JP4803872B2 - 接合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接合体及びその製造方法に関し、特に、温度変化による低膨張性が要求される精密機器用部材等に適し、複雑形状の構造部材として好適に用いられる接合体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コージェライト質焼結体は熱膨張率が小さく、軽量であるため、精密な加工プロセス又は製造プロセスにおいて用いられている。例えば、特公平6−97675号公報には、精密加工装置への応用が記されている。また、一方では、種々の形状への適用に当たり、複雑形状の部材を作製する上で、セラミックス同士を接合することが求められている。
【0003】
一方、コージェライト質焼結体の接合は、従来からコージェライトにガラス成分を加えたものが接着剤として接合部に用いられていた。例えば、特開平2000−72559号公報では、粒径10〜50μmのコージェライト25重量部以上と、粒径0.1〜1μmのシリカ粉末6〜17重量部と、残部が75μm未満で大部分がコージェライト質粒子である粉末からなる混合物100重量部に対してシリカゾルをシリカ成分に換算して4〜10重量部混合した接合用組成物を用いている。そして、1000℃で固化し、接合体を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成形体を焼成して製品を形成する特公平6−97675号公報に記載の精密加工装置用部材は、全体が一体として形成されるため強度が高い利点があるものの、部材が複雑形状である場合、単純形状の成形体を加工して目的の形状を得る必要があり、その結果、加工粉として廃棄される量が多く、原料費が高騰し、また産業廃棄物が増加するという問題があった。
【0005】
また、コージェライトの接合方法においては、特開平2000−72559号公報に記載の方法は、被接合体と接合部との熱膨張率に起因する残留応力を低減するためにコージェライトを主体とする接合用組成物を用いているものの、接合強度はガラス成分の接着力に依存するため、十分な接合強度が得られないという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、低コストで実用に耐えうる強度を有するコージェライト質焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コージェライト質焼結体同士の接合に関し、接合部の組成を特定して加熱処理を行うことにより液相を介して物質を移動せしめ、接合強度を高めることができるという知見に基づくものであり、その結果、コージェライト質焼結体からなる製品のコスト削減が図れる。
【0008】
すなわち、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含むコージェライト質焼結体からなる複数の部材を、コージェライトを含む接合部を介して一体化せしめてなる接合体において、前記接合部が周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含むとともに、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素は、前記接合部の全量中における含有量が、前記部材の全量中における含有量に対して酸化物換算で.4〜3倍であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、接合部に周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素が存在し、加熱処理中に液相を形成するため、前記周期律表第3族元素の少なくとも1種が、実質的にコージェライト質焼結体に拡散し、密着強度の高い接合部を形成できる。
【0010】
また、前記接合部がコージェライトを含むことにより、周期律表第3族元素の拡散による接合強度向上に加えて、前記液相によりコージェライト粒子同士の焼結が助長され、接合強度の高い接合体を得ることができる。
【0011】
また、前記接合部に含まれる周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素が、前記部材に含まれるとともに、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素の接合部全量中における前記元素の含有量が、前記部材全量中における前記元素の含有量に対して酸化物換算で.4〜3倍であることにより、接合部から、コージェライト質焼結体からなる部材内部に対し、前記周期律表第3族元素が拡散して接合強度をより高くすることができる。
【0012】
さらに、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素の少なくとも一部が酸化物結晶として存在することが好ましい。前記周期律表第3族元素は、コージェライト質焼結体からなる複数の部材の粒界に拡散するため、結晶化することにより接合強度をさらに高めることが可能である。
【0013】
さらにまた、前記部材中に、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種が、酸化物換算で1〜20重量%含まれることが好ましい。これにより、緻密で接合強度の高い接合体が得られる。
【0014】
さらにまた、前記接合部が、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種を1〜20重量%、コージェライトを80〜99重量%含有することが好ましい。これにより、コージェライト質焼結体と接合部との熱膨張率差を小さくすることができると共に、部材間又は部材と接合部間においてコージェライト粒子の焼結も進行し、その結果、残留応力が低下し、接合の信頼性を高めることができる。
【0015】
なお、接合部の厚みが100μm以下であることが好ましく、接合部のコージェライト結晶の平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。接合部の厚みや接合部のコージェライトの平均粒子径は、接合強度を高める効果があり、上記の範囲に設定することによって、接合強度をさらに高めることができる。
【0016】
また、本発明の接合体の製造方法は、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物とコージェライト粉末とを含む接合用粉末に対して、有機バインダを加えて調製したペーストを、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含むコージェライト質焼結体からなる複数の部材の接合面のうち、少なくとも一方の表面に塗布した後、前記部材の接合面同士を接触させ、1100〜1500℃の温度で熱処理することを特徴とするもので、これにより、低コストで接合強度の高いコージェライト接合体を製造することができるとともに、複雑形状にも対応できる。
【0017】
特に、前記接合用粉末における前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化の含有量が1〜20重量%、前記コージェライト粉末の含有量が80〜99重量%であることが好ましく、これによって残留応力の小さな接合体を得ることができる。
【0018】
また、前記熱処理において、接合面の少なくとも一部に0.1MPa以上の圧力を加えたことが好ましい。これにより、さらなる接合部の緻密化を実現できる。
【0019】
さらに、周期律表第3族元素からなる酸化物粉末の平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。これにより、緻密な接合部が得られ、高い接合強度が得られる。
【0020】
さらにまた、前記コージェライト質焼結体の接合面の表面粗さが、接合用粉末の平均粒子径以下の値であることが好ましい。これにより、接合部に充填された粉末が接合面に余すところ無く充填され、加熱処理により接合部が緻密化されやすくなる。
【0021】
したがって、本発明では、製品コストを削減し、実用に供する接合強度を有する接合体およびその製造方法を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の接合体は、コージェライト質焼結体からなる複数の部材の接合部に周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種を含むことが重要である。この元素は、コージェライトの粒界相として周期律表第3族元素及び/又はその化合物が両部材中に拡散し、強固な結合相を形成し、高い接合強度を実現する。
【0023】
なお、複数の部材とは、いずれもコージェライト焼結体からなり、2個以上の部材を意味し、特に制限はない。
【0024】
また、コージェライト質焼結体とは、焼結体中の50重量%以上がコージェライトであるものであれば差し支えないが、特に80重量%以上、さらには90重量%以上がコージェライト結晶であることが、耐熱性や低熱膨張性の点で好ましい。なお、上記焼結体中には、焼結助剤及び添加物を含むことができる。
【0025】
また、周期律表第3族元素とは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu等が挙げられ、これらの中でも容易に入手できる点でY、安価な点でCe及びSm、易焼結性の点でYb及びLu、着色性の点でEr及びNdが好適である。
【0026】
本発明では、コージェライト質焼結体からなる複数の部材を、接合部を介して一体化せしめてなる接合体において、前記接合部がさらにコージェライトを含むことが好ましい。
【0027】
この場合、接合部にコージェライトを含有するため、周期律表第3族元素の拡散による強度向上に加えて、部材中のコージェライト粒子と接合部のコージェライト粒子の結合が、接合体の接合強度を更に高いものにすることができる。また、部材と接合部との熱膨張率差により発生する応力を低減し、強度低下を防止することができる。
【0028】
さらに、接合部に含まれる周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種が、部材に含まれていると、接合部から部材への広い範囲にわたって粒界相が発達したことと類似であるため、接合強度を高める働きがある。
【0029】
特に、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素をXとし、結合部におけるXの含有量が酸化物換算でY、部材におけるXの含有量が酸化物換算でYとするとき、1.4≦X≦3、特に1.4≦X≦2.5、さらに1.5≦X≦2であることが好ましい。これは、接合性を高めつつ、接合部と部材との組成の変化を小さくし、上記の範囲に設定することにより、接合部に蓄積される残留応力を小さくし、クラックの発生を抑制するためである。
【0030】
周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種は、酸化物、窒化物、炭化物又は硼化物等の化合物であればよいが、特に酸化物であることが好ましい。この酸化物は、周期律表第3族元素の単一酸化物、2種以上の周期律表3族元素の複合酸化物、又はAl23、SiO2、MgOのうち少なくとも1種と周期律表第3族元素との複合酸化物等が挙げられる。例えば、周期律表第3族元素がYbの場合、Yb23、Yb23・Sm23、YbAlO3、Yb23・SiO2、ダイシリケート(Yb23・2SiO2)等が例示できる。さらに、この酸化物は非晶質であっても、結晶質であってもかまわないが、特に少なくとも一部が結晶質であることが高接合強度の観点で好ましい。
【0031】
本発明の部材を構成するコージェライト質焼結体は、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の化合物を1〜20重量%、特に2〜15重量%、さらには3〜10重量%含むことが好ましく、更に、残部がコージェライトであることが、緻密性が高く、高強度が得られる点で望ましい。
【0032】
そして、接合部が、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の化合物を1〜20重量%、コージェライトを80〜99重量%含有することをが好ましい。この組成範囲にあれば、周期律表第3族元素が十分に拡散し、コージェライトの物質移動が起こり、強固な接合を実現していることを示している。
【0033】
また、接合部の厚みは100μm以下、特に、20〜90μm、さらには、40〜80μmであることが望ましい。接合部の厚みを小さくすると破壊源となるボイドや他の欠陥の存在確率が小さくなるとともに、部材間のコージェライト結晶の結合が増加し、その結果高い接合強度が得られる傾向がある。
【0034】
さらに接合部のコージェライト結晶の平均粒子径が5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であることが好ましい。これは粒径が小さいことにより粒子の表面エネルギーが大きくなって拡散しやすいため、接合部は緻密体となりやすく、高い接合強度を得ることができる。
【0035】
次に、本発明の接合体を製造する方法について説明する。
【0036】
まず、平均粒径が0.1〜5μm、特に0.5〜1.5μmでかつ過剰のAl、Mg及びSiの少ないコージェライト粉末と平均粒子径が5μm以下の焼結助剤を準備する。特に、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物粉末であることが好ましい。
【0037】
そして、コージェライト粉末に、焼結助剤、特に周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物を1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、さらは3〜10重量%の範囲に調製し、残部をコージェライトにすることが好ましい。
【0038】
これらは、焼成時にコージェライトの成分と反応し、液相を生成することから焼結性を高める作用が発揮され、低温焼成化とともに、焼成可能温度領域を±25℃程度まで拡げることができ、量産性を高めることが可能となる。なお、コージェライト粉末の少なくとも一部をMgOと、Al23とSiO2とを2:2:5の割合で混合した混合物として用いても良い。
【0039】
この範囲で調合した原料粉末に対して、エタノールやイソプロピルアルコール等の有機溶剤及びバインダを加えたあと、公知の粉砕方法、例えばボールミル、振動ミル、回転ミル、バレルミル等により原料粉末を均一に混合粉砕したものを、一軸加圧成形法や等加圧成形法、あるいは鋳込み成形法、押出成形法、射出成形法、冷間静水圧プレス等の公知のセラミック成形手段にて所望の形状に形成した成形体を製作する。この時、必要に応じて成形体に切削加工を施して良い。
【0040】
次に、得られた成形体を、非酸化雰囲気中にて1100〜1500℃、特に1200〜1475℃、さらには1300〜1450℃の温度で焼成する。この時の雰囲気は大気中でも、窒素やアルゴン等の不活性ガス中でもかまわない。また、ガスの圧力は、大気圧であっても加圧下であってもよい。
【0041】
なお、焼成はこの方法以外にも、大気中、又はアルゴンや窒素などの非酸化性雰囲気中において、非加圧焼成法、ホットプレス法、熱間静水圧焼成法(HIP)などが採用でき、1100〜1500℃の温度で焼成して相対密度95%以上の緻密体を得ることができる。
【0042】
得られた焼結体を部材として使用するが、この焼結体の相対密度は95〜99.5%、特に96〜99%、さらには97〜98.5%であることが周期律表第3族元素の拡散を助長するために好ましい。
【0043】
次に、接合用原料粉末として、平均粒子径が5μm以下、特に3μm以下の周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物粉末を準備する。この平均粒子径が5μm以下と小さいことにより、粒子の表面エネルギーが大きくなって拡散しやすいため、接合部は緻密体となりやすく、高い接合強度を得ることができる。
【0044】
また、所望により、上記接合用粉末にコージェライト粉末を加えることができる。この粉末は、平均粒径が0.1〜5μm、特に0.5〜1.5μmでかつ過剰のAl、Mg及びSiの少ないものを用いることが良い。また、コージェライト粉末の少なくとも一部をMgOと、Al23とSiO2とを2:2:5の割合で混合した混合物として用いても良い。
【0045】
そして、接合用粉末にコージェライトを含む場合、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物を1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、さらは3〜10重量%の範囲に調製し、残部をコージェライトにすることが好ましい。この組成範囲に調製することにより、接合部の緻密化が容易となり、また、部材との整合性が良好となって、部材から接合部にわたって比較的均質な接合体を実現できる。また、接合部の熱膨張係数差により発生する応力が低減され、その結果接合強度をさらに高めることができる。
【0046】
この組成によってコージェライト質焼結体からなる部材の接合面に存在する空隙を上記接合用粉末で充填することができ、周期律表第3族元素のみからなる接合用粉末の場合に対して、更に接合部を部材組成に近づけ、接合部における周期律表第3族元素の偏析による大きな粒子の形成を減らし、接合強度をより高くすることができる。
【0047】
これは、焼成時にコージェライトの成分と反応し、液相を生成することから焼結性を高める作用が発揮され、低温焼成化とともに、焼成可能温度領域を±25℃程度まで拡げることができ、量産性を高めることが可能となる。
【0048】
次に、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物を含む接合用粉末に対して、有機バインダを加えて混合し、ペーストを作製する。このペーストは粘度の高いものが取扱いの点で好ましい。
【0049】
また、上記の接合用混合粉末100重量部に対し、アクリル樹脂等の有機バインダを10〜60重量部、特に20〜40重量部添加することが好ましい。このように調製することにより、塗布に適する粘度を有するペーストを形成でき、また接合用粉体を高い密度で充填しやすくなり、その結果、緻密な接合部を形成し、接合強度を高めることができる。
【0050】
さらに必要に応じて可塑剤等を添加し、十分に混合しスラリー化する。このスラリーを2つの部材の接合面の少なくとも一方の表面に塗布した後、前記部材接合面同士を接触させる。この時、塗布する方法としては、刷毛で塗る方法、スラリー中に部材を入れてスラリーを接合面に付着させるディッピング法、または印刷法を用いて塗布することができる。
【0051】
そして、上記複数の部材の接合面を接触させ、加熱処理を行う。加熱温度は1100〜1500℃、特に1200〜1475℃、さらには1300〜1450℃であることが好ましい。この温度はコージェライトの焼成温度と同じ温度範囲であり、周期律表第3族元素が液相として拡散するとともに、コージェライトの焼結を助長し、部材間にコージェライトを介した結合を生じせしめ、一体成形を行う場合に比べて容易に又低コストで複雑な形状体を作製することが可能となる。
【0052】
なお、加熱処理温度が1100℃より低いと接合部が緻密化不足を招き、1500℃より高いとコージェライトが分解して接合部材との熱膨張率の差が大きくなり、強度低下を引き起こす。また、加熱処理時間は、組成や焼成温度にもよるが、1〜10時間であれば良い。
【0053】
なお、熱処理は、大気中、又はアルゴンや窒素などの非酸化性雰囲気中において、非加圧焼成法、ホットプレス法、熱間静水圧焼成法(HIP)などが採用できる。特に、本発明においては、熱処理の際に接合面の少なくとも一部に0.1MPa以上、特に0.3MPa以上、更には0.5MPa以上、より好適には1MPa以上、最も好適には5MPa以上の圧力を加え、物質移動を助長することが好ましい。これにより、接合強度を高めることが可能である。
【0054】
さらに、上記非加圧焼成法またはホットプレス法によって形成した接合体を、900〜1400℃の温度、100気圧以上の圧力下で熱間静水圧焼成(HIP)することにより、これにより低コストで高密度、高強度のコージェライト接合体を製造することができると共に、緻密な接合部を形成し、接合強度を高めることができる。
【0055】
さらにまた、接合される部材は、その接合面の接触面積を大きくし、接合強度をより高めるため、接合面の表面粗さRaを1μm以下、特に0.7μm、さらには0.5μm以下、より好適には0.3μm以下であることが好ましい。
【0056】
また、得られた接合体の接合強度は100MPa、特に150MPaが実用上の目安となる。100MPa未満では治具や装置構成部材等において強度不足から使用に耐えなかったり、寿命が短いといった問題が発生しやすい。
【0057】
なお、本発明における接合体においては、接合強度100MPa以上の特性を満足することを条件に、上記コージェライト成分および上記金属元素の酸化物、希土類元素化合物以外に、製造上の不可避的不純物や、焼結性や特性向上のために他の成分を含有してもよい。接合部は、不純物として、Cr、Co等の元素が混入していても接合強度に影響を与えなければなんら差し支えない。
【0058】
Cr、Co等の元素を含む焼結体は、100MPa以上の接合強度を有し、かつ着色されて遮光性を有するため、遮光板や構造体として好適に使用することができる。
【0059】
【実施例】
周期律表第3族元素から選ばれた化合物として純度99.9%、平均粒径が1.8μmのY23粉末、0.8、1.8μm、2.5μm、4.8μmのYb23粉末、0.7μmのLu23粉末、0.6μmのEr23粉末、0.8μmのCe23粉末、0.8μmNd23粉末、0.7μmのSm23粉末(いずれも信越レアアース(株)製)及び0.8μm、2.5μm、4.3μmのYb23粉末を用いた。また、コージェライト粉末として純度98%、平均粒径2.2μmのコージェライト(共立マテリアル(株)製、商品名MAS225)及び平均粒径0.6μm、1.5μm、4.2μmのコージェライト粉末を用いた。
【0060】
上記の周期律表第3族元素から選ばれた化合物とコージェライトとからなる混合粉末にバインダとしてアクリル樹脂を用いた。各原料及びバインダを表1に示す組み合わせで秤量した。これに可塑剤としてDBP(ジブチルフタレート)を添加し、ボールミルを用いて混合してペーストを得た。
【0061】
接合に用いる部材は、5〜12重量%のYb粉末と残部のコージェライト粉末とからなる成形体を常圧焼成にて作製したコージェライト焼結体を用いた。この焼結体の相対密度は95〜99%であった。このコージェライトを一辺が20mmの立方体に加工して部材とした。この部材の接合面の表面粗さは触針式表面粗さ計で測定した。
【0062】
この部材の接合面に上記のペーストを塗布させた後、他の立方体を貼り合わせて角柱を作製し、この角柱を大気中で表1に示す条件により2時間保持して熱処理した。ペーストは刷毛を用いて接合面に塗布した。
【0063】
なお、接合体は2個の立方体からなる部材で構成されるが、2つの接合面の片面又は両面にペーストを塗布した。
【0064】
得られた接合体から3mm×4mm×45mmの寸法で、接合面が長径方向の中心に位置するように強度試験片を切り出し、表面を研磨した。
【0065】
次に、JIS−R1601に基づき、接合部を2つの支持点の中心に配置した4点曲げ試験により室温で抗折強度を測定し、これを接合強度とした。この時、接合面に最大応力が加わるように試験を行った。
【0066】
なお、接合部の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を用いて測定し、10箇所の平均値として算出した。また、接合部のコージェライト粒子の結晶粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を用いて、100個のコージェライト粒子のサイズから接合部の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。また、接合部の結晶相は、透過型電子顕微鏡(TEM)により分析した。さらに、周期律表第3族元素の含有量は、電子プローブマイクロアナリシス(EPMA)法によって測定した。また、表1中の試料No.2,3は参考例である。
【0067】
【表1】
Figure 0004803872
【0068】
本発明の試料No.〜39は、接合強度が150MPa以上であった。
【0069】
一方、周期律表第3族元素から選ばれた元素が含まれず、本発明の範囲外のNo.1は、接合強度が50MPaと低かった。
【0070】
【発明の効果】
本発明では、コージェライト質焼結体の間に特定の組成からなる接合部を設け、特定の熱処理により原料及び加工コストを低減し、接合強度を高くすることができる。

Claims (11)

  1. 周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含むコージェライト質焼結体からなる複数の部材を、コージェライトを含む接合部を介して一体化せしめてなる接合体において、前記接合部が周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含むとともに、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素は、前記接合部の全量中における含有量が、前記部材の全量中における含有量に対して酸化物換算で.4〜3倍であることを特徴とする接合体。
  2. 前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素の少なくとも一部が酸化物結晶として存在することを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  3. 前記部材中に、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素が、酸化物換算で1〜20重量%含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合体。
  4. 前記接合部が、前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種を1〜20重量%、コージェライトを80〜99重量%含有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の接合体。
  5. 前記接合部の厚みが100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の接合体。
  6. 前記接合部のコージェライト結晶の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の接合体。
  7. 請求項1乃至6のうちいずれかに記載の接合体の製造方法であって、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物とコージェライト粉末とを含む接合用粉末に対して、有機バインダを加えて調製したペーストを、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含むコージェライト質焼結体からなる複数の部材の接合面のうち、少なくとも一方の表面に塗布した後、前記接合面同士を接触させ、1100〜1500℃の温度で熱処理することを特徴とする接合体の製造方法。
  8. 前記接合用粉末における前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物の含有量が1〜20重量%、前記コージェライト粉末の含有量が80〜99重量%であることを特徴とする請求項7に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記熱処理において、接合面の少なくとも一部に0.1MPa以上の圧力を加えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項7乃至9のうちいずれかに記載の接合体の製造方法。
  11. 前記コージェライト質焼結体の接合面の表面粗さが、接合用粉末の平均粒子径以下の値であることを特徴とする請求項7乃至10のうちいずれかに記載の接合体の製造方法。
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