JP2005150370A - 静電チャック - Google Patents

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Abstract

【課題】離脱特性に優れ、載置面の温度変化がなく、絶縁膜のクラック発生がなく、絶縁破壊を防止できる静電チャックを提供する。
【解決手段】絶縁膜5の一方の主面をウェハWを載せる載置面5aとし、絶縁膜5の他方の主面に吸着電極4a、4bを備え、吸着電極4a、4bの下に絶縁層3を備えた吸着部10と、吸着部10の下面と導電性基体2とを樹脂層11で接合し、樹脂層11の体積固有抵抗を10〜1014Ω・cmとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造工程や液晶製造工程において、半導体ウェハ(以下、ウェハと称す)や液晶ガラスに微細加工を施すエッチング工程や薄膜を形成するための成膜工程、フォトレジスト膜を露光する露光処理工程等において、ウェハや液晶ガラスを保持する静電チャックに関するものである。
従来、半導体製造工程において、ウェハに微細加工を施すためのエッチング工程や、薄膜を形成するための成膜工程、又はフォトレジスト膜を露光するための露光処理工程等において、ウェハを保持するために静電気的にウェハを吸着する静電チャックが使用されている。
この静電チャックは、図7に示すようにセラミック基体54の上面に一対の吸着電極53と、該吸着電極53に通電する給電端子58を備え、該吸着電極53を覆うように絶縁膜52が形成され、該絶縁膜52の上面はウェハを載せる載置面52aとなっている。
静電チャック51は、静電気のクーロン力を利用する物体保持装置で、誘電率εの絶縁膜52を厚みrで形成し、載置面52aにウェハWを載せ前記吸着電極53にVボルトの電圧を印加すると、ウェハWと吸着電極53の間にその電圧の半分のV/2ボルトが印加される。その電圧によりウェハWを引きつける吸着力Fが生じる。
F=(ε/2)×(V/4r
物体を保持する保持力である静電気力である吸着力Fは、絶縁膜52の厚みrが小さい程大きく、また、電圧Vが大きければ大きい程大きくなる。電圧Vを大きくすればするほど吸着力Fが増大するが、あまり大きくすると絶縁膜52の絶縁が破壊されてしまう。また、絶縁膜52にピンホールなどの空所があると絶縁が破壊される。それで、物体を保持する絶縁膜52の表面は、滑らかであること、ピンホールがないことが求められる。
また、上記吸着力は絶縁膜52の体積固有抵抗が1015Ω・cm以上で作用し、前記体積固有抵抗が10〜1013Ω・cmでは更に大きな吸着力であるジョンソンラーベック力が作用する。
ところで、通常の静電チャックは、特許文献1に見られるように、電極としてアルミ等の金属を用い、これを覆う絶縁膜としてガラスあるいはベークライト、アクリル、エポキシ等の有機膜を備えたものが使用されている。しかし、これらの絶縁膜は全て耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等の点で問題があるだけでなく、硬度が小さいことから使用時に摩耗粉が発生して半導体ウェハに付着しやすく、半導体ウェハに悪影響を及ぼしやすいなどクリーン度の点でも問題がある。
また、図5のように溶射成形したセラミック膜を絶縁膜22とした静電チャック21が特許文献2に記載されているが、熱伝導率の小さなアルミナ等からなり、絶縁膜22がポーラスなこともあり冷却効率が悪いとの問題があった。
また、特許文献3にはアルミナからなるセラミック基体の主面に吸着電極を形成し、セラミック基体の主面の全面に数μmの厚みの絶縁膜をスパッタ、イオンプレーティング、真空蒸着で形成する方法が記載されている。
また、エッチングプロセスで使用される静電チャックの要求特性として、プロセスガスやクリーニングガスのハロゲン腐食ガス中での耐プラズマ性や、エッチングする膜種によりプロセス温度が異なるため、−20〜200℃という温度範囲でも使用できるものが求められている。
更に、超LSIのメモリ容量の拡大に伴って、微細加工が益々進み、耐プラズマ性を必要とするプロセスが拡大している。特に、エッチング用ガスやクリーニング用ガスとして、塩素系ガス、及びフッ素系ガスなどのハロゲン系腐食性ガスが多用されている。クリーニングではウェハの載置面にダミーウェハを載せないでクリーニングを行うウェハレスクリーニングが検討され、ウェハの載置面の耐プラズマ性が強く求められることもある。
また、エッチング加工するウェハ上の膜種により、静電チャックの使用温度範囲が広く、広い温度範囲で耐久性のあるものが必要である。静電チャックには導電性基体としてアルミニウム合金を用いてその表面をアルミナ溶射膜で作製されたものや導電性基体としてアルミニウム合金を用いてその表面にアルミニウムの陽極酸化膜を形成して絶縁膜とすることで、耐プラズマ性を兼ねた静電チャックが開示されているが、これらは温度が上がるとアルミニウムベースと上記の絶縁膜の熱膨張の差により、クラックが入る問題があった。その対策として、特許文献4のようにセラミックと金属からなる導電性基体23の熱膨張係数を考慮してアルミナ溶射膜25を絶縁膜として、広い温度範囲で使用してもクラックが発生しないものがあった。
また、特許文献5には導電性基体としてアルミニウム合金基体の表面にアルミニウムの陽極酸化膜を形成し、その上に耐プラズマ性に優れた非晶質なAl酸化物を0.1〜10μm形成したものがあった。
また、特許文献6、7、8には、セラミックス内部に吸着電極を内蔵したものがあるが、冷却機能を備えた導電性基体とシリコーン接着剤やセラミックス系接着剤等で接合されて一体化されていた。
特開昭59−92782号公報 特開昭58−123381号公報 特開平4−49879号公報 特開平11−265930号公報 特開平8−288376号公報 特開平4−287344号公報 特開平10−144779号公報 特開平15−179129号公報
特許文献1の静電チャックはセラミックス単体からなるもので、ウェハWの熱を逃がすには下部に導電性基体を接合する必要があり、そこで、特許文献6のように吸着電極を埋設した板状セラミックス体からなる吸着部と導電性基体を体積固有抵抗値が1015Ω・cm以上である高絶縁性のシリコン樹脂で接合した静電チャックが開示されているが、載置面の残留電荷が吸着部に残り導電性基体に流れ難いことから残留吸着力が残り、ウェハWを短時間に離脱できないとの問題があった。
また、特許文献7の静電チャックに使われるセラミックス系の接着剤は接着力が小さく板状セラミックス体と導電性基体との熱膨張差から接着層が剥離するとの問題があった。
また、特許文献4の静電チャックはセラミックと金属からなる導電性基体23が単極の吸着電極となることから、ウェハWとの電気的な接続が必要となり、自発的にウェハWを吸着する双極型の吸着電極を備えることができなかった。
更に、プラズマ雰囲気等から加熱されたウェハWの熱を載置面から取り除くことが不十分でウェハWの温度が上昇し、ウェハW面内の温度差が大きくなったり、ウェハWに対し所定の加工処理ができないとの問題があった。
また、特許文献3や特許文献5に記載の静電チャックの絶縁膜はスパッタやCVD等で作製され、絶縁膜の厚みは数μm以下に限定されていることから吸着電極に電圧を印加すると絶縁膜が絶縁破壊する虞があった。
また、特許文献5には図6に示すようにアルミニウム合金基体24の表面にアルミニウムの陽極酸化膜26を形成し、その上に耐プラズマ性に優れた非晶質なアルミニウム酸化物層22を0.1〜10μm形成したものがあったが、10μm程度の保護膜では成膜中に発生するピンホールは埋まらず下地を侵してしまうという問題があった。また、0.1〜10μm程度ではハードなプラズマ条件ではすぐ浸食されてしまい、実用性に乏しかった。この膜は10μm以上の膜を成膜すると成膜時の内部応力により剥がれると言う問題があった。
更に、導電性基体としてアルミニウム合金基体24が使用されているため、その上に形成されたアルミニウムの陽極酸化膜26及び非晶質なアルミニウム酸化物層22の熱膨張係数が異なるため、100℃以上の温度で膜にクラックが入ってしまうという問題があった。
また、上層の非晶質酸化アルミニウム膜22の体積固有抵抗が下層のアルミニウムの陽極酸化膜に対して大きい場合、静電チャック21の導電性基体24とウェハ間の電圧が非晶質酸化アルミニウム膜22側に大きく加わり、非晶質酸化アルミニウム膜22が絶縁破壊することもあった。
また、非晶質酸化アルミニウム膜とアルミニウムの陽極酸化膜の体積固有抵抗が異なることから、電圧を印加しても吸着力がすぐに立ち上がらず一定になるのに時間を要したり、印加する電圧を切ってもすぐに吸着力が0にならずに残留吸着力が発生するなどの吸着/離脱特性の応答性が悪くなってしまうことがあり、ウェハの脱着に必要以上の時間を要し、プロセス制御に支障をきたすことがあった。
また、特許文献6に記載の静電チャックは板状セラミックス体の厚みが10mmを超えて大きくウェハWの熱を十分通過させることができないことから冷却効率が不十分で、ウェハWの温度が上昇するという虞があった。
特許文献2や特許文献4のようにアルミナ溶射層を絶縁膜55としたものは溶射膜にボイドが多く、そのボイドを有機珪素や無機珪素を使って封孔処理をするがその封孔処理に用いた珪素部分がプラズマでエッチングされ、短期間で耐電圧が低下して、静電チャックとして使うことのできる寿命が短いとの虞があった。
本発明の静電チャックは、絶縁膜の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、前記絶縁膜の他方の主面に吸着電極を備え、該吸着電極の下に絶縁層を備えた吸着部と、該吸着部の下面と導電性基体とを樹脂層で接合し、該樹脂層の体積固有抵抗が10〜1014Ω・cmであることを特徴とする。
また、絶縁膜の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、前記絶縁膜の他方の主面に吸着電極を備え、該吸着電極の下に絶縁層を備えた吸着部と、該吸着部の下面と導電性基体とを樹脂層で接合し、前記載置面と前記導電性基体の間の抵抗値が10〜1013Ωであることを特徴とする。
また、前記絶縁膜と絶縁層が同一の板状セラミックス体からなり、該板状セラミックス体に前記吸着電極が埋設されていることを特徴とする。
また、前記吸着部の厚みが10mm以下であることを特徴とする。
また、前記吸着部の厚みが20μm〜2mmであることを特徴とする。
また、前記樹脂層がシリコン系、ポリイミド系、ポリアミド系、エポキシ系のうちの少なくとも何れか1つを主成分とすることを特徴とする。
また、前記樹脂層に導電性粒子を含むことを特徴とする。
また、前記導電性粒子が炭素或いは金属であることを特徴とする。
また、前記樹脂層における前記導電性粒子を含有量が0.01〜30容量%であることを特徴とする。
また、前記樹脂層の厚みが0.001〜2mmであることを特徴とする。
また、前記絶縁膜が非晶質セラミックからなることを特徴とする。
また、前記絶縁膜は酸化物からなる均一な非晶質セラミックから成り、その厚みが10〜100μmであることを特徴とする。
また、上記絶縁膜は、希ガス類元素を1〜10原子%含み、ビッカース硬度が500〜1000HV0.1であることを特徴とする。
また、上記絶縁膜が酸化アルミニウム、希土類の酸化物、あるいは窒化物の何れか一つを主成分とすることを特徴とする。
また、前記導電性基体がアルミニウムまたはアルミニウム合金の何れか一つの金属成分と、炭化珪素または窒化アルミニウムの何れか一つのセラミック成分からなり、該セラミック成分の含有量が50〜90質量%であることを特徴とする。
本発明の静電チャックは絶縁膜の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、前記絶縁膜の他方の主面に吸着電極を備え、該吸着電極の下に絶縁層を備えた吸着部と、該吸着部の下面と導電性基体とを樹脂層で接合し、該樹脂層の体積固有抵抗が10〜1014Ω・cmであることを特徴とすると、ウェハを繰り返し吸着離脱しても残留吸着が増大することなく、ウェハの離脱特性が優れた静電チャックが得られるとともに、プラズマを発生させても載置面の温度変化がなく、絶縁膜のクラックが発生することがなく、絶縁破壊を防止できる。
更に、保護膜を形成するとプラズマに対する耐久性に優れた静電チャックを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の静電チャック1の一例である概略の構造を示す。この静電チャック1は、絶縁膜5の一方の主面をウェハWを載せる載置面5aとし、絶縁膜5の他方の主面に吸着電極4a、4bを備え、吸着電極4a、4bの下に絶縁層3を備えた吸着部10と、吸着部10の下面と導電性基体2とを樹脂層11で接合している。
絶縁層3はアルミナ等の酸化物セラミックスや窒化物、炭化物等のセラミックスからなることが好ましい。また、絶縁膜5は上記絶縁層3と同一組成物でも良いが、非晶質セラミックスでも良い。
導電性基体2が金属のみからなる場合は絶縁層3や絶縁膜5の熱膨張に合わせて導電性基体2の金属を選定するのが好ましい。金属はセラミックに比べて熱膨張率が大きいものが多いことから、導電性基体2の材質としてW、Mo、Tiなどの低熱膨張金属を主成分とする金属が好ましい。
また、導電性基体2として金属とセラミックの複合部材を用いる場合は三次元編目構造の多孔質セラミック体を骨格とし、その気孔部に隙間なくアルミニウムやアルミニウム合金を充填した複合材料を使うことが好ましい。このような構造とすることで、絶縁層3や絶縁膜5と導電性基体2の熱膨張係数を近づけることができる。
更に、上記の導電性基体2の熱伝導率が約160W/(m・K)と大きな材料が得られ、プラズマ等の雰囲気からウェハWに伝わった熱を導電性基体2を通して取り除くことが容易となり好ましい。
そして、導電性基体2には冷却媒体を通す流路9が備えられ、冷却媒体を介して、ウェハWの熱を静電チャック1の外部に取り除くことができることからウェハWの温度を冷却媒体の温度でコントロールすることが容易となった。
そして、載置面5aの上にウェハWを載せ、吸着電極4a、4bの間に数百Vの吸着電圧を給電端子6a、6bから印加して、吸着電極4とウェハWの間に静電吸着力を発現させ、ウェハWを載置面5aに吸着することができる。また、導電性基体2と対向電極(不図示)との間にRF電圧を印加するとウェハWの上方にプラズマを効率的に発生することができる。
本発明の静電チャック1は樹脂層11の体積固有抵抗が10〜1014Ω・cmであることが特徴である。樹脂層11の体積固有抵抗が10Ω・cm未満では樹脂層11中の導電性物質が多くなり過ぎて樹脂層11が吸着部10と導電性基体2を接合する接合強度が小さくなり、吸着部10と導電性基体2の間の微小な熱膨張差から生じる熱応力により剥離する虞があった。また、樹脂層11の体積固有抵抗が1014Ω・cmを越えると、ウェハWを載置面5aに繰り返し載せたり離脱させると、残留吸着力が大きくなりウェハWを離脱できなくなる虞があった。
より好ましくは10〜1013Ω・cmであるとウェハWの離脱が容易であった。
また、本発明の静電チャック1は載置面5aと導電性基体2の間の抵抗値Rが10〜1013Ωであることが好ましい。抵抗値Rが10Ωを下回ると、絶縁膜5の体積固有抵抗が10Ω・cmを下回り所謂ジョンソンラーベック力が発現しない虞があるからである。また、抵抗値Rが1013Ωを超えると、載置面5aに残った残留電荷が導電性基体2にながれ難い虞や、絶縁層の下面に残留電荷留まり導電性基体2に逃げない虞があり、ウェハWの吸着脱離を繰り返すと、残留吸着力が大きくなり離脱しなくなる虞があった。
また、図2に示すように絶縁膜5と絶縁層3は同じ板状セラミックス体からなり、該板状セラミックス体に吸着電極4を埋設しても良い。このような構成とすることで、ウェハWとして大型の液晶基板等を吸着しても載置面5aを成す絶縁膜5が脱落することがなく大きな力でウェハWを吸着することができる。
また、吸着部10の厚みは10mm以下であることが好ましい。
絶縁膜5と吸着電極4、絶縁層3の総厚みである吸着部10の厚みが10mm以下とすることにより載置面5aの残留電荷を導電性基体2に容易に逃がす事ができることから、ウェハWの吸着離脱を繰り返し行っても、残留吸着力が大きくなる虞が小さく、ウェハWを容易に短時間に離脱することができることから好ましい。
更に、吸着部10の厚みは20μm〜2mmであるとより好ましい。
吸着部10の厚みが20μm未満では絶縁膜5の厚みが15μm未満となり吸着電極4と導電性基体2との間で絶縁破壊する虞がある。総厚みが2mmを越えるとウェハWの熱を十分導電性基体2に伝えることができない虞があるからである。好ましくは30μmから500μmであり、更に好ましくは50〜200μmである。
尚、上記絶縁膜5の厚みt1は吸着電極4の上面から載置面5aの上面までの距離で、載置面5aを垂直に横切る断面において、5箇所の前記距離の平均値で表すことができる。また、上記絶縁層3の厚みt2、吸着電極4の厚みt3は、同様に前記断面において5箇所の厚みを測定しその平均値とした。そして、上記絶縁膜5aの厚みt1と絶縁層3の厚みt2と吸着電極4の厚みt3を合計した値を吸着部の厚みとした。
また、載置面5aにはブラスト加工法等により凹部を形成することもできる。その凹部と連通し導電性基体2の裏面から載置面5aに貫通するガス供給孔を設け、ウェハWと凹部で形成される空間にガス供給孔からガスを供給することができる。そして、ウェハWと載置面5aの間の熱伝導率を高めることもできる。
絶縁膜5はアルミナや窒化物、炭化物質のセラミックスからなることが好ましく、その熱伝導率は20W/(m・K)以上であることが好ましい。このような焼結セラミックスからなる絶縁膜5の厚みは15〜1500μmであればウェハWの熱を効率よく導電性基体2に逃がすことができることから好ましい。より好ましくは100〜1000μmであり、更に好ましくは200〜500μmである。そして、絶縁膜5の熱伝導率が50W/(m・K)以上と大きな絶縁膜5ではその厚みは200〜1500μmであると好ましい。上記絶縁膜5の下限は、載置面5aに垂直で直径近くを横切る断面から絶縁膜5の厚みの最小値で示すことができる。
また、焼結セラミックスからなる絶縁層3の厚みは15μm〜1990μmである。絶縁層3の厚みが15μm未満では吸着電極4と導電性基体2の間の絶縁性を保持できない危険があるからである。1990μmを超えると、載置面5aからの熱を導電性基体2に十分伝えることができなくなる虞があるからである。このような絶縁層3はその熱伝導率が50W/(m・K)以上であると更に好ましい。
また、絶縁層3は導電性基体2や絶縁膜5の熱膨張係数に近く絶縁性の優れた絶縁膜5と同じ組成の膜や、ホウ珪酸ガラスやホウ酸ガラスを使用できる。
また、絶縁層3は非晶質セラミックスから構成することもできる。ここで、非晶質セラミックスとはアルミナ質、アルミナイットリア酸化物質、窒化物質等のセラミックス結晶組成を基本組成とするものを指す。
絶縁層3が絶縁膜5と同様の非晶質セラミックス組成物からなる場合は、その厚みは10〜100μmが好ましい。10μm未満では絶縁破壊する虞があり、100μmを越えると量産性に劣るからである。
また、非晶質セラミックス以外の一般的なガラス組成物を絶縁層3とする場合、絶縁層3の厚みは載置面5aに載せられたウェハWの熱を伝えやすいように1990μm以下が好ましく、且つ導電性基体2と吸着電極4の間の絶縁性を確保するには、10μm以上が好ましい。更に好ましくは20〜1000μmでより好ましくは50〜300μmである。
また、ガラス組成物からなる絶縁層3はプラズマ雰囲気における耐食性に劣ることから、図3に示すように絶縁膜5が絶縁層3を覆うように形成されていることが好ましい。このように形成することで、静電チャック1の耐食性を増すことができるとともに静電チャック1の信頼性をも高めることができ、静電チャック1の寿命も長くなり好ましい。
そして、本発明の静電チャック1の樹脂層11は、アルミナや、窒化物、炭化物、これらの非晶質膜やガラス層からなる絶縁層3や、金属或いは金属とセラミックスの複合部材からなる導電性基体2との接着力の大きな、シリコン系、ポリイミド系、ポリアミド系、エポキシ系の樹脂層11からなることが好ましい。これらの樹脂層11は吸着部10と導電性基体2との熱膨張差から生じる熱応力が繰り返し掛かっても、接合面が剥離することがなく好ましい。
また、樹脂層11の体積固有抵抗を小さくするには樹脂層11に導電性粒子を含むことが好ましい。導電性粒子を含むことで、樹脂層11の体積固有抵抗を自由に調整することができるからである。
上記導電性粒子は炭素または金属であることが好ましい。炭素粒子としてはカーボンブラックが使用でき、金属としてはAlが好ましく、その他、Pt、Au等を使用することができる。そして、炭素粒子の平均粒径は0.05〜3μmが好ましく、金属粒子の平均粒径は0.5〜5μmであれば樹脂と混合することが容易であり樹脂層11内の抵抗バラツキも小さく好ましい。
上記導電性粒子は樹脂成分に対し0.01容量%〜30容量%であれば体積固有抵抗を10〜1014Ω・cmとすることができることから好ましい。尚、上記導電性粒子の容量%は樹脂層の断面において、導電性粒子の占める面積比率を3乗して求めることができる。または、所定の樹脂層の体積に占める金属成分を化学定量分析して求めることもできる。
更に、吸着部10と導電性基体2の間で残留電荷を逃がすには樹脂層11の厚みは0.001〜1mmであることが好ましい。前記の厚みが0.001mmを下回ると、吸着部10の下面や導電性基体2の上面の平坦度が1μmを超えて大きくなることがあり、接着層11に空隙を発生する虞があるからである。前記厚みが1mmを超えると残留電荷を逃がすことが難しくウェハWの吸着/離脱を繰り返すと残留吸着力が増大する虞があるからである。
本発明の絶縁膜5は、均一な非晶質セラミックから成る絶縁膜5の1層のみから形成することが更に好ましい。この絶縁膜5は、吸着電極4から載置面5aの間の体積固有抵抗が一様であることから、絶縁膜5の中を電界が一様に形成され吸着電圧を印加した時に吸着力が素早く発現し一定の吸着力になる。そして、印加する吸着電圧を切ると、すぐに吸着力が0になりウェハWを離脱できる。このように吸着/離脱特性の優れた静電チャック1とすることができる。
また、絶縁膜5を均一な非晶質セラミックからなる絶縁膜5とする理由は、以下のように考えられる。
結晶質セラミックからなる絶縁膜は結晶格子が強固に結合されていることから、格子間距離が応力で変化し難く、結晶質セラミックからなる絶縁膜を静電チャックの絶縁膜とすると、導電性基体2から上記の絶縁膜に発生する内部応力や熱膨張差などの熱応力を緩和する機能に乏しいが、非晶質セラミックからなる絶縁膜5は結晶質セラミックからなる絶縁膜と異なり低温で形成可能であり比較的低い温度で応力に対して格子間距離が変化する機能があり、内部応力を結晶質セラミックからなる絶縁膜より小さくすることができる。また、非晶質セラミックからなる絶縁膜5は非晶質であるため原子配列が周期的でなく、原子レベルの空間ができやすく不純物を取り込みやすい構造になっている。そのため、非晶質セラミックからなる絶縁膜5と導電性基体2との熱膨張差や成膜時の応力などによる内部応力が発生しても、原子配列が不規則であるのと原子レベルの欠陥が多いことから、絶縁膜5の低い成膜温度で変位することができ、絶縁膜5にかかる応力を低減することができる。そして、その非晶質セラミックからなる絶縁膜5は同等組成の対応する結晶の化学量論組成からずれていることから、原子レベルの欠陥ができやすく絶縁膜5と導電性基体2との間の応力を緩和することが容易となる。
そして、上記非晶質セラミックからなる絶縁膜5の厚みは15〜200μmが好ましい。非晶質セラミックからなる絶縁膜5の厚みが15μm未満では、導電性基体2の表面のボイドやパーティクルの影響を受けて、非晶質セラミックからなる絶縁膜5にピンホールや膜厚が極端に薄いところが発生し、プラズマ中で使用するとその部分が欠陥となり、絶縁膜5を貫通して吸着電極4を浸食することがあり、絶縁膜5の絶縁破壊による異常放電やパーティクルを発生することがある。そのため、絶縁膜5は少なくとも15μm以上の厚みが必要である。
また、絶縁膜5の厚みが200μmを越えると非晶質セラミックからなる絶縁膜5を成膜する時間が数十時間以上となり量産性に乏しく、また内部応力も大きくなり過ぎるため絶縁膜5が吸着電極4や絶縁層3、導電性基体2から剥離する虞がある。好ましくは絶縁膜5の厚みは30〜70μmであり、更に好ましくは40〜60μmである。
尚、本発明において絶縁膜5の厚みが15μm以上とは、導電性基体2の上の絶縁膜5の最小厚みが15μm以上のことであり、厚み200μm以下とは導電性基体2の上の絶縁膜5の平均厚みが200μm以下のことである。尚、平均厚みは絶縁膜5を5等分した面積の中の膜厚を一箇所測定し、それぞれ5箇所の膜厚を平均した値である。
非晶質セラミックからなる絶縁膜5の中には他の元素と反応していない希ガス類元素としてアルゴンが存在しており、希ガス類元素を膜中に多く入れることにより、非晶質セラミックからなる絶縁膜5の変形が容易となり内部応力を緩和する効果が大きくなる。そのため、本発明のような15μm以上の厚みの非晶質セラミックからなる絶縁膜5を吸着電極4を覆うように絶縁層3を介して導電性基体2に成膜しても絶縁膜5を剥離するような大きな応力の発生を防ぐことができる。
絶縁膜5の中の前記アルゴン量のコントロールは成膜時のアルゴンのガス圧力を大きくして、成膜する導電性基体2に印加するマイナスバイアス電圧を大きくすることにより、プラズマ中で電離したアルゴンイオンを絶縁膜5中に多く取り込むことができる。
絶縁膜5中のアルゴン量は1〜10原子%が好ましい。更に好ましくは3〜8原子%である。希ガス類元素の含有量が1原子%以下であると、非晶質セラミックからなる絶縁膜5が充分変位できなくなるため応力を緩和する効果が小さくなり、15μm程度の厚みでもクラックが発生しやすくなる。また、逆に希ガス類元素を10原子%以上とするのは製作上困難である。
また、前記希ガス類元素としてアルゴンの代わりに他の希ガス類元素を使ってスパッタを行っても同じ効果が得られるが、スパッタ効率とガスのコストを考えると、アルゴンガスはスパッタ効率が高く安価で好ましい。
上記絶縁膜5中のアルゴンの定量分析方法としては酸化アルミニウム焼結体に非晶質セラミック膜2を20μmの厚みで成膜したものを比較試料として作製し、該試料をラザフォード後方散乱法により分析し、検出した全原子量とアルゴンの原子量を計測して、アルゴンの原子量を全原子量で割った値を原子%として算出した。
また、非晶質セラミックからなる絶縁膜5は上記のように希ガス類元素を含むことから、類似組成のセラミック焼結体に比べて硬度が小さくなっている。希ガス類元素を多く入れることにより、硬度を小さくすることができ、膜中の内部応力を低下することができる。
また、非晶質セラミックからなる絶縁膜5はスパッタ等の成膜工程で形成され絶縁膜5の表面には凹部が存在するが、絶縁膜5の内部にはボイドがほとんど存在しない。そこで、表面の凹部は表面を研磨加工して除去することにより、プラズマに曝される表面積をいつでも最小にすることができ、更に多結晶体のような粒界が存在しないことからエッチングが一様で脱粒も発生し難い。その結果、従来から使われているセラミック多焼結体からなる絶縁膜より各段に耐プラズマ性に優れたものとなる。また、結晶粒界を含むセラミックス多結晶焼結体では面粗さがRa0.02程度までであるが、非晶質セラミック絶縁膜5はRa0.0003程度まで小さくすることが可能であり耐プラズマ性の観点から好ましい。
更に、上記の希ガス類元素を含む非晶質セラミックからなる絶縁膜5のビッカース硬度は500〜1000HV0.1が好ましく、1000HV0.1を超えると内部応力が大きくなり絶縁膜5が剥がれる虞がある。絶縁膜5のビッカース硬度が500HV0.1未満では絶縁膜5の内部応力は小さくなり絶縁膜5の剥離の問題は生じ難いが、硬度が小さ過ぎることから絶縁膜5に大きな傷が入りやすく、この結果として耐電圧低下を発生する。これはウェハWと静電チャック1の載置面5aの間に入り込んだ硬質のゴミにより絶縁膜5に傷が入り、この傷の部分の耐電圧が低下したりすることがある。従って、絶縁膜5のビッカース硬度は500〜1000HV0.1が好ましく、更に好ましくは600〜900HV0.1である。
また、上記非晶質セラミックからなる絶縁膜5は耐プラズマ性の優れた酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化イットリウムアルミニウムまたは希土類酸化物で構成されることが好ましい。特に、酸化イットリウムが優れている。
また、本発明の金属とセラミックからなる導電性基体2は、導電性基体2の熱膨張係数が骨格をなす多孔質セラミック体の熱膨張係数に依存するところが大きく、上記セラミックとして炭化珪素や窒化アルミニウムが好ましい。また、導電性基体2の熱伝導率は気孔部に充填した金属の熱伝導率に依存するところが大きいため、両者の配合比をそれぞれ変えることにより、導電性基体2の熱膨張係数と熱伝導率を適宜に調整することができる。特に、上記金属としてはウェハWに影響の少ないアルミニウムやアルミニウム合金が好ましい。
従って、導電性基体2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の何れか一つの金属成分と、炭化珪素または窒化アルミニウムの何れか一つのセラミック成分からなり、該セラミック成分の含有量が50〜90質量%であることが好ましい。尚、アルミニウム合金として市販のものに加え、シリコンを多量に含む合金を選ぶこともできる。
導電性基体2のセラミック成分の含有量が50質量%より少なくなると導電性基体2の強度が大きく低下するとともに、導電性基体2の熱膨張係数が多孔質セラミック体よりもアルミニウム合金の熱膨張係数による依存度が大きく導電性基体2の熱膨張係数が大きくなり、非晶質セラミック絶縁膜5との熱膨張差が大きくなり過ぎることから絶縁膜5が剥離する虞がある。
逆に、導電性基体2のセラミック成分の含有量が90質量%より多くなると、セラミックの開気孔率が小さくなりアルミニウム合金を充分に充填できなくなり、熱伝導や電気伝導が極端に低下してしまい、導電性基体として機能を果たさなくなる。上記セラミックとして窒化珪素や炭化珪素や窒化アルミニウム、アルミナなど低熱膨張で高剛性の多孔質セラミックを用いる。気孔部に隙間なくアルミニウム合金を充填するためには、気孔径が10〜100μmの多孔質セラミック体を用いることが望ましい。
なお、多孔質セラミック体の気孔部に金属を充填する方法としては、予め多孔質セラミック体を入れて加熱しておいたプレス機に溶融金属を注入し、加圧プレスすれば良い。
SiCの質量比率を50〜90%にすることにより、導電性基体2の熱膨張率を11×10−6〜5×10−6/℃程度に変えることができるため、絶縁膜5の熱膨張率や成膜応力に合わせることが可能となる。
また、本発明の静電チャック1が用いられるエッチング工程の腐食性のガスは不記載のカバーリング等で保護された静電チャック1の側面や裏面の雰囲気露出面にも若干侵入するため、プラズマに対する耐食性を高める上で図4に示す保護膜7があることが好ましい。
ウェハ載置面5aに比べて浸食が少ない導電性基体2の側面及び裏面にアルミナ溶射膜やアルミニウムの陽極酸化膜を形成し保護膜7とすることが好ましい。上記のアルミナ溶射膜の厚みは50〜500μm形成することが好ましい。また、上記のアルミニウムの陽極酸化膜の厚みは20〜200μm形成することが好ましい。
保護膜7としてアルミナの溶射膜を形成する場合は導電性基体2の表面の材質は問わないが、保護膜7としてアルミニウムの陽極酸化膜を形成する場合は導電性基体2の表面がアルミニウム合金である必要がある。前述の多孔質セラミック体にアルミニウム合金を含浸させた導電性基体2に陽極酸化膜を施しても表面のアルミニウム部分のみに陽極酸化膜が成長するだけで部分的にセラミック部分が露出した構造になり、耐プラズマ性が低下し、プラズマ雰囲気と導電性基体2との間の絶縁性が悪くなるため、アルミニウム合金を含浸させる際に、アルミニウム合金を導電性基体2の表面に形成した導電性基体2を作製することが好ましい。そして、アルミニウムの陽極酸化膜を形成することにより、耐プラズマ性を高め、更に表面のアルミニウムを酸化することで表面の絶縁性を備えることができる。
尚、保護膜7は導電性基体2の表面を覆うものを説明したが、絶縁層3の露出部を同時に覆ってもよいことは言うまでもない。
次に本発明の静電チャック1の製法について述べる。
まず、アルミナまたは窒化アルミニウムからなるセラミックスグリーンシートを複数枚重ね積層体を作製し、一方の主面にモリブデンペースト又はタングステンペーストからなる吸着電極4を印刷する。一方、別途セラミックスグリーンシートを複数枚重ね積層体を作製する。そして、加圧して圧着した後、一体に焼結させる。焼結体の外径を研削加工して、その後厚みを2mm以下に研削加工することにより吸着電極4を埋設させた板状セラミックス体を得る。
上記板状セラミックス体の所定の位置に吸着電極4を貫通する穴を開け、給電端子6a、6bをロウ付け接合する。そして、アルミニウムからなる導電性基体2とシリコン接着剤やエポキシ接着剤を使い接合し本発明の静電チャック1を得ることができる。
次に、導電性基体2として炭化珪素の多孔質体にアルミニウム合金を含浸させると同時に表面層をアルミニウム合金とした導電性基体2に陽極酸化膜を形成して耐プラズマの保護膜7とし、酸化アルミニウムからなる非晶質セラミック絶縁膜5をスパッタ法により形成した静電チャック1について説明する。
平均粒径60μm程度の炭化珪素粉末に対し、酸化珪素(SiO)粉末とバインダー及び溶媒を添加混練したあとスプレードライヤーにて顆粒を製作した。そして、この顆粒をラバープレス成形法にて円盤状の成形体を形成したあと、真空雰囲気下にて通常の焼成温度より低い1000℃程度の温度で焼成することにより、気孔率20%を有する、炭化珪素製の多孔質セラミック体を作製し、所望する形状に加工する。
そして、この多孔質セラミック体をプレス機のダイに装填し、このダイを680℃まで加熱したあと、溶融させた純度99%以上のアルミニウム合金をダイに充填し、パンチを降下させて98MPaにて加圧した。そして、この加圧状態のまま冷却することにより、気孔部に金属としてアルミニウム合金が充填された多孔質セラミック体を形成し、ダイのサイズは多孔質セラミック体のサイズより大きめのものを使用すると導電性基体2の表面の全面にアルミニウム合金層が形成され、所定の形状にすることにより導電性基体2を得ることができる。
そして上記導電性基体2の表面のアルミニウム合金層の表面を陽極酸化被膜処理を行いアルミニウムの陽極酸化膜を得ることができる。陽極酸化被膜処理は蓚酸または硫酸等の酸に導電性基体2を陽極として、炭素等を陰極として浸し電気分解すると、アルミニウム合金の表面にγ−Alが被膜して生成する。この被膜は多孔質状であるため、該被膜を沸騰水に浸す、あるいは加熱蒸気と反応させることにより緻密なベーマイト(AlOOH)被膜からなる保護膜7が得られる。
上記の保護膜7を形成した導電性基体2に絶縁膜5を形成するには、絶縁膜5を形成する面の上記保護膜7を切削加工で除去した後、導電性基体2表面の鏡面加工を行い、成膜面として仕上げる。
また、上記導電性基体2に保護膜7としてアルミナ溶射膜を形成する場合は、導電性基体2の表面をブラスト処理等で粗面化したのちにアルミナの溶射を施す方が密着性を大きくできる。更にアルミナの溶射をする前の下地処理としてNi系の金属膜を溶射すると保護膜2との密着性が大きく好ましい。アルミナの溶射膜は、40〜50μm程度のアルミナ粉末を大気プラズマや減圧プラズマで溶融・照射することで形成する。気密性を高めるために減圧プラズマで行うことが好ましい。
溶射膜のみでは開気孔が存在するため、有機珪素化合物や無機珪素化合物を含浸させて加熱することで封孔処理を行い保護膜2とする。
上記導電性基体2の上記仕上げ面に形成する非晶質セラミックからなる絶縁膜5はスパッタによって作製する。平行平板型のスパッタ装置に絶縁膜5として成膜したい組成のターゲットをセットする。ここでは酸化アルミニウム焼結体をターゲットとし、該ターゲットと対向するように導電性基体2を銅製のホルダーの中にセットする。導電性基体2の裏面とホルダー表面はInとGaからなる液状合金を塗り貼り合わせることにより導電性基体2とホルダーとの間の熱伝達が大きくなり、導電性基体2の冷却効率を上げることができることから良質な非晶質セラミックからなる絶縁膜5を形成することができる。
このように導電性基体2をスパッタのチャンバー内にセットし、真空度を0.001Paとした後、アルゴンガスを25〜75sccm流す。
そして、ターゲットとホルダーの間にRF電圧をかけることによりプラズマが発生する。そして、ターゲットのプレスパッタ及びセラミック基体2側のエッチングを数分間行いターゲットと導電性基体2のクリーニングを行う。
酸化アルミニウム製の非晶質セラミックからなる絶縁膜5の成膜は上記のRF電力を3〜9W/cmにしてスパッタを行う。また、導電性基体2側には−100〜−200V程度のバイアスをかけてターゲットから電離した分子及び電離したアルゴンイオンを引きつける。しかし、導電性基体2が絶縁されていると電離したアルゴンイオンにより導電性基体2の表面が帯電してしまい、次のアルゴンイオンが入りにくい状態になる。膜中に入ったアルゴンイオンは電荷を放出してアルゴンの状態に戻り、膜中に残留する。アルゴンを膜中に多く取り込むには成膜時に導電性基体2の給電口からInGa層、ホルダーの経路で電荷を逃がし、常にアルゴンを非晶質セラミックからなる絶縁膜5に取り込みやすい状態にしておくことが必要である。
また、導電性基体2の冷却が悪いと部分的に非晶質セラミック絶縁膜5が非晶質から結晶化してしまい、部分的に耐電圧が悪くなったり、耐プラズマ性が悪くなってしまう。導電性基体2の冷却は装置の冷却板に冷却水を流すことで基板ホルダー内を充分冷却して導電性基体2の温度を数十度に保つことが良い。
絶縁膜5の成膜レートは3μm/時間にて17時間成膜し、約50μmの膜厚の非晶質セラミックからなる絶縁膜5を作製した。
その後、非晶質セラミック絶縁膜5の表面をポリッシング等で整えることにより載置面5aを形成し静電チャック1を完成する。載置面5aにはブラスト加工やエッチング加工により凹部を設けることができる。凹部とウェハWの間にはガスが充填されウェハWと載置面5aの間の熱伝導率を高めることができるとともに、非晶質セラミックスからなる載置面5aは表面粗さが小さくすることができることから、ウェハW表面と面接触により吸着することがあり、載置面5aの面積に対し50%以上の凹部を設けると面吸着によるウェハWの離脱特性の悪化を防止することができる。
アルミナ粉末に重量換算で0.5質量%の酸化カルシウムと酸化マグネシウムを添加し、ボールミルにより48時間混合した。得られたアルミナのスラリーを325メッシュを通し、ボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、乾燥機にて120℃で24時間乾燥した。得られたアルミナ粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合してアルミナのスラリーを作成した。このアルミナスラリーからドクターブレード法にてグリーンテープを作製した。
そして、上記グリーンテープを複数枚重ね積層体を作製し、一方の主面に炭化タングステンペーストからなる吸着電極を印刷した。一方、別途セラミックスグリーンシートを複数枚重ね積層体を作製し、加圧して圧着し積層体を作製した。
更に、窒素雰囲気で、Wヒータ及びW断熱材からなる焼成炉の中にて1600℃で2時間の焼成を行い、外径φ305mmで厚み2mmのアルミナ質の板状セラミックス体を得た。そして、外形φ300mmで厚みを0.8mmに研削加工し、吸着電極を貫通する穴を加工し給電端子をロウ付けした。
一方、直径300mmで厚みが30mmのアルミニウム合金からなる導電性基体に上記板状セラミックス体をアルミニウムとシリコン樹脂を混合した接着剤で接合し静電チャック試料No.1、2を得た。
次に、純度99%、平均粒径1.2μmのAlN粉末に、焼結助剤としてCeOを15質量%添加した。更に有機バインダーと溶媒を加えて泥奬を作製し、ドクターブレード法にて厚さ約0.5mmの窒化アルミニウムグリーンシートを複数枚製作した。このうち一枚の窒化アルミニウムグリーンシートには、導体ペーストを吸着電極の形状にスクリーン印刷した。
上記静電吸着電極となる導体ペーストには、WC粉末とAlN粉末とを混合して粘度調整した導体ペーストを用いた。
そして、窒化アルミニウムグリーンシートを所定の順序で積み重ね、50℃で、4.9kPaの圧力で熱圧着することにより窒化アルミニウムグリーンシート積層体を形成し、切削加工を施して円盤状に形成した。
次いで、窒化アルミニウムグリーンシート積層体を真空脱脂した後、窒素雰囲気下で1850℃の温度で焼成することにより、静電吸着電極が埋設された窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラミックス体を製作した。
しかる後、得られた板状セラミックス体に研削加工を施して、外形300mmで、載置面から吸着電極までの距離と板状セラミックス体の裏面から吸着電極の距離を調整して研削加工した後、上記載置面にラップ加工を施し、その表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.2μmに仕上げて載置面を形成するとともに、載置面と反対側の表面に、静電吸着電極と連通する穴を穿孔し、各穴に給電端子を挿入してロウ付けすることにより吸着電極を埋設した板状セラミックス体を得た。
また、直径298mmで、厚み28mmのSiC多孔質体にアルミニウム合金を含浸させ、側面と上下面に厚み1mmのアルミニウム合金層を設けたSiCが80質量%とアルミ合金が20質量%とからなる直径300mm、厚み30mmの導電性基体を得た。
そして、上記窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体を上記のアルミニウムとSiCからなる導電性基体にアルミニウムとシリコン樹脂を混合したシリコン接着剤で接合し静電チャック試料No.3〜7とした。
そして、ウェハを載置面に載せ、吸着力や残留吸着力や載置面の温度変化や板状セラミックス体と導電性基体の接合状態を評価した。
尚、何れの試料にも載置面の中央部直下に熱電対を挿入する穴を設け、熱電対により載置面の温度変化を測定した。また、導電性基体には水冷通路を設け、温調した冷却水を定量供給した。そして、各載置面にウェハを載せ上面からハロゲンランプで加熱し、5分後の載置面の温度変化を測定した。
その後、静電吸着力の測定を常温、真空中で行った。1インチ角のSiウェハを載置面に配置して、ウェハWと導電性基体2に500Vを印加し1分間経過後にSiウェハを引き上げ、1分経過後に再びSiウェハを載せ吸着する吸着離脱サイクルを50回繰り返した後、最後にSiウェハを引き上げに要した力をロードセルで測定して、その値を載置面の面積で除して単位面積当たりの静電吸着力とした。その直後に、1インチ角のSiウェハを載置面に配置して、500Vを2分間印加した後、電圧を切り3秒後にSiウェハを引き上げ、その引き上げに要した力をロードセルで測定して、その値を1インチ角の面積で除して単位面積当たりの残留吸着力とした。
また、上記測定を終了した後、試料を取り外し、超音波探傷装置を用いて、板状セラミックス体と導電性基体の接着面である樹脂層の剥離の有無を確認した。
その結果を表1に示す。
Figure 2005150370
本発明の樹脂層の体積固有抵抗が1×10〜1×1014Ω・cmである試料No.2〜6は、載置面の温度変化も7℃以下と小さく、更に残留吸着力が190N/m以下と小さく且つ樹脂層の剥離もなく優れた特性を示すことがわかった。
一方、試料No.1は樹脂層の体積固有抵抗が1×10Ω・cmと小さく、載置面の温度変化が10℃と大きく好ましくなかった。この理由は接着剤の含有量が少ないことから接着強度が小さく樹脂層に剥離が生じたことが原因と考えられる。
また、試料No.7は樹脂層の体積固有抵抗が1×1016Ω・cmと大きく、載置面の残留電荷が導電性基体にスムースに流れないと推測されることから残留吸着力が520N/mと大きくウェハWを短時間で離脱することいが難しく好ましくないことが判明した。
実施例1と同様にアルミナと窒化アルミニウムからなる静電チャックを作製した。窒化アルミニウムは酸化セリウムの添加量を1〜15質量%の範囲で変えて材料の体積固有抵抗を変化させたものを用いた。また、樹脂層はAlの含有量を変えて体積固有抵抗を変化させた試料を作製した。そして、実施例1と同様に評価した。その後、各試料の載置面と導電性基体との間の電気抵抗を測定した。
尚、載置面と導電性基体の間の抵抗は載置面に直径10mmの電極を取り付け、該電極と導電性基体との間の電気抵抗値を測定した。そして、載置面の面積で換算し載置面と導電性基体の間の抵抗値とした。
その評価結果を表2に示す。
Figure 2005150370
本発明の載置面と導電性基体の間の電気抵抗が10〜1013Ωである試料No.22〜26は吸着力は2000N/m以上と大きく且つ残留吸着力は155N/m以下と小さく好ましい特性が得られた。
一方、試料No.21は載置面と導電性基体の間の電気抵抗が2×10Ωと小さいことから吸着力が200N/mと小さく静電チャックとして使用することは難しいしいことが分かった。
また、試料No.27は載置面と導電性基体の間の電気抵抗が5×1014Ωと大きすぎることから残留吸着力が400N/mと大きく静電チャックとして使用することは難しいしいことが分かった。
実施例2と同様に絶縁膜と絶縁層の厚みを変化させて吸着部の厚みを変えた静電チャックを作製した。そして、実施例1と同様に評価した。
その結果を表3に示す。
Figure 2005150370
本発明の吸着部の厚みが10mm以下の試料No.32〜35は残留吸着力が90N/m以下と小さく更に優れた特性が得られた。
これに対し、試料No.31は残留吸着力が150N/mとやや大きかった。
実施例2と同様に絶縁膜と絶縁層の厚みを変化させて吸着部の厚みを変えた試料No.41〜44の静電チャックを作製した。
また、直径298mmで、厚み28mmのSiC多孔質体にアルミニウム合金を含浸させ、側面と上下面に厚み1mmのアルミニウム合金層を設けたSiCが80質量%とアルミ合金が20質量%とからなる直径300mm、厚み30mmの導電性基体を得た。そして、その上面に非晶質セラミックからなる絶縁層を5〜50μmの厚みで成膜した。その後、その上に金メッキにより厚み1μmの吸着電極を形成し、導電性基体を貫通する孔を穿孔し絶縁チューブを介して給電端子を取り付けた後、更にその上に非晶質セラミックとしてアルミナ膜を5〜50μm成膜した。その後、成膜面を研磨加工し載置面とした静電チャック、試料No.45〜47を作製した。
そして、実施例1と同様に評価した。
その後、絶縁膜の絶縁破壊の評価として、吸着電極に3kV電圧を印加して絶縁破壊の有無を評価した。
その結果を表4に示す。
Figure 2005150370
本発明の吸着部の厚みが20μmから2mmの試料No.42〜46は載置面の温度変化が4℃以下と小さく且つ残留吸着特性は60N/m以下と小さく、絶縁膜の絶縁破壊もなくより好ましい特性を示した。
しかし、吸着部の厚みが2.5mmの試料No.41は残留吸着力が75N/mとやや大きかった。
また、吸着部の厚みが10μmと小さい試料No.47は絶縁膜が破損し再度静電チャックとして使用することができなかった。
実施例1と同様に静電チャックを作製した。尚、樹脂層としてシリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂を使用した。
その後、実施例1と同様に評価した。
その結果を表5に示す。
Figure 2005150370
本発明の樹脂層がシリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂からなる試料No.51〜54は樹脂層の剥離がなく、より優れた特性を示した。
これに対し、試料No.55は樹脂層がウレタン樹脂からなり樹脂層の剥離が見られ好ましくないことが判明した。
樹脂層の主成分としてシリコン樹脂とポリイミド樹脂を用い、また、導電粒子として炭素粉末と金粉末Al、Pt、Auを添加した樹脂層を作製した。そして、実施例4と同様に静電チャックを作製した。
そして、実施例1と同様に評価した。
Figure 2005150370
本発明の樹脂層に導電性粒子を含む試料No.61〜70は何れも残留吸着力が125N/m以下で吸着力も20N/m以上が得られ使用できることが判明した。
また、樹脂層に導電性粒子が0.01〜30容量%である試料No.63〜67、69、70は残留吸着力が135N/m以下であり、樹脂層の剥離も無く優れた特性を示した。
これに対し、樹脂層の導電性粒子が0.005容量%の試料No.61は残留吸着力が185N/mと大きく、樹脂層の剥離も発生し好ましくなかった。
また、試料No.68は樹脂層の導電性粒子の含有量が30%を越えて多いことから使用中に樹脂層の剥離が発生し載置面の温度変化も8℃とやや大きかった。
また、樹脂層の厚みが0.001〜1mmである試料No.63〜66、69、70は残留吸着力が40N/m以下と小さくより優れた特性が得られた。
絶縁膜の厚みを変えて実施例4と同様に試料を作製した。そして、実施例4と同様に評価した。
尚、体積固有抵抗が1012Ω・cmの樹脂層を使用した。
また、耐プラズマ性の評価は、静電チャックの側面にカバーリングを設けて側面をカバーして、ウェハ載置面にウェハWを載せない状態で、ハロゲンガスとしてClを60sccm流しながら4Paの真空度として、載置面の上方に配置した対抗電極と導電性基体2の間に2kWの高周波電力を供給しながらプラズマを対抗電極と載置面の間に発生させ100時間載置面にプラズマを曝した。その後、絶縁膜の状態を観察し、絶縁膜が腐食し導電性基体が露出していないものや、載置面の表面に凹凸が発生していないもの、板状セラミックス体と導電性基体との接着状態を観察した。また、プラズマ発生前の温度と発生後1時間後の載置面の温度の差を載置面の温度変化として評価した。
その結果を表7に示す。
Figure 2005150370
本発明の絶縁膜の厚みが15〜200μmである試料No.72〜75は載置面の温度変化が1℃未満と小さく、絶縁膜の絶縁破壊、クラックもなく、対プラズマ性が良好であり、樹脂層の剥離は見られず優れた特性を示すことが分かった。
一方、非晶質セラミックからなる絶縁膜の厚みが小さ過ぎる試料No.71はクラックや剥離は見られなかったが、プラズマにより腐食し導電性基体が露出し長時間で使用できなかった。また、試料No.81は絶縁膜と絶縁層の総厚みが4000μmと大きく、載置面がプラズマで加熱され、載置面の温度が7℃も上昇し、ウェハWを厳密な狭い温度範囲で加工処理する処理には使用することができず、処理条件の緩やかな膜にしか使用できなかった。
更に、試料No.72〜74は絶縁膜の厚みが10〜100μmで吸着力が2500N/m2以上と大きく残留吸着力は10Pa以下と更に優れた特性を示すことが分かった。
また、試料No.78〜80は絶縁膜が焼結体からなり吸着力が1000N/m以上あり、残留吸着力は20N/m以下と小さく耐プラズマ性も良好であり好ましい特性であることが分かった。
一方、アルミニウムの陽極酸化膜の上に非晶質アルミナからなる絶縁膜を備えた試料No.77は、吸着力が3500N/mと大きく好ましいが、残留吸着力が400N/mとやや大きく、この残留吸着力がやや大きいのは陽極酸化膜と非晶質アルミニウム酸化膜の体積固有抵抗が異なることが原因と考えられる。
次に導電性基体2は実施例1で用いた直径300mmの複合材料を用いて、絶縁膜5として非晶質酸化アルミニウムを用い、様々な成膜条件を変え、非晶質セラミック絶縁膜5に含まれるアルゴン量を変えた膜を作製し、剥離やクラックの発生の有無を評価した。
尚、剥離やクラックは、静電チャックの上面に実施例7と同様にプラズマを10分間発生しその後10分間停止するプラズマサイクルを500回繰り返した前後で評価した。
Figure 2005150370
アルゴン量が0.5原子%と小さい試料No.82は、絶縁膜にクラックが生じた。
しかし、本発明の希ガス類元素としてアルゴンを1〜10原子%含む試料No.83〜86は絶縁膜にクラックが発生することが無く、絶縁破壊していないことから希ガス類元素は1〜10原子%が好ましいことが分った。
次に導電性基体2は実施例1で用いた直径300mmで厚みが30mmを使い、絶縁膜5として非晶質の酸化アルミニウムを用い、成膜条件を変えて絶縁膜5のビッカース硬度を変えた膜を作製し、剥離やクラックの発生の有無を確認した。
導電性基体2の上に様々な成膜条件で作った30μmの酸化アルミニウムの非晶質セラミックからなる絶縁膜5を備えたものを評価した。
ビッカース硬度は、JIS R1610の硬さ記号HV0.1に対応し荷重0.98Nを15秒間加えその圧痕の大きさから測定した。
Figure 2005150370
ビッカース硬度が400HV0.1と小さい試料No.91はクラックが発生しなかったが、絶縁破壊が生じた。これは硬度が小さすぎるため膜に傷が入り、そのため絶縁破壊が発生したと考えられる。また、ビッカース硬度が1200HV0.1と大きな試料No.95は絶縁膜にクラックが発生した。これは膜が内部応力を緩和できずにクラックが発生したと考えられる。
従って、試料No.92〜94のようにビッカース硬度は500〜1000HV0.1が好ましいことが分かった。
非晶質セラミックからなる絶縁膜の材質を酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化イットリウムアルミニウム、酸化セリウムと変えた試料No.101〜104と、比較例として絶縁膜が多結晶アルミナからなる試料No.105をプラズマに曝して絶縁膜のエッチングレートを比較した。
その評価方法は、静電チャックの外周表面及び側面にカバーリングを設けて絶縁膜がついていない箇所をカバーして、絶縁膜表面にプラズマを照射した。プラズマの条件としてはハロゲンガスとしてClを60sccm流しながら4Paの真空度として、載置面の上方に配置した対抗電極と導電性基体の間に2kWの高周波電力を供給しながらプラズマを対抗電極と載置面の間に発生させ2時間プラズマに曝した。そして、絶縁膜のエッチングによる磨耗厚みからエッチングレートを算出した。各膜の磨耗厚みを焼結アルミナの磨耗厚みで除した値をエッチングレートとした。その結果を表10に示す。
Figure 2005150370
多結晶アルミナからなる試料No.105のエッチングレートに対して非晶質セラミックからなる酸化アルミニウム膜No.101は0.7と小さく、酸化イットリウムや酸化イットリウムアルミニウム、酸化セリウムなどの非晶質セラミックからなる絶縁膜5のエッチングレートはそれぞれ0.2、0.3、0.3と更に小さく、非常に耐プラズマ性が優れることが分かった。
直径298mm、厚み28mmのSiCの含有率を50〜90質量%(残りはアルミニウム合金)に変えた物を用いて、側面と上下面に厚み1mmのアルミニウム合金層を設けた直径300mm、厚み30mmの導電性基体2の上面に非晶質セラミックからなる酸化アルミニウム膜を成膜し、―20℃〜200℃の温度サイクルテストを行ったが、非晶質酸化アルミニウム膜にクラックの発生は見られなかった。
直径298mm、厚み28mmのSiCが80質量%とアルミ合金が20質量%となるSiC多孔質体にアルミニウム合金を含浸させ、側面と上下面に厚み1mmのアルミニウム合金層を設けた直径300mm、厚み30mmの導電性基体2の上面に非晶質酸化アルミニウム、それ以外の面に耐プラズマ保護膜としてアルミニウムの陽極酸化膜を生成したものとアルミナの溶射膜を成膜し作製した静電チャック1を−20℃〜200℃の温度サイクルでテストしたが、保護膜にクラックの発生は見られなかった。
本発明の静電チャックの断面図である。 本発明の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の他の実施形態を示す断面図である。 従来の静電チャックの断面図である。 従来の他の静電チャックの断面図である。 従来の他の静電チャックの断面図である。
符号の説明
1、21、51:静電チャック
2、24:導電性基体
3:絶縁層
5、:絶縁膜
5a、22a、52a:ウェハ載置面
7:保護膜
11:樹脂層
55:給電口
23:複合材料
24:アルミニウム合金基体
25:アルミナ溶射膜
26:陽極酸化膜

Claims (15)

  1. 絶縁膜の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、前記絶縁膜の他方の主面に吸着電極を備え、該吸着電極の下に絶縁層を備えた吸着部と、該吸着部の下面に樹脂層を介して接合した導電性基体とを有し、上記樹脂層の体積固有抵抗が10〜1014Ω・cmであることを特徴とする静電チャック。
  2. 絶縁膜の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、前記絶縁膜の他方の主面に吸着電極を備え、該吸着電極の下に絶縁層を備えた吸着部と、該吸着部の下面に樹脂層を介して接合した導電性基体とを有し、上記載置面と前記導電性基体の間の抵抗値が10〜1013Ωであることを特徴とする静電チャック。
  3. 前記絶縁膜と絶縁層が同一の板状セラミックス体からなり、該板状セラミックス体に前記吸着電極が埋設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
  4. 前記吸着部の厚みが10mm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の静電チャック。
  5. 前記吸着部の厚みが20μm〜2mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の静電チャック。
  6. 前記樹脂層がシリコン系、ポリイミド系、ポリアミド系、エポキシ系のうちの少なくとも何れか1つを主成分とすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の静電チャック。
  7. 前記樹脂層に導電性粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の静電チャック。
  8. 前記導電性粒子が炭素或いは金属であることを特徴とする請求項7に記載の静電チャック。
  9. 前記樹脂層における前記導電性粒子の含有量が0.01〜30容量%であることを特徴とする請求項7または8に記載の静電チャック。
  10. 前記樹脂層の厚みが0.001〜2mmであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の静電チャック。
  11. 前記絶縁膜が非晶質セラミックからなることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の静電チャック。
  12. 前記絶縁膜は酸化物からなる均一な非晶質セラミックから成り、その厚みが10〜200μmであることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の静電チャック。
  13. 上記絶縁膜は、希ガス類元素を1〜10原子%含み、ビッカース硬度が500〜1000HV0.1であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の静電チャック。
  14. 上記絶縁膜が酸化アルミニウム、希土類の酸化物、あるいは窒化物の何れか一つを主成分とすることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の静電チャック。
  15. 前記導電性基体がアルミニウムまたはアルミニウム合金の何れか一つの金属成分と、炭化珪素または窒化アルミニウムの何れか一つのセラミック成分からなり、該セラミック成分の含有量が50〜90質量%であることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の静電チャック。
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