JP3832773B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、遊技機に係わり、詳しくは機枠を樹脂等の比較的低強度な材料により形成した場合でも、遊技機全体を強固に島設備側に固定でき、さらには開閉枠の強固な支持が可能な遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の遊技機は、遊技機全体を島設備に固定するための木製の機枠を有し、この機枠に開閉自在に取付けられた木製の前面枠に遊技盤が取付けられ、機枠を島設備の構成部材に釘で打ち付けることで、遊技機全体を島設備に固定していた。
そして、遊技盤の前面側に金属製のガラス枠(保持枠)が配置され、このガラス枠の開口部からガラス板(クリア部材)を介して遊技盤上の遊技領域を前面側から視認可能な状態としている。このガラス枠は、前面枠の開口部の縁に設けられたヒンジにより支持されており、遊技機の前面側に遊技盤を覆う状態で開閉可能なように構成されていた。また、ガラス枠の下方には上皿等が設けられた開閉パネルが設けられ、この開閉パネルも前面枠にヒンジにより支持されて、開閉可能に保持されていた。
なお、最近では、機枠と前面枠等を樹脂により形成するものも考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の遊技機にあっては、機枠等の材質及び強度面で、以下のような問題点があった。
(イ)主要部材に木材を使用しているため、森林伐採による自然破壊を進めてしまう。
(ロ)自然破壊の問題を解消するために、機枠を合成樹脂により形成した場合、開閉枠(例えば前面枠)を支持するヒンジ部に加わる局部的な力により機枠の変形や破壊の恐れがある。
(ハ)また、機枠を合成樹脂により形成した場合、パチンコ機全体の島設備への固定においても、頑強な固定ができないとともに、機枠の島設備への固定部分(釘打ち部分)に加わる局部的な力により機枠の変形や破壊の恐れがある。
【0004】
そこで本発明は、機枠を樹脂により形成した場合でも、機枠の強度を維持して遊技機全体を強固に島設備側に固定でき、さらには開閉枠の強固な支持が可能な遊技機を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明による遊技機は、遊技機を島設備へ固定するための合成樹脂製の機枠を有する遊技機であって、
前記機枠は、
遊技盤を保持する遊技盤保持枠をピンヒンジにより開閉自在に支持するとともに、前記遊技盤の遊技領域を視認可能とするクリア部材を保持するクリア部材保持枠を開閉機構部材により開閉自在に支持し、
前記開閉機構部材は、前記クリア部材保持枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジから構成し、
前記機枠の一側辺部に一体的な補強金属部材を備えるとともに、該補強金属部材に前記ピンヒンジと前記スライドヒンジを設け、
さらに、前記機枠の一側辺部には、縦長の凹室が形成され、この凹室内に断面コ字状の前記補強金属部材がはめ込まれて一体的に固定されるように構成することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明による遊技機は、遊技機を島設備へ固定するための合成樹脂製の機枠と、この機枠に対して開閉可能な開閉枠とを有する遊技機であって、
前記機枠の一側辺部及び上辺部に一体的なL字状の補強金属部材を備え、
前記補強金属部材は、
前記機枠を島設備へ固定する固定部材を挿通するための開口部が設けられ、機枠の上辺部に固定される機枠取り付け補強部と、
前記開閉枠を開閉自在に支持する開閉機構部材が設けられ機枠の一側辺部に固定されるヒンジ取付け補強部と、から構成し、
前記開閉機構部材に加わる力が前記補強金属部材を介して前記島設備に伝達されるようにしたことを特徴とする。
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、前記開閉枠は、遊技領域を視認可能とするクリア部材を保持するクリア部材保持枠であり、
前記開閉機構部材は、前記クリア部材保持枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジであるようにしてもよい。
【0007】
【作用】
本発明では、機枠は遊技盤を保持する遊技盤保持枠をピンヒンジにより開閉自在に支持するとともに、遊技盤の遊技領域を視認可能とするクリア部材を保持するクリア部材保持枠を開閉機構部材により開閉自在に支持し、開閉機構部材はクリア部材保持枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジから構成し、機枠の一側辺部に一体的な補強金属部材を備えるとともに、補強金属部材にピンヒンジと前記スライドヒンジを設けている。
【0008】
また、機枠の一側辺部には縦長の凹室を形成し、この凹室内に断面コ字状の補強金属部材がはめ込まれて一体的に固定されるように構成するとともに、補強金属部材にピンヒンジと前記スライドヒンジとを設けている。
特に、開閉機構部材としてスライドヒンジを採用した場合においては、開閉枠が、従来の蝶番式のヒンジで支持した場合に比べて、枠同士の干渉がなく大きな動作範囲で開くために、開閉機構部材にはより大きな力が常に加わり易くなるが、補強金属部材の強度によりこの力が保持されて、スライドヒンジを採用した場合でも機枠の変形や破壊が信頼性高く防止される。
【0009】
また、開閉機構部材を、開閉枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジとした場合には、円滑な開動動作が可能となる。
そして、上記スライドヒンジが、機枠内面の一側辺部に一体的な補強金属部材に設けられ、その回動端が、開閉枠の一側部裏面側に取付けられたものである場合には、このスライドヒンジは開閉枠に隠れて遊技機の前面側から見えなくなる。
【0010】
【実施例】
第1実施例
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。まず、第1実施例を説明する。
図は本発明の一実施例であるパチンコ装置を示している。
A.パチンコ装置の正面構成
図1はパチンコ装置のパチンコ機を示す正面斜視図であり、図2は同パチンコ機を示す正面図である。パチンコ装置は、例えばいわゆるCR機(カードリーディング機)と称されものの場合、大きく分けてパチンコ機と、遊技媒体貸出装置としてのカード式玉貸機(以下、単に玉貸機という)によって構成され、これらが対をなして設置されるが、各図においては、玉貸機の図示を省略している。
【0011】
このパチンコ機は、後述する図19に示すように、前面に遊技領域が形成された遊技盤10が、遊技盤固定枠11(遊技盤保持枠)を介して機枠12に対して開閉自在に取付けられている。そして、図1及び図2に示すように、これら遊技盤10及び遊技盤固定枠11の前面を覆うように、ガラス枠(クリア部材保持枠)13と前面パネル14(開閉パネル)とが前面側に配置され、遊技盤固定枠11とは独立にそれぞれが機枠12に対して開閉自在に取付けられている。なおこのパチンコ機は、遊技盤10、遊技盤固定枠11、機枠12、ガラス枠13、及び前面パネル14等の主要部が、全て合成樹脂により形成されている。
ガラス枠13は、本発明のクリア部材保持枠に相当し、ほぼ中央に開口部13aが形成され、開口部13aを通して遊技盤10における遊技領域が見えるようになっている。このガラス枠13の前面には、遊技領域を囲むように、上部ランプカバー15a,15b,15c、開口縁部ランプカバー16、及びサイドランプカバー17a,17bが設けられ、これらカバー内には後述するように装飾ランプが内蔵されている。これらカバーは、前面側に突出する膨出状の形状とされ、透明又は半透明で、内蔵された装飾ランプの点灯光を透過可能である。これらカバーの表面にはカラフルな色彩が施されていてもよい。
また、ガラス枠13の前面における右下隅部には、ガラス枠13の開動作を施錠する施錠装置80(後述する。)を操作するための鍵挿入部18が設けられている。ガラス枠13を開く場合には、鍵挿入部18に所定のキーを挿入して回動操作すれば、施錠装置のロック状態が解除されてガラス枠13のみがオープンする。
【0012】
前面パネル14は、ガラス枠13の下側に配置されたもので、ガラス枠13とは独立に機枠12に対して開閉自在に取付けられている。この前面パネル14には、上皿21と、上皿21の玉を後述の玉貯留皿24に移す玉通路開閉用の押し釦22と、灰皿23と、玉を貯留する玉貯留皿(受皿)24と、玉貯留皿24に貯留された玉を外部下方に抜くための玉抜きレバー25と、発射装置の操作を行う発射操作ノブ26とが設けられている。
また、前面パネル14の前面における右上隅部には、前面パネル14の開動作を施錠する施錠装置(後述する施錠装置80と同様のもの)を操作するための鍵挿入部27が設けられている。前面パネル14を開く場合には、鍵挿入部27に所定のキーを挿入して回動操作すれば、施錠装置のロック状態が解除されて前面パネル14のみがオープンする。なお、この前面パネル14を開けるための所定のキーは、ガラス枠13の前述の施錠装置を解除するための所定のキーと同一のものとされ、施錠管理が容易化されている。
なお、図1において符号256で示すのは、後述する遊技盤固定枠11に設けられた賞球排出口である。
【0013】
B.ガラス枠の構造
次に、ガラス枠13の構造について説明する。図3はガラス枠13の正面斜視図、図4はガラス枠13の裏面図、図5はガラス枠13の裏面斜視図(後述のガラスユニット100を取外した状態を示す図)である。
ガラス枠13は、図4及び図5に示すように、本体枠50の裏面内にガラスユニット100を取付けてなるものである。
【0014】
(a)本体枠の構造
まず、本体枠50の構造から説明する。図6は本体枠50の左上隅部正面側(装飾体収納凹室)を示す部分拡大斜視図、図7は本体枠50の左上隅部内部構造を示す断面図、図8は本体枠50の右上隅部裏面側を示す部分拡大斜視図である。
本体枠50は、図3に示すように外径が矩形の樹脂製枠体で、開口部13aに相当する開口が中央部に形成され、前面における各ランプカバー15a,15b,15c,16,17a,17bの裏側の位置には、各ランプカバーに平面形状が対応し前面に開口する装飾体収納凹室がそれぞれ形成されており、これら装飾体収納凹室内に装飾ランプを搭載したランプ基板(装飾体)がそれぞれ収納され、各ランプ基板を覆うように各ランプカバーが取付けられている。
例えば、上部ランプカバー15aの裏側には、図6又は図7に示すように、前面に開口する装飾体収納凹室51が形成され、この装飾体収納凹室51の底面には、ネジ穴が形成された取付けボス52と基板押え53とが形成され、またこの装飾体収納凹室51の側壁には、配線用開口54が形成されている。そして図3に示すように、この装飾体収納凹室51内には、取付けボス52にねじ込まれるネジ55によって、装飾ランプ56が搭載されたランプ基板57が取付けられる。なお、取付け作業時又は取付け状態において、基板押え53はランプ基板57の端縁に当接して、ランプ基板57を所定姿勢に位置決めるようになっており、また、ランプ基板57の配線58は配線用開口54から本体枠50の裏側に(後述する配線収納凹室72に)導出される構成となっている。
そして、装飾体収納凹室51の前面側には、図3に示す如く、本体枠50の裏側から捩じ込まれるネジ59により、膨出状の上部ランプカバー15aが固定され、ランプ基板57等を覆う構成となっている。
また、他のランプカバー15b,15c,16,17a,17bの裏側の構造も、ランプカバー15aと同様に構成されている。例えば、図7において符号60で示す凹室は、開口縁部ランプカバー16の裏側に形成された装飾体収納凹室であり、ここにもランプ基板が同様の構造で配設されている。
なお、ランプ基板57の配線58は、最終的には遊技盤固定枠11の裏面等に取付けられた役物制御回路等に接続され、遊技状態に応じて各装飾ランプが点灯(あるいは点滅)制御される。具体的には、例えば大当り発生時、賞球排出時、貸玉排出時、打止状態の発生時、島設備からの玉補給時等に点灯するように制御が行われる。
【0015】
本体枠50の裏面側における中央の開口の内周縁(即ち、開口縁部ランプカバー16の裏側にある装飾体収納凹室60のさらに裏側)には、図5又は図8に示すように、ガラスユニット100の後述する縁枠110がはまり込む段部71が形成され、この段部71の外周側には、図7又は図8に示すように、各ランプカバーの裏側に配設されたランプ基板(例えばランプ基板57)に接続され裏側に導出された各配線(例えば配線58)を引回す全体として円弧状の配線収納凹室72が形成されている。
すなわち、この配線収納凹室72は、図7又は図8の如く、ガラスユニット100がはまり込む段部71の外周側に沿って形成され、各ランプカバー15a,15b,15c,16,17a,17bの裏側に形成された各装飾体収納凹室と一枚の側壁を隔て隣接する位置にそれぞれ存在するようになっている。
そして、各装飾体収納凹室とこの配線収納凹室を隔てる側壁には、各装飾体収納凹室(例えば装飾体収納凹室51)をこの配線収納凹室72に連通させる配線用開口(例えば配線用開口54)がそれぞれ形成されており、各ランプ基板の配線はこれら配線用開口を通して配線収納凹室72内に導出され、図7に示すように配線収納凹室72内の複数箇所に設けられた配線係止部73により順次束ねて整然と引回されている。
なお、図8において、符号51aで示すものは装飾体収納凹室51の裏面であり、符号74で示すものは開口縁部ランプカバー16の裏側にある装飾体収納凹室60を配線収納凹室72に連通させるための配線用開口である。
【0016】
そして図8に示すように、配線収納凹室72内には、ネジ穴が形成された取付けボス75が複数箇所に形成され、本体枠50の裏面側には、この取付けボス75にねじ込まれるネジ76によって、配線収納凹室72を覆う金属製のプレート77が固定されている。これにより、配線収納凹室72内に引回された配線の脱落等が防止されるとともに、合成樹脂により形成された本体枠50の十分な補強がなされる。
このプレート77の右端には、図5に示すように、配線収納凹室72に連通する配線用開口78が形成され、配線収納凹室72を経由して引回された各ランプ基板の配線が、ここから引出されて遊技盤固定枠11の裏面等に配置された役物回路に接続される構成となっている。
【0017】
また、本体枠50の裏面における左端には、図3乃至図5に示すように、施錠装置80が設けられている。この施錠装置80は、前述の鍵挿入部18に挿入された所定のキーにより回動操作されるカム81と、上方に付勢されカム81によって下方に押しさげられる爪82,83とよりなる。そして、爪82,83が機枠12に形成された係合部(図示省略)に係合することで、本体枠50を機枠12に対して閉じ状態にロックし、爪82,83が押しさげられることにより係合が解除されて本体枠50を開動可能に開放するものである。
また、本体枠50の裏面における右端の上下2箇所には、図4乃至図5に示すように、後述するスライドヒンジ310,311が取付けられるヒンジ固定部85,86が、プレート77に覆われないで露出状態に形成されており、後述するスライドヒンジ310,311により本体枠50が(即ちガラス枠13が)機枠12に対して開動自在に取付けられる構成となっている。
【0018】
また、本体枠50の裏面側には、ガラスユニット100の取付け保持を行うガラスユニット取付機構90が設けられている。このガラスユニット取付機構90は、図4乃至図5に示すように、取付け時にガラスユニット100の両側下部に嵌合するガラスユニット取付用回動部材91,92と、ガラスユニット100の底面に当接しガラスユニット取付用回動部材91,92とともに回動する回動軸93と、この回動軸93の中央外周に設けられてガラスユニット100の左右方向位置を位置決める位置決め部材94と、前述の段部71にはまり込んだガラスユニット100の縁枠110の上端縁に当接してガラスユニット100を取付け位置に係止する係止部材95とよりなる。
ガラスユニット取付用回動部材91,92は、本体枠50の両側下部に裏面側に倒れる方向に傾動自在に設けられて、ガラスユニット100の両側下部に嵌合自在な断面コ字状のものである。回動軸93は、本体枠50の底部であってガラスユニット取付用回動部材91,92の回動中心線上に設けられ、ガラスユニット取付用回動部材91,92と一体的に形成されている。位置決め部材94は、回動軸93の中央外周に設けられた円板状のもので、ガラスユニット100の縁枠110の後述する凹部135にはまり込むことにより、ガラスユニット100の左右位置を決めるものである。また、係止部材95は、湾曲部の両端に板状部が形成された形状とされ、一方の板状部が前述のプレート77に固定され、他方の板状部がガラスユニット100がはまり込む段部71の対向位置に伸びるものである。この係止部材95は、湾曲部が縮径して他方の板状部が上方に移動するような可撓性を有するもので、後述するように簡単にガラスユニット100の係止状態が解除できるよう構成されている。
【0019】
(b)ガラスユニットの構造
次に、ガラスユニット100の構造を説明する。図9はガラスユニット100の全体構成を示す斜視図、図10はガラスユニット100の縁枠の構造を示す斜視図、図11はガラスユニット100のガラス板振分け機構を示す裏面図、図12はガラス板振分け機構を示す斜視図、図13はガラス板振分け機構の作用を説明するための図である。
ガラスユニット100は、図9に示すように、合成樹脂製の縁枠110に2枚のガラス板(クリア部材)101,102を挿入して保持したものである。ガラス板101,102は、一側外形が半円形の形状とされ、他側外形が矩形とされたもので、これにより挿入取付け作業が容易かつ円滑に行われ、かつガタツキ等の無い良好な保持状態が実現される。
【0020】
縁枠110は、図10に示すように、ガラス板101,102の半円形状外縁部を保持する円弧状縁枠120と、ガラス板101,102の矩形状外縁部を保持するコ字状縁枠130と、これら円弧状縁枠120とコ字状縁枠130とを連結するための取付けベース141,142と、取付けベース141,142にそれぞれ取付けられた蓋部材151,152とよりなる。
円弧状縁枠120は、ガラス板101,102の半円形状外縁部がはまり込む溝121,122が、内周に所定間隔で平行に形成されたもので、両側下端面がコ字状縁枠130の両側上端面に接合されるものである。この円弧状縁枠120の円弧状内周は、遊技領域を画成する前述の開口部13aの一部を形成するもので、本体枠50の中央の開口と略同径寸法とされている。
コ字状縁枠130は、ガラス板101,102が下から挿入できるスリット131,132が、底辺部に所定間隔で平行に形成されるとともに、これらのスリット131,132に連続して、ガラス板101,102の矩形部の両側縁がはまり込む溝131a,131b,132a,132bが、両側辺の内面に形成されたものである。なお、組立状態においては、上記溝131a,131b,132a,132bが、円弧状縁枠120の溝121,122に連続し、全体でガラス板101,102の外縁部を保持できるようになっている。
このコ字状縁枠130の両側端面の下部には、前述のガラスユニット取付用回動部材91,92内にはまり込む突条133,134がそれぞれ形成されている。また、このコ字状縁枠130の底面には、前述の位置決め部材94がはまり込む凹部135が形成されている。
この凹部135は、後述する図15乃至図16に示すように、奥側が前述の位置決め部材94の外周が僅かな隙まで嵌合する形状寸法とされ、入口側の左右両側が斜めにカットされたテーパ状の形状とされている。これにより、ガラスユニット100を取付ける際に、位置決め部材94がこの凹部135に奥側まで円滑にはまり込むようになっている。なお図10等においては、繁雑になるのを避けるため、この凹部135の詳細形状を省略し単なる矩形状として図示している。
【0021】
取付けベース141,142は、図10に示すように帯状の部材で、上側がネジ143,144により円弧状縁枠120の裏面に固定され、下側がネジ145,146によりコ字状縁枠130の裏面に固定されることにより、円弧状縁枠120とコ字状縁枠130とを連結し、縁枠110全体を一体に(組み立て状態に)保持するものである。
蓋部材151,152は、両側縁がヒンジ153,154により取付けベース141,142に取付けられることにより、図9に示す開位置から図10に示す閉位置までそれぞれ回動自在となっている。これら蓋部材151,152は、閉位置においてガラス板101,102に沿うように取付けベース141,142と平行になる側板部151a,152aと、この側板部151a,152aからそれぞれ直角に伸びて、閉位置においてコ字状縁枠130の下面(ガラス板101,102の挿入口)を覆う底板部151b,152bとを有する。
なお、側板部151a,152aの上縁は、円弧状の形状とされて、遊技領域を画成する前述の開口部13aの一部を形成するもので、本体枠50の中央の開口と略同径寸法とされている。
【0022】
そして、ガラスユニット100の縁枠110の下部(コ字状縁枠130の底辺部下面側)には、図9又は図11乃至12に示すように、ガラス板101,102の挿入作業を容易化するガラス板振分け機構160が設けられている。
ガラス板振分け機構160は、コ字状縁枠130の底辺部内のスリット131,132を仕切る隔壁130aに回動自在に支持された振分け回動部材161よりなる。この振分け回動部材161は、上記隔壁130aと平行に配置され、上記隔壁130aの切り欠き130b内に回動自在に支持された回動軸162と、この回動軸162の外周から径方向に伸びて、下方に(ガラス板の挿入口に)向って伸びる長辺部163と、この長辺部163と反対方向斜め両側に伸びる短辺部164,165とよりなる。
ここで、長辺部163は、図13に示すように、コ字状縁枠130の側壁内面に先端が当接する長さとされ、また、短辺部164,165はコ字状縁枠130の側壁内面に当接しない長さとされており、この振分け回動部材161は、図13の(b)に示すように長辺部163が一方のスリット131を閉塞する斜めの姿勢から、図13の(a)に示すように長辺部163が他方のスリット132を閉塞する斜めの姿勢まで揺動する構成となっている。
なお、振分け回動部材161を構成する長辺部163又は短辺部164,165は、図11乃至12の場合、丸棒材をコ字状に曲げ加工したような形状のものとしているが、ガラス板101,102のスリット131,132への挿入を阻止できるものであればいかなる形状でもよく、例えば板状(片状)の形状のものとしてもよい。
【0023】
(c)ガラスユニットの組立及び取付け作業
次に、ガラスユニット100の組立及び取付け作業の手順について説明する。ガラスユニット100は以下の様にして簡単に組立られる。まず、図10に示すように、円弧状縁枠120とコ字状縁枠130とを接合した状態で、取付けベース141,142をネジ止めしてこれら円弧状縁枠120とコ字状縁枠130とを連結することにより、縁枠110を組立てる。次いで、図9に示すように、蓋部材151,152を開いた状態で、コ字状縁枠130の下面からガラス板101,102を順に挿入し、その後蓋部材151,152を閉じればよい。
この際作業者は、スリット131,132の位置を意識しなくても、単にコ字状縁枠130の下面からガラス板101,102をコ字状縁枠130の底辺部に平行に挿入すれば、ガラス板振分け機構160の作用により、各ガラス板101,102がいずれかのスリット131,132に順に挿入されてゆき、コ字状縁枠130のスリットや溝、さらには円弧状縁枠120の溝に周縁がはまり込むことにより、所定間隔を維持して平行に保持される。
【0024】
というのは、まず一枚目のガラス板(図13の場合にはガラス板101)が押込まれると、図13の(a)に示すように、このガラス板先端が振分け回動部材161の長辺部163に斜めに当接してこれに案内され、このガラス板101は、振分け回動部材161の一方の短辺部(図13の場合には短辺部164)を弾力的に押込みつつ、振分け回動部材161の長辺部163が閉塞していない一方のスリット(図13の場合にはスリット131)に滑り込むように円滑に挿入されることになる。そして、この一枚目のガラス板101が図13の(b)に示すように奥まで挿入されると、このガラス板101の後端により一方の短辺部164が押込まれ、これにより振分け回動部材161は逆方向に斜めになるように揺動して、振分け回動部材161の長辺部163が一方のスリット131を閉塞する状態となる。このため、次いで二枚目のガラス板(図13の場合にはガラス板102)が押込まれる際には、このガラス板先端が振分け回動部材161の長辺部163に当接して案内され、振分け回動部材161の長辺部163が閉塞していない他方のスリット(図13の場合にはスリット132)に滑り込むように円滑かつ確実に挿入されることになるのである。
なお、蓋部材151,152が閉ざされると、底板部151b,152bによりコ字状縁枠130の下面(ガラス板101,102の挿入口)が覆われて、ガラス板101,102の脱落が確実に防止される。
【0025】
また、ガラスユニット100は、本体枠50に設けられたガラスユニット取付機構90により、以下の様にして簡単に本体枠50に取付けられる。まず、図14に示すように、ガラスユニット取付機構90のガラスユニット取付用回動部材91,92を裏側に倒した状態で、ガラスユニット100の下部を斜めに挿入し、縁枠130の両側下部に形成された突条133,134をガラスユニット取付用回動部材91,92に嵌合させ、ガラスユニット100の底面(蓋部材151,152の底板部151b,152b)が回動軸93に当接するまではめ込む。この際、ガラスユニット取付機構90の位置決め部材94が、図15乃至16の如く、ガラスユニット100の縁枠130に形成された凹部135にはまり込み、ガラスユニット100の左右方向の位置決めが自動的になされる。
次いで、こうして斜めにはめ込んだガラスユニット100を、ガラスユニット取付機構90のガラスユニット取付用回動部材91,92や回動軸93とともに回動させて引き起こし、ガラスユニット100の縁枠110(特に円弧状縁枠120)を本体枠50裏面に形成された段部71にはめ込むことで、取付け作業が完了する。この際、係止部材95が、図17に示すように円弧状縁枠120の裏面に当接し、ガラスユニット100の裏面側への揺動が阻止され、ガラスユニット100は段部71にはめ込まれた取付け状態に維持される。
なお、こうして取付けたガラスユニット100は、図18に示すように係止部材95を押し縮めて係合を解除し、逆方向に揺動させて逆の手順で容易に取外すことができる。
【0026】
C.遊技盤及び遊技盤固定枠の概略構造
次に、遊技盤及び遊技盤固定枠の構造或いは取付け構造についての概略を説明する。図19は、遊技盤10,遊技盤固定枠11及び機枠12を示す分解斜視図である。
まず、遊技盤10の前面には、パチンコ玉を上方から落下させつつアウトあるいはセーフの判定を行う領域(遊技領域)が形成され、入賞口に玉が入って有効にセーフとなる場合は、所定数の賞品玉が玉排出装置(図示省略)により上皿21に排出されるようになっている。
【0027】
なおここで、遊技盤10における遊技領域はどのようなものでもよく、遊技球を使用するパチンコ遊技機であれば、任意の構成を取り得る。例えば、いわゆる「第1種」に属するもので、複数の図柄を可変表示可能な表示装置(特別図柄表示装置)を備え、この表示装置における可変表示結果が予め定められた特別図柄で表示されたことを条件に遊技者に有利な特別遊技状態(大当り状態)を発生可能な遊技機でもよい。また、表示装置の図柄内容を変化させてゲームを行うもので、「第3種」に属する遊技機、あるいは表示装置を備えた他の種類の遊技機、いわゆる「第2種」に属する遊技機、又はその他の機種(例えば、他種タイプ)等に幅広く適用が可能である。また、表示装置を備えていない各種類の遊技機にも適用することができる。本実施例では「第1種」に属するタイプのものを用いている。
【0028】
この場合、遊技盤10の遊技領域を構成する要素としては、図19に示す如く、遊技領域の周囲に配されたレール201と、このレール201内のほぼ中央に設けられた特別図柄表示装置(いわゆる役物装置)202と、この特別図柄表示装置202の下方に配設された特別入賞口(いわゆる始動口)203と、この特別入賞口203の下方に配設された変動入賞装置(大入賞口のことで、いわゆるアタッカー)204と、特別図柄表示装置202の左右両側に設けられた一般入賞口205,206と、特別入賞口203の左右両側に設けられた風車(打球方向変換部)207,208と、一般入賞口205,206の上方、及び風車207,208の下方に設けられた玉案内片209,210,211,212と、レール201内の底部中央に設けられたアウト玉回収口213と、特別図柄表示装置202の上方等に設置された障害釘214とを備える。
なお、これら要素のうち少なくともレール201と玉案内片209,210,211,212とは、合成樹脂により形成され、例えば遊技盤10の基盤部分と一体成形されている。また、玉案内片209,210,211,212は、従来の複数の案内釘と同様の機能を果すものである。
そして、遊技盤10の基盤部分における左右両端面の上下には、図19に示すように係合用凹部215,216(片側のみ図示)が設けられ、後述する遊技盤固定枠11に形成された突起259,260が取付け時に係合するようになっている。
【0029】
一方、遊技盤固定枠11は、図19に示すように、遊技盤10の裏機構(例えば図示省略した玉寄せカバー等)を干渉を避けて配置するための開口251が上部中央に形成されたもので、前面下部には各種の内部機構が設けられ、また裏面には各種の裏機構が設けられる。
前面下部に設けられる内部機構としては、図19に示すように、パチンコ玉を打出す発射装置252、発射装置252を制御する発射制御回路253、打出された玉を遊技盤10のレール201に向って案内する発射レール254、打出されたが遊技領域に達しないファウル玉を受けて玉貯留皿24等に排出するためのファウル玉受け口255、賞球を上皿21に排出するための賞球排出口256等を備えている。
また、裏機構としては、裏面上部に設けられ、島設備から補給された排出前の玉を貯留しておく貯留タンク257や、裏面下部に設けられる排出制御回路,役物制御回路(図示省略)等を備えている。
【0030】
そして、この遊技盤固定枠11の開口251の内周縁には、遊技盤10がはめ込み可能な段部258が形成され、この段部の側内面の上下位置には、遊技盤10の前述の係合凹部215,216に弾力的に係合する係合突起259,260が設けられて、遊技盤10がワンタッチで脱着自在に取付けられるようになっている。
また、この遊技盤固定枠11の正面から見て左側の外側端面には、図19に示すように、後述する機枠12側のピンヒンジ308,309がそれぞれ挿通される上下方向のヒンジ孔261,262が設けられ、機枠12に対して開動自在に取付けられるようになっている。
なお、図1に示す通常状態(閉じ状態)においては、遊技盤固定枠11の前面上側(即ち遊技盤10)は、ガラス枠13により覆われ、遊技領域のみが開口部13a(ガラス板101,102)を介して前面に望んだ状態となり、また、上述の各種内部機構が設けられた遊技盤固定枠11の前面下側は、前面パネル14により覆われた状態となる。
【0031】
D.機枠の構造
次に、機枠12の構造について、図19乃至24により説明する。図20は機枠12の裏面側斜視図、図21は機枠12の部分斜視図、図22は機枠12に設けられたターミナル基板収納部の斜視図、図23,図24は同ターミナル基板収納部の蓋部材の動作を示す側断面図である。
(a)機枠自体の構造
まず、機枠12自体の構成等について説明する。機枠12は、図19乃至20に示すように、樹脂成形よりなる全体として長方形の枠状のもので、前面下部には、閉じ状態の前面パネル14の下方に位置し正面に露出する下縁パネル部301が形成され、この下縁パネル部301の裏側や、側壁又は上壁の内外面等には複数のリブ302が設けられたものである。
【0032】
(b)機枠へのガラス枠等の取付け構造、及び機枠の島側への取付け構造
そして、この機枠12の正面から見て左側の内側面(一側辺部)における前面側には、縦長の凹室303(配線収納凹室)が形成され、この凹室303内に断面コ字状の補強金属部材304がはめ込まれて一体的に固定される構成とされ、遊技盤固定枠11,ガラス枠13及び前面パネル14を開閉自在に支持するヒンジ類はこの補強金属部材304に取付けられている。
すなわち、補強金属部材304の複数箇所にはネジ挿通孔305が形成され、一方、機枠12の凹室303内奥面に形成された厚肉部306には、これに対応する位置に複数のネジ孔307が形成され、図示省略したネジをネジ挿通孔305に挿通してネジ孔307に捩じ込むことにより、補強金属部材304が強固に機枠12の側内面に埋め込み状態に固定されている。
そして、補強金属部材303の表面には、遊技盤固定枠11を支持するピンヒンジ308,309と、ガラス枠13を支持するスライドヒンジ310,311と、前面パネル14を支持するスライドヒンジ312,313とが、ネジ止め又は溶接により取付けられている。
ピンヒンジ308,309は、遊技盤固定枠11の前述のヒンジ孔261,262に挿通され、遊技盤固定枠11の全体が機枠12内に収納された閉位置から前面に開いた開位置まで揺動するように支持するものである。
【0033】
また、スライドヒンジ310,311、又はスライドヒンジ312,313は、この場合いずれも同様のリンク構造のものである。例えば、スライドヒンジ310について説明すると、図21に示す如く、機枠12側(補強金属部材304)に溶接等で固定されるベース板321と、ガラス枠13側(本体枠50のヒンジ固定部85)に溶接又はネジ止めで固定される取付け板322(回動端)と、ベース板321と取付け板322とを連結する第1リンク323,第2リンク324,第3リンク325とを備える。
そして、例えば第1リンク323のベース板321側のピン連結部分が、ベース板321に対してスライドする構成とされることにより、取付け板322(即ちガラス枠13)が単なる回転運動ではなく、閉じ位置から開く際の特に開き始めに前面側に平行移動する成分を有するような運動をする構成となっている。これにより、ガラス枠13の開動運動は、単なる蝶番によりヒンジを構成した場合と異なり、特に開き始めにガラス枠13が前面側に若干浮くような動きとなり、開閉動作が極めて滑らかなものとなる。
また、機枠12の上壁には、断面十字状の貫通孔331,332が形成されており、これら貫通孔331,332に下側から釘等を挿通して、パチンコ島側の構造部材に打込むことにより、機枠12の島側への固定がなされるようになっている。
【0034】
(c)ターミナル基板収納部の構成、及び配線引回し構成
次に、上記機枠12に設けられたターミナル基板収納部の構成、及びこの基板に接続される配線の引回し構成について説明する。
機枠12の裏面における右上隅部には、図20に示すように、ターミナル基板収納部340が設けられている。このターミナル基板収納部340は、図22に示すように、下部が機枠12の内側に張出した箱型形状の凹室で、上面側と裏面側とに開口し、蓋体350により閉ざされるようになっており、内部にはターミナル基板360が収納される。
このターミナル基板収納部340の側内面には、ターミナル基板360の両端縁がはめ込まれる縦方向の溝341,342が形成され、また奥面上部両側にはターミナル基板360の上端に弾力的に係合する係合突起343,344が形成されており、ターミナル基板360を上側から挿入して下方にスライドさせるだけで、ワタッチでターミナル基板360が取付けられて保持され、また上方に抜出すことで容易に取外せるようになっている。またターミナル基板収納部340の下縁部中央には、ターミナル基板360を役物制御回路や排出制御回路に接続するための後述の配線363を導出するための切り欠き345が設けられ、この切り欠き345の両側には、蓋体350の後述の回動軸352,353が弾力的にはめ込まれる軸受け凹部346,347が形成されている。さらに、このターミナル基板収納部340の奥面における上部中央には、蓋体350の後述の係合爪356が弾力的に嵌合する係合凹部348が形成されている。
【0035】
蓋体350は、図22に示すように、ターミナル基板収納部340の上面及び裏面側の開口を覆うような全体として断面L字状の樹脂成形品である。この蓋体350の下端縁中央には、前記切り欠き345内にはめ込まれる蒲鉾型の軸支持部351が形成され、この軸支持部351の左右両端には、前述の軸受け凹部346,347に弾力的にはめ込まれて回転自在に支持される回動軸352,353が突設されており、これにより蓋体350がワンタッチかつ脱着自在にターミナル基板収納部340に取付けられて、開閉自在に保持される構成となっている。
そして、軸支持部351の外周には突条354が形成され、蓋体350を開けたときには、図23に示すように切り欠き345が大きく開かれた状態となり、蓋体350が閉じられたときには、図24に示すように切り欠き345が前記突条354により閉塞され、切り欠き345に挿通された配線363がこの突条354により押えられるようになっている。
また、蓋体350には、閉じ状態においてターミナル基板360に搭載されたコネクタ361を露出させる切り欠き355が形成され、蓋体350を閉じたままでもコネクタ361に対する結線(配線側のコネクタの嵌合)ができるとともに、コネクタ361に対して結線したままで蓋体350の開閉が行えるようになっている。
また、蓋体350の上端縁中央には、蓋体350を閉じたときに、前記係合凹部348内に弾力的にはまり込んで係合し、蓋体350の閉じ状態を保持する係合爪356が設けられている。またさらに、この蓋体350には、閉じ状態においてターミナル基板360に搭載された電源スイッチ366を裏面に望ませるスイッチ用開口357が形成されている。
【0036】
ターミナル基板360は、信号中継回路と、パチンコ機の電源入力回路とを構成するものである。信号中継回路は、パチンコホールの管理コンピュータとパチンコ機側の発射制御回路や排出制御回路との間で授受される信号(いわゆる枠情報の信号)を中継する回路である。電源入力回路は、パチンコ機側の役物制御回路,発射制御回路及び排出制御回路を含む各種電気機器に電源を供給するための回路である。なお、枠情報の信号としては、例えば玉補給信号(大)、玉補給信号(小)、玉発射信号、賞球排出信号、枠開放信号、アウト信号がある。
このターミナル基板360は、主に枠情報の信号中継回路を構成する部品として、ホール側からの配線(図示略)をコネクタ接続するためのコネクタ361、各信号中継用の複数のリレー362、役物制御回路,発射制御回路及び排出制御回路等からの配線363を接続するためのコネクタ364等を備える。また、特に電源入力回路を構成する部品として、ヒューズ365、電源スイッチ366等を備え、電源線367は、基板の上端右側に形成された切り欠き368を経由して基板の裏面に結線されている。なお、電源線367は、コネクタ361に接続されるホール側への配線とともに蓋体350の切り欠き355から導出される構成となっている。
【0037】
そして、上記ターミナル基板360のコネクタ364に接続された配線363は、図20及び図21に示すように、機枠12の前述の凹室303を画成する隔壁上部に形成された切り欠き371と、機枠12の前述の補強金属部材304の上部であって切り欠き371と同位置に形成された切り欠き372を通して、図21の如く前述の凹室303に引き込まれ、この凹室303内を経由して役物制御回路,発射制御回路及び排出制御回路等が設けられた下方に引回されている。そして、配線363は、図20に示すように、機枠12の前述の凹室303を画成する隔壁下部に形成された切り欠き373と、機枠12の前述の補強金属部材304の下部であって切り欠き373と同位置に形成された切り欠き374を通して、前述の凹室303内から導出され、遊技盤固定枠11の裏面下部又は遊技盤10の裏面等に設けられた役物制御回路,排出制御回路及び発射制御回路に接続される構成となっている。
これにより、配線の整然とした引回しが実現され、配線作業の容易化、断線事故の防止等が図られる。
【0038】
以上のように本実施例では、機枠12等の主要部品を合成樹脂により形成し、機枠12の一側辺部に一体的な補強金属部材304を備えるとともに、この補強金属部材304に、開閉枠(この場合、ガラス枠13、遊技盤固定枠11、又は前面パネル14)を開閉自在に支持する開閉機構部材(この場合、ピンヒンジ308,309、スライドヒンジ310,311、スライドヒンジ312,313)が設けられている。したがって、以下の効果を得ることができる。
(1)機枠12等の主要部品が合成樹脂により形成されているため、森林伐採を抑制し、自然破壊の防止に貢献できる。
(2)補強金属部材304により機枠12自体の強度が向上し、合成樹脂製の機枠12を採用していながら、遊技機全体の強固な支持が可能となる。
(3)開閉枠を支持する局部的な力は、補強金属部材304により受け止められるから、複数の開閉枠を全て合成樹脂製の機枠12に開閉自在に取付ける構成でありがら、各開閉枠を支持する開閉機構部材に加わる力により機枠12の変形や破壊の恐れがなくなる。
特に、開閉機構部材としてスライドヒンジを採用している上記実施例においては、開閉枠であるガラス枠13や前面パネル14が、従来の蝶番式のヒンジで支持した場合に比べて、枠同士の干渉がなく大きな動作範囲で開くために、開閉機構部材にはより大きな力が常に加わり易くなるが、補強金属部材304の強度によりこの力が保持されて、機枠12の変形や破壊が信頼性高く防止され、問題なくスライドヒンジが採用できる。
(4)機枠12等の主要部品が合成樹脂により形成されているため、複雑な形状の成形が可能となり、形状設計の自由度が向上し、遊技機の装飾性向上に貢献できる。
(5)また、ガラス枠13及び前面パネル14の開閉機構部材を、ガラス枠13等を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジ310,311、スライドヒンジ312,313としているから、ガラス枠13及び前面パネル14の極めて円滑な開動動作が可能となる。
(6)また、上記スライドヒンジは、機枠内面の一側辺部に一体的な補強金属部材304に設けられ、その回動端である取付け板322が、開閉枠(ガラス枠13及び前面パネル14)の一側部裏面側(例えば、本体枠50のヒンジ固定部85)に取付けられているから、このスライドヒンジは開閉枠に隠れて遊技機の前面側から見えなくなる。このため、前面の装飾性が向上する効果もある。
【0039】
第2実施例
次に、図25乃至図27により本発明の第2実施例について説明する。この第2実施例は、機枠の補強金属部材等の構成に特徴を有するもので、他の構成は第1実施例と同様である。なお、第1実施例と同様の構成要素には同符合を用い、その説明を省略する。図25は機枠の正面側斜視図であり、図26は補強金属部材の斜視図、図27は補強金属部材を一体的に取付けた機枠を島設備側に取付ける状態を示す図である。
この場合の機枠12aは、長穴状の貫通孔331a,332aが上壁に形成されたもので、補強金属部材400には、機枠12aの上壁内面(上辺部)を補強する板状の機枠取付け補強部410が形成されている。
補強金属部材400は、上記機枠取付け補強部410の一端から、機枠12の一側辺部に設けられた凹室303にはめ込まれる断面コ字状のヒンジ取付け補強部(第1実施例における補強金属部材304に相当する部分)420が直角に伸びるように形成されたものである。
この補強金属部材400は、図25に示すように、ヒンジ取付け補強部420に形成されたネジ挿通孔421に、ネジ422を挿通して機枠12aのネジ孔307に捩じ込むとともに、機枠取付け補強部410に形成されたネジ挿通孔411に、ネジ412を挿通して機枠12aの上壁に形成されたネジ孔413に捩じ込むことにより、機枠12aの上壁及び側壁に強固に固定される。
【0040】
そして、補強金属部材400の機枠取付け補強部410には、機枠12aの上壁の貫通孔331a,332aに対応する位置に同形状の貫通孔414,415(開口部)が形成されており、図27に示すように、これら貫通孔331a,414あるいは貫通孔332a,415に下側から釘430(固定部材)を挿通して、パチンコ島側の構造部材に打込むことにより、機枠12aの島側への固定がなされるようになっている。
なお、補強金属部材400のヒンジ取付け補強部420は、第1実施例における補強金属部材304と同様に機能し、図26に示すように、ガラス枠13等を支持するスライドヒンジ310,311、又はスライドヒンジ312,313がネジ423により取付けられる。
【0041】
この第2実施例によっても、第1実施例と同様に、合成樹脂製の機枠12aの強度が向上し、各開閉枠の強固な支持が可能となる等の効果があるとともに、以下のような特有の効果がある。
(7)機枠12aの一側辺部及び上辺部に一体的なL字状の補強金属部材400を備えるとともに、この補強金属部材400に、機枠12aを島設備へ固定する釘430(固定部材)を挿通するための貫通孔414,415(開口部)が設けられている。このため、この貫通孔414,415に釘430を挿通して島設備側に打込めば、機枠12aを合成樹脂等の材料により形成した構成でありながら、遊技機全体が補強金属部材400により島設備に強固に固定されるとともに、機枠12aの島設備への固定部分(釘打ち部分)に加わる局部的な力は、補強金属部材400により受け止められて、機枠12aの変形や破壊の恐れがなくなる。
【0042】
(8)機枠12aの上辺部及び一側辺部に一体的な補強金属部材400の上辺部に、機枠12aを島設備へ固定する釘430(固定部材)を挿通するための貫通孔414,415(開口部)を設け、補強金属部材400の一側辺部に開閉枠(ガラス枠13、遊技盤固定枠11、又は開閉パネル14)を開閉自在に支持するスライドヒンジ310,311等(開閉機構部材)を設けている。このため、開閉機構部材が補強金属部材400を介して島設備に固定されることになり、各開閉枠を支持する各開閉機構部材に加わる力が補強金属部材400を介して島設備に伝達されることになるから、さらに機枠12aの変形や破壊の恐れがなくなるとともに、さらに強固な各開閉枠の支持が可能となる。
【0043】
なお、本発明は上記実施例の態様に限られず、各種の変形,応用があり得る。例えば、補強金属部材は、機枠の上壁(上辺部)にのみ一体的なものとし、この上辺部に機枠を島設備に固定する釘等の挿通孔(開口部)を設けてもよい。また、補強金属部材の機枠の側壁に一体的な部分(一側辺部)に、機枠を島設備に固定する釘等の挿通孔(開口部)を設けてもよい。また、本発明の固定部材は、釘に限られず、例えばネジであってもよい。
また、本発明に係わる遊技機は上記実施例のようなプリペイドカード方式のパチンコ機に適用する例に限らない。例えば、クレジット方式のパチンコ機にも適用することができる。遊技盤の構成、機種はどのようなものでもよい。
プリペイドカード方式でなく、全くカードを使用しないパチンコ機についても幅広く適用することが可能である。また、アレンジボール機にも適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、機枠は遊技盤を保持する遊技盤保持枠をピンヒンジにより開閉自在に支持するとともに、遊技盤の遊技領域を視認可能とするクリア部材を保持するクリア部材保持枠を開閉機構部材により開閉自在に支持し、開閉機構部材はクリア部材保持枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジから構成し、機枠の一側辺部に一体的な補強金属部材を備えるとともに、補強金属部材にピンヒンジとスライドヒンジを設けている。
【0045】
また、機枠の一側辺部には縦長の凹室を形成し、この凹室内に断面コ字状の補強金属部材がはめ込まれて一体的に固定されるように構成するとともに、補強金属部材にピンヒンジとスライドヒンジとを設けている。
特に、開閉機構部材としてスライドヒンジを採用した場合においては、開閉枠が、従来の蝶番式のヒンジで支持した場合に比べて、枠同士の干渉がなく大きな動作範囲で開くために、開閉機構部材にはより大きな力が常に加わり易くなるが、補強金属部材の強度によりこの力が保持されて、スライドヒンジを採用した場合でも機枠の変形や破壊が信頼性高く防止され、問題なくスライドヒンジが採用できる。
【0046】
また、補強金属部材を、機枠の少なくとも上辺部及び一側辺部に一体的なものとし、この補強金属部材の上辺部に、機枠を島設備へ固定する固定部材を挿通するための開口部を設け、前記補強金属部材の一側辺部に開閉枠を開閉自在に支持する開閉機構部材を設けた場合には、開閉機構部材が補強金属部材を介して島設備に固定されることになり、開閉枠を支持する開閉機構部材に加わる力が補強金属部材を介して島設備に伝達されることになるから、さらに機枠の変形や破壊の恐れがなくなるとともに、さらに強固な開閉枠の支持が可能となる。したがって、機枠を合成樹脂により構成することで、森林伐採による自然破壊を抑制することが、問題なく実現できる。
また、機枠の一側辺部及び上辺部に一体的なL字状の補強金属部材を備え、補強金属部材は、機枠を島設備へ固定する固定部材を挿通するための開口部が設けられ機枠の上辺部に固定される機枠取り付け補強部と、開閉枠を開閉自在に支持する開閉機構部材が設けられ機枠の一側辺部に固定されるヒンジ取付け補強部と、から構成し、開閉機構部材に加わる力が補強金属部材を介して前記島設備に伝達されるようにすることにより、同様に機枠の変形や破壊の恐れがなくなり、強固な開閉枠の支持が可能となる。したがって、機枠を合成樹脂により構成することで、森林伐採による自然破壊を抑制することが、問題なく実現できる。
【0047】
また、開閉機構部材を、開閉枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジとした場合には、円滑な開動動作が可能となり、遊技機のメンテナンス作業等の容易化が図れる。
また、上記スライドヒンジが、機枠内面の一側辺部に一体的な補強金属部材に設けられ、その回動端が、開閉枠の一側部裏面側に取付けられた場合には、このスライドヒンジは開閉枠に隠れて遊技機の前面側から見えなくなる。このため、前面の装飾性が向上する効果も奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したパチンコ装置の第1実施例の全体を示す正面斜視図である。
【図2】同実施例のパチンコ装置を示す正面図である。
【図3】同実施例のガラス枠の正面斜視図である。
【図4】同実施例のガラス枠の裏面図である。
【図5】同実施例のガラス枠の裏面斜視図(ガラスユニットを取外した状態を示す図)である。
【図6】同実施例の本体枠の左上隅部正面側(装飾体収納凹室)を示す部分拡大斜視図である。
【図7】同実施例の本体枠の左上隅部内部構造を示す断面図である。
【図8】同実施例の本体枠の右上隅部裏面側を示す部分拡大斜視図である。
【図9】同実施例のガラスユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図10】同実施例のガラスユニットの縁枠の構造を示す斜視図である。
【図11】同実施例のガラスユニットのガラス板振分け機構を示す裏面図である。
【図12】同実施例のガラス板振分け機構を示す斜視図である。
【図13】同実施例のガラス板振分け機構の作用を説明するための図である。
【図14】同実施例のガラスユニットの本体枠への取付け作業を説明する図である。
【図15】同実施例のガラスユニットを位置決める位置決め部材を示す斜視図である。
【図16】同実施例のガラスユニットの位置決め部材を示す正面図である。
【図17】同実施例のガラスユニットの係止部材を示す斜視図である。
【図18】同実施例のガラスユニットの係止部材の作用を示す側面図である。
【図19】同実施例の遊技盤,遊技盤固定枠及び機枠を示す分解斜視図である。
【図20】同実施例の機枠の裏面側斜視図である。
【図21】同実施例の機枠の部分斜視図である。
【図22】同実施例の機枠に設けられたターミナル基板収納部の斜視図である。
【図23】同実施例のターミナル基板収納部の蓋部材の動作を示す側断面図である。
【図24】同実施例のターミナル基板収納部の蓋部材の動作を示す側断面図である。
【図25】本発明を適用したパチンコ装置の第2実施例における機枠の正面側斜視図である。
【図26】同実施例における機枠の補強金属部材の斜視図である。
【図27】同実施例における補強金属部材を一体的に取付けた機枠を島設備側に取付ける状態を示す図である。
【符号の説明】
10 遊技盤
11 遊技盤固定枠(開閉枠、遊技盤保持枠)
12,12a 機枠
13 ガラス枠(開閉枠、クリア部材保持枠)
14 前面パネル(開閉枠、開閉パネル)
101,102 ガラス板(クリア部材)
304,400 補強金属部材
308,309 ピンヒンジ(開閉機構部材)
310,311,312,313 スライドヒンジ(開閉機構部材)
322 取付け板(スライドヒンジの回動端)
414,415 貫通孔(開口部)
430 釘(固定部材)
Claims (3)
- 遊技機を島設備へ固定するための合成樹脂製の機枠を有する遊技機であって、
前記機枠は、
遊技盤を保持する遊技盤保持枠をピンヒンジにより開閉自在に支持するとともに、前記遊技盤の遊技領域を視認可能とするクリア部材を保持するクリア部材保持枠を開閉機構部材により開閉自在に支持し、
前記開閉機構部材は、前記クリア部材保持枠を前方側に移動させつつ開動を行う機能を備えたスライドヒンジから構成し、
前記機枠の一側辺部に一体的な補強金属部材を備えるとともに、該補強金属部材に前記ピンヒンジと前記スライドヒンジを設け、
さらに、前記機枠の一側辺部には、縦長の凹室が形成され、この凹室内に断面コ字状の前記補強金属部材がはめ込まれて一体的に固定されるように構成することを特徴とする遊技機。 - 遊技機を島設備へ固定するための合成樹脂製の機枠と、この機枠に対して開閉可能な開閉枠とを有する遊技機であって、
前記機枠の一側辺部及び上辺部に一体的なL字状の補強金属部材を備え、
前記補強金属部材は、
前記機枠を島設備へ固定する固定部材を挿通するための開口部が設けられ、機枠の上辺部に固定される機枠取り付け補強部と、
前記開閉枠を開閉自在に支持する開閉機構部材が設けられ機枠の一側辺部に固定されるヒンジ取付け補強部と、から構成し、
前記開閉機構部材に加わる力が前記補強金属部材を介して前記島設備に伝達されるようにしたことを特徴とする遊技機。 - 前記開閉枠は、遊技領域を視認可能とするクリア部材を保持するクリア部材保持枠であり、
前記開閉機構部材は、前記クリア部材保持枠を前方側に移動させつつ開動を行 う機能を備えたスライドヒンジであることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
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