JP4023944B2 - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法並びにプレートヒーター又は静電チャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相の窒化アルミニウム焼結体同士の接合体の製造方法並びにプレートヒーター又は静電チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造装置であるエッチャーやCVD装置等においては、半導体ウェーハを加熱するプレートヒーター、又は半導体ウェーハを加熱するサセプターや静電チャック等を熱伝導性や高温での剛性又は急速昇降温に対する耐熱衝撃性、耐プラズマ性等を高めるため、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相の窒化アルミニウム(AlN)焼結体によって形成することが行われている。
従来、上記プレートヒーターやサセプター、静電チャックを製作するための、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体からなる複雑な形状の部品を接合するAlN焼結体用接合剤としては、AlN焼結体の粒界成分と同一成分からなる粉末が知られている。
この接合剤は、ぺースト状又はシート状としてAlN焼結体の接合部間に介装し、AlN焼結体の焼成雰囲気と同様の雰囲気においてその焼結温度と同程度の焼成温度(1850℃以上)で熱処理し、AlN焼結体同士を接合するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のAlN焼結体用接合剤を用いたAlN焼結体の接合体では、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体同士の接合に際し、1850℃以上の温度で熱処理しなければならないので、AlN焼結体に反り等の変形を生じ、精密な形状の接合体とするには、接合後再度大幅に加工しなければならない不具合がある。
又、接合後に再度の加工を施したとしても、発熱回路を埋設したプレートヒーターでは、発熱回路から加熱面までの間隔が加熱面内で不均一になり、加熱時の温度むらを生ずる一方、電極又はそれと発熱回路を埋設した静電チャックでは、電極又はそれと発熱回路から吸着面までの間隔が吸着面内で不均一になり、吸着時の静電吸着力又はそれと温度のむらを生ずる不具合がある。
そこで、本発明は、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体同士の接合体に変形が生じないAlN焼結体の接合体の製造方法並びにプレートヒーター又は静電チャックを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明のAlN焼結体の接合体の製造方法は、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体の接合体の製造方法であって、AlN焼結体同士の接合部間に、粒径0.1〜10μmであるAlN粉末100重量部、粒径0.1〜50μmであるY化合物粉末をY2O3換算で0.5〜30重量部、及び粒径0.1〜50μmであるLi化合物粉末をLi2O換算で上記Y2O3換算量に対し外率で0.1〜50wt%の混合粉末からなるAlN焼結体用接合剤をペースト状として介装し、不活性ガス又は真空雰囲気において1550℃以上1850℃未満の温度で熱処理することを特徴とする。
又、プレートヒーター又は静電チャックは、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相の窒化アルミニウム焼結体同士の接合部間に、一方の焼結体の接合面に塗布されたペーストにより形成された発熱回路又は電極が介装されていると共に、前記接合面の残余部分と他方の焼結体の接合面との間に、粒径0.1〜10μmである窒化アルミニウム粉末100重量部、粒径0.1〜50μmであるY化合物粉末をY2O3換算で0.5〜30重量部、及び粒径0.1〜50μmであるLi化合物粉末をLi2換算で上記Y2O3換算量に対して外率で0.1〜50wt%の混合粉末からなるペースト状とした窒化アルミニウム焼結体用接合剤による接合剤層が形成されていることを特徴とする。
【0005】
AlN焼結体用接合剤は、その使用時にLi化合物が、先ず、Y又はアルミニウム(Al)と複合酸化物を作り、その複合酸化物から酸化イットリウムアルミニウム相(ほとんどYAG(Y3Al5O12)だが、YAM(2Y2O3・Al2O3又はY4Al2O9)、YAP(Y2O3・Al2O3又はYAlO3)等を含む。)を生成し、その融点を低下させる。
又、Li化合物は、高温で高い蒸気圧を有するため、酸化イットリウムアルミニウム相生成後、接合部分から蒸発し、接合体中に残留しない。
このため、AlN焼結体同士が1850℃未満の温度で従来と同等の純度と接合強度で接合され、又、両AlN焼結体に変形を生じない。
【0006】
粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体は、例えばAlN粉末にY化合物粉末、適量の有機バインダー(PVB)及び有機溶媒(メタノール)を添加してボールミル中で混合し、得られたスラリーをスプレードライヤーを用いて造粒した後、造粒粉を成形して成形体を得(例えば一軸金型成形し、更に静水圧プレスで加圧して成形体を得ることができる)、しかる後に、成形体を空気中又は非酸化性雰囲気において脱脂し(例えば400℃以上の温度で行うことができる)、非酸化性雰囲気(不活性ガス又は真空雰囲気)において1800〜2000℃以上の温度(好ましくは1850〜1900℃)で焼成して得られるものである。
又、AlN焼結体は、少なくとも接合面に研削加工を施し、表面粗さをRa=0.2〜1.0μm、Rmax=2〜8μmとしておくことが好ましい。上記範囲とすることにより、接合剤とAlN焼結体の密着性が向上する。
Y化合物粉末は、AlN粉末100重量部に対し、Y2O3換算で0.5〜20重量部添加することが好ましい。Y化合物粉末の添加量がAlN粉末100重量部に対し、Y2O3換算で0.5重量部未満であると、液相成分が不足し緻密な焼結体を得難い。一方、20重量部を越えると、未反応の焼結助剤が残存するおそれがある。
Y化合物としては、後述する接合剤に用いられるものと同様のものを用いることができる。
又、前述したように接合剤に含まれるLi化合物は蒸発し、接合体中に残留しないため(残留したとしても数ppmに抑えられる)、AlN焼結体に含まれるLi量を低減することにより、得られる接合体のLi含有量を10ppm以下に抑えることができる。
【0007】
Y化合物としては、Y2O3、フッ化イットリウム(YF)、YAG又はY2O3とアルミナ(Al2O3)をYAGとなる配合比で混合した混合物が用いられる。
Y2O3換算でY化合物粉末の添加量が、0.5重量部未満であると、液相成分が不足して接合できない。一方、30重量部を超えると、接合できない。
好ましい添加量は、1〜10重量部である。
Y化合物粉末の粒径は、接合剤をペースト状として使用する場合、0.1〜50μmとすることによって、分散性が向上する。
又、粒径が0.1μm未満であると、ペーストの粘性が上がり易く、ペースト化が困難となる。一方、50μmを超えると、ペースト中で粉末が沈降し易くなり分散性が低下し、又、後述するスクリーン印刷により接合剤を接合部間に介装させる場合には、使用するスクリーンのメッシュが限定される等の不具合も生じる。
より好ましい粒径は、0.1〜10μmである。
【0008】
Li化合物としては、Li2O、炭酸リチウム(Li2CO3)、フッ化リチウム(LiF)、硝酸リチウム(LiNO3)、水酸化リチウム(LiOH)、塩化リチウム(LiCl)、酢酸リチウム(LiCH3COO)、Yとの複合酸化物及びAlとの複合酸化物の1種以上が用いられる。
Li2O換算でLi化合物粉末の添加量が、前述したY2O3換算量の0.1wt%未満であると、1850℃未満の温度での接合ができない。一方、100wt%を超えると、接合できない。
好ましい添加量は、5〜50wt%である。
Li化合物粉末の粒径は、接合剤をペースト状として使用する場合、0.1〜50μmとすることによって、分散性が向上する。
又、粒径が0.1μm未満であると、ペーストの粘性が上がり易く、ペースト化が困難となる。一方、50μmを超えると、ペースト中で粉末が沈降し易くなり分散性が低下し、又、後述するスクリーン印刷により接合剤を接合部間に介装させる場合には、使用するスクリーンのメッシュが限定される等の不具合も生じる。
より好ましい粒径は、0.1〜10μmである。
又、LiClやLiNO3、LiOH、LiCH3COO等は、エタノールやアセトン等の有機溶媒に溶解するので、それらの有機溶剤可溶性Li化合物が有機溶媒に溶解した溶液と、Y化合物粉末及びAlN粉末とを混合し、溶媒を除去後、不活性ガス又は真空雰囲気において400〜800℃の温度(800℃を超えるとLiが揮発し、低温接合が困難となるおそれがある。)で仮焼すると、それらが均一に混合した仮焼粉が得られる。仮焼粉は、通常、粉砕して使用される(好ましくは400メッシュ以下に粉砕する)。
LiCl、LiNO3は有機溶媒に対する溶解度が高くこの方法に適しており、特にLiClは潮解性を有し粉末の取り扱いが困難であるためこの方法が有効である。
【0009】
AlN粉末が、0.1〜10μmの粒径であることによって、Y化合物粉末、Li化合物粉末の粒径や接合部間への接合剤の介在方法のいかんにかかわらず、低温での接合強度が向上する。
又、AlN粉末の粒径が、0.1μm未満であると、接合剤をペースト状として使用する場合、ペーストの粘性が上がり易く、ペースト化が困難となる。一方、10μmを超えると、緻密な接合剤層の形成が困難となり、接合強度が低下するおそれがある。
より好ましい粒径は、0.4〜2.9μmである。
【0010】
接合剤をペースト状とするには、混合粉末をペースト用有機溶剤(例えばブチルカルビトール、アクリル樹脂及びフタル酸ジブチルの混合物)に分散させる。
AlN焼結体同士の接合部間へのペースト状とした接合剤の介装は、印刷、刷毛塗り、エアースプレー等の吹き付けによる塗布によって行われる。
AlN焼結体同士の接合部間への介装は、単なる接合ではどの方法でもよいが、プレートヒーター、静電チャックの場合には、発熱回路、電極と逆のパターンの形成や接合剤層の厚さの制御(発熱回路等の間に接合剤を介装する場合、それらと逆のパターンを形成することとなる。又、接合剤層の厚さは、それらと同等の厚みとする必要がある。)が容易なペースト状とした接合剤の印刷によるのが望ましい。
なお、接合剤の塗布による介装の場合、2つのAlN焼結体の少なくとも一方の接合面にすればよい。
【0011】
不活性ガス雰囲気としては、アルゴン(Ar)ガス雰囲気や窒素ガス(N2)雰囲気が用いられ、又、真空雰囲気としては、例えば10-1〜10-3Torrの真空雰囲気が用いられる。
Li化合物の蒸発除去効果を上げるため、又、接合剤とAlN焼結体との密着性を上げるため、真空雰囲気であることが好ましい。
【0012】
熱処理温度が、1550℃未満であると、接合が行われない。一方、1850℃以上であると、AlN焼結体の変形が大きくなり、特に真空雰囲気の場合、AlN焼結体の粒界成分の移動、蒸発を生じて所定形状の保持が困難となる。
AlN焼結体の変形量は、その大きさや厚みによって異なるため一概にいえないが、例えば直径150mm、厚み5mm、平面度10μmのAlN焼結体を1850℃以上の熱処理温度で接合した場合、接合後の平面度が30倍の300μmになってしまう。これに対し、熱処理温度を1600℃とし他を同一条件で接合した後の平面度は30μm以下である。
よって、熱処理温度は、1550℃以上1850℃未満とし、好ましくは、1650〜1750℃とする。
この熱処理により、接合剤は焼結し、接合部間にAlNと酸化イットリウムアルミニウムを主成分とする接合剤層を形成してAlN焼結体と接合する。その結果、AlN焼結体同士が強固に接合される。
【0013】
なお、接合剤とAlN焼結体との密着性を高めるため、AlN焼結体に荷重をかけることが望ましい。
又、接合に要する熱処理時間は、接合剤とAlN焼結体が十分接合し、かつ、Li化合物を十分除去し得ればよく、通常、1〜10時間でよく、好ましくは1〜5時間である。
【0014】
粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体からなるプレートの少なくとも接合面には、研削加工を施し、平面度を10μm以下としておくことが望ましい。
又、プレートの接合面は、表面粗さをRa=0.2〜1.0μm、Rmax=2〜8μmとしておくことが好ましい。電極用ペーストや発熱回路用ペーストを塗布する場合には、Ra<0.2μm、Rmax<2μmの場合には、電極や発熱回路の剥離が生じるおそれがある一方、Ra>1.0μm、Rmax>8μmの場合には、電極や発熱回路の形成に不具合を生じる。また、電極用ペーストや発熱回路用ペーストを塗布しない場合でも上記範囲とすることにより接合剤との密着性が向上する。
【0015】
発熱回路用ペースト及び電極用ペーストは、それぞれ導電性粉末にペースト用有機溶剤(例えばブチルカルビトール、アクリル樹脂及びフタル酸ジブチルの混合物)を添加して調製され、200〜500ポイズの粘度が好ましい。
又、ペースト状とした接合剤の粘度も200〜500ポイズが好ましい。
粘度が、200ポイズ未満であると、塗布物がだれる(形を保てない)。一方、500ポイズを超えると、塗布が良好に行われず、スクリーン印刷の場合、スクリーンにペーストが残留し、転写が行われない。
導電性粉末としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、白金(Pt)等の金属粉末若しくはそれらの混合物又は導電性セラミックスを用いることができるが、AlNと熱膨張率が最も近いWが発熱回路、電極の剥離防止の観点から好ましい。
又、WにMo、ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)の1種以上を添加すると、低温接合においてAlN焼結体との密着性を向上でき、好ましい。
ペースト用有機溶剤の除去は用いたペースト用有機溶剤の特性に合わせて行えばよく、例えば、ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物を用いた場合では、十分除去できる温度(例えば400℃以上)で不活性ガス雰囲気中(窒素、アルゴン等)で脱脂を行えばよい。
ペースト状とした接合剤、発熱回路用ペースト、電極用ペーストは均一な厚さとなるよう塗布する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的な実施例及び比較例を参照して説明する。
実施例1〜45、比較例1〜13
AlN焼結体を接合するため、先ず、AlN粉末100重量部、Y2O3粉末1重量部、バインダーとしてPVB3重量部及び有機溶媒として適量のメタノールをボールミルで17時間混合し、得られたスラリーをスプレードライヤーを用いて造粒した後、造粒粉を30MPaの圧力で一軸金型成形し、更に100MPaの圧力で冷間静水圧プレスして成形体を得、しかる後、成形体を空気中において600℃の温度で脱脂し、窒素ガス雰囲気において1900℃の温度で焼成して直径150mm、厚み5mmの円板状の2枚のAlN焼結体を得、両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
一方、粒径0.4〜2.9μmのAlN粉末100重量部に対し、粒径0.1〜10μmのY化合物粉末と粒径0.1〜10μmのLi化合物粉末をそれぞれ表1〜表4に示す割合(Li化合物粉末は、Li2O換算でY化合物粉末のY2O3換算量に対し外率のwt%で表示する。)で添加した混合粉末をイソプロピルアルコールに分散(混合粉末:イソプロピルアルコール=1:1(重量比))させて溶液とした接合剤を調製した。
なお、実施例38〜40の混合粉末は、エタノールにLiNO3粉末を溶解させた溶液に、Y2O3粉末とAlN粉末を混合し、溶媒を除去した後、窒素ガス雰囲気において600℃の温度で仮焼して得られた仮焼粉を粉砕し、400メッシュ以下に分粒して得た。
又、比較例1,2の接合剤は、YAG粉末のみからなり、同様にイソプロピルアルコールに分散させて調製した。
次に、1枚のAlN焼結体の接合面に接合剤が分散した溶液をエアースプレーによる吹き付けにより後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布し、その上にもう1枚のAlN焼結体を重ね、乾燥後、6g/cm2に調整した荷重をかけ、それぞれ表1〜表4に示す温度、保持時間及び雰囲気(真空雰囲気は10-2Torr)で熱処理を施したところ、AlN焼結体の接合体の接合状態(表中、「良好」は、接合したという意味である。)、平面度(JIS B0621−1984)及び4点曲げ強度は、それぞれ表1〜表4に示すようになった。
又、接合後のLi残量を調べるため、実施例13、実施例28及び比較例1と同一条件で、縦40mm、横40mm、厚み5mmのAlN焼結体を100μmの厚みの接合剤層を介在して接合したサンプルをそれぞれ作製し、化学分析(ICP)によって測定したところ、比較例1と同一条件で作製したもののLi量は1ppm(このことからAlN焼結体には、もともと1ppm位のLiを含有していることがわかる。)、実施例13と同一条件で作製したものは、1.5ppm、実施例28と同一条件で作製したものは3ppmであった。
したがって、接合剤にLi化合物を添加しても、接合体にはほとんどLiが残存しないことがわかる。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
実施例46
図1は本発明に係るAIN焼結体の接合体の製造方法の実施の形態の一例によって得たプレートヒーターの要部の概念図である。
プレートヒーターは、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体からなる2枚のプレート(直径150mm、厚み1mmのカバープレート1と直径150mm、厚さ5mmのベースプレート2)が、Wからなる発熱回路3を介在して接合剤層4によって接合されると共に、発熱回路3の周辺に隙間を生じるのを防止するため、その周辺にもそれと同等の厚みで接合剤層4が形成されている。
プレートヒーターを製造するため、先ず、実施例1〜45、比較例1〜13と同様にして得た直径150mm、厚み5mmの円板状のAlN焼結体をベース用プレートとし、又、直径150mm、厚み2mmの円板状のAlN焼結体をカバー用プレートとし、同様に両プレートの接合面(一方の面)のみならず、他方の面も、すなわち両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
次に、発熱回路用ペーストとしてのWペーストをW粉末にペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製し、このWペーストをカバー用プレートの接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように発熱回路パターンで塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同等の厚みで発熱回路パターンと逆パターンで塗布して乾燥した。
一方、ベース用プレートの接合面に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
次いで、所定の端子等を取り付け、両プレートを接合面同士が当接するように積層し、窒素ガス(N2)雰囲気において450℃の温度で1時間かけて脱脂し、実施例2と同一条件で熱処理して両プレートを接合した後、カバー用プレートに研削加工を施してその厚みを1mmとしてプレートヒーターを得た。
プレートヒーターの加熱面1aの平面度は、接合後で31μm、研削加工後で10μm以下であり、又、加熱面1aと発熱回路3との間隔は、1mm±10μmであり、プレートヒーターの面内温度分布は、600℃で±1℃であった。
【0022】
比較例14
プレートヒーターを製造するため、先ず、実施例1〜45、比較例1〜13と同様にして得た直径150mm、厚み5mmの円板状のAlN焼結体をベース用プレートとし、又、直径150mm、厚み4mmの円板状のAlN焼結体をカバー用プレートとし、同様に両プレートの両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
次に、発熱回路用ペーストとしてのWペーストをW粉末に実施例46と同様のペースト用有機溶剤を用いて300ポイズの粘度に調製し、このWペーストをカバー用プレートの接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように発熱回路パターンで塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同様の厚みで発熱回路パターンと逆のパターンで塗布して乾燥した。
一方、ベース用プレートの接合面に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
次いで、所定の端子等を取り付け、両プレートを接合面同士が当接するように積層し、N2雰囲気において450℃の温度で1時間かけて脱脂し、比較例1と同一条件で熱処理して両プレートを接合した後、カバー用プレートに研削加工を施してその厚みを1mmとしてプレートヒーターを得た。
プレートヒーターの加熱面の平面度は、接合後で301μm、研削加工後で10μm以下であり、又、加熱面と発熱回路との間隔は、1mm±160μmであり、プレートヒーターの面内温度分布は、600℃で±30℃であった。
【0023】
実施例47
図2は本発明に係るAlN焼結体の接合体の製造方法の実施の形態の他の例によって得た静電チャックの要部の概念図である。
静電チャックは、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体からなる2枚のプレート(直径150mm、厚み300μmの誘電層プレート5と直径150mm、厚さ5mmのベースプレート6)が、Wからなる電極7を介在して接合剤層8によって接合されると共に、電極7の周辺に隙間を生じるのを防止するため、その周辺にもそれと同等の厚みで接合剤層8が形成されている。
静電チャックを製造するため、先ず、実施例1〜45、比較例1〜13と同様にして得た直径150mm、厚み5mmの円板状のAlN焼結体をベース用プレートとし、又、直径150mm、厚み2mmの円板状のAlN焼結体を誘電層用プレートとし、同様に両プレートの両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
次に、電極用ペーストとしてのWペーストをW粉末に実施例46と同様のペースト用有機溶剤を用いて300ポイズの粘度に調製し、このWペーストを誘電層用プレートの接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように電極パターン(単極型)で塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同等の厚みで電極パターンと逆のパターンで塗布して乾燥した。
一方、ベース用プレートの接合面に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
次いで、所定の端子等を取り付け、両プレートを接合面同士が当接するように積層し、N2雰囲気において450℃の温度で1時間かけて脱脂し、実施例2と同一条件で熱処理して両プレートを接合した後、誘電層用プレートに研削加工を施してその厚みを300μmとして静電チャックを得た。
静電チャックの吸着面5aの平面度は、接合後で30μm、研削加工後で10μm以下であり、又、誘電層厚み(吸着面と電極との間隔)は、300μm±13μmであり、更に、吸着面5aにおける吸着力の最大値と最小値の差は、印加電圧2KVで4.9g/cm2であった。
【0024】
比較例15
静電チャックを製造するため、先ず、実施例1〜45、比較例1〜13と同様にして得た直径150mm、厚み5mmの円板状のAlN焼結体をベース用プレートとし、又、直径150mm、厚み4mmの円板状のAlN焼結体を誘電層プレートとし、同様に両プレートの両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
次に、電極用ペーストとしてWペーストをW粉末に実施例46と同様のペースト用有機溶剤を用いて300ポイズの粘度に調製し、このWペーストを誘電層用プレートの接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように電極パターン(単極型)で塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同等の厚みで電極パターンと逆のパターンで塗布して乾燥した。
一方、ベース用プレートの接合面に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
次いで、所定の端子等を取り付け、両プレートを接合面同士が当接するように積層し、N2雰囲気において450℃の温度で1時間かけて脱脂し、比較例1と同一条件で熱処理して両プレートを接合した後、誘電層用プレートに研削加工を施してその厚みを300μmとして静電チャックを得た。
静電チャックの吸着面の平面度は、接合後で310μm、研削加工後で10μm以下であり、又、誘電層厚みは300μm±160μmであり、更に、吸着面における吸着力の最大値と最小値の差は、印加電圧2KVで70g/cm2であった。
【0025】
実施例48
図3は本発明に係るAlN焼結体の接合体の製造方法の実施の形態の更に他の例によって得た静電チャックの要部の概念図である。
静電チャックはヒーター内蔵のもので、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体からなる3枚のプレート(直径150mm、厚み300μmの誘電層プレート9、直径150mm、厚さ2mmの中間層プレート10、直径150mm、厚み5mmのベースプレート11)が、誘電層プレート9と中間層プレート10がWからなる電極12を介在して接合剤層13によって接合されると共に、電極12の周辺に隙間を生じるのを防止するため、その周辺にもそれと同等の厚みで接合剤層13が形成され、又、中間層プレート10とベースプレート11がWからなる発熱回路14を介在して接合剤層15によって接合されると共に、発熱回路14の周辺に隙間が生じるのを防止するため、その周辺にもそれと同等の厚みで接合剤層15が形成されている。
ヒーター内蔵の静電チャックを製造するため、先ず、実施例1〜45、比較例1〜13と同様にして得た直径150mm、厚み5mmの円板状のAlN焼結体をベース用プレートとし、又、直径150mm、厚み2mmの円板状の2枚のAlN焼結体をそれぞれ中間層用プレート、誘電層用プレートとし、同様に各プレートの両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
次に、電極用ペースト及び発熱回路用ペーストとしてのWペーストをW粉末に実施例46と同様のペースト用有機溶剤を用いて300ポイズの粘度に調製した。
そして、Wペーストを誘電層用プレートの接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように電極パターン(単極型)で塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同等の厚みで電極パターンと逆のパターンで塗布して乾燥した。
又、Wペーストを中間層用プレートの一方の接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように発熱回路パターンで塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同等の厚みで発熱回路パターンと逆のパターンで塗布して乾燥する一方、他方の接合面に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
更に、ベース用プレートの接合面に実施例2と同一の混合粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
次いで、所定の端子等を取り付け、各プレートを誘電層用プレートの接合面と中間層用プレートの他方の接合面同士、及び中間層用プレートの一方の接合面とベース用プレートの接合面同士が当接するように積層し(各プレートをベース用プレートと中間層用プレートとの間に発熱回路が、中間層用プレートと誘電層用プレートとの間に電極が形成される順序に接合面同士が当接するように積層し)、N2雰囲気において450℃の温度で1時間かけて脱脂し、実施例2と同一条件で熱処理して各プレートを接合した後、誘電層用プレートに研削加工を施してその厚みを300μmとしてヒーター内蔵の静電チャックを得た。
ヒーター内蔵の静電チャックの吸着面9aの平面度は、接合後で49μm、研削加工後で10μm以下であり、又、誘電層厚み(吸着面と電極との間隔)は、300μm±15μm、更に、吸着面9aと発熱回路14との間隔は、2.3mm±17μmであり、更に又、吸着面9aにおける吸着力の最大値と最小値の差は、印加電圧2KVで4.9g/cm2であり、又、面内温度分布は、600℃で±1℃であった。
【0026】
比較例16
ヒーター内蔵の静電チャックを製造するため、先ず、実施例1〜45、比較例1〜13と同様にして得た直径150mm、厚み5mmの円板状のAlN焼結体をベース用プレートとし、又、直径150mm、厚み2mmの円板状のAlN焼結体を中間層用プレートとし、更に、直径150mm、厚み4mmの円板状のAlN焼結体を誘電層用プレートとし、同様に各プレートの両面を研削加工し、Ra=0.65μm、Rmax=5.25μm、平面度10μmとした。
次に、電極用ペースト及び発熱回路用ペーストとしてのWペーストをW粉末に実施例46と同様のペースト用有機溶剤を用いて300ポイズの粘度に調製した。
そして、Wペーストを誘電層用プレートの接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理の厚みが20μmとなるように電極用パターン(単極型)で塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同様の厚みで電極パターンと逆のパターンで塗布して乾燥した。
又、Wペーストを中間層用ペーストの一方の接合面にスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが20μmとなるように発熱回路パターンで塗布して乾燥し、かつ、その接合面の残余部分に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷によりWペーストと同等の厚みで発熱回路パターンと逆のパターンで塗布して乾燥する一方、他方の接合面に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
更に、ベース用プレートの接合面に比較例1と同一の粉末からなる接合剤をペースト用有機溶剤(ブチルカルビトール、アクリル樹脂、フタル酸ジブチルの混合物)を用いて300ポイズの粘度に調製したペースト状の接合剤をスクリーン印刷により後述する熱処理後の厚みが100μmとなるように塗布して乾燥した。
次いで、所定の端子等を取り付け、各プレートを誘電層用プレートの接合面と中間層用プレートの他方の接合面同士、及び中間層用プレートの一方の接合面とベース用プレートの接合面同士が当接するように積層し、N2雰囲気において450℃の温度で1時間かけて脱脂し、比較例1と同一条件で熱処理して各プレートを接合した後、誘電層用プレートに研削加工を施してその厚みを300μmとしてヒーター内蔵の静電チャックを得た。
ヒーター内蔵の静電チャックの吸着面の平面度は、接合後で519μm、研削加工後で10μm以下であり、又、誘電層厚みは、300μm±197μm、更に、吸着面と発熱回路との間隔は、2.3mm±397μmであり、更に又、吸着面における吸着力の最大値と最小値の差は、印加電圧2KVで70g/cm2であり、又、面内温度分布は600℃で±35℃であった。
ここで、上述した誘電層厚み、発熱回路と加熱面、吸着面との間隔は渦電流式膜厚計により、面内温度分布は赤外線画像装置により測定した。
【0027】
なお、前述した実施例46ではカバー用プレートに発熱回路を形成したが、ベース用プレートに形成してもよく、又、カバー用プレートの一方の面又はベース用プレートの一方の面のいずれかに発熱回路を形成し、その面の残余部分に接合剤を塗布して乾燥した後、それらの上に接合剤を塗布して、その一方の面と残る接合剤が塗布されていない一方の面同士が当接するように積層して接合を行ってもよい。
又、前述した実施例47では誘電層用プレートに電極を形成したが、ベース用プレートに形成してもよく、又、誘電層用プレートの一方の面又はベース用プレートの一方の面のいずれかに電極を形成し、その面の残余部分に接合剤を塗布して乾燥した後、それらの上に接合剤を塗布して、その一方の面と残る接合剤が塗布されていない一方の面同士が当接するように積層して接合を行ってもよい。
更に、前述した実施例48では誘電層用プレートに電極を、中間層用プレートに発熱回路を形成したが、中間層用プレートに電極を、ベース用プレートに発熱回路を形成してもよく、又、誘電層用プレートの一方の面又は中間層用プレートの他方の面のいずれかに電極を形成し、その面の残余部分に接合剤を塗布して乾燥した後、それらの上に接合剤を塗布する一方、中間層用プレートの一方の面又はベース用プレートの一方の面のいずれかに発熱回路を形成し、その面の残余部分に接合剤を塗布して乾燥した後、それらの上に接合剤を塗布し、しかる後に、各プレートを誘電層用プレートの一方の面と中間層用プレートの他方の面同士、及び中間層用プレートの一方の面とベース用プレートの一方の面同士が当接するように積層して接合を行ってもよい。
要するに各プレートをベース用プレートと中間層用プレートとの間に発熱回路が、中間層用プレートと誘電層用プレートとの間に電極が形成される順序に接合面同士が当接するように積層すればよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプレートヒーター又は静電チャックによれば、粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相のAlN焼結体同士の接合に際し、AlN焼結体用接合剤のLi化合物が、先ず、Y又はAlと複合酸化物を作り、その複合酸化物から酸化イットリウムアルミニウム相を生成し、その融点を下げ、Li化合物は、高温で高い蒸気圧を有するため、酸化イットリウムアルミニウム相生成後、接合部分から蒸発し、接合体中に残留しないので、AlN焼結体同士を1850℃未満の温度で従来と同等の純度と接合強度で接合することができ、両AlN焼結体に変形を生じることがない。
【0029】
AlN焼結体の接合体の製造方法によれば、1850℃未満の温度での熱処理で従来と同等の純度と接合強度で接合でき、かつ、各AlN焼結体に変形を生じないので、所望の形状の接合体とするため、接合後の再加工が不要とすることができ、若しくは再加工とするとしても、加工量を少なくすることができる。
【0030】
又、プレートヒーター又は静電チャック並びにAlN焼結体の接合体の製造方法のいずれにおいても、AlN焼結体用接合剤が、ペースト状であるので、AlN焼結体間に電極や発熱回路を接合剤と一緒に介在させる場合、電極等の周囲に空隙を生じたり、電極等の形状に合わせた接合剤の形状としたりする必要がなく、電極や発熱回路の設計変更に容易に対応することができると共に、製品精度、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るAlN焼結体の接合体の製造方法の実施の形態の一例によって得たプレートヒーターの要部の概念図である。
【図2】 本発明に係るAlN焼結体の接合体の製造方法の実施の形態の他の例によって得た静電チャックの要部の概念図である。
【図3】 本発明に係るAlN焼結体の接合体の製造方法の実施の形態の更に他の例によって得た静電チャックの要部の概念図である。
【符号の説明】
1 カバープレート
1a 加熱面
2 ベースプレート
3 発熱回路
4 接合剤層
5 誘電層プレート
5a 吸着面
6 ベースプレート
7 電極
8 接合剤層
9 誘電層プレート
9a 吸着面
10 中間層プレート
11 ベースプレート
12 電極
13 接合剤層
14 発熱回路
15 接合剤層
Claims (3)
- 粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相の窒化アルミニウム焼結体の接合体の製造方法であって、窒化アルミニウム焼結体同士の接合部間に、粒径0.1〜10μmである窒化アルミニウム粉末100重量部、粒径0.1〜50μmであるイットリウム化合物粉末をイットリア換算で0.5〜30重量部、及び粒径0.1〜50μmであるリチウム化合物粉末を酸化リチウム換算で上記イットリア換算量に対して外率で0.1〜50wt%の混合粉末からなる窒化アルミニウム焼結体用接合剤をペースト状として介装し、不活性ガス又は真空雰囲気において1550℃以上1850℃未満の温度で熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の接合体の製造方法。
- 粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相の窒化アルミニウム焼結体同士の接合部間に、一方の焼結体の接合面に塗布されたペーストにより形成された発熱回路が介装されていると共に、前記接合面の残余部分と他方の焼結体の接合面との間に、粒径0.1〜10μmである窒化アルミニウム粉末100重量部、粒径0.1〜50μmであるイットリウム化合物粉末をイットリア換算で0.5〜30重量部、及び粒径0.1〜50μmであるリチウム化合物粉末を酸化リチウム換算で上記イットリア換算量に対して外率で0.1〜50wt%の混合粉末からなるペースト状とした窒化アルミニウム焼結体用接合剤による接合剤層が形成されていることを特徴とするプレートヒーター。
- 粒界成分が酸化イットリウムアルミニウム相の窒化アルミニウム焼結体同士の接合部間に、一方の焼結体の接合面に塗布されたペーストにより形成された電極、又は、発熱回路と電極が介装されていると共に、前記接合面の残余部分と他方の焼結体の接合面との間に、粒径0.1〜10μmである窒化アルミニウム粉末100重量部、粒径0.1〜50μmであるイットリウム化合物粉末をイットリア換算で0.5〜30重量部、及び粒径0.1〜50μmであるリチウム化合物粉末を酸化リチウム換算で上記イットリア換算量に対して外率で0.1〜50wt%の混合粉末からなるペースト状とした窒化アルミニウム焼結体用接合剤による接合剤層が形成されていることを特徴とする静電チャック。
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