JP4241571B2 - 双極型静電チャックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば半導体ウエハー、フレキシブル基板、あるいはガラス基板等の板状試料を吸着保持する際に用いられる双極型静電チャックの製造方法に関するものである。
板状試料を静電吸着力を利用して吸着固定する静電チャックを分類すると、一つの電極が誘電体層中に埋設された単極型静電チャックと、二つの電極を互いに隣接する状態で誘電体層中に配設した双極型静電チャックとに大別され、このうち双極型静電チャックは、静電吸着する工程において板状試料を接地する必要がないという利点があり、このために半導体製造装置等に多用されている。
例えば特開平2002−044971号公報(特許文献1)及び特開平2003−158150号公報(特許文献2)に示されている従来の双極型静電チャックにおいては、概略、絶縁性支持板の表面上に形成された正又は負の内部電極と負又は正の内部電極からなる双極型の静電吸着用内部電極が誘電体板で被覆され、この誘電体板の表面が、板状試料を載置するための静電吸着用静電吸着面とされ、前記静電吸着用電極に直流電圧を印加する給電用端子(電圧印加手段)が設けられている。
このような構造を有する従来の双極型静電チャックでは、一方の内部電極が正電極に、他方の内部電極が負電極になるよう直流電圧が印加され、板状試料を接地する必要がないなどの、単極型の静電チャックでは実現できない特性が得られるけれども、下記のような改善を要する点があった。
(1)大きな静電吸着力を得るためには静電吸着用内部電極上の誘電体板の厚さを薄くする必要があるが、誘電体板の厚さが薄ければ薄いほど、誘電体板層の厚さの不均一性が静電吸着力の均一性に及ぼす影響が大きくなり、より均一な厚みの誘電体板層とする必要があるが、作製が困難となる。そのため、誘電体板の厚さを薄くして大きな静電吸着力を得ることには自ずと限度があった。
(2)静電吸着される板状試料の部分的な浮き上がりを防止するためには、均一な静電吸着力が得られるようにする必要がある。そのためには、正電極となる一方の静電吸着用内部電極と、負電極となる他方の静電吸着用内部電極との距離を狭小となるようにすることが必要である。このように静電吸着用内部電極を配設すると、正電極となる一方の静電吸着用内部電極と、負電極となる他方の静電吸着用内部電極との間に漏れ電流が発生しやすく、また、電流による発熱で静電チャックが損傷するおそれがある。
特開平2002−044971号公報 特開平2003−158150号公報
本発明は、従来の双極型静電チャックが有する前記問題点を解決することを目的とするものであり、すなわち正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極上の誘電体板の厚さを薄くすることなく、より大きな静電吸着力を有し、静電吸着領域の全域にわたって静電吸着力が均一であり、漏れ電流に基づく発熱に起因する静電チャックの損傷の虞がない双極型静電チャックを廉価に効率よく製造可能な製造方法を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題解決のため鋭意検討した結果、絶縁性セラミックスと導電性材料との複合焼結体に電圧を印加すると、電圧印加部近傍の体積固有抵抗値(R1)が低下することを知見し、更に、誘電体板の、正電極面に直角をなして対向する部分及び負電極面に直角をなして対向する部分の体積固有抵抗値(R1)にくらべて、上記直角対向部分以外の部分の体積固有抵抗値(R2)を高くすると、静電吸着力が増加することを知見し、この知見に基いて本発明を形成するに至った。
本発明の双極型静電チャックの製造方法は
絶縁性支持板と、
前記支持板上に交互にかつ互に離間して配置された正電極と負電極とを含む双極型静電気吸着用内部電極手段と、
前記支持板及び前記内部電極手段を被覆している誘電体板と、
前記正負電極の各々に連結され、かつ前記支持板により支持されている給電用端子とを有する静電チャック前駆体を形成する工程及び、
この前駆体から静電チャックを製造する工程を含み、
(1)前記静電チャック前駆体の形成工程において、前記誘電体板を、絶縁性セラミックスと、導電性材料との混合物を、成形、焼結して得られた複合焼結体から形成し、
(2)前記静電チャックの製造工程において、前記静電チャック前駆体の誘電体板の開放面上に、それを被覆する電圧印加用電極を載置し、この電圧印加用電極と、前記給電用端子との間に、前記静電チャックの使用電圧より高い電圧を印加し、それによって、前記誘電体板の、前記正・負電極のそれぞれの電極面に直角をなして対向する部分の体積固有抵抗値(R1)を、前記誘電体板の残余の部分の体積固有抵抗値(R2)より低く調整する
ことを特徴とするものである。
本発明の双極型静電チャックの製造方法において、前記誘電体板の、前記正又は負電極の電極面に直角をなして対向する部分の体積固有抵抗値(R1)を、1×109Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲にあるように調整し、かつ前記誘電体板の残余の部分の体積固有抵抗値(R2)を、前記体積固有抵抗値(R2)の5倍以上に調整することが好ましい。
本発明の双極型静電チャックの製造方法において、互に隣り合う前記正電極と前記負電極との離間距離を、0.5〜5mmにすることが好ましい。
本発明の双極型静電チャックの製造方法において、前記誘電体板用複合焼結体を、酸化アルミニウム、酸化イットリア、酸化珪素、酸化ゲルマニウム及びムライトから選ばれた1種以上の絶縁性セラミックスと、導電性炭化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル及びカーボンから選ばれた1種以上の導電性材料との混合物を成形し、焼結して形成することが好ましい。
本発明の双極型静電チャックの製造方法において、前記絶縁性セラミックスとして、酸化アルミニウムを用い、前記導電性材料として導電性炭化珪素を用いることが好ましい。
本発明の双極型静電チャックの製造方法は、絶縁性支持板、前記支持板上に配置され、正電極と負電極とを含む双極型静電気吸着用内部電極手段と、
前記支持板及び前記内部電極手段を被覆している誘電体板と、前記正・負電極の各々に連結され、かつ支持板により支持されている給電用端子とを有する静電チャックを製造し、
この静電チャックの前記誘電体板の開放面上に、それを被覆する電圧印加用電極を載置し、前記電圧印加用電極と、前記給電用端子との間に、前記静電チャックの使用電圧より高い電圧を印加し、それによって、前記誘電体板の、前記正・負電極に対向している部分の体積固有抵抗値(R1)を、前記誘電体板の前記正・負電圧に対向していない部分の体積固有抵抗値(R2)より低く調整することを特徴とするものである。
本発明方法によれば、正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極手段上の誘電体板の厚さを薄くすることなく、より大きな静電吸着力を有し、静電吸着領域の全域にわたって静電吸着力が均一であり、しかも、漏れ電流に基づく発熱に起因する静電チャックの損傷の虞がない静電チャックを廉価に効率よく提供することができる。
本発明方法の実施形態を図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は、本発明の趣旨を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
「双極型静電チャック」
まず、前記の「双極型静電チャック」の実施態様について説明する。
図1及び図2(図1の部分拡大部)に示されている双極型静電チャック10は、正電極1と負電極2からなる双極型の静電吸着用内部電極手段3が誘電体板4と絶縁性支持板5との間に挟持され、前記誘電体板4と絶縁性支持板5とが接合または接着されて一体化されたものである。
この誘電体板4の表面(上面)が板状試料W(図示されていない)を載置して静電吸着するための静電吸着面6を構成し、静電吸着用内部電極手段3に直流電圧を印加するための給電用端子(電圧印加手段)7,7が、前記絶縁性支持板5により保持されている。
前記誘電体板4は、その全体が絶縁性セラミックスと導電性材料との複合焼結体から形成されており、図2に示されるように、正電極1と負電極2からなる静電吸着用内部電極手段3の正・負電極1,2の電極面1a,2aのそれぞれに直角をなして対向している部分の、この双極型静電チャックの使用温度下での体積固有抵抗値(R1)が好ましくは1×109Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲内となるように制御されている。
前記の体積固有抵抗値(R1)が1×109Ωcmを下回ると、誘電体板上に載置される板状試料W等への漏れ電流が発生して漏れ電流によって板状試料Wを破壊する危険性が高くなることがあり、一方、前記の体積固有抵抗値(R1)が1×1013Ωcmを超えると板状試料Wの吸着、脱着後の応答性が著しく低下することがある。
一方、前記誘電体板4の、前記正・負電極1,2の電極面1a,1bに直角をなして対向していない残余の部分の体積固有抵抗値R2は、前記正・負電極1,2の電極面1a,1bに直角をなして対向している部分の体積固有抵抗値の5倍以上、であることが好ましく、より好ましくは10倍以上となるよう制御されている。
前記誘電体板4の、前記正・負電極に直角対向していない残余の部分の体積固有抵抗値R2がこのように高抵抗化されたことにより、互に隣り合う正電極1と負電極2との間の電位の分布は、前記残余部分の低抵抗化以前においては図5aに示されている状態であったが、前記部分が低抵抗化された後は、図5bに示されている状態に変化し、前記部分上の電位は、静電吸着用内部電極手段3に印加された電位とほぼ同一になる。このため、誘電体板4の厚さを薄くすることなく、大きな静電吸着力が得られる。なお、図5a、図5bにおいて、正電極1と負電極2との間に±3000Vの直流電圧を印加した場合の等電位線が模式的に示されている。
また、誘電体板4の、正・負電極1,2の電極面1a,2aに直角をなして対向していない前記残余部分の体積固有抵抗値が、図5bに示されているように高抵抗化されたことにより通常の印加電圧、すなわち直流電圧:数千V程度の印加電圧下で正電極と負電極の間の漏れ電流の発生を防止することができ、この漏れ電流に起因する発熱による静電チャック10の損傷のおそれがなくなる。
また、上記のとおり大きな静電吸着力が得られるため、前記誘電体板4の厚さを薄くする必要がなく、板状試料Wを載置して静電吸着する誘電体板4の厚さ加工が容易で、静電吸着面6の全域における静電吸着力の均一化が達成される。
更に、前記誘電体板4の、前記正・負電極1,2の電極面1a,2a直角対向していない残余部分の体積固有抵抗値(R2)が前記のとおり高抵抗化されたことにより、正電極1と負電極2との間隔を0.5mm〜5mmの範囲内、好ましくは0.5mm〜3mmの範囲内と狭小化することが可能となり、もって、静電吸着面6の全域において、静電吸着力がほぼ均一となり、板状試料Wの部分的な浮き上がりを生ずることのない静電チャックが得られる。
前記の誘電体板4を構成する1成分である前記絶縁性セラミックス材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化イットリア(Y23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、ムライト(3Al23・2SiO2)等を例示することができ、なかでも酸化アルミニウム(Al23)は、安価で耐熱性に優れ、複合焼結体の機械的特性も良好であるので本発明に好適に用いられる。
また、前記の誘電体板4を構成する1成分である前記導電性材料粉末としては、焼結時の高温に耐え得るものであれば特に限定されず、例えば、導電性炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等の高融点金融、カーボン(C)等を例示することができ、なかでも導電性炭化珪素(SiC)は、酸化アルミニウム(Al23)と複合化した場合、得られる複合焼結体は比抵抗値の温度依存性が少なく、ハロゲンガスに対する耐蝕性に優れ、耐熱性、耐熱衝撃性に優れ、高温下の使用において熱応力による損傷の危険性が少ないので、本発明に好適に用いられる。
また、静電吸着用内部電極手段3は、例えば図3に示されるように、同一円心を有する大きさの異なる円形をなす正電極1が、一定の間隔をおいて絶縁性支持板5の表面上に幾重にも形成され、これらの円形の正電極1の全てが一部で結合して正電極1を形成している。正電極1と同様に形成された負電極2は、正電極1を構成する各電極の間に配置され、この静電吸着用内部電極手段3においては、正電極1と負電極2が交互に配置された構造を有している。
前記の静電吸着用内部電極手段3の正・負電極1,2は、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの高融点金属や、炭化タンタル(TaC)や炭化珪素(SiC)等を含む導電性セラミックスで形成されている。そして、静電吸着用電極手段3は、正電極1と負電極2とが略均一、例えば、正電極1と負電極2の面積比が1:0.9〜1:1.1となるよう配置されていることが好ましく、このようにすることにより静電吸着力を均一化することができる。
前記絶縁性支持板5は、給電用端子7,7を保持するとともに、前記静電吸着用内部電極手段3と、前記誘電体板4とを下方から支持するものである。
前記絶縁性支持板5は、前記誘電体板4と同等以上の絶縁性の材料で形成された板状板の焼結体であれば特に制限されないが、熱膨張係数が前記絶縁体性誘電体板4の熱膨張係数に近似する焼結体であることが好ましく、例えば酸化アルミニウム(Al23)焼結体、酸化アルミニウム(Al23)−炭化珪素(SiC)複合焼結体等を例示することができ、例えば、前記誘電体板4と同一の焼結体で形成されていてもよい。
正電極1と負電極2からなる静電吸着用内部電極手段3が板状の焼結体で形成された誘電体板4と、板状の焼結体で形成された前記絶縁性支持板5間に挟持された双極型静電チャックについて説明したが、本発明はこのような構造に限定されるものではない。
即ち、本発明の双極型静電チャックは、
(1)板状の焼結体で形成された絶縁性支持板5の表面上に形成された正電極1と負電極2からなる静電吸着用内部電極手段3が前記の誘電体板4を構成する成分と同一の成分を有する溶射材料で形成されたものであってもよく、また、
(2)板状の焼結体で形成された誘電体板4の下面上に形成され、かつ正電極1と負電極2からなる静電吸着用内部電極手段3が、前記の絶縁性支持板5を構成する成分と同一の成分を有する溶射材料で被覆されていてもよく、
(3)さらには、誘電体板4と同一成分の板状の圧粉体中に正電極1と負電極2からなる静電吸着用内部電極手段3を埋設し、これを焼結して得られたものであってもよい。
上記の構成を有する本発明の双極型静電チャックは、下記の実用的特性を有するものである。
(1)誘電体板4の厚さを薄くすることなく、静電吸着力の増大を図ることができる。
(2)従って、従来型の双極型静電チャックと同一の静電吸着力を得るに要する印加電圧は低電圧で十分となる。
(3)均一な静電吸着力が得られ静電吸着される板状試料Wの部分的な浮き上がりを防止することができる。
(4)静電吸着用内部電極手段3上の誘電体板4の厚さを厳格に均一にする必要がなく、誘電体板4の作製が容易となる。
(5)静電吸着用内部電極手段3と板状試料Wとの間、または正電極1と負電極2との間の漏れ電流が少なく、発熱して板状試料Wや静電チャック10が損傷するおそれがない。
という効果を奏するものとなる。
「双極型静電チャックの製造方法」
次いで、本発明の「双極型静電チャックの製造方法」の実施態様について説明する。
まず、絶縁性セラミックス粉末と導電性材料粉末とを混合して混合粉末とし、この混合粉末を公知の方法に従って成形、焼結して板状焼結体を作製し、誘電体板を得る。
絶縁性セラミックス粉末と導電性材料粉末との混合比は、焼結後において、静電チャックの使用条件(印加電圧、使用温度)下で誘電体板として要求される体積固有抵抗値よりも、例えば5〜数100倍高い体積固有抵抗値となる混合比率であり、より具体的には、以下に詳述する正・負電極1,2の電極面1a,2aに直角をなして対向する部分の低抵抗値化を考慮し、低抵抗値化される分だけ高抵抗値化された体積固有抵抗値となるような混合比率を用いる。
即ち、絶縁性セラミックス材料粉末として酸化アルミニウム(Al23)粉末を用い、導電性材料粉末として導電性炭化珪素(SiC)粉末を用いるときは、好適な混合比率は、例えば、酸化アルミニウム(Al23)粉末:70〜99重量%、導電性炭化珪素(SiC)粉末:30〜1重量%程度である。
前記の導電性炭化珪素粉末としては、プラズマCVD法によって製造された粉末が好ましい。特に、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン化合物またはハロゲン化珪素と炭化水素の原料ガスを導入し、反応系の圧力を1.01×105Pa(1気圧)未満から1.33×10Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反応させて得られた、平均粒子径0.1μm以下の導電性炭化珪素(SiC)超微粉末が、焼結性に優れており、高純度であり、粒子形状が球状であるために成形時の分散性が良好である。
一方、酸化アルミニウム(Al23)粉末等の絶縁性材料粉末を、公知の方法に従って成形、焼結して板状焼結体を作製し、この板状焼結体板に機械加工を施して給電用端子の挿入孔を形成し、絶縁性支持板を作製する。
前記の誘電体板と絶縁性支持体を用い、双極型静電チャックを作成する。
即ち、前記絶縁性支持板に穿設された挿入孔に、給電用端子を押し込み、組み込み固定する。ついで、この給電用端子が組み込み固定された絶縁性支持板上に、後の加圧下での熱処理工程で、正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極となるよう、タンタルカーバイト(TaC)等の導電性セラミックス材料粉末を含む塗布材を印刷塗布し、乾燥して、静電吸着用内部電極形成層を形成し、次いで、絶縁性支持板上の前記静電吸着用内部電極形成層以外の領域に、酸化アルミニウム(Al23)等の絶縁性材料粉末を含む塗布材を印刷塗布し、乾燥して、絶縁材層を形成する。
次いで、この静電吸着用内部電極形成層(印刷面)及び絶縁材層を挟み込むように、前記絶縁性支持板と誘電体板とを重ね合わせ、加圧下で熱処理して接合一体化し、双極型静電チャック用前駆体を製造する。なお、誘電体板と絶縁性支持板との接合は、前記接合方法の他に、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を用いる接着方法を用いてもよい。
そして、公知の方法によって作製された前記双極型静電チャック前駆体の板状試料載置面に誘電体板と同一または略同一の直径の円盤状金属板を電圧印加用電極として載置し、この円盤状金属板と静電チャック前駆体の給電用端子との間に電圧を印加する。
印加される電圧は直流電圧、交流電圧のいずれであってもよいが、作業上の安全性の点から直流電圧が好適である。電圧を印加すると、電圧印加部近傍領域(即ち、正・負電極面1a,2aに直角に対向する部分)の体積固有抵抗値が低下する。電圧印加する時間は、電圧印加部近傍領域(即ち、正・負電極面1a,2aに直角に対向する部分)の体積固有抵抗値が静電チャックとして最適の体積固有抵抗値、例えば、1×109Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲内となるまでとする。
具体的な電圧印加条件は、絶縁性セラミックスと導電性材料との複合焼結体の種類、絶縁性セラミックスと導電性材料との配合比率、複合焼結体の形状などにより変動するので、一義的には規定し難いが、印加電圧は、製造しようとする静電チャックの使用電圧以上の電圧とすることが必要である。
印加される電圧が「静電チャックの使用電圧」以下であっても、前記誘電体板の電圧印加部近傍領域の体積固有抵抗値は低下するが、印加される電圧が最終的に製造される静電チャックの使用印加電圧以下の電圧であると、静電チャックの使用中に絶縁性誘電体の体積固有抵抗値が低下し続けることとなる。電圧印加する際の雰囲気は限定されず、通常、大気中で電圧印加する。
前記電圧の印加に際しては、電圧印加部の体積固有抵抗値を測定しつつ、前記電圧を印加することが好ましい。
即ち、前記電圧の印加を一時的に中止した後、この電極間に500V程度の直流電圧を印加し、流れる電流値を測定し、オームの法則から抵抗値を算出することによりその部分の体積固有抵抗値を算出する。このように前記誘電体板の抵抗値を測定しながら前記電圧を印加することにより、正確な所望の体積固有抵抗値を有する静電チャックを、廉価に効率的に製造することができる。
このように、絶縁性セラミックスと導電性材料との複合焼結体に、静電チャックの使用電圧以上の電圧を印加することによって、電圧印加部近傍領域(即ち、静電吸着用内部電極手段の正・負電極面1a,2aに直角をなして対向する部分)の体積固有抵抗値が低下する理由は、必ずしも明確ではないが、電圧が印加された電圧印加部近傍領域の絶縁性に富む組織が、導電性に富む組織に組織変化するためと考えられる。
本発明を下記実施例により更に説明する。
実施例1
平均粒子径0.06μmの炭化珪素超微粉末をプラズマCVD法により気相合成し、この炭化珪素超微粉末9重量%と、平均粒子径0.15μmの酸化アルミニウム粉末91重量%とを均一に混合した。
この混合粉末を円盤状に成形し、次いで、アルゴン雰囲気中において、1800℃の温度で4時間、加圧しながら焼結することにより、直径298mm、厚み1mmの円盤状複合焼結体を作製し、絶縁性誘電体を得た。加圧力は40MPaとした。
得られた前記円盤状複合焼結体中の炭化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子の平均粒子径を、SEM(走査型電子顕微鏡)観察法により測定した。また、この複合焼結体の室温下における体積固有抵抗値を常法に従って測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0004241571
一方、前記の酸化アルミニウムのみを用いた他は同様にして、直径298mm、厚さ5mmの焼結体を作製し、この複合焼結体の中心部より50mm離れた場所2箇所に、内径5mmの給電用端子の挿入孔2本を機械加工により穿孔し、絶縁体支持板を作製した。
次に、この絶縁性支持板の面上の静電吸着用内部電極を形成する領域内に、図3に示される双極型の形状(電極幅は正電極、負電極共に2mm、正電極と負電極との間の距離1mm)に、炭化タンタル(TaC)35vol%と酸化アルミニウム(Al23)65vol%との混合粉末をスクリーン印刷によって塗布して導電性材料層を形成し、導電性材料層を形成した領域外の領域に、酸化アルミニウム(Al23)粉末をスクリーン印刷によって塗布し、絶縁性材料層を形成した。
次に、絶縁性支持板の給電用端子の挿入孔2本に、炭化タンタル(TaC)焼結体製の給電用端子を挿入した後、前記の誘電体板の主面と、前記の絶縁性支持板の導電性材料層と絶縁性材料層が形成されている主面とが対向するよう、前記の誘電体板と前記の絶縁性支持板とを重ね合わせ、次いで、前記誘電体板と前記絶縁性支持板とを1700℃に加熱しながら7.5MPaに加圧して、導電性材料層から静電吸着用内部電極を形成するとともに、絶縁性材料層から接合層を形成して、前記誘電体板と前記絶縁性支持板とを正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極を介して接合一体化した後、誘電体の面を研削して誘電層の厚さを0.5mmとした。
次に、図4に示すように、静電チャック前駆体10aの板状試料載置面に直径298mm、厚さ5mmの円盤状金属板を載置し、この円盤状金属板と給電用端子2本との間に、静電チャックの使用電圧(3000V)以上の電圧である5000Vの直流電圧を60分間印加して、正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極面に対して直角をなして対向するようにその上に位置する部位の体積固有抵抗値が4×1011Ωcmである双極型静電チャックを得た。
「比較例1」
実施例に準じて比較双極型静電チャックを得た。ただし、電圧印加処理は施さなかった。正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極上の体積固有抵抗値は、吸着領域全域にわたって、8×1013Ωcmであった。
「比較例2」
実施例に準じて比較双極型静電チャックを得た。ただし、酸化アルミニウムと炭化珪素の混合比率を90重量%:10重量%に変更し、電圧印加処理は施さなかった。正電極と負電極からなる静電吸着用内部電極面に対して直角をなして対向する部分の体積固有抵抗値は、吸着領域全域にわたって、4×1011Ωcmであった。
「評価」
実施例及び比較例1で得られた双極型静電チャックの静電吸着力、正電極と負電極間の漏れ電流をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。測定条件は次のとおりであった。
(1)静電吸着力
板状試料として、ガラス板と導電膜付きガラス板とを用いた。これらのガラス板は100mm×100mm×0.7mmの大きさであり、導電膜付きガラス板の導電膜の表面抵抗値は10Ω/□である。この2種類のガラス板を静電チャックの板状試料載置面に(導電膜付きガラス板は、導電膜面が上面となるように)設置後、真空下(<0.1Pa)、印加電圧±3000Vを印加し、そのまま60秒保持し、その後電圧を印加した状態で板状試料を垂直方向に引上げ、静電吸着力を測定した。
(2)漏れ電流
静電吸着力測定時の電極間に流れる電流を測定した。
Figure 0004241571
なお、比較例2で得られた双極型静電チャックでは、正電極と負電極との間に流れる電流が大きく、電圧を印加することができなかった。
本発明の双極型静電チャックの製造方法は、誘電体板の厚さを薄くしなくても静電吸着領域の全域にわたり均一な、かつ良好な静電吸着力を発揮し、しかも漏れ電流がなく、従って、漏れ電流に起因する発熱によって静電チャックが損傷を受けることがなく、実用上きわめて有用な双極型静電チャックを効率よく、安価に製造することを可能にする。
本発明の双極型静電チャックの一例の断面説明図。 図1の双極型静電チャックの一部分の断面説明図。 本発明の双極型静電チャックに使用される双極型静電吸着用内部電極手段の一例の構造を示す平面説明図。 本発明の双極型静電チャックを製造する方法に用いられる装置の一例の断面説明図。 図5aは、電圧印加工程を施されていない静電チャック前駆体の誘電体板の電位分布図。図5bは、誘電体板の電圧印加工程を施された後の電位分布図。
符号の説明
1 正電極
1a 正電極面
2 負電極
2a 負電極面
3 双極型静電吸着用内部電極手段
4 誘電体板
5 絶縁性支持板
6 静電吸着面
7 給電用端子
8 誘電体板の正・負電極の電極面に直角をなして対向している部分
9 誘電体板の正・負電極の残余の部分
10 双極型静電チャック
10a 双極型静電チャック前駆体
11 金属電極板

Claims (5)

  1. 絶縁性支持板と、
    前記支持板上に交互にかつ互に離間して配置された正電極と負電極とを含む双極型静電気吸着用内部電極手段と、
    前記支持板及び前記内部電極手段を被覆している誘電体板と、
    前記正負電極の各々に連結され、かつ前記支持板により支持されている給電用端子とを有する静電チャック前駆体を形成する工程及び、
    この前駆体から静電チャックを製造する工程を含み、
    (1)前記静電チャック前駆体の形成工程において、前記誘電体板を、絶縁性セラミックスと、導電性材料との混合物を、成形、焼結して得られた複合焼結体から形成し、
    (2)前記静電チャックの製造工程において、前記静電チャック前駆体の誘電体板の開放面上に、それを被覆する電圧印加用電極を載置し、この電圧印加用電極と、前記給電用端子との間に、前記静電チャックの使用電圧より高い電圧を印加し、それによって、前記誘電体板の、前記正・負電極のそれぞれの電極面に直角をなして対向する部分の体積固有抵抗値(R1)を、前記誘電体板の残余の部分の体積固有抵抗値(R2)より低く調整する
    ことを特徴とする、双極型静電チャックの製造方法。
  2. 前記誘電体板の、前記正又は負電極の電極面に直角をなして対向する部分の体積固有抵抗値(R1)を、1×109Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲にあるように調整し、かつ前記誘電体板の残余の部分の体積固有抵抗値(R2)を、前記体積固有抵抗値(R2)の5倍以上に調整する、請求項1に記載の製造方法
  3. 互に隣り合う前記正電極と前記負電極との離間距離を、0.5〜5mmにする、請求項1又は2に記載の製造方法
  4. 前記誘電体板用複合焼結体を、酸化アルミニウム、酸化イットリア、酸化珪素、酸化ゲルマニウム及びムライトから選ばれた1種以上の絶縁性セラミックスと、導電性炭化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル及びカーボンから選ばれた1種以上の導電性材料との混合物を成形し、焼結して形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法
  5. 前記絶縁性セラミックスとして、酸化アルミニウムを用い、前記導電性材料として導電性炭化珪素を用いる、請求項4に記載の製造方法
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