JP3837024B2 - 高伸度・高伸張回復性合成繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸れにくく着用快適性に優れた衣料用の高伸度・高伸張回復性合成繊維に係り、詳しくはインナー、レッグ、中衣、スポーツ衣料等に高伸度・高伸張回復性を付与する衣料用繊維素材として好適に使用することができ、優れた吸放湿性、湿摩擦堅牢度及び湿潤下での強力保持率を有するポリウレタン系合成繊維などの高伸度・高伸張回復性合成繊維及びその製造方法並びにこの繊維を用いた布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸湿性、吸水性、放湿性、透湿性等を付与した合成繊維を用いて、衣料の汗による不快感を軽減して衣料の着用快適性を高めることはよく知られている。インナー、レッグ、中衣、スポーツ等の衣料が直接肌に触れるかあるいは肌に近い側で着用される場合、この公知技術を適用することによって、汗を速やかに衣服の外側へ放出する機能を布帛に付与することができ、汗をかいても蒸れず、またべたつき感のない清涼感のある衣料の製造が可能になる。
【0003】
合成繊維に吸湿性、吸水性、放湿性、透湿性等を付与する試みは、ポリアミド系合成繊維やポリエステル系合成繊維に係わるものが多い。例えば、特公昭60−457号公報には、吸湿性の高いフィラメントと吸湿性の低い合成繊維との複合糸が、実公昭60−40612号公報や特開昭60−215835号公報には、前記のような複合糸を用いた編地や織物が開示されている。ポリエステル繊維の吸湿性の改質に係る特開平2−99612号公報、特開平4−361616号公報、特開平4−361617号公報、特開平9−41204号公報、特開平9−41221号公報等には、吸湿性の樹脂を芯に、吸湿性の低いか殆どない樹脂を鞘に配置して複合紡糸して得られる鞘芯型複合繊維を用いる吸湿性の改良された合成繊維布帛が開示されている。前掲の従来技術には、吸湿性の低い鞘部のポリエステル樹脂に包まれる吸湿性樹脂芯部の比率が高くなると、吸湿時あるいは染色時に芯部樹脂が水により膨潤して鞘部が押し広げられ、繊維に割れが生じ、繊維構造が破壊、損傷して、染色等の湿潤加工や着用時に強度等物性の低下が起こることが開示されている。前掲の特開平9−41204号公報、特開平9−41221号公報では、本来幾分かの吸湿性をもつポリアミドを鞘部に用いて、繊維断面形状を異形断面とすることで、着用時汗を毛管作用によって肌表面から布帛側へと導き、汗等の水分を芯部の吸水性樹脂で吸収する一方、衣料外側への放湿を促進する鞘芯型複合繊維の設計が開示されている。しかし、この設計においても、芯部樹脂の膨潤によって、染色加工時に強度低下が起こることが言及されている。以上の理由から、鞘芯繊維構造設計による改質法は、通常の使用条件下でも繊維の変形が伸度数百%にもおよぶ高伸度・高伸張回復性合成繊維の改質には、用いられないことが明らかである。
【0004】
表面層に塩型のカルボキシル基を導入したアクリル系複合繊維、分子内に吸水性基を有する重合体を繊維成形したポリアクリル酸系繊維、無水マレイン酸系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アルギン酸系繊維、ポリウレタン繊維等の吸水性合成繊維が知られている。
【0005】
衣料用の弾性繊維素材としてのポリウレタン系合成繊維、ポリエーテルエステル系合成繊維等の高伸度・高伸張回復特性合成繊維は、殆どの場合、ポリアミド系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、再生セルロース繊維、綿、絹、ウール等と混用加工して得られる高いストレッチ性を顕す弾性布帛の形態で用いられる。そして、この弾性布帛は、フィット感と運動追従性と着用快適性を同時に満足しうる弾性衣料に仕立てられる。弾性衣料では、布帛が始終身体にフィットする製品設計が求められるだけに、身体とこれに密着する布帛との間の空間が狭いものとならざるをえない。この弾性衣料設計上の理由から、弾性衣料は、蒸れやすく快適感が損なわれやすい欠点がある。ここに、高伸度・高伸張回複性合成繊維が吸湿性、吸水性、放湿性、透湿性繊維であることが強く求めれれている理由がある。
【0006】
身体と布帛との密着設計が求められる弾性衣料では、重ね着衣料との摩擦に対して染色堅牢度、例えば摩擦堅牢度の高い弾性布帛が求められている。例えば、絹等の天然繊維やポリアミド系合成繊維等で交編織された重ね着衣類は、一般に染色堅牢度が劣る弾性布帛と高温多湿雰囲気下で擦れ合って、色移りを起こす傾向があるといわれている。この傾向は、特に湿潤摩擦染色堅牢度(以下、摩擦堅牢度という)が繊維の吸湿性が高くなればなるほど低下するので、この点も吸湿性の高伸度・高伸張性合成繊維の染色堅牢度の改良が望まれるところである。
【0007】
重合体分子中に数平均分子量2000〜13000の水溶性ポリアルキレンエーテルポリオールを含むポリウレタンが溶融押出紡糸されて得られる吸水率200〜3,000重量%(25℃)を有するポリウレタン糸が欧州特許EP0,892,094A2号公報に開示されている。同公報の実施例等の記載によれば、この公知吸水性ポリウレタン繊維は、膨潤時の引張り強度が劣ることが記載されている。また、25℃で吸水率が200重量%を超え、膨潤時の物性が劣化する繊維は、染色加工時に吸水して糸切れを生じたり、着衣時にポリウレタン糸が吸水して断糸しやすく、また吸水時に衣料(例えば、水着)を重たくしたり快適性を損なうし、湿潤摩擦堅牢度の低下原因を含んでいるといえる。また、本発明等の知見によれば、後述するように、吸水性が大きい繊維であることが放湿性の高い繊維である充分条件ではない。
【0008】
ポリウレタン重合体にマグネシウム塩を溶解した組成物を用いることで、透湿性の向上と布帛のカーリングが抑制されることが特開平5−271432号公報に開示されている。しかし、この方法で得られたポリウレタン成形物は、吸湿時の強度の低下が大きく、また放湿し難いので汗をかいた時の快適性の改良は望めず、高い染色堅牢度は望めない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、吸湿しても強度の低下が少ない放湿性の改良された高伸度・高伸張回復性合成繊維およびこの繊維を用いた布帛を提供することにある。本発明の更に具体的な目的は、染色加工等の湿潤加工においても、加工特性が損なわれないで、蒸れにくく伸縮性に富む着用快適感に優れた衣料用布帛の製造に適した高伸度・高伸張回復性合成繊維およびこの繊維を用いた布帛を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、20℃×65%RH(相対湿度)での吸湿率が0.5〜4.0重量%以上、30℃×90%RH(相対湿度)での吸湿率が4.5重量%以上であり、且つ前記二つの条件での吸湿率の差が4.0重量%以上である高伸度・高伸張回復性合成繊維によって達成することができる。
【0011】
本発明の高伸度・高伸張回復性合成繊維は、吸放湿性に優れ、染色等の湿潤加工条件下で強度等の機械物性が実質的に損なわれずに堅牢染色が可能な改良されたストレッチ衣料用の高伸度・高伸張回復性合成繊維である。
【0012】
前記した特性を有する繊維が、後に詳述するように、好都合にも、既知の高伸度・高伸長回復性合成繊維の形成基質に高吸水性を有する化合物の選択量を添加して紡糸することにより調製できるものであることは、本発明の利点でもある。
【0013】
本発明でいう高伸度・高伸張回復性合成繊維には、ポリウレタン系合成繊維、ポリエーテルエステル系合成繊維、ポリエステル系又はポリアミド系合成繊維の巻縮加工糸が含まれる。ここでいう高伸度・高伸張回復性合成繊維とは、一般的には、破断伸度が300%以上、伸張回復率が70%以上を有する合成繊維であって、着用時に伸縮性に富みフィット感に優れる快適な着用感を有する布帛を得ることができる繊維素材として、少なくともこのレベルの機械物性を有する弾性繊維であることが望ましい。本発明の高伸度・高伸張回復性合成繊維は、好ましくは、破断伸度が450%以上、伸張回復率が80%以上を示す繊維であることが好ましい。
【0014】
破断伸度が300%以上で、伸張回復率が70%以上の高伸度・高伸張回復性を有する合成繊維は、後述する既知方法を用いて調製される繊維形成性のポリウレタン系、ポリエーテルエステル系重合体に、以下の改質手段を組合せ付加して、既知の乾式紡糸、湿式紡糸又は溶融紡糸法等を適用することにより製造することができる。
【0015】
高伸度・高伸張回復性合成繊維の吸放湿性は、合成繊維中に高吸水性を有する化合物(以下、吸水性樹脂という)を所望量ブレンドするか、高吸水性官能基を重合体中に所望量導入することによって調製することができる。吸湿性改質剤の導入手段としては、重合体の機械物性の設計上、物性変化の少ない、ブレンド法を用いるのが好ましい。ブレンド法において用いられる吸水性樹脂は、500〜4,000重量%の吸水率を有する樹脂が適当である。改質剤としての吸水性樹脂の吸水率が500重量%未満だと充分な吸放湿性が得られず、また4,000重量%を超えると合成繊維の強度等の物性低下が大きくなる。
【0016】
吸水性樹脂としては、例えば、ウレタン系吸水性樹脂、デンプン系吸水性樹脂、アクリル酸系吸水性樹脂、ポリビニルアルコール系吸水性樹脂、ポリビニルピロリドン系吸水性樹脂、ポリエーテルエステル系吸水性樹脂、ポリエーテルアミド系吸水性樹脂、ポリエーテルイミドアミド系吸水性樹脂、ポリエーテルエステルアミド系吸水性樹脂等が挙げられる。これらの吸水性樹脂は、合成繊維との相溶性や該樹脂の繊維中の分散性に優れるものが好ましく、さらには、繊維ポリマーとミクロ相分離構造を形成する吸水性樹脂が最適である。このような特性を発現しやすい吸水性樹脂として、好ましくはウレタン系吸水性樹脂である。ブレンド法におけるブレンド量は、改質樹脂による吸水性能にもよるが、最低限の吸放湿性を確保するには繊維形成性重合体の少なくとも5重量%以上含まれることが必要である。繊維形成性重合体の高伸度・高伸張回復性を発現する上で、40重量%以下で含まれることが好ましい。繊維中への吸水性樹脂の混合は、溶媒に溶解又は溶融した該樹脂を均一にブレンドしたり、微粒化した該樹脂を均一に微分散させる方法があるが、好ましくは、前者の方法であり、ミクロ相分離構造をつくりやすい。
【0017】
以下に本発明の吸放湿性高伸度・高伸張回復性合成繊維の内容について詳述する。
【0018】
高伸度・高伸張回復性合成繊維の吸放湿性については、20℃×65%RH(以下、雰囲気Aという)での吸湿率が0.5〜4.0重量%、30℃×90%RH(以下、雰囲気Bという)での吸湿率が4.5〜30重量%、且つ夫々の吸湿率の差が4.0重量%以上となるように、高吸水性化合物のブレンド量、または高吸水性成分のグラフト量・改質等を制御する必要がある。
【0019】
高伸度・高伸張回復性合成繊維の雰囲気Aでの吸湿率と雰囲気Bでの吸湿率との差(以下、吸放湿能力という)が、4.0重量%以上となれば、その合成繊維を用いた布帛を着用した場合に、清涼感が得られるものとなる。この数値は、肌よりの発汗をどの程度吸収するかの性能を決めるもので、数値が大きい程吸放湿能力に優れることとなる。吸放湿能力は、好ましくは10重量%以上である。雰囲気Aでの吸湿率は、0.5重量%以上であればよい。この数値が高いと、着用開始時に布帛が多くの水分を吸収していることを意味し、肌に直接触れるか、あるいは肌に近い場合は、布帛が冷たく感じるので、4.0重量%以下であることが好ましい。
【0020】
一方、雰囲気Bでの吸湿率は、4.5〜30重量%であることが好ましい。4.5重量%未満では充分な吸湿量が得られず清涼感に乏しく、また30重量%を超えると強度低下が大きくなったり、べたつき感が出たり、以下に述べるような湿摩擦堅牢度、強力保持率が低下するので好ましくない。雰囲気Bでの吸湿率が4.5〜30重量%であっても、雰囲気Aでの吸湿率が0.5〜4.0重量%でなければ、強力保持率、湿摩擦堅牢度の低下を引き起こす。
【0021】
本発明は、前記範囲の吸放湿性を有する高伸度・高伸張回復性合成繊維が、雰囲気Aでの強力に対する雰囲気Bでの強力の保持率が90%以上であることが特徴である。欧州特許EP0,892,094A2号公報に開示される吸水性ポリウレタン糸は、200〜3,000%の極めて高い吸水率を有しているが、これは本発明の吸湿率でいえば雰囲気Aでは10重量%以上に相当し冷たく感じ、雰囲気Bでは50重量%以上に相当しべたつき感を感じるものとなる。
【0022】
従来、吸放湿性を高めることだけでは、強力保持率や湿潤堅牢度が低下して充分満足のいく吸湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維が得られなかった。
【0023】
本発明の高伸度・高伸長回復性合成繊維の最も好ましい態様は、乾式紡糸して得られるポリウレタン系合成繊維である。ポリウレタン系合成繊維は、80%以上がウレタン結合からなるソフトセグメントで占められており、高伸度・高伸張回復性に最も優れ、吸湿時の変形に対しても物性が損なわれることがない。また乾式紡糸は、湿式紡糸に比べて、強い物理的架橋である高次構造を形成しやすく、湿潤時の強力が高められる点に最も有利な紡糸方法である。中でも、伸度、伸張回復性が特に優れるポリウレタンウレア系の乾式紡糸で得られた合成繊維(以下、ポリウレタンウレア弾性繊維という)が本発明で使用される高伸度・高伸張回復性合成繊維として最も好ましい。
【0024】
以下に、本発明の実施態様を主としてポリウレタン系合成繊維を例に更に詳述する。
【0025】
本発明の、特定範囲の吸放湿性を有する乾式紡糸された高伸度・高伸張回復性を有するポリウレタン系合成繊維は、雰囲気Aでの強力に対する雰囲気Bでの強力の保持率が90%以上を示す改質繊維が容易に得られる。吸湿時に繊維の強力が低くなると加工時に糸切れしたり、また衣料の着用中に断糸して着用感を損なってしまう。雰囲気Aでの強力に対する雰囲気Bでの強力の保持率が90%以上であれば、このような問題はない。欧州特許EP0,892,094A2号公報の吸水性ポリウレタン糸は、吸水率が200〜3000%と高いため雰囲気Aでの強力に対する雰囲気Bでの強力の保持率が50%以下となってしまう。
【0026】
本発明の合成繊維の強力保持率が良好な原因は定かではないが、特に乾式紡糸されたウレタン系合成繊維の場合、強い物理架橋である水素結合が特定範囲の吸湿率において、有効に作用しているためと考えられる。この範囲以外では、水素結合は水との親和性を強めて切断され、吸湿時に強力の低下が生じやすくなると考えられる。
【0027】
本発明におけるポリウレタン系合成繊維の吸放湿性については、20℃×65%RH(以下、雰囲気Aという)での吸湿率が0.5〜4.0重量%、30℃×90%RH(以下、雰囲気Bという)での吸湿率が4.5〜30重量%、且つ夫々の吸湿率の差が4.0重量%以上となるように、高吸水性化合物のブレンド量もしくは高吸水性成分のグラフト量等を制御する必要がある。
【0028】
一般に、吸湿性素材を用いると素材が吸湿して、綿や絹等の他の衣類と摩擦により湿摩擦堅牢度が悪化するのが通例であった。例えば、従来から市販されているポリウレタン系合成繊維の湿摩擦染色堅牢度が3級、特開平5−271432号公報の吸湿性ポリウレタンでは1〜2級、欧州特許EP0,892,094A2号公報の吸水性ポリウレタン糸では1〜2級である。衣料として用いられる素材の湿摩擦堅牢度が少なくとも3級以上必要である。本発明のポリウレタン系合成繊維の染色物では、4級以上を超える湿潤摩擦堅牢度を示す製品を得ることができる。そして、このような高度の湿潤堅牢度を示す染色物がレベリング型、ハーフミーリング型、ミーリング型、モノスルフォン含金型、ノンスルフォン含金型等の酸性染料のいずれについても得られる。酸性染料による染色物ほど顕著ではないが、分散染料、カチオン染料、直接染料、反応染料による湿摩擦堅牢度の向上も明らかに認められる。
【0029】
本発明の合成繊維の湿摩擦堅牢度が向上する原因は定かではないが、特定範囲の吸湿率範囲において繊維が吸水した時に染料と繊維ポリマー間の親和性が最良となり、染料が遊離し難くなるためであると考えられる。
【0030】
高伸度・高伸張回復性合成繊維を、どのような紡糸方法で得るかによって、吸放湿性を付与する技術も異なる。
【0031】
まず、ポリウレタンウレア弾性繊維のように、乾式紡糸で合成繊維を得る場合について述べる。この場合、アミド系極性溶媒にポリウレタンウレア重合体を溶解した紡糸原液を調整する工程を経るため、該溶媒に吸水性樹脂成分が溶解することが好ましい。例えば、ウレタン系吸水性樹脂、ポリビニルピロリドン系吸水性樹脂などが挙げられる。また、乾式紡糸時の糸切れ等製造上悪影響を及ぼさない粒子径のものが得られる場合は、アミド系極性溶媒に溶解しなくても使用することができる。例えば、デンプン系樹脂や、アクリル酸系樹脂、ポリエーテルエステルアミド系吸水性樹脂などが挙げられる。更に、ポリウレタンウレア重合体を構成する成分の一部を吸水性を有する成分に置き換えることで、高吸水性を付与する手法も可能である。例えば、ジオールとして用いられるポリテトラメチレングリコールの一部をポリエチレングリコールに置き換えることなどである。ハードセグメントがウレタン結合からなる乾式紡糸されるポリウレタン系合成繊維についても、ポリウレタンウレア弾性繊維と同様にして吸放湿性を付与することができる。
【0032】
通常溶融紡糸で得られるポリウレタン系、ポリエーテルエステル系合成繊維の場合は、製造上悪影響を及ぼさない限り、特にブレンドする吸水性樹脂、あるいはグラフト重合する吸水性成分に制限はなく、吸放湿性を付与できる。
【0033】
ブレンド法で用いられる吸水性樹脂として用いれるウレタン系吸水性樹脂の好ましい具体例は、下記の化合物(a)〜(b)、又は(a)〜(c)を反応して得られる樹脂である。
【0034】
(a)エチレンオキサイドユニットが少なくとも70重量%の数平均分子量2,000〜30,000のポリアルキレンエーテルグリコールを50重量%以上含有してなる高分子ジオール
(b)有機ジイソシアナート
(c)数平均分子量50〜200の低分子ジオールまたは2官能性アミン
(a)〜(b)を反応して得られるウレタン系吸水性樹脂が吸水性の点で優れるので、より好ましいが水溶性成分の量がやや多くなったり、放湿速度も遅くなる場合がある。(c)は鎖延長剤としての役割があるが、これは吸水時に吸水性樹脂の膨潤の妨げとなる物理架橋を形成し易い。しかしながら、樹脂の水溶成分量の抑制と吸放湿性能のバランスを考慮すると、(c)として「2官能性アミン」、「なし」、「低分子ジオール」の順で得られる樹脂は好ましいものとなる。ウレタン系吸水性樹脂の数平均分子量は、(a)、(b)、(c)の反応モル比を変えること自在に調整できる。好ましい数平均分子量は7,000以上である。7,000未満だと、オリゴマー成分が本発明の合成繊維から染色中に溶出して染浴を汚染したり、吸湿したオリゴマーが湿摩擦堅牢度を低下させる。又、数平均分子量が300,000を越えると樹脂が膨潤しにくくなり吸水性が低下する。本発明のポリウレタン系合成繊維の中に均一にブレンドするためには、ジメチルアセトアミドのようなアミド系極性溶媒に溶解させて合成繊維中に添加する方法が好ましいが、アミド系溶媒に溶解しない場合には5μm以下の微粒子化して合成繊維中に均一分散させてもよい。
【0035】
さらに詳しくは、高分子ジオール中のポリアルキレングリコールは、ジオール分子鎖中に、例えば、1,2−プロピレンオキサイドユニット、2,2−ジメチルプロピレンオキサイドユニット、テトラメチレンオキサイドユニットなどが30重量%を超えない範囲で含有されていてもよいが、好ましくはエチレンオキサイドユニットのみからなるポリエチレングリコールがよい。高分子ジオールの数平均分子量としは2,000〜30,000が好ましい。より好ましくは、5,000〜20,000である。また、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基からなる共重合ポリエーテルグリコール、テトラメチレン基と3−メチルテトラメチレン基からなる共重合ポリエーテルグリコール等のグリコールが50重量%を超えない範囲でブレンドされていてもよいが、高い吸水性を実現するためにはブレンドしない方が好ましい。
【0036】
有機ジイソシアナートは、例えば、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、3−メチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、1,3−及び1,4−シクロへキシレン−ジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、m−及びp−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートなどが挙げられる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアナートである。これらは単独または混合して用いることができる。
【0037】
低分子ジオールは分子量50〜200を有するものであって、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、フェニルジエタノールアミンなどが挙げられる。好ましくは、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールである。これらは単独または混合して用いることができる。
【0038】
2官能性アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリエチレンジアミン、m−キシリレンジアンミン、ピペラジン、o−,m−,およびp−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4ジアミノシクロヘキサン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス〔2−(エチルアミノ)−ウレア〕などまたはこれらの混合物があげられる。好ましくは、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミンの群から選ばれる1種である。
【0039】
ウレタン系吸水性樹脂の具体例としては、数平均分子量7,000のポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを反応させて得られる数平均分子量60, 000の樹脂(吸水率1800重量%)、数平均分子量20,000のポリエチレングリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを反応させて得られる樹脂(吸水率800重量%)などが挙げられる。
【0040】
本発明の高伸度・高伸張回復性ポリウレタン系合成繊維は、下記(A)〜(C)を反応して得られるウレア化合物をポリウレタン系重合体に対して1〜15重量%を含有させ吸水性樹脂と併用することで、強力保持率及び湿摩擦堅牢度がより向上する。
【0041】
(A)第1級アミン及び第2級アミンのうち少なくとも一種から選ばれる2官能性アミノ基と第3級窒素及び複素環状窒素の内少なくとも一種から選ばれる窒素含有基とを含む窒素含有化合物
(B)有機ジイソシアナート
(C)モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、有機モノイソシアナートの群から選ばれる一種の化合物
本発明の高伸度・高伸張回復性ポリウレタン系合成繊維は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿、ウール、絹等と交編織されるが、これらの混用繊維に比べ染色時の収縮が大きく、また熱セットされにくいので、設定布帛幅に仕上がりにくい。本発明のウレア化合物は、これらの問題も改善できる。
【0042】
ウレア化合物の数平均分子量は、(A)、(B)、(C)の反応モル比を変えることで自在に調整できる。ウレア化合物は、乾式紡糸されるポリウレタン系重合体の溶液に溶解させることが好ましい。したがって、ウレア化合物の数平均分子量はアミド系極性溶媒に溶解する分子量であればよい。好ましくは500〜10,000、特に500〜3,000である。
【0043】
ウレア化合物に使用される窒素含有化合物としては、N−ブチル−ビス(2−アミノエチル)アミン、N−ブチル−ビス(2−アミノプロピル)アミン、N−ブチル−ビス(2−アミノブチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−イソブチルアミン、N,N−ビス(2−アミノプロピル)−イソブチルアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−t−ブチルアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、N,N−ビス(2−アミノプロピル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、N,N−ビス(2−アミノブチル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、N−(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)−ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(N,N−ジブチル−3−アミノプロピル)−ビス(2−アミノプロピル)アミン、ピペラジン、ピペラジン誘導体、例えば2−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)−4−(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,5−および2,6−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノ−(2−アミノエチル)−4−メチルピペラジンなど、ピペリジン誘導体、例えば4−アミノエチルピペリジン、N−アミノ−4−(2−アミノエチル)ピペリジン、N−ビス(2−アミノエチル)アミン−ピペリジンなどのピロリドン誘導体、例えばN−アミノ−4−(2−アミノエチル)−2−ピロリドン、N−(3−アミノプロピル)−4−(3−アミノプロピル)−2−ピロリドン、N−ビス(2−アミノエチル)アミン−2−ピロリドンなどが挙げられる。好ましい窒素含有化合物は、ピペラジン、ピペラジン誘導体である。特に、得られるウレア化合物のアミド系溶媒への溶解性が極めて良好である、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノプロピル)ピペラジンが好適である。これらは単独で、あるいは混合して用いることができる。
【0044】
本発明のウレア化合物に使用される有機ジイソシアナートとしては、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、3−メチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、1,3−および1,4−シクロへキシレン−ジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアナート、m−及びp−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートなどが挙げられる。好ましくは、イソホロンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアナートのような脂環族ジイソシアナートがよい。これらは単独で、あるいは混合して用いることができる。
【0045】
本発明のウレア化合物に使用されるモノ又はジアルキルモノアミンとしては、炭素数1〜10のアルキル基を有するモノアミンであり、例えば、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミンなどが挙げられる。また、アルキル鎖中に第3級窒素原子や酸素原子を含んでいてもよく、例えば、3−ジブチルアミノ−プロピルアミン、3−ジエチルアミノ−プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンが挙げられる。これらは単独で、あるいは混合して用いることができる。
【0046】
本発明のウレア化合物に使用されるアルキルモノアルコールとしては、炭素数1〜10のアルキル基を有するモノアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。これらは単独で、あるいは混合して用いることができる。
【0047】
上記のモノ又はジアルキルアミンとアルキルアルコールはそれぞれ単独で、あるいは混合して用いることができる。好ましくは単独での使用である。
【0048】
さらに、本発明のウレア化合物に使用される有機モノイソシアナートとしては、n−ブチルイソシアナート、フェニルイソシアナート、1−ナフチルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、シクロヘキシルイソシアナート、m−トリルイソシアナート、ベンジルイソシアナート、m−ニトロフェニルイソシアナートなどが挙げられる。これらは単独で、あるいは混合して用いることが出来る。ただし、前述のモノ又はジアルキルアミン、アルキルアルコールとの混用はできない。モノ又はジアルキルアミン、アルキルアルコールの活性水素を有機モノイソシアナートが封鎖したオリゴマー化合物が生成し、本発明のウレタン系合成繊維の加工工程においてブリードアウトして編み機や染色浴槽を汚すスカムの原因となる。
【0049】
本発明のウレア化合物を得るのに使用される(C)は、前述の如く3種から選択され、(A)と(B)から得られるウレア化合物の活性末端(アミノ基又はイソシアナート基)を封鎖するためにある。この活性末端はポリウレタン系合成繊維の紡糸安定性を悪化させる。反応モル当量が(A)>(B)の場合にはウレア化合物末端がアミノ基であるため(C)は有機モノイソシアナートを選択し、(A)<(B)の場合にはウレア化合物末端がイソシアナート基であるため(c)はモノ又はジアルキルアミンとアルキルモノアルコールの少なくとも一種を選択する必要がある。好ましくは、有機モノイソシアナートの選択である。
【0050】
ウレア化合物を得る反応例としては、(A)としてN−(2−アミノエチル)ピペラジンを2モル、(B)としてイソホロンジイソシアナートを1モル、(C)としてフェニルイソシアナートを2モル、を50重量%のジメチルアセトアミド溶液となるように50℃、2時間反応させる。反応は、ジメチルアセトアミド中に溶解させたN−(2−アミノエチル)ピペラジンの中に、イソホロンジイソシアナートとフェニルイソシアナートを滴下して行うが、反応方法はこれに限定されるものではなく、その他公知の方法を用いることができる。
【0051】
本発明で使用されるウレア化合物の添加量は、吸水性樹脂に対して20重量%以上が好ましい。20重量%未満だと、強力保持率、湿摩擦堅牢度の向上効果がまったくない。吸水性樹脂のポリウレタン系重合体に対する添加量は5重量%以上必要であるので、ウレア化合物のポリウレタン系重合体に対する添加量は1重量%以上必要である。ウレア化合物のポリウレタン系重合体に対して15重量%を越えて添加すると、紡糸糸切れ等で紡糸安定性が低下したり、また、強度、伸度、伸張回復性といった弾性機能も損なわれてしまうので好ましくない。すなわち、ウレア化合物のポリウレタンに対する添加量は、1〜15重量%が好ましく、2〜10重量%好適である。
【0052】
また、本発明のウレア化合物以外に、例えば、特開平7−316922公報に記載されたポリアクリロニトリル系重合体、ポリウレタン重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体から選ばれる熱可塑性重合体の少なくとも1種を、本発明のポリウレタン系合成繊維に含有させると、ウレア化合物よりは強力保持率、湿摩擦堅牢度の少ない改善効果が得られる。またウレア化合物よりは少ない熱セット効果も得られる。これらの中で、好ましい熱可塑性重合体はポリウレタン重合体である。これらの熱可塑性重合体は、本発明のウレア化合物と併用してもよいが、合計添加量は15重量%を超えないことが好ましい。
【0053】
ウレタン系吸水性樹脂、ウレア化合物、特開平7−316922公報に記載された化合物をポリウレタン系合成繊維に添加する場合、アミド系極性溶媒に溶解させた後、濾過精度の高いフィルターを通過させた溶液を使用することが望ましい。これらの化合物を合成する際には、必ず副反応によるゲルが生成して乾式紡糸の際に、糸切れ等の紡糸安定性が損なわれることになる。使用するフィルターとしては、平織り、綾織りの金網よりもステンレス繊維の多層焼結フィルターが好ましい。また、紡糸直前のポリウレタン紡糸原液をこのフィルターで濾過すれば、一層紡糸安定性が向上する。フィルターの性能としては、40μm以下の大きさのゲルを95%以上除去できるものが好ましい。
【0054】
ポリウレタン系合成繊維におけるポリウレタン系重合体を得るには、例えば、ポリマーグリコール、有機ジイソシアナートを反応させてソフトセグメントとなるウレタン中間重合体を合成後、鎖延長剤でハードセグメントを重合するといった公知の技術を用いることができる。鎖延長剤として、低分子ジオールを用いるとハードセグメントがウレタン結合からなるポリウレタン重合体となり、また2官能性アミンを用いるとハードセグメントがウレア結合からなるポリウレタンウレア重合体を得ることができる。ウレタン中間重合体の合成はアミド系極性溶媒のような不活性有機溶媒中で反応させてもよい。末端停止剤としては、1官能性アミン、モノアルコールのうちいずれも使用でき、鎖延長剤と混ぜて使用しても、別々に使用してもよい。
【0055】
ポリウレタンウレア弾性繊維は、例えば、次のような工程で得ることが可能である。まずポリアルキレンエーテルジオール等のポリマージオールと、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアナート等の有機ジイソシアナートとを反応させ、両末端がイソシアナートの中間重合体を合成する。続いてジメチルアセトアミドのようなアミド系極性溶媒中で、エチレンジアミンなどの2官能性アミンで鎖延長してポリウレタンウレア重合体の溶液を得る。重合体の分子量の調整は、鎖延長剤として用いられる2官能性アミンに、末端停止剤として1官能性アミンを所定量加えることで達成される。その重合体溶液に各種の安定剤等を添加して紡糸原液とし、その原液を乾式紡糸機で紡糸して高伸度・高伸張回復性を有するポリウレタンウレア弾性繊維を得ることができる。
【0056】
ポリマージオールとしては、実質的に線状のホモ又は共重合体からなる各種ジオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリカーボネートジオール又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくは、吸水時に黴による加水分解性のないポリアルキレンエーテルグリコールであり、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール、テトラメチレン基と3−メチルテトラメチレン基からなる共重合ポリエーテルグリコール又はこれらの混合物等である。中でも、優れた弾性機能を示す、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコールが好適である。これらのポリマージオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましく、より好ましくは1,000〜3,000である。
【0057】
テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基からなる共重合ポリエーテルグリコールを用いた場合、ポリテトラメチレンエーテルグリコールよりも高伸度、高伸張回復、低モジュラスとなりソフトな風合いの布帛が得られる。
【0058】
有機ジイソシアネナートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中でアミド系極性溶媒に溶解又は液状を示すものすべてを適用できる。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネナート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート又はこれらの混合物、共重合物などが挙げられる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネナートである。
【0059】
鎖延長剤の低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、フェニルジエタノールアミンなどが挙げられる。好ましくは、1,4−ブタンジオールである。
【0060】
鎖延長剤の2官能性アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリエチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ピペラジン、o−,m−及びp−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[2−(エチルアミノ)−ウレア]などまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、エチレンジアミン単独、または1,2−プロピレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの群から選ばれる少なくとも1種が5〜40モル%含まれるエチレンジアミン混合物である。
【0061】
末端停止剤の1官能性アミンとしては、例えば、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミンなどのモノアルキルアミン、又はジエチルアミン、ジメチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミンなどのジアルキルアミンが挙げられる。これらは単独で、または混合して用いることができる。
【0062】
末端停止剤のモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2プロパノール、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。これらは単独で、または混合して用いることができる。
【0063】
アミド系極性溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0064】
ポリエーテルエステル系合成繊維としては、ハードセグメント成分としては、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートのような芳香族ポリエステルが用いられる。又、ソフトセグメント成分としては、ポリテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール等のような脂肪族ポリエーテルグリコールや、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオール、アゼライン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどからなる脂肪族ポリエステルグリコールなどが用いられる。
【0065】
これらの合成繊維には、通常用いられる酸化防止剤、黄変防止剤、熱安定剤、顔料等の添加剤を添加することもできる。また、紡糸の際に、油剤等を表面に付着させることもできる。
【0066】
紡糸して得られたポリウレタン系合成繊維に、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、鉱物油、鉱物性微粒子、例えばシリカ、コロイダルアルミナ、タルク等、高級脂肪酸金属塩粉末、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固形状ワックス等の油剤を単独、又は必要に応じて任意に組み合わせ付与してもよい。
【0067】
本発明の合成繊維は、単独で編織されることは殆どなく、綿、絹、羊毛等の天然繊維、N6やN66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、アセテートレーヨン等と交編織されたり、又はこれらの繊維で被覆、交絡、合撚等をした加工糸が交編織されて、布帛とすることができる。
【0068】
本発明の合成繊維を用いた布帛は、水着、ガードル、ブラジャー、インティメイト商品、肌着等の各種ストレッチファンデーション、靴下用口ゴム、タイツ、パンティストッキング、ウェストバンド、ボディースーツ、スパッツ、ストレッチスポーツウェアー、ストレッチアウター、包帯、サポーター、医療用ウェア、ストレッチ裏地、紙おむつなどの用途に用いることができる。
【0069】
優れた吸湿性を有する本発明の合成繊維は、静電気の発生を防止できるといった制電効果も有し、例えば、パンティストッキングの素材と使用した時には、パンティストッキングの周りにスカートがまとわりついたり、主に冬場に車のシートとの摩擦によって発生する静電気ショックといった不快感は皆無となる。
【0070】
本発明の合成繊維で構成された布帛の形態としては、緯編物、経編物、織物があり、織物では平織、斜紋織、朱子織等変化組織、緯編物ではシングルの天竺組織、鹿子組織ダブルのリブ、スムース、ピッケ組織等変化組織、経編物ではトリコットのハーフ組織サテン組織等変化組織、ラッセルのパワーネット組織、サテン組織、チュール組織等、等のいずれの構造でも使用目的に合わせて選択することができる。布帛伸度は編物の場合伸度を必要とする方向に30%以上300%以下、織物の場合は5%以上100%以下のもの、もしくは2方向に伸縮性を示すものが好ましい。
【0071】
本発明の合成繊維を用いた布帛の有用な用途としては、インナー衣料、スポーツ衣料、レッグ衣料があり、インナー衣料としては肌着、ショーツ、ガードル、ボディーファー、スポーツ衣料はスパッツ、レオタード、レッグ衣料はストッキング、靴下、タイツ、等でお洒落を目的に、肌を外気から遮断し保温することや補形や身体の肉の振動をおさえる目的で使用されるものである。
【0072】
本発明の合成繊維の繊度は使用目的の生地パワーに合わせて適宜選択すればよく、3デニール(3.3デシテックス)〜1080(1200デシテックス)が一般に使用可能である。たとえばレッグ衣料の場合は3デニール(3.3デシテックス)〜100(110デシテックス)、インナー衣料の場合は10デニール(11デシテックス)〜1080(1200デシテックス)、スポーツ衣料の場合は10デニール(11デシテックス)〜1080(1200デシテックス)が使用可能である。糸の形態はベアー糸、あるいは非弾性糸を弾性糸にカバリングした物、引き揃え撚糸した物、紡績工程で複合したコアヤーン、エアージェット流での複合化した物、さらに仮撚加工をした物のいずれの複合糸も使用出来る。
【0073】
本発明の合成繊維は、使用目的に合わせて他の素材と混用して用いられるが、他の素材の種類、形態、繊度は適宜選択すればよく、特に限定されない。たとえば、綿、ウール、麻、等で代表される天然繊維、レーヨン、キュプラで代表される再生繊維、ポリエステル、ナイロン、で代表される合成繊維、さらに、吸湿性を示さない弾性繊維等の素材があげられる。綿で代表される天然繊維等他の繊維を混紡した紡績糸、交絡混繊(異収縮繊維や高強力繊維等の混繊糸)、交撚糸、複合仮撚糸、2フィードの空気噴射加工による加工糸等の形態があげられる。
【0074】
繊維の形態は長繊維でも短繊維でもよく長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面に於いても丸、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、扁平、ドッグボーン型、等の多角形、多葉型、中空型、や不定形型、のものでも良いがインナー衣料、スポーツ衣料、レッグ衣料用途としては5デニール(5.6デシテックス)〜225デニール(250デシテックス)、単糸繊度0.1デニール(0.11デシテックス)〜5デニール(5.6デシテックス)が良いが組織により選定すればよく、特に限定されるものでない。
【0075】
経編地の編成条件としては、トリコット編機、ラッセル編機の一般的な針密度20本/インチ〜40本/インチで編成可能であり、本発明の合成繊維の混用方法は編成ループを形成する方法あるいは地組織に絡ませ挿入する方法でも使用可能である。合成繊維はベアで使用すると他の繊維と比べ耐薬品性能や耐光性能が低いので消費性能問題を起こしやすいこと、摩擦抵抗が高いので直接肌に触れると嫌な感じを受けるので生地中に隠れる組織を選ぶことが好ましい。たとえばハーフ組織のバック筬に用いる、あるいはパワーネット、サテン組織のバック筬で挿入する組織が好ましい。目付は20g/m2〜300g/m2が好ましい。
【0076】
緯編地としてはストッキング、靴下、タイツ、肌着、スパッツ、レオタード、ショーツ、ガードル、ボディーファー等でお洒落を目的にしたり、肌を外気から遮断し保温することや補形や身体の肉の振動をおさえる目的で使用されるものである。丸編機、靴下編機、横編機で一般的な針密度5本/インチ〜40本/インチで編成可能な物であり、合成繊維の混用はベア糸を混用目的の相手繊維と引き揃え編成ループを形成する方法及び複合糸の形態にして編成する方法等があげられる。たとえばベア天竺、ベアフライス等があげられる。また複合糸の使用方法はベア糸と同様引き揃え編成に加え単独ループ形成の可能な組織である天竺組織、インターロック組織、片袋組織等があげられる。目付は10g/m2 〜200g/m2 が好ましい。
【0077】
織物としては、経糸及び又は緯糸にカバリング糸を用いて経緯方向又は緯方向に伸縮性5%以上を示し、ショーツ、キャミソール用途で軽量薄地の清涼感と外衣への影響をおさえる目的で使用するものには平織組織で経緯の弾性糸を互いに融着させることで着用時の目ズレを防止させることが好ましい、目付は10g/m2 〜100g/m2 のものである。
【0078】
特に、本発明の合成繊維の有用な用途であるレッグ衣料について詳述すると、レッグ衣料とは、パンティストッキング、タイツ、ヒザ上ストッキング、ハイソックス、ショートソックスなどを含むものである。
【0079】
パンティストッキングとは、ウエストのゴム部分のウエルト部、ヒップの部分のパンティ部、脚部の部分のレッグ部(フート部、かかと部を含む。)、つま先部分のトウ部で構成されているパンティ部が付いている薄手のストッキングのことである。
【0080】
一般的にパンティストッキングは、各部位に使用される糸が異なり、ウエルト部、パンティ部、トウ部には仮撚加工糸、ポリウレタン系合成繊維、もしくはポリウレタン系合成繊維に仮撚加工糸をカバリング(シングル又はダブルカバリング)したカバリング糸が多く、トウ部は仮撚加工糸のみで構成されていることもある。これらのパンティストッキングはレッグ部に用いられる糸の種類によってそれぞれ、仮撚加工糸を用いたウーリータイプ、ポリウレタン系合成繊維に原糸或いは仮撚加工糸をカバリング(シングル又はダブルカバリング)したカバリング糸を100%使用したゾッキタイプ、カバリング糸と原糸或いは仮撚加工糸を交編した交編タイプ、原糸或いは仮撚加工糸に撚りを加えた有撚糸を用いたシアータイプなどがある。
【0081】
タイツとは、ウエストのゴム部分のウエルト部、ヒップの部分のパンティ部、脚部の部分のレッグ部、つま先部分のトウ部で構成されているパンティ部が付いた厚手のストッキングのことである。一般的にタイツは、ウエルト部、パンティ部、トウ部には仮撚加工糸、ポリウレタン系合成繊維、もしくはポリウレタン系合成繊維に仮撚加工糸をカバリング(シングル又はダブルカバリング)したカバリング糸が用いられることが多く、レッグ部、トウ部は同一の糸種で構成されていることもある。これらタイツは、レッグ部に用いられる糸の種類によってそれぞれ、仮撚加工糸を用いたウーリータイプ、ポリウレタン系合成繊維に仮撚加工糸をカバリング(シングル又はダブルカバリング)したカバリング糸を100%使用したゾッキタイプ、カバリング糸と仮撚加工糸を交編した交編タイプ、仮撚加工糸に撚りを加えた有撚糸を用いたシアータイプなどがある。
【0082】
ヒザ上ストッキング、ハイソックス、ショートソックスとは、脚部上部のゴム糸挿入部分の口ゴム部、脚部の部分のレッグ部、つま先部分のトウ部で構成されているパンティ部を有しないストッキングのことでありレッグ部の各々の長さによってそれぞれ太ももまでの長さのものがヒザ上ストッキング、ヒザ下までの長さのものがハイソックス、ふくらはぎまでの長さのものがショートソックスである。一般的に口ゴム部、トウ部には仮撚加工糸、ポリウレタン系合成繊維、もしくはポリウレタン系合成繊維に仮撚加工糸をカバリング(シングル又はダブルカバリング)したカバリング糸が用いられることが多く、レッグ部、トウ部は同一の糸種で構成されていることもある。これらはレッグ部に用いられる糸の種類によってそれぞれ、仮撚加工糸を用いたウーリータイプ、ポリウレタン系合成繊維に原糸或いは仮撚加工糸をカバリング(シングル又はダブルカバリング)したカバリング糸を100%使用したゾッキタイプ、カバリング糸と原糸或いは仮撚加工糸を交編した交編タイプ、原糸或いは仮撚加工糸に撚りを加えた有撚糸を用いたシアータイプなどと呼ばれている。
【0083】
仮撚加工の方法としては、一般に用いられるピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エア加撚タイプ等、いかなる方法によるものでもよい。又、本発明の目的を損なわない範囲内において、セルロース繊維等他の繊維との、カバリング、交絡混繊、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)などによる複合加工を施したものを用いてもよい。また、他の繊維との複合方法として、交編も好適に用いられる。
【0084】
本発明のレッグ衣料に用いられるポリウレタン系合成繊維としては、3デニール(3.3デシテックス)〜100デニール(110デシテックス)、好ましくは、5デニール(5.6デシテックス)〜40デニール(44デシテックス)のポリウレタン系合成繊維が用いられ、ポリウレタン系合成繊維のベア編み込み時に用いられる原糸或いは仮撚加工糸には、3デニール(3.3デシテックス)〜100デニール(110デシテックス)、好ましくは、5デニール(5.6デシテックス)〜70デニール(78デシテックス)の繊維で構成されることが望ましい。3.3dtex未満では、糸強力が不足するので編み立て時に糸切れ等のトラブルが生じることがあり、ストッキングとしての伸縮性、耐久性が不十分となりやすいことがある。100デニール(110デシテックス)を超えると締め付け力が強くなり過ぎて圧迫感が強くなり、透明感の低下や粗硬感の増加となる傾向にある。
【0085】
有撚糸を使用する場合、糸の撚数は、原糸或いは仮撚加工糸のデシテックスに関わらず、収束性が保たれ、反発弾性が原糸或いは仮撚加工糸より若干でも向上する撚数であればいずれの撚数でもかまわないが、好ましくは50〜3000T/M、更に好ましくは75〜1500T/M、特に好ましくは100〜500T/Mである。有撚糸の撚数が50T/M未満の場合は、単繊維がばらけて透明感が低下したり、単繊維が引掛かり、いわゆるツレが発生しやすく、又、3000T/Mを超えると編成時にビリが発生し、ビリが部分的に編み地のループに編み込まれ、外観を著しく損なうので好ましくない。又、有撚糸を使用することで編み地が斜行する場合には、S撚、Z撚の有撚糸を1本交互に編成すればよい。レッグ部を有撚糸のみで構成する場合の繊維のデニール(デシテックス)は、5デニール(5.6デシテックス)〜200デニール(220デシテックス)、好ましくは10デニール(11デシテックス)〜100デニール(110デシテックス)、更に好ましくは15デニール(17デシテックス)〜75デニール(84デシテックス)である。5デニール(5.6デシテックス)未満では強度の面から破れが生じやすく、又、200デニール(220デシテックス)を超えると地厚になり、透明感などが低下しやすい。
【0086】
レッグ衣料の内、パンティストッキングを製造する方法は、特に限定されないが、例えば一般にいうパンティストッキング用丸編み機を用いることが出来る。この場合、針本数は300本から600本、釜径(釜の直径)は7.62cmから12.7cmが好ましい。
【0087】
パンティストッキングの編み組織は特に限定されず、ニット、タック、ウエルトの組織、または、これらの組合せであって、これにより柄が表現されていてもよい。
【0088】
又、パンティストッキングを構成するループの大きさも特に限定されず、例えば、コース方向に編針の引き込み深さである度目を変えて編成を行う、いわゆるファッショニングや、交編ストッキングの場合などで用いられるカバリング糸とストレート糸又は仮撚加工糸などいわゆる伴糸のループの大きさを変えてもよい。
【0089】
パンティストッキングのプレセット条件、縫製条件、染色条件、仕上剤条件、ファイナルセット条件は特に限定されず、適宜選択すればよい。
【0090】
【実施例】
以下に、実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、これらによって本発明の範囲が限定されるものではない。尚、実施例中に示した各特性値の測定方法は、以下の通りである。
〔A〕吸水性樹脂の吸水率
吸水性樹脂を70℃×2hr減圧して、絶乾重量を測定する。次いで、25℃の水に24hr浸漬後の吸水重量を測定する。(1)式で吸水率を求めた。
【0091】
〔B〕合成繊維の破断強度、破断伸度、及び破断強度保持率
20℃×65%RH(雰囲気A)、または30℃×90%RH(雰囲気B)の条件下で、合成繊維を24hr放置してそれぞれの雰囲気下で引張試験機(株)東洋ボールドウィン製UTM−111−100型により測定した。測定条件は、初期長50mmで試験糸をセットし、伸張速度500mm/分で破断するまで引っ張り、破断時の強度、伸度(初期長に対する伸び;単位:%)を測定した。破断強力保持率は、(2)式で求めた。
【0092】
〔C〕合成繊維の伸張回復率
雰囲気Aで装置を使用した。測定条件は、初期長(L0 )に対して300%まで伸張し、速やかに同じ速度で初期長まで戻し、更に300%まで伸張すると言う伸張・弛緩を3回繰り返す。3回目に初期長(L0 )まで試験糸をつかんでいるチャックが戻る時、チャックにかかっている応力がゼロになる長さ(L)を求める。すなわち伸張回復率は(2−1)式で求めた。
【0093】
伸張回復率は大きい方が、回復性がよい。
〔D〕合成繊維の吸放湿性能
所定量の合成繊維の絶乾状態での重量を測定する(絶乾条件は70℃×2hr減圧である)。雰囲気Aおよび雰囲気Bで24時間放置した後の重量を測定する。これらの測定値から、雰囲気Aでの吸湿率は(3)式で求め、雰囲気Bでの吸湿率は(4)式でを求めた。また、吸放湿能力%は(5)式で求めた。
【0094】
吸湿率は大きい方が吸湿量が多い。また、吸放湿能力は快適性を得るためのドライビングフォースであり、大きい方がよい。
〔E〕合成繊維の湿摩擦堅牢度
丸編機(小池機械製作所(株)CR−C型)を用いて、試験繊維のベア編地を作成する。ベア編地を1.2g計量し、ポリアミド繊維(旭化成工業(株)製レオナ12d/7f)からなるベア編地4.8gとを一緒に併せてステンレス製容器に入れ、ノンスルフォン含金ブラック染料(Irgalan Black BGL200、バイエル〔株〕製)4%owf、pH4.0(酢酸と硫安で調整する)にて95℃で60分間染色処理を行う。その後、タンニン酸(ハイフィックスSLA、大日本製薬(株)製)フィックス処理、ソーピング処理を行い、編地を水洗、風乾して試験用のベア編地を得る。
【0095】
JIS L 0849に従い、湿潤状態での摩擦堅牢度を評価する。評価は1〜5級で判定され、1級が最も悪く、5級が最も良い。尚、4〜5級の間では優劣を明確にする為、目視で0.2級毎の判定評価を行った。
〔F〕ストッキングの作成、及び着用快適性の評価試験
釜径10.16cm、針本数400本の通常のパンティストッキング用丸編機を用いて、ウエルト部は140デニール(155デシテックス)のポリウレタン系合成繊維、56dtex/17fのナイロン66繊維の仮撚加工糸(a)、片岡機械(株)製カバリング機を用い40デニール(44デシテックス)のポリウレタン系弾性繊維をドラフト3.0で延伸し、30デニール(33デシテックス)/10fのナイロン66繊維の仮撚加工糸をSZそれぞれ600T/Mでシングルカバリングしたカバリング糸(b)を用いて交編し(1:1タックの組織にて編成)、パンティ部及びトウ部は、仮撚加工糸(a)とカバリング糸(b)を用いて交編し、天竺組織にて編成した。尚、パンティ部の一部にランガードとして同一の糸使いで1:1タックの組織にて編成した。レッグ部は、片岡機械(株)製カバリング機を用い、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2並びに比較例5にて得られた20デニール(22デシテックス)のポリウレタンウレア弾性繊維をドラフト3.0で延伸し、12デニール(13デシテックス)/3fのナイロン66繊維の原糸をSZそれぞれ1800T/Mシングルカバリングしたカバリング糸(c)のみを用いて編成したパンティストッキングの生機を得た。
【0096】
次いで、通常の方法でプレセットを行った後、上記で得られたパンティストッキングの生機を縫製糸30デニール(33デシテックス)/10fのナイロン66繊維の仮撚加工糸を2本合撚した糸)で縫製した。次いで通常の方法でパンティストッキングの一般色である茶色に酸性染料で染色、仕上剤処理、ファイナルセットを行い製品とした。
(1)着用快適感
パンティーストッキングを着用し、室温30℃、湿度70%RHの雰囲気室内において、15分間軽い運動を行った。運動は、約4.5km/時の速度の歩行運動とした。運動を終了してから10分間、微風下で安静状態を保った後に、着用感について、パネラー10名によるヒアリングを行った。「着用感」「蒸れ感・べたつき感がない」「肌触りが良い」「さらっとしている」「伸縮性が良い」「サポート力が良い」「着用感が良い」の各官能項目ごとに、「非常に良好」を5、「良好」を4、「どちらともいえない」を3、「やや不良」を2、「不良」を1とした5段階評価を行い、10名の平均値を評価値とした。
(2)レッグ部透明感
パネラー10名による官能テストを行い、着用時のレッグ部の透明感について評価した。レッグ部の透明感について、非常に良好を5、良好を4、どちらともいえないを3、やや不良を2、不良を1とした5段階評価を行い、10名の平均値を評価値とした。
(3)生地外観
パネラー10名による官能テストを行い、着用時のレッグ部の生地外観について評価した。レッグ部の生地外観について、非常に良好を5、良好を4、どちらともいえないを3、やや不良を2、不良を1とした5段階評価を行い、10名の平均値を評価値とした。
(4)着用時の吸放湿性能
夏季暑熱環境移動シミュレーション試験および冬季寒冷環境移動シミュレーション試験を行った。
【0097】
試験条件は次に示す通りである。
【0098】
1)室温26℃、相対湿度60%RHに調節した環境試験室中で15分間椅座安静状態を保った後、同環境室にて、パンティーストッキングを着用し、大腿部から発生する水分蒸発量をニッシン産業(株)製;エバポリメーターを用いて測定した。
【0099】
2)室温20℃、相対湿度65%RHに調節した環境試験室中で15分間椅座安静状態を保った後、夏季を想定した室温30℃・相対湿度90%RHの環境試験室に移動してパンティーストッキングを着用し、15分間の椅座安静状態を保った後、再び室温20℃、相対湿度65%RHに調節した環境試験室に戻り、15分間の椅座安静状態を保った。この一連の環境条件は、夏季における日常生活をシミュレートしたものであり、室温30℃・相対湿度90%RHの環境条件は屋外安静時を想定し、室温20℃、相対湿度65%RHの環境条件は冷房された屋内に環境移動した場合での安静時を想定している。
【0100】
また、この試験では、実生活での着衣条件に近づけるため、被験者に対し、着衣として、夏用の外衣(ブラジャー、ショーツ〔綿100%〕、半袖シャツ〔綿50%/ポリエステル50%〕、セミタイトスカート〔ポリエステル100%、裏地なし〕、靴下〔綿100%〕)を着用させた。
【0101】
測定部位は膝蓋骨10cm上の大腿部におけるパンティーストッキング内湿度を神栄(株)製の衣服内温湿度測定用センサーを用いて30秒毎に測定した。
【0102】
3)室温20℃、相対湿度65%RHに調節した環境試験室中で15分間椅座安静状態を保った後、冬季を想定した室温10℃・相対湿度40%RHの環境試験室に移動してパンティーストッキングを着用し、15分間の椅座安静状態を保った後、再び室温20℃、相対湿度65%RHに調節した環境試験室に戻り、15分間の椅座安静状態を保った。この一連の環境条件は、冬季における日常生活をシミュレートしたものであり、室温10℃・相対湿度40%RHの環境条件は屋外安静時を想定し、室温20℃、相対湿度65%RHの環境条件は暖房された屋内に環境移動した場合での安静時を想定している。
【0103】
また、この試験では、実生活での着衣条件に近づけるため、被験者に対し、着衣として、冬用の外衣(ブラジャー、ショーツ〔綿100%〕、長袖シャツ〔綿50%/ポリエステル50%〕、セミタイトスカート〔ポリエステル100%、裏地なし〕、靴下〔綿100%〕、防寒衣〔中綿入りジャンパー〕)を着用させた。
【0104】
測定部位は膝蓋骨10cm上の大腿部におけるパンティーストッキング内湿度を神栄(株)製の衣服内温湿度測定用センサーを用いて30秒毎に測定した。
【0105】
4)室温20℃、相対湿度65%RHに調節した環境試験室中で15分間椅座安静状態を保った後、夏季を想定した室温30℃・相対湿度70%RHの環境試験室に移動してパンティーストッキングを着用し、さらに10分間椅座安静状態を保った後、15分間4.5km/hrの速さで15分間のトレッドミル走行運動した。その後、室温26℃、相対湿度60%RHに調節した環境試験室に移動し、15分間の椅座安静状態を保った。この一連の環境条件は、夏季における日常生活をシミュレートしたものであり、室温30℃・相対湿度70%RHの環境条件は屋外歩行時を想定し、室温26℃、相対湿度60%RHの環境条件は冷房された屋内に環境移動した場合での安静時を想定している。
【0106】
また、この試験では、実生活での着衣条件に近づけるため、被験者に対し、着衣として、夏用の外衣(ブラジャー、ショーツ〔綿100%〕、半袖シャツ〔綿50%/ポリエステル50%〕、セミタイトスカート〔ポリエステル100%、裏地なし〕、靴下〔綿100%〕)を着用させた。
【0107】
測定部位は膝蓋骨10cm上の大腿部におけるパンティーストッキング内湿度を神栄(株)製の衣服内温湿度測定用センサーを用いて30秒毎に測定した。
【0108】
大腿部から発生する水分蒸発量については、ニッシン産業(株)製のエバポリメーターを用いて測定した。
【0109】
〔実施例1〕
数平均分子量1,830のポリテトラメチレングリコールを、1,000重量部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを、168.1重量部とを窒素ガス雰囲気中65℃で1時間攪拌しつつ反応させ、末端イソシアナートを有する中間重合体を得た。この中間重合体を乾燥したジメチルアセトアミドに溶解し、濃度60%とした。次いで、エチレンジアミンを、14重量部とジエチルアミンを2.7重量部とを含むジメチルアセトアミド溶液を、激しく攪拌された中間重合体溶液に加え、濃度約35%のポリウレタンウレア重合体溶液を得た。
【0110】
このポリウレタンウレア重合体溶液に、数平均分子量(以下、Mnで表す)が7,000のポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートとからなる吸水率1,800重量%のウレタン系吸水性樹脂(Mn60,000)を、ポリウレタンウレア重合体に対して、25重量%添加・混合した。この溶液に、酸化防止剤、黄変防止剤等の添加剤、すなわち、ポリウレタン重合体に対して、p−クレゾールとジシクロペンタジエンの重付加体のイソブチレン付加物1.5重量%、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−t−ブチルアミン2.5重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5−ジベンジル−フェニル)−ベンゾトリアゾール0.3%、ステアリン酸マグネシウム0.05重量%を添加し、乾式紡糸用の紡糸原液とした。紡糸原液全体の固形分濃度は、35重量%となるように調整した。
【0111】
この紡糸原液を熱風温度240℃の乾式紡糸機に供給し、800m/分の巻取速度で巻き取ってポリウレタンウレア弾性繊維を得た。繊度は、20デニールで2フィラメントとした。
【0112】
この弾性繊維をレッグ部に使用したパンティーストッキングを作製し、着用試験を実施した。弾性繊維の各種物性値、ストッキングの着用感の結果については、表1に示した。伸度、伸張回復性、及び吸放湿特性に優れたポリウレタンウレア弾性繊維が得られた。また、その弾性繊維を用いて、着用フィット感が良好であり、ムレ感、ベタツキ感の少ない蒸れにくい快適なストッキングが得られた。
【0113】
すなわちパンティストッキングの着用による蒸れ感、べたつき感等の不快感、並びに肌触り、伸縮性等の着用感の官能評価結果は表1に示すとおりであり、吸湿性、生地外観、透明感、着用快適感に優れたものであった。
【0114】
図1〜図4は、シミュレーション試験の結果を示している。
【0115】
図1は、椅座安静時の水分蒸散量を示し、水分蒸散量が多い方が放湿作用効果が発揮されることを示している。図2は、異環境移動時の大腿部位でのパンティーストッキングの衣服内湿度を示し、室温30℃・相対湿度90%RHの高温高湿環境において湿度が低い方が蒸れ感、べたつき感が少ないことを示す。ここに、図2は、室温10℃・相対湿度40%RHの低温低湿度環境において湿度が高い方が保湿効果が発揮されることが示されている。図3は、30℃×70%RH環境で椅座安静後、30℃×70%RH環境でトレッドミル走行運動を15分間行い、26℃×60%RH環境に移動し、椅座安静にした場合の大腿部位でのパンティーストッキング内の衣服内湿度を示している。この図から30℃×70%RH環境でトレッドミル走行運動中の湿度が低い方がよく、運動後26℃×60%RH環境に移動後の湿度低下が速いほど、速やかな放湿作用効果が発揮され蒸れ感、べたつき感、冷え感が少ないことがわかる。図4は、30℃×70%RH環境でトレッドミル走行運動を行い、26℃×60%RH環境に移動後の水分蒸散量を示す。図4から、水分蒸散量が少ない方が蒸れ感、べたつき感が少ないことが理解される。
【0116】
シミュレーション試験結果について、以下に詳述する。図1から明らかなように、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中にて椅座安静時の水分蒸発量が、従来のパンティーストッキングに比べて水分蒸発量が多く、常にコンスタントな水分蒸発量が維持されている。図2から明らかなように、室温30℃・相対湿度90%RHの高温高湿環境から室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、速やかな放湿作用効果が発揮されることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が少なく、次いで室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境から室温10℃・相対湿度40%の低温低湿環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が緩やかに低下し、保湿効果を有する結果を示している。
【0117】
また、図3から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、速やかな放湿作用効果が発揮されることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が少ない。図4から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の椅座安静時において、常にコンスタントな水分蒸発量を維持しており、運動中の蒸散作用がよいために、運動後に不感蒸泄作用が残らない結果が示されている。
【0118】
〔実施例2〕
実施例1において、ポリウレタン系吸水性樹脂のポリウレタンウレア重合体に対する添加量を、11重量部とした以外は、実施例1と同様の方法でポリウレタンウレア弾性繊維、及びストッキングを得た。得られた弾性繊維の各種物性値、ストッキングの着用感の結果については、同様に表1に示した。ストッキングの着用感は表1に示すように良好であった。
【0119】
パンティストッキングの着用による蒸れ感、べたつき感等の不快感、並びに肌触り、伸縮性等の着用感の官能評価結果は表1に示すとおりであり、吸湿性、生地外観、透明感、着用快適感に優れたものであった。
【0120】
次にシミュレーション試験の結果を図1〜図4に示す。すなわち、図1から明らかなように、室温26℃・相対湿度60%RH環境中にて椅座安静時の水分蒸発量が、従来のストッキングに比べて水分蒸発量が多く、常にコンスタントな水分蒸発量を維持しており、図2から明らかなように、室温30℃・相対湿度90%RHの高温高湿環境から室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、速やかな放湿作用効果が発揮されることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が少なく、次いで室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境から室温10℃・相対湿度40%の低温低湿環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が緩やかに低下し、保湿効果を有する結果が得られる。
【0121】
また、図3から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、速やかな放湿作用効果が発揮されることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が少なく、図4から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の椅座安静時において、常にコンスタントな水分蒸発量を維持しており、運動中の蒸散作用が良いために、運動後に不感蒸泄作用が残らない結果が得られる。
【0122】
〔比較例1〕
実施例1において、ウレタン系吸水性樹脂を添加しない以外は、実施例1と同様の方法でポリウレタンウレア弾性繊維、及びストッキングを得た。糸の各種物性値、着用感の結果については、同様に表1に示した。ストッキングの着用感は、ムレ感、ベタツキ感が認められ、評価値も低かった。
【0123】
パンティストッキングの着用による蒸れ感、べたつき感等の不快感、並びに肌触り、伸縮性等の着用感の官能評価結果は表1に示すとおりであり、吸湿性、生地外観、透明感、着用快適感に劣るものであった。
【0124】
次に、シミュレーション試験の結果を図1〜図4に示す。図1から明らかなように、室温26℃・相対湿度60%RH環境中にて椅座安静時の水分蒸発量が少なく、常にコンスタントな水分蒸発量を維持しておらず、図2から明らかなように、室温30℃・相対湿度90%RHの高温高湿環境から室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下しておらず、速やかな放湿作用効果がないものとなっていることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が大いに感じられ、次いで室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境から室温10℃・相対湿度40%RHの低温低湿環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、保湿効果がなく良好な結果が得られない。
【0125】
また、図3から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下せず、速やかな放湿作用効果がないことにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が大いに感じられ、図4から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の椅座安静時において、常にコンスタントな水分蒸発をしておらず、水分蒸発量の経時的なばらつきが生じており、運動中の蒸散作用が悪いために、運動後に不感蒸泄作用が残り、水分蒸発量が多く良好な結果が得られない。
【0126】
【表1】
【0127】
〔実施例3〜12〕
表2に示すように、種々の吸水率を有するウレタン系吸水性樹脂とウレア化合物、及び公知技術の添加剤(特開平7−316922号公報の実施例4記載のポリウレタン重合体)を実施例1のポリウレタンウレア重合体に添加し、実施例1と同様にしてポリウレタンウレア弾性繊維を得た。いづれの繊維も、適度に優れた吸放湿性、吸湿下で優れた強力保持性、湿摩擦堅牢性を有していた。
【0128】
〔比較例2〕
実施例3のウレタン系吸水性樹脂の添加量を2重量%とし、実施例1と同様にしてポリウレタンウレア弾性繊維を得た。添加量が少なく、充分な吸放湿性が得られなかった。
【0129】
すなわちパンティーストッキングの着用による蒸れ感、べたつき感等の不快感、並びに肌触り、伸縮性等の着用感の官能評価結果は表1に示すとおりであり、吸湿性、生地外観、透明感、着用快適感に劣るものであった。
【0130】
シミュレーション試験の結果を図1〜図4に示す。図1から明らかなように、室温26℃・相対湿度60%RH環境中にて椅座安静時の水分蒸発量が少なく、常にコンスタントな水分蒸発量を維持しておらず、図2から明らかなように、室温30℃・相対湿度90%RHの高温高湿環境から室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下しておらず、速やかな放湿作用効果がないものとなっていることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が大いに感じられ、次いで室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境から室温10℃・相対湿度40%の低温低湿環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、保湿効果がなく良好な結果が得られない。
【0131】
また、図3から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下せず、速やかな放湿作用効果がないことにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が大いに感じられ、図4から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の椅座安静時において、常にコンスタントな水分蒸発をしておらず、水分蒸発量の経時的なばらつきが生じており、運動中の蒸散作用が悪いために、運動後に不感蒸泄作用が残り、水分蒸発量が多く良好な結果が得られない。
【0132】
〔比較例3〕
実施例8のウレタン系吸水性樹脂の添加量を50重量%とし、実施例1と同様にしてポリウレタンウレア弾性繊維を得た。添加量が多く、吸湿時の強力低下が大きく、湿摩擦堅牢度も劣る。さらに、吸湿量が大きくべとつき感のあるものであった。
【0133】
〔比較例4〕
実施例1の高分子ジオールに代わりに、Mn7,000のポリエチレングリコールとMn3,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを重量比2:8でブレンドした高分子ジオールから得られたウレタン系吸水性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリウレタンウレア弾性繊維を得た。この繊維は充分な吸放湿性ではなかった。
【0134】
〔比較例5〕
実施例1のウレタン系吸水性樹脂の代わりに、特開平5−271432号公報の実施例1記載の塩化マグネシウムを8重量%添加して、実施例1同様にしてポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
【0135】
すなわち、パンティーストッキングの着用による蒸れ感、べたつき感等の不快感、並びに肌触り、伸縮性等の着用感の官能評価結果は表1に示すとおりであり、吸湿性、生地外観、透明感、着用快適感に劣るものであった。
【0136】
シミュレーション試験の結果を図1〜図4に示す。図1から明らかなように、室温26℃・相対湿度60%RH環境中にて椅座安静時の水分蒸発量が少なく、常にコンスタントな水分蒸発量を維持しておらず、図2から明らかなように、室温30℃・相対湿度90%RHの高温高湿環境から室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下しておらず、速やかな放湿作用効果がないものとなっていることにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が大いに感じられ、次いで室温20℃・相対湿度65%RHの標準環境から室温10℃・相対湿度40%の低温低湿環境に移動した場合において、環境移動後の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下し、保湿効果がなく良好な結果が得られない。
【0137】
また、図3から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の大腿部位でのパンティーストッキング内湿度が急激に低下せず、速やかな放湿作用効果がないことにより、蒸れ感、べたつき感、冷え感が大いに感じられ、図4から明らかなように、室温30℃・相対湿度70%RHの環境中にて、4.5km/hrの速さで15分間トレッドミル走行運動した後、室温26℃・相対湿度60%RHの環境中に移動した時の椅座安静時において、常にコンスタントな水分蒸発をしておらず、水分蒸発量の経時的なばらつきが生じており、運動中の蒸散作用が悪いために、運動後に不感蒸泄作用が残り、水分蒸発量が多く良好な結果が得られない。
【0138】
〔比較例6〕
数平均分子量6,000のポリエチレングリコールを1モル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを2モル、1,4−ブタンジオールを0.25モルの比率で反応させて得られる吸水率1,600重量%のポリウレタン樹脂を合成した。これを、210℃で溶融しノズルから押し出して20d(1フィラメント)のポリウレタン系合成繊維を得た。比較例5〜6は、吸湿量が多くべとつきやすいものであった。又、吸湿時の強力低下や湿摩擦堅牢度低下も大きい。
【0139】
実施例3〜12、比較例1〜6において、各雰囲気A、Bでの強力、強力保持率、吸放湿性能の測定、及び湿摩擦堅牢度の結果を表3にまとめた。
【0140】
【表2】
【0141】
【表3】
【0142】
〔実施例13〕
実施例3で得られたポリウレタンウレア重合体の紡糸原液を熱風温度240℃の乾式紡糸機に供給し、800m/分の巻き取り速度で巻き取って、繊度 40デニール(44デシテックス)/4フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。得られた40デニール(44デシテックス)のポリウレタン弾性繊維とナイロン繊維70デニール(78デシテックス)/68 フィラメントを用いて丸編み機で下記条件にてベア天竺布帛を作成し、ショーツを試作した。試作したショーツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感の少ない良好な着用感のショーツが得られた。
ベア天竺編成条件
得られたベア天竺を下記条件にて染色した。
【0143】
〔実施例14〕
実施例3で得られたポリウレタンウレア重合体の紡糸原液を熱風温度240℃の乾式紡糸機に供給し、500m/分の巻き取り速度で巻き取って、繊度280デニール(310デシテックス)/36フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。得られた280デニール(310デシテックス)のポリウレタンウレア弾性繊維とナイロン繊維50デニール(56デシテックス)/17フィラメントを用いてラッセル編機で下記条件にてラッセル編地を作成し、ガードルを試作した。試作したガードルで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感の少ない良好な着用感のガードルが得られた。
ラッセル編地編成条件
ポリウレタンウレア弾性繊維は100%伸張して製経を行った。上記条件は機械設定条件である。
【0144】
機上コース 90コース/インチ
ポリウレタンウレア弾性繊維混率:20%
得られたラッセル編地を下記条件にて染色した。
【0145】
〔実施例15〕
実施例3で得られたポリウレタンウレア重合体の紡糸原液を実施例1と同様の条件で紡糸し、繊度40デニール(44デシテックス)/4フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。得られた40デニール(44デシテックス)のポリウレタンウレア弾性繊維とナイロン繊維50デニール(56デシテックス)/17フィラメントを用いてトリコット編機で2ウェイトリコットを下記条件にて作成し、スパッツを試作した。試作したスパッツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感の少ない良好な着用感のスパッツが得られた。
トリコット編地編成条件
ポリウレタンウレア弾性繊維は100%伸張して製経を行った。上記条件は機械設定条件である。
【0146】
機上コース 80コース/インチ
ポリウレタンウレア弾性繊維混率:20.5%
得られたトリコット編地を下記条件にて染色した。
【0147】
〔実施例16〕
実施例6で得られたポリウレタン弾性繊維20デニール(22デシテックス)/2フィラメントとナイロン66繊維20デニール(22デシテックス)/24フィラメントを用いて、カバリングドラフト3.0倍で、1000T/Mのカバリング糸を緯糸に用い、経糸には20デニール(22デシテックス)/7フィラメントを経糸として平織りのストレッチ織物を下記条件にて作成しショーツを試作した。試作したショーツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感の少ない良好な着用感のショーツが得られた。
【0148】
織機 津田駒製 レピアルーム
おさ通幅:204cm 打込:110本/インチ
総本数:14500本
生機密度 経糸:200本/インチ 緯糸:110本/インチ
ポリウレタンウレア弾性繊維混率:10.6%
得られた織物を下記条件で染色した。
【0149】
〔実施例17〕
実施例6で得られたポリウレタンウレア弾性繊維20デニール(22デシテックス)/2フィラメントとナイロン66繊維20デニール(22デシテックス)/24フィラメントを用いて、カバリングドラフト3.0倍で、1000T/Mのカバリング糸を経糸および緯糸に用い、平織りのストレッチ織物を下記条件にて作成しショーツを試作した。試作したショーツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感の少ない良好な着用感のショーツが得られた。
【0150】
織機 津田駒製 レピアルーム
おさ通幅:204cm 打込:110本/インチ
総本数:8800本
生機密度 経糸:120本/インチ 緯糸:110本/インチ
ポリウレタンウレア弾性繊維混率:25.0%
得られた織物を下記条件で染色した。
【0151】
〔比較例9〕
ポリウレタン系弾性繊維(旭化成工業株式会社製 商品名ロイカSCタイプ)40デニール(44デシテックス)とナイロン繊維70デニール(78デシテックス)/68フィラメントを用いて実施例13と同様の方法でベア天竺布帛を作成し、ショーツを試作した。試作したショーツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感のあるショーツであった。
【0152】
〔比較例10〕
ポリウレタン系弾性繊維(旭化成工業株式会社製 商品名ロイカSタイプ)280デニール(310デシテックス)とナイロン繊維50デニール(56デシテックス)/17フィラメントを用いて実施例14と同様の方法でラッセル編地を作成し、ガードルを試作した。試作したガードルで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感のあるガードルであった。
【0153】
〔比較例11〕
ポリウレタン系弾性繊維(旭化成工業株式会社製 商品名ロイカSCタイプ)40デニール(44デシテックス)とナイロン繊維50デニール(56デシテックス)/68フィラメントを用いて実施例15と同様の方法で2ウェイトリコットを作成し、スパッツを試作した。試作したスパッツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感のあるスパッツであった。
【0154】
〔比較例12〕
ポリウレタン弾性繊維20デニール(22デシテックス)/2フィラメント(旭化成工業株式会社製 商品名ロイカSCタイプ)とナイロン66繊維20デニール(22デシテックス)/24フィラメントを用いて実施例16と同様の方法でストレッチ織物を作成し、ショーツを試作した。試作したショーツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感のあるショーツであった。
【0155】
〔比較例13〕
ポリウレタン弾性繊維20デニール(22デシテックス)/2フィラメント(旭化成工業株式会社製 商品名ロイカSCタイプ)とナイロン66繊維20デニール(22デシテックス)/24フィラメントを用いて実施例17と同様の方法でストレッチ織物を作成し、ショーツを試作した。試作したショーツで実施例1と同様に評価を行い、その結果を表4に示した。ムレ感、ベタツキ感のあるショーツであった。
【0156】
【表4】
【0157】
【発明の効果】
本発明によれば、吸湿時おける繊維強度の低下が小さく、吸湿された水分を容易に放湿する性質を有するポリウレタン繊維、ポリウレタンウレア繊維などの高伸度・高伸張回復性合成繊維が得られる。また、本発明による高伸度・高伸張回復性合成繊維は、他の繊維と混用して、染色などの湿潤加工で布帛の強度の低下が小さく、染色物の湿潤摩擦染色堅牢度が擦堅牢度の高いストレッチ布帛をつくることができる。かくして、本発明は、加工特性の改善された、蒸れにくく着用快適性に優れたストレッチ衣料の製造を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例、比較例に係る繊維を複合して製作したパンティストッキングについて、室温26℃、相対湿度60%RHの環境中にての着用者椅坐安静時の水分蒸散量を比較して示す。
【図2】 本発明の実施例、比較例に係る繊維を複合して製作したパンティストッキングの夏季暑熱(冬季寒冷)環境移動シュミレーション試験による吸放湿性能を示す。
【図3】 本発明の実施例、比較例に係る繊維を複合したパンティストッキングの走行運動(トレッドミル走行)後の着用者の衣服内の湿度を比較して示す。
【図4】 本発明の実施例、比較例に係る繊維を複合したパンティストッキングについて、着用者の走行運動(トレッドミル走行)後静坐安静位に移行したときの水分蒸散のプロファイルを比較して示す。
Claims (18)
- 20℃×65%RHでの吸湿率が0.5〜4.0重量%、30℃×90%RHでの吸湿率が4.5重量%以上であり、且つ前記二つの条件での吸湿率の差が4.0重量%以上であり、破断伸度450%以上、伸長回復率80%以上を有するポリウレタン系合成繊維であることを特徴とする吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- 30℃×90%RHでの吸湿率が4.5〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載された吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- 下記(a)、(b)又は(a)〜(c)を反応して得られ、500〜4,000重量%の吸水率を有するポリウレタン系吸水性樹脂の少なくとも1種を、ポリウレタン系重合体に対して5〜40重量%含有させることを特徴とする請求項1に記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
(a)エチレンオキサイドユニットが少なくとも70重量%の数平均分子量2,000〜30,000のポリアルキレンエーテルグリコールを50重量%以上含有してなる高分子ジオール
(b)有機ジイソシアナート
(c)数平均分子量50〜200の低分子ジオールまたは2官能性アミン - 高分子ジオールがポリエチレングリコール、有機ジイソシアナートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートの少なくとも1種、低分子ジオールが1,4−ブタンジオール、エチレングリコールの少なくとも1種、2官能性アミンがエチレンジアミン、1.2−プロピレンジアミンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- 高伸度・高伸張回復性合成繊維が乾式紡糸によって得られるポリウレタン系合成繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- ポリウレタン系合成繊維の20℃×65%RHでの破断強力に対する、30℃×90%RHでの破断強力の保持率が90%以上であることを特徴とする請求項5記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- ポリウレタン系合成繊維が酸性染料で染色された時に4級以上の湿摩擦堅牢度を有することを特徴とする請求項4又は5記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- ポリウレタン系合成繊維が、下記(A)〜(C)を反応して得られるウレア化合物をポリウレタン系重合体に対して1〜15重量%含有することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
(A)第1級アミン及び第2級アミンのうち少なくとも一種から選ばれる2官能性アミノ基と第3級窒素及び複素環状窒素の内少なくとも一種から選ばれる窒素含有基とを含む窒素含有化合物。
(B)有機ジイソシアナート
(C)モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、有機モノイソシアナートの群から選ばれる一種の化合物。 - ポリウレタン系合成繊維が、数平均分子量500〜10,000のポリアルキレンエーテルグリコールに過剰モルの有機ジイソシアナートを反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを合成し、次いでプレポリマーに2官能性アミンと1官能性アミンとを反応させて得られるポリウレタンウレア重合体からなるポリウレタンウレア弾性繊維であることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維。
- 数平均分子量500〜10,000のポリアルキレンエーテルグリコールに過剰モルの有機ジイソシアナートを反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを合成し、次いでプレポリマーに2官能性アミンと1官能性アミンとを反応させて得られるポリウレタンウレア重合体からポリウレタンウレア弾性繊維を得る際に、下記(a)〜(b)、又は(a)〜(c)を反応して得られる500〜4,000重量%の吸水率を有するウレタン系吸水性樹脂の少なくとも1種を、アミド系極性溶媒に溶解又は微分散せしめて、該吸水性樹脂をポリウレタンウレア重合体に対して5〜40重量%含有させて得られる、ポリウレタンウレア紡糸原液を乾式紡糸することを特徴とする吸放湿性に優れた破断伸度450%以上、伸長回復率80%以上を有する高伸度・高伸張回復性合成繊維の製造方法。
(a)エチレンオキサイドユニットが少なくとも70重量%の数平均分子量2,000〜30,000のポリアルキレンエーテルグリコールを50重量%以上含有してなる高分子ジオール
(b)有機ジイソシアナート
(c)数平均分子量50〜200の低分子ジオール、または2官能性アミン - ポリウレタンウレア弾性繊維が、下記(A)〜(C)を反応して得られるウレア化合物をアミド系溶媒に溶解せしめて、ポリウレタンウレア重合体に対して1〜15重量%含有させて得られることを特徴とする請求項10記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維の製造方法。
(A)第1級アミン及び第2級アミンのうち少なくとも一種から選ばれる2官能性アミノ基と第3級窒素及び複素環状窒素のうち少なくとも一種から選ばれる窒素含有基とを含む窒素含有化合物。
(B)有機ジイソシアナート
(C)モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、有機モノイソシアナートの群から選ばれる一種の化合物。 - 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とする布帛。
- 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とする緯編物。
- 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とする経編物。
- 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とする織物。
- 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とするレッグ衣料。
- 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とするインナー衣料。
- 請求項1から9のいずれかに記載の吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維で構成されたことを特徴とするスポーツ衣料。
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