JP2002110773A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック

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JP2002110773A
JP2002110773A JP2000300225A JP2000300225A JP2002110773A JP 2002110773 A JP2002110773 A JP 2002110773A JP 2000300225 A JP2000300225 A JP 2000300225A JP 2000300225 A JP2000300225 A JP 2000300225A JP 2002110773 A JP2002110773 A JP 2002110773A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】150〜500℃という広い温度範囲におい
て、ジョンソン・ラーベック効果を利用した高い静電吸
着力を発現させることができるとともに、ウエハの脱着
を繰り返したとしてもパーティクルの発生が極めて少な
い静電チャックを提供する。 【解決手段】静電チャック1の少なくとも載置面3と静
電吸着用の内部電極4との間にあるセラミック部2a
を、炭素を含有する窒化アルミニウム質焼結体により形
成し、上記載置面3におけるビッカース硬度(Hv)が
800〜1100となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に半導体ウエハ
や液晶基板等のウエハを静電吸着力によって吸着保持す
る静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置の製造工程において、
シリコンウエハ等の半導体ウエハ(以下、単にウエハと
いう)に微細加工を施すエッチング工程、ウエハに薄膜
を形成する成膜工程、あるいは各種処理工程間への搬送
等においては、ウエハを高精度に保持する必要があるこ
とから静電チャックが使用されている。
【0003】この種の静電チャックは、板状セラミック
体の一方の主面(最も広い表面)を、ウエハを載せる載
置面とするとともに、上記板状セラミック体中の載置面
側に内部電極を備えたもので、ウエハを載置面に載せ、
ウエハと内部電極との間に静電吸着力を発現させること
によりウエハを載置面に強制的に吸着固定するようにな
っていた。
【0004】ところで、静電吸着力には、誘電分極によ
るクーロン力と微小な漏れ電流によるジョンソン・ラー
ベック力があり、高い吸着力が得られるジョンソン・ラ
ーベック力を発現させることが望まれている。
【0005】このジョンソン・ラーベック力を得るに
は、ウエハの載置面と内部電極との間にあるセラミック
部の体積固有抵抗値が使用温度雰囲気下において、1×
108Ω・cm程度から1×1012Ω・cm程度の範囲
にあることが必要であり、このジョンソン・ラーベック
力を発現させるためには、載置面と内部電極との間にあ
るセラミック部を、遷移金属がほぼ均一に含有された低
抵抗アルミナ質焼結体により形成したものが提案されて
いる(特公平6−97675号公報参照)。
【0006】しかしながら、特公平6−97675号公
報に開示された静電チャックは、室温域での使用を目的
としたものであり、150℃以上の高温下では、載置面
と内部電極との間にあるセラミック部を形成する低抵抗
アルミナ質焼結体の体積固有抵抗値が1×108Ω・c
mを下回り、過大な漏れ電流が発生する結果、ウエハ上
の微小回路が破壊されるといった課題があった。
【0007】そこで、遷移金属の添加量を制御すること
により、載置面と内部電極との間にあるセラミック部の
体積固有抵抗値を制御することも考えられるが、主成分
であるアルミナに遷移金属を添加した原料を用いて遷移
金属がほぼ均一に含有されたアルミナ質焼結体を得るこ
とは非常に難しく、抵抗値が大きくばらついたり、収縮
率が変化して所望の大きさの焼結体が得られないといっ
た課題があった。
【0008】その為、本件出願人は、載置面と内部電極
との間にあるセラミック部中に内部電極の導体成分を分
散させることにより、250℃〜450℃の温度範囲に
おいて、上記セラミック部の抵抗値が、1×109Ω・
cm〜1×1011Ω・cmの範囲にある静電チャックを
先に提案した(特開2000−77508公報参照)。
【0009】この静電チャックは、載置面と内部電極と
の間にあるセラミック部となるセラミックグリーンシー
ト上に密着液を介して内部電極となる導体ペーストを印
刷し、上記密着液の作用によって導体ペーストの成分を
上記セラミックグリーンシートに少量浸透させ、その状
態で同時に焼成することにより得ることができ、このよ
うに内部電極の成分を分散させることで、微妙な抵抗値
の制御か可能になるとともに、収縮率の変化が小さいた
め、所定の寸法精度の焼結体が得られるといった利点が
あった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ウエ
ハ上に形成する回路の微小化が進み、より精度の高いウ
エハの固定が望まれているが、特開2000−7750
8公報に開示した静電チャックでは、載置面が高硬度の
セラミックスからなるため、ウエハの脱着時において、
載置面の摩耗は極めて少ないものの、載置面と摺動する
ウエハの摩耗が多く、パーティクルを発生させるため、
このパーティクルが載置面に付着すると、次のウエハを
吸着固定する際、ウエハと載置面との間にパーティクル
が介在することになり、ウエハを高精度に固定すること
ができないといった課題があった。
【0011】即ち、ウエハを静電吸着力によって載置面
に吸着させる際、高硬度のセラミックスからなる載置面
上を、硬度の小さいウエハが高い静電吸着力によって滑
り合わされる状態となるため、載置面を平坦に仕上げた
としてもウエハを引っかき、ウエハを摩耗させていた。
【0012】また、特開2000−77508公報に開
示した静電チャックは、250℃〜450℃の温度範囲
では高い静電吸着力が得られるものの、近年では一つの
静電チャックで幅広い温度範囲をカバーすることができ
るものが望まれており、これまでの静電チャックでは2
50℃〜450℃の温度範囲を超える領域で使用するこ
とができなかった。
【0013】
【発明の目的】本発明の目的は、150〜500℃とい
う広い温度範囲において、ジョンソン・ラーベック効果
を利用した高い静電吸着力でもってウエハを載置面上に
吸着固定することができるとともに、ウエハの脱着を繰
り返したとしても載置面及びウエハを摩耗させることが
なく、パーティクルの発生が極めて少ない静電チャック
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、板状セラミックス体の一方の主面を、ウエハ
を載せる載置面とするとともに、上記板状セラミック体
中に内部電極を備えた静電チャックにおいて、少なくと
も上記載置面と内部電極との間にあるセラミック部を、
炭素を含有する窒化アルミニウム質焼結体により形成
し、上記載置面におけるビッカース硬度(Hv)が80
0〜1100となるようにしたことを特徴とする。
【0015】特に、上記載置面と内部電極との間にある
セラミック部を形成する窒化アルミニウム質焼結体は、
150℃〜500℃の温度範囲における体積固有抵抗値
が、1×108Ω・cm〜1×101 2Ω・cmの範囲に
あるものが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0017】図1(a)は本発明に係る静電チャックを
ベース基体に固定した状態を示す斜視図、図1(b)は
(a)のX−X線断面図であり、この静電チャック1
は、円盤状をした板状セラミック体2の一方の主面(最
も広い表面の一方)を、ウエハWを載せる載置面3とす
るとともに、上記板状セラミック体2中の載置面3近傍
には静電吸着用の内部電極4を、上記板状セラミック体
2中の他方の主面近傍には加熱用の内部電極5をそれぞ
れ埋設したもので、上記静電吸着用の内部電極4は、図
2に示すように、2つの半円をした導体層4aから構成
するように配置してあり、また、上記加熱用の内部電極
5は、図3に示すように、略同心円状に配置された円弧
状の帯状導体層5aと、隣接する円弧状の帯状導体層5
a同士を接続する直線状の帯状導体層5bとから構成し
てある。
【0018】なお、上記静電吸着用の内部電極4を形成
する2つの導体層4aにはそれぞれ給電端子6が電気的
に接続してあり、また、加熱用の内部電極5を形成する
帯状導体層5bにはそれぞれ給電端子7が電気的に接続
してある。
【0019】また、上記静電チャック1の下面には、金
属製のベース基体8を取着してあり、ヒートシンクやプ
ラズマ電極として利用するようになっている。
【0020】また、図1(a)(b)に示す静電チャッ
ク1は、基本的に板状セラミック体2の全体を、絶縁性
の窒化アルミニウム質焼結体により形成してあり、少な
くとも載置面3と内部電極4との間にあるセラミック部
2aを形成する窒化アルミニウム質焼結体中に炭素を含
有させてある。このセラミック部2aは、静電吸着力に
影響を与える重要な部分であり、通常、50〜1500
μm、好ましくは100〜1000μmの厚みに設定す
るのであるが、上記セラミック部2aを形成する窒化ア
ルミニウム質焼結体中に炭素を含有させることにより、
上記セラミック部2aの体積固有抵抗値を他のセラミッ
ク部2bより小さくすることができるため、150℃〜
500℃の温度範囲における体積固有抵抗値を1×10
8Ω・cm〜1×101 2Ω・cmの範囲に設定すること
ができるとともに、載置面3の硬度をビッカース硬度
(Hv)で800〜1100と、炭素を含まない窒化ア
ルミニウム質焼結体や、従来技術のように内部電極の導
体成分を含有した窒化アルミニウム質焼結体の硬度(H
v:1200)よりも小さくすることができる。
【0021】その為、本発明の静電チャック1によれ
ば、各給電端子7間に通電して加熱用の内部電極5を発
熱させ、静電チャック1を150℃〜500℃の温度に
加熱した状態で、各給電端子6より静電吸着用の内部電
極4を構成する2つの導体層4a間に直流電圧を印加す
ることにより、ウエハWと内部電極4との間にジョンソ
ン・ラーベック力による静電吸着力を発現させることが
でき、150℃〜500℃という広い温度範囲におい
て、ウエハWを載置面3に強固に吸着固定させることが
できる。
【0022】また、ウエハWの脱着時に、シリコン、ガ
リウム砒素等からなるウエハが載置面3と摺り合わされ
たとしても、載置面3の硬度をウエハWの硬度に近似さ
せることができるため、載置面3の摩耗を抑えつつ、ウ
エハWの摩耗も低減することができ、その結果、パーテ
ィクルの発生を大幅に低減し、載置面3へのパーティク
ルの付着を抑制することができる。即ち、上述した材料
からなるウエハWとの摺動による摩耗を抑えるには、載
置面3の硬度をビッカース硬度(Hv)で800〜11
00とすることが重要であり、載置面3のビッカース硬
度(Hv)が1100を超えると、ウエハWとの硬度差
が大きくなりすぎ、ウエハWの脱着時における載置面3
との摺動によってウエハWが大きく摩耗し、パーティク
ルの発生を抑えることができず、また、載置面3のビッ
カース硬度(Hv)が800未満となると、載置面3を
形成する窒化アルミニウム質焼結体そのものの焼結が不
十分となり、脱粒等によるパーティクルの発生が多くな
ってしまうからである。
【0023】かくして、本発明の静電チャック1を用い
れば、ウエハWを載置面3上に精度良く固定することが
できるため、成膜工程では均一な厚みの膜をウエハ上に
被着することができ、また、エッチング工程では、所定
の寸法精度に微細加工を施すことが可能となる。
【0024】さらに、上記板状セラミック体2の全体
は、セラミックスの中でも高い熱伝導率を有する窒化ア
ルミニウム質焼結体により形成してあることから、加熱
用の内部電極5の発熱により静電チャック1を短時間で
均一に加熱することができ、例えば、成膜工程やエッチ
ング工程におけるスループットを向上させることができ
るとともに、載置面3の温度分布を均一にすることがで
きるため、成膜工程では、ウエハ上に均質な膜を被着す
ることができ、また、エッチング工程では所定の深さに
微細加工することができる。
【0025】しかも、窒化アルミニウム質焼結体は、成
膜ガスやエッチングガス等に用いられる弗素系ガスや塩
素系ガス等のプロセスガスに対する耐食性にも優れるこ
とから、腐食摩耗によるパーティクルの発生も低減する
ことができる。
【0026】ところで、板状セラミック体2を形成する
窒化アルミニウム質焼結体としては、窒化アルミニウム
の含有量が98.5重量%以上、さらには99.5重量
%以上、好ましくは99.8重量%以上である高純度の
窒化アルミニウム質焼結体、あるいは窒化アルミニウム
を主成分とし、YやEr等の希土類酸化物を1〜9重量
%の範囲で含有する窒化アルミニウム質焼結体を用いる
ことができ、上記高純度の窒化アルミニウム焼結体を用
いれば、焼結体中に殆ど粒界相が存在しないことから耐
食性が要求される場合に好適であり、また、希土類酸化
物を含有した窒化アルミニウム質焼結体を用いれば、焼
結体の熱伝導率を100W/m・K以上、さらには15
0W/m・K以上にまで高めることができ、昇温速度の
速い静電チャック1が要求される場合に好適である。
【0027】ところで、前述した静電チャック1を製造
するには、主成分であるAlN粉末に対し、必要に応じ
て希土類酸化物を添加するとともに、バインダー及び溶
媒を添加混合して泥奬を製作し、ドクターブレード法等
のテープ成形法にてAlNグリーンシートを複数枚形成
する。そして、一つのAlNグリーンシートに静電吸着
用の内部電極4をなす導体ペーストを、図2に示すパタ
ーン形状に敷設するとともに、別のAlNグリーンシー
トに加熱用の内部電極5をなす導体ペーストを、図3に
示すパターン形状に敷設する。
【0028】この時、少なくとも静電吸着用の内部電極
4をなす導体ペーストには、WCやTiC等の金属炭化
物を主体とする導体ペーストを用いる。なお、加熱用の
内部電極5をなす導体ペーストには、静電吸着用の内部
電極4と同様に、WCやTiC等の金属炭化物を主体と
する導体ペースト、あるいはWやMo等の金属を主体と
する導体ペーストを用いれば良い。
【0029】次いで、図4に示すように、各AlNグリ
ーンシートを密着液を介して所定の順序で積み重ね、圧
力を加えながら熱圧着することによりAlNグリーンシ
ート積層体を製作する。この時、必要に応じて切削加工
を施しても良い。
【0030】しかる後、AlNグリーンシート積層体に
脱脂処理を施した後、窒素雰囲気や不活性ガス雰囲気下
で焼成するのであるが、ここで焼成温度は2050℃以
上、好ましくは2100℃以上とする。
【0031】即ち、2050℃以上の温度で焼成する
と、内部電極4をなす導体ペースト中の金属炭化物が金
属成分と炭素成分に分解され、内部電極4は主に上記金
属成分により形成され、内部電極4の周囲にあるセラミ
ック部中には上記炭素成分が傾斜的に減少するように分
散させることができる。図5に内部電極4をなす導体ペ
ーストとして、WCを主体とする導体ペーストを用いた
例を示すように、内部電極4から離れるにしたがって炭
素が傾斜的に減少するように含有していることが分か
る。また、図5より分かるように、炭素は内部電極4か
ら約2000μm以内の距離まで分散含有しており、載
置面3と内部電極4との間にあるセラミック部2aに要
求される50〜1500μmの厚み範囲において炭素を
含有させることができ、上記厚み範囲においてはその表
面(載置面3)のビッカース硬度(Hv)を800〜1
100とすることができる。
【0032】よって、上述した条件にて焼成することに
より、静電吸着用の内部電極4と加熱用の内部電極5が
それぞれ埋設され、少なくとも内部電極4の周囲に炭素
が傾斜的に減少するように分散した板状セラミック体2
を製作することができる。
【0033】次に、得られた板状セラミック体2におい
て、内部電極4が埋設されている側の表面に研削加工を
施して内部電極4から研削面までの距離を50〜150
0μmとし、さらに研削面を中心線平均粗さ(Ra)で
0.5μm以下に研磨することによりウエハWを載せる
載置面3を形成するとともに、加熱用の内部電極5が埋
設されている側の表面に、静電吸着用の内部電極4及び
加熱用の内部電極5と連通する穴をそれぞれ穿孔し、各
穴に給電端子6,7を挿入してロウ付けすることにより
得ることができる。
【0034】以上、本発明の実施形態では、静電チャッ
ク1を構成する板状セラミック体2が焼結にて一体的に
形成され、該板状セラミック体2中に静電吸着用の内部
電極4を埋設した例を示したが、板状セラミック体2が
2つの部材から構成されたものでも良く、例えば、図6
に示すように、板状セラミック体2を、ウエハWの載置
面3と静電吸着用の内部電極4との間にあるセラミック
部2aと、それ以外のセラミック部2bとに分割し、両
者を接着やロウ付け等にて接合したものでも良く、この
場合、上記セラミック部2aは、セラミック部2aとな
るAlNグリーンシート上に、静電吸着用の内部電極4
となるWCやTiC等の金属炭化物を主体とする導体ペ
ーストを印刷した状態で、2050℃以上の温度で同時
焼成することにより、セラミック部2a上に、静電吸着
用の内部電極4が一体的に形成され、上記導体ペースト
の炭素成分が内部電極4側から傾斜的に減少するように
含有された窒化アルミニウム質焼結体により形成する
か、あるいはAlN原料に炭素を添加した原料を用いて
AlNグリーンシートを制作し、焼結させることができ
る温度にて焼成することにより炭素が均一に含有された
窒化アルミニウム質焼結体により形成すれば良い。ただ
し、セラミック部2aに、炭素が均一に含有された窒化
アルミニウム質焼結体を用いる場合、静電吸着用の内部
電極4はメタライズ等にてセラミック部2aに接合すれ
ば良い。
【0035】また、本発明は上記実施形態に示したもの
だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で改良や変更したものでも良いことは言うまで
もない。
【0036】
【実施例】以下、図1に示す本発明の静電チャック1の
具体例を以下に示す。
【0037】純度99%、平均粒径1.2μmのAlN
粉末に、有機バインダーと溶媒のみを加えて泥奬を作製
し、ドクターブレード法にて厚さ約0.5mmのAlN
グリーンシートを複数枚制作した。このうち一枚のAl
Nグリーンシートには、図2に示すようなパターン形状
となるように、静電吸着用の内部電極4をなす導体ペー
ストを、もう一枚のAlNグリーンシートには、図3に
示すようなパターン形状となるように、加熱用の内部電
極5をなす導体ペーストをそれぞれスクリーン印刷法に
て敷設した。
【0038】上記静電吸着用の内部電極4をなす導体ペ
ーストには、WC粉末とAlN粉末とを7:3の重量比
で混合して粘度調整した導体ペーストを用い、加熱用の
内部電極5をなす導体ペーストには、W粉末とAlN粉
末とを7:3の重量比で混合して粘度調整した導体ペー
ストを用いた。
【0039】そして、各AlNグリーンシートを所定の
順序で積み重ね、50℃、4.9KPaの圧力にて熱圧
着することによりAlNグリーンシート積層体を形成
し、切削加工を施して円盤状に形成した。
【0040】次いで、AlNグリーンシート積層体を真
空脱脂した後、窒素雰囲気下で2100℃の温度で焼成
することにより、静電吸着用の内部電極4と加熱用の内
部電極5がそれぞれ埋設され、内部電極4の周囲に炭素
が傾斜的に減少するように含有された窒化アルミニウム
質焼結体からなる板状セラミック体2を制作した。
【0041】しかる後、得られた板状セラミック体2に
研削加工を施して外径200mm、板厚9mm、内部電
極4が埋設されている側の研削面から内部電極4までの
距離が1200μmとなるように研削加工した後、上記
研削面にラップ加工を施し、その表面粗さを算術平均粗
さ(Ra)で0.2μmに仕上げて載置面3を形成する
とともに、載置面3と反対側の表面に、静電吸着用の内
部電極4と加熱用の内部電極5とそれぞれ連通する穴を
穿孔し、各穴に給電端子6,7を挿入してロウ付けする
ことにより得た。
【0042】そこで、上記静電チャック1の加熱用の内
部電極5を発熱させ、載置面3の温度が300℃となる
ように加熱した状態で、静電吸着用の内部電極4に50
0Vの直流電圧を印加して1インチ角のシリコンウエハ
を吸着させ、このシリコンウエハをロードセルにて引き
剥がすのに要する荷重を吸着力として測定したところ、
34.3KPaの吸着力が得られ、またシリコンウエハ
と内部電極4との間にあるセラミック部2aの300℃
における体積固有抵抗値を測定したところ、1×1010
Ω・cmと所定の抵抗値範囲にあり、吸着時の漏れ電流
量も0.04mAと小さく何ら問題ないレベルであっ
た。
【0043】次に、1インチ角のシリコンウエハに換え
て8インチのシリコンウエハを同様の条件にて吸着させ
た後、ウエハに付着する0.3μm以上のパーティクル
の数をパーティクルカウンターで測定したところ、約2
000個程度であり、その後、載置面3におけるビッカ
ース硬度(Hv)をビッカース硬度計にて測定したとこ
ろ1000であった。
【0044】なお、漏れ電流の測定は、JIS C21
41の規格に従って微少電流測定器にて測定し、ウエハ
に付着するパーティクル数については、TENKOR社
製のウエハーパーティクルカウンター(機種名:SP
1)にて0.3μm以上のパーティクルを測定した。こ
のパーティクルカウンターは、アルゴンイオンレーザを
用いてウエハ表面上の異物等を検出し、画像処理するも
ので、半導体製造プロセスにおいて広く用いられている
装置である。また、載置面3のビッカース硬度は、AK
ASHI製作所製のビッカース硬度計を用い、1kgの
加重を15秒間加えた後の圧痕の長さを測定し、JIS
に定められたビッカース硬度測定式から硬度を算出し
た。
【0045】ここで、本発明の静電チャック1における
吸着力とパーティクル発生数を比較するため、静電吸着
用の内部電極4の導体成分を載置面3と内部電極4との
間にあるセラミック部2aに分散含有させた従来の静電
チャック1、及び載置面3と内部電極4との間にあるセ
ラミック部2aが、炭素や内部電極の導体成分を含有さ
せていない高純度の窒化アルミニウム質焼結体からなる
比較例としての静電チャック1をそれぞれ用意して前述
した方法と同様の条件にて測定を行った。
【0046】なお、従来例の静電チャック1を製造する
にあたっては、静電吸着用の内部電極4となる導体ペー
ストには、W粉末とAlN粉末とを7:3の割合で混合
して粘度調整した導体ペーストを用い、2000℃の温
度で焼成することにより制作した。
【0047】それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0048】
【表1】
【0049】この結果、載置面3と内部電極4との間に
あるセラミック部2aを高純度の窒化アルミニウム質焼
結体により形成した比較例の静電チャック1では、吸着
力が1KPa程度しか得られず、載置面3と内部電極4
との間にあるセラミック部2aの300℃における体積
固有抵抗値を測定したところ、1×1013Ω・cmと高
く、ジョンソン・ラーベック力を発現させることができ
なかった。また、強い静電吸着力が得られないものの、
載置面3のビッカース硬度が1300と高いため、シリ
コンウエハを吸着した後のパーティクル数は7000個
と本発明品と比較して多かった。
【0050】また、載置面3と内部電極4との間にある
セラミック部2aを、内部電極4の導体成分であるWを
含有させた窒化アルミニウム質焼結体により形成した従
来例の静電チャック1では、300℃における体積固有
抵抗値を1×1010Ω・cmとすることができ、ジョン
ソン・ラーベック力を発現させることができるため、本
発明品と同様に34.3KPaの吸着力が得られたもの
の、載置面3のビッカース硬度が1200と高いため、
シリコンウエハを吸着した後のパーティクル数が120
00個と本発明品と比較して6倍近くのパーティクルの
発生が見られた。
【0051】よって、本発明の静電チャック1を用いれ
ば、高温雰囲気下においてウエハを強固に吸着固定させ
ることができるだけでなく、載置面3及びウエハの摩耗
を抑え、パーティクルの発生を大幅に低減することがで
き、優れていることが分かる。
【0052】次に、本発明の静電チャック1において、
載置面3と静電吸着用の内部電極4との間にあるセラミ
ック部2aの厚みを異ならせた時の載置面3における炭
素の分散量、載置面3のビッカース硬度と表面粗さ及び
ウエハに付着するパーティクル数について測定する実験
を行った。
【0053】なお、載置面3における炭素の分散量は、
載置面3をEPMAにてMAP分析することにより測定
した。ただし、標準試料として、炭素を含有させていな
い窒化アルミニウム質焼結体を用い、この標準試料との
相対比較値として求めた。
【0054】結果は表2に示す通りである。
【0055】
【表2】
【0056】この結果、まず、炭素は内部電極4に近い
程多く存在しており、内部電極4から離れるにしたがっ
て含有量が減少していることが判る。そして、載置面3
に炭素が含有されないセラミック部2aの厚さが200
0μmでは、硬度が1150と大きく、その結果、ウエ
ハを吸着固定した後に付着したパーティクル数が120
00個と非常に多かった。
【0057】これに対し、セラミック部2aの厚さが1
500μm以下であれば、ビッカース硬度を1100以
下とすることができ、また、ビッカース硬度を1100
以下とすれば、ウエハに付着するパーティクル数も45
00個以下と、近年、半導体製造装置で許容される50
00ヶ以下の範囲を十分に満足することができた。ま
た、ビッカース硬度を1000前後とすることにより、
ウエハに付着するパーティクル数を2500個以下にま
で低減することができ、特に優れていた。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、板状セ
ラミックス体の一方の主面を、ウエハを載せる載置面と
するとともに、上記板状セラミック体中に内部電極を備
えた静電チャックにおいて、少なくとも上記載置面と内
部電極との間にあるセラミック部を、炭素を含有する窒
化アルミニウム質焼結体により形成し、上記載置面にお
けるビッカース硬度(Hv)が800〜1100となる
ようにしたことから、150℃〜500℃という広い温
度範囲においてジョンソン・ラーベック力による高い静
電吸着力を発現させることができ、ウエハを強固に吸着
固定することができるとともに、シリコン、ガリウム砒
素等のウエハを吸着固定させても、載置面の硬度がウエ
ハの硬度に近似していることから、載置面及びウエハの
摩耗を抑えることができ、パーティクルの発生を大幅に
低減することができる。
【0059】よって、本発明の静電チャックを半導体製
造装置に用いれば、半導体ウエハを載置面上に精度良く
固定することができるため、成膜工程では均一な厚みの
膜をウエハ上に被着することができ、また、エッチング
工程では、所定の寸法精度に微細加工を施すことが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る静電チャックをベース基
体に固定した状態を示す斜視図、(b)は(a)のX−
X線断面図である。
【図2】図1の静電チャックに備える静電吸着用の内部
電極のパターン形状を示す平面図である。
【図3】図1の静電チャックに備える加熱用の内部電極
のパターン形状を示す平面図である。
【図4】本発明に係る静電チャックの製造方法を説明す
るための図である。
【図5】本発明に係る静電チャックにおいて、静電吸着
用の内部電極からの距離と炭素の含有状態及び載置面の
ビッカース硬度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る他の静電チャックのみを示す断面
図である。
【符号の説明】
1 :静電チャック 2 :板状セラミック体 2a:載置面と静電吸着用の内部電極との間にあるセラ
ミック部 2b:静電吸着用の内部電極と板状セラミック体の下面
との間にあるセラミック部 3 :吸着面 4 :静電吸着用の内部電極 5 :加熱用の内部電極 6 :静電吸着用の内部電極の給電端子 7 :加熱用の内部電極の給電端子 8 :ベース基体 W :ウエハ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板状セラミック体の一方の主面を、ウエハ
    を載せる載置面とするとともに、上記板状セラミックス
    体中に内部電極を備えた静電チャックにおいて、少なく
    とも上記載置面と上記内部電極との間にあるセラミック
    部が、炭素を含有する窒化アルミニウム質焼結体からな
    り、上記載置面におけるビッカース硬度(Hv)が80
    0〜1100であることを特徴とする静電チャック。
  2. 【請求項2】上記セラミック部を形成する窒化アルミニ
    ウム質焼結体の150℃〜500℃の温度範囲における
    体積固有抵抗値が、1×108Ω・cm〜1×1012Ω
    ・cmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の
    静電チャック。
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