JP4016790B2 - ガス濃度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検出ガス中の酸素濃度と特定ガス成分の濃度とをガス濃度センサにて検出し、その結果を基に酸素濃度信号と特定ガス濃度信号とを出力するガス濃度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のガス濃度検出装置として、限界電流式のガス濃度センサを用い、例えば車両用エンジンから排出される排ガス中のNOx(窒素酸化物)を検出するものがある。ガス濃度センサは、例えばポンプセル、センサセル及びモニタセルからなる3セル構造を有し、ポンプセルではチャンバに導入した排ガス中の酸素の排出又は汲み込みが行われ同時に排ガス中の酸素濃度検出が行われる。また、センサセルではポンプセルを通過した後のガスからNOx濃度(特定ガス成分の濃度)が検出され、モニタセルではポンプセル通過後のチャンバ内の残留酸素濃度が検出される。
【0003】
上記ガス濃度センサにおいては、ポンプセルが所定の活性状態にあることを条件に正常な酸素濃度信号が得られることに加え、センサセルが同じく所定の活性状態にあることを条件に正常なNOx濃度信号が得られるようになっている。そのため一般には、各セルが設けられる固体電解質素子の抵抗値(例えば素子インピーダンス)が検出され、その素子インピーダンスが活性温度相当の目標値になるようヒータ通電による活性化制御が実施される。例えば、センサセルを対象に素子インピーダンスが検出され、素子インピーダンスの検出値と目標値との偏差に応じてヒータの通電がフィードバック制御される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−171439号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既存の技術では、各セルにおける実際の活性化の程度に関係なく、ポンプセルの活性完了の判定とセンサセルの活性完了の判定とが同一時期に行われる。そのため、酸素濃度信号やNOx濃度信号がエンジン制御等に使えるようになるには、センサ始動後、数分程度待たなければならないこともある。これにより、センサ出力を早期に使いたいという要望に応えられないという問題が生じる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各セルの活性完了を適正に判定し、それぞれ最適な時期にて酸素濃度信号や特定ガス濃度信号の使用を開始することができるガス濃度検出装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のガス濃度検出装置では、第1セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき酸素濃度信号が出力されると共に、第2セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき特定ガス濃度信号が出力される。特に請求項1の発明では、ガス濃度センサの活性途中において第1セルの活性判定と第2セルの活性判定とが個別に行われ、更に第1セルの活性化が完了した旨判定された場合に前記酸素濃度信号の使用が開始され、その後、第2セルの活性判定が行われて当該第2セルの活性化が完了した旨判定された場合に前記特定ガス濃度信号の使用が開始される。また、請求項11に記載したように、チャンバ内に設けられた第1セル電極は特定ガス成分に不活性な特定ガス不活性電極であるのに対し、同じくチャンバ内に設けられた第2セル電極は特定ガス成分に活性な特定ガス活性電極である。
【0008】
要するに、上記ガス濃度センサでは活性状態下で正常な信号出力が得られ、活性判定を行うことが必須要件となる。このとき、第1セルと第2セルとを比べるとそれぞれ活性化に要する時間が異なり、第1セルの方が早く活性化(活性完了)する。すなわち、ガス濃度センサの初期状態(冷間状態)から活性化を開始した場合、第1セルによりチャンバ内の余剰酸素が排出され、該チャンバ内の残留酸素濃度が所定レベルに到達すると、その時点で第1セルによる検出電流が正常なものとなり第1セルが活性完了したと判定できる。これに対し、第2セルでは、センサ停止中に当該第2セルを構成する電極(例えばロジウム等の特定ガス活性電極)に酸素が吸着し、その吸着酸素を排出するのに数分程度の時間を要することが本願発明者らにより確認されている(特定ガス不活性電極である第1セル電極でも酸素吸着はあるがその吸着量は僅かである)。故に、第1セルの活性化が完了したとしても第2セルでの活性化は未だ完了しておらず、その後第2セルの活性化が完了する。本発明によれば、各セル個別に活性判定が行われることにより、各セルの活性完了を適正に判定し、それぞれ最適な時期にて酸素濃度信号や特定ガス濃度信号の使用を開始することができるようになる。特に第1セルについては、第2セルの活性完了を待たずに活性完了が判定でき、正常な酸素濃度信号が早期に使用できるようになる。
また、請求項1に記載の発明では、ガス濃度センサの活性途中においてヒータ通電制御の開始から所定時間が経過した時に、前記第1セルが活性化した旨判定するため、第1セルについて正常な酸素濃度信号を早期に得ることが可能となる。
【0009】
請求項12に記載の発明では、前記ガス濃度センサは、第1セルを通過した後のガスから残留酸素濃度を検出する第3セルを備え、該第3セルの検出結果を基に前記第1セルへの印加電圧を可変に制御する。本構成によれば、チャンバ内における残留酸素濃度を高精度に制御することが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記第1セルが活性化した旨判定した後その活性化からの経過時間を計時し、該経過時間が所定時間に達した時に前記第2セルが活性化した旨判定する。本構成によれば、第1セルの活性完了後において適正な時期に第2セルの活性完了が判定できる。
【0011】
また、請求項3,10に記載したように、前記所定時間は、前記第2セルの特定ガス活性電極に吸着した酸素を全て放出するのに要する時間を根拠に定められると良い。
【0012】
第2セルの活性速度はガス濃度センサ毎に異なるため、請求項4に記載したように、前記第1セルが活性化した後の経過時間が所定時間に達したこと、及び第2セル検出電流が所定範囲に入ったことから前記第2セルが活性化した旨判定すると良い。又は、請求項5に記載したように、前記第1セルが活性化した後の経過時間が所定時間に達したこと、及び第3セル検出電流が所定範囲に入ったことから前記第2セルが活性化した旨判定すると良い。請求項4,5によれば、活性判定の精度向上を図ることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、素子抵抗検出手段により何れかのセルの固体電解質素子の抵抗値を検出し、該検出した素子抵抗値が所定の目標値に保持されるよう素子活性化のための制御を実施する。そして、ガス濃度センサの活性途中において前記素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値の推移を監視し、当該素子抵抗値が前記目標値を基準とする活性判定値に達した時に前記第1セルが活性化した旨判定する。活性判定値は、前記目標値と同じ値にしても良いし、目標値到達前の活性途中の値としても良い。本構成によれば、やはり第1セルについて正常な酸素濃度信号が早期に得られるようになる。
【0014】
第1セルの活性速度はガス濃度センサ毎に異なるため、請求項7に記載したように、ガス濃度センサの活性途中において前記素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値が前記活性判定値に達したこと、及び当該活性判定値に達した後所定時間が経過したことから前記第1セルが活性化した旨判定すると良い。又は、請求項8に記載したように、ガス濃度センサの活性途中において前記素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値が前記活性判定値に達したこと、及び第1セル検出電流が所定範囲に入ったことから前記第1セルが活性化した旨判定すると良い。請求項7,8によれば、活性判定の精度向上を図ることができる。
【0015】
また、請求項9に記載の発明では、ガス濃度センサの活性途中においてヒータ通電制御の開始から所定時間が経過した時に、前記第1セルが活性化した旨判定する。この構成であっても、第1セルについて正常な酸素濃度信号を早期に得ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態におけるガス濃度検出装置は、例えば自動車用エンジンに適用されるものであって、限界電流式ガス濃度センサを用い、被検出ガスである排ガスから酸素濃度を検出すると共に特定ガス成分の濃度としてのNOx濃度を検出する。
【0017】
先ずはじめに、ガス濃度センサの構成を図2を用いて説明する。図2のガス濃度センサは、「第1セル」としてのポンプセル、「第2セル」としてのセンサセル及び「第3セル」としてのモニタセルからなる3セル構造を有し、排ガス中の酸素濃度とNOx濃度とを同時に検出可能な、いわゆる複合型ガスセンサとして具体化されている。なお、モニタセルは、ポンプセル同様、ガス中の酸素排出の機能を具備するため、第2のポンプセルと称される場合もある。図2(a)は、センサ素子の先端部構造を示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
【0018】
ガス濃度センサ100において、酸素イオン伝導性材料からなる固体電解質(固体電解質素子)141,142はシート状をなし、アルミナ等の絶縁材料からなるスペーサ143を介して図の上下に所定間隔を隔てて積層されている。このうち、図の上側の固体電解質141にはピンホール141aが形成されており、このピンホール141aを介して当該センサ周囲の排ガスが第1チャンバ144内に導入される。第1チャンバ144は、絞り部145を介して第2チャンバ146に連通している。符号147は多孔質拡散層である。
【0019】
図の下側の固体電解質142には、第1チャンバ144に面するようにしてポンプセル110が設けられており、ポンプセル110は、第1チャンバ144内に導入した排ガス中の酸素を排出又は汲み込む働きをすると共に酸素排出又は汲み込みの際に排ガス中の酸素濃度を検出する。ここで、ポンプセル110は、固体電解質142を挟んで上下一対の電極111,112を有し、そのうち特に第1チャンバ144側の電極111はNOx不活性電極(NOxガスを分解し難い電極)である。ポンプセル110は、第1チャンバ144内に存在する酸素を分解して電極112より大気通路150側に排出する。
【0020】
また、図の上側の固体電解質141には、第2チャンバ146に面するようにしてモニタセル120及びセンサセル130が設けられている。モニタセル120は、第2チャンバ146内の残留酸素濃度に応じて起電力、又は電圧印加に伴い電流出力を発生する。また、センサセル130は、ポンプセル110を通過した後のガスからNOx濃度を検出する。
【0021】
特に本実施の形態では、図2(b)に示すように、排ガスの流れ方向に対して同等位置になるよう、モニタセル120及びセンサセル130が並列に配置されると共に、これら各セル120,130の大気通路148側の電極が共通電極122となっている。すなわち、モニタセル120は、固体電解質141とそれを挟んで対向配置された電極121及び共通電極122とにより構成され、センサセル130は、同じく固体電解質141とそれを挟んで対向配置された電極131及び共通電極122とにより構成されている。なお、モニタセル120の電極121(第2チャンバ146側の電極)はNOxガスに不活性なAu−Pt等の貴金属からなるのに対し、センサセル130の電極131(第2チャンバ146側の電極)はNOxガスに活性な白金Pt、ロジウムRh等の貴金属からなる。
【0022】
図3(a)は、モニタセル120及びセンサセル130の電極を第2チャンバ146側から見た平面断図であり、図3(b)は、これら各セルの電極を大気通路148側から見た平面断図である。本構成によれば、モニタセル120及びセンサセル130では排ガス導入距離が同じになる。その結果、ポンプセル110通過後の残留酸素に対するモニタセル120とセンサセル130との感度が同等になり、精度の高いガス濃度検出が可能になる。但し、モニタセル120及びセンサセル130の電極は、図3(a)のように、排ガスの流れ方向に沿って並列に配置すること以外に、排ガスの流れ方向に前後(すなわち、図の左右)に配置することも可能である。例えば、モニタセル120を上流側(図の左側)に、センサセル13を下流側(図の右側)に配置する。また、各セルにおいて共通電極122を用いることも必須ではなく、各セル個別の電極を用いることも可能である。
【0023】
固体電解質142の図の下面にはアルミナ等よりなる絶縁層149が設けられ、この絶縁層149により大気通路150が形成されている。また、絶縁層149には、センサ全体を加熱するためのヒータ151が埋設されている。ヒータ151はポンプセル110、モニタセル120及びセンサセル130を含めたセンサ全体を活性状態にすべく、外部からの給電により熱エネルギを発生させる。
【0024】
上記構成のガス濃度センサ100において、排ガスは多孔質拡散層147及びピンホール141aを通って第1チャンバ144に導入される。そして、この排ガスがポンプセル110近傍を通過する際、ポンプセル電極111,112間に電圧Vpを印加することで分解反応が起こり、第1チャンバ144内の酸素濃度に応じてポンプセル110を介して酸素が出し入れされる。なおこのとき、第1チャンバ144側の電極111がNOx不活性電極であるので、ポンプセル110では排ガス中のNOxは分解されず、酸素のみが分解されて大気通路150に排出される。そして、ポンプセル110に流れた電流(ポンプセル電流Ip)により、排ガス中に含まれる酸素濃度が検出される。
【0025】
その後、ポンプセル110近傍を通過した排ガスは第2チャンバ146に流れ込み、モニタセル120では、ガス中の残留酸素濃度に応じた出力が発生する。モニタセル120の出力は、モニタセル電極121,122間に所定の電圧Vmを印加することでモニタセル電流Imとして検出される。また、センサセル電極131,122間に所定の電圧Vsを印加することでガス中のNOxが還元分解され、その際発生する酸素が大気通路148に排出される。その際、センサセル130に流れた電流(センサセル電流Is)により、排ガス中に含まれるNOx濃度が検出される。
【0026】
因みに、ポンプセル110では、その都度の排ガス中の酸素濃度(すなわちポンプセル電流Ip)に応じて印加電圧Vpが可変に制御されるようになっており、一例として、当該ポンプセル110の限界電流特性に基づき作成された印加電圧マップを用い、その都度のポンプセル電流Ipに応じて印加電圧Vpが制御される。これにより、排ガス中の酸素濃度が高くなるほど印加電圧が高電圧側にシフトするようにして印加電圧制御が実施される。それ以外に、第2チャンバ146内の残留酸素濃度が一定になるように、言い換えればモニタセル電流Imが一定となるように印加電圧Vpがフィードバック制御される構成であっても良い。以上の制御により、第1チャンバ144に導入された排ガス中の酸素をいち早く排出し、酸素排出後における残留酸素濃度を所望の低濃度レベルに保持することが可能となる。
【0027】
ところで、上述した通りガス濃度センサ100では、ポンプセル110で排ガス中の余剰酸素が排出された後、所定の残留酸素を含むガスがモニタセル120及びセンサセル130に給送される。そして、モニタセル120においてはガス中の残留酸素濃度に応じてモニタセル電流Imが計測され、センサセル130においてはガス中のNOx濃度に応じてセンサセル電流Isが計測される。但しこのとき、センサセル130では、本来ガス中のNOxだけが還元分解されてそれに伴う電流値が計測されるのが望ましいが、実際にはガス中の残留酸素分(微量酸素量)に応じた電流成分も併せて計測される。つまり、計測されるセンサセル電流IsにはNOx反応分と残留酸素反応分とが含まれ、このうち残留酸素反応分がオフセット誤差となる。そこで本実施の形態では、センサセル電流Isからオフセット誤差分を排除すべく、計測されたセンサセル電流Isからモニタセル電流Imを減算し、その差分値(Is−Im)に基づいてNOx濃度出力を得るようにしている。便宜上以下の説明では、(Is−Im)値を「NOx検出電流」と記載する。
【0028】
次に、ガス濃度検出装置の電気的な構成を図1を用いて説明する。なお図1には、前述のガス濃度センサ100を用いたガス濃度検出装置を示すが、モニタセル120及びセンサセル130の電極配置については、便宜上、横並びの状態で示す。
【0029】
図1において、制御回路200は、CPU、A/D変換器、D/A変換器、I/Oポート等を備える周知のマイクロコンピュータで構成されており、各セル110〜130の印加電圧をD/A変換器(D/A0〜D/A2)より適宜出力する。また、制御回路200は、各セル110〜130に流れる電流を測定すべく、各端子Vc、Ve、Vd、Vb、Vg、Vhの電圧をA/D変換器(A/D0〜A/D5)より各々入力する。制御回路200は、ポンプセル110やセンサセル130での測定電流に基づいて排ガス中の酸素濃度(A/F)やNOx濃度を検出し、その検出値をD/A変換器(D/A4,D/A3)より外部に出力する。
【0030】
回路構成について詳しくは、ポンプセル110において一方の電極112には、基準電源201及びオペアンプ202により基準電圧Vaが印加され、他方の電極111には、オペアンプ203及び電流検出抵抗204を介して制御回路200の指令電圧Vbが印加される。指令電圧Vbの印加に際し、排ガス中の酸素濃度に応じてポンプセル110に電流が流れると、その電流が電流検出抵抗204により検出される。つまり、電流検出抵抗204の両端子電圧Vb,Vdが制御回路200に取り込まれ、その電圧Vb,Vdによりポンプセル電流Ipが算出される。
【0031】
また、モニタセル120及びセンサセル130の共通電極122には、基準電源205及びオペアンプ206により基準電圧Vfが印加され、共通電極122とは異なる方のセンサセル電極131には、オペアンプ207及び電流検出抵抗208を介して制御回路200の指令電圧Vgが印加される。指令電圧Vgの印加に際し、ガス中のNOx濃度に応じてセンサセル130に電流が流れると、その電流が電流検出抵抗208により検出される。つまり、電流検出抵抗208の両端子電圧Vg,Vhが制御回路200に取り込まれ、その電圧Vg,Vhによりセンサセル電流Isが算出される。
【0032】
また、共通電極122とは異なる方のモニタセル電極121には、LPF(ローパスフィルタ)209、オペアンプ210及び電流検出抵抗211を介して制御回路200の指令電圧Vcが印加される。指令電圧Vcの印加に際し、ガス中の残留酸素濃度に応じてモニタセル120に電流が流れると、その電流が電流検出抵抗211により検出される。つまり、電流検出抵抗211の両端子電圧Vc,Veが制御回路200に取り込まれ、その電圧Vc,Veによりモニタセル電流Imが算出される。なお、LPF209は、例えば抵抗及びコンデンサからなる一次フィルタにて実現される。
【0033】
また本実施の形態では、いわゆる掃引法を用い、モニタセル120を対象に「素子抵抗値」としての素子アドミタンスが検出されるようになっている。つまり、モニタセル120のアドミタンス検出時において、制御回路200により、モニタセル印加電圧(指令電圧Vc)が正側又は負側の少なくとも何れかに瞬間的に(例えば数10〜100μsec程度の時間で)切り換えられる。この印加電圧は、LPF209により正弦波的になまされつつモニタセル120の両電極に印加される。交流電圧の周波数は10kHz以上が望ましく、LPF209の時定数は5μsec程度で設定される。そして、その時の電圧変化量と電流変化量とからモニタセル120の素子アドミタンスが算出される(アドミタンス=電流変化量/電圧変化量)。
【0034】
なお、素子抵抗値として、素子アドミタンスに代えてその逆数である素子インピーダンスを検出する構成であっても良い。また、モニタセル120のアドミタンス(又はインピーダンス)を検出することに代えて、ポンプセル110のアドミタンス(又はインピーダンス)を検出する構成や、センサセル130のアドミタンス(又はインピーダンス)を検出する構成としても良い。
【0035】
因みに、モニタセル120及びセンサセル130では、一方の電極を共通電極122としたため、基準電圧側のドライブ回路が削減できるというメリットや、ガス濃度センサ100からのリード線の取り出し本数が削減できるというメリットが得られる。また、モニタセル120とセンサセル130とは同じ固体電解質141で隣り合って形成されるため、掃引時には隣の電極に電流が流れ、アドミタンス(素子抵抗)の検出精度が悪化することが懸念されるが、共通電極122を設けることで一方の電極が同じ電位となり、この影響が低減できる。
【0036】
また、モニタセル120では残留酸素濃度を検出する際に数μA程度の電流しか流れないのに対し、アドミタンス検出のための掃引時には数mA程度の電流が流れる。このオーダーの異なる電流を同じ検出抵抗で検出すると、オーバーレンジしたり、検出精度が悪くなったりする。そこで本実施の形態では、モニタセル120による残留酸素検出時とアドミタンス検出時とで電流検出抵抗を切り換えることとしている。具体的には、電流検出抵抗211に並列に、別の電流検出抵抗212とスイッチ回路213(例えば、半導体スイッチ)とを設ける。そして、制御回路200のI/Oポートからの出力により、スイッチ回路213をオン/オフさせるよう構成する。この場合、通常のガス濃度検出時には、スイッチ回路213をオフ(開放)し、電流検出抵抗211による数100kΩ程度の抵抗でモニタセル電流Imを検出する。これに対し、アドミタンス検出時には、スイッチ回路213をオン(閉鎖)し、電流検出抵抗211及び212による数100Ω程度の抵抗でモニタセル電流Imを検出する。
【0037】
また、制御回路200内のCPUは、制御指令値DutyをI/Oポートから出力してMOSFETドライバ251を駆動する。このとき、MOSFET252により電源253(例えばバッテリ電源)からヒータ151へ供給される電力がPWM制御される。
【0038】
次に、上記の如く構成されたガス濃度検出装置の作用を説明する。図4は、制御回路200により実施されるメインルーチンの概要を示すフローチャートであり、同ルーチンは制御回路200への電源投入に伴い起動される。
【0039】
図4において、先ずステップS100では、前回のA/F(酸素濃度)及びNOx濃度の検出時から所定時間Taが経過したか否かを判別する。所定時間Taは、A/F及びNOx濃度の検出周期に相当する時間であって、例えばTa=4msec程度に設定される。そして、ステップS100がYESであることを条件に、後続のステップS110ではA/F活性判定の処理を実施すると共に、ステップS120ではNOx活性判定の処理を実施する。A/F活性判定は、ポンプセル110が活性完了して正常なA/F出力が得られるようになったか否かを判定するものであり、NOx活性判定は、センサセル130が活性完了して正常なNOx濃度出力が得られるようになったか否かを判定するものである。これらの活性判定の詳細は後述する。
【0040】
その後、ステップS130では、A/F及びNOx濃度の検出処理を実施する。A/F(酸素濃度)の検出処理では、その時々のポンプセル電流Ipに応じたポンプセル印加電圧を設定すると共に、その電圧印加時に計測されるポンプセル電流IpのA/D値を取り込む。そして、該取り込んだポンプセル電流IpをA/F値に換算する。また、NOx濃度の検出処理では、所定のセンサセル印加電圧を設定してその電圧印加時に計測されるセンサセル電流IsのA/D値を取り込むと共に、所定のモニタセル印加電圧を設定してその電圧印加時に計測されるモニタセル電流ImのA/D値を取り込む。そして、センサセル電流Isからモニタセル電流Imを減算し、その差分値であるNOx検出電流(Is−Im)をNOx濃度値に換算する。これらA/F値やNOx濃度値は、図示しないエンジンECU等に適宜出力される。
【0041】
A/F及びNOx濃度の検出後、ステップS140では、前回の素子アドミタンス検出時から所定時間Tbが経過したか否かを判別する。所定時間Tbは、素子アドミタンスの検出周期に相当する時間であって、例えばエンジン運転状態に応じて128msec、2sec等の時間が選択的に設定される。そして、ステップS140がYESであることを条件に、ステップS150で素子アドミタンスを検出し、更に続くステップS160でヒータ通電制御を実施する。
【0042】
ヒータ通電制御は、素子活性化のための制御に相当し、素子アドミタンスを所望の目標値に保持することができるものであれば、任意の制御手法が適用できる。その一例として、ガス濃度センサ100の素子温が低く、素子アドミタンスが比較的小さい場合には、例えばデューティ比100%の全通電制御によりヒータ通電を実施する。また、素子温が上昇すると、PID制御等、周知のフィードバック手法を用いて制御デューティ比を算出し、そのデューティ比によりヒータ通電を実施する。
【0043】
次に、A/F活性判定の処理(上記図4のステップS110の処理)とNOx活性判定の処理(上記図4のステップS120の処理)について図5,図6を用いて説明する。
【0044】
図5において、ステップS111では、素子アドミタンスが所定の活性判定値Kに到達したか否かを判別する。活性判定値Kは、素子アドミタンスの目標値を基準として定められるものであり、例えば前記目標値の40%とされる。但し、活性判定値Kを前記目標値の何%にするかは素子アドミタンスの上昇率に対するポンプセル電流Ipの正常化の度合に応じて決定されると良く、素子アドミタンスの上昇に対してポンプセル電流の正常化が遅いセンサの場合は目標値の40%以上、例えば80%や100%とすれば良いし、素子アドミタンスの上昇に対してポンプセル電流の正常化が早いセンサの場合は目標値の40%以下、例えば20%や10%とすれば良い。
【0045】
そして、ガス濃度センサ100の活性途中において素子アドミタンスが活性判定値Kに到達していなければステップS112に進み、A/F非活性(すなわち、ポンプセル非活性)である旨判定する。また、素子アドミタンスが活性判定値Kに到達していればステップS113に進み、A/F活性(すなわち、ポンプセル活性完了)である旨判定する。
【0046】
その後、ステップS114では、A/F活性か非活性かを表すA/F活性判定フラグをエンジンECU等に出力する。このとき、A/F活性判定フラグがA/F活性(すなわち、ポンプセル活性完了)を表すものであれば、前記図4によるA/F出力が有効とされ、そうでなければ同A/F出力が無効とされる。
【0047】
また、図6において、ステップS121では、素子アドミタンスが所定の活性判定値Kに到達したか否かを判別する。すなわちこの処理は、A/F活性が完了したかどうかを判定するものであり、「A/F活性完了か?」とする判別と同意である。活性判定値Kの到達後(すなわちA/F活性完了後)であれば、ステップS122で、活性判定値Kの到達後所定時間Tcが経過したか否かを判別する。ここで、所定時間Tcは、センサセル130のNOx活性電極に吸着した酸素を全て放出するのに要する時間(例えばロジウム電極であればセンサ始動から2分)を根拠に定められる。この所定時間Tcは、ポンプセル110での余剰酸素の排出能力をも考慮して定められるのが望ましく、ポンプセル電極の面積が大きく余剰酸素の排出能力が高ければ、NOx出力の正常化が早まるため、所定時間Tcを短い時間にすれば良い。
【0048】
そして、所定時間Tcの経過前であればステップS123に進み、NOx非活性(すなわち、センサセル非活性)である旨判定する。また、所定時間Tcの経過後であればステップS124に進み、NOx活性(すなわち、センサセル活性完了)である旨判定する。
【0049】
その後、ステップS125では、NOx活性か非活性かを表すNOx活性判定フラグをエンジンECU等に出力する。このとき、NOx活性判定フラグがNOx活性(すなわち、センサセル活性完了)を表すものであれば、前記図4によるNOx濃度出力が有効とされ、そうでなければ同NOx濃度出力が無効とされる。
【0050】
図7は、センサ始動時における活性動作を示すタイムチャートである。
【0051】
さて、ヒータ通電及びセンサ制御を開始すると、ガス濃度センサ100の素子温が徐々に上昇していき、それに伴い図示の如く素子アドミタンスが上昇していく。ポンプセル110では、当初から第1チャンバ144内の余剰酸素が排出され、その酸素排出に伴って一時的に多くのポンプセル電流Ipが流れる。そして、余剰酸素の排出が完了し第1チャンバ144内の残留酸素濃度が所定レベルに収束すると、ポンプセル電流Ipが落ち着き、正常なA/F出力が得られるようになる。この場合、素子アドミタンスの挙動と合わせて見てみると、素子アドミタンスが目標値に収束する前にポンプセル電流Ipが正常値を示すようになることが分かる。具体的には、素子アドミタンスが目標値の20〜40%程度に到達した時点で、ポンプセル電流Ipが正常値を示すようになる。故に、活性判定値Kを目標値の40%に定め、素子アドミタンスが当該活性判定値Kに到達した時点でA/F活性と判定する。すなわち、図7ではt1のタイミングでA/F活性と判定される。
【0052】
一方、NOx活性電極としてセンサセル130の電極材に用いられているロジウムにはセンサ停止中に酸素が吸着されており、ヒータ通電及びセンサ制御が開始されてからこの酸素が排出される。故に、この酸素排出が完了するまでの間はセンサセル電流Isが正常値を示さないため、NOx濃度検出にはこの時間待つ必要がある。具体的には、NOx濃度値が±5ppm程度の精度に入るまでには凡そ2分程度の時間を要する。特に、ポンプセル電流IpはmAオーダーであるのに対し、センサセル電流Isやモニタセル電流ImはnAオーダーであるため、センサセル電流Isやモニタセル電流Imの計測には精密さが要求される。それ故、上記A/F活性と判定した時点でA/F値は正確に検出できたとしても、NOx濃度値を高精度に検出するためには、更に余剰酸素の排出を待たなければならない。
【0053】
図7では、A/F活性判定時(t1のタイミング)から所定時間Tcが経過したt2のタイミングでNOx活性完了が判定される。
【0054】
t1,t2のタイミングでは、それぞれA/F活性、NOx活性を表すフラグ情報がエンジンECUに送信され、そのフラグ送信以降、A/F値やNOx濃度値がエンジンECUでの制御に使用される。これにより、A/F非活性時やNOx非活性時の不確かな出力が誤って使用されることが防止できる。なお、A/F活性、NOx活性が完了するまではA/F値やNOx濃度値の出力を禁止し、A/F活性、NOx活性がそれぞれ完了すると、順次A/F値やNOx濃度値の出力を開始する構成とすることも可能である。
【0055】
以上詳述した本実施の形態によれば、ガス濃度センサ100の活性途中においてポンプセル110の活性判定とセンサセル130の活性判定とが個別に行われるため、各セルの活性化を適正に判定し、それぞれ最適な時期にてA/F値(酸素濃度信号)やNOx濃度値(特定ガス濃度信号)の使用を開始することができるようになる。特にポンプセル110については、センサセル130の活性完了を待たずに活性完了が判定でき、正常なA/F値が早期に使用できるようになる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0057】
上記実施の形態では、図5で説明したように、素子アドミタンスが活性判定値K(例えば目標値の40%)に到達したらA/F活性完了と判定したが、ポンプセル電流が正常値を示すようになるアドミタンス値のバラツキが大きく活性判定値Kが40%等の固定値で決められない場合には、素子アドミタンスが活性判定値Kに到達してから所定時間が経過した時点でA/F活性した旨判定するようにしても良い。
【0058】
また、センサ始動後、ポンプセル電流(第1セル検出電流)が所定範囲に入ったことをA/F活性の判定条件に加えても良い。すなわち、ポンプセル電流が所定範囲(ポンプセル電流収束前の例えば4mA以下)に入ったかどうかを検出し、素子アドミタンスが活性判定値Kに到達し、且つポンプセル電流が所定範囲に入ったらA/F活性化した旨判定する。こうした構成によれば、A/F活性判定の精度向上を図ることができる。
【0059】
その他に、素子アドミタンス(素子抵抗値)によらず、ヒータ通電開始から所定時間(例えば数10ms程度の時間)が経過した時点でA/F活性化した旨判定するようにしても良い。
【0060】
上記実施の形態では、図6で説明したように、素子アドミタンスが活性判定値Kに到達し(すなわちA/F活性が完了し)、且つその後所定時間Tcが経過したらNOx活性完了と判定したが、センサ始動後、センサセル電流(第2セル検出電流)やモニタセル電流(第3セル検出電流)が所定範囲に入ったことをNOx活性の判定条件に加えても良い。また、センサセル電流からモニタセル電流(オフセット誤差分)を差し引いたNOx検出電流(Is−Im)が所定範囲に入ったことをNOx活性の判定条件に加えても良い。この構成により、NOx活性判定の精度向上を図ることができる。
【0061】
かかる場合、センサセル電流やNOx検出電流についてはエンジン運転状態に応じて電流レベルが変動するため、電流値が所定範囲に入ったかどうかの判断基準は比較的大きめに定められるが、モニタセル電流については、ポンプセルによってチャンバ内の酸素濃度が一定に制御されているため、同判断基準を狭めることが可能となる(例えば0.3μA以下とする)。判断基準が狭められれば、より正確なNOx活性判定が実施できる。
【0062】
NOx活性判定に用いる所定時間Tcを、その都度のセンサ状態に応じて可変に設定することも可能である。例えば、NOx活性電極への酸素吸着量を推測し、酸素吸着量が少ないと推測される場合には、所定時間Tcを最大値(例えば2分)から減じさせる。酸素吸着量は、A/F活性化に要した時間やエンジン暖機状態(始動時水温)などにより推測されれば良い。本構成によれば、NOx活性化(活性完了)をより一層最適な時期に判定することができる。
【0063】
上記実施の形態では、センサセル電流からモニタセル電流(オフセット誤差分)を差し引いたNOx検出電流(Is−Im)によりNOx濃度値を算出したが、センサセル電流そのものから、すなわちモニタセル電流を使わずにNOx濃度値を算出する構成であっても良い。つまり、モニタセル電流はチャンバ内の残留酸素濃度に見合うものであり、ポンプセルにより残留酸素濃度が一定に保持されているとすると、センサセル電流に含まれるオフセット誤差分は一定とみなすことができる。故に、オフセット誤差一定として扱えばモニタセル電流の計測は不要となる。その意味では、ガス濃度センサとしてモニタセルは必須でなく、ポンプセル及びセンサセルのみからなるガス濃度センサにも適用できる。
【0064】
上記実施の形態では、図2の構造のガス濃度センサ100について適用例を説明したが、勿論他のガス濃度センサについて適用しても良く、適用可能なガス濃度センサの具体例を以下に説明する。
【0065】
図8に示すガス濃度センサ400では、符号401,402,403,404で示すシート状の部材が全て固体電解質(例えばジルコニア)で構成されており、これら固体電解質401〜404が図の上下に積層されている。固体電解質401,403の間には律速層405a,405bを隔てて第1チャンバ406及び第2チャンバ407が区画形成されている。固体電解質404により大気通路408が形成され、同固体電解質404にはヒータ409が埋設されている。
【0066】
また、ガス濃度センサ400には、第1ポンプセル410、第2ポンプセル420、センサセル430及びモニタセル440が設けられており、本センサ400の特徴としてこれら各セルが固体電解質同士により結合されている。かかる構成において、第1ポンプセル410では、一対の電極411,412間に電圧Vp1が印加され、その時流れる第1ポンプセル電流Ip1が検出される。第2ポンプセル420では、電極413,414間に電圧Vp2が印加され、その時流れる第2ポンプセル電流Ip2が検出される。センサセル430では、電極414,415間に電圧Vsが印加され、その時流れるセンサセル電流Isが検出される。更に、モニタセル440では、電極414,416間で起電力信号Vmが検出される。
【0067】
排ガスは律速層405aを介して第1チャンバ406に導入される。排ガス中の大部分の酸素は、モニタセル440の起電力信号Vmにより検出されると共に、この信号Vmに応じて第1ポンプセル410の印加電圧Vp1が制御されることで電極411から外部へ排出される。残ったガスは律速層405bを通過して第2チャンバ407に導入され、当該ガス中の残留酸素は第2ポンプセル420にて電圧Vp2の印加により分解されて大気通路408に排出される。また、ガス中のNOxは、センサセル430にて電圧Vsの印加により分解されて大気通路408に排出され、その際流れたセンサセル電流Isに基づいてNOx濃度値が算出される。なお図8のガス濃度センサ400では、第1ポンプセル410が「第1セル」に、センサセル430が「第2セル」に、第2ポンプセル420が「第3セル」にそれぞれ相当する。
【0068】
上記構成のガス濃度センサ400では、各セル410,420,430,440の何れかで素子抵抗値(素子アドミタンス又は素子インピーダンス)が検出されれば良い。
【0069】
その他に、図9に示すガス濃度センサ400は以下の如く構成される。すなわち、第1ポンプセル410では、一対の電極411,412間に電圧Vp1が印加され、その時流れる第1ポンプセル電流Ip1が検出される。第2ポンプセル420では、電極411,413間に電圧Vp2が印加され、その時流れる第2ポンプセル電流Ip2が検出される。センサセル430では、電極414,415間に電圧Vsが印加され、その時流れるセンサセル電流Isが検出される。更に、第1モニタセル450では、電極412,414間で起電力信号Vm1が検出され、第2モニタセル460では、電極413,414間で起電力信号Vm2が検出される。
【0070】
図9のガス濃度センサ400において、排ガスが律速層405aを介して第1チャンバ406に導入された後、排ガス中の大部分の酸素は、第1モニタセル450の起電力信号Vm1により検出されると共に、この信号Vm1に応じて第1ポンプセル410の印加電圧Vp1が制御されることで電極411から外部へ排出される。残ったガスは律速層405bを通過して第2チャンバ407に導入され、当該ガス中の残留酸素は、第2モニタセル460の起電力信号Vm2により検出されると共に、この信号Vm2に応じて第2ポンプセル420の印加電圧Vp2が制御されることで電極411から外部へ排出される。また、ガス中のNOxは、センサセル430にて電圧Vsの印加により分解されて大気通路408に排出され、その際流れたセンサセル電流Isに基づいてNOx濃度値が算出される。なお図9のガス濃度センサ400では、第1ポンプセル410が「第1セル」に、センサセル430が「第2セル」に、第2ポンプセル420が「第3セル」にそれぞれ相当する。
【0071】
NOx濃度を検出可能なガス濃度センサの他に、特定ガス成分の濃度としてHC濃度やCO濃度を検出可能なガス濃度センサにも適用できる。この場合、ポンプセルにて被検出ガス中の余剰酸素を排出し、センサセルにて余剰酸素排出後のガスからHCやCOを分解してHC濃度やCO濃度を検出する。更に、自動車用以外のガス濃度検出装置に用いること、排ガス以外のガスを被検出ガスとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるガス濃度検出装置の概要を示す構成図である。
【図2】ガス濃度センサの構成を示す断面図である。
【図3】モニタセル及びセンサセルの電極配置を示す平断面図である。
【図4】マイコンによるメインルーチンを示すフローチャートである。
【図5】A/F活性判定の処理を示すフローチャートである。
【図6】NOx活性判定の処理を示すフローチャートである。
【図7】センサ始動時における活性動作を示すタイムチャートである。
【図8】別のガス濃度センサを示す断面図である。
【図9】別のガス濃度センサを示す断面図である。
【符号の説明】
100…ガス濃度センサ、
110…ポンプセル、
111,112…電極、
120…モニタセル、
121,122…電極、
130…センサセル、
131…電極、
141,142…固体電解質、
144…第1チャンバ、
146…第2チャンバ、
200…制御回路、
400…ガス濃度センサ、
401,403…固体電解質、
406…第1チャンバ、
407…第2チャンバ、
410…第1ポンプセル、
411〜416…電極、
420…第2ポンプセル、
430…センサセル、
440〜460…モニタセル。
Claims (12)
- 固体電解質素子と当該素子に配置された一対の電極とを有しチャンバに導入した被検出ガス中の酸素を排出又は汲み込む第1セルと、同じく固体電解質素子と当該素子に配置された一対の電極とを有し前記第1セルを通過した後のガスから特定ガス成分の濃度を検出するための第2セルとを備えたガス濃度センサを用い、前記第1セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき酸素濃度信号を出力すると共に、前記第2セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき特定ガス濃度信号を出力し、素子活性化のためのヒータ通電制御を実施するガス濃度検出装置において、
ガス濃度センサの活性途中において第1セルの活性判定と第2セルの活性判定とを個別に行い、且つ第1セルの活性化が完了した旨判定した場合に前記酸素濃度信号の使用を開始し、その後、第2セルの活性判定を行って当該第2セルの活性化が完了した旨判定した場合に前記特定ガス濃度信号の使用を開始するガス濃度検出装置であり、
前記ガス濃度センサの活性途中においてヒータ通電制御の開始から所定時間が経過した時に、前記第1セルが活性化した旨判定することを特徴とするガス濃度検出装置。 - 前記第1セルが活性化した旨判定した後その活性化からの経過時間を計時し、該経過時間が所定時間に達した時に前記第2セルが活性化した旨判定する請求項1記載のガス濃度検出装置。
- 請求項2記載のガス濃度検出装置において、前記所定時間は、前記第2セルの特定ガス活性電極に吸着した酸素を全て放出するのに要する時間を根拠に定められるガス濃度検出装置。
- 固体電解質素子と当該素子に配置された一対の電極とを有しチャンバに導入した被検出ガス中の酸素を排出又は汲み込む第1セルと、同じく固体電解質素子と当該素子に配置された一対の電極とを有し前記第1セルを通過した後のガスから特定ガス成分の濃度を検出するための第2セルとを備えたガス濃度センサを用い、前記第1セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき酸素濃度信号を出力すると共に、前記第2セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき特定ガス濃度信号を出力するガス濃度検出装置において、
ガス濃度センサの活性途中において第1セルの活性判定と第2セルの活性判定とを個別に行い、且つ第1セルの活性化が完了した旨判定した場合に前記酸素濃度信号の使用を開始し、その後、第2セルの活性判定を行って当該第2セルの活性化が完了した旨判定した場合に前記特定ガス濃度信号の使用を開始するガス濃度検出装置であり、
前記第1セルが活性化した旨判定した後その活性化からの経過時間を計時し、該経過時間が所定時間に達したこと、及び第2セル検出電流が所定範囲に入ったことから前記第2セルが活性化した旨判定することを特徴とするガス濃度検出装置。 - 固体電解質素子と当該素子に配置された一対の電極とを有しチャンバに導入した被検出ガス中の酸素を排出又は汲み込む第1セルと、同じく固体電解質素子と当該素子に配置された一対の電極とを有し前記第1セルを通過した後のガスから特定ガス成分の濃度を検出するための第2セルと、前記第1セルを通過した後のガスから残留酸素濃度を検出する第3セルとを備えたガス濃度センサを用い、前記第1セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき酸素濃度信号を出力すると共に、前記第2セルへの電圧印加時に流れる電流に基づき特定ガス濃度信号を出力するガス濃度検出装置において、
ガス濃度センサの活性途中において第1セルの活性判定と第2セルの活性判定とを個別に行い、且つ第1セルの活性化が完了した旨判定した場合に前記酸素濃度信号の使用を開始し、その後、第2セルの活性判定を行って当該第2セルの活性化が完了した旨判定した場合に前記特定ガス濃度信号の使用を開始するガス濃度検出装置であり、
前記第1セルが活性化した旨判定した後その活性化からの経過時間を計時し、該経過時間が所定時間に達したこと、及び第3セル検出電流が所定範囲に入ったことから前記第2セルが活性化した旨判定することを特徴とするガス濃度検出装置。 - 何れかのセルの固体電解質素子の抵抗値を検出する素子抵抗検出手段を備え、該素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値が所定の目標値に保持されるよう素子活性化のための制御を実施するガス濃度検出装置であって、
前記ガス濃度センサの活性途中において前記素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値の推移を監視し、当該素子抵抗値が前記目標値を基準とする活性判定値に達した時に、前記第1セルが活性化した旨判定する請求項4又は5に記載のガス濃度検出装置。 - 前記ガス濃度センサの活性途中において前記素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値が前記活性判定値に達したこと、及び当該活性判定値に達した後所定時間が経過したことから前記第1セルが活性化した旨判定する請求項6記載のガス濃度検出装置。
- 前記ガス濃度センサの活性途中において前記素子抵抗検出手段により検出した素子抵抗値が前記活性判定値に達したこと、及び第1セル検出電流が所定範囲に入ったことから前記第1セルが活性化した旨判定する請求項6記載のガス濃度検出装置。
- 素子活性化のためのヒータ通電制御を実施するガス濃度検出装置であって、
前記ガス濃度センサの活性途中においてヒータ通電制御の開始から所定時間が経過した時に、前記第1セルが活性化した旨判定する請求項4又は5に記載のガス濃度検出装置。 - 請求項4乃至9の何れかに記載のガス濃度検出装置において、前記所定時間は、前記第2セルの特定ガス活性電極に吸着した酸素を全て放出するのに要する時間を根拠に定められるガス濃度検出装置。
- チャンバ内に設けられた第1セル電極は特定ガス成分に不活性な特定ガス不活性電極であるのに対し、同じくチャンバ内に設けられた第2セル電極は特定ガス成分に活性な特定ガス活性電極である請求項1乃至10のいずれか記載のガス濃度検出装置。
- 前記ガス濃度センサは前記第1セルを通過した後のガスから残留酸素濃度を検出する第3セルを更に備え、該第3セルの検出結果を基に前記第1セルへの印加電圧を可変に制御する請求項1乃至11のいずれかに記載のガス濃度検出装置。
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