JP3370532B2 - 静電チャック - Google Patents
静電チャックInfo
- Publication number
- JP3370532B2 JP3370532B2 JP31495396A JP31495396A JP3370532B2 JP 3370532 B2 JP3370532 B2 JP 3370532B2 JP 31495396 A JP31495396 A JP 31495396A JP 31495396 A JP31495396 A JP 31495396A JP 3370532 B2 JP3370532 B2 JP 3370532B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum nitride
- volume
- sintered body
- electrostatic chuck
- dielectric layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
- Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
Description
着力によって吸着保持する静電チャックに関するもので
あり、主に半導体装置や液晶基板などの製造工程におい
て半導体ウエハやガラス基板などの被固定物を保持する
のに用いるものである。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体製造工程において、半導体
ウエハに微細加工を施すためのエッチング工程や薄膜を
形成するための成膜工程、あるいはフォトレジストに対
する露光処理工程等においては、半導体ウエハを保持す
るために静電チャックが使用されている。 【0003】この種の静電チャックは、絶縁基体と誘電
体層との間に静電吸着用電極を備え、上記誘電体層の上
面を吸着面としたものであり、この吸着面に被固定物で
ある半導体ウエハを載置して静電吸着用電極と半導体ウ
エハとの間に電圧を印加することで誘電分極によるクー
ロン力やジョンソンラーベック力を発現させてウエハを
吸着保持するようになっていた。 【0004】また、絶縁基体と誘電体層との間に複数枚
の静電吸着用電極を設け、これらの電極間に電圧を印加
することで吸着面に載置したウエハを吸着保持するよう
にした双極型のものもあった。 【0005】そして、これらの静電チャックを構成する
誘電体層には、ウエハの脱着に伴う摺動摩耗が少なく、
また、各種処理工程で使用される腐食性ガスによって腐
食し難いことが必要であることから、このような材質と
して高い耐摩耗性、耐食性を有するアルミナや窒化珪素
等の絶縁性セラミックスが用いられていた。 【0006】しかしながら、近年、集積回路の集積度が
向上するに伴って吸着面を構成する誘電体層には耐摩耗
性や耐食性に加え、耐プラズマ性に優れるとともに、高
い熱伝導率を有する材料が望まれるようになり、このよ
うな材料として窒化アルミニウムを用いることが提案さ
れている(特開昭62−286247号公報参照)。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、窒化アルミ
ニウムは高温雰囲気下(300℃以上)においては高い
吸着力が得られるものの、200℃付近の温度雰囲気下
で行われる成膜工程や室温雰囲気下(25℃程度)で行
われる露光処理工程、あるいは−30〜0℃程度の低温
雰囲気下で行われるエッチング工程などのように200
℃以下の温度雰囲気下においては十分な吸着力が得られ
ないといった課題があった。 【0008】即ち、ウエハを吸着させる静電吸着力には
クローン力とジョンソン・ラーベック力の2種類があ
り、クローン力は誘電体層を構成する材質の誘電率に依
存し、ジョンソン・ラーベック力は誘電体層を構成する
材質の体積固有抵抗値に依存することが知られている。 【0009】具体的には、誘電体層の体積固有抵抗値が
1015Ω・cmより大きい時の吸着力はクーロン力によ
り支配され、誘電体層の体積固有抵抗値が低下するにし
たがってジョンソン・ラーベック力が発現し、誘電体層
の体積固有抵抗値が1012Ω・cm未満となると吸着力
はクーロン力に比べて大きな吸着力が得られるジョンソ
ン・ラーベック力により支配されることになる。 【0010】一方、セラミックスの体積固有抵抗値は温
度が上昇するに伴って低下するため、例えば、窒化アル
ミニウムの場合、300℃以上の温度雰囲気下における
体積固有抵抗値は1011Ω・cm程度であることからジ
ョンソン・ラーベック力による高い吸着力が得られるも
のの、室温(25℃)付近における体積固有抵抗値は1
016Ω・cm以上と高く、クーロン力による吸着力しか
得られず、また、誘電率もそれほど高くないことから2
00℃以下の温度雰囲気下では充分な吸着力を得ること
ができなかった。 【0011】その為、歪みをもったウエハを吸着した時
には、ウエハの全面を吸着面に当接させることができな
いためにウエハの平坦化及び均熱化等が損なわれ、その
結果、成膜工程ではウエハ上に均一な厚みをもった薄膜
を形成することができず、露光処理工程やエッチング工
程では精度の良い処理を施すことができないといった課
題があり、限られた温度雰囲気でしか使用できなかっ
た。 【0012】 【課題を解決するための手段】そこで、本件発明者等は
上記課題に対して静電チャックの吸着面を構成する誘電
体層として注目されている窒化アルミニウムに着目し、
この材料について検討を重ねた結果、窒化アルミニウム
結晶中に窒化チタン(TiN)及び酸化セリウム(Ce
O2 )を含有させることにより、200℃以下の温度雰
囲気下における体積固有抵抗値をジョンソン・ラーベッ
ク力を発現させることができる抵抗値にまで小さくでき
ることを見出した。 【0013】即ち、本発明は、被固定物を吸着保持する
吸着面を、窒化アルミニウムを主相とし、窒化チタンを
10〜30容量%とセリウムを酸化物換算で2〜10容
量%含有し、Al、Ce、Oからなる化合物を含む窒化
アルミニウム質焼結体により形成して静電チャックを構
成したものである。 【0014】ここで、窒化チタンは窒化アルミニウム質
焼結体の体積固有抵抗値(以下、抵抗値と略称する)を
下げるために含有するものであり、焼結体中において窒
化アルミニムの粒界に存在するのであるが、この含有量
が10容量%未満では粒界に存在する窒化チタン同士の
導通がとり難いために焼結体の抵抗値を下げる効果が小
さく、200℃以下の温度雰囲気下における窒化アルミ
ニウム質焼結体の抵抗値を1012Ω・cm未満とするこ
とが困難である。 【0015】また、窒化チタンそのものの抵抗値は21
〜130μΩ・cm程度と小さく、含有量を多くすると
粒界に存在する窒化チタン同士が結合して抵抗値が急激
に低下するとともに、焼結体の抵抗値を制御することが
難しくなるのであるが、本発明は窒化チタン(TiN)
以外に酸化セリウム(CeO2 )を含有してあることか
ら、抵抗値の急激な低下を抑えることができるととも
に、抵抗値を所望の値に容易に制御することができる。 【0016】即ち、酸化セリウム(CeO2 )自体は絶
縁材料であるものの、焼結体中においては主体をなす窒
化アルミニウムと反応してAl,Ce,Oからなる化合
物(例えば、CeAlO3 )を形成するのであるが、こ
の化合物は窒化チタンよりも大きな抵抗値を持った導電
性を有しており、この化合物が焼結体中の粒界に存在す
る窒化チタン間に介在することで若干の導通がとれるた
め、急激な抵抗値の低下を抑えることができ、かつ抵抗
値を所望の値に制御することができるものと考えられ
る。 【0017】また、焼結体中にセリウム(Ce)を含む
Al,Ce,Oからなる化合物を生成することで温度変
化に対する抵抗値の変化を小さくすることができるた
め、広範囲な温度領域での使用可能な静電チャックを提
供することが可能となる。 【0018】ただし、セリウム(Ce)の含有量が酸化
物換算で2容量%より少ないと、抵抗値の急激な低下を
抑える効果が小さく、また、抵抗値を制御する効果も得
られなくなり、逆に、10容量%より多くなると窒化ア
ルミニウム質焼結体の抵抗値が108 Ω・cm未満と小
さくなりすぎるために吸着時における漏れ電流が大きく
なり、その結果、被固定物が半導体ウエハである時には
微小回路の絶縁破壊を生じるなどの悪影響を与える恐れ
があるとともに、被固定物の離脱時における応答性が悪
くなるため、セリウム(Ce)は酸化物換算で2〜10
容量%の範囲で含有することが必要である。 【0019】また、セリウム(Ce)を焼結体中に含有
させることで上述のような作用が得られるものの、窒化
チタン(TiN)の含有量が30容量%を越えると窒化
アルミニウム質焼結体の抵抗値が108 Ω・cm未満と
小さくなるために吸着時における漏れ電流が大きくなる
とともに、被固定物の離脱時における応答性が悪くな
り、さらには焼結体そのものの焼結性が悪くなるために
好ましくない。 【0020】その為、本発明の窒化アルミニウム質焼結
体にはセリウム(Ce)を酸化物換算で2〜10容量%
含有するとともに、窒化チタン(TiN)を10〜30
容量%の範囲で含有量することが重要であり、これらの
範囲で窒化チタン(TiN)とセリウム(Ce)を含有
すれば窒化アルミニウム質焼結体の抵抗値を下げること
ができ、200℃以下の温度雰囲気下における抵抗値を
108 〜1012Ω・cmに制御してジョンソン・ラーベ
ック力による高い吸着力を発現させることができる。な
お、窒化アルミニウム質焼結体の抵抗値を制御し易くす
るためには窒化チタンの平均粒子径は0.8〜2.0μ
mとすることが好ましい。 【0021】一方、主体をなす窒化アルミニウムは、そ
の含有量が60容量%より少なくなると静電チャックの
誘電体層を構成するのに必要な耐電圧性、耐摩耗性、耐
食性、耐プラズマ性といった特性が大きく低下する。 【0022】その為、窒化アルミニウムは60〜88容
量%の範囲で含有ことが好ましい。 【0023】ただし、窒化アルミニウムは難焼結材であ
るため、焼結性を高める観点から焼結助剤としてイット
リウム(Y)、エルビウム(Er)、イッテルビウム
(Yb)等を酸化物換算で2容量%以下の範囲であれば
含有しても良い。 【0024】また、焼結体中における窒化アルミニウム
の平均結晶粒子径は2〜50μm、好ましくは10〜3
0μmとすることが良い。これは、窒化アルミニウムの
平均結晶粒子径が50μmより大きくなると緻密化する
ことが難しくなり、焼結体の強度、硬度が大幅に低下す
ることから被固定物との脱着に伴う摺動によって静電チ
ャックの吸着面が摩耗し易くなり、また、成膜工程やエ
ッチング工程等におけるプラズマや腐食性ガスによって
腐食摩耗し易くなるために、静電チャックの寿命が短く
なるとともに、被固定物にパーティクルを発生させるか
らであり、逆に、窒化アルミニウムの平均結晶粒子径を
2μmより小さくすることは製造上難しいからである。 【0025】このような窒化アルミニウム質焼結体を製
作する方法としては、純度99%以上、平均粒径3μm
以下のAlN粉末を60〜88容量%に対し、TiNを
10〜30容量%とCeO2 を2〜10容量%添加し、
これらにバインダーと溶媒を添加して泥漿を作製し、ド
クターブレード法などのテープ成形法により成形する
か、あるいは泥漿を乾燥させて造粒体を作製し、この造
粒体を型内に充填して金型プレスやラバープレスなどの
成形法を用いて成形する。なお、各成形後、所定の形状
とするために切削加工を施せば良い。 【0026】しかるのち、真空脱脂を施したあと焼成温
度1900〜2100℃程度の非酸化性雰囲気中で焼成
することにより、窒化アルミニムを主相とし、窒化チタ
ン(TiN)を10〜30容量%とセリウム(Ce)を
酸化物換算で2〜10容量%含有してなる窒化アルミニ
ム質焼結体を製造することができ、−30〜200℃の
温度雰囲気下における焼結体の抵抗値をジョンソン・ラ
ーベック力による吸着力が得られる108 〜1012Ω・
cmに設定することができる。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 【0028】図1(a),(b)は本発明に係る静電チ
ャック1を示す斜視図及びそのX−X線断面図であり、
絶縁性を有するアルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム
などからなるセラミック基板2の表面に静電吸着用電極
4を備え、この静電吸着用電極4を覆うように上記セラ
ミック基板2の表面に誘電体層3を焼結によって被覆・
一体化してあり、その上面を吸着面5としたもので、上
記誘電体層3を窒化アルミニウムを主相とし、窒化チタ
ンを10〜30容量%とセリウムを酸化物換算で2〜1
0容量%含有してなる窒化アルミニウム質焼結体により
形成してある。 【0029】この窒化アルミニウム質焼結体は−30〜
200℃の温度範囲においてその抵抗値を108 〜10
12Ω・cmの範囲となるように適宜調整することができ
るため、静電チャック1の静電吸着用電極4と吸着面5
に載置した被固定物10との間に電圧を印加すること
で、被固定物10と静電吸着用電極4との間に微小な漏
れ電流が流れることからジョンソン・ラーベック力によ
る吸着力を発現させることができ、被固定物10を吸着
面5に強固に吸着保持することができる。 【0030】また、この静電チャック1はセラミック基
板2と誘電体層3とが焼結により一体化してあるため、
200℃の温度雰囲気下においても使用可能であり、さ
らには静電チャック1全体がプラズマや腐食性ガスに強
いセラミックスからなるため、成膜工程やエッチング工
程などにおいて好適に使用することができる。 【0031】なお、セラミック基板2は前述したように
絶縁性を有するセラミックスで形成してあれば良いが、
特に窒化アルミニウムで形成すれば、誘電体層を構成す
る窒化アルミニム質焼結体との熱膨張差を無くすことが
できるため、焼成時における反りや歪みなどを生じるこ
とがなく、信頼性の高い静電チャックとすることができ
る。 【0032】次に、図2(a),(b)は本発明に係る
他の静電チャック21を示す斜視図及びそのY−Y線断
面図であり、誘電体層23の上面を吸着面25とすると
ともに、下面に静電吸着用電極24を備えてなり、上記
誘電体層23を窒化アルミニウムを主相とし、窒化チタ
ンを10〜30容量%とセリウムを酸化物換算で2〜1
0容量%含有してなる窒化アルミニウム質焼結体により
形成してある。また、誘電体層23の下面にはガラス、
ロウ材、メタライズなどの接合剤27を介して絶縁性を
有する単結晶アルミナまたはアルミナ、窒化珪素、窒化
アルミニウムなどの各種セラミックス、あるいは樹脂か
らなるベース基体22を接合して板状体とし、該板状体
の内部に静電吸着用電極24を内蔵するように構成して
ある。なお、板状体は被固定物10の外径とほぼ同径の
円板状としてあるが、若干大きかったりあるいは小さく
ても構わない。 【0033】上記誘電体層23をなす窒化アルミニウム
質焼結体は−30〜200℃の温度範囲においてその抵
抗値を108 〜1012Ω・cmの範囲となるように適宜
調整することができるため、静電チャック21の静電吸
着用電極24と吸着面25に保持した被固定物10との
間に電圧を印加することで、被固定物10と静電吸着用
電極24との間に微小な漏れ電流が流れることからジョ
ンソン・ラーベック力による吸着力を発現させることが
でき、被固定物10を吸着面25に強固に吸着保持する
ことができる。 【0034】その為、被固定物10が反りをもった半導
体ウエハなどの基板であっても吸着面25の精度に倣わ
せて保持することができるために、例えば、露光処理工
程において精度の良い露光処理を施すことができる。 【0035】なお、本実施形態では単極型の静電チャッ
クの例を示したが、双極型の静電チャックにも適用でき
ることは言うまでもない。 【0036】 【実施例】 (実施例1)ここで、室温(25℃)雰囲気下で使用す
るのに好適な図1の静電チャック1を試作し、その吸着
特性について測定を行った。 【0037】本実験で使用する静電チャック1は、セラ
ミック基板2を構成する窒化アルミニム質焼結体とし
て、純度99%、平均粒径1.2μmのAlN粉末にバ
インダーと溶媒のみを加えて泥漿を製作し、ドクターブ
レード法により厚さ0.5mm程度のグリーンシートを
複数枚成形してそれらを積層し、その一主面にAlN粉
末を混ぜたタングステンペーストをスクリーン印刷機に
て敷設することで静電吸着用電極4をなす金属膜を形成
した。 【0038】一方、誘電体層3を構成する窒化アルミニ
ム質焼結体として、純度99%、平均粒径1.2μmの
AlN粉末を75容量%に対し、平均粒径1.6μmの
TiNを20容量%と平均粒径0.9μmのCeO2 を
5容量%添加し、さらにバインダーと溶媒を加えて泥漿
を製作し、ドクターブレード法により厚さ0.5mm程
度のグリーンシートを成形した。そして、このグリーン
シートを前記静電吸着用電極4をなす金属膜を備えたグ
リーンシート上に積層して80°C、50kg/cm2
の圧力で熱圧着することによりグリーンシート積層体を
形成した。しかるのち、上記グリーンシート積層体に切
削加工を施して円板状とし、該円板状の積層体を真空脱
脂したあと、2000℃程度の焼成温度で1〜数時間程
度窒素雰囲気下で焼成することにより、外径200m
m、厚み8mmで、かつ内部に膜厚15μmの静電吸着
用電極4を備えた板状体を形成した。そして、誘電体層
3をなす窒化アルミニム質焼結体の表面を研磨して吸着
面5を形成することにより、吸着面5が、窒化アルミニ
ムを主相とし、TiN20容量%、Ceを酸化物換算で
5容量%含有してなる窒化アルミニウム質焼結体からな
る静電チャック1を形成した。 【0039】また、上記誘電体層3と同様の条件にて製
作した試料(直径60mm、厚み2mmの円盤)を用意
し、この試料を室温(25℃)から250℃まで徐々に
加熱した時の体積固有抵抗値について3端子法により測
定したところ、図3にその結果を示すように温度の逆数
と体積固有抵抗値との間に比例関係が得られ、−20か
ら230℃の温度範囲で窒化アルミニム質焼結体の体積
固有抵抗値が108 〜1012Ω・cmであった。 【0040】さらに、この試料をX線回折により測定
し、焼結体中におけるセリウム(Ce)の状態について
測定を行ったところ、図4に示すようなCeAlO3 の
析出が確認でき、焼結体中においてセリウム(Ce)が
CeAlO3 として存在することが判った。 【0041】そこで、室温(25℃)下において、試作
した静電チャック1の吸着面5に8インチ径のシリコン
ウエハを載置して静電吸着用電極4との間に300Vの
電圧を印加することによりウエハ10を吸着面5に吸着
保持させ、この状態でシリコンウエハを剥がすのに必要
な力を吸着力として測定したところ、520g/cm2
の吸着力が得られた。 【0042】また、図3から判るように、本発明の静電
チャック1は−20〜230℃の温度範囲における誘電
体層3の抵抗値が108 〜1012Ω・cmであるため、
広範囲の温度領域にわたって使用可能な静電チャック1
とできることが判る。 【0043】これに対し、比較のためにセラミック基板
2と同様の材質からなる窒化アルミニウム質焼結体(T
iN及びCeAlO3 を含んでいないもの)を誘電体層
とした静電チャック及びTiNを18容量%、20容量
%のみ含有する窒化アルミニウム質焼結体を誘電体層と
した静電チャックをそれぞれ用いて同様の条件にてシリ
コンウエハを剥がすのに必要な力(吸着力)について測
定したところ、誘電体層が高純度の窒化アルミニウム質
焼結体からなるものは、図3に示すように室温(25
℃)における体積固有抵抗値が1016Ω・cm以上であ
るため、10g/cm2 しか得られず、誘電体層がTi
Nを18容量%のみ含有する窒化アルミニウム質焼結体
からなるものは、図3に示すように室温(25℃)にお
ける体積固有抵抗値が1013Ω・cm程度であるため、
吸着力は50g/cm2 程度であった。 【0044】また、誘電体層がTiNを20容量%のみ
含有する窒化アルミニウム質焼結体からなるものでは、
吸着力については本発明に係る静電チャック1と同程度
であったものの、図3に示すように室温(25℃)にお
ける体積固有抵抗値が105Ω・cm程度と108 Ω・
cm未満であるために漏れ電流量が多く、ウエハに悪影
響を与える恐れがあった。 【0045】しかも、比較例の高純度窒化アルミニム質
焼結体、TiNを18容量%含有した窒化アルミニム質
焼結体はいずれも抵抗値の変化率が大きいために狭い温
度範囲でしか使用できないものであった。 【0046】(実施例2)次に、窒化チタン(TiN)
とセリウム(Ce)の含有量(酸化物換算)をそれぞれ
変化させた窒化アルミニウム質焼結体(直径60mm、
厚み2mmの円盤)を試作し、各々の体積固有抵抗値を
3端子法にて測定した。 【0047】それぞれの結果は表1に示す通りである。 【0048】 【表1】 【0049】この結果、表1より判るように、試料N
o.5は窒化チタン(TiN)の含有量が30容量%よ
り多いためにセリウム(Ce)による温度制御ができ
ず、200℃以下の温度雰囲気下において体積固有抵抗
値が小さ過ぎ、108 〜1012Ω・cmとすることがで
きなかった。 【0050】また、試料No.8では窒化チタン(Ti
N)の含有量が10容量%未満であるために体積固有抵
抗値を十分に下げる効果が小さく、200℃以下の温度
雰囲気下において体積固有抵抗値を1012Ω・cm以下
とすることができなかった。 【0051】これに対し、試料No.1〜4及び6,7
は窒化チタン(TiN)の含有量が10〜30容量%で
かつセリウム(Ce)の含有量(酸化物換算)が2〜1
0容量%の範囲にあるため、200℃以下の温度雰囲気
下において体積固有抵抗値を各々108 〜1012Ω・c
mの範囲に設定することができた。 【0052】このことから、本発明に係る静電チャック
を用いれば、200℃以下の温度雰囲気下で行われる各
種処理工程においてジョンソン・ラーベック力による吸
着力が得られ、被固定物を高い吸着力でもって保持でき
ることが判る。 【0053】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、被固定
物を吸着保持する吸着面を、窒化アルミニウムを主相と
し、窒化チタンを10〜30容量%とセリウムを酸化物
換算で2〜10容量%含有し、Al、Ce、Oからなる
化合物を含む窒化アルミニウム質焼結体により形成して
静電チャックを構成したことにより、誘電体層が窒化ア
ルミニウムからなるものの、200℃以下の温度雰囲気
下においてジョンソン・ラーベック力による吸着力を発
現させ、高い吸着力でもって被固定物を保持することが
可能であるとともに、温度変化に対する誘電体層の抵抗
値の変化が小さいため、広範囲の温度領域をカバーする
ことができる静電チャックを提供することができる。 【0054】その為、例えば、本発明の静電チャックを
成膜処理工程に用いれば、被固定物上に均一な厚みをも
った薄膜を被覆することができ、露光処理工程やエッチ
ング処理工程に用いれば、被固定物に精度の良い露光や
加工を施すことができる。
図であり、(b)は(a)のX−X線断面図である。 【図2】(a)は本発明に係る他の静電チャックを示す
斜視図であり、(b)は(a)のY−Y線断面図であ
る。 【図3】各静電チャックの誘電体層を構成する窒化アル
ミニム質焼結体の体積固有抵抗値と温度との関係を示す
グラフである。 【図4】本発明に係る静電チャックの誘電体層を構成す
る窒化アルミニム質焼結体をX線回折により測定した結
果を示すグラフである。 【符号の説明】 1・・・静電チャック 2・・・セラミック基板 3・
・・誘電体層 4・・・静電吸着用電極 10・・・被固定物
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】被固定物を吸着保持する吸着面が、窒化ア
ルミニウムを主相とし、窒化チタンを10〜30容量%
とセリウムを酸化物換算で2〜10容量%含有し、A
l、Ce、Oからなる化合物を含む窒化アルミニウム質
焼結体からなることを特徴とする静電チャック。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31495396A JP3370532B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 静電チャック |
US08/978,067 US5958813A (en) | 1996-11-26 | 1997-11-25 | Semi-insulating aluminum nitride sintered body |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31495396A JP3370532B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 静電チャック |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10154746A JPH10154746A (ja) | 1998-06-09 |
JP3370532B2 true JP3370532B2 (ja) | 2003-01-27 |
Family
ID=18059657
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31495396A Expired - Fee Related JP3370532B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 静電チャック |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3370532B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4245125B2 (ja) | 2001-11-26 | 2009-03-25 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム質セラミックス、半導体製造用部材、耐蝕性部材および導電性部材 |
JP4243943B2 (ja) | 2002-04-22 | 2009-03-25 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム材料および半導体製造用部材 |
JP4386695B2 (ja) | 2002-11-14 | 2009-12-16 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 |
JP4424659B2 (ja) | 2003-02-28 | 2010-03-03 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム質材料および半導体製造装置用部材 |
-
1996
- 1996-11-26 JP JP31495396A patent/JP3370532B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10154746A (ja) | 1998-06-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3975944B2 (ja) | 半導体あるいは液晶製造装置用保持体およびそれを搭載した半導体あるいは液晶製造装置 | |
JP4482472B2 (ja) | 静電チャック及びその製造方法 | |
JP2005210077A (ja) | 静電チャック及びその製造方法並びにアルミナ焼結部材及びその製造方法 | |
JPH11168134A (ja) | 静電吸着装置およびその製造方法 | |
JPH11111828A (ja) | 静電吸着装置 | |
JPH11176920A (ja) | 静電吸着装置 | |
JP3176219B2 (ja) | 静電チャック | |
JP3663306B2 (ja) | 窒化アルミニウム質焼結体およびそれを用いた静電チャック | |
JP3370532B2 (ja) | 静電チャック | |
JP3447305B2 (ja) | 静電チャック | |
JP4023944B2 (ja) | 窒化アルミニウム焼結体の製造方法並びにプレートヒーター又は静電チャック | |
JPH09283606A (ja) | 静電チャック | |
JP4043219B2 (ja) | 静電チャック | |
JP2011222793A (ja) | 静電チャック | |
JP3426845B2 (ja) | 静電チャック | |
JPH10189698A (ja) | 静電チャック | |
JP3623107B2 (ja) | 静電チャック | |
JP4439102B2 (ja) | 静電チャック | |
JP3965468B2 (ja) | 静電チャック | |
JP2002324832A (ja) | 静電チャック | |
JP2007173592A (ja) | 静電チャック | |
JP2003338536A (ja) | 静電チャック | |
JP3588253B2 (ja) | 静電チャック | |
JP3623102B2 (ja) | 静電チャック | |
JP3899379B2 (ja) | 静電チャックおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071115 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081115 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091115 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101115 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101115 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111115 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111115 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121115 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |