JP3767719B2 - 静電吸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電チャック、特には導電性、半導電性または絶縁性の試料を強く静電的に吸着保持し、容易に脱着することができる、半導体や液晶の製造プロセス等に有用とされる静電吸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体や液晶の製造プロセス、特にドライエッチング、イオン注入、蒸着等の工程については近年その自動化、ドライ化が進んでおり、従って、真空条件下で用いられる製造工程も増加してきている。
【0003】
また、基板としてのシリコンウエーハやガラス基板などはその大口径化が進み、回路の高集積化、微細化に伴って、パターニング時の位置精度も益々重要視されてきている。従来より、基板の搬送や吸着固定には真空チャックが使用されてきた。しかしながら、この真空チャックは真空条件下では圧力差がないために使用できず、逆に非真空条件下では基板を吸着できたとしても、吸着部分が局部的に吸引されるために、吸引された基板には部分的な歪みを生じ、高精度な位置合せができないという欠点がある。したがって、この真空チャックは、最近の半導体、液晶の製造プロセスには不適当なものとされている。
【0004】
このような欠点を改善したものとして、静電気力を利用して、基板を搬送したり、これを吸着固定する静電吸着装置が注目され、使用され始めている。
このような静電吸着装置は、従来ポリイミドやシリコーンゴムなどの有機樹脂に銅電極を張りつけたものが使われていたが、有機樹脂の耐熱性を考慮した場合、被吸着試料が200℃以下に冷却されている場合にしか使用できないことや、腐食性ガス雰囲気下では寿命が短いという問題があった。
【0005】
この耐熱性、耐食性の問題を解決するため、最近は酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化珪素などの電気絶縁性セラミックスからなる絶縁性誘電体層中に、銅、モリブデン、タングステン等の金属や炭化珪素、黒鉛等の導電性セラミックス薄膜からなる導電体電極を埋め込んだセラミックス製静電吸着装置(静電チャック)が考案され、使用され始めている。
【0006】
この電気絶縁性セラミックスからなる絶縁性誘電体層には、セラミックス粉体に助剤を混ぜ焼結させる焼結法により形成されたもの、セラミックスを溶射して成形する溶射法により形成されたもの等が考案されている。溶射法によるものとしては、例えば、特開昭58−123381号公報に記載されたもの等が挙げられるが、溶射によるものは、ポーラスであり発塵があるとともに信用性も欠けるため、高い性能が要求される場合には、通常焼結法により形成したものが用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焼結法により形成した絶縁性誘電体層を用いたセラミックス製静電吸着装置は、有機樹脂製の静電吸着装置と比較して硬いため、ウエーハなどの吸着される試料が接触した場合、試料あるいは絶縁性誘電体層の表面が削れて、例えば8インチのウエーハを試料とした場合数万個ものパーティクルが発生するという問題がある。このような問題を回避すべく、静電吸着装置の試料が接触する面に凹凸を設け、接触面積を極力減らすことで発生するパーティクルを約1/10に抑えた例が考案されているが、加工等に手間がかかる上に、接触面積が小さいため、被吸着試料にキズをつける等の問題点があり、実用的ではない。このように、セラミックス製静電吸着装置を用いた場合は、作製されるデバイスの歩留が低下してしまうという問題があった。
【0008】
また、近年半導体プロセスにおいて腐食性の高いフッ素系ガスが使用されるようになったことから、徐々にセラミックスの表面付近が腐食され凹凸が大きくなるという問題がある。これにより、吸着される試料が削れて生じるパーティクルの発生数が増大すると共に、セラミックスの凸部が欠けて生じるセラミックスのパーティクルも増大するようになり、作製されるデバイスの歩留を大きく低下させるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、吸着される試料の脱着時等におけるパーティクルの発生数を低減させることができ、その結果作製されるデバイスの歩留の低下をおさえることができる静電吸着装置を提供することを主目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に記載した発明は、電気絶縁性セラミックスからなる絶縁性誘電体層で被覆されている導電体電極に電圧を印加して、該絶縁性誘電体層に試料を静電吸着させる静電吸着装置において、該絶縁性誘電体層の少なくとも試料が吸着される部分の表面が化学気相蒸着法(以下、CVD法とする場合がある。)により形成された蒸着層からなり、該化学気相蒸着法により形成された蒸着層の結晶子の大きさが100nm未満であることを特徴とする静電吸着装置である。
【0011】
このように、絶縁性誘電体層の少なくとも試料が吸着される部分の表面(以下、吸着面とする場合がある。)をCVD法による蒸着層とすることにより、腐食性の高いフッ素系のガスを使用した場合の腐食摩耗後の表面は、焼結法により作られたものと比較して凹凸が少なく一様である。したがって、焼結法で作られたものと比較して、試料(被吸着物)が削られて生じるパーティクルの発生数を低減させることができ、かつ凹凸の凸部が欠けて生じるセラミックスのパーティクルの発生を抑えることができる。また、焼結体をCVD膜で被覆しているので、焼結体からの発塵や不純物の発生を防止することもできる。
【0012】
この場合、請求項2に記載したように、絶縁性誘電体層の吸着面は鏡面であることが好ましい。
上述したように、パーティクルはデバイスの歩留低下等の原因となるものであり、このパーティクルは、セラミックス製静電吸着装置の吸着面の面粗さであるミクロな凹凸の凸部が、吸着される試料の吸着される面に存在するミクロな凹凸の凸部とぶつかり合い、試料の凸部が削れることにより発生するものであるが、絶縁性誘電体層の吸着面を鏡面とすることにより、吸着面のミクロな凹凸を小さくすることができ、デバイスの歩留を低下させるような大きさのパーティクルの発生数を低減することができるからである。
【0013】
さらに、請求項3に記載したように、絶縁性誘電体層の吸着面を、平均表面粗さRa0.3μm以下の鏡面とすることが好ましい。
これは、最新のデバイスにおいては、パターンの線幅がクオーターミクロンサイズである場合が多く、このような場合、0.3μm以上のパーティクルが問題となるので、絶縁体誘電体層の吸着面を、平均表面粗さRa(中心線平均粗さ)0.3μm以下の鏡面とすることで、問題となるサイズのパーティクルの発生数を低減することができるためである。
【0014】
また、本発明、CVD法により形成された蒸着層の結晶子の大きさが100nm未満であることが好ましい。
このように、結晶子の大きさを100nm未満とすることにより、摩耗が進み、セラミックス粒子が脱落してパーティクルとなった場合でも、デバイスの歩留を低下させるような大きなパーティクルとはなりにくいからである。
【0015】
本発明の静電吸着装置においては、請求項に記載したように、CVD法により形成された蒸着層の厚さが、10μm以上であることが好ましい。
これは、CVD法では、ノジュールと呼ばれる十ミクロンサイズの異常成長部(例えば、針状晶)が発生することがあるので、蒸着層の厚さが10μmに満たない場合は表面を鏡面に研磨する際に、このノジュール部分がピンホールになりやすく充分な寿命が得られないことがあるからである。
【0016】
そして、本発明では、請求項に記載するように、絶縁性誘電体層の材質である電気絶縁性セラミックスとして、酸化アルミニウム(Al2 O3)、窒化アルミニウム( AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlOx Ny)、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3 N4)、酸化窒化珪素(SiOx Ny)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、窒化チタン(TiN)、サイアロン(SiAlx Oy Nz)、窒化硼素(BN)、および炭化珪素(SiC)から選択される単体または2種以上の混合物を用いることができ、さらに請求項に記載するように、CVD法により形成される蒸着層の材質として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化窒化硼素(BCx Ny)、窒化アルミニウム硼素(AlBx Ny)、または酸化窒化アルミニウム硼素(AlBx Oy Nz)を用いることができる。ここで、x、y、およびzは任意の数である。
【0017】
さらに、本発明の静電吸着装置は、請求項に記載するように、ヒータ回路が内蔵されたものであってもよい。
これは、半導体デバイス等の製造プロセスによっては、吸着させる試料を加熱する必要がある場合があるが、ヒータ回路を内蔵することにより、試料を効率よく加熱することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
本発明の静電吸着装置の一例として、図1にその概略の断面図を示した。
本発明の静電吸着装置1は、導電体電極である双極型電極2と、これを全面にわたって被覆する板状の絶縁性誘電体層3と、この絶縁性誘電体層3の片側に形成されたCVD法による蒸着層4とからなり、上記絶縁性誘電体層3の吸着面の反対側の面には接着剤層5を介してプレート部6が接着、固定されている。前記双極型電極2は、外部電源よりリード線7を通して電圧が印加できるようになっている。
この静電気吸着装置1は、上記双極型電極2に外部電源より電圧が印加されると、蒸着層4の表面に対向して配置された試料、例えば半導体ウエーハと蒸着層4の表面との間に静電力が発生し、ウエーハを強力に吸着保持するものである。
【0020】
本発明の静電吸着装置1は、上記絶縁性誘電体層3の吸着面、すなわち図1においては上側の表面にCVD法により蒸着層4を設けたところに特徴を有するものである。
【0021】
本発明においては、上記絶縁性誘電体層3を含めて全てCVD法による蒸着層4により形成してもよいが、コストの面や形成に要する時間等を考慮すると、図1に示す例のように絶縁性誘電体層3の吸着面の部分のみをCVD法による蒸着層4とし、残りの大部分の絶縁性誘電体層3は焼結法や溶射法により形成したものであることが好ましい。
蒸着層4は、少なくとも上記絶縁性誘電体層3の吸着面の部分に形成されている必要があり、この部分に形成されていさえすれば、静電吸着装置1の機能上の問題がない限り他の部分の表面にも蒸着層4が形成されていてもよく、絶縁性誘電体層3全体をCVD法による蒸着膜4で被覆していてもよい。
【0022】
このように、絶縁性誘電体層3の少なくとも吸着面をCVD法による蒸着層とすることにより、腐食性の高いフッ素系のガスを使用した場合の腐食摩耗後の表面は、焼結法により作られたものと比較して凹凸が少なく一様となる。したがって、焼結法で作られたものと比較して、試料(被吸着物)が削られて生じるパーティクルの発生数を低減させることができるとともに、凹凸の凸部が欠けて生じるセラミックスのパーティクルの発生も抑えることができる。
【0023】
すなわち、絶縁性誘導体層の吸着面が焼結法により形成されたものである場合、焼結法によるものであることから助剤が含まれており、腐食性の高いフッ素系のガスを使用するとセラミックス粒子よりもこの助剤の耐食性が低いことから吸着面の助剤部分が先に腐食摩耗して凹凸が大きくなるという問題点があるのである。このように凹凸が大きくなった場合、脱着時に試料との接触により生じるパーティクルの発生を助長し、さらにはこの凸部が欠けてセラミックスのパーテクルを発生させるという欠点があるし、被吸着物にキズを付けてしまう結果にもなる。一方、本発明の静電吸着装置では、絶縁性誘導体層の吸着面はCVD法により形成された蒸着層であり、助剤を含ないことから耐腐食性が高いとともに、例え腐食されても腐食摩耗が一様となるため焼結法によるもののような欠点がない。
【0024】
本発明においては、この蒸着層4の表面を鏡面とすることが好ましい。ここで鏡面とは、表面粗さRaが可視光の波長よりも小さい面をさすもので、必ずしも平坦である必要はなく、多少のうねりがあってもよい。
このように鏡面とすることにより、吸着される試料との接触によるパーティクルの発生数を一層低減させることができる。
すなわち、パーティクルは、セラミックス製の静電吸着装置の絶縁性誘電体層3の吸着面に存在するミクロな凹凸の凸部が、試料の静電吸着装置と接する面に存在するミクロな凹凸の凸部と接触した際に、試料表面の凸部が削れることにより発生する。したがって、蒸着層4の表面、すなわち吸着面を鏡面とすることにより、吸着面のミクロな凹凸が小さくなる。これにより、試料表面の凸部が削れることも少なくなり、デバイスの歩留を低下させるような大きさのパーティクルの発生数を低減することができるのである。
【0025】
さらに、本発明においては、この蒸着層4の表面が、平均表面粗さRa0.3μm以下の鏡面であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下の鏡面である。これは、最新のデバイスでは、パターンの線幅がクオーターミクロンサイズである場合が多く、この場合問題となるパーティクルのサイズは0.3μm以上のものとなるため、蒸着層4の表面の面粗さを平均表面粗さRa0.3以下、好ましくは0.1μm以下とすることにより、最新のデバイスにおいて問題となるサイズのパーティクルの発生数を低減することができるからである。
【0026】
なお、本発明のようにCVD法による蒸着層を形成しこれを鏡面とするのではなく、焼結法により形成された絶縁性誘電体層自体の吸着面を鏡面とした場合は、以下のような問題がある。
焼結法により形成された絶縁性誘電体層には、助剤が含まれている。この助剤部分は腐食性の高いフッ素ガスを用いるとセラミックス粒子より先に腐食摩耗してしまう。したがって、吸着面を鏡面としてもこのような腐食性の高いフッ素ガス等を用いると吸着面表面の凹凸が大きくなってしまい、鏡面の効果が低下してしまうという問題である。
したがって、吸着面を鏡面とするのは、本発明のように吸着面をCVD法による蒸着層4とした場合に特に有効となる。
【0027】
本発明において、蒸着層4の膜厚は10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることが特に好ましい。これは以下の理由によるものである。
一般にCVD法で膜を形成した場合には、ノジュールと呼ばれる十ミクロンサイズの異常成長部が発生することがある。したがって、上記蒸着層4の膜厚が10μm以上、好ましくは20μm以上でないと、表面を鏡面に研磨する際にノジュール部分がピンホールになりやすく十分な寿命が得られないことがあるからである。
【0028】
また、本発明において、蒸着層4の結晶子の大きさは、100nm未満とされることが好ましい。この程度の大きさであれば、セラミックス粒子が脱落してパーティクルとなった場合でも、径が小さいことから問題となることが少ないためである。なお、この結晶子の大きさはX線回折法により求められる。
本発明における蒸着層4の材質は、電気絶縁性セラミックスでかつCVD法により蒸着層が形成できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化窒化硼素、窒化アルミニウム硼素、もしくは酸化窒化アルミニウム硼素等を用いることができ、用いた絶縁性誘電体層の材質、および被吸着物試料の種類等、さらには、熱膨張係数、不純物の原因の回避等の点から適宜選択すればよい。
【0029】
本発明における絶縁性誘電体層3には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、サイアロン、窒化硼素、および炭化珪素から選択される単体または2種類以上の混合物を用いることができる。本発明においては、中でも窒化アルミニウムを用いることが好ましい。
なお、原料となるセラミックスには、得られる電気絶縁性セラミックスの体積固有抵抗値を調節するために、各種公知のドーパントを添加してもよい。
【0030】
この絶縁性誘電体層3の体積固有抵抗値は、使用する温度により適正な値があり、例えば、吸着保持される半導体ウエーハの温度が20℃以下の時には、絶縁性誘電体層3の体積固有抵抗値が、1×108 〜1×1013Ω・cm程度であれば、静電力が充分に発揮されデバイスダメージも起こらない。
【0031】
さらに、保持される半導体ウエーハの温度が20℃以上の時には、絶縁性誘電体層3の体積固有抵抗値が、1×1013Ω・cm程度以上であれば、ウエーハに流れるリーク電流も少なく、ウエーハ上に描かれた回路にダメージを与えることもない。
【0032】
このように、絶縁性誘電体層3の体積固有抵抗値を最適な値とすれば、微小なリーク電流が絶縁体とウエーハ間に流れ、ジョンセン・ラーベック効果により静電力が強く発生し、良好な吸着保持状態となり、応答特性に優れた静電吸着装置が得られる。
【0033】
なお、絶縁性誘電体層3には高誘電体のセラミックス粉末、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコニウム、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)等を、吸着される試料、例えば半導体デバイスに影響しない程度であれば添加しても構わない。
【0034】
この絶縁性誘電体層3の内部には、絶縁性誘電体層3により被覆される導電体電極である双極電極2が形成されている。
この導電体電極の材料としては、アルミニウム、鉄、銅、銀、金、チタン、タングステン、モリブデン、白金等の金属、グラファイト、カーボン、炭化珪素、窒化チタン、炭化チタン等の導電性セラミックスから選択される1種または2種以上の合金或はこれらの混合焼結体が使用される。
【0035】
この導電体電極を形成するには、スクリーン印刷法、溶射法、フォトリソグラフィー或はメッキ法等を使用することができる。そして、この吸着用電場を形成するには、被吸着物を一方の電極とし、もう片方の電極を絶縁性誘電体層内に配置した単極型のものとするか、または、図1に示すように絶縁性誘電体層3内に二つの電極を配置した双極型とすることができる。
【0036】
本発明の静電吸着装置を製造する方法の一例としては、例えば、まずセラミックス粉末にバインダー、溶剤を混練してグリーンシートを作り、この一面に金属粉末ペーストを用いてスクリーン印刷で電極を印刷する。次いで、別のグリーンシートを重ね合せて、高圧プレスで加圧して一体化し、高温で焼結して焼結体とし、この焼結体の両面を精密に研磨して絶縁性誘電体層を得る。この絶縁性誘電体層をCVD装置内に挿入し、CVD法により所望厚さの蒸着層を形成する。この蒸着層を例えば遊離砥粒を用いた研磨をして、その表面を鏡面とすることにより得られる。
【0037】
蒸着層の表面を鏡面とする方法としては、焼結後の絶縁性誘電体層にそのまま蒸着層を形成し、その表面を研磨してもよいが、上記のように予め絶縁性誘電体層の蒸着が行われる面を研磨した後に、蒸着層を形成し、この蒸着層の表面を鏡面研磨するのが好ましい。
これは、蒸着層を被覆する絶縁性誘電体層の表面が粗いと、形成される蒸着層の表面も粗くなり、前記ノジュールの発生も激しくなりがちとなり、その後の研磨における取り代も多くせねばならず、非効率であるとともに、厚さが不均一となり、絶縁性誘電体層の表面が露出してしまうことがあるからである。
予め絶縁性誘電体層の蒸着が行われる面を鏡面に研磨した後、蒸着層を形成する場合は、蒸着層の表面も鏡面となり易いので、その後の鏡面研磨を省略することも可能である。
【0038】
本発明の静電吸着装置を得るための別の例としては、電極として金属板または導電性セラミックスシートを用意し、この両面に絶縁性セラミックスを所望の厚さまで溶射して板状に成形し、この両面を高精度に研磨した後、蒸着層を形成したものであってもよい。
【0039】
本発明の静電吸着装置1に静電力を発生させるためには、双極電極2に電圧を印加する必要があるため、電極2を被覆する絶縁性誘導体層3の一部に内部の電極2に通じる穴を設け、外部電源から電極2にリード線7を配線している。電極2の材質が、銅、白金、ニッケルメッキや金メッキを施したタングステン等のように半田付けが可能な場合には、静電吸着装置の使用温度以上の融点を有する半田により電極にリード線7を半田付けしている。また、この電極2がグラファイト、タングステン、窒化チタン等のように半田付け不可能な材質の場合には、セラミックスの熱膨張率に合致した合金等のネジ付きピンを孔部に通して電極に銀ロウ付けする構造がとられている。
【0040】
本発明の静電吸着装置1には、吸着面と反対側の面に接着剤層5を介してプレート部6が設けられていてもよい。
この、プレート部6は、本発明の静電吸着装置1が薄い板状で破損しやすいものであることから、まず第1に補強材として貼り合わせるための補強板として有用であり、次いで一般的には熱伝導が良好で放熱し易いもの、かつ、熱膨張係数が小さくあるいは絶縁性誘電体層と同様の値を有していて静電吸着部に歪み、反り等を与えないものが好ましい。このようなプレート部6は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、サイアロン、窒化硼素、および炭化珪素等から選択される1種のセラミックス、または2種以上の混合焼結体から形成することができる。また、これらセラミックス板とAl、Cu、Ti等の金属板またはステンレス等の合金板とを一体化した積層板を使用することもできる。
【0041】
絶縁性誘電体層3とプレート部6を接合する接着剤層5には、通常耐熱性の高い、熱硬化性樹脂接着剤が使用される。特に、常温において液状のものを用いれば、絶縁性誘電体層3とプレート部6との接合が均一に容易に行え、かつあらゆる形態のものにも適用できるので好ましい。このような液状接着剤の塗布には、スピンコート、バーコート、スプレーコートなどの塗布方法が使用される。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明する。
直径150mm、厚さ2mmの焼結窒化アルミニウムの円板中にタングステン電極を埋め込んだ絶縁性誘電体層を作製した。この吸着面となる方の面を研磨した。これを、内径200mmのホットウォール型化学気相蒸着装置の反応容器の中心部に載置した。反応容器内を減圧にし800℃に加熱してからアンモニアガスと三塩化アルミガスをそれぞれ500cc/分、100cc/分で供給し、圧力1Torrで1時間反応を行った。この結果、焼結窒化アルミニウムからなる絶縁性誘電体層の円板上に、厚さ20μmのCVD法による窒化アルミニウムの蒸着層が形成された。
【0043】
この蒸着層の表面を機械加工で10μm研磨し、表面粗さRa0.3μmの鏡面とし、本発明の静電吸着装置を完成させた。
この静電吸着装置の電極に1kVの電圧を加え、6インチのSiウエーハを吸着させ、ウエーハ上に発生した0.3μm以上のパーティクル数を測定したところ、1.1×103 個であり、蒸着層を設けていない場合は平均で数万個/ウエーハであることと比較すると、パーティクルの発生数は少なかった。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、電気絶縁性セラミックスからなる絶縁性誘電体層で被覆されている導電体電極に電圧を印加して、該絶縁性誘電体層に試料を静電吸着させる静電吸着装置であって、該絶縁性誘電体層の少なくとも試料が吸着される部分の表面が化学気相蒸着法により形成された蒸着層からなる静電吸着装置であるので、静電吸着装置の吸着面と試料との接触により、試料が削れて生じるパーティクルの発生数が低減され、またフッ素系ガスなどの腐蝕性ガスによる腐蝕摩耗により静電吸着装置の吸着面より生じるセラミックスのパーティクルの発生数をも低減させることができる。したがって、本発明の静電吸着装置を使用して製造される半導体デバイスなどの歩留を向上させるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電吸着装置の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・静電吸着装置、 2・・・双極型電極、
3・・・絶縁性誘電体層、 4・・・蒸着層、
5・・・接着剤層、 6・・・プレート部、
7・・・リード線。

Claims (7)

  1. 電気絶縁性セラミックスからなる絶縁性誘電体層で被覆されている導電体電極に電圧を印加して、該絶縁性誘電体層に試料を静電吸着させる静電吸着装置において、該絶縁性誘電体層の少なくとも試料が吸着される部分の表面が化学気相蒸着法により形成された蒸着層からなり、該化学気相蒸着法により形成された蒸着層の結晶子の大きさが100nm未満であることを特徴とする静電吸着装置。
  2. 前記絶縁性誘電体層の試料が吸着される部分の表面が、鏡面であることを特徴とする請求項1記載の静電吸着装置。
  3. 前記絶縁性誘電体層の試料が吸着される部分の表面が、平均表面粗さRa0.3μm以下の鏡面であることを特徴とする請求項2記載の静電吸着装置。
  4. 前記化学気相蒸着法により形成された蒸着層の厚さが、10μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の静電吸着装置。
  5. 前記電気絶縁性セラミックスが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、サイアロン、窒化硼素、および炭化珪素から選択される単体または2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の静電吸着装置。
  6. 前記化学気相蒸着法により形成される蒸着層が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化窒化硼素、窒化アルミニウム硼素、または酸化窒化アルミニウム硼素からなることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項に記載の静電吸着装置。
  7. ヒータ回路を内蔵することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の静電吸着装置。
JP31446497A 1997-10-30 1997-10-30 静電吸着装置 Expired - Lifetime JP3767719B2 (ja)

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