施しても良い。要は、ストイキ検出状態相当(基準出力発生状態相当)のガス雰囲気とは異なり、且つその時の本来の基準出力が既知となる基準ガス雰囲気とする。
センサ制御回路の温度が変化すると、抵抗値の変化等が生じるために出力誤差量が変化する。そこで、その都度のセンサ制御回路の温度を推定(又は検出)し、オフセット誤差の学習時において温度領域毎にオフセット誤差K1を記憶保持するようにしても良い。ゲイン誤差についても同様に、温度領域毎に学習しても良い。
例えば、車両が登坂走行する場合などでは、スロットルON状態が継続し、ECU温度が上昇すると考えられる。そこで、スロットルON状態が所定時間以上継続した場合に、学習タイミングであると判断し、出力誤差量の学習(例えば前記図5のステップS102〜S105の処理)を実施するようにしても良い。要は、センサ制御回路の温度変化を監視しておき、所定値以上の温度変化時に出力誤差量の学習を実施する。
また、エンジンの始動直後と停止時との少なくとも何れかにおいて、出力誤差量の学習(例えば前記図5のステップS102〜S105の処理)を実施するようにしても良い。例えば、イグニッションスイッチのON後、0.5秒程度経過したタイミングで出力誤差量の始動時学習を実施する。また、エンジン停止時には、マイコン20等への電源遮断を一時的に遅らせて実行されるメインリレー制御において出力誤差量の学習を再度実施する。
上記第2の実施の形態では、センサ制御回路30をストイキ検出状態にして算出したオフセット誤差K1(第1の誤差量)と、燃料カット時における大気状態下で算出した大気時ゲイン誤差K2(第2の誤差量)とに基づいてA/F出力電圧AFOを補正する構成としたが、この構成を変更する。例えば、センサ制御回路30をストイキ検出状態にしてオフセット誤差K1(第1の誤差量)を算出する構成に代えて、エンジン始動直後や停止時においてA/Fセンサが非活性状態であると判定された時にオフセット誤差K1(第1の誤差量)を算出する構成とする。要は、予め定めた2つのガス雰囲気又は当該ガス雰囲気相当のセンサ回路状態で、センサ回路にて発生するガス濃度出力とその時本来の基準出力とに基づいて第1,第2の誤差量を算出し、それら第1,第2の誤差量に基づいてガス濃度出力を補正する構成であればよい。センサ非活性状態であることを要件にすると、第1の誤差量の算出に時期的な制約が生じるが、第1の誤差量をエンジン始動時等に1回算出しておけば、その後は第2の誤差量の算出の都度、適正にガス濃度出力の補正が実施できる。
ところで、ディーゼルエンジンでは、排ガス中に含まれるPM(パティキュレート)やNOxを低減することが望まれる。この場合、O2濃度に対するPM濃度とNOx濃度との関係は図17のようになり、O2濃度をP1点(例えば10%)で制御すればPM及びNOx両方の濃度が比較的低レベルで維持できる。しかしながら、センサ制御回路の出力誤差等により例えばO2濃度がP2点に移行すると、特にNOx浄化率が大幅に悪化する。これに対し本発明の実施によれば、O2濃度が常に所望のP1点で制御できるため、PM及びNOxの排出を抑制し、排気エミッションの改善を実現することができる。
10…センサ素子、11…固体電解質、20…マイコン、30…センサ制御回路、32…電流検出抵抗、34…オペアンプ、35…スイッチ、50…センサ制御回路、52…電流検出抵抗、55…スイッチ、60…センサ素子、61,62…固体電解質、71…ポンプセル、72…モニタセル、80…センサ制御回路、87〜89…スイッチ、90…センサ制御回路、96,97…スイッチ、100…センサ素子、101〜103…固体電解質、111…ポンプセル、112…モニタセル、151,152…トランジスタ、163,164…MOSFET、171…スイッチ。

Claims (10)

  1. 内燃機関の排気系に配設され固体電解質体よりなるガス濃度センサと、該ガス濃度センサへの電圧印加時に流れる電流を計測しその計測電流に応じたガス濃度出力を発生するセンサ回路とを備えたガス濃度検出装置において、
    前記センサ回路を、前記内燃機関からの排出ガスを対象にガス濃度検出を行う通常状態から、排出ガス雰囲気に関係なく所定の基準出力を発生する基準出力発生状態に一時的に切り替える状態切替手段と、
    前記センサ回路を前記基準出力発生状態に切り替えた後、その時発生するガス濃度出力と本来の基準出力との差に基づいてガス濃度出力補正量を算出する補正量算出手段と、
    を備え、
    前記状態切替手段による基準出力発生状態への切替を、前記センサ回路の所定値以上の温度変化時に実施することを特徴とするガス濃度検出装置。
  2. 前記状態切替手段は、前記基準出力発生状態への切替に際し、前記センサ回路を、ストイキ燃焼後のガス検出時と同じストイキ基準出力を発生するストイキ検出状態とする請求項1に記載のガス濃度検出装置。
  3. 前記センサ回路において前記ガス濃度センサに接続される電流経路にスイッチ手段を設け、
    前記状態切替手段は、前記スイッチ手段を開状態とすることで、前記センサ回路を前記ストイキ検出状態とする請求項2に記載のガス濃度検出装置。
  4. 前記状態切替手段は、前記ガス濃度センサに接続される増幅回路の出力段スイッチ素子を強制的にオフ状態とすることで、前記センサ回路を前記ストイキ検出状態とする請求項2に記載のガス濃度検出装置。
  5. 前記ガス濃度センサに接続される正負両側の接続端子のうち、一方に当該ガス濃度センサに流れる電流を計測する電流検出抵抗を接続すると共に、他方にセンサ電流経路を開又は閉状態とするためのスイッチ手段を接続し、
    前記状態切替手段は、前記スイッチ手段を開状態とすることで、前記センサ回路を前記ストイキ検出状態とする請求項2に記載のガス濃度検出装置。
  6. 前記状態切替手段は、前記ガス濃度センサに接続される正負両側の接続端子を同電位とすることで、前記センサ回路を前記ストイキ検出状態とする請求項2に記載のガス濃度検出装置。
  7. 前記状態切替手段による基準出力発生状態への切替を、前記内燃機関の制御システムにおいて前記ガス濃度出力を要しない状態で実施する請求項1乃至6の何れかに記載のガス濃度検出装置。
  8. 前記状態切替手段による基準出力発生状態への切替を、前記内燃機関の始動直後と停止時との少なくとも何れかに実施する請求項1乃至7の何れかに記載のガス濃度検出装置。
  9. 前記補正量算出手段により算出したガス濃度出力補正量を逐次更新し保存する更新手段を更に備えた請求項1乃至8の何れかに記載のガス濃度検出装置。
  10. 前記更新手段は、前記センサ回路の温度に対応付けて前記ガス濃度出力補正量を保存する請求項9に記載のガス濃度検出装置。
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