JP3831363B2 - 有機質正特性サーミスタ及びその製造方法並びにその酸素含有量の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機質正特性サーミスタ及びその製造方法並びにその酸素含有量の測定方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、1対の電極の間に配置されたサーミスタ素体を有し、このサーミスタ素体が、高分子マトリックス及び導電性粒子の混合物を含有する成形体からなる有機質正特性サーミスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
正特性(Positive Temperature Coefficient;PTC)サーミスタは、互いに対向した状態で配置された1対の電極と、当該1対の電極の間に配置されたサーミスタ素体を少なくとも備える構成を有している。そして、上記サーミスタ素体は、その抵抗値が、一定の温度範囲において、温度の上昇とともに急激に増大する「正の抵抗-温度特性」を有している。
【0003】
正特性サーミスタ(以下、「PTCサーミスタ」という。)は、上記の特性を利用して、例えば、自己制御型発熱体、温度センサ、限流素子或いは過電流保護素子等として使用される。このPTCサーミスタには、特に過電流保護素子の用途に使用する観点から、非動作時の室温抵抗値が低く、非動作時の室温抵抗値と動作時の抵抗値との変化率が大きいこと、繰り返し動作させた場合における抵抗値の変化量(使用初期の抵抗値と繰り返し動作させた後の抵抗値との差)が小さいこと、遮断特性に優れること、及び、素子の発熱温度が低いこと、並びに、小型化、軽量化及び低コスト化が図れることが要求される。
【0004】
従来のPTCサーミスタは、セラミックス材料からなるサーミスタ素体を搭載するタイプのものが一般的であったが、このタイプのPTCサーミスタは、室温抵抗が高く、サーミスタ素体の発熱温度が高く、小型化、軽量化、低コスト化が困難であった。
【0005】
そこで、上述の動作温度の低温化及び室温抵抗の低減等の要求に応えるために、高分子マトリックスと導電性粒子とからなる成形体をサーミスタ素体として備えるタイプの有機質正特性サーミスタ(以下、「P−PTCサーミスタ」という。)の検討がなされている。
【0006】
このようなP−PTCサーミスタとしては、例えば、高分子マトリックスとして低密度ポリエチレン、導電性粒子(導電性フィラー)としてカーボンブラックをそれぞれ用いて形成したサーミスタ素体を搭載したものが提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照)。このサーミスタ素体は高分子マトリックスを適宜選択することにより、その動作温度を低くすることができるものである。
【0007】
しかしながら、このようなカーボンブラックを導電性粒子として用いたP−PTCサーミスタは、上述したセラミックス材料からなるサーミスタ素体を用いたサーミスタよりも室温抵抗が低くはなったものの、まだ特性が不十分であることが明らかになっている。すなわち、導電性フィラー(カーボンブラック)の含有量を増加させて室温抵抗を低下させようとすると、非動作時と動作時との抵抗差(抵抗変化率)が減少してしまい、実用に耐えないことが明らかになっている。
【0008】
そこで、導電性フィラーとしてニッケル粉末などのスパイク状粒子を用いたP−PTCサーミスタが、本発明者等により提案されている。このP−PTCサーミスタは室温抵抗を十分に下げることができ、しかも抵抗変化率が大きいので、上述した従来のPTCサーミスタが有する不具合を解消できる。さらに、マトリックス材料を必要に応じて適宜選択することにより動作温度を低下させることもでき、その手段として低分子有機化合物を添加すれば効果的であることも明らかになっている。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第3243758号明細書
【特許文献2】
米国特許第3351882号明細書
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、従来のP−PTCサーミスタについて詳細に検討を行ったところ、このような従来のP−PTCサーミスタは、抵抗値の安定性を有していないことを見出した。すなわち、該P−PTCサーミスタが一旦動作した後、再び非動作状態に戻った際に、その抵抗値が動作前の抵抗値とは異なる(多くの場合は、動作前の抵抗値よりも上昇する)または、長時間の保存等を行うと抵抗値が不安定になることを見出した。
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、抵抗値の安定性に優れたP−PTCサーミスタを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、P−PTCサーミスタに備えられるサーミスタ素体中の成分の観点から上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、そのサーミスタ素体に含有される特定の成分を一定量以下に抑制することにより上述した目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明のP−PTCサーミスタは、互いに対向した状態で配置された1対の電極と、前記1対の電極の間に配置されており且つ正の抵抗−温度特性を有するサーミスタ素体とを備え、該サーミスタ素体は、高分子マトリックスと、電子伝導性を有する導電性粒子とを含有する混練物から得られる成形体であり、そのサーミスタ素体が、該サーミスタ素体に含有される酸素量から混練物の各構成材料が本来有する酸素量を差し引くことにより算出される量の酸素を、該サーミスタ素体の質量に対して1.55質量%以下有することを特徴とする。
【0014】
上記P−PTCサーミスタが、優れた抵抗値安定性を有する要因は、現在のところ詳細には明らかにされていないが、本発明者は以下の要因によるものと考えている。
【0015】
まず、P−PTCサーミスタの動作原理は、以下の通りと考えられている。すなわち、低温時には、サーミスタ素体に含有される導電性粒子の結合により導電パスが存在している。電流は該導電パスを通ってP−PTCサーミスタ内を流れることとなる。しかしながら、過熱或いは過電流が流れることに伴い該P−PTCサーミスタの温度が上昇すると、サーミスタ素体に含有される高分子マトリックスが膨張し、ついには導電パス(導電性粒子の結合)を切断してしまう。すると、導電パスを電流が流れなくなるので、過電流が抑制され、更には過熱時に電流が流れる危険性を回避することができると考えられている。その後、P−PTCサーミスタの温度が低下していくと共に、膨張していた高分子マトリックスが収縮するので、再び導電性粒子が結合して導電パスを生成し、そこを経由して電流が流れるようになると考えられている。
【0016】
次に、従来のP−PTCサーミスタの抵抗値安定性が低い原因を検討する。従来のP−PTCに備えられるサーミスタ素体に含有される高分子マトリックスは、昇温した後に降温しても、何らかの原因で十分に収縮することができず、その結果導電性粒子が再結合して導電パスを十分に再生成しなくなるため、該P−PTCサーミスタの抵抗値が初期状態まで復帰しなくなると考えられる。あるいは、昇温/降温を行うことにより、または、P−PTC−サーミスタを長期保存することにより、該P−PTCサーミスタのサーミスタ素体に含有される導電性粒子の表面抵抗値が高くなるため、P−PTCサーミスタの抵抗値が初期状態まで復帰しなくなるとも考えられる。
【0017】
次に、本発明のP−PTCサーミスタが昇温/降温動作を経ても、その抵抗値が安定している理由を検討する。サーミスタ素体に酸素が混入した場合を考えると、該サーミスタ素体に混入した酸素(以下、混入酸素という。)は初めのうち、高分子マトリックスと結合することなく、サーミスタ素体中に存在する。しかしながら、P−PTCサーミスタの昇温/降温動作の繰り返し、または長期保存により、該高分子マトリックスが混入酸素により次第に酸化されると考えられる。高分子マトリックスが酸化されると、その高分子マトリックスは結晶化度が低下し、或いは分子量が低下してしまう傾向にある。このような高分子マトリックスの特性の変化に伴い、降温の際の該高分子マトリックスの結晶化に要する速度が遅くなり、十分に収縮しなくなる。その結果、導電性粒子の結合による導電パスの再生成が起こらなくなり、初期抵抗値を得られなくなると考えている。
【0018】
または、以下のような理由も考えられる。すなわち、サーミスタ素体に混入した酸素が導電性粒子の表面を酸化してしまう。すると導電性粒子の表面導電率が低下するため、非動作状態に戻る際、すなわち降温する際に、高分子マトリックスの収縮状態が初期の状態と比較して僅かに変化するだけで抵抗値が初期値と同程度まで戻らなくなると考えられる。
【0019】
しかしながら、本発明のP−PTCサーミスタは、サーミスタ素体の各構成材料に本来含有される酸素以外の酸素、言い換えると、P−PTCサーミスタの製造工程においてサーミスタ素体に混入される酸素を、該サーミスタ素体の質量に対して1.55質量%以下に抑えているので、十分に優れた抵抗値安定性を有することができる。
【0020】
また、本発明のP−PTCサーミスタは、導電性粒子が金属粒子であると好ましい。金属粒子は良導体であるので、非動作時における室温抵抗値が低くなる。
【0021】
さらに、該導電性粒子がニッケルからなる粒子であると好ましく、フィラメント状の粒子であるとより好ましい。このような粒子が高分子マトリックス中に均一に分散して存在すると、P−PTCサーミスタの繰り返し動作や長期保存に対する信頼性(以下、単に「信頼性」という。)を高める傾向にある。
【0022】
また、本発明のP−PTCサーミスタは、サーミスタ素体が低分子有機化合物をさらに含有すると好ましい。これにより、P−PTCサーミスタの抵抗−温度特性曲線にあらわれるヒステリシスを低減することができ、抵抗変化率の増大の効果もあり、さらに動作温度の調整も可能となる。
【0023】
本発明のP−PTCサーミスタの製造方法は、上述したP−PTCサーミスタの製造方法であって、サーミスタ素体の構成材料が曝される雰囲気から酸素を除去した状態で、そのP−PTCサーミスタの製造工程を行うことを特徴とする。これにより、サーミスタ素体への酸素の混入を十分に抑制することができるので、所望のP−PTCサーミスタを得ることが可能となる。
【0024】
本発明の酸素含有量の測定方法は、有機化合物を含有する試料をインパルス加熱融解するとともに試料中に含有される酸素を一酸化炭素又は二酸化炭素ガスに転換した後に、該一酸化炭素又は二酸化炭素ガスを赤外吸収分光法により分析することによって、前記試料中の酸素含有量を測定することを特徴とする。これにより、有機化合物の化学構造が本来的に有している酸素だけでなく、有機化合物の構造内に混入した酸素をも測定することができる。さらには、無機化合物と有機化合物との混合物中に含有される酸素の総含有量をも測定することができる。したがって、本発明のP−PTCサーミスタに備えられるサーミスタ素体中の酸素含有量をも測定でき、その測定結果を参照しつつ、サーミスタ素体の構成材料が曝される雰囲気から酸素を適宜除去することが可能となる。これにより、本発明のP−PTCサーミスタを効率よく得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明のP−PTCサーミスタの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明のP−PTCサーミスタの実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【0027】
図1に示すP−PTCサーミスタ10は、主として、互いに対向した状態で配置された1対の電極2及び電極3と、電極2と電極3との間に配置されておりかつ正の抵抗-温度特性を有するサーミスタ素体1と、必要に応じて電極2に電気的に接続されたリード4と、電極3に電気的に接続されたリード5とから構成されている。
【0028】
電極2及び電極3は、例えば、平板状の形状を有しており、P−PTCサーミスタの電極として機能する電子伝導性を有するものであれば特に限定されない。また、リード4及びリード5は、それぞれ電極2及び電極3から外部に電荷を放出又は注入することが可能な電子伝導性を有していれば特に限定されない。
【0029】
図1に示すP−PTCサーミスタ10のサーミスタ素体1は、高分子マトリックスと、電子伝導性を有する導電性粒子(以下、単に「導電性粒子」という。)とを含有する混合物からなる成形体である。そして、このサーミスタ素体1は、P−PTCサーミスタ10の抵抗値安定性を十分に優れたものにするために以下の構成を有している。
【0030】
サーミスタ素体1は、サーミスタ素体1に含有される酸素量から混合物の各構成材料が本来有する酸素量を差し引くことにより算出される量の酸素を、該サーミスタ素体1の質量に対して1.55質量%以下有するものである。
【0031】
本明細書において、「サーミスタ素体に含有される酸素」とは、サーミスタ素体に含有される全ての酸素のことをいい、サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素と、それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素とに区別される。
【0032】
「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」とは、高分子マトリックス、導電性粒子及びその他のサーミスタ素体の各構成材料の化学構造中に存在する酸素をいう。したがって、例えば、高分子マトリックスとして直鎖状の低密度ポリエチレンを用いる場合は、その高分子マトリックスが本来有する酸素は存在しないことになる。また、高分子マトリックスとしてポリメチルメタクリレートを用いる場合は、その高分子マトリックスが本来有する酸素は、ポリメチルメタクリレート分子中のエステル結合が有する(一つのエステル結合中に二つ存在する)酸素となる。
【0033】
「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」とは、例えば、P−PTCサーミスタを製造する前に、上述したようなサーミスタ素体の構成材料を保管しておく際に、その材料に吸着又は吸収等されて混入する酸素が挙げられる。または、P−PTCサーミスタの製造工程において、サーミスタ素体又はその構成材料が曝される雰囲気中の酸素、或いは、それらが接触する装置又は液体等の中に存在する酸素などが、該サーミスタ素体等に吸着又は吸収等されて混入する酸素が挙げられる。なお、導電性粒子として金属粒子を用いる場合は、該金属粒子の表面酸化膜(不動態膜)を形成する酸素は「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」とする。なお、それらの酸素の状態は、原子、分子又はイオンの状態を問わない。
【0034】
したがって、「サーミスタ素体に含有される酸素量から混合物の各構成材料が本来有する酸素量を差し引くことにより算出される量の酸素」とは、上記「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」のことをいう。
【0035】
この酸素の量が、サーミスタ素体1の質量に対して1.55質量%以下であると、そのようなサーミスタ素体1を備えたP−PTCサーミスタ10は、十分に優れた抵抗値安定性を有することができる。
【0036】
該酸素の量は、使用初期の抵抗値をより低くする観点及びより優れた抵抗値安定性を確保する観点より、1.50質量%以下であると好ましく、0.50質量%以下であるとより好ましく、0.34質量%以下であるとさらに好ましい。
【0037】
この酸素量及びサーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素の量は、以下の方法により測定されるものである。
【0038】
まず、本発明で用いるサーミスタ素体のような有機化合物を含有する固体試料等を、ヘリウムガス若しくはアルゴンガス等の不活性ガスを流通するインパルス炉を用いて約2000℃に加熱し該試料を融解する。本明細書において、この加熱溶解のことを「インパルス加熱融解」という。この際、前記試料に含有されている酸素は一酸化炭素或いは二酸化炭素に転換され、加熱溶解されたものから一酸化炭素/二酸化炭素ガスとして分離抽出される。この一酸化炭素/二酸化炭素ガスは、上記不活性ガスによって赤外吸収分光計に供給される。この赤外吸収分光計を用いて一酸化炭素/二酸化炭素ガスを分析することによって、一酸化炭素/二酸化炭素量を測定することができる。そして、その一酸化炭素/二酸化炭素量から換算して試料中に含有されていた酸素量が導出される。
【0039】
サーミスタ素体に含有される構成材料が、上記「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」を有していないことが明らかである場合(例えば、高分子マトリックスとしてポリエチレンを用いる場合)は、サーミスタ素体に含有される酸素量のみを測定し、その結果の酸素量を「サーミスタ素体に含有される酸素量から混合物の各構成材料が本来有する酸素量を差し引くことにより算出される量の酸素」の酸素量とすることができる。
【0040】
一方、サーミスタ素体に含有される構成材料が、「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」を有している場合は、その各構成材料が本来有する酸素について、上記測定方法により酸素量を測定し、その総量を「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」の酸素量とする。
【0041】
有機化合物単体の構造中の酸素量は、分光学的な方法(赤外吸収法若しくは核磁気共鳴法等)或いは質量分析法などを用いて構造を特定し算出することができる。また、有機元素分析装置も用いることができる。構造中に酸素を含む無機導電性フィラー若しくは添加物として加える無機非導電性フィラーについても、上記インパルス加熱融解を用いた測定法(以下「インパルス加熱融解測定法」という。)のほか、X線回折法等により構造を特定し酸素量を算出することができる。上記有機化合物単体の構造中の酸素量については出発原料の状態で測定することが好ましいが、製造後のサーミスタ素体等から各種抽出・分離法を用いて各構成材料に単離し、その構造中の酸素量を測定することもできる。
【0042】
そして、それらの構成材料を用いて作製されたサーミスタ素体について、その「サーミスタ素体に含有される酸素量」を上記インパルス加熱融解測定法により測定し、この酸素量から上述した「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」の酸素量を差し引いて導出した値を、「サーミスタ素体に含有される酸素量から混合物の各構成材料が本来有する酸素量を差し引くことにより算出される量の酸素」の酸素量とする。
【0043】
このようにして有機化合物を含有する試料等の中の酸素含有量を測定する装置としては、例えばレコ・コーポレーション社製のTC−600(商品名)などが挙げられる。
【0044】
サーミスタ素体1に含有される高分子マトリックスは、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、また、結晶性樹脂であっても非晶性樹脂であってもよい。ここで、「結晶性樹脂」とは、通常の熱分析測定によって融点を観測され得る樹脂のことをいい、「非晶性樹脂」とは、通常の熱分析測定によっても融点を観測され得ない樹脂のことをいう。
【0045】
この高分子マトリックスとしては、例えば、オレフィン系ポリマー、ハロゲン系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂若しくはメラミン樹脂等が挙げられる。オレフィン系ポリマーとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー若しくはポリエチルアクリレート等のポリアルキルアクリレート、又は、ポリメチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレートなどのポリオレフィン或いはそれらのコポリマーが挙げられる。ハロゲン系ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン若しくはポリヘキサフルオロプロピレン又はこれらのコポリマー等のフッ素系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン若しくは塩素化ポリプロピレン又はこれらのコポリマー等の塩素系ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
これらのなかで、オレフィン系ポリマーを用いることが好ましく、ポリエチレンを用いることがより好ましく、メタロセン触媒を用いて製造された直鎖状の低密度ポリエチレンを用いることが特に好ましい。
【0047】
メタロセン系触媒を用いた重合反応により製造された直鎖状の低密度ポリエチレンは、従来のチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたものより分子量分布が狭くなるという特徴を有する。ここで、「メタロセン系触媒」とは、ビス(シクロペンタジニエル)金属錯体系の触媒であり、下記一般式(1)で表現される化合物を示す。
【化1】
【0048】
上記式(1)中、Mは4配位中心となる金属又はその金属イオンを示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン又はハロゲン化物イオンを示す。Mとしては、Ti、Zr、Hf、V、Nb又はTaが好ましく、Zrがより好ましい。X及びYとしては、Clが好ましい。また、一般式(1)で表現される化合物は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を任意に組み合せて使用してもよい。
【0049】
直鎖状の低密度ポリエチレンは、上記式(1)のメタロセン系触媒を用いて、公知の低密度ポリエチレン製造技術により製造することができる。原料のモノマーとしては、エチレンの他に、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1をコモノマーとして使用してもよい。
【0050】
また、下記一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物をメタロセン系触媒とともに使用してもよい。
【化2】
【化3】
【0051】
上記式(2)中R1、R2、R3、R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2〜20の整数を示す。R1、R2、R3、R4及びR5としてはメチル基が好ましい。上記式(3)中R6、R7及びR8は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、mは2〜20の整数を示す。R6、R7及びR8としてはメチル基が好ましい。
【0052】
高分子マトリックスは、P−PTCサーミスタの動作温度を所望の範囲にするために、その種類、さらにはその平均分子量、融点及び密度等を適宜設定することができる。例えば、重量平均分子量が50000〜500000、より好ましくは80000〜300000、融点が100〜140℃、密度が0.910〜0.970g/cm3のポリエチレンを高分子マトリックスとして用いることができる。
【0053】
なお高分子マトリックスの「融解開始温度」とは、高分子マトリックスを測定試料として示差走査熱量測定法(DSC)により分析した際に得られるDSC曲線を用いて以下のように定義される温度である。すなわち、測定試料及び標準物質を室温(25℃)から一定の昇温速度(2℃/min)で昇温することにより得られるDSC曲線において、最初に現れる吸熱ピークの最も低温側に現れる変曲点における接線とベースラインとの交点における温度を示す。なお、本発明においては、上記の示差走査熱量測定法に使用する標準物質(熱的に安定な物質)として、α−Al2O3からなる粉末を使用するものとする。
【0054】
サーミスタ素体1に含有される導電性粒子は、電子伝導性を有していれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック、グラファイト、各形状の金属粒子若しくはセラミック系導電性粒子を用いることができる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0055】
これらのなかで、特に過電流保護素子のような低室温抵抗と十分な抵抗変化率の双方が求められる用途の場合、導電性金属粒子を用いることが好ましい。導電性金属粒子としては、銅、アルミニウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、銀、亜鉛若しくはコバルト等が用いられるが、特に、銀若しくはニッケルを用いると好ましい。さらにその形状としては、球状、フレーク状若しくは棒状等が挙げられるが、表面にスパイク状の突起を有するものが好ましい。このような導電性金属粒子は、その一つ一つの粒子(一次粒子)が個別に存在する粉体であってもよいが、それらの一次粒子が鎖状に連なりフィラメント状の二次粒子を形成していることがより好ましい。その材質はニッケルであると好ましく、比表面積が0.4〜2.5m2/gであって、見かけ密度が0.3〜1.0g/cm3程度であるとより好ましい。
【0056】
ここで、「比表面積」とは、BET一点法に基づく窒素ガス吸着法により求められる比表面積を示す。
【0057】
なお、導電性粒子としてカーボンブラック或いはセラミック系導電性粒子を用いる場合、その結晶構造中の酸素は「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」に含まれるが、表面酸化膜を形成する酸素は「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」に含まれる。
【0058】
サーミスタ素体1は、低分子有機化合物を含有することもできる。この低分子有機化合物を用いることにより、抵抗変化率の増大、動作温度の調整、抵抗−温度曲線に表れるヒステリシスを低減させる効果がある。
【0059】
低分子有機化合物としては、例えば、ワックス、油脂及び結晶性樹脂などが挙げられる。ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス若しくはマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、又は、鉱物系ワックスのような天然ワックス等が例示できる。油脂としては、一般に脂肪または固体脂と称されるもの等が例示できる。
【0060】
また、結晶性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系結晶性樹脂若しくはポリプロピレン系結晶性樹脂等のポリオレフィン系結晶性樹脂、ポリエステル系結晶性樹脂、ポリアミド系結晶性樹脂若しくはフッ素系結晶性樹脂等が挙げられる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いられる。また、結晶性樹脂は、全体が結晶化しているもののみではなく、部分的に結晶化しているものも含む。結晶化度は、10〜80%であると好ましく、15〜70%であるとより好ましい。
【0061】
この低分子有機化合物は、P−PTCサーミスタ10の動作温度を適切な範囲に調整するために、その分子量(重量平均分子量)が100〜5000であると好ましく、500〜2000であるとより好ましい。また、その融点は60〜120℃であることが好ましい。
【0062】
また、上記低分子有機化合物の構造中の酸素は「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」に含まれる。例えば、低分子有機化合物として、ポリエステル系結晶性樹脂若しくはポリアミド系結晶性樹脂を用いる場合、そのエステル結合若しくはアミド結合中の酸素は、上述した「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」に含まれる。
【0063】
サーミスタ素体1中における導電性粒子の含有量は、サーミスタ素体1の体積を基準として、20〜45体積%であることが好ましい。導電性粒子の含有量が20体積%未満であると、非動作時の室温抵抗を十分低くすることができなくなってくる。また45体積%を越えると、温度上昇に伴う抵抗値の変化が小さくなり、また、均一な混合が困難になって再現性ある抵抗値が得られにくくなる。
【0064】
また、サーミスタ素体1が低分子有機化合物を含有する場合は、該低分子有機化合物の含有量を、高分子マトリックスの含有量に対して、体積基準で5〜50%とすることが好ましい。低分子有機化合物の含有量が体積基準で5%未満になると、抵抗変化率が十分に得られ難くなる。低分子有機化合物の含有量が体積基準で50%を越えると、低分子有機化合物が溶融する際にサーミスタ素体1が大きく変形する他、導電性粒子との混練が困難になる。
【0065】
P−PTCサーミスタ10に備えられるサーミスタ素体1は、上述のもの以外に、さらに従来のサーミスタ素体に添加される各種添加剤を含有してもよい。
【0066】
なお、各種添加剤を用いる場合、添加剤の化学構造中の酸素は、上述した「サーミスタ素体の各構成材料が本来有する酸素」に含まれる。
【0067】
上述した「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」の量を、サーミスタ素体1の質量に対して1.55質量%以下とするために、サーミスタ素体1の各構成材料は、それがP−PTCサーミスタ10の製造工程で用いられるより前であって、貯蔵容器等に保管される際に、酸素の吸着又は吸収等による混入を防止されることが好ましい。したがって、該構成材料は、酸素に直接接触しないような状態で保管されることが好ましい。
【0068】
そのような保管方法としては、各構成材料を損傷させないような方法であれば特に限定されないが、例えば、窒素、アルゴンガス或いはヘリウムガス等の不活性ガスで容器内を置換された貯蔵容器に保管する方法、真空若しくは減圧状態の貯蔵容器に保管する方法、脱酸素剤を封入した貯蔵容器に保管する方法、又は、石油系溶媒等に不溶の材料であればその石油系溶媒中で保管する方法等を挙げることができる。
【0069】
また、上述した「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」の量を、サーミスタ素体1の質量に対して1.55質量%以下とするためには、サーミスタ素体1の各構成材料をP−PTCサーミスタ10の製造工程で用いる前に、すでにそれらの構成材料に混入した酸素を除去することが好ましい。この酸素除去方法としては、従来知られている方法であれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、高分子マトリックス中に混入した酸素を除去する方法としては、不活性ガスを流通させた環境下若しくは減圧条件下で該高分子マトリックスを加熱する方法などが挙げられる。また、導電性粒子に金属粒子を用いた場合は、還元剤を使用する等の公知の化学的処理、カソード処理による酸化皮膜の還元除去等の公知の電気的処理、又は、研磨剤による酸化皮膜の除去等の公知の物理的処理などを用いることにより、金属粒子の表面に存在する酸素を除去することができる。
【0070】
次に、P−PTCサーミスタ10の製造方法について説明する。上述した「それ以外のサーミスタ素体に含有される酸素」の量を、サーミスタ素体1の質量に対して1.55質量%以下とするためには、P−PTCサーミスタ10の製造工程においても、サーミスタ素体1の各構成材料を酸素と接触させないようにすることが好ましい。
【0071】
まず、高分子マトリックス及び導電性粒子、並びに、必要に応じて低分子有機化合物又は添加剤を混合し混練する(混合混練工程)。この混合混練工程の際に用いられる装置は、例えば、熱混練ミル、熱ロール、一軸押出し機、二軸押出し機若しくはホモジナイザー、又はその他の各種撹拌・分散装置が挙げられる。
【0072】
この混合混練工程では、サーミスタ素体1の各構成材料が、周囲の雰囲気に容易に曝され、しかも頻繁に曝されるため、各構成材料の周囲の雰囲気を調整し、それらの材料を酸素と接触させないようにすることより、効果的にサーミスタ素体1中への混入酸素を低減させることができる。その具体的方法としては、例えば、混合混練工程で用いられる装置内及び/又は装置周辺に、窒素、アルゴンガス若しくはヘリウムガス等の不活性ガスを常時流通させ、そこに存在していた酸素を除去する方法、或いは、装置内及び/又は装置周辺の密閉性を高めることにより、外部からの空気等の酸素を含む気体の流入を防止する方法等が挙げられる。
【0073】
また、混合混練工程において、高分子マトリックスを、その融点(軟化点)以上の温度に加熱して混練する場合、特に該高分子マトリックスが酸化されやすくなるため、混練物の温度を上記融点未満の温度にして混合混練工程を行うことが好ましい。
【0074】
一方で、各構成材料を均一に混合、混練するためには、高分子マトリックスをその融点以上の温度に加熱して混練することが好ましい。従って、混練物の温度を上記融点以上の温度に加熱して、しかも、装置内及び/又は装置周辺の酸素を除去する上記方法を用いることにより、得られるサーミスタ素体1は、その全体において均一な各種特性を有し、且つ、抵抗値安定性の高いものとなる。
【0075】
また、混合混練工程に要する時間については、通常5〜90分程度で行われるが、サーミスタ素体1の物性に影響を与えない範囲で可能な限り短縮すると好ましい。
【0076】
次に、上述した混合混練工程により得られた混練物(混合物)の両面を電極材料で挟み、圧着して、厚み300〜350μm程度のシート状またはフィルム状の成形物(混合物)を作製する(成形工程)。電極材料としては、Niなどの金属箔などが使用可能である。その厚みは25〜35μm程度である。圧着は、たとえば熱プレス機を用いて、130〜240℃程度の温度で行うことができる。
【0077】
この成形工程においては、上述したように130〜240℃程度に混練物を加熱することになるため、該混練物が酸化されやすくなる。したがって、成形工程においても、上記混合混練工程と同様に、装置内及び/又は装置周辺に、窒素、アルゴンガス若しくはヘリウムガス等の不活性ガスを常時流通させ、そこに存在していた酸素を除去する方法、或いは、装置内及び/又は装置周辺の密閉性を高めることにより、外部からの空気等の酸素を含む気体の流入を防止する方法等を採用して、装置内及び/又は装置周辺の酸素を除去することが好ましい。
【0078】
また、この成形工程においては、電極材料と(将来サーミスタ素体1となる)混練物とが加圧接触することになるため、電極材料表面の酸化膜を形成していた酸素が、加圧接触による圧着の際に混練物側に移行する場合もある。したがって、混練物と接触する電極材料の表面を、上記加圧接触の直前までフィルム等で被覆等することにより、酸素との接触を防止することが好ましい。
【0079】
続いて、必要に応じて上記成形工程で得られた成形物の高分子材料を架橋させる(架橋工程)。架橋方法には、有機過酸化物を成形物中に混入させ熱処理でラジカルを発生させ架橋反応を行う化学架橋、縮合可能なシランカップリング剤等を高分子中に結合させ水の存在下で脱水縮合反応により架橋を行う水架橋、或いは、電子線やγ線を用いて架橋を行う放射線架橋等があるが、中でも電子線架橋を行うことが好ましい。この電子線架橋については、電子加速器を用いて、必要に応じて、適当な加速電圧及び電子線照射量を設定することができる、例えば、成形物の全体に亘って均一に架橋させたい場合は、250kV以上、好ましくは1000kV以上の加速電圧を有する電子線を、40〜300KGy、好ましくは40〜200KGyの照射量で照射し、当該成形物を架橋させることもできる。
【0080】
この架橋工程においては、電子線の照射により成形物の温度が上昇する傾向にある。この温度上昇は、成形物への酸素混入量を増加させる原因となるので、成形物の温度上昇を抑制するために、一回の照射量を少なくして複数回に分けて照射することが好ましい。さらに、均一な架橋を実現する観点から、前記電子線の照射を前記成形物の両側から行うことが好ましい。また、照射中、成形物が直接酸素に接触しないようにするのが好ましい。
【0081】
そして、架橋成形物を所定形状に打ち抜き又はカットした後、必要に応じて電極2,3の表面にそれぞれリード4,5を接合することにより、互いに対向した状態で配置された1対の電極2及び電極3と、電極2と電極3との間に配置されておりかつ正の抵抗-温度特性を有するサーミスタ素体1と、電極2に電気的に接続されたリード4と、電極3に電気的に接続されたリード5とからなるP−PTCサーミスタ10を得る。この際にも、加工装置内及び/又は加工装置の周辺に不活性ガスを流通させること等により、各部品を直接酸素と接触させないようにすると好ましい。
【0082】
作製されたサーミスタ素体1又はP−PTCサーミスタ10は、それを電子機器に組み込むまでの間にも、酸素の吸着又は吸収等による混入を防止されることが好ましい。したがって、上述したような保管方法等を用いて、適宜酸素との接触を抑制することが好ましい。
【0083】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
なお、以下に説明する実施例1〜10及び比較例1,2のP−PTCサーミスタについて、そのサーミスタが備えるサーミスタ素体の酸素含有量と該サーミスタの熱衝撃後抵抗値との関係を表すグラフを図2に示す。
【0085】
(実施例1)
高分子マトリクスとしてメタロセン系触媒を使用して製造した直鎖状の低密度ポリエチレン(エボリュー2520、三井化学株式会社製、商品名)57体積%、導電性粒子としてニッケルからなるフィラメント状の粒子(Type210、インコ社製、商品名)35体積%、低分子有機化合物としてポリエチレンワックス(PW655、べーカーペトロライト社製、商品名)8体積%をラボプラストミル(東洋精機株式会社製、商品名)に投入した。なお、該ミルのチャンバー容量は60cm3であり、用いた材料の合計容量は真密度換算で45cm3であった。
【0086】
次いで、該ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニット(東洋精機製)を用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉した。
【0087】
続いて、150℃の温度で60分間加熱混練を行い、混練物を得た。
【0088】
混練終了後、得られた混練物の両面を35μmの厚みを有するニッケル箔(電極)で挟み、熱プレス機により150℃で混練物とニッケル箔を圧着し、全体で6cm×6cm×0.35mmの大きさを有する成形品を得た。そして成形品の両面に2MeVの加速電圧を有する電子線を100kGyの照射量で照射することにより、成形品内部の高分子材料の架橋反応を進行させ、熱的、機械的に安定化させた。
【0089】
その後、縦横の寸法が10mm×3.6mmの角型に打ち抜いた。このようにして、高分子マトリックスと導電性粒子と低分子有機化合物とを含む混練成形シート(サーミスタ素体)が、ニッケル箔により形成された2枚の電極の間に密着した状態で配置された(挟持された)構造を有するP−PTCサーミスタを得た。
【0090】
[サーミスタ素体に含有される酸素量の測定]
上記P−PTCサーミスタの電極を剥離して得たサーミスタ素体に含有される酸素量を、上述の酸素含有量の測定方法により測定した。この測定にはレコ・コーポレーション社製のTC−600(商品名)を用いた。結果を表1に示す。上記P−PTCサーミスタに備えられるサーミスタ素体中の酸素含有量は0.217質量%となった。
【0091】
【表1】
【0092】
[各抵抗値の測定]
P−PTCサーミスタについて、それが使用に適したものか否かの基準の一つとして、使用初期の抵抗値及び熱衝撃試験後の抵抗値が挙げられ、それらの基準値は該P−PTCサーミスタを組み込む電子機器により、適宜決定される。例えば、P−PTCサーミスタを電池の限流素子或いは過電流保護素子等として用いる場合の適合基準として、使用初期の抵抗値を3mΩ以下とし、熱衝撃試験後の抵抗値を50mΩ以下と設定した。
【0093】
なお、上記「熱衝撃試験」は、一般に、JIS C 0025、又はMIL−STD−202F 107に規定されるものであり、PTCサーミスタに対して下記(i)工程〜(iv)工程からなる1つの熱処理サイクルを200回繰り返し、その後に抵抗値{室温(25℃)で測定される値}を測定することにより行われる試験である。すなわち、1つの熱処理サイクルは、(i)PTCサーミスタを、これに搭載されているサーミスタ素体の温度が−40℃となる温度条件のもとで30分保持する工程、(ii)上記保持時間の10%の時間(3分)以内にサーミスタ素体の温度を85℃まで昇温する工程、(iii)サーミスタ素体の温度が85℃となる温度条件のもとで30分保持する工程、(iv)上記保持時間の10%の時間(3分)以内にサーミスタ素体の温度を−40℃まで降温する工程とからなるものである。
【0094】
まず、実施例1のP−PTCサーミスタの使用初期の抵抗値(初期抵抗値)を室温(25℃)で4端子法により測定した。
【0095】
続いて、そのP−PTCサーミスタについて、JIS C 0025の規定に基づく熱衝撃試験を行い、試験後の抵抗値(熱衝撃後抵抗値)を測定した。より詳しくは、各P−PTCサーミスタに対して先に述べた(i)工程〜(iv)工程からなる1つの熱処理サイクルを200回繰り返し、その後に抵抗値{室温(25℃)で測定される値}を測定した。その結果を表1に示す。また、熱衝撃試験を行うための装置として、エスペック社製の商品名:「TSV40ht」を使用した。
【0096】
(実施例2)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、該チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、そのチャンバー内の圧力が大気圧になるまで窒素を導入して該チャンバーを密閉した以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0097】
(実施例3)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、該チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、そのチャンバー内の圧力が大気圧になるまでアルゴンガスを導入して該チャンバーを密閉した以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0098】
(実施例4)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に窒素を流通させた(窒素流量:1L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0099】
(実施例5)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的にアルゴンガスを流通させた(アルゴン流量:1L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0100】
(実施例6)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に窒素を流通させた(窒素流量:0.5L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0101】
(実施例7)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、該チャンバーを密閉せずに、大気に開放した以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0102】
(実施例8)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に空気を流通させた(空気流量:0.1L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0103】
(実施例9)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に空気を流通させた(空気流量:0.2L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0104】
(実施例10)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に空気を流通させた(空気流量:0.5L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0105】
(比較例1)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に空気を流通させた(空気流量:1L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0106】
(比較例2)
ミルの混練用チャンバー内を、真空引き・パージユニットを用いて約6.7kPa(約50Torr)まで減圧した後、該チャンバーを密閉する代わりに、減圧することなく、パージカバーを使用して該チャンバー内に定常的に空気を流通させた(空気流量:2L/分)以外は、実施例1と同様にしてP−PTCサーミスタを作製した。サーミスタ素体中の酸素含有量及び各抵抗値の結果を表1に示す。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、P−PTCサーミスタが一旦動作した後、再び非動作状態に戻った際に、動作前の抵抗値と同様の抵抗値を維持できる優れた抵抗値安定性を有するP−PTCサーミスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のP−PTCサーミスタの一実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【図2】実施例及び比較例のP−PTCサーミスタにかかる酸素含有量と熱衝撃後抵抗値との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1…サーミスタ素体、2…電極、3…電極、4…リード線、5…リード線、10…P−PTCサーミスタ。
Claims (7)
- 互いに対向した状態で配置された1対の電極と、前記1対の電極の間に配置されており且つ正の抵抗−温度特性を有するサーミスタ素体と、を備え、
前記サーミスタ素体は、高分子マトリックスと、電子伝導性を有する導電性粒子と、を含有する混練物から得られる成形体であり、
前記サーミスタ素体が、該サーミスタ素体に含有される酸素量から前記混練物の各構成材料が本来有する酸素量を差し引くことにより算出される量の酸素を、該サーミスタ素体の質量に対して1.55質量%以下有することを特徴とする有機質正特性サーミスタ。 - 前記導電性粒子が金属粒子であることを特徴とする請求項1記載の有機質正特性サーミスタ。
- 前記導電性粒子がニッケルからなる粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機質正特性サーミスタ。
- 前記ニッケルからなる粒子がフィラメント状であることを特徴とする請求項3記載の有機質正特性サーミスタ。
- 前記サーミスタ素体が、低分子有機化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機質正特性サーミスタ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機質正特性サーミスタの製造方法であって、
前記サーミスタ素体の構成材料が曝される雰囲気から酸素を除去した状態で、前記有機質正特性サーミスタの製造工程を行うことを特徴とする有機質正特性サーミスタの製造方法。 - 有機化合物を含有する試料をインパルス加熱融解することにより該試料中に含有される酸素を一酸化炭素又は二酸化炭素ガスに転換した後に、該一酸化炭素又は二酸化炭素ガスを赤外吸収分光法により分析することによって、前記試料中の酸素含有量を測定することを特徴とする酸素含有量の測定方法。
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